JP2011202035A - 消臭機能層、多層構造体、内装材及び多層構造体の製造方法 - Google Patents

消臭機能層、多層構造体、内装材及び多層構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた汚れ防止機能に加えて高い消臭機能を有する消臭機能層、この層を備える多層構造体及び内装材の提供を目的とするものである。
【解決手段】本発明は、エチレン単位含有量が10モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体、及び消臭性粒子を含有する消臭機能層であって、表面に上記消臭性粒子を核として形成される複数の凸部を有することを特徴とする。当該消臭機能層の平均厚みに対する上記消臭性粒子の平均粒子径としては1以上10以下であるとよい。また、本発明の多層構造体は、基材層と、この基材層の表面側に積層される上記消臭機能層とを有し、本発明の内装材は、この多層構造体を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む消臭機能層、この層を備える多層構造体、内装材及び多層構造体の製造方法に関する。
住宅等の準密閉空間においては、各種の揮発性物質等に由来する臭いを抑えることが快適な生活環境を保つ上で重要である。近年では、空間内の臭いを抑えて快適な生活環境を保つことは、単に生活者の快適性向上の点のみならず、シックハウス症候群に代表される様々な症状を防止する点においても重要とされている。
このような中、住宅等の内装材において消臭機能を発揮することができる技術として、例えば、(1)アクリル樹脂等のバインダー樹脂に消臭剤を含有させた組成物を基材表面に塗工することによって形成される消臭性壁紙が提案されている(例えば、特開2006−348430号公報参照)。また、(2)汚れ防止機能に優れるエチレン−ビニルアルコール共重合体と、光触媒等の消臭性を有する成分とを含有した層を備える壁紙も提案されている(例えば、特開2003−305810号公報、特開平2−139484号公報等参照)。
しかしながら、上記(1)のアクリル樹脂等をバインダー樹脂として用いた壁紙は、エンボス加工をする際にクラックが生じやすくなり、また、汚れ防止機能を有するものではない。また、上記(2)のエチレン−ビニルアルコール共重合体と光触媒等の消臭性を有する成分とを含有した層を備える壁紙も、含有された消臭性成分が十分機能しないためか消臭性能を十分に満足させるものではない。
特開2006−348430号公報 特開2003−305810号公報 特開平2−139484号公報
本発明は、これらの実情に基づいてなされたものであり、優れた汚れ防止機能に加えて高い消臭機能を有する消臭機能層、この層を備える多層構造体及び内装材の提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
エチレン単位含有量が10モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体、及び
消臭性粒子
を含有する消臭機能層であって、
表面に上記消臭性粒子を核として形成される複数の凸部を有することを特徴とする。
当該消臭機能層は、消臭性粒子を含有しており、表面にこの消臭性粒子を核とした複数の凸部が形成されているため、この凸部に起因して表面積が拡大している。従って、当該消臭機能層によれば、特に層の表面近傍に位置する消臭性粒子によって、消臭機能を効率的に発揮させることができる。また、当該消臭機能層は、汚れ防止機能を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体をバインダー樹脂として用いていており、このエチレン−ビニルアルコール共重合体が凸部の核となっている消臭性粒子を覆うように層表面の少なくとも大部分を被覆しているため、優れた汚れ防止機能及び耐クラック性を発揮することができる。
当該消臭機能層の平均厚みに対する上記消臭性粒子の平均粒子径の比としては1以上10以下であるとよい。消臭性粒子の平均粒子径を層自体の平均厚み以上とすることで、当該消臭機能層の表面に確実に消臭性粒子を核とした凸部を形成することができ、高い消臭機能を発揮させることができる。
上記消臭性粒子の平均粒子径としては1μm以上10μm以下であるとよい。このように比較的大きい粒子径を有する消臭性粒子を用いることで、表面積の拡大を容易に行うことができ、消臭機能をより高めることができる。
当該消臭機能層の平均厚みとしては1μm以上3μm以下が好ましい。平均厚みを上記範囲とすることで、層形成性及び取扱性を満足させつつ、消臭機能及び汚れ防止機能を十分に発揮することができる。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体の消臭性粒子に対する質量比としては、1以上3以下がよい。エチレン−ビニルアルコール共重合体と消臭性粒子との質量比を上記範囲とすることで、汚れ防止機能と消臭機能とを高いレベルで両立させることができる。
上記消臭性粒子の含有量としては0.3g/m以上1.2g/m以下がよい。消臭性粒子の単位面積あたりの含有量を上記範囲とすることで、消臭性粒子の表面被覆率が最適な範囲に調整され、汚れ防止機能と消臭機能とをより高いレベルで両立させることができる。
上記消臭性粒子が無機多孔質粒子であるとよい。このように消臭性粒子として大きい表面積を有する無機多孔質粒子を用いることで、この粒子の吸着能によって消臭機能をさらに高めることができる。
上記無機多孔質粒子が光触媒を担持していることが好ましい。無機多孔質粒子が光触媒を担持していると、吸着した臭気成分を分解することができ、臭気成分の再放出を抑制できるため消臭機能をより高めることができる。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量としては20モル%以上60モル%以下、ケン化度としては90%以上とするとよい。上記範囲のエチレン含有量及びケン化度を備えるエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いることで、耐水性及び耐油性並びに汚れ防止性をより高めることができる。
当該消臭機能層の表面に消臭性粒子の少なくとも一部が露出していてもよい。消臭性粒子がエチレン−ビニルアルコール共重合体に被覆されず、少なくとも一部が表面に露出していると、臭気成分に対し消臭性粒子が直接作用することができるため、極めて優れた消臭機能を発揮することができる。
当該消臭機能層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、消臭性粒子及び溶剤を含む樹脂組成物の塗布により形成されているとよい。このように塗布によって形成することにより、消臭性粒子を核とし、かつエチレン−ビニルアルコール共重合体で被膜された複数の凸部を容易かつ確実に形成することができ、得られる消臭機能層が優れた消臭機能及び汚れ防止機能を発揮することができる。
本発明の多層構造体は、基材層と、この基材層の一方の面側に凸部が外面に位置するように積層される上記消臭機能層とを有する。当該多層構造体によれば、外面に上記消臭機能層を有することで、外面の汚れ防止性と消臭性とを高いレベルで備えることができる。
