JP2011206001A - 歩行型作業機 - Google Patents

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Abstract

【課題】操作ハンドルを使用位置にロックした状態において、ハンドル取付部に対し、操作ハンドルを安定したロック状態で維持すること。
【解決手段】歩行型作業機10の操作ハンドル16は、作業機本体11のハンドル取付部17に対し、第1連結ピン41を中心として使用位置から格納位置へ折り畳み可能であり、第2連結ピン51によって使用位置にロックすることが可能である。第2連結ピンは、操作ハンドルとハンドル取付部の一方に有しており、先端部を先細りテーパ状に形成される。操作ハンドルとハンドル取付部の他方は、先端部を出し入れ可能な第2ピン嵌合用孔を有する。第2ピン嵌合用孔は、先端部のテーパ面を嵌合したときに、操作ハンドルを使用位置にロック可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は歩行型作業機、特に折り畳み可能な操作ハンドルの取付構造の改良技術に関する。
歩行型作業機は、作業者が歩きながら操縦するための操作ハンドルを有し、動力又は人力によって走行することが可能なものである。この歩行型作業機には、操作ハンドルを使用位置から格納位置へ折り畳み可能な形式のものがある。このハンドル折り畳み形式を採用すれば、操作ハンドルを折り畳むことによって、歩行型作業機全体の占有スペースを低減することができる。このため、歩行型作業機を輸送するときや保管するときの、スペースが少なくてすむ。ハンドル折り畳み形式の歩行型芝刈機としては、例えば下記の特許文献1に記載された技術が知られている。
特許文献1で知られている歩行型芝刈機は、作業機本体のハンドル取付部に対し、第1連結ピンを中心として操作ハンドルを使用位置から格納位置へ折り畳み可能であり、第2連結ピンによって操作ハンドルを使用位置にロックすることが可能である。ハンドル取付部及び操作ハンドルは、それぞれ第1・第2連結ピンが嵌合する第1・第2嵌合孔を有する。
当然のことながら、第1連結ピンと第1嵌合孔との間、及び、第2連結ピンと第2嵌合孔との間には、それぞれ隙間を有する。この隙間を有しているので、第1・第2嵌合孔に第1・第2連結ピンを出し入れすることは容易である。しかし、このような隙間は、ハンドル取付部に対する操作ハンドルの相対的な振れ(ふらつき、ガタツキ)を抑制する上で、不利である。このため、操作ハンドルを使用位置にロックした状態において、ハンドル取付部に対し、操作ハンドルを安定したロック状態で維持するためには、改良の余地がある。
実開平1−121320号公報
本発明は、操作ハンドルを使用位置にロックした状態において、ハンドル取付部に対し、操作ハンドルを安定したロック状態で維持することができる技術を、提供することを課題とする。
請求項1に係る発明では、作業機本体の後部に折り畳み可能な操作ハンドルを有している歩行型作業機であって、前記操作ハンドルは、前記作業機本体に有しているハンドル取付部に対し、第1連結ピンを中心として使用位置から格納位置へ折り畳み可能で、且つ第2連結ピンによって前記使用位置にロックすることが可能な構成であり、前記第2連結ピンは、前記操作ハンドルと前記ハンドル取付部の一方に有しており、先端部を先細りテーパ状に形成され、前記操作ハンドルと前記ハンドル取付部の他方は、前記先端部を出し入れ可能な第2ピン嵌合用孔を有し、この第2ピン嵌合用孔は、前記先端部のテーパ面を嵌合したときに、前記操作ハンドルを前記使用位置にロックすることが可能な孔であることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、前記第1及び前記第2連結ピンは、前記操作ハンドルに有し、前記第1連結ピンを嵌合するための第1ピン嵌合用孔と、前記第2ピン嵌合用孔とは、前記ハンドル取付部に有し、前記操作ハンドルは、前記第1連結ピンが貫通する第1貫通孔と、前記第2連結ピンが貫通する第2貫通孔とを有し、この第1及び第2貫通孔は、ドリルによって開けられた丸孔であることを特徴とする請求項1記載の歩行型作業機。
