JP2011208169A - 磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 組織のさらなる微細化が可能であると共にコンタミネーションが少ない磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 非磁性酸化物、CrおよびPtを含有し、残部がCoおよび不可避不純物からなるターゲットの製造方法であって、Co、CrおよびPtの各元素を単体として又はこれらのうち2種以上の元素を含む合金として粉末にした原料粉末と非磁性酸化物の原料粉末との各原料粉末が混合された一次混合粉末を焼結させて一次焼結体を得る一次焼結工程と、一次焼結体を粉砕して一次焼結体粉末を得る粉砕工程と、前記各原料粉末が混合された二次混合粉末1と一次焼結体粉末2とを混合および粉砕後、焼結させる二次焼結工程と、を有し、二次混合粉末1の平均粒径が0.05〜30μmであり、一次焼結体粉末2の最大粒径が200μm未満である。
【選択図】 図1
【解決手段】 非磁性酸化物、CrおよびPtを含有し、残部がCoおよび不可避不純物からなるターゲットの製造方法であって、Co、CrおよびPtの各元素を単体として又はこれらのうち2種以上の元素を含む合金として粉末にした原料粉末と非磁性酸化物の原料粉末との各原料粉末が混合された一次混合粉末を焼結させて一次焼結体を得る一次焼結工程と、一次焼結体を粉砕して一次焼結体粉末を得る粉砕工程と、前記各原料粉末が混合された二次混合粉末1と一次焼結体粉末2とを混合および粉砕後、焼結させる二次焼結工程と、を有し、二次混合粉末1の平均粒径が0.05〜30μmであり、一次焼結体粉末2の最大粒径が200μm未満である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ハードディスクの高密度磁気記録媒体等に適用される磁気記録膜、特に高密度の垂直磁気記録媒体に適用される磁気記録膜の形成に適した磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットおよびその製造方法に関する。
ハードディスク装置は、一般にコンピューターやデジタル家電等の外部記録装置として用いられており、記録密度の一層の向上が求められている。そのため、近年、高密度の記録を実現できる垂直磁気記録方式が採用されている。この垂直磁気記録方式は、以前の面内記録方式と異なり、原理的に高密度化するほど記録磁化が安定すると言われている。
この垂直磁気記録方式のハードディスク媒体の記録層に適用する材料の有力な候補として、CoCrPt−SiO2グラニュラ磁気記録膜が提案されており、このCoCrPt−SiO2グラニュラ磁気記録膜はCrおよびPtを含むCo基焼結合金相と二酸化珪素相の混合相を有するスパッタリングターゲットを用いてマグネトロンスパッタ法により作製することが知られている(非特許文献1参照)。
このスパッタリングターゲットは、通常、二酸化珪素粉末、Cr粉末、Pt粉末およびCo粉末を、二酸化珪素:0.5〜15原子%、Cr:4〜20原子%、Pt:5〜25原子%を含有し、残部:Coからなる組成となるように配合し混合したのち、真空ホットプレスまたは熱間静水圧プレスすることにより作製されることが知られており、その他に市販のCrおよびPtを含むCo基合金粉末または急冷凝固して作製したCrおよびPtを含むCo基合金粉末と二酸化珪素粉末を二酸化珪素:0.5〜15原子%、Cr:4〜20原子%、Pt:5〜25原子%を含有し、残部:Coからなる組成となるように配合し混合したのち、真空ホットプレスまたは熱間静水圧プレスすることにより作製されることが知られている(特許文献1、特許文献2などを参照)。
さらに、上記二酸化珪素のほかにTiO、Cr2O3、TiO2、Ta2O5、Al2O3、BeO2、MgO、ThO2、ZrO2、CeO2、Y2O3などの非磁性酸化物が使用できることが知られている(特許文献3、4参照)。
したがって、垂直磁気記録方式のハードディスク媒体の記録層を形成するためのターゲットの成分組成は、酸素(O):1〜30原子%、Cr:2〜20原子%、Pt:5〜25原子%、M金属(ただし、M金属はSi、Ti、Ta、Alの内のいずれか1種):0.5〜15原子%を含有し、残部:Coおよび不可避不純物からなる成分組成を有することが知られている。
したがって、垂直磁気記録方式のハードディスク媒体の記録層を形成するためのターゲットの成分組成は、酸素(O):1〜30原子%、Cr:2〜20原子%、Pt:5〜25原子%、M金属(ただし、M金属はSi、Ti、Ta、Alの内のいずれか1種):0.5〜15原子%を含有し、残部:Coおよび不可避不純物からなる成分組成を有することが知られている。
