JP6424925B2 - めっき銅線、めっき撚線及び絶縁電線並びにめっき銅線の製造方法 - Google Patents

めっき銅線、めっき撚線及び絶縁電線並びにめっき銅線の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、めっき銅線、めっき撚線及び絶縁電線並びにめっき銅線の製造方法に関する。
産業界の電子機器、設備、車両等の機器は、動力や電気信号などあらゆる部分に電気が用いられており、それらを伝達するために多くの電線が使用されている。電線には導体が用いられており、その素材は銅、銀などの導電率の高い金属が用いられ、特に性能面、コスト面などを踏まえて銅線が多用される。
導体の銅線は用途に応じて硬さが異なり、大別すると硬質材と軟質材に分けられる。また、端末接続部の耐食性やはんだ付け作業が要求される電線では、一般に錫めっき軟銅線(JIS C3152)が用いられている。この錫めっき軟銅線の製造プロセスは、伸線加工した材料を通電走行焼鈍、あるいはバッチ焼鈍を施して所定の伸び特性を満足するように調質し、その材料に溶融錫めっきするのが通常である。
一方、めっき金属浴中で銅線を焼鈍する方法としては、例えば特許文献1には、伸線加工材を複数本用意し、これらを撚り合わせることにより撚線を作製する撚線工程と該撚線を溶融はんだめっき槽に1〜10秒の浸漬時間で浸漬することで前記伸線材の表面にめっき層を形成する溶融はんだめっき工程とを備え、溶融はんだめっき工程の熱量によって前記伸線材をビッカース硬さが60HV以下の軟質銅線に変質させることを特徴とする溶融はんだめっき撚線の製造方法が記載されている。また、特許文献2にも同様の方法が開示されている。
特許5831034号公報 特開2012−104376号公報
一般に、めっき軟銅線の製造プロセスは、伸線加工した材料を通電走行焼鈍、あるいはバッチ焼鈍を施して所定の伸び特性を満足するように調質してからめっきを施すため、導体を焼鈍するためにエネルギーを消費し、コストが増加してしまう。
上記特許文献1〜2に記載の方法は、溶融はんだめっき工程の熱量によって導体を焼鈍するため、最終線径加工を終えた後に焼鈍工程を省略することができる意味において有効な技術である。
しかしながら、更なる製造コスト削減のためには、めっき浸漬時間の更なる短縮が求められ、更なる生産性の向上が課題である。さらに、撚線を一括してめっきするため撚線素線同士が一体化し、素線間のすべりが生じない。これは、単線のめっき銅線を撚り合せた電線と比べて、電線を取り扱う際の可とう性、つまりは曲げやすさやしなやかさを著しく低下させてしまう。配電盤用電線等として使用する場合、可とう性の向上が特に求められている。
そこで、本発明の目的は、生産性及び可とう性に優れるめっき銅線、めっき撚線及び絶縁電線並びにめっき銅線の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、下記のめっき銅線、めっき撚線及び絶縁電線並びにめっき銅線の製造方法を提供する。
[1]4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅線と、前記銅線の外周上のめっき層と、を備え、伸びが10%以上であり、0.2%耐力が140MPa以上190MPa以下であるめっき銅線。
[2]前記めっき層は、厚さが0.1μm以上1.0μm以下である前記[1]に記載のめっき銅線。
[3]4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅線と、前記銅線の外周上のめっき層と、を備え、伸びが10%以上であり、0.2%耐力が140MPa以上190MPa以下であるめっき銅線が複数本撚り合わされているめっき撚線。
[4]複数本のめっき銅線が撚り合されているめっき撚線と、前記めっき撚線の外周に被覆された被覆層と、を備え、前記めっき銅線は、4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅線と、前記銅線の外周上のめっき層と、を備え、伸びが10%以上であり、0.2%耐力が140MPa以上190MPa以下である、絶縁電線。