請求項3に係る発明では、前記第1連結ピンは、ボルトによって構成され、このボルトをねじ込むための部材は、前記操作ハンドルと前記ハンドル取付部の他方に溶接された溶接ナットと、この溶接ナットにねじ込まれた前記ボルトに更にねじ込むロックナットとの、2つのナットからなり、これら2つのナットによる前記ボルトの緩み止め構造であることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、操作ハンドルとハンドル取付部の一方に第2連結ピンを有するとともに、操作ハンドルとハンドル取付部の他方に第2ピン嵌合用孔を有している。第2連結ピンの先端部を第2ピン嵌合用孔に嵌合することにより、操作ハンドルを使用位置にロックすることができる。また、第2連結ピンの先端部を第2ピン嵌合用孔から抜き取ることにより、操作ハンドルを使用位置から格納位置へ折り畳み可能である。
第2連結ピンの先端部は、先細りテーパ状に形成されている。このため、先端部のテーパ面を第2ピン嵌合用孔に嵌合したときに、テーパ面と第2ピン嵌合用孔との間には、実質的に隙間が無い。従って、操作ハンドルを使用位置にロックした状態において、ハンドル取付部に対し、操作ハンドルを安定したロック状態で維持することができる。つまり、ハンドル取付部に対する操作ハンドルの相対的な振れ(ふらつき、ガタツキ)の発生を、防止することができる。このため、例えば、エンジンが発生する振動や作業機自体が発生する振動が、作業機本体からハンドル取付部を介して操作ハンドルに伝わったときに、伝わる振動が増幅され難い。このため、歩行型芝刈機を操縦する作業者の負担を軽減することができる。
また、歩行型作業機においては、操作ハンドルの折り畳み操作と起こし操作とを頻繁に繰り返す場合や、作業中に操作ハンドルに頻繁に作用する大きい力によって、第2ピン嵌合用孔を形成する縁や、テーパ面が、摩耗することがあり得る。この場合であっても、第2連結ピンの先端部が先細りテーパ状に形成されているので、テーパ面と第2ピン嵌合用孔との間には、実質的に隙間が無い。このため、ハンドル取付部に対する操作ハンドルのロック状態を、長期間にわたって安定した状態で維持することができる。
請求項2に係る発明では、第1連結ピンが貫通する第1貫通孔と、前記第2連結ピンが貫通する第2貫通孔とは、ドリルによって開けられた丸孔である。このように、ドリルによる孔明け加工方法を採用することによって、他の孔明け加工方法(プレスによる孔明け等)を採用した場合に比べて、孔径の公差の管理が比較的容易である。このため、第1貫通孔と第1連結ピンとの嵌め合い隙間や、第2貫通孔と第2連結ピンとの嵌め合い隙間を、実質的に無くなるようにすることが容易である。従って、操作ハンドルを使用位置にロックした状態において、ハンドル取付部に対し、操作ハンドルを一層安定したロック状態で維持することができる。
請求項3に係る発明では、ボルトからなる第1連結ピンと溶接ナットとロックナットとを組み合わせたものである。このため、溶接ナットに対するボルトの締め付けトルクを管理することは容易である。ハンドル取付部に対し、第1連結ピンを中心として操作ハンドルを使用位置から格納位置へ折り畳み可能とするように、ボルトを溶接ナットに最適な締め付けトルクによって確実に締め付けることができる。締め付けた後には、2つのナットによるボルトの緩み止めを図ることができる。このため、最適な締め付けトルクによる締め付け状態を長期にわたって維持することができる。
本発明に係る歩行型作業機の斜視図である。 図1に示されたハウジング、操作ハンドル及びステーの斜視図である。 図2に示されたステーに対する操作ハンドルの取付状態を示す斜視図である。 図3の4−4線断面図である。 図3の5−5線断面図である。 図3の6−6線断面図である。 図6に示されたステーと操作ハンドルの分解図である。 図6に示された第2ピン嵌合用孔から第2連結ピンが外れている状態を示す説明図である。 図4に示された第1及び第2貫通孔をドリルによって開ける方法の説明図である。 図4に示された第1及び第2貫通孔をプレス加工によって開ける方法の説明図である。
