JP6198220B2 - 溶融Alめっき鋼線並びに撚り線およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、溶融Alめっき鋼線において、特に「ねじり」を伴う変形に対する抵抗力を改善したものに関する。また、その溶融Alめっき鋼線を素線に用いた撚り線に関する。
自動車のワイヤーハーネス用導線をはじめとする各種導線には、従来、銅線が使用されている。しかし、鉄スクラップとともにリサイクルする上で、銅材の混入は好ましくない。このためリサイクル性の観点からは、鉄スクラップとともに溶解可能で且つ導電性が比較的良好なアルミニウム線の適用が有利となる。
ワイヤーハーネスに用いる信号線などには撚り線が使用されることが多い。アルミニウム線を用いたワイヤーハーネス用撚り線としては、例えば直径0.25〜0.30mm程度のAl素線を10本前後撚り合わせたものが実用化されている。信号用電流を流すための導電性の観点からはこのように大きい断面積は必要ないが、Al素線はCu素線などと比べ強度に劣るため、Al素線のみで構成される撚り線の強度を考慮すると、この程度の太さが必要となってしまう。
Al素線を用いた信号用撚り線の強度を向上させる手段として、アルミニウムより強度の高い鋼線を中心素線に使用し、その周囲にAl素線を撚り合わせる手法が有効である。撚り線の高強度化により断面積の減少が可能となり、ワイヤーハーネスのダウンサイジングに繋がる。そのような中心素線用の鋼線としてAlめっき鋼線が有望視されている。Alめっき鋼線を用いると、例えば裸の鋼線やZnめっき鋼線を用いた場合に問題となる異種金属の接触による腐食が回避される。またステンレス鋼線を使用する場合より材料コストが大幅に低減する。
Alめっき鋼線を大量生産するためには溶融Alめっき法が有効である。従来、芯線径1mm以下の鋼線に安定して溶融Alめっき層を形成することは必ずしも容易ではないとされていた。しかし、最近では種々の目付量の溶融Alめっき鋼線が連続ラインにおいて製造可能となっている(特許文献1〜3)。
特開2009−179865号公報 特開2009−187912号公報 特開2011−208263号公報
特許文献3などに開示される技術により、信号用素線に適した薄目付の溶融Alめっき鋼線の製造が可能となった。しかしながら、従来の溶融Alめっき鋼線をそのまま撚り線の中心素線に使用すると、撚り線の製造過程で当該素線が破断する現象が起こりやすいという新たな問題が浮上した。その原因として、従来の溶融Alめっき鋼線は「ねじり加工」に弱いという欠点を有していたことが明らかとなった。
図1に、一般的な撚り線製造方法を概念的に示す。この図は中心素線21の周りに6本の周辺素線22を撚り合わせる場合を例示してある。中心素線21および周辺素線22はそれぞれ供給ボビン23および24から送給され、7本まとめてねじりながら巻き取られ、撚り線30となる。このとき巻取り側を1回転回す度に各素線には1回転のねじりが加わる。この方式は線のみを回転させることで撚り線を作ることが可能であるため生産性が高く、広く用いられている。しかしながら、中心素線21に溶融Alめっき鋼線を使用し、周辺素線22にAl素線を使用した場合、中心の溶融Alめっき鋼線がねじりによって破断するというトラブルが発生しやすい。これが溶融Alめっき鋼線を撚り線に使用することの実用化を阻んでいる。
一方、各素線にねじりが加わらないように撚り線を製造する技術も種々開発され、実用化されている。図2に、その一例としてプラネタリー方式と呼ばれる撚り線製造方法を概念的に示す。この場合、周辺素線22の供給ボビン24を回転盤25に配置させ、その回転盤25の回転によって中心素線21の周囲に各周辺素線22を撚り合わせていくので、中心素線21にねじれが加わらない。また、各周辺素線22の供給ボビン24も回転盤25の上で自転する機構を有しており、周辺素線22のねじれも同時に回避することができる。しかし、このような装置は機構が複雑で部品点数も多いため高価であり、ランニングコストも高くなる。また、回転部分の質量が大きいことなどから回転速度を大きくすることが難しく、生産性に劣る。素線のねじれを回避したこれ以外の方法も、ワイヤーハーネス用信号線の大量生産に適用するにはコストや生産性の面で問題が多い。
本発明は、素線にねじりが加わる一般的な撚り線製造装置に適用した際に、上記のねじりによる破断が問題とならないような、耐ねじり性に優れた溶融Alめっき鋼線を提供することを目的とする。
