JP5136248B2 - 銅合金線およびその製造方法、銅合金撚線およびその製造方法、これらを用いた絶縁電線、同軸ケーブル並びに多芯ケーブル - Google Patents

銅合金線およびその製造方法、銅合金撚線およびその製造方法、これらを用いた絶縁電線、同軸ケーブル並びに多芯ケーブル Download PDF

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本発明は、電気・電子機器に使用される可動部ケーブルに係り、高強度、高導電性および高耐屈曲性を実現した銅合金線およびその製造方法、銅合金撚線およびその製造方法、これらを用いた絶縁電線、同軸ケーブル並びに多芯ケーブルに関するものである。
一般に、携帯電話やビデオカメラなどの電子機器、超音波診断装置などの医療機器、産業用ロボットなどの電子機器可動部に配線されるケーブルは、過酷なテンションや曲げなどの応力を繰り返し受ける。
そのため、これらケーブルに使用される導体には高い強度や優れた耐屈曲性が要求される。また、可動部ケーブルに使用される導体には、純Cuではなく、引張強度および耐屈曲性を高めたCu合金からなるものが適用されている。
通常は、Cuに数massppm以上400massppm以下のOの他、Sn,Cr,Fe,Be,Zr,Ni,Mg,Si,Zn,Bなどを単一もしくは複数、適量含有したものが用いられる。
さらに、近年の電子機器の小型・軽量化、そして高性能化の要請を受け、この様な可動部ケーブルには、細径化と共に、情報伝送量の増大に伴う高導電性も要求されてきている。
そのため、引張強度、耐屈曲性などの機械的特性だけでなく、高導電性などの電気的特性を共に満足するCu合金線(例えば、Cu−Sn−In系希薄合金線(特許文献1、2参照))が発明されている。これら合金線は強度向上機構が固溶および加工強化によるものであり、析出強化型と比較して廉価である。
一方、Cu−Ag系の高強度高導電性合金が発明されてきた(例えば、特願2004−310914参照)。ただし、それらは製法面の複雑さやAgの含有などによって高価格になるため、用途が一部に限定されている。
Cu−Sn−In系希薄合金線は、縦型あるいはSCR(サウスワイヤ連続鋳造圧延ロッドシステム)方式などの連続鋳造、または熱間圧延の後、冷間における伸線加工によって製造される。
銅合金線は、細径化にあたり、加工ひずみの増加に伴い伸線が困難になるため、伸線加工の中間で焼鈍(加熱)を行う。
その際の加工ひずみは、従来7〜10(例えば、特許文献1では8.8、特許文献3では7.0)である。焼鈍は、マッフル加熱炉などによるバッチ焼鈍、あるいは管状炉や通電による連続焼鈍が一般的である。
ここで、加工ひずみの定義は以下の通りである。
加工ひずみ=ln(A0/A)
0:軟質母線もしくは最終中間焼鈍後の断面積
A :最終製品の断面積
特許文献1に記載された加工ひずみ8.8のCu−Sn−In系希薄合金線は、引張強さがおよそ93kg/mm2と良好であるが、荷重を3kg/mm2負荷した状態で、1%の曲げひずみで、かつ、左右屈曲90°で屈曲した際の屈曲寿命(回数は左右1サイクルを2回とカウントし、試験3回の平均値を示した)は約15000回程度であった。
また、特許文献3に記載された加工ひずみ7.0のCu−Sn−In系希薄合金線についても、引張強さがおよそ90kg/mm2と良好であるが、屈曲寿命は約16900回程度であった。
上述の屈曲寿命試験は、図10に示す屈曲寿命試験装置100で行った。具体的には、検査対象の銅合金線101を荷重Wによって吊下し、それを曲げひずみεbで左右に90°屈曲させ、銅合金線が断線するまでの回数を測定する。曲げひずみεbは、図10に示すように曲率半径をR、銅合金線の直径をdとするとεb=d/(2R)で表されるものである。
特許第3010906号公報 特許第3620330号公報 特開2000−96200号公報 特開2001−40439号公報
従来は、耐屈曲性を向上させる方法として引張強さまたは伸びを検討しているのが現状であり、その他の要因、例えば加工ひずみについての検討はなされていなかった(例えば、特許文献4ではCu−Ag合金の引張強さおよび伸びを検討している)。
そこで、本発明者は、耐屈曲性を向上させるその他の要因として上述の加工ひずみに着目し、加工ひずみが銅合金線の機械的特性(引張強さおよび屈曲寿命)に及ぼす影響について調査を行った。その結果、加工ひずみの最適化により、銅合金線の機械的特性を向上できることが分かった。