上記基材層がエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むとよい。基材層にエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むことで、基材層の表面処理を行うことなく消臭機能層を強固に接着させることができる。また、このように基材層をエチレン−ビニルアルコール共重合体製とした多層構造体は、塩化ビニル製の壁紙の表面に用いた際に、塩化ビニル可塑剤のブリードアウト抑制能も発揮することができる。
本発明の内装材は、表面に上記多層構造体を備える。当該内装材によれば、表面の消臭機能層によって、高い消臭性と汚れ防止性とをバランスよく発揮することができ、壁紙等として好適に用いることができる。
上記内装材の表面の光沢度としては2%以上20%以下が好ましい。内装材表面がこのような低い光沢度を備えることで高い艶消し性を有し、壁紙等として好適に用いることができることに加え、表面に消臭性粒子を核とした複数の凸部が十分に形成されていることとなるため、優れた消臭機能を発揮することができる。
上記多層構造体は、基材層の一方の面側にエチレン単位含有量が10モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体及び消臭性粒子を含む樹脂組成物を塗布する工程、及びこの塗布された樹脂組成物を乾燥させ、外面に上記消臭性粒子を核とした複数の凸部を形成する凸部形成工程を含む方法によって製造することができる。このような製造方法によれば、上述の組成物の塗布によって消臭性粒子を核とした複数の凸部を表面に容易かつ確実に形成することができ、汚れ防止性及び消臭性にともに優れた多層構造体を得ることができる。
ここで、「平均厚み」とは、JIS−K7130の「試料の質量法による厚さの試験方法B1法」に準拠して測定される値である。「平均粒子径」とは、レーザー回折法により測定される値である。「光沢度」とは、JIS−Z8741に準拠し、角度60度で測定される値である。
以上説明したように、当該消臭機能層によれば、エチレン−ビニルアルコール共重合体をバインダーとして用いた上で、消臭性粒子を核とした複数の凸部が表面に形成されているため、汚れ防止性及び耐クラック性を備えつつ、優れた消臭機能を発揮することができる。従って、この消臭機能層を外面に備える多層構造体は、汚れ防止機能と消臭機能とがともに優れた壁紙等の内装材として好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る消臭機能層を示す模式的断面図である。 図1の消臭機能層を備える多層構造体を示す模式的断面図である。 実施例1の内装材表面の電子顕微鏡写真図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を消臭機能層、多層構造体及び内装材の順に詳述する。
(消臭機能層)
図1の消臭機能層1は、バインダーとしてのエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」ともいう。)2及び消臭性粒子3を含有し、表面にこの消臭性粒子3を核として形成される複数の凸部4を有する。
当該消臭機能層1は、表面に消臭性粒子3を核とした複数の凸部4を有しているため、この凸部4に起因して表面積が拡大している。従って、当該消臭機能層1によれば、特に表面近傍に位置する消臭性粒子3により、消臭機能を効率的に発揮させることができる。また、当該消臭機能層1は、EVOH2をバインダー樹脂として用いているため、優れた汚れ防止機能を発揮することができる。また、当該消臭機能層1は、エンボス加工の際の一般的な加工温度よりも低いTgを有するEVOHをバインダー樹脂として用いているため、壁紙の表面に用いて表面にエンボス加工した際も、クラックの発生を防止することができる。
なお、消臭性粒子3の大部分は表面に完全には露出せず、EVOH2によって薄く被膜されている状態となっている。このような状態であっても、EVOH2を臭気成分が一定量透過するため、優れた消臭機能を発揮することができ、一方でEVOHが層表面の大部分を被覆しているため優れた汚れ防止機能を発揮することができる。但し、消臭機能層1の表面に消臭性粒子3の少なくとも一部が露出してもよい。消臭性粒子3がEVOH2に部分的にでも被覆されず、表面に露出していると、臭気成分に対し消臭性粒子3が直接作用することができるため、極めて優れた消臭機能を発揮することができる。
(EVOH)
EVOH2は、主構造単位として、エチレン単位及びビニルアルコール単位を有する重合体である。なお、このEVOHとしては、エチレン単位及びビニルアルコール単位以外に、他の構造単位を1種又は複数種含んでいてもよい。
このEVOHは、通常、エチレンとビニルエステルとを重合し、得られるエチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られる。
EVOHのエチレン単位含有量(すなわち、EVOH中の単量体単位の総数に対するエチレン単位の数の割合)の下限としては、10モル%とされており、20モル%が好ましく、30モル%がさらに好ましい。一方、EVOHのエチレン単位含有量の上限としては60モル%が好ましく、55モル%がさらに好ましく、50モル%が特に好ましい。EVOHのエチレン単位含有量が上記下限より小さいと、耐水性が低下し、更にはその結果、水性の汚れが浸透しやすくなるため、汚れ防止性等の性能が低下するおそれがある。逆にEVOHのエチレン単位含有量が上記上限を超えると、耐油性が低下し、油性の汚れが浸透しやすくなるため、やはり汚れ防止性が低下するおそれがある。
EVOHのケン化度(すなわち、EVOH中のビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合)の下限としては、90モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、99モル%が特に好ましい。一方、EVOHのケン化度の上限としては99.99モル%が好ましい。EVOHのケン化度が上記下限より小さい場合も、耐油性が低下し、油性の汚れが浸透しやすくなるため、汚れ防止性が低下するおそれがある。逆に、EVOHのケン化度が上記上限を超えると、EVOHの製造コストが増加する反面、層形成性、汚れ防止性等の上昇もそれほど期待できない。
次に、EVOH2の製造方法を説明する。エチレンとビニルエステルとの共重合方法としては、特に限定されず、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合のいずれであってもよい。また、連続式、回分式のいずれであってもよい。
重合に用いられるビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルなどを好適に用いることができる。