[5]前記[1]又は前記[2]に記載のめっき銅線の製造方法であって、4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅系材料を伸線加工して硬質銅線を得る工程と、温度270℃以上350℃以下のめっき浴中に前記硬質銅線を0.1秒以上0.6秒以下浸漬して、その表面に前記めっき層を形成する工程とを有する、めっき銅線の製造方法。
[6]前記[1]又は前記[2]に記載のめっき銅線の製造方法であって、4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅系材料を95%以上の伸線加工度で伸線加工して硬質銅線を得る工程と、温度270℃以上350℃以下のめっき浴中に前記硬質銅線を0.1秒以上0.6秒以下浸漬して、その表面にめっき層を形成する工程とを有する、めっき銅線の製造方法。
[7]伸線加工した前記硬質銅線は、半軟化温度が150℃以下である前記[5]又は前記[6]に記載のめっき銅線の製造方法。
本発明によれば、生産性及び可とう性に優れるめっき銅線、めっき撚線及び絶縁電線並びにめっき銅線の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係るめっき銅線の一例を示す横断面図である。 本発明の実施の形態に係る絶縁電線の一例を示す横断面図である。 本発明の実施形態に係る絶縁電線の製造工程フローである。 たわみ量の試験方法の説明図である。
〔めっき銅線〕
図1は、本発明の実施の形態に係るめっき銅線の一例を示す横断面図である。
本発明の実施の形態に係るめっき銅線3は、4mass ppm以上55mass ppm以下のチタンと、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素と、不可避的不純物とを含む銅線1と、銅線1の外周上のめっき層2とを備える。
めっき銅線3は、伸びが10%以上であり、好ましくは15%以上である。伸びを10%以上としたのは、主として可とう性の向上のためである。伸びはJIS C3152に記載されている値を満足することが必要であり、より高い方が高信頼性の面で望ましい。
また、めっき銅線3は、0.2%耐力が140MPa以上190MPa以下であり、好ましくは145MPa以上180MPa以下である。0.2%耐力を140MPa以上190MPa以下としたのは、140MPa未満ではめっき浴中の張力で線径が減少してしまい所定の寸法が得られないことや、めっき銅線3を用いた絶縁電線を配索するときなどに加わる張力によってめっき銅線3が断線することがあるためであり、190MPaを超えると撚線やそれを用いた絶縁電線の曲げやすさである可とう性が低下してしまうからである。
銅線1の組成を上記組成としたのは、後述するめっき浴温度及び浸漬時間でめっきを可能にし、かつ上記伸び特性を満足させるためである。銅線1の組成において、酸素含量に対するチタン含量の比率「Ti含量/O含量」が、2.0以上4.0以下であることが好ましい。銅線1は、例えば、前述の特許文献1や特許文献2に記載の方法により製造することができる。
めっき層2としては、例えば、錫めっき、ニッケルめっき、銀めっきを適用でき、特に錫めっきが好ましい。めっき層2は、厚さが0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
〔めっき撚線〕
図2は、本発明の実施の形態に係る絶縁電線の一例を示す横断面図である。
本発明の実施の形態に係るめっき撚線4は、本発明の実施の形態に係る上記めっき銅線3を複数本撚り合わせてなるものであり、絶縁電線10の芯線として用いられる。なお、めっき撚線4では、撚り合わせた後において、めっき銅線3の0.2%耐力が140MPa以上200MPa以下であり、伸びが10%以上である。図2に示す実施形態においては、めっき銅線3を7本撚り合わせているが、本数はこれに限られない。また、めっき撚線4は、複数本のめっき銅線3を撚り合わせた後にダイスなどを用いて円形圧縮させたものであってもよい。
〔絶縁電線〕
本発明の実施の形態に係る絶縁電線10は、本発明の実施の形態に係る上記めっき撚線4と、めっき撚線4の外周に被覆された絶縁層5とを備える。絶縁電線10では、絶縁層5が被覆された後において、めっき銅線3が140MPa以上200MPa以下の0.2%耐力と10%以上の伸びとを有する。好ましくは、めっき銅線3は、絶縁層5が被覆された後において、160MPa以上200MPa以下の0.2%耐力と19%以上25%以下の伸びとを有する。なお、絶縁電線10では、めっき撚線4と絶縁層5との間に、ナイロンやポリエチレンテレフタレートからなるテープ等で構成される介在物を備えていてもよい。
