JP2011197172A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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恒夫 黒鳥
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Abstract

【課題】起泡剤液の保存安定性を損なうことを回避できる。
【解決手段】本発明の定着装置は、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する樹脂含有微粒子を軟化させる軟化剤を少なくとも含有する軟化剤液を収納する第1の容器と、軟化剤液をフォーム化する起泡剤を少なくとも含有する起泡剤液を収納する第2の容器と、第1の容器に収納された軟化剤液と第2の容器に収納された起泡剤液と希釈溶媒とを少なくとも混合してフォーム状定着液を生成するフォーム状定着液生成手段とを有している。フォーム状定着液生成手段によって生成されたフォーム状定着液を樹脂含有微粒子に付与し定着させる。そして、起泡剤液を保存する容器12の内部に微小な隔壁81で区切られた複数の空間を設けている。
【選択図】 図8

Description

本発明は定着装置及び画像形成装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。
しかし、このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、熱定着方式においてトナーを加熱することに消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させること、又はトナーを加熱することを必要としない定着方法が望まれている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方法としては、例えばトナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面から噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させるトナーの湿式定着方法が、特許文献1に提案されている。
しかしながら、特許文献1の湿式定着方法においては、水に不溶又は難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着剤を用いているため、多量の定着剤を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(非定着物)が、定着剤の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着剤に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着剤から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が従来よりいくつか提案されている。その一つとして例えば特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料を成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。また、特許文献3には、静電気的方法で形成された未定着画像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に受像シート上に定着できる定着方法に用いる定着用溶液が提案されている。上記特許文献3の定着用溶液は、トナーを溶解しかつシリコーンオイルと相溶状態となる、例えば炭化水素系のベンゼン、トルエンなどの溶剤(上記溶媒に相当する)を用い、当該溶剤に対するシリコーンオイルを所定の割合で混合してなる未定着トナー画像の定着用溶液である。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解又は膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
更に、特許文献4、5には、定着液を泡状とし、液体に比してかさ密度を下げて液体の表面張力の影響をなくすことで、従来よりも極微量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着する技術が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載されている油性の定着剤を上記特許文献4、5に記載のように泡化するためには、希釈溶媒において定着剤及び起泡剤を混合させる必要がある。ここで、フォーム状定着液に適する起泡剤としては一般にアニオン系界面活性剤が適している。このアニオン系界面活性剤の起泡性を最大限に発揮するのは液のpHが7以上の弱アルカリ性領域である。一方、定着液中のトナー等の樹脂を軟化する軟化剤は、エステル基を有している場合が大半で、pHが7以上のアルカリ性領域ではエステル基が加水分解を起こす。そのため、軟化剤が化学的に分解してしまい、軟化剤としての能力が失われる。このため、定着液の起泡性を重視して液のpHを7以上とすると、定着液の長期保存において保存容器内で軟化剤が化学的に分解し定着性能がなくなる問題がある。一方、pHを6以下の弱酸性とすると軟化剤の化学的分解は抑制されるが、起泡剤の能力が低下して定着液のフォーム化がうまくいかなくなり、泡膜の形成が劣化して定着不良を発生させてしまうという問題がある。