上記重合において、共重合成分として、上記成分以外にも共重合し得る単量体、例えば上記エチレン以外のアルケン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸又はその無水物、塩、又はモノ若しくはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどを少量共重合させることもできる。また、共重合成分として、ビニルシラン化合物を0.0002モル%以上0.2モル%以下含有することができる。ここで、ビニルシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシシランなどが挙げられる。この中で、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
重合に用いられる溶媒としては、エチレン、ビニルエステル及びエチレン−ビニルエステル共重合体を溶解し得る有機溶剤であれば特に限定されない。そのような溶媒として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール;ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。その中で、反応後の除去分離が容易である点で、メタノールが特に好ましい。
重合に用いられる触媒としては、例えば2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等のアゾニトリル系開始剤;イソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤などを用いることができる。
重合温度としては、好ましくは20〜90℃であり、より好ましくは40〜70℃である。重合時間としては、好ましくは2〜15時間であり、より好ましくは3〜11時間である。重合率は、仕込みのビニルエステルに対して好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは30〜80%である。重合後の溶液中の樹脂分は、好ましくは5〜85%であり、より好ましくは20〜70%である。
所定時間の重合後又は所定の重合率に達した後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチレンガスを蒸発除去した後、未反応のビニルエステルを除去する。未反応のビニルエステルを除去する方法としては、例えば、ラシヒリングを充填した塔の上部から上記共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気を吹き込み、塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応ビニルエステルの混合蒸気を留出させ、塔底部より未反応のビニルエステルを除去した共重合体溶液を取り出す方法などが採用される。
次に、上記共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、上記共重合体をケン化する。ケン化方法は、連続式、回分式のいずれも可能である。このアルカリ触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートなどが用いられる。
ケン化の条件としては、例えば回分式の場合、共重合体溶液濃度が10〜50%、反応温度が30〜65℃、触媒使用量がビニルエステル構造単位1モル当たり0.02〜1.0モル、ケン化時間が1〜6時間である。
ケン化反応後のEVOHは、アルカリ触媒、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムなどの副生塩類、その他不純物を含有するため、これらを必要に応じて中和、洗浄することにより除去することが好ましい。ここで、ケン化反応後のEVOHを、イオン交換水等の金属イオン、塩化物イオン等をほとんど含まない水で洗浄する際、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を一部残存させてもよい。
(消臭性粒子)
消臭性粒子3としては、消臭機能を有する粒子であれば特に限定されず、有機化合物粒子、無機化合物粒子、又は有機化合物と無機化合物との複合粒子などが挙げられる。消臭性粒子3は、1種又は2種以上を用いることができる。
この消臭性粒子3に用いることができる有機化合物としては、例えば、脂肪族ポリアミン化合物、芳香族ポリアミン化合物、ヒドラジン誘導体などのアミン化合物が挙げられるが、この中でもヒドラジン誘導体を好適に用いることができる。このヒドラジン誘導体としては、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等が挙げられる。消臭性粒子3として、このようなアミン化合物を用いることで、特にアルデヒドに対する高い消臭機能を発揮することができる。
消臭性粒子3に用いることができる無機化合物粒子としては、金属酸化物粒子や、無機多孔質粒子を挙げることができる。
金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銀、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化チタン等の金属酸化物粒子が挙げられる。消臭性粒子3として、金属酸化物粒子を用いることで、硫化水素、メルカプタン類、酢酸、アミン類、アンモニア等の化学物質を分解することができ、特に酢酸に対しての高い消臭機能を発揮することができる。
無機多孔質粒子とは、粒子内に細孔を多数有する無機粒子を言い、天然鉱物又は人工のものを用いることができる。無機多孔質粒子は消臭性粒子の表面積が大きく、消臭成分の高い吸着能を有するため、消臭性粒子3として用いることで優れた消臭機能を発揮することができ、特に、アンモニアや酢酸に対する高い消臭機能を発揮することができる。
天然鉱物の無機多孔質粒子としては、例えば、安山岩質、石英安山岩質、流紋岩質、頁岩質、砂岩質、レキ岩質などを材質とする多孔質の岩石、軽石凝灰岩、泥岩、砂利、砂、シルト、粘土や火山灰、多孔質岩石、スコリア、スコリア凝灰岩、スコリアを含有する物質、焼成パーライト、焼成黒曜石、焼成軽石、バーミュキュライト、ゼオライト、珪藻土、雲母、サンゴ砂、シーシェル、麦飯石(主成分:SiO2 約70%、Al2 3 約14%、Fe2 3 約2〜3%)などを挙げることができる。
また、人工の無機多孔質粒子としては、人工軽石、人工砂利、人工砂、人工骨材、多孔質ガラス、中空ガラス、多孔質ブロック、陶磁器、合成ゼオライト、発泡性シリカ、シリカゲル、木炭、活性炭、炭、コークス、フライアッシュ、高炉スラッグ、発砲コンクリート(ALC)、軽量コンクリート等を必要に応じて造粒・成形したものが挙げられる。
上記無機多孔質粒子は、光触媒を担持していることが好ましい。無機多孔質粒子が光触媒を担持していると、吸着した臭気成分を分解することができ、臭気成分の再放出を抑制できるため消臭機能をより高めることができる。
上記光触媒とは、光を照射することにより臭気成分の分解に対する触媒作用を示す物質であり、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。これらの中でも、高い光触媒機能を有し、化学的に安定であり、かつ、無害である酸化チタンが好ましい。酸化チタンとは、酸化チタンの他、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン等と一般に呼ばれているものを含み、その結晶型(ルチル型、アナターゼ型等)は問わない。これらの酸化チタンは公知の方法で得ることができ、例えば(1)硫酸チタニル、塩化チタン、有機チタン化合物等のチタン化合物を、加水分解する方法、(2)硫酸チタニル、塩化チタン、有機チタン化合物等のチタン化合物にアルカリを添加し、中和する方法、(3)塩化チタン、有機チタン化合物等を気相酸化する方法、(4)上記(1)、(2)の方法で得られた酸化チタンを焼成する方法が挙げられる。特に、(1)及び(2)の方法で得られた酸化チタンが光触媒機能が高いため好ましい。