また、このような垂直磁気記録方式のハードディスク媒体の記録層を形成するためのスパッタリングターゲットとして、酸化物相が形成する粒子の平均粒径を一定の大きさ以下に制御することで金属相内に均質に分散させ、成膜性を向上させる技術も提案されている(特許文献5参照)。
「富士時報」Vol.75No.3 2002(169〜172ページ)
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、垂直磁気記録方式のハードディスク媒体の記録層を形成するためのスパッタリングターゲットとしては、記録層の記録密度を高密度化するために、より細かい組織であることが要求されているが、原料粉末をより微細化するにはボールミル等による粉砕時間が長くなってしまうと共に粉砕媒体であるジルコニアボール等から生じるコンタミネーションが増大してしまう問題があった。このコンタミネーションは、原料粉末の酸化物粒子とジルコニアボール等とが接触して発生するジルコニア等の不純物であって、磁気特性に悪影響を及ぼしてしまうため極力低減する必要がある。
すなわち、垂直磁気記録方式のハードディスク媒体の記録層を形成するためのスパッタリングターゲットとしては、記録層の記録密度を高密度化するために、より細かい組織であることが要求されているが、原料粉末をより微細化するにはボールミル等による粉砕時間が長くなってしまうと共に粉砕媒体であるジルコニアボール等から生じるコンタミネーションが増大してしまう問題があった。このコンタミネーションは、原料粉末の酸化物粒子とジルコニアボール等とが接触して発生するジルコニア等の不純物であって、磁気特性に悪影響を及ぼしてしまうため極力低減する必要がある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、組織のさらなる微細化が可能であると共にコンタミネーションが少ない磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ターゲットの組織を微細化するべく、鋭意研究を行った結果、ボールミル等により原料粉末を混合、粉砕する際に、予め原料粉末を混合、焼結、粉砕して得た一次焼結体粉末を混合することで、ターゲット組織がより微細化されることを見出した。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法は、非磁性酸化物、CrおよびPtを含有し、残部がCoおよび不可避不純物からなる磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法であって、Co、CrおよびPtの各元素を単体として又はこれらのうち2種以上の元素を含む合金として粉末にした原料粉末と非磁性酸化物の原料粉末との各原料粉末が混合された一次混合粉末を焼結させて一次焼結体を得る一次焼結工程と、前記一次焼結体を粉砕して一次焼結体粉末を得る粉砕工程と、前記各原料粉末が混合された二次混合粉末と前記一次焼結体粉末とを混合および粉砕後、焼結させる二次焼結工程と、を有し、前記二次混合粉末の平均粒径が0.05〜30μmであり、前記一次焼結体粉末の最大粒径が200μm未満であることを特徴とする。
この磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法では、二次混合粉末と一次焼結体粉末とを混合および粉砕後、焼結させる二次焼結工程を有しているので、ボールミル等による粉砕時にボールとボールとの隙間に硬い一次焼結体粉末が入って二次混合粉末を粉砕することで、二次混合粉末中の酸化物粒子の凝集を解砕、抑制して、より微細な粉末による焼結体を得ることができる。また、粉砕の効率化によって粉砕時間を短縮可能であると共に、酸化物粒子とジルコニアボール等とが一次焼結体粉末の介在によって接触し難くなってジルコニア等の混入量が減少することで、コンタミネーションを低減することができる。さらに、二次混合粉末の平均粒径が0.05〜30μmであり、一次焼結体粉末の最大粒径が200μm未満であるので、大きな粒の一次焼結体粉末と小さい粒の二次混合粉末とが混ざり合って、ターゲットの高密度化を図ることができる。
なお、二次混合粉末の平均粒径を上記範囲に設定した理由は、平均粒径が0.05μm未満であると、均一に分散させることが困難であり、30μmを超えると、微細に粉砕することが困難だからである。
また、一次焼結体粉末の最大粒径を上記値に設定した理由は、最大粒径が200μm以上であると、一次焼結体粉末が粉砕されず、粗い組織のまま残ってしまう可能性があるからである。
また、一次焼結体粉末の最大粒径を上記値に設定した理由は、最大粒径が200μm以上であると、一次焼結体粉末が粉砕されず、粗い組織のまま残ってしまう可能性があるからである。