上記目的は、直径0.05〜0.50mmの鋼芯線を芯材に持つ溶融Alめっき鋼線であって、その長手方向における平均径DA(mm)および最小径DMIN(mm)が下記(1)式を満たすように溶融Alめっき付着量が均一化されている溶融Alめっき鋼線によって達成される。
(DA−DMIN)/DA≦0.10 …(1)
上記の平均径DA(mm)および最小径DMIN(mm)は、1本のAlめっき鋼線において、連続して撚り線加工に供される部分の長さLについての線径を測定することによって求めることができる。ここで、線材の長手方向に垂直で互いに直交する2方向をx方向およびy方向とするとき、長手方向のある位置におけるx方向の径DX(mm)とy方向の径DY(mm)の平均値(DX+DY)/2を、その長手方向位置の線径と定める。径DXおよびDYは、例えばレーザー光線を照射して線材を1方向に見たときの投影径を測定する手法により求めることができる。平均径DAおよび最小径DMINは、ある長さLの範囲での線径Dの平均値および最小値である。平均径DAおよび最小径DMINを求める際には、長手方向の隣り合う測定点の間隔(線径Dの測定ピッチ)を0.2mm以下とする。
上記の溶融Alめっき付着量が均一化されている溶融Alめっき鋼線としては、特に溶融Alめっき後に伸線加工を受けていないものが好適な対象となる。
溶融Alめっきに供する素材鋼線としては、裸の鋼線の他、Znめっき鋼線、Niめっき鋼線などのめっき鋼線を使用することができる。本明細書では溶融Alめっきに供する素材鋼線の表面に予め施されているめっきを「プレめっき」と呼んでいる。前記の「鋼芯線」は、溶融Alめっき鋼線の断面に占める鋼部分を意味する。溶融Alめっき後に伸線加工を受けていないものにおいては、溶融Alめっきに供する素材鋼線を構成する鋼部分の直径が前記の鋼芯線の直径に相当する。プレめっき層の厚さは鋼芯線の直径に含まれない。
また本発明では、上記溶融Alめっき鋼線を素線に用いて、当該溶融Alめっき鋼線にねじれが加えられた状態で他の素線とともに撚り合わされた撚り線が提供される。また、当該溶融Alめっき鋼線にねじれが加わる手法にて他の素線とともに巻取る撚り線の製造方法が提供される。
本発明の溶融Alめっき鋼線は、ねじりに対する抵抗力が顕著に改善されている。そのため、撚り線の素線として、ねじりが加わる汎用的な手法での撚り線加工に供した際に、従来問題となっていた破断トラブルが解消される。特に、溶融Alめっき後に伸線加工することなく、ねじりが加わる撚り線加工に供することができるので、これを撚り線の中心素線として使用すると低コストで撚り線の強度向上を図ることができる。したがって本発明は、特にワイヤーハーネス用撚り線の高強度化と低コスト化を両立させるうえで有用である。
各素線にねじりが加わる一般的な撚り線製造方法を概念的に示した図。 各素線にねじりが加わらないプラネタリー方式の撚り線製造方法概念的に示した図。 ねじり試験装置の構成を模式的に示した図。 溶融Alめっき鋼線について(DA−DMIN)/DAと破断ねじり回数の関係を示したグラフ。 溶融Alめっき鋼線製造設備の構成の一例を模式的に示した図。 めっき浴立ち上がり部を含む鉛直方向に平行な断面を模式的に示した図。 接触部材を設置した場合のめっき浴立ち上がり部を含む鉛直方向に平行な断面を模式的に示した図。
ワイヤーハーネス用の撚り線を補強する役割を担う溶融Alめっき鋼線としては、鋼芯線の直径が0.05〜0.50mmの範囲にあるものが有用である。鋼芯線が細すぎると撚り線の強度向上効果が小さく、太すぎると強度が過剰となる場合が多いだけでなく、撚り線の全体径が大きくなってワイヤーハーネスの細線化・軽量化のニーズに反する。
発明者らの検討によれば、鋼芯線の直径が上記のように細い溶融Alめっき鋼線は、製造時に長手方向における線径が不均一になりやすく、それが溶融Alめっきままの状態での「ねじり加工」に対する耐久性(以下、「耐ねじり性」ということがある)を低下させる要因となっていることがわかった。しかしながら、単に長手方向の最大径と最小径の差をパラメータとしてねじり特性を評価しても、良好な耐ねじり性を安定的に得るための条件を見出すことは難しかった。そこで、さらに検討を進めたところ、溶融Alめっき鋼線の耐ねじり性に関しては、長手方向の線径変動のうち、線径が太くなっている部分は特に悪影響を及ぼすことがないことが明らかとなった。したがって、線径が太くなっていることの影響を除外するパラメーターを設定する必要がある。詳細な研究の結果、溶融Alめっき鋼線の長手方向における平均径DA(mm)と最小径DMIN(mm)の関数である次式、(DA−DMIN)/DAによって、溶融Alめっき鋼線の耐ねじり性を良好に評価できることが確かめられた。