これらの光触媒には、光触媒機能を向上させるために、表面に白金、金、銀、銅、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の金属、酸化ルテニウム、酸化ニッケル等の金属酸化物が被覆されていてもよい。
消臭性粒子3の平均粒子径の下限としては、1μmが好ましく、2μmがさらに好ましく、3μmが特に好ましい。一方、この平均粒子径の上限としては10μmが好ましく、8μmがさらに好ましく、6μmが特に好ましい。当該消臭機能層1によれば、このように比較的大きい粒子径を有する消臭性粒子3を用いることで、表面積の拡大及び粒子の層表面への露出を容易に行うことができ、消臭機能をより高めることができる。
消臭性粒子3の平均粒子径が上記下限未満の場合は、層の表面に十分な凸部を形成することができず、凸部が形成された場合も、粒子の表面への露出がされにくくなるため、消臭機能が十分に発揮されないおそれがある。逆に、この平均粒子径が上記上限を超えると層表面に凸部は容易に形成されるものの、バインダーであるEVOHへ十分固着されず、取扱性が低下するおそれがある。
消臭性粒子3の平均細孔径の下限としては、2nmが好ましく、5nmがさらに好ましく、10nmが特に好ましい。一方、この平均細孔径の上限としては、80nmが好ましく、40nmがさらに好ましく、20nmがさらに好ましく、15nmが特に好ましい。消臭性粒子3の平均細孔径を上記範囲とすることで、臭気成分の消臭性粒子3への吸着性が向上し、消臭機能をより高めることができる。
消臭性粒子3のBET比表面積の下限としては、50m/gが好ましく、100m/gがより好ましい。一方、このBET比表面積の上限としては、2000m/gが好ましく、1000m/gがさらに好ましく、500m/gが特に好ましい。消臭性粒子3のBET比表面積を上記範囲とすることで、臭気成分の消臭性粒子3への吸着性が向上し、消臭機能をより高めることができる。
なお、消臭性粒子3の平均細孔径及びBET比表面積は、窒素吸着法により窒素による吸着等温線を測定し、BET多点法にてBET比表面積を算出し、BJH法により得られた細孔容積と比表面積の値から平均細孔直径として算出する値である。但し、吸着等温線がI型を示すものについては、MP法により得られた細孔容積と比表面積の値から平均細孔直径を算出する。
消臭性粒子3の単位面積あたりの含有量の下限としては、0.3g/mが好ましく、0.4g/mがさらに好ましく、0.5g/mが特に好ましい。一方、この単位面積あたりの含有量の上限としては、1.2g/mが好ましく、1.0g/mがさらに好ましく、0.8g/mが特に好ましい。消臭性粒子3の単位面積あたりの含有量を上記範囲とすることで、消臭性粒子の表面被覆率を最適な範囲に調整することができ、汚れ防止機能と消臭機能とをより高いレベルで両立させることができる。
消臭性粒子3の単位面積あたりの含有量が上記下限未満の場合は、消臭性粒子の表面被覆率が低く、十分な消臭機能を発揮することができなくなるおそれがある。逆に、消臭性粒子3の単位面積あたりの含有量が上記上限を超えると、消臭性粒子の表面被覆率が高くなるため消臭機能は高まるものの、EVOHが表面に露出する面積が低下するため、汚れ防止機能が低下するおそれがある。
なお、この消臭機能層1には、EVOH2及び消臭性粒子3に加えて、その他の樹脂や着色顔料、耐湿顔料、分散剤等が本発明の効果を阻害しない範囲で含有されていてよい。
(層の形状等)
消臭機能層1の平均厚みの下限としては、1μmが好ましく、1.5μmがさらに好ましい。一方、この平均厚みの上限としては、3μmが好ましく、2.5μmがさらに好ましい。平均厚みを上記範囲とすることで、層形成性及び取扱性を満足させつつ、消臭機能及び汚れ防止機能を十分に発揮することができる。
消臭機能層1の平均厚みに対する消臭性粒子3の平均粒子径の比の下限としては、1が好ましく、1.2がさらに好ましく、1.5が特に好ましい。一方、この比の上限としては、10が好ましく、8がさらに好ましく、6が特に好ましい。平均厚みに対する消臭性粒子3の平均粒子径を上記範囲とする、すなわち、消臭性粒子3の平均粒子径を層1自体の平均厚み以上とすることで、当該消臭機能層1の表面に確実に消臭性粒子3を核とした凸部を形成することができ、また、消臭性粒子3を表面に露出することが可能となり、高い消臭機能を発揮させることができる。
消臭機能層1の平均厚みに対する消臭性粒子3の平均粒子径が上記下限より小さいと、消臭性粒子3を核とする表面への凸部が十分に形成されず、特に、表面に消臭性粒子3を露出することが困難となるため、消臭機能が十分に発揮されないおそれがある。逆に、消臭機能層1の平均厚みに対する消臭性粒子3の平均粒子径が上記上限を超えると、消臭性粒子3の粒子径に対して、バインダーであるEVOHの厚みが小さくなるため、消臭性粒子3の固着性が低下することとなる。
EVOH2の消臭性粒子3に対する質量比の下限としては、1が好ましく、1.4がさらに好ましい。逆に、EVOH2の消臭性粒子3に対する質量比の上限としては、3が好ましく、2.6がさらに好ましい。EVOH2と消臭性粒子3との質量比を上記範囲とすることで、汚れ防止機能と消臭機能とを高いレベルで両立させることができる。
EVOH2の消臭性粒子3に対する含有量が上記下限より小さいと、EVOH2が層表面に露出する部分が少なくなるため、汚れ防止機能が十分に発揮されないおそれがある。逆に、EVOH2の消臭性粒子3に対する含有量が上記上限を超えると、消臭性粒子3が表面に占める部分が小さくなるため、消臭機能が十分に発揮されないおそれがある。
(多層構造体)
図2の多層構造体5は、基材層6と、この基材層6の一方の面側に凸部4が外面に位置するように積層される消臭機能層1とを有する。消臭機能層1は、図1のものと同様であるので説明を省略する。この多層構造体5によれば、外面に上記消臭機能層1を有することで、外面の汚れ防止性と消臭性とを高いレベルで備えることができる。
基材層6としては特に限定されず、例えば、塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂等の合成樹脂や、紙、不織布、織布等を挙げることができるが、EVOHが含有されているものがよい。基材層6が、消臭機能層と同様にEVOHを含むことで、基材層6の表面処理を行うことなく消臭機能層1を表面に強固に接着させることができる。また、このように基材層6をEVOH製とした多層構造体は、塩化ビニル製の壁紙として用いた際に、塩化ビニル可塑剤のブリードアウト抑制能も発揮することができる。
上記基材層6はEVOHに加え、酸変性ポリオレフィン及び/又は熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物から成形されるものが、柔軟性に優れる点で好ましい。
