JP2011200205A - 製麺方法、および該製麺方法を用いた乾燥麺または冷凍麺の製造方法 - Google Patents

製麺方法、および該製麺方法を用いた乾燥麺または冷凍麺の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】馬鈴薯澱粉を主原料とした麺の製造において、成形性の向上と出来上がった麺の品質改良とを同時に達成する技術を提供すること。
【解決手段】本発明では、馬鈴薯澱粉を主原料とする麺を製造する製麺方法であって、前記馬鈴薯澱粉を主成分とする原料に加水する加水工程と、前記原料を加熱する加熱工程と、前記原料を混練する混練工程と、を順不同で行う麺生地製造工程と、該麺生地製造工程を経た後に、圧延法により麺線を成形する麺線成形工程と、を少なくとも行う製麺方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、馬鈴薯澱粉を主原料とする麺を製造する製麺方法に関する。より詳しくは、馬鈴薯澱粉を主原料とする麺の製麺方法、および該製麺方法を用いた乾燥麺または冷凍麺の製造方法に関する。
近年、国内加工馬鈴薯を用いた食品業界では、製品の品質を向上するために規格外品が増加している。それら規格外馬鈴薯の最終バイプロである澱粉の有効利用と、馬鈴薯そのものについての新たな有用性を見出すため、更に付加価値の高い食品として展開する必要がある。その中で、例えば、主食である麺の分野への展開が期待されている。
従来から、馬鈴薯澱粉を原料に用いた麺の製造が行われている。例えば、特許文献1には、小麦粉60〜95重量部に、馬鈴薯澱粉および/または緑豆澱粉のエーテル化および/またはエステル化誘導体40〜5重量部を混埋し、これにかん水を加えて混練することを特徴とする生中華麺の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、穀粉の他に、60重量%以上のレジスタントスターチ(難消化性澱粉)を含むレジスタントスターチ含有澱粉と、更に好ましくは糊化開始温度を低下させる化工を施した化工澱粉(タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、サゴ澱粉から選ばれた少なくとも一種を原料とするエステル化澱粉、エーテル化澱粉又はリン酸架橋澱粉)とを含有する原料を用いて、常法により麺類を製造する方法が開示されている。
更に、特許文献3には、サゴ澱粉50〜95質量部とタピオカ澱粉及び馬鈴薯澱粉50〜5質量部からなる澱粉組成物を5〜50質量%の割合で含有する原料粉を使用して製麺する麺類の製造法が開示されている。
これらの従来技術においては、馬鈴薯澱粉は主原料として使われていないが、馬鈴薯澱粉を主原料として用いた麺の製造に関する技術も存在する。例えば、特許文献4には、馬鈴薯、甘薯、タピオカ、とうもろこし、小麦およびそれらの加工物の少なくとも1種から得られる澱粉に、該澱粉100重量部に対して熱湯を45〜55重量部の割合で添加混合して大粒状のドウを調製する工程と、該工程で得られたドウを真空度650Torr以上で脱気しながら押出し成形することにより麺帯を製造する工程を含む、春雨の製造方法が開示されている。
しかしながら、馬鈴薯澱粉を主原料とした中華麺、パスタなどの麺類の製造においては、小麦のような均一なグルテンネットが形成されないために、成形性が悪く、圧延方式では澱粉含量が多いと実際の製麺は不可能であり、製麺するためには押出式を用いる必要があった。一方で、押し出し成型では、加圧加熱することで澱粉を糊化(過剰糊化)するため、麺質は硬く、うどんやラーメンのようなしなやかな弾力のある麺は得られいという問題があった。
あらゆる品質改良剤や、製造方法を工夫することにより、製麺することも可能であるが、製造された麺の品質においては、満足のいくものが得られないのが実情である。例えば、馬鈴薯澱粉と他の原材料、水分との混合時に、各原料の吸水の差により不均一な生地になり、麺になった際に不均一部分が溶けるなど食感などに異常が発生する場合がある。
馬鈴薯澱粉を主原料とした麺において、成形性が悪いという問題、また押出式により製麺した場合であっても、その品質が満足いくものではないという問題は、特に、馬鈴薯澱粉が水分を保持しにくいという性質が原因であると考えられる。そこで、製麺時において、馬鈴薯澱粉に十分に吸水させる工夫が必要である。また、他の吸水性の異なる原料との吸水バランスを保持する工夫が必要である。
特開平05−316978号公報 特開平10−313804号公報 特開2002−119232号公報 特開平09−051774号公報
上述した通り、馬鈴薯澱粉を主原料とした麺において、成形性が悪いという問題、また押出式により製麺した場合であっても、その品質が満足いくものではないという問題があり、製麺過程において様々開発がされているが、成形性の向上と出来上がった麺の品質改良の課題を同時に解決する方法は、未だ開発途上であるのが現状である。