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、定着液の保存安定性を損なうことを回避できる定着装置と、信頼性が高くなる画像形成装置とを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する樹脂含有微粒子を軟化させる軟化剤を少なくとも含有する軟化剤液を収納する第1の容器と、上記軟化剤液をフォーム化する起泡剤を少なくとも含有する起泡剤液を収納する第2の容器と、上記第1の容器に収納された上記軟化剤液と上記第2の容器に収納された上記起泡剤液と希釈溶媒とを少なくとも混合してフォーム状定着液を生成するフォーム状定着液生成手段とを有し、上記フォーム状定着液生成手段によって生成されたフォーム状定着液を上記樹脂含有微粒子に付与し定着させる定着装置において、上記第2の容器は、内部が微小な隔壁で区切られた複数の空間を有することを特徴とする定着装置である。
また、請求項2の発明は請求項1記載の定着装置において、上記第2の容器を垂直方向に設置したとき鉛直方向に対して直交する方向に、上記隔壁が設けられていることを特徴とするものである。
更に、請求項3の発明は請求項1又は2に記載の定着装置において、上記隔壁は、網目状の繊維構造であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含む現像剤で静電記録プロセスを行い媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置により上記未定着トナー画像を媒体に定着させる定着手段とを具備することを特徴とする画像形成装置である。
本発明の定着装置によれば、定着液の保存安定性を損なうことを回避でき、信頼性が高くなる定着装置を提供できる。
本発明の定着装置の構成を示す概略構成図である。 本発明の定着装置の部分構成を示す概略構成図である。 本発明の定着装置の別の構成を示す概略構成図である。 液混合部の構成を示す概略構成図である。 本発明の定着装置に適する定着液保存容器の構成を示す概略断面図である。 本発明の定着装置に適する定着液保存容器の他の構成を示す概略断面図である。 従来の起泡剤保存容器の内部構成を示す概略断面図である。 本発明の起泡剤保存容器の内部構成を示す概略断面図である。 シート部材の隔壁を示す斜視図である。 網目状の隔壁を示す斜視図である。 別の発明の一実施の形態の画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
10,30 定着装置
11 軟化剤液密封容器
12 起泡剤液密封容器
13,14 液搬送ポンプ
15 バブリング槽
16 空気ポンプ
17 フォーム状定着液生成手段
18 供給口
19 塗布ローラ
20 泡膜制御ブレード
21 加圧ローラ
22 主制御部
23 攪拌手段
31 攪拌機構
40 液混合部
41 軟化剤液流路
42 起泡剤液流路
43,68 混合液流路
51,61 定着液保存容器
52,53 容器
56,57,69 封止ゴム
58,59 供給パイプ
62 起泡剤保存容器
63 軟化剤保存容器
64,65 加圧板
71,72 加圧アクチュエータ
81 隔壁
100 画像形成装置
はじめに、本発明の定着装置における背景及び原理について概説する。
pHが7以上9以下の状態で最も起泡性に優れるアニオン系界面活性剤、特に脂肪酸塩を含有した水性の液と、エステル基を有する軟化剤を含有した水性の液を混合しておくと、長期の保存中に、軟化剤が加水分解により化学的に分解するという問題があった。そこで、この問題の解決手段として、保存容器中では、起泡剤を含有した水性液(pH=7)と軟化剤を含有した水性液を独立した状態で保存し、容器内もしくは定着装置内にて、定着装置稼動とともにこれらの水性液を混合して、直ちに泡化してフォーム状定着液を作製し、媒体に付着した未定着のトナーなどの樹脂微粒子層に付与する方法が考えられる。
しかし、起泡剤を含有した水性液(pH=7〜9)と軟化剤を含有した水性液を単に混合しても、十分に混合せずにフォーム化(泡化)を行うと、フォーム密度の高い泡や、軟化剤が不均一に分布したフォーム状定着液となり、画像抜けや定着不足な定着となる恐れがある。これは、単に2つの液を混合するだけではなく、混合直後または同時に液を泡化する場合の特有の問題点である。即ち、本発明は、起泡剤を含有した水性液(pH=7〜9)と軟化剤を含有した水性液を保存中は独立した状態で保存し、定着稼動時に、2つの液を十分に混合後にフォーム化(泡化)する、もしくは、2つの液を混合後に十分泡化することが特徴であり、泡のプラトー境界に軟化剤が均一に溶解もしくは分散したフォーム状定着液とすることで、所望のフォーム密度を有し、均一な定着液付与と安定した定着が可能となる。