本発明の目的は、加工ひずみを最適化することにより、低コストで、引張強さ・耐屈曲性が共に高く、かつ導電率の良い銅合金線およびその製造方法、銅合金撚線およびその製造方法、これらを用いた絶縁電線、同軸ケーブル並びに多芯ケーブルを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなり、引張強さが70kg/mm2以上であり、荷重を3kg/mm2負荷した状態で、1%の曲げひずみで、かつ、左右屈曲90°で、屈曲した際の屈曲寿命が17000回以上である銅合金線である。
請求項2の発明は、独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなる鋳造材、または鋳造および鋳造熱間圧延後に得られる線材に対して加熱処理を施し、加工ひずみ4.0以上、7.0未満で伸線加工する銅合金線の製造方法である。
請求項3の発明は、独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなる鋳造材、または鋳造および鋳造熱間圧延後に得られる線材を、加工ひずみ7.0以上で伸線加工した後、加熱時間をt(h)、加熱温度をT(K)として、T(20+log t)=7.5×103以上、10×103以下の範囲で加熱する銅合金線の製造方法である(式中、logは常用対数を示す)。
請求項4の発明は、独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなる鋳造材、または鋳造および鋳造熱間圧延後に得られる線材を、加工ひずみ7.0以上で伸線加工すると共に、その伸線加工の途中で、加熱時間をt(h)、加熱温度をT(K)として、T(20+log t)=8.5×103以上、10.5×103以下の範囲で加熱し、伸線加工後さらに、T(20+log t)=7.5×103以上、10×103以下の範囲で加熱する銅合金線の製造方法である(式中、logは常用対数を示す)。
請求項5の発明は、独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなる鋳造材、または鋳造および鋳造熱間圧延後に得られる線材を加工ひずみ7.0以上で伸線加工して銅合金線とし、その銅合金線を複数より合わせて銅合金撚線とし、その銅合金撚線に対して、加熱時間をt(h)、加熱温度をT(K)として、T(20+log t)=7.5×103以上、10×103以下の範囲で加熱する銅合金撚線の製造方法である(式中、logは常用対数を示す)。
請求項6の発明は、請求項1に記載の銅合金線を、複数本撚合わせた銅合金撚線である。
請求項7の発明は、請求項1に記載の銅合金線または請求項6に記載の銅合金撚線の外周に、被覆層を被覆した絶縁電線である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の絶縁電線の外周に、金属層を設けた同軸ケーブルである。
請求項9の発明は、請求項7に記載の絶縁電線または請求項8に記載の同軸ケーブルが複数本集合されてなる多芯ケーブルである。
本発明によれば、低コストで、引張強さ・耐屈曲性が共に高く、かつ導電率の良い銅合金線を得られる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
本発明者は、(1)引張強さが70kg/mm2以上、(2)導電率が70%IACS(International Annealed Copper Standard;国際軟銅規格)以上、(3)荷重を3kg/mm2負荷した状態で、1%の曲げひずみで、かつ、左右屈曲90°で屈曲した際の屈曲寿命が17000回(1往復を2回とカウント)以上となる銅合金線を提案する。
本発明の一実施の形態を示す銅合金線は、Cuに、合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有した鋳造材、または鋳造および鋳造熱間圧延後に得られる線材を伸線加工したものである。
銅合金線の酸素濃度は400massppm以下であるとよい。また、銅合金線の引張強さは80kg/mm2以上であればより好ましい。
ここで、SnとInの含有量を合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下としたのは、SnとInの含有量の合計が0.3mass%未満では強度向上に有効な固溶限が少なく、強度の向上が期待できないためであり、0.5mass%を超えると導電性が大きく低下してしまうなど、材料として実用性上問題が生じるためである。