絶縁層5は、例えば、押出被覆により設けることができ、その材料としては種々の絶縁体を適用でき、例えば、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン等のハロゲン元素含有ゴムを使用できる。絶縁体材料には、必要に応じて、充填剤、難燃剤、滑剤などの各種添加剤を添加することができる。
〔めっき銅線の製造方法〕
本発明の実施の形態に係るめっき銅線3の製造方法は、4mass ppm以上55mass ppm以下のチタンと、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素と、不可避的不純物とを含む銅系材料を伸線加工して硬質銅線を得る工程と、温度270℃以上350℃以下のめっき浴中に前記硬質銅線を0.1秒以上0.6秒以下浸漬して、その表面に前記めっき層を形成する工程とを有する。なお、めっき層を形成する工程では、複数本の硬質銅線を一度に1つのめっき浴中へ浸漬させ、その後、めっき浴から取り出されためっき層を有する複数本の硬質銅線を1つに束ねた状態でボビン等に巻き取られることが好ましい。
めっき浴の温度は、270℃以上350℃以下であることが好ましい。めっき浴の温度を270℃以上としたのは、270℃未満では0.1秒以上0.6秒以下の浸漬で銅線を焼鈍することができないため10%以上の伸びが得られないためである。一方、350℃以下が好ましいのは、350℃を超えると、0.1秒以上0.6秒以下の浸漬でめっき表面の酸化が進んで変色してしまう恐れがあるためである。
また、めっき浴中に銅線を浸漬する時間を0.1秒以上0.6秒以下としたのは、0.1秒未満では銅線表面とめっき浴の拡散反応が進まずめっきが被覆されず、0.6秒を超えると生産性が低下してしまうためである。めっき浴中に銅線を浸漬する時間は、0.1秒以上0.5秒以下であることが好ましく、0.1秒以上0.4秒以下であることがより好ましい。
本発明の実施の形態に係る上記めっき銅線3を得るには、上記伸線加工において、95%以上の伸線加工度で伸線加工することが好ましい。伸線加工度は、97%以上であることがより好ましく、98%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが最も好ましい。ここで、伸線加工度は、{1−(伸線加工後の線材断面積/伸線加工前の線材断面積)}×100であらわすものとする。めっき前の伸線加工度が95%未満であると、伸線加工によって蓄積されるひずみエネルギーが小さく、上記めっき浴温度と浸漬時間では焼鈍することができない恐れがあるためである。
伸線加工した硬質銅線は、半軟化温度が150℃以下であることが好ましい。半軟化温度が150℃を超えると、上記めっき浴温度と浸漬時間では焼鈍することができない恐れがあるためである。半軟化温度は、145℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましく、135℃以下であることが最も好ましい。下限値は、120℃以上であることが好ましく、125℃以上であることがより好ましい。ここで、半軟化温度は、鋳造圧延材を冷間伸線加工した2.6mmの外径を有する硬質銅線をソルトバス中に浸漬させて、500℃以下で各温度1時間の保持後、水中急冷し、引張試験を実施し、加熱前の室温で引張試験したときの引張強さと500℃で1時間のソルトバスで熱処理後に引張試験したときの引張強さを足して2で割った値を示す強度に対応する温度を半軟化温度と定義し求めた。
〔絶縁電線の製造方法〕
図3は、本発明の実施の形態に係る絶縁電線の製造工程フローである。
本発明の実施の形態に係る絶縁電線10の製造方法は、本発明の実施の形態に係る上記製造方法で得られためっき銅線3を複数本撚り合わせてめっき撚線4を製造する。その後、めっき撚線4の外周に絶縁層5を押出被覆して絶縁電線10を製造する。なお、めっき撚り線4の外周に絶縁層5を押出被覆する際に、めっき撚線4の外周にテープ等で構成される介在物を施し、この介在物の外周に絶縁層5を押出被覆して絶縁電線10を製造することでもよい。また、めっき撚線4を製造する際には、複数本のめっき銅線3が束になった状態で巻き取られているボビンを1つ以上準備し、このボビンに巻き取られている複数本のめっき銅線3を撚り合わせることでもよい。