線材のねじり試験方法としては、例えばJIS G3521に硬鋼線についての規定がある。ただし、線径0.70mm以上のものを対象としており、それより細い線材の耐ねじれ性を評価する一般的な規格は見当たらない。そこで、発明者らは上記JIS規格を参考にして、図3に模式的に示すねじり試験装置を用いて、種々の溶融Alめっき鋼線(Alめっき後に伸線加工していないもの)について耐ねじり性を調べた。すなわち、線材試料42をチャック41a、41bでつかみ、50gの荷重を付与して線材試料がたわまない状態とし、一方のチャック41bを回転させ、線材が破断するまでの最大回転数(整数値)を測定し、これを当該線材の破断ねじり回数とする。例えば、11回転終了まで破断せず、12回転目終了までに破断した場合の破断ねじり回数は11回となる。チャック間距離は100mmとした。自動車用ワイヤーハーネスに使用されている現状の撚り線は、100mm当たりのねじり回数が5〜20回程度である場合がほとんどである。したがって、ここで採用するねじり試験方法において、破断ねじり回数が50回以上となる耐ねじり性を有する溶融Alめっき鋼線は、素線にねじりが加わる汎用的な撚り線製造装置でワイヤーハーネス用撚り線を製造した場合に、破断を回避できる実用的な性能を有していると評価できる。従来の溶融Alめっき鋼線の破断ねじり回数は、Alめっき後に伸線加工していないもので数回から15回程度であるものが多かった。
図4に、溶融Alめっき鋼線(Alめっき後に伸線加工していないもの)について、(DA−DMIN)/DAと上記ねじり試験による破断ねじり回数の関係を例示する。このグラフは後述の表1に示した各例のデータを表示したものである。ここで、平均径DAは同一の製造条件で製造した溶融Alめっき鋼線の全長(約8000m)にわたって0.1mmピッチで測定したx方向およびy方向の線径データに基づく値を採用した。ただし、最小径DMINについては、実際にねじり試験に供した試料のチャック間距離100mmについて同様の方法で測定した線径データに基づく値を採用した。
図4からわかるように、(DA−DMIN)/DAと破断ねじり回数の間には相関関係がある。破断ねじり回数が50回以上となる耐ねじり性を確保するためには、線径変動に関して下記(1)式を満たせばよい。
(DA−DMIN)/DA≦0.10 …(1)
上述のように、ここでは最小径DMINとしてチャック間距離100mmにおける値を採用しているが、撚り線製造時に最も破断しやすい箇所は長手方向全長において最も径の細い位置である。したがって、長手方向全長の線径測定データに基づくDAおよびDMINが(1)式を満たす場合には、その溶融Alめっき鋼線は全長にわたって撚り線製造時のねじり破断が回避される性能を有していると判断することができる。
上記の(1)式を満たす溶融Alめっき鋼線は、溶融Alめっき時にAlめっき付着量を均一化する手段を適用することによって、その後に伸線加工を施すことなく、溶融Alめっき工程にて直接製造することができる。例えば、以下の手法によって製造可能であることが確認された。
まず、溶融Alめっき鋼線は、直径0.05〜0.50mmの鋼芯線からなる素材鋼線または前記鋼芯線の表面に平均厚さ5μm以下のZnめっき層もしくはNiめっき層を有するめっき鋼線からなる素材鋼線を溶融Alめっき浴に浸漬したのち気相空間に連続的に引き上げる方法により製造できる。
図5に、前記製造方法の実施に使用できる溶融Alめっき鋼線製造設備の構成の一例を模式的に示す。めっき浴槽50の中に溶融Alめっき浴1が収容されている。送出装置51から送り出された鋼線3は矢印方向に連続的に搬送されて、溶融Alめっき浴1の中を通過した後、浴面10から鉛直上方へと引き上げられ、遮蔽体4によって大気環境2から仕切られた気相空間8の中を通過する。遮蔽体4の上部には鋼線3が通過する開口部7がある。引き上げ過程で鋼線表面のめっき金属が凝固して溶融Alめっき鋼線となり、巻取装置52によって巻き取られる。