そこで、本発明では、馬鈴薯澱粉を主原料とした麺の製造において、成形性の向上と出来上がった麺の品質改良とを同時に達成する技術を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、馬鈴薯澱粉を主原料とした麺を製造する過程において、馬鈴薯澱粉に十分に吸水させる技術および他の吸水性の異なる原料との吸水バランスを保持する技術について、鋭意研究を行った結果、麺生地製造工程における特定の工程と、麺性成形工程における成形方法に着目することにより、成形性の向上と出来上がった麺の品質改良とを同時に達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明では、まず、馬鈴薯澱粉を主原料とする麺を製造する製麺方法であって、
前記馬鈴薯澱粉を主成分とする原料に加水する加水工程と、
前記原料を加熱する加熱工程と、
前記原料を混練する混練工程と、
を順不同で行う麺生地製造工程と、
該麺生地製造工程を経た後に、圧延法により麺線を成形する麺線成形工程と、
を少なくとも行う製麺方法を提供する。
本発明に係る製麺方法では、麺生地製造工程において加水工程と、加熱工程と、混練工程とを組み合わせて行い、かつ、麺線成形工程において圧延法を採用することで、馬鈴薯澱粉に十分に水を吸水させ、他の吸水性の異なる原料との吸水バランスを保持することに成功した。
本発明に係る製麺方法において、前記加熱工程は、前記加水工程または混練工程と同時に行うことが可能である。また、前記加水工程と、前記加熱工程と、前記混練工程と、を全て同時に行っても、本発明の目的を達成することができる。
本発明に係る製麺方法の前記加水工程において、その加水方法は特に限定されず、公知の方法を用いて馬鈴薯澱粉を主成分とする原料に加水することが可能であるが、本発明では特に、噴霧により加水を行うことが好ましい。
本発明に係る製麺方法の前記加熱工程において、その加熱温度は特に限定されず、原料に加える成分や目的に応じて自由に設定することができるが、本発明においては、65℃以上100℃未満で加熱を行うことが好ましい。
以上説明した本発明に係る製麺方法は、更に、製麺した麺線を糊化処理する糊化処理工程と、該糊化処理工程を経た後に、麺線を乾燥処理する乾燥処理工程を行うことで、乾燥麺の製造方法に好適に利用することができる。
また、本発明に係る製麺方法は、更に、製麺した麺線を糊化処理する糊化処理工程と、該糊化処理工程を経た後に、麺線を凍結処理する凍結処理工程を行うことで、冷凍麺の製造方法にも好適に利用することができる。
ここで、本発明で使用する技術用語を説明する。
本発明において、「馬鈴薯澱粉を主原料とする麺」とは、馬鈴薯澱粉を少なくとも60%以上90%以下原料中に含有する麺をいう。
本発明において「麺」とは、中華麺、スパゲッティなどのパスタ類、そば、うどんなどを挙げることができる。
本発明において、「乾燥麺」とは、人為的に水分含有率の低下が施された麺を意味し、長期保存に耐えられる低水分含有率(例えば、10%程度)の麺や比較的水分含有率が高い半乾燥麺も含む。
本発明によれば、馬鈴薯澱粉を主原料とした麺の製造において、馬鈴薯澱粉に十分に水を吸水させ、他の吸水性の異なる原料との吸水バランスを保持することができるため、その結果、製麺時における成形性の向上と出来上がった麺の品質改良とを同時に達成することが可能となる。
本発明に係る製麺方法1、乾燥麺の製造方法2、冷凍麺の製造方法3のフロー図である。 実施例1において、サンプル2(比較例)に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例2において、サンプル4に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例2において、サンプル5に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例4において、サンプル13に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例4において、サンプル11に係る麺線の図面代用写真である。 実施例5において、サンプル15に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例5において、サンプル17に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例6において、サンプル19に係る麺線の図面代用写真である。 実施例7において、サンプル21に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例7において、サンプル23に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例7において、サンプル24に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例8において、サンプル26に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例9において、サンプル28に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例9において、サンプル30に係る麺帯の図面代用写真である。 実施例9において、サンプル27に係る麺帯の図面代用写真である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