ここで、定着液は、希釈溶媒としての水と樹脂を軟化させる軟化剤と定着液をフォーム化させる起泡剤を含有する。また、樹脂微粒子、特に電子写真記録技術に用いるトナー粒子に用いる樹脂の代表としてポリエステル樹脂やスチレン・アクリル樹脂に対し、エステル基を持つ有機溶剤が樹脂軟化性に優れている。例えば、2塩基酸エステルや、脂肪酸アルコキシアルキルや炭酸プロピレンなどの環状エステルやクエン酸エステルなどは、トナー樹脂軟化性に特に優れている。一方、これらのエステル基を有する有機溶剤は、一般に水中で加水分解しやすいことが知られている。特に、水のpHが8以上のアルカリ性水中で、加水分解が促進される。これは、アルカリ性水に含まれる塩基性部材(ナトリウムイオン、カリウムイオン、アミンなど)の触媒作用によるためである。そこで、水中でこれらの塩基性部材を中和し、若干、酸が多めとなる弱酸性状態とすると、エステルの加水分解を飛躍的に抑制できる。
一方、フォーム状定着液を作製するために欠かせない起泡剤として、アニオン系界面活性剤、特にミリスチン酸アミンなどの脂肪酸塩は、水のpHが7〜10の範囲の弱アルカリ性領域で、最も起泡剤が高くなる。これは、弱アルカリ性領域で、脂肪酸塩が解離し、脂肪酸が水に溶解しやすくなり、脂肪酸ミセルを作りやすく、泡のプラトー境界が保持できるためである。逆にいうと、弱酸水中では、脂肪酸塩は、解離することができず、所謂酸性石鹸のごとく不溶化してしまい、ミセルの形成ができず、起泡性が極端に悪くなる。
このように、定着液中の起泡剤の起泡力を高めるには液は弱アルカリ性が望ましいが、定着液中の軟化剤の化学的分解を抑制するには液は弱酸性が望ましい。そこで、この相反する問題を解決するため、本発明では、定着液中の起泡剤と水を含有し弱アルカリ性とした液と、水を含まない又は水を含んでもpHが6〜7に保たれた状態で軟化剤を含有する液とを分離独立した状態で保持し、定着稼動時に2つの液を混合し、直後又は同時に泡化を行ってフォーム状定着液を作製し、紙などの媒体上の未定着トナー画像にフォーム状定着液を付与し画像の定着を行う構成を有しているのである。
ここで、定着液を、起泡剤を含有する液(以下、起泡剤液と称す)と、軟化剤を含有する液(以下、軟化剤液と称す)に分けて保持する構成において、先ず、起泡剤液は、起泡剤と増泡剤と希釈溶媒としての水とpH調整剤を含有することが望ましい。起泡剤としては、アニオン系界面活性剤、特に脂肪酸塩が望ましく、更に脂肪酸塩としては、脂肪酸アミン塩が望ましい。脂肪酸はアルキル基の炭素数12、14、16、18であるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の中から最適な組合せを選ぶ。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩やアミン塩がよく、特にトリエタノールアミン塩やジエタノールアミン塩が望ましい。増泡剤としては、脂肪酸アルカノールアミド、特に脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、本発明における泡沫安定性には(1:1)型が適する。更に、増泡剤として多価アルコール類、特にプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びグリセリンなどを単独もしくは混合することが適する。液のpHを7〜10の弱アルカリ性に維持するためのpH調整剤としてはアミン類が適する。
一方、軟化剤液は、軟化剤単独でもよいが、加水分解をより抑制するため増泡剤成分である多価アルコール類、特にプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びグリセリンを単独又は複数含有することも望ましい。また、若干の水を含有しておくと引火性が低減し危険物扱いにならずに済む利点がある。水を含有する場合、軟化剤液のpHは6〜7の弱酸に設定することが望ましい。但し、起泡剤液と軟化剤液を混合した際、混合液全体のpHは7以下とならない程度に弱酸とするためのpH調整剤の濃度を設定することが望ましい。軟化液中のpH調整剤としては、有機酸が望ましく、乳酸、クエン酸、リンゴ酸などが適する。