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
本発明に係る歩行型作業機の実施例の一例として、芝刈機について説明する。
図1に示されるように、芝刈機10は、芝草を刈る歩行型自走式作業機であって、下開放のハウジング11(作業機本体11)と、ハウジング11の前部に備えた左右の前輪12,12と、ハウジング11の後部に備えた左右の後輪13,13と、ハウジング11の中央内部に収納された芝刈用の刈刃14と、ハウジング11の上部に備えたエンジン15と、ハウジング11から後方へ延びた操作ハンドル16と、ハウジング11の左上部に備えた高さ調整グリップ18とからなる。
ハウジング11は、例えば樹脂の成型品からなり、機体の役割を兼ねており、上面にエンジン15を重ねてボルト止めすることによって、一体的に組み付けたものである。エンジン15は、下端から下方の芝地(図示せず)へ向かってハウジング11内まで延びた、出力軸15aを有している、いわゆるバーチカルエンジンである。出力軸15aは、芝地(地面)に対して略垂直な駆動軸である。
出力軸15aには、ハウジング11内において刈刃14が取り付けられている。エンジン15で刈刃14を駆動することにより、刈刃14はハウジング11内において、出力軸15aを中心として回転可能である。また、エンジン15で無段変速装置(図示せず)を介して後輪13,13を駆動することにより、芝刈機10を前方へ自走させて、芝刈り作業を進めることができる。
芝刈機10は、エンジン15によって刈刃14を回転させることにより、芝草を刈り取るとともに、ハウジング11内に空気の流れ(旋回流)を発生させ、この旋回流により、刈刃14で刈った芝草を刈り芝収納体Bgに送り込んで収納することができる。
図2に示されるように、操作ハンドル16は、芝刈機10を正面から見たときに、概ね門形状(逆U字状)に形成されており、左右のステー17,17を介してハウジング11の後部で折り畳み可能な構成である。つまり、操作ハンドル16の左右一対の基端部16a,16aは、ハウジング11の後部に有したステー17,17に対し、前後に回動可能に取り付けられている。ステー17,17(ハンドル取付部17,17)は、ハウジング11の後部にボルト止めされている。
詳しく述べると、図2〜図4に示されるように、操作ハンドル16は丸パイプによって構成されている。左の基端部16aは、丸パイプをプレス成形によって断面略三角形の形状に形成されている。より具体的には、左の基端部16aの断面は、平坦な底板21を有した二等辺三角形の形状であり、底板21に対向する頭頂部22を有する。一方、左のステー17は、芝刈機10の幅方向外側の面31(外側面31)を平坦面に形成されている。左の基端部16aは、左のステー17に第1連結ピン41及び第2連結ピン51によって取り付けられる。
第1連結ピン41及び第2連結ピン51は、左の基端部16aの長手方向に1列に配列されている。例えば、第1連結ピン41は左のステー17の先端近くに位置し、第2連結ピン51は、左のステー17の根本近く(ハウジング11寄りの部位)に位置する。
図1に示されるように、操作ハンドル16は、第1連結ピン41を中心として、実線で示す使用位置から、想像線で示す格納位置へ折り畳み可能で、且つ第2連結ピン51によって使用位置にロックすることが可能な構成である。つまり、図1に示されるように、歩行型芝刈機10の使用状態においては、図1に実線で示すように、操作ハンドル16はステー17,17から後上方へ延びた使用位置に位置する。第2連結ピン51を緩めた後に、操作ハンドル16を前に倒すことによって、図1に想像線で示すように、操作ハンドル16は前方へ折り畳まれた概ね水平な格納位置に位置する。
以下、左のステー17に対する左の基端部16aの取付構成を詳しく説明する。なお、右のステー17に対する右の基端部16aの取付構成については、上記左の基端部16aの取付構成と同様なので、説明を省略する。