本発明の実施の形態に係る製造方法(図3)によれば、めっき浴中に銅線を浸漬する時間を短時間(0.1秒以上0.6秒以下)にして、硬質銅線をめっきすることでめっき層の形成はもちろんのこと、同時に硬質銅線の焼鈍がめっき工程で可能であり、所望の伸び特性を発現させることができる。これにより、焼鈍工程を省略することができるため、焼鈍するために必要なエネルギーの削減と工程数の削減が可能になり、コストを削減することができる。このため、生産性に優れるめっき銅線が得られる。さらに材質やめっき条件を適正化することで0.2%耐力も低減でき、可とう性(やわらかさとしなやかさ)に優れる絶縁電線となるため、取り扱いに優れる絶縁電線を得ることができる。すなわち、可とう性が向上(同一荷重でたわみ量が増加)することにより、より狭い配線領域にも絶縁電線を屈曲させて配線し易くなったため、配電盤用絶縁電線として好適である。また、可とう性が向上(同一荷重でたわみ量が増加)することにより、絶縁電線を構成する導体部分の撚りピッチをロングピッチ化することが可能になった(例えば、TPC(タフピッチ銅)を用いた従来品よりも撚りピッチを約40%長くできるようになった)。このような撚りピッチのロングピッチ化によって、目付量が低減されるため、絶縁電線のコストを低減することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1の構造のめっき銅線及び図2の構造の絶縁電線を下記の通りの方法で製造し、評価を行なった。
まず、めっき工程に供する原料として4mass ppm以上55mass ppm以下のチタンと、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素とを含み、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅材料(Ti濃度:38mass ppm、S濃度:3mass ppm、O濃度:12mass ppm、Ti濃度/O濃度:3.2)を準備した。この銅材料としては、連続鋳造圧延装置(SCR)によりφ8mmの荒引線を製造し、この荒引線を伸線加工して作製したφ0.44mmの硬質銅線を用いた。
上記の単線の硬質銅線を溶融した錫浴に浸漬し、錫めっき銅線を得た。この錫めっき銅線を7本撚り合わせて撚線とし、その後、押出法によって撚線の外周に絶縁層を形成して絶縁電線を製造した。
めっき条件は錫浴温度と浴中への浸漬時間をパラメータとし、めっき工程前の材料の半軟化温度、錫めっき銅線の伸び特性、0.2%耐力、めっき厚さ、表面変色の有無、生産性、及び絶縁電線のたわみ量、絶縁層が被覆された後の錫めっき銅線の伸び特性、0.2%耐力を測定又は評価した。
半軟化温度は、上記連続鋳造圧延材φ8.0mmを冷間伸線加工して得た2.6mmの外径を有する硬質銅線をソルトバス中に浸漬させて、500℃以下で各温度1時間の保持後、水中急冷し、室温(20℃)に戻し、引張試験(JIS Z2241に準拠)を行い引張強さを測定した。加熱前の室温で引張試験したときの引張強さの値と500℃で1時間のソルトバスで熱処理後に引張試験したときの引張強さの値を足して2で割った値を示す強度に対応する温度を半軟化温度と定義し求めた。
錫めっき銅線の伸び特性は、錫めっき銅線φ0.44mmの引張試験(JIS Z2241に準拠)を行い、伸びを測定した。判定は、伸びが10%以上の場合を○(合格)、10%未満の場合は×(不合格)とした。なお、絶縁層が被覆された後の錫めっき銅線の伸び特性は、上記の方法によって製造した絶縁電線から錫めっき銅線を採取し、採取した錫めっき銅線に対して上記の引張試験を行い、伸びを測定した。
0.2%耐力は、引張試験(JIS Z2241に準拠)を行い測定した。なお、絶縁層が被覆された後の錫めっき銅線の0.2%耐力は、上記の方法によって製造した絶縁電線から錫めっき銅線を採取し、採取した錫めっき銅線に対して上記の引張試験を行い、0.2%耐力を測定した。
めっき厚さは、JIS H 8501電解式試験方法により測定した。
表面変色は、表面の変色の有無で評価した。
生産性は、錫浴中への浸漬時間が0.4秒以下の場合は◎(合格)、0.4秒を超え0.6秒以下の場合は○(合格)、0.6秒を超える場合は×(不合格)と評価した。