この基材層6は、EVOHに対し、酸変性ポリオレフィン及び/又は熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物から成形されることで、EVOH以外の樹脂の含有率を高めることができるため、その結果、柔軟性を向上させることができ、この基材層6を備える多層構造体5を壁紙等に用いた際の施工性を向上させることができる。
なお、基材層6をEVOHと共に酸変性ポリオレフィンが含有された樹脂組成物から形成する場合は、基材層表面に微細な凹凸を容易に設けることができる。この微細な凹凸は基材層6の表面積を拡大させるため、この基材層6の表面に積層される消臭機能層1の表面積も拡大することとなる。従って、EVOHと酸変性ポリオレフィンとを含有する樹脂組成物から形成された基材層6を備える多層構造体5によれば、消臭性粒子3が存在しうる面積も拡大するため、その結果、消臭性能をより高めることができる。
この基材層6において、EVOH100質量部に対する酸変性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの合計含有量の下限としては5質量部が好ましく、20質量部がさらに好ましく、30質量部がさらに好ましく、40質量部がさらに好ましく、45質量部がさらに特に好ましい。一方、このEVOH100質量部に対する酸変性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの合計含有量の上限としては、100質量部が好ましく、80質量部がさらに好ましく、60質量部がさらに好ましく、55質量部が特に好ましい。この樹脂組成物によれば、EVOH以外の酸変性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーを上記範囲で含有していることで、EVOHの柔軟性の低さを改善することができる。すなわちこの樹脂組成物から成形される基材層6によれば、柔軟性が向上し、この多層構造体5を用いた壁紙等の施工性を向上させることができる。酸変性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの合計含有量が上記下限より小さいとこの柔軟性が十分に向上しない。逆に酸変性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの合計含有量が上記上限を超えると、酸変性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーがEVOH中に均一に分散して島状に存在することが困難になり、製膜性が低下する場合がある。
基材層6に好適に用いられるEVOHのエチレン単位含有量の下限としては、35モル%が好ましく、40モル%がさらに好ましい。一方、EVOHのエチレン単位含有量の上限としては、60モル%が好ましく、55モル%がさらに好ましく、50モル%が特に好ましい。EVOHのエチレン単位含有量が上記下限より小さいと、樹脂組成物の製膜性が低下するおそれや、この基材層の柔軟性が低下し、この多層構造体を壁紙等に用いた際の施工性が低下するおそれや、さらには基材層の耐水性、耐熱水性等の性能が低下するおそれがある。逆に、EVOHのエチレン単位含有量が上記上限を超えると、基材層6の強度が低下するおそれや、可塑剤を含む樹脂に積層して壁紙などに使用する場合に、可塑剤のブリード防止性能が低下するおそれがある。
基材層6に好適に用いられるEVOHのケン化度の下限としては、90モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、99モル%が特に好ましい。一方、このEVOHのケン化度の上限としては99.99モル%が好ましい。EVOHのケン化度が上記下限より小さいと、樹脂組成物の製膜性が低下するおそれや、可塑剤を含む樹脂に積層して壁紙などに使用する場合に、可塑剤のブリード防止性能が低下するおそれがある。逆に、EVOHのケン化度が上記上限を超えると、EVOHの製造コストが増加する反面、製膜性、柔軟性等の上昇もそれほど期待できない。
基材層6に好適に用いられるEVOHのメルトインデックスの下限としては0.1g/10分が好ましく、0.5g/10分がさらに好ましく、1g/10分が特に好ましく、5g/10分がさらに特に好ましく、6g/10分がさらに好ましく、8g/10分がさらに特に好ましく、10g/10分がさらに特に好ましい。一方、EVOHのメルトインデックスの上限としては30g/10分が好ましく、25g/10分がさらに好ましく、20g/10分が特に好ましく、15g/10分がさらに特に好ましい。この基材層6によればEVOHのメルトインデックスを比較的大きい上記範囲の値とすることで、樹脂組成物の製膜性を維持することができる。EVOHのメルトインデックスが上記下限より小さいと、薄いフィルムの成形が困難になり樹脂組成物の製膜性が低下する。逆に、EVOHのメルトインデックスが上記上限を超えると、基材層の耐薬品性や壁紙等として用いた際の可塑剤のブリード防止性等が低下するおそれがある。
この基材層6に好適に用いられる酸変性ポリオレフィンは、カルボキシル基又はその無水物基、スルホン酸基等の酸性基を有するポリオレフィンをいう。この酸変性ポリオレフィンとしては、ポリオレフィンに、イタコン酸、マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物をグラフト重合又は付加させたカルボン酸変性ポリオレフィン等があげられる。上記カルボン酸変性ポリオレフィンを得るためのポリオレフィンは、エチレン又は炭素数が3以上のα−オレフィンを主成分としたモノマーを重合して得られる単独重合体であるポリα−オレフィンが好ましい。このポリα−オレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテンが好ましく、中でもポリエチレンが最も好ましい。なお、このポリα−オレフィンは、オレフィン系単量体等の他のモノマーを微量の構成成分として含んでいてもよい。
この酸変性ポリオレフィンとしては、上述の通り酸変性ポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレンをカルボン酸で変性させたカルボン酸変性高密度ポリエチレンであることがより好ましい。カルボン酸変性高密度ポリエチレンを用いることで、この樹脂組成物における海島構造をとりやすくなり、加えて、所望する下記の好適なメルトインデックスに調整しやすくなる。従ってカルボン酸変性高密度ポリエチレンを含有する基材層によれば樹脂組成物の製膜性を向上させることができる。
この基材層6に好適に用いられる熱可塑性エラストマーとは、加熱することにより流動性を有し、常温ではゴム状弾性を有する樹脂である。なお、この基材層6において、酸変性ポリオレフィンは、上記条件を満たす場合も熱可塑性エラストマーには含まれない。
この熱可塑性エラストマーとしては、上述の熱可塑性エラストマーの定義を満たせば特に限定されず、ウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系などの熱可塑性エラストマーが挙げられ、樹脂組成物の製膜性等の点からポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーが好ましい。
ポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、iso−ブテン、1,3−ブタジエン等のオレフィン系単量体の重合体又は2種以上のオレフィン系単量体の共重合体、オレフィン系単量体と他の単量体との共重合体及びそれらの変性物が挙げられる。これらのオレフィン系単量体の重合体としては1,2−ポリブタジエン等が挙げられ、共重合体の例としてはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの変性物の例としては、エチレン−メタクリル酸共重合体のイオン架橋物、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
熱可塑性エラストマーは、酸変性熱可塑性エラストマーを含むとよい。酸変性熱可塑性エラストマーとは、カルボキシル基又はその無水物基やスルホン酸基等の酸性基を有する熱可塑性エラストマーをいう。この酸変性熱可塑性エラストマーとしては、例えば(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸等により酸変性された酸変性熱可塑性エラストマーが挙げられる。このように酸変性熱可塑性エラストマーを用いることで、樹脂組成物内での熱可塑性エラストマーの分散性を高めることができ、また所望する好適なメルトインデックスに調整しやすくなる。従って、このような熱可塑性エラストマーを有する基材層6は、樹脂組成物の製膜性をさらに高めることができる。
この熱可塑性エラストマーとしては、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体と、エチレン−α−オレフィン共重合体との混合物が好ましく、具体的には、カルボン酸変性エチレン−ブテン共重合体と、エチレン−ブテン共重合体との混合物が好ましい。このカルボン酸変性エチレン−ブテン共重合体としては、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体が特に好ましい。このような熱可塑性エラストマーを用いることで、熱可塑性エラストマーのメルトインデックスや、樹脂組成物全体の平均の酸価を容易かつ好適に調整することができ、樹脂組成物の製膜性及び壁紙等として用いる際の施工性を向上させることができる。なお、ここでα−オレフィンとは、炭素数が3以上のα−オレフィンをいう。
この基材層6の厚み(最大厚み)としては、特に限定されないが、下限としては10μmが好ましく、12μmがさらに好ましい。また、この上限としては、50μmが好ましく、40μmがさらに好ましく、30μmが特に好ましい。厚みが上記下限より小さい場合の製膜は困難な場合がある。逆に、厚みが上記上限を超えると、壁紙等に使用した際の施工性が低下するおそれがある。
(多層構造体及び消臭機能層の製造方法)
多層構造体は、例えば、基材層の一方の面側にエチレン単位含有量が10モル%以上のEVOH及び消臭性粒子を含む樹脂組成物を塗布する工程、及びこの塗布された樹脂組成物を乾燥させ、外面に上記消臭性粒子を核とした複数の凸部を形成する凸部形成工程を含む方法によって製造することができる。このような製造方法によれば、消臭機能層として消臭性粒子を核とした複数の凸部を、EVOHが被覆した状態で外面に容易かつ確実に形成することができ、汚れ防止性及び消臭性にともに優れた消臭機能層及び多層構造体を得ることができる。
基材層の一方の面側に樹脂組成物を塗布する方法としては特に限定されず、グラビアロール加工、スプレー加工、ロールコーター加工、ジェットプリント加工、転写プリント加工、スクリーンプリント加工等を挙げることができる。基材層の一方の面側に樹脂組成物を塗布した後、乾燥させることによって、基材層の一方の面側に消臭機能層としてバインダー樹脂であるEVOHとともに消臭性粒子を強固に固着させることができる。
上記樹脂組成物においては、塗布性を向上させるため、EVOH及び消臭性粒子に加えて、溶剤を含有させることが好ましい。この溶剤としては特に限定されず、例えば、n−プロパノールや、n−プロパノールと水との混合溶液(質量比65:35)などを用いることができる。
塗布後、凸部形成工程として、塗布された樹脂組成物を乾燥させることで、溶剤が揮発し、表面に上記消臭性粒子を核とした複数の凸部を形成することができる。この乾燥方法としては特に限定されず、自然乾燥でもよいし、熱付加を行ってもよい。
なお、当該多層構造体及び消臭機能層の製造方法としては上述の方法に限定されず、例えば、多層構造体の各層を溶融押出成形法などによりフィルム状に成形したものを貼り合わさることによって製造してもよい。
(内装材)
本発明の内装材は、基体と、例えば、この基体の表面に、消臭機能層側が外面となるように熱ラミネート等により積層される上記の多層構造体とを備えるものである。なお、内装材とは、建築物の内部の装飾に用いられる材料であり、壁紙、化粧板、装飾材などが挙げられる。これらの内装材のうち、本発明の消臭機能層及び多層構造体の優れた消臭性及び汚れ防止性を効果的に活用することができるものとして、壁紙が好適に用いられる。
壁紙における基体としては、代表的には可塑剤含有軟質ポリ塩化ビニルフィルム又はシートがあげられる。上記の軟質ポリ塩化ビニルに含有される可塑剤としては、常温(20℃)で液状を示す可塑剤と、常温で固体である可塑剤とに大別することができる。前者については、例えばジブチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジノニルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタレート系可塑剤、トリクレジルホスフエート、トリブチルホスフエート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフエート等のホスフエート系、塩素化パラフィン等の含塩素系の可塑剤等が挙げられる。一方、後者については、例えば、ジシクロヘキシルフタレート、アルコールの炭素数13以上のフタル酸ジエステル等のフタレート系可塑剤などが挙げられる。
この可塑剤の添加量としては、基体全質量に対し、20質量%以上75質量%以下が好ましく、25質量%以上55質量%以下が好ましい。可塑剤の添加量が20質量%より小さいと基体の柔軟性が低下し、その結果、壁紙の施工性が低下する。一方、可塑剤の添加量が75質量%を超えると、基体の強度等の物理的特性の低下を来し、好ましくない。
当該内装材によれば、表面の消臭機能層によって、高い消臭性と汚れ防止性をバランスよく発揮することができ、壁紙等として好適に用いることができる。
当該内装材表面の光沢度の下限としては、2%が好ましく、3%がさらに好ましく、4%が特に好ましい。一方、この光沢度の上限としては、20%が好ましく、16%がさらに好ましく、12%が特に好ましい。当該内装材は、このような低い光沢度を備えることで艶消し性能に優れていることに加え、表面に消臭性粒子を核とした複数の凸部が十分に形成されているため、優れた消臭機能を発揮することができる。
光沢度が上記下限未満の場合は、高い艶消し性及び優れた消臭機能を発揮することができるが、このような値まで光沢度を下げるためには、消臭性粒子の含有率を高くすることが必要となり、その結果、汚れ防止性が低下するおそれがある。一方、光沢度が上記上限を超えると、艶消し性が十分ではなく、また、表面に消臭性粒子を核とした凸部が十分に形成されていない、若しくは消臭性粒子の表面への露出が少ないため消臭機能が十分に発揮されないおそれがある。