また、本発明の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法は、前記非磁性酸化物が、酸化珪素、酸化チタン、酸化タンタルおよび酸化クロムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットは、上記本発明の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法により作製されたことを特徴とする。
すなわち、この磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットでは、上記本発明の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法により作製されているので、微細かつ高密度であると共にコンタミネーションの少ない組織を有し、高品質な膜を均一にスパッタリングができると共にパーティクルの発生も低減することができる。
すなわち、この磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットでは、上記本発明の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法により作製されているので、微細かつ高密度であると共にコンタミネーションの少ない組織を有し、高品質な膜を均一にスパッタリングができると共にパーティクルの発生も低減することができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法によれば、微細かつ高密度であると共にコンタミネーションの少ない組織のターゲットを得ることができる。
したがって、本発明の磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットを用いてスパッタ法により磁気記録媒体膜を成膜することで、高品質な膜を均一に得ることができると共にパーティクルの発生を低減することができ、特に高密度の垂直磁気記録方式の媒体を作製可能である。
すなわち、本発明に係る磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法によれば、微細かつ高密度であると共にコンタミネーションの少ない組織のターゲットを得ることができる。
したがって、本発明の磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットを用いてスパッタ法により磁気記録媒体膜を成膜することで、高品質な膜を均一に得ることができると共にパーティクルの発生を低減することができ、特に高密度の垂直磁気記録方式の媒体を作製可能である。
以下、本発明に係る磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法の一実施形態を、図1を参照して説明する。なお、「部」「%」は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて、それぞれ「質量部」「質量%」を示すものとする。
本実施形態の磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法は、非磁性酸化物、CrおよびPtを含有し、残部がCoおよび不可避不純物からなる磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法であって、Co、CrおよびPtの各元素を単体として又はこれらのうち2種以上の元素を含む合金として粉末にした原料粉末と非磁性酸化物の原料粉末との各原料粉末が混合された一次混合粉末を焼結させて一次焼結体を得る一次焼結工程と、一次焼結体を粉砕して一次焼結体粉末を得る粉砕工程と、図1に示すように、前記各原料粉末が混合された二次混合粉末1と一次焼結体粉末2とを混合および粉砕後、焼結させる二次焼結工程と、を有している。
また、この製造方法では、二次混合粉末1の平均粒径が0.05〜30μmであり、一次焼結体粉末2の最大粒径が200μm未満に設定されている。
上記二次焼結工程の際の二次混合粉末1と一次焼結体粉末2との混合において、二次混合粉末1と一次焼結体粉末2との合計100質量部に対して、一次焼結体粉末2が20〜80質量部であると、漏れ磁束を増大させる観点から好ましく、30〜70質量部であると、より好ましい。一次焼結体粉末2が20質量部より少ないと、ターゲットの漏れ磁束を高くすることができず、一次焼結体粉末2が80質量部より多いと、ターゲットの高密度化が難しくなり、スパッタリング時にパーティクルが発生してしまう上、また漏れ磁束も小さくなってしまう。