図1は、本発明に係る製麺方法1、乾燥麺の製造方法2、冷凍麺の製造方法3のフロー図である。以下、各方法について、詳細に説明する。
<製麺方法1>
本発明に係る製麺方法は、(1)加水工程11と、(2)加熱工程12と、(3)混練工程13と、を順不同で行う麺生地製造工程10と、(4)麺成形工程14と、を少なくとも行う方法である。
本発明に係る製麺方法において、用いる原料は、少なくとも馬鈴薯澱粉を60%以上90%以下含有するものであれば、他の組成は特に限定されず、目的に応じて自由な原料を配合することができる。例えば、馬鈴薯澱粉の他に、植物の種子、根、茎、塊茎、塊根などに含まれるデンプン質、例えば、小麦、そば、米、とうもろこし、緑豆、甘藷、タピオカなどを由来とする原料や大麦、ライ麦、カラス麦、ハト麦、葛などの原料を配合することも可能である。
また、馬鈴薯澱粉を主成分とする原料に、蛋白を配合することも可能である。配合する蛋白の形態は特に限定されないが、例えば、粉末状の蛋白を挙げることができる。蛋白の配合量は特に限定されず、目的に応じて自由に設定することができるが、本発明においては、馬鈴薯澱粉を主成分とする粉原料に対して、5.5%以上16.5%以下の蛋白を配合することが好ましい。5.5%未満であると、粉原料の組成によっては製麺することが困難になる場合があり、16.5%を超えると、出来上がった麺の色、臭い、味、食感に悪影響を及ぼす場合があるからである。具体的な蛋白としては、例えば、小麦グルテンを挙げることができる。小麦グルテンを用いることで、麺帯成形性を向上させることができ、かつ、出来上がった麺の品質を向上させることが可能である。
更に、馬鈴薯澱粉を主成分とする原料に、ポテトフレークを配合することも可能である。製造された麺に適度なコシを与えて食感を向上させ、風味を向上させるためである。ポテトフレークの配合量は特に限定されず、目的に応じて自由に設定することができるが、本発明においては、馬鈴薯澱粉を主成分とする粉原料に対して、6.5%以上20.0%以下のポテトフレークを配合することが好ましい。6.5%未満であると、粉原料の組成によっては麺生地がもろく柔らかすぎて製麺することが困難になる場合があり、20.0%を超えると、麺生地がもろく製麺が困難となる場合があり、出来上がった麺の食感も粉っぽくなる場合があるからである。
加えて、馬鈴薯澱粉を主成分とする原料には、目的に応じて、通常飲食物に用いることができる成分を、1種または2種以上自由に選択して配合することが可能である。例えば、各種調味料、保存剤、乳化剤、安定剤、香料、着色剤、防腐剤、pH調整剤などの、食品分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。
これらの原料は、予め馬鈴薯澱粉と混合しておくことも可能であるが、以下に説明する各工程において、少しずつ添加することも可能である。以下、各工程について、詳細に説明する。
(1)加水工程11
加水工程11は、馬鈴薯澱粉を主成分とする原料に、加水を行う工程である。
加水工程11で行う加水の方法は、馬鈴薯澱粉を主成分とする原料に加水することが可能な方法であれば特に限定されず、自由な方法を選択して用いることができる。例えば、噴霧による加水、滴下による加水、間歇的な加水、などの他、一気に加水する方法を挙げることができる。この中でも本発明では特に、噴霧によって加水を行うことが好ましい。噴霧による加水を行うことで、馬鈴薯澱粉または他の原料がダマになってしまうことを防止し、吸水性が著しく悪い馬鈴薯澱粉に、効率的に吸水させることが可能となる。
加水する水の量は特に限定されず、馬鈴薯澱粉の含有量、他の成分の含有量、および目的の麺の品質等に応じて、自由に設定することができる。本発明では特に、馬鈴薯澱粉を主成分とする粉原料に対して、30%以上50%以下の水を加水することが好ましい。30%未満であると、水分量が少なすぎて粉原料の組成によっては製麺することが困難になる場合があり、50%を超えると、水分量が多すぎて粉原料の組成によっては麺線成形工程において、ローラーにくっついてしまい製麺することが困難になる場合があるからである。
加水する水の温度も特に限定されず、馬鈴薯澱粉の含有量、他の成分の含有量、および目的の麺の品質等に応じて、自由に設定することができる。本発明では特に、65℃以上100℃未満の水を加水することが好ましく、90℃以上100℃未満の水を加水することがより好ましい。65℃以上とすることにより馬鈴薯澱粉の吸水性を高めることができ、100℃未満とすることにより水が気化(沸騰)するのを防ぐとともに澱粉粒子が崩壊するのを防ぐことができるからである。
加水する時間も特に限定されず、原料の組成、加水量、加水方法によって、自由に設定することができる。例えば、本発明において、噴霧による加水を行う場合、3分30秒以上かけて加水を行うことが好ましい。短い時間で加水を行う場合、出来上がった麺が粉っぽい食感に成る場合があるからである。なお、加水時間の上限は特に限定されないが、製麺時間やコストを考えると、10分以内で行うことが好ましい。