また、当該内装材は、表面に柔軟性の高いEVOH製の消臭機能層を備えているため、壁紙として用い、表面にエンボス加工した際も、クラックの発生を防止することができ、また、優れた施工性を有している。
なお、本発明の消臭機能層、多層構造体及び内装材は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、消臭機能層として、消臭機能層を構成する樹脂組成物を壁やガラス等に直接塗布することで、消臭機能層を形成することができ、その壁やガラスが本発明の多層構造体あるいは内装材として機能することができる。また、多層構造体が、基材層と消臭機能層との2層構造以外に、外面に消臭機能層の複数の凸部が位置するように積層されていれば、3層以上の多層構造であってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
[実施例1]
(樹脂組成物の調製)
エチレン含有量44モル%、ケン化度99%のEVOHを、n−プロパノール/水(質量比65/35)混合溶媒中で、75℃還流下で3時間撹拌し、7.5質量%のEVOH溶液を得た。このEVOH溶液に、EVOHと消臭性粒子との質量比(固形分換算)が2.0:1.0となるように消臭性粒子として、ライオナイトPC−301Pを添加して、消臭機能用の樹脂組成物を得た。
(基材層の製造)
エチレン単位含有量が44モル%、ケン化度が99.97%、メルトインデックス(210℃、荷重2160g)が12g/10分、酸価が0mgKOH/gのEVOHペレット100質量部と、
メルトインデックス(210℃、荷重2160g)が0.5g/10分、酸価が2.2mgKOH/gの無水マレイン酸変性高密度ポリエチレンペレット6質量部と、
メルトインデックス(210℃、荷重2160g)が2.9g/10分、酸価が5.6mgKOH/gの無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体ペレット17質量部、及びメルトインデックス(210℃、荷重2160g)が5.1g/10分、酸価が0mgKOH/gのエチレン−ブテン共重合体ペレット26質量部とを計量し、タンブラー(容量120L)により、10分間運転し一括混合した。
一括混合した原料を直径40mm、L/D=22、1軸フルフライト先端マドック付きスクリュー、ストランドダイ:3mmφ×2本取で、成形温度215℃、スクリュー回転数25rpm、吐出量8kg/hrの条件で押出し、ストランドを冷却水槽中で冷却しながらペレタイザーでカッティングし円柱形状のブレンドペレットを得た。このブレンドペレットをTダイ押出機((株)東洋精機製作所製20mm押出機D2020(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト浅溝タイプ、ダイス:コートハンガー300mm幅ダイ、スクリーン:50/100/50Mesh))で、押出温度:C1/C2/C3/Die=170/210/225/215℃、スクリュー回転数75rpm、吐出量1.9kg/hrの条件で、厚み(最大厚み)20μmの基材層を得た。
(消臭機能層及び多層構造体の形成)
上記の基材層の一方の面に上記樹脂組成物を塗布し、乾燥させることで消臭機能層とともに多層構造体を得た。得られたこの多層構造体の消臭機能層の平均厚さは2μm、消臭性粒子の含有量は0.6g/mであった。
なお、消臭機能層の平均厚さは、JIS−K7130の「試料の質量法による厚さの試験方法B1法」に準拠し、基材層及び多層構造体の平均厚さを測定し、その差として算出した値である。
(内装材(壁紙)の製造)
有機溶剤系である大日本インキ化学株式会社製のディックシールLA−100ZとKP−90(硬化剤)とを100質量部対0.6質量部で混合したもの80質量部に、溶媒としてメチルエチルケトン20質量部加え、接着剤を得た。これを10番のバーコーターを用いて上記の多層構造体裏面(基材層側の外面)に塗布し、80℃の乾燥機で1分間乾燥した。乾燥後の接着剤層の厚みは2μmであった。
基体として、ナンカイテクナート社製の非発泡塩化ビニル壁紙を用い、この塩化ビニル面上に、上記多層構造体の接着剤塗布面を合わせ、重ね合わせた。
次にエンボスロールを有する東京ラミックス株式会社製ラミネーターDX−350で、温度120℃、速度2m/minの条件で熱ラミネートして実施例1の内装材(壁紙)を得た。
[実施例2〜9、及び比較例1〜6]
表1に記載されているとおりの基体、基材層、バインダー及び消臭性粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、これらの実施例及び比較例に係る内装材(壁紙)を得た。実施例4では、ライオナイトPC10質量部とダッシュライト3質量部の混合物を消臭性粒子として用いた。
なお、表1中の略称等は以下のものを示す。
(バインダー)
・EVOH:エチレン単位含有量44モル%、ケン化度99%のEVOH
・EVOH(2):エチレン単位含有量72モル%、ケン化度97%の部分ケン化EVOH
・エチレン変性PVA:エチレン単位含有量8モル%、ケン化度99%のエチレン変性PVA
(消臭性粒子)
・ライオナイトPC−301P:ライオン株式会社製の光触媒を担持した無機多孔質粒子(シリカ、アルミナ、金属酸化物より合成された多孔質珪酸塩鉱物及び光触媒としての酸化チタンを含有する粒子)
・ライオナイトSF:ライオン株式会社製の無機多孔質粒子(シリカ、アルミナ、金属酸化物より合成された多孔質珪酸塩鉱物)
・ミズカナイトHP:水澤化学工業株式会社製の無機多孔質粒子(二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウムの複合物)
・ゼオミックAV−10D:シナネン株式会社製の無機多孔質粒子(酸化アルミニウム、二酸化ケイ素等の複合物)
・ダッシュライト:シナネン株式会社製のアミン化合物(ヒドラジン誘導体)と珪酸塩系無機化合物の複合物
なお、各消臭性粒子の粒子径、BET比表面積及び平均細孔径は以下記載の方法により求めた。
(粒子径)
株式会社堀場製作所製レーザー回折式粒度計LA−950V2を用いて、消臭性粒子0.05gを水20mLに分散させた液を2.5mL、装置に投入後、5回超音波照射しながら測定して求めた平均メジアン径を粒子径とした。測定条件:フローセル方式(湿式)、屈折率1.48、分散媒(水:1.333)。
(BET比表面積及び平均細孔径)
消臭性粒子0.2gを用い、日本ベル株式会社製の自動ガス/蒸気吸着量測定装置「BELSORP18PLUS−HT」を使用して、窒素ガス吸着法により窒素による吸着等温線を測定した。前処理条件として150℃で約5時間減圧脱気した。吸着質をN、死容積測定ガスをHeとして、相対圧力約0〜1、飽和蒸気圧101.3kPa、測定温度77Kで測定した。BET法にてBET比表面積を算出した。また、BJH法により得られた細孔容積と比表面積の値から平均細孔直径として算出し、平均細孔径とした。なお、ゼオミックAV−10Dは吸着等温線がI型を示したため、MP法により得られた細孔容積と比表面積の値から平均細孔直径を算出した。