図1は本発明の定着装置の構成を示す概略構成図である。同図に示す本発明の定着装置10において、定着液を生成する軟化剤液は軟化剤液密封容器11に、また起泡剤液は起泡剤液密封容器12にそれぞれ独立した状態で分離して保存されている。定着装置の稼動時に、後述する主制御部22からの駆動制御信号に基づいて液搬送ポンプ13、14によって軟化剤液密封容器11からの軟化剤液と起泡剤液密封容器12からの起泡剤液は所望の混合比となるように供給され、所望の混合比の混合液はバブリング槽15へと送られる。そして、後述する主制御部22からの駆動制御信号に基づいてバブリング槽15では混合液が到達するタイミングで空気ポンプ16を作動させ、混合液をバブリングし、大きな泡径のフォーム状定着液を生成する。このときの泡は目視でもわかるくらいの大きな泡である。生成した大きな泡は、泡にせん断力を加えて細かな泡とするフォーム状定着液生成手段17に送られてフォーム状定着液を形成する。このフォーム状定着液生成手段17は2重の円筒部材を有し、内部の円筒部材が軸回転することで内部の円筒部材における外周面と外部の円筒部材における内周面とに発生するせん断力によって大きな泡から所望の泡径の小さな泡を生成するものである。このように生成されたフォーム状定着液は、供給口18から、塗布ローラ19に密接した泡膜制御ブレード20と塗布ローラ19との密接部に供給され、塗布ローラ19上に所望の泡膜を形成する。塗布ローラ19とそれに対峙する加圧ローラ21との間を未定着トナー画像が形成された記録媒体の紙を通すことで、フォーム状定着液の泡膜を未定着トナーに付与し、定着液中の軟化剤によりトナー樹脂が軟化し、加熱することなくトナー画像を紙に定着する。また、主制御部22は、定着装置の起動信号を受けて、液搬送ポンプ13、14の駆動、空気ポンプ16の駆動を制御することで、未定着トナー画像が形成された記録媒体の紙が搬送されるタイミングに合わせて混合、フォーム化を行い、フォーム状定着液を生成することができる。
なお、本発明の定着装置10の構成において、液搬送部、バブリング槽や泡をフォーム状にする部分では、起泡剤液と軟化剤液は混合しており、長期放置において軟化剤の化学的分解が起こる。従って、定着終了時もしくは定着開始時に、密封容器からフォーム状定着液供給口までの流路内の定着液は廃棄しておくことが望ましい。更に、廃棄により定着液が無駄に消費されるため、密封容器からフォーム状定着液供給口までの流路内の容積は極力小さいことが望ましい。
また、起泡剤液と軟化剤液は、十分均一に混合されないと混合後の泡化の際に起泡性が悪くなり、フォーム状定着液の密度が所望の値よりも高くなり、泡膜形成ができなくなる恐れがある。更には、軟化剤が泡のプラトー境界にて不均一に分布し、定着が不均一になる恐れがある。そこで、図2に示すように、バブリング槽15でも攪拌手段23による攪拌とバブリングの振動で起泡剤液と軟化剤液を混合する構成もよい。つまり、起泡剤液と軟化剤液の混合液部と泡化バブリングを発生させる泡化バブリング部を共通とし、その混合泡化バブリング部に回転する撹拌羽根などの撹拌機構を設けている。まず、液同士を撹拌羽根で撹拌し、撹拌しながら空気ポンプより空気を送りこむことで液をバブリングして定着液を泡化する。こうすることで、起泡性を損なうことなく、泡化しながら泡のプラトー境界で軟化剤を均一にすることができる。また、混合時の液同士の均一性を高めるため、図3に示すように、液同士を混合する際に撹拌機構31を別に設けることが望ましい。この図3では、回転する撹拌羽根を混合容器内に組み込み、泡化バブリングを行う前に十分に起泡剤液と軟化剤液を撹拌して均一に混合する構成とした。撹拌の仕方としては、そのほかに、超音波振動などが望ましい。
また、図4に示すように、流路だけの液混合部を設けることも適する。駆動部がないため極めて簡便な混合が可能となる。液混合部40として軟化剤液流路41と起泡剤液流路42が合流して混合する混合液流路43で構成する。軟化剤液流路41の流体抵抗と起泡剤液流路42の流体抵抗に対して混合液流路43の流体抵抗を小さくする。このようにすることで混合液流路43の流速が速くなり乱流が形成されるため、起泡剤液と軟化剤液が十分に混合される。
また、同図の(a)のように各流路の流体抵抗が同じであるものと異なり、図4の(b)に示すように、軟化剤液流路41の流体抵抗Rと起泡剤液流路42の流体抵抗Rの逆比率を、軟化剤液流路41の体積Iと起泡剤液流路42の体積Iの比率に近い設定((1/R):(1/R)≒I:I)とする。すると、互いの液の供給圧力P1とP2を同じにするだけで、混合後のお互いの体積比率がいつも安定に保つことができ、混合比率の制御を容易にできる。
次に、本発明の定着装置に適する定着液保存容器について説明する。
図5は本発明の定着液保存容器の構成を示す概略構成図である。同図に示す定着液保存容器51内には、起泡剤液を密封した容器52と軟化剤液を密封した容器53が独立した状態で設けられている。各容器は、アルミ箔をラミネートした樹脂のラミネード容器などが適する。各液容器52,53の先端には各供給口54,55が設けられ、その供給口54,55には連通手段としての封止ゴム56,57がそれぞれ設けられて液を封止している。このような構成を有する定着液保存容器51を定着装置に着脱可能に装着すると、定着装置側から先端が針状となった供給パイプ58,59が定着液保存容器51の各供給口54,55にそれぞれ対峙し、供給パイプ58,59の針状の先端が封止ゴム56,57をやぶって各液容器内とつながる。この構成では、各液容器内の液の混合は定着装置内で行われ、液供給のポンプも定着装置内に設置する。このような定着液保存容器によれば、泡剤液と軟化剤液を独立した状態で分離して保存でき、かつ液漏れもなく、着脱自在で交換が容易である。