図4に、SnとInの含有量の合計を0.3mass%以上、0.5mass%以下とし、加工ひずみを変化させて銅合金線を作製したときの各銅合金線の導電率を示す。
図4に示すように、SnとInの含有量を合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下とすれば、図4に示すいずれの加工ひずみの銅合金線においても上述の(2)の条件、すなわち、導電率70%IACS以上を満たすことが分かる。
以上の構成の銅合金線において、上述した(1)〜(3)の条件全てを満足するためには、その製造方法を最適化する必要がある。以下、これら条件を満たす銅合金線の製造方法について詳述する。
まず、第1の実施の形態に係る銅合金線の製造方法を説明する。
一般に、銅合金線は、縦型あるいはSCR(サウスワイヤ連続鋳造圧延ロッドシステム)方式などの連続鋳造、または熱間圧延の後、冷間における伸線加工によって製造される。伸線加工による細径化にあたり、加工ひずみの増加に伴い伸線が困難になるため、伸線加工の途中で焼鈍(加熱)を行う。以下、伸線加工時において焼鈍を行うタイミングを焼鈍位置と呼称する。
第1の実施の形態に係る銅合金線の製造方法では、連続鋳造または熱間圧延を行った後、銅合金線の加工ひずみが4.0以上、7.0未満となるように、焼鈍位置を調整して伸線加工を行う。銅合金線は、Cuに、合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有させたものである。
焼鈍位置の調整については、焼鈍位置を早めると加工ひずみが増加し、焼鈍位置を遅らせると加工ひずみが減少する。焼鈍位置と加工ひずみの関係の一例を図1に示す。
ここで、加工ひずみ4.0以上、7.0未満で伸線加工を施す理由を説明する。
上述したように、本発明者は、Cu−Sn−In系希薄合金線(銅合金線)について、加工ひずみが銅合金線の機械的特性(引張強さおよび屈曲寿命)に及ぼす影響について調査を行った。
その結果、図2、3に示すように、引張強さは、加工ひずみの増加と共に向上するが、屈曲特性は、加工ひずみ6.0をピークとして、加工ひずみ4.0以上、7.0未満の範囲において従来よりも高まることが明らかとなった。また、この範囲において、引張強さは、加工ひずみが4.0のときでも従来(例えば、加工ひずみ7.0,8.8)に比べて10〜20%程度の低下に抑制できることが分かった(図2参照)。
すなわち、加工ひずみ4.0以上、7.0未満となるように焼鈍位置を調整して伸線加工を施すことで、引張強さは多少低下するものの、屈曲特性を高めることが可能となり、上述の条件(1)、(3)を満たすことができる。
さらに、図4で説明した通り、SnとInの含有量の合計を0.3mass%以上、0.5mass%以下としているため条件(2)を満たす。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る銅合金線の製造方法によれば、上述の条件(1)〜(3)を満たし、低コストで、引張強さ・耐屈曲性が共に高く、かつ導電率の良い銅合金線を得られる。
次に、第2の実施の形態に係る銅合金線の製造方法を説明する。
第1の実施の形態では、伸線加工時に焼鈍を加えて加工ひずみを最適化したが、工程の都合上、伸線加工時に加工ひずみを最適化することができず、加工ひずみが7.0以上となる場合もあり得る。
第2の実施の形態に係る銅合金線の製造方法は、この様な場合に適用するものであり、具体的には伸線加工後に、加熱処理パラメータP=T(C+log t)が7.5×103以上10×103以下、好ましくは8.5×103以上9.5×103以下の範囲となるような低い温度で銅合金線を焼鈍するものである。第2の実施の形態では、伸線加工時に焼鈍を行わない。
ここで、Tは加熱温度(絶対温度:K)を、tは加熱時間(h)を、logは常用対数を示す。Cは定数であり、ここではC=20を採用する。伸線により蓄積した引張残留ひずみが焼鈍で除去できるためである。
従来、伸線加工後の焼鈍は加熱処理パラメータPが13.5×103以上、15.5×103以下となる範囲で行われる。この加熱処理パラメータPの値は、仮に加熱炉により1h加熱処理(焼鈍)する場合には、400〜500℃の温度範囲であることを示す(特に450℃で1h)。
一方、本発明では、加熱処理パラメータPを7.5×103以上、10×103以下としており、仮に加熱炉により1h焼鈍する場合には、100〜225℃の低温範囲であることを示す。すなわち、通常、希薄合金線(銅合金線)には用いないような100〜225℃の低温範囲が適正である。