本実施形態のターゲットは、非磁性酸化物、Cr、PtおよびCoを含むので、垂直磁気記録媒体に用いられるグラニュラ磁気記録膜の形成用に好ましい。また、ターゲットには、さらにBを含んでいてもよい。ここで、非磁性酸化物は、酸化珪素、酸化チタン、酸化タンタルおよび酸化クロムからなる群より選択される少なくとも1種であると好ましい。
Co、CrおよびPtの合計100質量部に対して、Cr:5〜15質量部、およびPt:25〜55質量部であると好ましいことは、グラニュラ磁気記録膜の形成用として公知である。上記組成範囲を外れていると、形成された膜の保持力やSNR(Signal to Noise Ratio)等の磁気特性が実用的でなくなるおそれがある。ここで、保磁力は磁化反転の目安となり、小さすぎると記録情報を維持することが困難となり、大きすぎると情報の書き換えが困難となるため、4kOe〜6kOeであることが好ましい。SNRは、信号とノイズとの比であり大きいほうが好ましく、10dB〜30dBが一般的である。また、Co、Cr、Ptおよび非磁性酸化物の合計100質量部に対して、非磁性酸化物:2〜15質量部を含むと、好ましい。
上記製造方法について以下に詳細に説明する。
<一次焼結工程>
上記一次焼結工程では、上述の原料粉末を適宜選択し、これらが混合された一次混合粉末を焼結して一次焼結体を得る。以下、CoおよびCrの原料粉末として、CoCr合金粉末を使用する場合の一例を説明する。
<一次焼結工程>
上記一次焼結工程では、上述の原料粉末を適宜選択し、これらが混合された一次混合粉末を焼結して一次焼結体を得る。以下、CoおよびCrの原料粉末として、CoCr合金粉末を使用する場合の一例を説明する。
まず、所望組成のCoCr合金粉末を、Arガス等の不活性雰囲気中でのガスアトマイズ法により、作製する。なお、ターゲットがBを含有する場合には、CoCr合金粉末に代えて、あるいはCoCr合金粉末とともにCoCrB合金粉末を用いることができる。ここで、CoCr合金粉末の粒径は、分級により45μm以下とするとよい。
作製したCoCr合金粉末とPt粉末と非磁性酸化物とを、不活性雰囲気中でのボールミルで混合する。このとき、各種原料粉末の平均粒径は、0.05〜30μmが好ましい。ここで、原料粉末の平均粒径は、レーザー回折法により測定する。
例えば、CoCr合金粉末の平均粒径は15μm、Pt粉末の平均粒径は1〜5μm、非磁性酸化物の平均粒径は1〜10μmとする。なお、Coの原料粉末として単体のCo粉末を使用しても構わない。この場合、例えばCo粉末の平均粒径は、1μmとする。
例えば、CoCr合金粉末の平均粒径は15μm、Pt粉末の平均粒径は1〜5μm、非磁性酸化物の平均粒径は1〜10μmとする。なお、Coの原料粉末として単体のCo粉末を使用しても構わない。この場合、例えばCo粉末の平均粒径は、1μmとする。
次に、得られた一次混合粉末を一次焼結するが、この一次焼結工程で用いられる方法としては、例えば、焼結体の酸化防止と高密度化との観点から、真空ホットプレスが好ましい。真空ホットプレスの温度条件としては、750℃〜1200℃が好ましい。ここで、真空ホットプレスの温度が750℃未満であると、ターゲットの密度が小さくなり、スパッタリングによる成膜時にパーティクルが発生する可能性が大きくなって好ましくない。一方、真空ホットプレスの温度が1200℃より高いと、モールドとして用いる黒鉛との反応が著しくなるため好ましくない。
真空ホットプレスの他の条件としては、圧力が10〜50MPa、保持時間が1〜20時間であることが好ましく、圧力が30〜50MPa、保持時間が3〜10時間であることがより好ましい。
<粉砕工程>
次に、一次焼結体の粉砕を行う。粉砕は、一次焼結体の全表面を切削して、モールドとの接触部を除去した後、ジョークラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル、振動ミル等で粉砕し、粉砕粉を回収する。または、旋盤、フライス、シェーパー等にて切削をした後、切削粉を回収することにより行うことができる。このとき、一次焼結体粉末2の最大粒径が200μm未満となるように粉砕する。一次焼結体粉末2は、例えば、目開き180μm以下の篩で採取することができる。ここで、一次焼結体粉末2の最大粒径は、レーザー回折法により測定する。
次に、一次焼結体の粉砕を行う。粉砕は、一次焼結体の全表面を切削して、モールドとの接触部を除去した後、ジョークラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル、振動ミル等で粉砕し、粉砕粉を回収する。または、旋盤、フライス、シェーパー等にて切削をした後、切削粉を回収することにより行うことができる。このとき、一次焼結体粉末2の最大粒径が200μm未満となるように粉砕する。一次焼結体粉末2は、例えば、目開き180μm以下の篩で採取することができる。ここで、一次焼結体粉末2の最大粒径は、レーザー回折法により測定する。