図4に示されるように、第1連結ピン41及び第2連結ピン51は、操作ハンドル16とステー17(ハンドル取付部17)の一方に有している。第1連結ピン41を嵌合するための第1ピン嵌合用孔32と、第2連結ピン51を嵌合するための第2ピン嵌合用孔33とは、操作ハンドル16とステー17の他方に有している。
例えば、第1及び第2連結ピン41,51は操作ハンドル16の基端部16aに有し、第1及び第2ピン嵌合用孔32,33はステー17に有する。この場合に、基端部16aは、第1連結ピン41が貫通する第1貫通孔24と、第2連結ピン51が貫通する第2貫通孔25とを有している。
図4及び図5に示されるように、第1ピン嵌合用孔32はステー17を貫通した丸孔である。第1ピン嵌合用孔32の径は、第1連結ピン41を軽く出し入れ可能な大きさに設定される。第1貫通孔24は、断面略三角形状に形成されている基端部16aの底板21から頭頂部22にわたって全体を貫通した丸孔である。第1連結ピン41は、六角頭付きボルト等のボルトによって構成される。このボルト41(第1連結ピン41)をねじ込むための部材は、ステー17の裏面に溶接された溶接ナット42と、この溶接ナット42にねじ込まれたボルト41に更にねじ込むロックナット43との、2つのナットからなる。これら2つのナット42,43にボルト41をねじ込む構成は、ナット42,43によるボルト41の緩み止め構造である
第1連結ピン41によって、基端部16aをステー17に取り付ける手順は、次の通りである。先ず、ステー17の外側面31に平ワッシャ44を介して基端部16aの底板21を重ね合わせ、第1貫通孔24を通したボルト41(第1連結ピン41)を溶接ナット42にねじ込む。この場合に、溶接ナット42に対するボルト41のねじ込み量及び締め付けトルクは、ステー17に対し、第1連結ピン41を中心として基端部16aが前後にスイング可能(回転可能)な程度に設定される。次に、溶接ナット42にねじ込まれたボルト41に更にロックナット43をねじ込むことによって、ボルト41の緩み止めを施して作業を完了する。
このように、第1連結ピン41によって、基端部16aをステー17に取り付ける構成は、ボルトからなる第1連結ピン41と溶接ナット42とロックナット43とを組み合わせたものである。このため、溶接ナット42に対するボルト41のねじ込み量及び締め付けトルクを管理することは容易である。ステー17に対し、第1連結ピン41を中心として操作ハンドル16を図1に示される使用位置から格納位置へ折り畳み可能とするように、ボルト41を溶接ナット42に最適な締め付けトルクによって確実に締め付けることができる。締め付けた後には、2つのナット42,43によるボルト41の緩み止めを図ることができる。このため、最適な締め付けトルクによる締め付け状態を長期にわたって維持することができる。
また、基端部16aの底板21及びステー17の外側面31は、共に平坦な面である。このため、溶接ナット42にボルト41をねじ込んだ状態において、底板21と外側面31との間の面圧を、より適切な値に設定し且つ維持することができる。
図6は、基端部16aをステー17に取り付けた状態を示している。図7(a)は、基端部16aをステー17から外した状態で、しかも、第2連結ピン51の先端部53が基端部16aから外方へ突出している状態(ノブ61が図3の実線に示す位置にある状態)を示している。図7(b)は、第2連結ピン51だけを示している。図4、図6及び図7に示されるように、第2貫通孔25は、断面略三角形状に形成されている基端部16aの底板21から頭頂部22(図6参照)にわたって全体を貫通した丸孔である。
第2連結ピン51は、細長い丸棒状のロッド部52と、ロッド部52の先端に一体に形成された先端部53とからなる、一体成形品である。ロッド部52において、先端部53とは反対側の端には、ノブ61がピン62によって取り付けられている。ノブ61の底61aは、断面略三角形に形成されている基端部16aの頭頂部22に被せられる部分であって、三角形の2つの斜辺23,23に概ね沿ったテーパ状の凹面に形成されている。