加熱処理パラメータPを7.5×103以上、10×103以下の範囲とする理由は、7.5×103未満では焼鈍の効果が少なく、10×103を超えると銅合金線の軟化が進み、それに伴って屈曲寿命が低下するためである。この加熱処理パラメータPの範囲では、銅合金線の焼鈍による引張強度低下は数%〜10%程度である。
第2の実施の形態に係る銅合金線の製造方法によれば、伸線加工中に焼鈍を行わなくても第1の実施の形態と同様に、上述の条件(1)〜(3)を満たすことができる。よって、低コストで、引張強さ・耐屈曲性が共に高く、かつ導電率の良い銅合金線を得られる。
次に、第3の実施の形態に係る銅合金線の製造方法を説明する。
第3の実施の形態に係る銅合金線の製造方法では、伸線加工の中間で加熱処理パラメータPが8.5×103以上、10.5×103以下となる範囲で焼鈍し、伸線加工後さらに、T(20+log t)=7.5×103以上、10×103以下の範囲で焼鈍する。
すなわち、第1の実施の形態では400〜500℃の高温で焼鈍したが、第3の実施の形態では伸線加工中および伸線加工後に低温で焼鈍を行う。
伸線加工の中間での焼鈍位置は、連続伸線の観点から、伸線加工途中であって、加工ひずみが4.0以上、7.0未満となる範囲で行うことが望ましい。
中間加熱(中間焼鈍)の実施により、伸線により蓄積した引張残留ひずみが中間段階で除去されることで、伸線加工後の焼鈍における加熱処理パラメータPを、例えば、8.5×103以上、9.5×103以下と小さくしても、引張残留ひずみを除去できる。これにより、銅合金線の引張強さの低下を0〜数%程度に抑えることができる。
第3の実施の形態に係る銅合金線の製造方法によれば、第1の実施の形態と同様に、上述の条件(1)〜(3)を満たすことができる。よって、低コストで、引張強さ・耐屈曲性が共に高く、かつ導電率の良い銅合金線が得られる。
さらに、第3の実施の形態では、伸線加工中および伸線加工後に低温加熱(焼鈍)を行っているため、屈曲特性をより向上させることが可能となる。
本発明で製造された銅合金線の使用方法としては、銅合金線を複数撚合わせて銅合金撚線とすることが考えられる。この銅合金線または銅合金撚線の外周に絶縁層を被覆して絶縁電線にすることもできる。また、この絶縁電線の外周に金属層(シールド)を被覆して同軸ケーブルにすることもできる。さらに、この絶縁電線または同軸ケーブルを複数本集合させて多芯ケーブルにすることもできる。
これら銅合金線、銅合金線撚線、絶縁電線、同軸ケーブルおよび多芯ケーブルによれば、高強度、高導電性、優れた耐屈曲性、そして低価格を実現できる。その結果、過酷な引張や曲げ応力に対して破損が抑制できる。
また、これらも可動部ケーブルとして用いることにより、電子機器、医療機器、そして産業用ロボットなどの可動部の小型・軽量化並びに高性能化に大いに貢献することができる。
さらに、本発明の銅合金線は、上述したような同軸ケーブルなどの芯線だけでなく、編組などによるシールド材に用いてもよいし、シールド材のみに用いてもよい。
上述したそれぞれの実施の形態において、はんだ濡れ性や耐腐食性の面から、銅合金線にSnまたはSn合金、AgまたはNiなどをめっきしてもよい。また、SnとInの含有量を合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下としたが、SnとInの含有量を単独で0.3mass%以上、0.5mass%以下としてもよい。
第2、第3の実施の形態においては、最終焼鈍(伸線加工後の焼鈍)を伸線加工直後に行ったが、伸線加工直後だけでなく、撚線後やシールド巻き後に最終焼鈍を行っても構わない。さらに、絶縁被覆材がフッ素系など高耐熱品の場合には、絶縁被覆後に最終焼鈍を行っても構わない。
試料として、Cuに、0.2mass%のSnと0.2mass%のInを含有した銅合金母線(φ11mm、SCR連続鋳造熱間圧延機による母線)を冷間伸線加工して得た銅合金線(φ80μm)を作製した。
加工ひずみの影響を評価するため、冷間伸線の際に、中間焼鈍位置の異なる銅合金線を10種(試料No.1〜10)作製した。図1に伸線加工のスケジュールを示す。中間焼鈍は、マッフル炉によるバッチ式とし、加熱処理(焼鈍)条件は、450℃で1hとした。