図6は本発明の定着装置に適する定着液保存容器の他の構成を示す概略断面図である。同図に示す定着液保存容器61は、樹脂ラミネートで形成されたジャバラ構造の容器である起泡剤保存容器62及び軟化剤保存容器63と、平行可動してジャバラ構造の起泡剤保存容器62及び軟化剤保存容器63の底側から加圧して収納されている液を押し出すための加圧板64,65と、各容器の供給口66,67と、各供給口から供給される2つの液を混合する混合液流路68と、連通手段としての封止ゴム69を具備する混合液供給口70とを有している。また、加圧板64,65に圧力を加えるための加圧アクチュエータ71,72を挿入するために、定着液保存容器61の容器外壁には、孔73,74が設けられている。各供給口66,67は混合液流路68につながり、当該混合液流路68には少なくとも一つの回転可能な撹拌羽根75が設けられている。
このような構成を有する定着保存容器61を定着装置に装着すると、容器外壁の孔73,74から定着装置内の加圧アクチュエータ71,72が侵入し、加圧板64,65を押す機構となっている。一方、混合液供給口70は封止ゴム69で封止され、定着装置に定着保存容器61が装着されると定着装置側から針を有する供給パイプ76が封止ゴムをやぶって混合流路内に侵入する。定着装置稼動時に、加圧アクチュエータ71,72が作動して加圧板64,65を押し、樹脂ラミネートで形成されたジャバラ構造の容器である起泡剤保存容器62及び軟化剤保存容器63が変形することで各液が各供給口66,67から混合液流路68に供給される。供給後、撹拌羽根75のところで液同士が十分に混合され、定着液保存容器の混合液供給口70より起泡剤と軟化剤が均一に混合した定着液が供給される。なお、撹拌羽根は回転のための駆動源を持っていても良いが、液の流れで自然に回転する構成でも十分な撹拌能力は得られる。図6の構成では、定着保存容器内で既に起泡剤液と軟化剤液の均一混合がなされているため、定着装置側は、泡化バブリング機構のみ設置すればよく、定着装置の簡素化が可能となる。
さて、上記のごとく、脂肪酸塩のごときアニオン性界面活性剤を起泡剤とする場合、他の部材との分子レベルでの会合状態により固形分が分離する様子を図7に示す。同図は容器内の起泡剤液の沈殿の様子を示している。図7の(a)に示すように、起泡剤液を充填初期の状態で、起泡剤は希釈溶媒である水に溶解もしくはコロイド状に分散している。一ヶ月以上このまま静置しておくと、起泡剤と増泡剤の組合せによっては、低温環境で、起泡剤と増泡剤との会合が起こり、粒子状の固形分が析出する。例えば固形の比重が水よりも小さい場合、図7の(b)に示すように、固形分が容器の上部に浮き上がり、起泡剤液が水と固形化した起泡剤とに分離することがありうる。
なお、この固形物における起泡剤と増泡剤の結合は弱いため、軽く、起泡剤液を撹拌するだけでもとの状態に戻る。さて、撹拌機構を付加することなく、この問題を解決する方法として、容器内を微細な隔壁で区切ることが分離問題に対して極めて効果がある説明を以下に述べる。
図8は本発明の一実施の形態に係る容器内の様子を示す図である。同図に示す本実施の形態の、起泡剤液を密封した容器12としては、ポリエチレンの袋を用い、その袋の中に隔壁81として太さ0.2mmで目の間隔が1mmのポリエチレン製メッシュを数枚重ねたものを設けている。このとき、メッシュの端部は容器の壁まで届くように配置している。起泡剤液は図7と同じ液を用いた。図8の(a)に示すように、空気がメッシュ内に溜まらないようにメッシュ内を起泡剤液で充填した。その後、図7と同様に容器を立てかけて一ヶ月以上このまま静置しておくと、一見すると容器内で著しい固形分の分離は認められなかった。しかし、ルーペで観察すると、各メッシュでできた微細な隔壁81内で、固形分が僅かに上部に偏っていた。この状態で、容器全体を軽く少なくとも1回押さえつけると、メッシュが動いて、隔壁内の偏った固形分が再び均一化し、またしばらく均一のままであった。
このように、図7に示すような従来の隔壁がない容器では、一旦固形分が分離すると、容器内の液全体を撹拌する必要があるが、容器に微細な隔壁を設けると、もともと分離しにくくなり、分離は隔壁内だけで、しかもわずかな分離で済むため、軽く容器に変形を加えるだけで起泡剤液の分離を解消することができる。この方法により、大掛かりな撹拌機構を容器に設ける必要はなくなる。更に、容器を変形させなくても、定着装置稼動時の起泡剤液の供給に伴う隔壁内の液の流れにより起泡剤の偏りがなくなり、容器を変形させる必要もない。