このように、加水工程11において、高温の水分を加水することにより、後述する加熱工程12を、加水工程11と同時に行うことも可能である。
(2)加熱工程12
加熱工程12は、馬鈴薯澱粉を主成分とする原料を加熱する工程である。
加熱工程12における加熱温度は特に限定されず、馬鈴薯澱粉の含有量、他の成分の含有量、加水する水分量、および目的の麺の品質などに応じて、自由に設定することができる。本発明では特に、65℃以上100℃未満で加熱することが好ましく、90℃以上100℃未満で加熱することがより好ましい。65℃以上とすることにより馬鈴薯澱粉の吸水性を高めることができ、100℃未満とすることにより澱粉粒子が崩壊するのを防ぐことができるからである。
加熱工程12における加熱時間も特に限定されず、馬鈴薯澱粉の含有量、他の成分の含有量、加水する水分量、および目的の麺の品質などに応じて、自由に設定することができる。
加熱工程12における加熱方法も特に限定されず、馬鈴薯澱粉を主成分とする原料を加熱することができれば、食品分野で通常行うことができる加熱方法を、自由に選択して採用することができる。例えば、高温の水分を加水することにより加熱する方法を用いれば、前記加水工程11を、加熱工程12と同時に行うことも可能である。
また、後述する混練に用いる装置に加熱機能を有する装置を用いることにより、後述する混練工程13を、加熱工程12と同時に行うことも可能である。
(3)混練工程13
混練工程13は、馬鈴薯澱粉を主成分とする原料を混練する工程である。
混練工程13における混練時間は、特に限定されず、馬鈴薯澱粉の含有量、他の成分の含有量、加水する水分量、および目的の麺の品質などに応じて、自由に設定することができる。
混練工程13における混練方法も特に限定されず、製麺において通常用いられる混練装置を自由に選択して、混練することが可能である。
以上説明した加水工程11、加熱工程12、および混練工程13は、それぞれ別々に行うことも可能であるが、全ての工程を同時に行うことも可能である。また、それぞれの工程を順番に繰り返し行うことも可能である。
本発明においては、麺生地製造工程10において、加水工程11、加熱工程12、および混練工程13を順不同で行うことで、馬鈴薯澱粉のα化を引き起こし、馬鈴薯澱粉に水分を吸水させるとともに、適度にブレークダウンさせ、澱粉粒を馬鈴薯澱粉外に出すことにより粘り気を発生し、後述する麺線成形工程14において、製麺性の向上を実現している。また、麺生地製造工程10において、加水工程11、加熱工程12、および混練工程13を順不同で行うことで、他の粉体原料の吸水スピードのバラツキも幅が小さくなり、原料全体の均一な混合を実現させている。
(4)麺線成形工程14
麺線成形工程14は、前記加水工程11、前記加熱工程12、および前記混練工程13を順不同で行う麺生地製造工程10を経た後に、麺線を成形する工程である。特に本発明では、麺線の成形にあたり、圧延法を用いることを特徴とする。
馬鈴薯澱粉は吸水性が悪く、また小麦のような均一なグルテンネットが形成されないために、従来の圧延製麺技術においては、馬鈴薯澱粉を原料とする麺を製造する場合、澱粉含量が多いと実際の製麺は不可能であり、製麺するためには押出式を用いる必要があった。一方で、押し出し成型では、加圧加熱することで澱粉を糊化(過剰糊化)するため、麺質は硬く、うどんやラーメンのようなしなやかな弾力のある麺が得られなかった。
しかし、本発明においては、麺線成形工程14の前段階である麺生地製造工程10において、前記加水工程11、前記加熱工程12、および前記混練工程13を組み合わせて行うことで、麺線成形工程14でドウがまとまりやすくなり、圧延法を用いて麺線を成形することに成功した。そのため、目的の麺の弾力や柔らかさなどを調整することが可能となり、多様な分野の麺類を製麺することができる。
麺線成形の具体的方法は、圧延法による方法であれば特に限定されず、製麺において通常用いられる製麺装置を自由に選択して、麺線を成形することが可能である。
以上説明した本発明に係る製麺方法を用いて製麺した麺は、適度な弾力および歯ごたえを有し、食感、ツルミ、コシ、もちもち感なども良好である。また、その風味も良好であり、スープやたれ、ドレッシングなどの風味に影響することがなく、和食、洋食、中華など、ジャンルにとらわれずに幅広く利用することができる。
<乾燥麺の製造方法2>
本発明に係る乾燥麺の製造方法2は、前述した本発明に係る製麺方法1を用いて製麺した後に、(1)糊化処理工程21と、(2)乾燥処理工程22と、を行う方法である。以下、各工程について、詳細に説明する。なお、製麺方法については、前述の製麺方法1と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
(1)糊化処理工程21
糊化処理工程21は、前述した本発明に係る製麺方法を用いて製麺した麺線を、糊化する工程である。この糊化処理工程21では、麺線に十分に水分が供給されると同時に、熱が加えられる。