たわみ量の評価は、可とう性の評価として行なった。具体的には、絶縁電線を所定の量だけ撓ませたときの荷重が従来の絶縁電線を同じ量だけ撓ませたときの荷重よりも小さくなれば、可とう性が向上したと言える。
<たわみ量の評価方法>
たわみ量の評価は、TPC(タフピッチ銅)の周囲にめっきを有する素線(表1の従来例A(No.27))を撚り合せした撚線を導体に適用した絶縁電線が所定量だけ撓んだときの荷重を基準(100%)とし、表1の実施例AであるNo.1〜13のそれぞれを撚り合せした撚線を導体に適用した絶縁電線が上記基準よりも大きい荷重であれば荷重増加(可とう性低下)、基準よりも小さい荷重であれば荷重低下(可とう性向上)と評価した。
図4は、たわみ量の試験方法の説明図である。
試験台21に絶縁電線10を載置して支点22で絶縁電線10を支持する。支点22から真っ直ぐに延伸する絶縁電線10に、支点22から距離L(200mm)の位置において、図4に示す正方向(左から右の方向)にたわみ量Dが120mmとなるように荷重センサ23で絶縁電線10を押すことによって撓ませる。たわみ量Dが120mmになったときに絶縁電線10にかかる荷重を測定する。
表1は、めっき工程前の伸線工程における伸線加工度が99.7%の工程で作製しためっき線の諸特性を示したものである。
表1は、4mass ppm以上55mass ppm以下のチタンと、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素とを含み、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅材料(Ti濃度:38mass ppm、S濃度:3mass ppm、O濃度:12mass ppm、Ti濃度/O濃度:3.2)を用いたNo.1〜17、さらに汎用銅材料であるタフピッチ銅(TPC)を用いたNo.18〜27の結果を示したものである。ここで、No.27は、めっき前の材料を通電アニーラで焼鈍し、その材料をめっきしたものである。
No.1〜13は、伸び10%以上を確保でき、0.2%耐力は140MPa以上190MPa以下の範囲内であり、No.27よりも小さく、やわらかい。また、生産性も良好であった。さらに、たわみ量(可とう性)についても、No.1〜13の絶縁電線では、No.27の絶縁電線と比較して85〜90%の荷重となった。つまり、荷重が小さくなっているので、可とう性が向上したといえる。なお、表1及び2において、伸び判定が「×」であるものは、規格外であるため、絶縁電線のたわみ量、及び絶縁層が被覆された後の錫めっき銅線の伸び特性、0.2%耐力の評価、を行なわなかった。なお、No.13の表面変色が発生したのは錫浴温度が高いためである。
一方、No.14〜17は、材料はNo.1〜13と同じであるが、伸び特性が満足しないものであった。No.14の伸びが満足しないのは、錫浴温度が低く焼鈍が不十分、つまり銅材料の再結晶が十分に進行していないためである。No.15〜17の伸びが満足しないのは、浸漬時間が短く焼鈍が不十分、つまり銅材料の再結晶が十分に進行していないためである。
これに対して、No.18〜26は、材料としてタフピッチ銅(TPC)を用いる以外は、No.1〜3,5〜7,9〜11と同様の条件で製造したものの、いずれも伸び特性を満足することはできなかった。これは、タフピッチ銅(TPC)の半軟化温度(162℃)がNo.1〜3,5〜7,9〜11の材料の軟化温度(133℃)と比較して高く、焼鈍が不十分、つまり銅材料の再結晶が十分に進行していないためである。なお、伸び特性が満足しないため、生産性は評価しなかった。
No.27は、伸び特性は満足するものの、めっき前に焼鈍工程を設けるためエネルギーコストが発生するため、生産性は×とした。
表2は、めっき工程前の伸線工程における伸線加工度を86.6%の工程で作製した点を除けば、表1に示しためっき条件と同じ条件で作製しためっき線の諸特性を示したものである。
表2は、4mass ppm以上55mass ppm以下のチタンと、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素とを含み、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅材料(Ti濃度:38mass ppm、S濃度:3mass ppm、O濃度:12mass ppm、Ti濃度/O濃度:3.2)を用いたNo.28〜44、及び汎用銅材料であるタフピッチ銅(TPC)を用いたNo.45〜53の結果を示したものである。