上述したように、固形微粒子となった起泡剤は水との比重の違いで分離する。従って、分離を抑制する隔壁は、固形微粒子もしくは希釈溶媒である水の浮上に対して阻止する位置に設ける必要がある。即ち、該起泡剤を含有した液を保持する容器内の微小な隔壁は容器静置下で、鉛直方向に対して直交する方向に隔壁が少なくとも設けることが望ましい。また、微細な隔壁としては、微小なパイプ状構造物や連通の多孔質構造物なども適するが、液の供給における流体抵抗を小さくできる利点から、上記のごとく繊維でできたメッシュ状構造体が望ましい。
更に、繊維状隔壁における繊維の太さは、太いほど固形分の浮遊または沈殿を防止する効果が大きいが、太すぎると容器の液容積を小さくする不具合がある。繊維の太さとしては、0.1mmから2mm程度、望ましくは、0.3mmから1mm程度が適している。一方、繊維による網目状の隔壁の大きさは、小さいほど固形分分離を抑制するが、小さすぎると、液の流体抵抗が高くなり、起泡剤液の供給不良が発生しやすくなる。網目の大きさとしては、1mm角から10mm角、望ましくは、3mm角から6mm角程度が適する。
繊維を網目状とした隔壁81を有する部材は、図9に示すようにシート状であり、そのシート状の部材を数枚重ねて容器内に設置する。このとき、シート状の部材どうし、及びシート状の部材と容器の間は固定せず、単に容器にシート状の部材を入れておくだけでよい。
また、隔壁81を有するその他の構造としては、図10に示すように、連通多孔質体や成形により隔壁構造を設けた部材などが適する。
更に、微細な隔壁を設けることで、著しい固形分の浮遊や沈殿は防止できるものの、隔壁内で、わずかながら固形分の分離は起こす。この隔壁内での分離は、隔壁を僅かに変形させることで防止できる。この僅かの隔壁の変形は、図6のごとく容器を蛇腹状として、定着液供給時の容器事態の変形の際に同時に起こすことができ、隔壁を変形させるための特段の手段を設ける必要はない。あるいは、図6で蛇腹状容器を変形させる手段を定期的に動かして、隔壁を変形させる構成も、固形分の分離防止に有効である。
また、隔壁内の僅かな固形分分離は、隔壁内に流れが生じれば簡単に解消される。そこで、供給口からの定着液を供給ポンプを正回転と逆回転を繰り返して、少し、出したり戻したりすることを行えば、そのとき容器内に生じる液の流れにより隔壁内の固形分は均一に拡散し、分離を防止することができる。
ここで、樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。また、軟化剤については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きい、更に好ましくは5g/kgであることが好ましい。脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
更に、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルの一般式は、R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、R3(COOR4)で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本発明における定着液において、好ましくは上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの一般式は、R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、脂肪酸エステルではないが、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンなどの環状エステルも軟化もしくは膨潤剤として適する。
図11は別の発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。同図に示す画像形成装置は複写機又はプリンタであってもよい。図11の(a)はカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略図であり、図11の(b)は図11の(a)の画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す図である。図11の(a),(b)に示す画像形成装置100はトナー像担持体として中間転写ベルト101を有する。この中間転写ベルト101は、3つの支持ローラ102〜104に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト101に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット105〜108が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ104に対向する位置には、二次転写装置109が設けられている。二次転写装置109は、2つの支持ローラ110,111の間に張架された二次転写ベルト112で構成されている。