図7(a),(b)に示されるように、先端部53は、テーパ角θの先細りテーパ状に形成されており、ロッド部52の先端に対する付け根の大径端54の径d1よりも、先端の小径端55の径d2が小さい(d1>d2)。付け根の大径端54の径d1は、ロッド部52の径d3よりも大きい(d1>d3)。ロッド部52の先端に対する付け根の端面56のことを、バネ受け面56という。
第2ピン嵌合用孔33は、ステー17を貫通した丸孔であって、先端部53を出し入れ可能である。第2ピン嵌合用孔33の径d4は、付け根の大径端の径d1よりも小さく、先端の小径端55の径d2よりも大きい(d1>d4>d2)。このような第2ピン嵌合用孔33は、先端部53のテーパ面57を嵌合したときに、図1の実線で示す操作ハンドル16を使用位置にロックすることが可能である。
ところで、第2連結ピン51は、スリーブ70を介して基端部16aの第2貫通孔25に嵌合されている。第2貫通孔25の径はスリーブ70を出し入れ可能な大きさに設定される。このスリーブ70は、有底円筒状の部材であって、底板71にはロッド部52が通る貫通孔72を有するとともに、開口端の外周には平坦な円盤状のフランジ73を有している。スリーブ70の中は、先端部53が出没可能(スライド可能)である。
ロッド部52は、底板71の貫通孔72からノブ61側へ向かって突き出て、ノブ61に取り付けられる。このため、ノブ61の底61aは、スリーブ70の底板71に接している。フランジ73は、基端部16aの底板21に重ね合わされている。このため、基端部16aは、ノブ61の底61aとフランジ73とによって挟み込まれている。
スリーブ70の中において、スリーブ70の底板71と第2連結ピン51のバネ受け面56との間には、付勢部材81が介在している。この付勢部材81は、先端部53をスリーブ70の開口端から外方へ突出させる方向、つまり、先端部53を第2ピン嵌合用孔33に挿入する方向に付勢するものである。さらに、付勢部材81は、ノブ61の底61aをスリーブ70の底板71に接する方向に付勢している。このような付勢部材81は、例えば「圧縮コイルばね」によって構成される。この圧縮コイルばね81は、ロッド部52に巻かれている。
基端部16aに第2連結ピン51を組み付ける手順は、次の通りである。図7(a)に示されるように、先ず、圧縮コイルばね81を通した状態のロッド部52を、スリーブ70の中に挿入する。この結果、ロッド部52の先端がスリーブ70の底板71から露出する。次に、このような半組立状態(セミアッセンブリ状態)のままで、スリーブ70を基端部16aの底板21側から第2貫通孔25に挿入する。この結果、スリーブ70が第2貫通孔25を貫通する。次に、露出しているロッド部52の先端にノブ61の嵌合孔を差し込むとともに、ノブ61の底61aをスリーブ70の底板71に重ねる。さらに、この状態で、ロッド部52にノブ61をピン62によって止めて、組み付け作業を完了する。この結果、ノブ61の底61aは断面略三角形に形成されている基端部16aの頭頂部22(図6参照)に被せられて、三角形の2つの斜辺23,23に接する。そして、ノブ61の底61aは斜辺23,23に接する方向に、圧縮コイルばね81によって付勢される。
次に、第2ピン嵌合用孔33に対する第2連結ピン51の着脱作用について説明する。図6は、丸孔状の第2ピン嵌合用孔33に先端部53のテーパ面57が嵌合した状態を示している。このときに、ノブ61の底61aは斜辺23,23に接しており、図3の実線で示す向き(ロック位置)にある。図1に示される操作ハンドル16は、使用位置にロックされた状態を維持する。
その後、ノブ61を図3の想像線で示すように略90°だけ回す(ロック解除操作する)。すると、図6に示されるノブ61の底61aは、圧縮コイルばね81の付勢力に抗して頭頂部22に乗り上げる。このため、図8に示されるように、第2連結ピン51は第2ピン嵌合用孔33から抜き取られる。この結果、第2連結ピン51は第2ピン嵌合用孔33から外れる。従って、ノブ61を図3の想像線で示す使用位置に手で保持しながら、操作ハンドル16(図1参照)を前に倒すことによって、ステー17に対し、第1連結ピン41を中心として操作ハンドル16を図1に示される使用位置から格納位置へ折り畳むことができる。