表2に示すNo.28〜44及びNo.45〜53の伸び特性は、いずれも伸び10%以上を満足しない結果となった。これは、伸線加工度が低いと加工により形成されて蓄積するひずみエネルギーが小さく、同一のめっき条件においても銅材料の再結晶の進行が遅くなったためである。
表3は、表1に示すNo.1〜13、およびNo.27のそれぞれの絶縁電線に対して、絶縁層が被覆された後の錫めっき銅線の伸び特性と0.2%耐力とを示したものである。
No.1〜13の絶縁電線では、表3に示す通り、絶縁層が被覆された後の錫めっき銅線が10%以上の伸び特性を有し、かつ0.2%耐力も140MPa以上200MPa以下の範囲内であることが分かる。一方、No.27の絶縁電線では、絶縁層が被覆された後の錫めっき銅線が10%以上の伸び特性を有するものの、0.2%耐力が200MPaよりも大きいことが分かる。これにより、No.1〜13の絶縁電線では、No.27の絶縁電線と比較して可とう性が向上したと考えられる。なお、表3に示すNo.1〜13の絶縁電線におけるめっき銅線の0.2%耐力が、表1に示すめっき銅線の0.2%耐力よりも増大しているのは、撚り線時に加工ひずみが導入されて加工硬化したためである。
Figure 0006424925
Figure 0006424925
Figure 0006424925
1:銅線、2:めっき層、3:めっき銅線、4:めっき撚線
5:絶縁層、10:絶縁電線
21:試験台、22:支点、23:荷重センサ

Claims (7)

  1. 4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅線と、
    前記銅線の外周上のめっき層と、を備え、
    伸びが10%以上であり、0.2%耐力が140MPa以上190MPa以下であるめっき銅線。
  2. 前記めっき層は、厚さが0.1μm以上1.0μm以下である請求項1に記載のめっき銅線。
  3. 4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅線と、前記銅線の外周上のめっき層と、を備え、伸びが10%以上であり、0.2%耐力が140MPa以上190MPa以下であるめっき銅線が複数本撚り合わされているめっき撚線。
  4. 複数本のめっき銅線が撚り合されているめっき撚線と、
    前記めっき撚線の外周に被覆された被覆層と、
    を備え、
    前記めっき銅線は、4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅線と、前記銅線の外周上のめっき層と、を備え、伸びが10%以上であり、0.2%耐力が140MPa以上190MPa以下である、絶縁電線。
  5. 請求項1又は請求項2に記載のめっき銅線の製造方法であって、
    4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅系材料を伸線加工して硬質銅線を得る工程と、
    温度270℃以上350℃以下のめっき浴中に前記硬質銅線を0.1秒以上0.6秒以下浸漬して、その表面に前記めっき層を形成する工程とを有する、めっき銅線の製造方法。
  6. 請求項1又は請求項2に記載のめっき銅線の製造方法であって、
    4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄、および2mass ppmを超えて30mass ppm以下の酸素を含み、残部が銅および不可避的不純物からなる銅系材料を95%以上の伸線加工度で伸線加工して硬質銅線を得る工程と、
    温度270℃以上350℃以下のめっき浴中に前記硬質銅線を0.1秒以上0.6秒以下浸漬して、その表面にめっき層を形成する工程とを有する、めっき銅線の製造方法。
  7. 伸線加工した前記硬質銅線は、半軟化温度が150℃以下である請求項5又は請求項6に記載のめっき銅線の製造方法。
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