糊化処理工程21における具体的な糊化方法は特に限定されず、澱粉を糊化することができれば、乾燥麺の製造において通常行われる糊化方法を自由に選択して用いることができる。例えば、沸騰湯中で茹で上げる方法、蒸煮する方法、蒸気を加えながら熱処理(マイクロウエーブ処理、遠赤外線処理など)などを行う方法などを挙げることができる。この中でも本発明においては、蒸煮する方法を採用することが好ましい。
糊化処理工程21における糊化時間は特に限定されず、麺線の形態、糊化方法などに応じて自由に設定することができる。糊化時間が不足すると、最終製品に硬い食感(芯があるような食感)が残存する。一方、糊化時間が長すぎると、表面のデンプン粒が完全に崩壊してしまい、柔らかくなりすぎるので、最終製品のほぐれ性が悪化する。
例えば、切刃22番から得られる太さの中華麺では、10分程度蒸煮すると、最終製品である乾燥麺の食味が良好となり、色調その他の麺線状態も良好となる。このように、糊化処理の時間は、糊化方法に加えて、麺線の口径(太さ)、厚みなどを考慮して、適宜決定することができる。
(2)乾燥処理工程22
乾燥処理工程22は、糊化処理工程21を経た後に、麺線を乾燥処理する工程である。
乾燥処理工程22では、糊化処理工程21を経て、水分が十分に吸収された麺線から、水分を奪い、乾燥麺として望ましい低水分含有率を達成させる。
乾燥処理工程22において達成させる最終的な水分含有率は特に限定されないが、長期保存を目的とする場合には、10〜14.5重量%が好ましい。
乾燥処理工程22において行う具体的な乾燥方法は特に限定されず、乾燥麺の製造において通常行われる乾燥方法を自由に選択して用いることができる。例えば、所定の温度・湿度条件で風乾燥する方法、乾燥機や乾燥室内などの除湿環境下で乾燥する方法、熱乾燥する方法などを挙げることができる。
以上説明した本発明に係る乾燥麺の製造方法を用いて製造した乾燥麺は、適度な弾力および歯ごたえを有し、食感、ツルミ、コシ、もちもち感なども良好であるとともに、湯調理する際にもほぐれ性が良好である。また、その風味も良好であり、スープやたれ、ドレッシングなどの風味に影響することがなく、和食、洋食、中華など、ジャンルにとらわれずに幅広く利用することができる。
<冷凍麺の製造方法3>
本発明に係る冷凍麺の製造方法3は、前述した本発明に係る製麺方法1を用いて製麺した後に、(1)糊化処理工程31と、(2)冷凍処理工程32と、を行う方法である。以下、各工程について、詳細に説明する。なお、製麺方法については、前述の製麺方法1と同一であり、(1)糊化処理工程31については、前述の乾燥麺の製造方法2と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
(2)凍結処理工程32
凍結処理工程32は、糊化処理工程31を経た後に、麺線を凍結処理する工程である。凍結処理工程32では、糊化処理工程31を経て、水分が十分に吸収された麺線を、長期保存可能な冷凍麺として望ましい温度まで低下させて麺を凍結させる。
冷凍処理工程32において行う具体的な凍結方法は特に限定されず、冷凍麺の製造において通常行われる凍結方法を自由に選択して用いることができる。
なお、糊化処理工程31を経た後、凍結処理工程32を行う前に、麺線の粗熱を取るために、水や氷などを用いて、麺線をしめることも可能である。凍結処理工程32を行う前に、麺線の粗熱を取ってしめることで、最終製品(冷凍麺)のコシなどの食感を向上させることが可能である。
以上説明した本発明に係る冷凍麺の製造方法を用いて製造した冷凍麺は、適度な弾力および歯ごたえを有し、食感、ツルミ、コシ、もちもち感なども良好であるとともに、湯調理する際にもほぐれ性が良好である。また、その風味も良好であり、スープやたれ、ドレッシングなどの風味に影響することがなく、和食、洋食、中華など、ジャンルにとらわれずに幅広く利用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
実施例1では、加熱工程を行った場合と行わなかった場合、出来上がった麺にどのような影響があるかを調べた。
(1)製麺
まず、馬鈴薯澱粉750g、蛋白の一例として小麦グルテン117g、ポテトフレーク133gに、対粉原料に対して水40.3%を加水し、混練し、麺生地の製造を行った。加熱工程としては、加える水を90℃まで加熱し、これを加水することにより行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。なお、加水工程において、16℃の水道水を加水したものを比較例とした。
(2)評価
<麺帯成形性>
麺帯成形性については、下記数1の数式に示す方法で算出した。
<官能評価>
前記で製麺した麺を、熱湯中で3分間湯戻しした後、専門パネラー3名にて官能評価を行った。官能評価の評価基準としては、ツルミ、コシ、モチモチ感、異味、異臭などについて、下記表1の基準で総合的に判断した。
(3)結果
