JP3963067B2 - 錫めっき銅線 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は錫めっき銅線に関し、機器用電線、特に極細同軸ケーブルの心線および、シールド線に適する錫めっき銅線に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器用のケーブルの導体には、銅および銅合金線が使用されている。近年の電子機器の小型化、軽量化にともなってケーブルの細径化が求められ、それに使用される銅線も細径化が必要であり、現在では、線径が0.02mmの超極細線が使用されるようになってきている。また、導体には腐食などによる表面品質の低下を抑える目的で、錫めっきや銀めっきを施したものがある。
【0003】
上記した導体へのめっき方法として、電気めっき法と溶融めっき法がある。電気めっき法によるめっき線の製造は、太サイズの心線に電気めっきを施して冷間伸線を繰り返すことにより極細化しており、銀めっき線の製造に用いられる。一方、電気めっき法で錫めっき線を製造しようとすると、上記した冷間伸線後にめっき層に残留する歪によってウィスカーが発生することが問題視されており、めっき層に歪が残留しない溶融めっきが適用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の錫めっき銅線によると、溶融めっき時に加えられる熱により導体が軟化するため、必要とされる導体強度を得られないという問題がある。特に、太サイズの銅線に比較して熱容量の小さい極細線に顕著であり、極細線の導体の軟化を抑えるためにめっき浴槽の温度を低下させたり、めっき浴の浸漬距離を短くすることが考えられるが、製造工程が煩雑化して生産性を低下させる原因になる。
【0005】
従って、本発明の目的は、製造工程を煩雑化させることなく、溶融めっきで錫めっきしても導体が軟化しない錫めっき銅線を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、100ppmを超え500ppm以下の酸素を含むタフピッチ銅からなり、0.08mm以下の直径を有し、かつ、錫の溶融めっきに浸漬することによって形成される錫めっき層で被覆される構成からなる錫めっき銅線であって、引張り強さが500MPaより大なる硬銅線によって構成され、錫およびインジウムを合計で5重量ppm以上200重量ppm以下含有することを特徴とする錫めっき銅線を提供する。
【0007】
上記した錫めっき銅線によると、所定の引張り強さを有し、1種以上の金属を重量で5ppm以上200ppm以下で含有させることでめっき処理等の熱による軟化、機械的特性の劣化、および導電率の低下が抑制される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の錫めっき銅線を図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
SCR連続鋳造装置を用いて、200ないし400ppmの酸素を含むタフピッチ銅を鋳造し、直径8mmの荒引き線を製作した。溶銅に錫、インジウム、又は両方を量を変えて添加することにより12通りの心線用荒引き線を鋳造した。これらの荒引き線の錫およびインジウムの含有量をICP分析により定量した結果、表1の通りであった。No.1からNo.5までは、本発明による荒引き線、No.6からNo.12までは、比較のための本発明以外の組成である。
【表1】
荒引き線の酸素含有量を測定した結果、200ないし400ppmの範囲内であった。直径8mmの荒引き線を直径0.9mmまで冷間伸線し、一旦、完全に焼鈍した後、さらに、0.04mmまで冷間伸線し、心線となる極細硬銅線を得た。この極細硬銅線に溶融めっき装置で錫めっきを実施した。
【0010】
図1は、溶融めっき装置を示し、上記した極細硬銅線1を供給する供給ボビン2と、フラックス3を受容したフラックス槽4と、錫の溶融めっき5を受容する溶融めっき槽6と、フラックスによって表面活性処理がなされた極細硬銅線1を溶融めっき5に浸漬するガイド7と、めっき処理された極細硬銅線1を巻き取る巻取りボビン8Aを有する巻取装置8と、極細硬銅線1をガイドするガイドプーリー9を有する。
【0011】
また、溶融めっきを行う前に、表1に示したNo.1からNo.12までの銅材の直径8mmの荒引き線を直径0.9mmまで冷間伸線した段階で、線材の軟化特性を評価した。その結果、No.1からNo.5の本発明の線材については、通常のタフピッチ銅であるNo.6,No.7,No.8よりも軟化温度が10℃ないし20℃高かった。また、比較例のNo.9,No.10,No.11においては、合計の元素添加量は、本発明品のNo.5よりも多いが、軟化温度はこれと同じであった。また、錫を極端に多く添加したNo.12は、軟化温度が通常材(No.6,No.7,No.8)に比較して150℃向上した。
【0012】
錫めっき銅線の形成後、めっき後の引張強さを測定してめっき前の極細硬銅線の引張強さとの比較を行い、めっき時の熱による軟化の度合いを引張強さ残存率(めっき後の引張強さ/めっき前の引張強さ)で評価した。その結果を表2に示す。
【表2】
表2に示すように、本発明による錫めっき銅線No.1〜No.5は、溶融めっき時の熱による導体の軟化はほとんど認められない。一方、通常のタフピッチ銅を用いた比較例のNo.6,No.7,No.8の極細硬銅線に関しては、めっき時の熱による導体の軟化が認められた。また、比較例の極細硬銅線であるNo.9〜No.11は、引張強さの残存率は問題ないが、前述したように元素添加による軟化温度の向上が飽和することや、添加元素の酸化物が過剰に形成され、極細伸線性に不具合を生じる可能性があるので好ましくない。また、錫を多量に添加したNo.12では導電率が大きく低下する。
【0013】
上記した錫めっき銅線によると、100ppmを超え500ppm以下の酸素を含むタフピッチ銅からなり、錫およびインジウムのうち、1種以上の金属を重量で5ppm以上、200ppm以下で含有することによって、溶融めっき浸漬時の熱により軟化しないことから機械的特性の劣化がない。また、めっき時の熱影響ばかりではなく、ケーブルの製造工程における絶縁体被覆工程における熱影響に対しても軟化を防止することができる。また、錫もしくはインジウムの含有量は微量であるので通常のタフピッチ銅と同等の優れた導電率を有する。
【0014】
本実施の形態では、錫の溶融めっきを極細硬銅線に施す製造工程について記載したが、極細硬銅線に溶融したはんだめっきや亜鉛めっきなどを施すめっき線の製造に適用することもできる。
【0015】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の錫めっき銅線によると、錫およびインジウムを合計で5重量ppm以上200重量ppm以下含有し、引張り強さが500MPaより大なる硬銅線によって構成されるようにしたため、製造工程を煩雑化させることなく、溶融めっきで錫めっきしても導体が軟化しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る溶融めっき装置を示す説明図
【符号の説明】
1 極細硬銅線
2 供給ボビン
3 フラックス
4 フラックス槽
5 溶融めっき
6 溶融めっき槽
7 ガイド
8 巻取装置
8A 巻取りボビン
9 ガイドプーリー
Claims (1)
- 100ppmを超え500ppm以下の酸素を含むタフピッチ銅からなり、0.08mm以下の直径を有し、かつ、錫の溶融めっきに浸漬することによって形成される錫めっき層で被覆される構成からなる錫めっき銅線であって、
引張り強さが500MPaより大なる硬銅線によって構成され、錫およびインジウムを合計で5重量ppm以上200重量ppm以下含有することを特徴とする錫めっき銅線。
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