図6に、鋼線3が溶融Alめっき浴1を通過した後、浴面10から鉛直上方へと引き上げられる浴面位置の状況を模式的に示す。鋼線3に随伴してめっき浴1が持ち上がり、鋼線3の周囲にはメニスカス70が形成されるとともに、メニスカス70から離れたところでは、浴面10の高さがほぼ水平を保つようになる。この高さを「平均浴面高さ」と呼ぶ。また、鋼線3が引き上げられる浴面位置を「めっき浴立ち上がり部」と呼ぶ(符号5)。
遮蔽体4の内部の気相空間8には、鋼線3が引き上げられる浴面位置(めっき浴立ち上がり部5)に不活性ガスを吹き付けるためのノズル61が配置されている。その不活性ガスは不活性ガス供給装置57から管路56を通ってノズル61に供給される。管路56の途中または不活性ガス供給装置57の内部にガス流量調整機構(図示せず)が設けられ、ノズル61から吐出される不活性ガスの流量を調整することができるようになっている。また、前記ノズル61は、引き上げられた鋼線の平均浴面高さ20mm以上の部分に前記ノズル61からの不活性ガス吐出流が当たらないように不活性ガス吐出方向が調整されている。すなわち、ノズル61から吐出された不活性ガスは、めっき浴立ち上がり部5を含むめっき浴面6の一部分およびめっき浴立ち上がり部5から引き上げられた鋼線3の平均浴面高さが20mm未満の領域の一部分に直接当たり、それらの部分の酸素濃度が低く保たれる。ノズル61、管路56、不活性ガス供給装置57およびガス流量調整機構(図示せず)により不活性ガス供給系が構成されている。不活性ガスとしては窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。さらに遮蔽体4の内部の気相空間8には、酸素含有ガスを導入するための吐出口62を有する管路63が設置されており、必要に応じて遮蔽体4内部の酸素濃度が調整される。
遮蔽体4内の気相空間8を通って引き上げられた鋼線3は、引き上げられる過程で冷却され、めっき層が凝固する。引き上げ過程には必要に応じて冷却装置53が設置され、ガスや液体ミストの吹き付けなどにより強制冷却することができる。また、送出装置51とめっき浴1の間に熱処理装置を挿入することができる。熱処理雰囲気としては例えば還元性ガス雰囲気(H2−N2混合ガスなど)が採用できる。熱処理装置からめっき浴1に浸漬されるまでの区間に大気から遮蔽するためのスナウトを設ける場合もある。さらに、前工程でプレめっきや伸線などを行う場合には、それら前工程の装置と当該めっき装置を直列に配置して連続ラインを構築することができる。
上記(1)式を満たすように溶融Alめっき付着量を均一化するためには、図5の装置を用いる場合、例えばさらに、めっき浴立ち上がり部に接触部材を設置し、引き上げられる鋼線3をその接触部材に接触させる手法を採用することが効果的である。
図7にその手法を模式的に例示する。めっき浴立ち上がり部5から鉛直に引き上げられる鋼線3に接触するように接触部材31が設けられている。接触部材31の鋼線3との接触部は例えば耐熱クロス等により構成することができる。鋼線3が接触部材31との接触状態を保ちながら引き上げられることにより、鋼線3の微小振動が抑制され、(1)式の条件を満たす線径変動の少ない溶融Alめっき鋼線が製造できる。
溶融Alめっきに供する素材鋼線としては、前述のように、Znめっき鋼線やNiめっき鋼線など、プレめっきを施したものを使用することができる。プレめっきのない裸の鋼線を溶融Alめっきに供する場合は、還元熱処理を経たのち、大気に触れないようにスナウト内を通過させて連続的に溶融Alめっき浴中に進入させるとよい。鋼芯線は、従来からZnめっき鋼線やNiめっき鋼線として使用されている鋼種の他、必要に応じてステンレス鋼を適用することもできる。ステンレス鋼の場合は、プレめっきとしてNiめっきを施しておくことが望ましい。
溶融Alめっき浴は、Si含有量を0〜12質量%とすることができる。すなわち、Si含有量が0〜1質量%のいわゆる純Alめっき浴を適用することができる他、Si含有量が12質量%以下のAlめっき浴を適用することもできる。Siを添加することにより鋼芯線とAlめっき層の間に生成する脆いFe−Al系合金層の成長を抑制することができる。またSi添加により融点が低下するので、製造が容易となる。ただし、Si含有量が増加するとAlめっき層自体の加工性が低下する。また導電性低下にも繋がる。したがって、Alめっき浴1にSiを含有させる場合は12質量%以下の範囲で行うこと望ましい。なお、浴中には例えばFe、Cr、Ni、Zn、Cu等の不純物元素が不可避的に混入する場合がある。