その後、操作ハンドル16(図1参照)を格納位置から使用位置へ戻し、ノブ61を図3の実線で示す位置(ロック位置)に戻し操作する。すると、図6に示されるように、圧縮コイルばね81の付勢力によって、第2連結ピン51は第2ピン嵌合用孔33に嵌合する。この結果、図1に示される操作ハンドル16は、使用位置にロックされた状態を維持する。
このように、第2連結ピン51の先端部53を第2ピン嵌合用孔33に嵌合することにより、操作ハンドル16を使用位置にロックすることができる。また、第2連結ピン51の先端部53を第2ピン嵌合用孔33から抜き取ることにより、操作ハンドル16を使用位置から格納位置へ折り畳み可能である。
第2連結ピン51の先端部53は、先細りテーパ状に形成されている。このため、先端部53のテーパ面57を第2ピン嵌合用孔33に嵌合したときに、テーパ面57と第2ピン嵌合用孔33との間には、実質的に隙間が無い。従って、操作ハンドル16を使用位置にロックした状態において、ステー17(ハンドル取付部17)に対し、操作ハンドル16を安定したロック状態で維持することができる。つまり、ステー17に対する操作ハンドル16の相対的な振れ(ふらつき、ガタツキ)の発生を、防止することができる。このため、例えば、エンジン15(図1参照)が発生する振動やハウジング11自体が発生する振動が、ハウジング11からステー17を介して操作ハンドル16に伝わったときに、伝わる振動が増幅され難い。このため、芝刈機10を操縦する作業者の負担を軽減することができる。
また、芝刈機10においては、操作ハンドル16の折り畳み操作と起こし操作とを頻繁に繰り返す場合や、作業中に操作ハンドル16に頻繁に作用する大きい力によって、第2ピン嵌合用孔33を形成する縁や、テーパ面57が、摩耗することがあり得る。この場合であっても、第2連結ピン51の先端部53が先細りテーパ状に形成されているので、テーパ面57と第2ピン嵌合用孔33との間には、実質的に隙間が無い。このため、ステー17に対する操作ハンドル16のロック状態を、長期間にわたって安定した状態で維持することができる。
ところで、本実施例では、図9に示されるように、第1及び第2貫通孔24,25は、ドリル91による孔開け方法によって開けられる。この場合にはボール盤等の工作機械を採用する。基端部16aに第1及び第2貫通孔24,25を開ける孔開け加工の手順は、例えば次の通りである。
先ず、図9(a)に示されるように、断面略三角形の形状に形成されている基端部16aを、治具92にセットする。治具92は、基端部16aの2つの斜辺23,23を支持するための、テーパ状の支持用凹部92aを有している。この支持用凹部92aに2つの斜辺23,23をセットするので、基端部16aの底板21はドリル91側を向いている。
次に、ドリル91によって底板21側から頭頂部22に向かって孔開け加工する。詳しくは、底板21に孔開け加工を施し、引き続いて図9(b)に示されるように、頭頂部22に孔開け加工を施す。この結果、図9(c)に示されるように、基端部16aには第1及び第2貫通孔24,25が形成される。
これに対して、図10に示されるように、第1及び第2貫通孔24,25をプレス加工(打ち抜き加工)によって開けることが考えられる。図10に示される孔開け方法を比較例ということにする。この比較例によって、基端部16aに第1及び第2貫通孔24,25を開ける孔開け加工の手順は、次の通りである。
先ず、図10(a)に示されるように、基端部16aを、ダイ101にセットする。ダイ101は、基端部16aの2つの斜辺23,23を支持するための、テーパ状の支持用凹部101aを有する。この支持用凹部101aに2つの斜辺23,23をセットするので、基端部16aの底板21は上を向いている。