<焼結工程>
一次混合粉末と同じ種類の原料粉末が混合された二次混合粉末1と一次焼結体粉末2とを、不活性雰囲気中でのボールミル等で所定量混合、粉砕した後、焼結する。この焼結は、上記の一次焼結と同様に行う。上記混合および粉砕は、例えば、φ5mmのジルコニアボールを用いたボールミルで行う。
一次混合粉末と同じ種類の原料粉末が混合された二次混合粉末1と一次焼結体粉末2とを、不活性雰囲気中でのボールミル等で所定量混合、粉砕した後、焼結する。この焼結は、上記の一次焼結と同様に行う。上記混合および粉砕は、例えば、φ5mmのジルコニアボールを用いたボールミルで行う。
なお、二次混合粉末1と一次焼結体粉末2とは、互いに同じ種類の原料粉末を使用した混合粉末であるが、互いに成分組成の割合(原料粉末の混合割合)は同じであっても異なっていても構わず、作製されるターゲット全体として所定の成分組成となっていれば良い。なお、二次混合粉末1と一次焼結体粉末2との成分組成の割合を互いに異なるように設定した場合、一次焼結体と異なる組成のターゲットを作製することができる。
以上により、本実施形態の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットを製造することができる。
以上により、本実施形態の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットを製造することができる。
このように本実施形態の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法では、図1において、二次混合粉末1と一次焼結体粉末2とを混合および粉砕後、焼結させる二次焼結工程を有しているので、ボールミル等による粉砕時にボール3とボール3との隙間に硬い一次焼結体粉末が入って二次混合粉末1を粉砕することで、二次混合粉末1中の酸化物粒子の凝集を解砕、抑制して、より微細な粉末による焼結体を得ることができる。
また、粉砕の効率化によって粉砕時間を短縮可能であると共に、酸化物粒子とジルコニアボール3とが一次焼結体粉末2の介在によって接触し難くなってジルコニア等の混入量が減少することで、コンタミネーションを低減することができる。さらに、二次混合粉末1の平均粒径が0.05〜30μmであり、一次焼結体粉末2の最大粒径が200μm未満であるので、大きな粒の一次焼結体粉末2と小さい粒の二次混合粉末1とが混ざり合って、ターゲットの高密度化を図ることができる。
次に、本発明に係る磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットを、上記実施形態に基づき作製した実施例により、実際に評価した結果を説明する。
〔一次焼結体粉末の作製〕
Co:980gおよびCr:1020gを原料として、Arガス雰囲気中でのガスアトマイズ法により、Co−Cr合金粉末を作製した。ガスアトマイズ法により得られたCo−Cr合金粉末は、レーザー回折法で測定した平均粒径が38μmであったので、このCo−Cr合金粉末を38μmの目開きを持つ篩により分級し、レーザー回折法により測定される平均粒径が15μmとなるように分級した。さらに市販の平均粒径:15μmのPt粉末、および平均粒径:6μmのSiO2粉末を用意した。
Co:980gおよびCr:1020gを原料として、Arガス雰囲気中でのガスアトマイズ法により、Co−Cr合金粉末を作製した。ガスアトマイズ法により得られたCo−Cr合金粉末は、レーザー回折法で測定した平均粒径が38μmであったので、このCo−Cr合金粉末を38μmの目開きを持つ篩により分級し、レーザー回折法により測定される平均粒径が15μmとなるように分級した。さらに市販の平均粒径:15μmのPt粉末、および平均粒径:6μmのSiO2粉末を用意した。
これら原料粉末を、Co粉末:25質量部、Co−Cr合金粉末:25質量部、Pt:40質量部、SiO2:10質量部の配合組成となるように合計2000gで配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、一次混合粉末を作製した。
得られた一次混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1020℃、圧力:35MPa、3時間保持の条件で真空ホットプレスすることにより一次焼結体を作製した。この一次焼結体を振動ミルにより粉砕し、粉砕粉を回収して、一次焼結体粉末を作製した。この一次焼結体粉末を目開き:180μmの篩を用いて180μm以下に分級し、レーザー回折法で測定した50%粒径が56μmの一次焼結体粉末を得た。
〔実施例1〕