なお、二次転写装置109としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ102に対向する位置には、ベルトクリーニング装置113が配置されている。ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト101上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙114は、一対の給紙ローラ115で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙114に転写する際に、二次転写ベルト112を中間転写ベルト101に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙114は、二次転写ベルト112によって搬送され、記録紙114に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいてフォーム状の定着液の膜厚を制御する本発明のトナーの定着装置によって定着される。すなわち、記録紙114に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいてフォーム状の定着液層の膜厚が制御されたトナーの定着装置から供給される本発明におけるフォーム状の定着液が付与され、フォーム状の定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、未定着のトナー像を、記録紙104に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図11の(b)に示すように、画像形成ユニット105〜108には、感光体ドラム116の周辺に、帯電装置117、露光装置(図示せず)から照射された画像信号に応じたレーザ光L、現像装置118、クリーニング装置119及び除電装置120が配置されている。また、中間転写ベルト101を介して、感光体ドラム116に対向する位置に、一次転写装置121が設けられている。また、帯電装置117は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置117は、帯電ローラを感光体ドラム116に接触させて、感光体ドラム116に電圧を印加することにより、感光体ドラム116の表面を一様に帯電する。この帯電装置117としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置118は、現像剤中のトナーを感光体ドラム116上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、本発明における定着液により溶解又は膨潤する。なお、現像装置118は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置121は、感光体ドラム116上で可視化されたトナーを中間転写ベルト101に転写する。ここでは、一次転写装置121としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト101を挟んで感光体ドラム116に押し当てている。一次転写装置121としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置119は、感光体ドラム116上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置119としては、感光体ドラム116に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置119によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置118に回収され、再利用される。更に、除電装置120は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム116の表面電位を初期化する。
次に、本発明における定着液及び定着の実施例について説明する。
[実施例1]
◇軟化剤を含有する液(軟化剤液)の処方
軟化剤:炭酸プロピレン 90wt%
増粘剤:ジプロピレングリコール 10wt%
上記の液を混合後、乾燥窒素ガスで10分間バブリングし、水分を除去した。
◇起泡剤を含有する液(起泡剤液)の処方
希釈溶媒:水 95wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
上記の液を混合し、ジエタノ−ルアミンを添加してpHが9となるように調整した。
起泡剤液と軟化剤液をそれぞれ、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れて保管容器とした。
◇軟化剤液と起泡剤液の混合及び定着液のフォーム化手段