2に作製した試料の加工ひずみと引張強さおよび伸びの関係を示す。図3に作製した試料の加工ひずみと屈曲寿命の関係を示す。屈曲特性は、90°左右屈曲試験機により、曲げひずみ1%、荷重3kg/mm2の条件により測定した。回数は、左右1サイクルを2回とカウントし、サンプル数N=3の平均値を示した。
図2に示すように、引張強さは、加工ひずみの増大と共に向上する。しかし、図3に示すように、屈曲特性は、加工ひずみが6.0を極大として、加工ひずみが4.0以上、7.0未満の範囲において従来技術(加工ひずみ8.8)は当然ながら、従来技術(加工ひずみ7.0)の約16900回よりも高まることが分かる。また、全ての試料において、その導電率は70IACS%以上であった。
つまり、加工ひずみが4.0以上7.0未満となるように伸線加工を施すことにより、優れた屈曲特性、高導電率、および高い引張強さを実現することが可能となる。
次に、図1の試料No.1(加工ひずみ9.8)および試料No.3(加工ひずみ7.0)を用い、伸線加工後に焼鈍を行った。加熱処理パラメータPを変化させたときの、焼鈍後の試料No.1の引張強さおよび屈曲寿命を図5に、試料No.3の引張強さおよび屈曲寿命を図6に示す。
図5に示すように、試料No.1を用いた場合は、伸線加工後(φ0.08mm)に150〜225℃で1h(加熱処理パラメータP=8.5×103〜10×103)の範囲で焼鈍することにより、屈曲特性が向上することが分かる。
また、図6に示すように、試料No.3を用いた場合は、100〜225℃で1h(加熱処理パラメータP=7.5×103〜10×103)の範囲で低温で焼鈍することにより、屈曲特性が向上することが分かる。
このことから、加工ひずみが7.0を超える銅合金線であったとしても、伸線加工後に加熱処理パラメータP=T(C+log t)が7.5×103〜10×103、好ましくは8.5×103〜9.5×103の範囲で焼鈍(低温加熱)することで良好な耐屈曲性能を得ることができる。
さらに、図8,9に、試料No.1について1h,24h,168h焼鈍した結果を示す。図中の1hの結果は、図5,6そのものである。これらの結果から、引張強さおよび屈曲寿命は加熱処理パラメータPで一義的に整理可能と言える。
次に、図1の試料No.6(加工ひずみ4.0)の焼鈍位置で、中間焼鈍を200℃で1h(加熱処理パラメータP=9.5×103)で行い、次いで、伸線加工後に低温で焼鈍して試料を作製した。伸線加工後の焼鈍における加熱処理パラメータPを変化させたときの各試料の引張強さおよび屈曲寿命を図7に示す。
図7に示すように、伸線加工後に150〜225℃で1h(加熱処理パラメータP=8.5×103〜10×103)、特に150〜200℃で1h(加熱処理パラメータP=8.5×103〜9.5×103)の範囲で焼鈍することによって、引張強さの低下がほとんどなく屈曲特性が向上することが分かる。
から、加工ひずみが4.0(試料No.6:450℃で1hの焼鈍をした場合)では、引張強さは約78kg/mm2であり、屈曲寿命が約18000回であることから、良好な引張強さおよび屈曲寿命を得られているが、上述のように、高温で焼鈍を1回行うのではなく、低温で焼鈍を2回実施する、すなわち、φ0.58mmで中間焼鈍を200℃で1h(加熱処理パラメータP=9.5×103)施し、伸線加工後(φ0.08mm)に150〜200℃で1h(8.5×103〜9.5×103)の範囲で焼鈍すると、引張強さが約90kg/mm2であり、屈曲寿命が約20000回である銅合金線が得られ、試料No.6よりもさらに高い引張強さおよび屈曲寿命が得られていることが分かる。
さらに、撚線後の焼鈍の効果を検証した。試料No.1による撚線(7本の同芯撚線、撚ピッチ3mm)をチューブラ撚線機により試作し、屈曲寿命を評価した。
撚線作製後に150〜225℃で1h(8.5×103〜10×103)の範囲で焼鈍することにより、上記と同様に、撚線を構成する銅合金線の引張強さを70kg/mm2以上確保した上で、屈曲寿命を評価したところ、屈曲寿命の向上が確認できた。
以上の実験結果から、本発明によれば、鋳造または鋳造および熱間圧延後に得られる銅合金線を加工ひずみ4.0以上、7.0未満の範囲で伸線することにより、従来に比べて少々の強度低下は認められるものの、屈曲特性が従来に比べて向上することが確認できた。
さらに、鋳造または鋳造および熱間圧延後に得られる銅合金線の加工ひずみが7.0を超える伸線について、伸線加工後にT(20+log t)が7.5×103以上、10×103以下の範囲で焼鈍する、あるいは中間でT(20+log t)が8.5×103以上、10×103以下の範囲で焼鈍し、かつ伸線加工後にT(20+log t)が7.5×103以上、10×103以下、好ましくは8.5×103以上、9.5×103以下の範囲で焼鈍することによりわずかな引張強さ低下のもとで寿命向上が可能となる。