一次焼結体粉末:30質量部と、二次混合粉末としてCo粉末:17.5質量部、Co−Cr合金粉末:17.5質量部、Pt:28質量部、SiO2:7質量部と、を合計2000gで混合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、最終的な混合粉末を作製した。
一次焼結体粉末:30質量部と、二次混合粉末としてCo粉末:17.5質量部、Co−Cr合金粉末:17.5質量部、Pt:28質量部、SiO2:7質量部と、を合計2000gで混合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、最終的な混合粉末を作製した。
このように得られた混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1200℃、圧力:35MPa、3時間保持の条件で真空ホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工して、直径:152.4mm、厚さ:7mmの寸法を有するターゲットを実施例として作製した。
なお、比較例として、二次混合粉末のみを用いて上記と同様にターゲットを作製した。すなわち、一次焼結体粉末を混合しない通常の要素粉のみで粉砕、混合および焼結を上記条件で行った従来のターゲットも作製して同様の評価を行った。
このように作製した本実施例および比較例のターゲットについて、その組織を示す光学顕微鏡写真を、図2および図3に示す。また、本実施例および比較例のターゲットにおける電子線マイクロアナライザ(EPMA)による組成像を、図4および図5に示す。
このターゲット組織の写真およびEPMAの組成像からわかるように、本実施例のターゲットは比較例に比べてより微細な組織となっている。
このターゲット組織の写真およびEPMAの組成像からわかるように、本実施例のターゲットは比較例に比べてより微細な組織となっている。
また、実際にスパッタリングを行った後の本実施例および比較例のターゲットについて、その表面の光学顕微鏡写真を図6および図7に示す。
このスパッタ後表面の写真からわかるように、本実施例のターゲットは比較例に比べて表面が荒れていない。
このスパッタ後表面の写真からわかるように、本実施例のターゲットは比較例に比べて表面が荒れていない。
さらに、本実施例および比較例のターゲットについて、不純物としてジルコニアの混入量を調べた結果、本実施例ではジルコニアが730ppm検出されたのに対し、比較例では1070ppm検出された。このように本実施例では、比較例に対してジルコニアの混入量が少なく、コンタミネーションが低減されている。
また、作製した本実施例のターゲットの相対密度を、ターゲットの理論密度(なお、理論密度は、ターゲットを構成する金属元素および酸化物が、相互に反応しないものと想定して求めたものである。)を8.085g/cm3として測定した結果、相対密度は、101.7%であった。これに対して、比較例のターゲットの相対密度は、100.1%であった。このように本実施例では、比較例に対して相対密度が向上している。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…二次混合粉末、2…一次焼結体粉末、3…ボール
Claims (3)
- 非磁性酸化物、CrおよびPtを含有し、残部がCoおよび不可避不純物からなる磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法であって、
Co、CrおよびPtの各元素を単体として又はこれらのうち2種以上の元素を含む合金として粉末にした原料粉末と非磁性酸化物の原料粉末との各原料粉末が混合された一次混合粉末を焼結させて一次焼結体を得る一次焼結工程と、
前記一次焼結体を粉砕して一次焼結体粉末を得る粉砕工程と、
前記各原料粉末が混合された二次混合粉末と前記一次焼結体粉末とを混合および粉砕後、焼結させる二次焼結工程と、を有し、
前記二次混合粉末の平均粒径が0.05〜30μmであり、
前記一次焼結体粉末の最大粒径が200μm未満であることを特徴とする磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項1に記載の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法において、
前記非磁性酸化物が、酸化珪素、酸化チタン、酸化タンタルおよび酸化クロムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項1または2に記載の磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法により作製されたことを特徴とする磁気記録膜形成用スパッタリングターゲット。
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