評価結果を、下記表2に示す。表2に示す通り、本発明に係る製麺方法(加熱工程あり)を用いて製麺したサンプル1に係る麺は、麺帯成形性も良好であり、馬鈴薯原料を使用した麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。一方、加熱工程を行わなかったサンプル2に係る麺(比較例)では、かろうじて製麺することはできたが、製麺時に麺帯に不均一な部分が多く発生し(図2写真参照)、また端にひび割れも発生した。官能評価についても、サンプル2に係る麺(比較例)は、ツルミ、コシ、モチモチ感は有していたが、硬さを感じ、麺線にバリバリした感じが残っていた。
実施例1の結果から、加熱工程を行わなくても製麺はかろうじて可能ではあるが、出来上がった麺線には、不均一な部分が発生し、食感にも影響することが分かった。
実施例2では、加水工程において、加水方法の違いにより出来上がった麺にどのような影響があるかを調べた。
(1)製麺
以下サンプル3−5の調整を馬鈴薯澱粉750g、蛋白の一例として小麦グルテン117g、ポテトフレーク133gに、対粉原料に対して水40.3%を90℃に加熱した状態で、以下の通りに水の加水方法を変更して麺生地の製造を行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。
<サンプル3>
噴霧しながら混練し、麺生地の製造を行った。
<サンプル4>
ミキサー蓋の滴下用の穴から1分かけて流し込み、かき混ぜた後に混練し、麺生地の製造を行った。
<サンプル5>
一気に投入し、かき混ぜた後に混練し、麺生地の製造を行った。
(2)評価
麺帯成形性の評価および官能評価については、実施例1と同様の方法で行った。
(3)結果
結果を下記表3に示す。表3に示す通り、加水工程において噴霧による加水を行ったサンプル3の場合、麺帯成形性も良好であり、該麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。一方、滴下加水を行ったサンプル4の場合、麺帯に不均一な部分が発生し(図3写真参照)、製麺後の麺線の色や食感にもばらつきが生じていた。また、一気投入による加水を行ったサンプル5の場合も、麺帯に不均一な部分が発生し(図4写真参照)、製麺後の麺線の色や食感にもばらつきが生じ、見た目もザラザラ感やゴリゴリ感を有していた。
実施例2の結果から、本発明に係る製麺方法において、加水工程における加水方法としては、噴霧による加水が適していることが分かった。
実施例3では、加熱工程における最適な加熱温度について、検討を行った。
(1)製麺
まず、馬鈴薯澱粉750g、蛋白の一例として小麦グルテン117g、ポテトフレーク133gに、対粉原料に対して水40.3%を加水し、混練し、麺生地の製造を行った。加熱工程としては、加える水を60℃(サンプル6)、65℃(サンプル7)、80℃(サンプル8)、90℃(サンプル9)までそれぞれ加熱し、これを加水することにより行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。
(2)評価
麺帯成形性の評価および官能評価については、実施例1と同様の方法で行った。
(3)結果
結果を下記表4に示す。表4に示す通り、65℃以上で加熱を行ったサンプル7、サンプル8、サンプル9の場合、麺帯成形性も良好であり、本麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。一方、65℃未満で加熱を行ったサンプル6の場合、麺帯成形性は良好で、異味、異臭は感じられなかったが、本麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感は、65℃以上で加熱を行ったサンプル7、サンプル8、サンプル9の場合に比べるとやや劣っていた。なお、100℃以上で加熱を行うと、加える水が気化(沸騰)してしまい、本発明の製麺を行うことは不可能であった。
実施例3の結果から、本発明に係る製麺方法において、加熱工程における好適な加熱温度としては、65℃以上100℃未満であり、90℃以上100℃未満がより好適であることが分かった。
実施例4では、加水工程における最適な加水量について、検討を行った。
(1)製麺
まず、馬鈴薯澱粉750g、蛋白の一例として小麦グルテン117g、ポテトフレーク133gに、対粉原料に対して90℃まで加熱した水20%(サンプル10)、30%(サンプル11)、40%(サンプル12)、50%(サンプル13)、60%(サンプル14)をそれぞれ加水し、混練し、麺生地の製造を行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。
(2)評価
麺帯成形性の評価および官能評価については、実施例1と同様の方法で行った。
(3)結果
結果を下記表5に示す。表5に示す通り、対粉原料に対して40%の加水を行ったサンプル12の場合、麺帯成形性も良好であり、馬鈴薯原料を使用した麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。また、対粉原料に対して50%の加水を行ったサンプル13の場合、麺生地の水分が多いために、麺線成形工程において、ローラーにくっつきやすかったが(図5写真参照)、馬鈴薯原料を使用した麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。また、対粉原料に対して30%の加水を行ったサンプル11の場合、麺帯に不均一な部分が少々発生し、麺を湯調理する際、切れてしまう場合もあり、食感も少々粉っぽかったが、製麺自体には問題なかった(図6写真参照)。