次に、パンチ102で底板21側から頭頂部22に向かって打ち抜くことによる、孔開け加工する。詳しくは、図10(b)に示されるように、底板21から頭頂部22にわたって同時に孔開け加工を施す。この結果、図10(c)に示されるように、基端部16aには第1及び第2貫通孔24,25が形成される。
ところで、プレス加工によって孔開け加工を施した場合には、図10(c)に示されるように、パンチ102の打ち抜き力によって、底板21が頭頂部22側へ多少陥没することが避けられない。そのまま、ステー17に基端部16aを組み付けたのでは、図10(d),(e)に示されるように、ステー17に対する底板21の接触面積が小さい。このため、特に、第1連結ピン41によって、基端部16aをステー17に最適な締め付けトルクによって確実に締め付けるためには、改良の余地がある。しかも、パンチ102の打ち抜きでは、第1及び第2貫通孔24,25の孔径の公差の管理が容易でない。
これに対して、本実施例では、図9に示されるように、第1及び第2貫通孔24,25は、ドリル91によって開けられた丸孔である。このように、ドリルによる孔明け加工方法を採用することによって、他の孔明け加工方法(プレスによる孔明け等)を採用した場合に比べて、孔径の公差の管理が比較的容易である。このため、図4に示されるように、第1貫通孔24と第1連結ピン41との嵌め合い隙間や、第2貫通孔25と第2連結ピン51との嵌め合い隙間を、実質的に無くなるようにすることが容易である。従って、操作ハンドル16を使用位置にロックした状態において、ステー17に対し、操作ハンドル16を一層安定したロック状態で維持することができる。
なお、本発明では、歩行型作業機10は、芝刈機に限定されるものではなく、例えば草刈機や運搬車にも適用できる。
本発明の歩行型作業機は、ロータリ式芝刈機に適用するのに好適である。
10…歩行型作業機(歩行型芝刈機)、11…作業機本体(ハウジング)、16…操作ハンドル、17…ハンドル取付部(ステー)、24…第1貫通孔、25…第2貫通孔、32…第1ピン嵌合用孔、33…第2ピン嵌合用孔、41…第1連結ピン(ボルト)、42…溶接ナット、43…ロックナット、51…第2連結ピン、53…先端部、57…テーパ面、91…ドリル。

Claims (3)

  1. 作業機本体の後部に折り畳み可能な操作ハンドルを有している歩行型作業機であって、
    前記操作ハンドルは、前記作業機本体に有しているハンドル取付部に対し、第1連結ピンを中心として使用位置から格納位置へ折り畳み可能で、且つ第2連結ピンによって前記使用位置にロックすることが可能な構成であり、
    前記第2連結ピンは、前記操作ハンドルと前記ハンドル取付部の一方に有しており、先端部を先細りテーパ状に形成され、
    前記操作ハンドルと前記ハンドル取付部の他方は、前記先端部を出し入れ可能な第2ピン嵌合用孔を有し、
    この第2ピン嵌合用孔は、前記先端部のテーパ面を嵌合したときに、前記操作ハンドルを前記使用位置にロックすることが可能な孔であることを特徴とする歩行型作業機。
  2. 前記第1及び前記第2連結ピンは、前記操作ハンドルに有し、
    前記第1連結ピンを嵌合するための第1ピン嵌合用孔と、前記第2ピン嵌合用孔とは、前記ハンドル取付部に有し、
    前記操作ハンドルは、前記第1連結ピンが貫通する第1貫通孔と、前記第2連結ピンが貫通する第2貫通孔とを有し、
    この第1及び第2貫通孔は、ドリルによって開けられた丸孔であることを特徴とする請求項1記載の歩行型作業機。
  3. 前記第1連結ピンは、ボルトによって構成され、
    このボルトをねじ込むための部材は、前記操作ハンドルと前記ハンドル取付部の他方に溶接された溶接ナットと、この溶接ナットにねじ込まれた前記ボルトに更にねじ込むロックナットとの、2つのナットからなり、これら2つのナットによる前記ボルトの緩み止め構造であることを特徴とする請求項1記載の歩行型作業機。
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