Alめっき付着量は、長手方向における溶融Alめっき層の平均厚さで5〜50μmとすることが望ましい。Alめっき付着量が少なすぎると、撚り線加工や、その後のかしめ加工などにおいて鋼素地が露出する恐れがあり、耐食性劣化の要因となる。一方、Alめっき付着量が過剰になると鋼芯線の断面割合が相対的に低下して、単位線径あたりの強度が低下する。
図5に示した構成の溶融Alめっき鋼線製造装置を用いて、溶融Alめっき鋼線を製造した。浴面から鋼線が引き上げられる気相空間を遮蔽体で仕切り、その気相空間の酸素濃度は0.1体積%以下とした。めっき浴立ち上がり部に接触部材(図7参照)を設けて鋼線をその接触部材に接触させながら引き上げた製造例と、接触部材を使用せずに浴面からそのまま鋼線を引き上げた製造例を実施した。上記接触部材としてステンレス鋼製角棒の表面に耐熱クロスを巻いたものを使用した。接触部材の角棒は浴槽に固定されている。Alめっき浴は、純Al浴、またはSiを添加したAl−Si浴とした。
溶融Alめっきに供する素材鋼線としては、JIS G3560の硬鋼線材を芯材としたZnめっき鋼線、Niめっき鋼線、または裸の鋼線を使用した。このうちZnめっき鋼線は、直径1.0mmの溶融Znめっき硬鋼線をドローイングにより伸線加工して所定の直径としたものである。Niめっき鋼線、および裸の鋼線についても伸線加工により所定の直径に調整してある。素材鋼線のZnめっきまたはNiめっき(プレめっき)の厚さは、(素材鋼線の外径D1−鋼芯線の径D0)/2により知ることができる。
得られた溶融Alめっき鋼線について、図3に示したねじり試験装置を用いて、上述した方法(チャック間距離100mm、荷重50g)により破断ねじり回数を求めた。結果を表1に示す。また、(DA−DMIN)/DAと破断ねじり回数の関係は前述の図4に示した通りである。
なお、得られた溶融Alめっき鋼線の径については前述の通り、平均径DAは各溶融Alめっき鋼線の全長約100〜8000mの測定データに基づく値を採用し、最小径DMINは実際にねじり試験に供した線材のチャック間距離100mmの測定データに基づく値を採用した。
Figure 0006198220
表1からわかるように、接触部材を使用せずに浴面からそのまま鋼線を引き上げた場合には前記(1)式を満たすような溶融めっき付着量の均一化が実現できなかった。その結果、耐ねじり性が悪かった。
これに対し、接触部材を使用した本発明例のものは前記(1)式を満たすように溶融Alめっき付着量が均一化された。これらは破断ねじり回数が50回を上回り、溶融Alめっきままの状態において、ねじりが加わる撚り線加工に耐え得る耐ねじり性を有すると評価される。
1 溶融Alめっき浴
2 大気環境
3 鋼線
4 遮蔽体
5 めっき浴立ち上がり部
6 遮蔽体内部の浴面部分
7 開口部
8 気相空間
10 浴面
21 中心素線
22 周辺素線
23、24 供給ボビン
25 回転盤
30 撚り線
31 接触部材
41a、41b チャック
42 線材試料
43 錘
50 めっき浴槽
51 送出装置
52 巻取装置
53 冷却装置
56 不活性ガス供給管
57 不活性ガス供給装置
58 リール
61 不活性ガス吐出ノズル
62 酸素含有ガス吐出口
63 酸素含有ガス供給管
64 酸素含有ガス供給装置

Claims (3)

  1. 直径0.05〜0.50mmの鋼芯線を芯材に持つ、溶融Alめっき後に伸線加工を受けていない溶融Alめっき鋼線であって、その長手方向における平均径DA(mm)および最小径DMIN(mm)が下記(1)式を満たすように溶融Alめっき付着量が均一化されている、ねじりが加わる撚り線加工の素線用溶融Alめっき鋼線。
    (DA−DMIN)/DA≦0.10 …(1)
  2. 請求項1に記載の溶融Alめっき鋼線を素線に用いて、当該溶融Alめっき鋼線にねじれが加えられた状態で他の素線とともに撚り合わされた撚り線。
  3. 請求項1に記載の溶融Alめっき鋼線を素線に用いて、当該溶融Alめっき鋼線にねじれが加わる手法にて他の素線とともに巻取る撚り線の製造方法。
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