一方、対粉原料に対して20%の加水を行ったサンプル10の場合、水分量が少なすぎて製麺することができなかった。また、対粉原料に対して60%の加水を行ったサンプル14の場合、水分量が多すぎて、麺線成形工程において、ローラーにくっついてしまい製麺することができなかった。
実施例4の結果から、本発明に係る製麺方法において、加水工程における最適な加水量としては、30%以上50%以下であることが分かった。
実施例5では、加水工程における最適な加水時間について、検討を行った。
(1)製麺
まず、馬鈴薯澱粉750g、蛋白の一例として小麦グルテン117g、ポテトフレーク133gに、対粉原料に対して90℃まで加熱した水40.3%を2分(サンプル15)、3分30秒(サンプル16)、7分(サンプル17)かけてそれぞれ加水し、混練し、麺生地の製造を行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。
(2)評価
麺帯成形性の評価および官能評価については、実施例1と同様の方法で行った。
(3)結果
結果を下記表6に示す。表6に示す通り、麺帯成形性は、各サンプルとも変わらなかったが、2分間で加水を行ったサンプル15の場合(図7写真参照)、粉っぽい麺になってしまった。一方、3分30秒で加水を行ったサンプル16および7分間で加水を行ったサンプル17の場合(図8写真参照)、馬鈴薯原料を使用した麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。
実施例5の結果から、本発明に係る製麺方法において、加水工程では、3分30秒以上かけて加水することが麺の品質向上の上で重要であることが分かった。
実施例6では、本発明に係る製麺方法において、蛋白を添加する場合に、蛋白の種類によって出来上がった麺にどのような影響があるかを調べた。
(1)製麺
まず、馬鈴薯澱粉750g、蛋白の一例として小麦グルテン117g(サンプル18)または同割合の卵白(サンプル19)、ポテトフレーク133gに、対粉原料に対して90℃まで加熱した水40.3%を加水し、混練し、麺生地の製造を行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。
(2)評価
麺帯成形性の評価および官能評価については、実施例1と同様の方法で行った。
(3)結果
結果を下記表7に示す。表7に示す通り、蛋白の一例として小麦グルテンを添加したサンプル18の場合、麺帯成形性も良好であり、馬鈴薯原料を使用した麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。一方、蛋白の一例として卵白を添加したサンプル19の場合、多少成形性が悪かったが製麺することはできた。しかしながら、切り出した麺線がひび割れボロボロになってしまった(図9写真参照)。また、出来上がった麺線の臭いも気になった。
実施例6の結果から、本発明に係る製麺方法において、蛋白を添加する場合は、小麦グルテンを用いるのが好適であることが分かった。
実施例7では、本発明に係る製麺方法において、蛋白を添加する場合に、最適な添加量について、検討を行った。
(1)製麺
まず、下記表8に示す粉原料に、対粉原料に対して90℃まで加熱した水40.3%を加水し、混練し、麺生地の製造を行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。
(2)評価
麺帯成形性の評価および官能評価については、実施例1と同様の方法で行った。
(3)結果
結果を下記表8に示す。表8に示す通り、対粉原料に対して11%の蛋白を添加したサンプル22の場合、麺帯成形性も良好であり、馬鈴薯原料を使用した麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。また、対粉原料に対して5.5%の蛋白を添加したサンプル21の場合、麺生地の色は透明感があり、食感はとろけるような箇所が生じてしまったが、製麺自体には問題なかった(図10写真参照)。また、対粉原料に対して16.5%の蛋白を添加したサンプル23の場合、麺生地のはくすんだ色になり(図11写真参照)、出来上がった麺はグルテン臭が若干気になり、若干すっぱい味がしたが、製麺自体には問題なかった。
一方、対粉原料に対して2.0%の蛋白を添加したサンプル20の場合、製麺することができなかった。また、対粉原料に対して20.0%の蛋白を添加したサンプル24の場合、製麺することはできたが(図12写真参照)、麺生地のはくすんだ色になり、出来上がった麺はグルテン臭が発生し、すっぱい味がして、麺線も硬かった。
実施例7の結果から、本発明に係る製麺方法において、蛋白を添加する場合の最適な添加量としては、5.5%以上16.5%以下であることが分かった。
実施例8では、本発明に係る製麺方法において、ポテトフレークを添加する場合としない場合とで、出来上がった麺にどのような影響があるかを調べた。
(1)製麺
<サンプル25>