本発明では、連続鋳造熱間圧延可能な、特に、CuにSn,Inを微量含有した合金を提案しており、加えて高コストの加工は実施せず、廉価を維持している。したがって、本発明は最適と考える。
加工ひずみと焼鈍位置の関係を検証するための実験条件を示す図である。 図1の条件により作製した試料の加工ひずみと引張強さおよび伸びの関係を示す図である。 図1の条件により作製した試料の加工ひずみと屈曲寿命の関係を示す図である。 図1の条件により作製した試料の加工ひずみと導電率の関係を示す図である。 図1の試料No.1について伸線加工後に焼鈍したときの焼鈍温度と引張強さおよび屈曲寿命の関係を示す図である。 図1の試料No.3について伸線加工後に焼鈍したときの焼鈍温度と引張強さおよび屈曲寿命の関係を示す図である。 図1の試料No.6の中間焼鈍温度を変更したものについて伸線加工後に低温で焼鈍したときの焼鈍温度と引張強さおよび屈曲寿命の関係を示す図である。 図1の試料No.1について1h,24h,168h焼鈍したときの加熱パラメータと引張強さの関係を示す図である。 図1の試料No.1について1h,24h,168h焼鈍したときの加熱パラメータと屈曲寿命の関係を示す図である。 屈曲寿命の評価に用いた屈曲寿命試験装置の概略図である。
符号の説明
100 屈曲寿命試験装置

Claims (9)

  1. 独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなり、引張強さが70kg/mm2以上であり、荷重を3kg/mm2負荷した状態で、1%の曲げひずみで、かつ、左右屈曲90°で、屈曲した際の屈曲寿命が17000回以上であることを特徴とする銅合金線。
  2. 独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなる鋳造材、または鋳造および鋳造熱間圧延後に得られる線材に対して加熱処理を施し、加工ひずみ4.0以上、7.0未満で伸線加工することを特徴とする銅合金線の製造方法。
  3. 独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなる鋳造材、または鋳造および鋳造熱間圧延後に得られる線材を、加工ひずみ7.0以上で伸線加工した後、加熱時間をt(h)、加熱温度をT(K)として、T(20+log t)=7.5×103以上、10×103以下の範囲で加熱することを特徴とする銅合金線の製造方法(式中、logは常用対数を示す)。
  4. 独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなる鋳造材、または鋳造および鋳造熱間圧延後に得られる線材を、加工ひずみ7.0以上で伸線加工すると共に、その伸線加工の途中で、加熱時間をt(h)、加熱温度をT(K)として、T(20+log t)=8.5×103以上、10.5×103以下の範囲で加熱し、伸線加工後さらに、T(20+log t)=7.5×103以上、10×103以下の範囲で加熱することを特徴とする銅合金線の製造方法(式中、logは常用対数を示す)。
  5. 独もしくは合計で0.3mass%以上、0.5mass%以下の範囲でSnとInを含有し、残部がCuからなる鋳造材、または鋳造および鋳造熱間圧延後に得られる線材を加工ひずみ7.0以上で伸線加工して銅合金線とし、その銅合金線を複数より合わせて銅合金撚線とし、その銅合金撚線に対して、加熱時間をt(h)、加熱温度をT(K)として、T(20+log t)=7.5×103以上、10×103以下の範囲で加熱することを特徴とする銅合金撚線の製造方法(式中、logは常用対数を示す)。
  6. 請求項1に記載の銅合金線を、複数本撚合わせたことを特徴とする銅合金撚線。
  7. 請求項1に記載の銅合金線または請求項6に記載の銅合金撚線の外周に、被覆層を被覆したことを特徴とする絶縁電線。
  8. 請求項7に記載の絶縁電線の外周に、金属層を設けたことを特徴とする同軸ケーブル。
  9. 請求項7に記載の絶縁電線または請求項8に記載の同軸ケーブルが複数本集合されてなることを特徴とする多芯ケーブル。
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