なお、比較例2は、消臭性粒子を、基材層を成形する樹脂組成物に含有して練り込んで得たものであり、表1中のバインダーと消臭剤粒子との質量比は、比較例2においては、基材層の樹脂組成物と消臭剤粒子との質量比である。また、比較例6は、多層構造体を貼り合わせていないナンカイテクナート社製の非発泡塩化ビニル壁紙のみのものである。
また、得られた内装材(壁紙)表面の消臭性粒子を核とした凸部の有無は、電子顕微鏡による表面の観察により確認した。表1において、複数の凸部の存在を確認できたものを「○」、できなかったものを「×」として示す。例えば、実施例1の壁紙(内装材)は、図3の電子顕微鏡写真図に示されるように、表面に消臭性粒子を核とした複数の凸部が形成されていることがわかる。
<特性評価>
実施例1〜9及び比較例1〜6で得られた内装材(壁紙)の各特性は、以下記載の方法に従って評価した。これらの評価結果を、表2に示す。
(1)光沢度
JIS−Z8741に準拠し、日本電色工業株式会社製グロスメーターVGS−300Aにて角度60度で測定した。
(2)耐クラック性
エンボス加工後の表面を目視にて観察し、以下の評価とした。
○・・・クラックの発生なし
×・・・クラックの発生有り
(3)消臭性能
壁紙を10cm×10cmにカットし、裏面をアルミテープで塞ぎ消臭評価用壁紙とした。テドラーバッグに上記消臭評価用壁紙を入れ、ガス濃度が100ppmになるように調整した臭気モデルガス(アンモニア又は酢酸)を2L注入した。ガス濃度はガステック社製ガス検知管で測定し、下記式より消臭率を求め、以下の評価とした。
消臭率={(初期濃度−24時間後の濃度)/初期濃度}×100(%)
A・・・消臭率50%以上
B・・・消臭率40%以上50%未満
C・・・消臭率40%未満
なお、A及びBが消臭性能として実用上好ましいレベルである。
(4)脱着性
上記(3)消臭性能の試験後、テドラーバッグ内をフレッシュエアーに置換し、50℃で1時間加熱した後のガス濃度を測定し、下記式より放出率を求め、以下の評価とした。
放出率=(加熱後の濃度/加熱前の濃度)×100%
○・・・放出率50%未満
△・・・放出率50%以上100%未満
×・・・放出率100%以上
(5)汚れ防止性能
壁紙工業会が定めた壁紙製品標準規格(SV規格:Standard Value)に準拠し、壁紙表面にコーヒー、醤油、水性マジック、クレヨンを塗布し、24時間後にコーヒー及び醤油は水拭き、水性マジック及びクレヨンは中性洗剤(ライオン社製ママレモン)で拭き取った。油性マジックも塗布後24時間後に除光液で拭き取った。残存した汚れをSV規格に準拠して判定し、以下の評価とした。
○・・・4級以上
△・・・3級
×・・・2級以下
−・・・消臭機能層が消失した。
(6)耐水性及び耐溶剤性
上記(5)汚れ防止性能の評価後の、消臭機能層の変形を評価した。耐水性は中性洗剤での拭き取り後、耐溶剤性は除光液での拭き取り後を評価した。
○・・・消臭機能層の変形は見られなかった
×・・・拭き取りにより消臭機能層表面が変形した
表2に示されるように、実施例1〜9の内装材(壁紙)は、消臭性能及び汚れ防止性能が共に優れている。一方、消臭性粒子が消臭機能層に含有されていない比較例1、消臭性粒子が含有されているものの、基材層中に練り込まれており、表面へ凸部として突起していない比較例2の内装材(壁紙)は消臭性が低い。また、バインダーとしてEVOH以外のものを用いた比較例3〜5の内装材(壁紙)は耐クラック性及び汚れ防止性が低い。
以上のように、本発明の消臭機能層及び多層構造体は、消臭機能及び汚れ防止機能が共に優れており、壁紙等の内装材等に好適に用いられる。
1 消臭機能層
2 エチレン−ビニルアルコール共重合体
3 消臭性粒子
4 凸部
5 多層構造体
6 基材層

Claims (16)

  1. エチレン単位含有量が10モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体、及び
    消臭性粒子
    を含有する消臭機能層であって、
    表面に上記消臭性粒子を核として形成される複数の凸部を有することを特徴とする消臭機能層。
  2. 平均厚みに対する上記消臭性粒子の平均粒子径の比が1以上10以下である請求項1に記載の消臭機能層。
  3. 上記消臭性粒子の平均粒子径が1μm以上10μm以下である請求項1又は請求項2に記載の消臭機能層。
  4. 平均厚みが1μm以上3μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の消臭機能層。
  5. 上記エチレン−ビニルアルコール共重合体の消臭性粒子に対する質量比が1以上3以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の消臭機能層。
  6. 上記消臭性粒子の含有量が0.3g/m以上1.2g/m以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の消臭機能層。
  7. 上記消臭性粒子が無機多孔質粒子である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の消臭機能層。
  8. 上記無機多孔質粒子が光触媒を担持している請求項7に記載の消臭機能層。
  9. 上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量が20モル%以上60モル%以下、ケン化度が90%以上である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の消臭機能層。
  10. 表面に上記消臭性粒子の少なくとも一部が露出している請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の消臭機能層。
  11. 上記エチレン−ビニルアルコール共重合体、消臭性粒子及び溶剤を含む樹脂組成物の塗布により形成されている請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の消臭機能層。
  12. 基材層と、
    この基材層の一方の面側に上記凸部が外面に位置するように積層される請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の消臭機能層と
    を有する多層構造体。
  13. 上記基材層がエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む請求項12に記載の多層構造体。
  14. 表面に請求項12又は請求項13に記載の多層構造体を備える内装材。
  15. 表面の光沢度が2%以上20%以下である請求項14に記載の内装材。
  16. 基材層の一方の面側にエチレン単位含有量が10モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体、消臭性粒子及び溶剤を含む樹脂組成物を塗布する工程、及び
    この塗布された樹脂組成物を乾燥させ、外面に上記消臭性粒子を核とした複数の凸部を形成する凸部形成工程
    を含む請求項12又は請求項13に記載の多層構造体の製造方法。
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