まず、馬鈴薯澱粉750g、蛋白の一例として小麦グルテン117g、ポテトフレーク133gに、対粉原料に対して90℃まで加熱した水40.3%を加水し、混練し、麺生地の製造を行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。
<サンプル26>
まず、馬鈴薯澱粉878g、蛋白の一例として小麦グルテン122gに、対粉原料に対して90℃まで加熱した水40.3%を加水し、混練し、麺生地の製造を行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。
(2)評価
麺帯成形性の評価および官能評価については、実施例1と同様の方法で行った。
(3)結果
結果を下記表9に示す。表9に示す通り、本発明に係る製麺方法において、ポテトフレークを添加したサンプル25は、麺帯成形性も良好であり、馬鈴薯原料を使用した麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。一方、ポテトフレークを添加しなかったサンプル26は、製麺時は生地がもろく、切り出した麺は指で潰れる程度にやわらかすぎて製麺が困難であった(図13写真参照)。また、かん水臭が目立ち、食感としては、質感はあるが噛むとそのままつぶれてしまい良くなかった。
実施例8の結果から、ポテトフレークは馬鈴薯風味と適度な弾力を保つ役割があり、本発明に係る製麺方法において添加することで、出来上がった麺線の品質を向上させることが分かった。
実施例9では、本発明に係る製麺方法において、ポテトフレークを添加する場合に、最適な添加量について、検討を行った。
(1)製麺
まず、馬鈴薯澱粉750g、蛋白の一例として小麦グルテン117g、と対粉原料に対して下記表10に示す割合のポテトフレークに、対粉原料に対して90℃まで加熱した水40.3%を加水し、混練し、麺生地の製造を行った。次に、製造した麺生地を、ロールを用いて圧延法により中華麺を製造した(丸刃22番;厚さ1mm)。
(2)評価
麺帯成形性の評価および官能評価については、実施例1と同様の方法で行った。
(3)結果
結果を下記表10に示す。表10に示す通り、対粉原料に対して13.0%のポテトフレークを添加したサンプル29の場合、麺帯成形性も良好であり、馬鈴薯原料を使用した麺特有のツルミ、コシ、モチモチ感を有していた。また、特に、異味、異臭は感じられなかった。また、対粉原料に対して20.0%のポテトフレークを添加したサンプル28の場合、食感が少々硬かったが、製麺自体には問題なかった(図14写真参照)。また、対粉原料に対して6.5%のポテトフレークを添加したサンプル30の場合、出来上がった麺からほのかなかん水臭がし、後味が少々エグかったが、製麺自体には問題なかった(図15写真参照)。
一方、対粉原料に対して40.0%のポテトフレークを添加したサンプル27の場合、粉っぽい食感があり、製麺においても生地がもろく製麺が困難であった(図16写真参照)。また、対粉原料に対してポテトフレークを添加しなかったサンプル31の場合、製麺時は生地がもろく、切り出した麺は指で潰れる程度にやわらかすぎて製麺が困難であった(図13写真参照)。また、かん水臭が目立ち、食感としては、質感はあるが噛むとそのままつぶれてしまい良くなかった。
実施例9の結果から、本発明に係る製麺方法において、ポテトフレークを添加する場合の最適な添加量としては、6.5%以上20.0%以下であることが分かった。

Claims (8)

  1. 馬鈴薯澱粉を主原料とする麺を製造する製麺方法であって、
    前記馬鈴薯澱粉を主成分とする原料に加水する加水工程と、
    前記原料を加熱する加熱工程と、
    前記原料を混練する混練工程と、
    を順不同で行う麺生地製造工程と、
    該麺生地製造工程を経た後に、圧延法により麺線を成形する麺線成形工程と、
    を少なくとも行う製麺方法。
  2. 前記加熱工程は、前記加水工程と同時に行う請求項1記載の製麺方法。
  3. 前記加熱工程は、前記混練工程と同時に行う請求項1または2に記載の製麺方法。
  4. 前記加水工程と、前記加熱工程と、前記混練工程と、を同時に行う請求項1から3のいずれか一項に記載の製麺方法。
  5. 前記加水工程では、噴霧による加水を行う請求項1から4のいずれか一項に記載の製麺方法。
  6. 前記加熱工程では、65℃以上100℃未満で加熱を行う請求項1から5のいずれか一項に記載の製麺方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の製麺方法を用いて製麺した後に、
    麺線を糊化処理する糊化処理工程と、
    該糊化処理工程を経た後に、麺線を乾燥処理する乾燥処理工程と、
    を行う乾燥麺の製造方法。
  8. 請求項1から6のいずれか一項に記載の製麺方法を用いて製麺した後に、
    麺線を糊化処理する糊化処理工程と、
    該糊化処理工程を経た後に、麺線を凍結処理する凍結処理工程と、
    を行う冷凍麺の製造方法。
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