図1に示すように、起泡剤液入りの容器と軟化剤液入りの容器それぞれにシリコーンゴム製の供給パイプをつなぎ、各々の供給ゴムをチューブポンプに接続して、バブリング槽へと接続した。各々のチューブポンプの流量を軟化剤液は1.65mL/分、起泡剤液は3.35mL/分と設定し、6秒間ポンプを駆動して、バブリング槽へ供給した。この動作によりバブリング槽内に軟化剤を約30wt%含有した定着液0.5mLが供給されたことになる。6秒間チューブポンプを作動後停止し、ダイヤフラム型エアーポンプを作動して、バブリング槽内でバブリングにより軟化剤液と起泡剤液を撹拌しながら泡化して大泡の定着液とした。
図1に図示した2重円筒の内側円筒は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モータにより回転する。2重円筒の材質は、PET樹脂とした。外側円筒内径:10mm・長さ120mm、内側円筒外形:8mm・長さ100mmとした。回転数は、1000rpmから2000rpmの範囲で可変とした。この円筒内に大泡状態の定着液を供給し、フォーム状定着液を作製した。
◇定着液付与手段
図1に示すように、作製したフォーム状の定着液をブレードに供給する。ブレードと塗布ローラとのギャップは40μmとした。
加圧ローラ:アルミ合金製ローラ(φ10mm)を芯金とし、外径Φ50mmのポリウレタンフォーム材(イノアック社商品名「カラーフォームEMO」)を形成したスポンジローラ
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30mm)。線速300mm/s。
膜厚制御ブレード:アルミ合金製支持板に厚み1mmの並板ガラスを接着。ガラス面を塗布ローラ側に向け、10μmから100μmの範囲で塗布ローラとガラス面の隙間を制御できるようにした。
紙搬送速度:300mm/s
<実施結果>
上記処方で作製した起泡剤液と軟化剤液を各容器に充填し、容器を立てかけて、15℃の温度下で放置した。各放置日数ごとに上記定着液フォーム化手段により泡状定着液を作成し、泡の密度を測定した。測定結果を以下の表1に示す。また、起泡剤容器内の起泡剤液の状態観察結果を以下の表2に示す。
Figure 2011197172
Figure 2011197172
表1、表2からわかるように、容器の放置日数が経過するにつれて、隔壁のない容器では、低温放置により起泡剤液中の固体成分が分離し、泡密度が高くなり起泡性能の劣化が認められる。一方、本発明の実施例である隔壁を有する容器では、起泡剤液中での固形分の著しい分離は目視では認められず、泡密度もほぼ一定で起泡劣化は認められなかった。
また、電子写真方式のカラー複写機(リコー社製 CX2500)を用い、マゼンタ色トナー層とイエロー色トナー層からなる全面べた画像(マゼンタートナー層の上にイエロートナー層)の未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)を作製した。定着装置を用いてPPC用紙上の未定着トナー画像の定着を行い、実施例では、A4当りの定着液塗布量が155[mg]で、画像流れや画像抜けのない良好な定着ができた。一方、比較例では、A4当りの定着液塗布量が490[mg]で、多量の液が紙に付着し、トナー画像に流れが認められ、定着劣化が生じた。
[実施例2]
起泡剤液、軟化剤液の処方は実施例1と同じ。
<起泡剤液の容器>
隔壁部材:0.3mmポリエチレン繊維の網(網目2mm、縦99mm、横20mm)
各液の容器:透明ポリエチレン樹脂(厚み0.2mm)製の袋状容器(縦100mm、横80mm)
起泡剤液の容器に隔壁部材である網シートを直径8mmになるように縦方向に丸めて棒状とし、ポリエチレン製袋状容器に丸めたシートを9本入れた。各容器にポリエチレン製袋の先に供給パイプを熱圧着し、定着装置への供給口とした。
<実施結果>
上記処方で作製した起泡剤液と軟化剤液を各容器に充填し、容器を横にして、15℃の温度下で放置した。各放置日数ごとに上記定着液フォーム化手段により泡状定着液を作成し、泡の密度を測定した。測定結果を以下の表3に示す。また、起泡剤容器内の起泡剤液の状態観察結果を以下の表4に示す。
Figure 2011197172
Figure 2011197172
表3、表4に示すように、容器の放置日数が経過するにつれて、隔壁のない容器では低温放置により起泡剤液中の固体成分が分離し、泡密度が高くなり起泡性能の劣化が認められる。一方、本発明の実施の形態である隔壁を有する容器では、起泡剤液中での固形分の著しい分離は目視では認められず、泡密度もほぼ一定で起泡劣化は認められなかった。
電子写真方式のカラー複写機(リコー社製 CX2500)を用い、マゼンタ色トナー層とイエロー色トナー層からなる全面べた画像(マゼンタートナー層の上にイエロートナー層)の未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)を作製した。定着装置を用いてPPC用紙上の未定着トナー画像の定着を行い、実施例では、A4当りの定着液塗布量が160[mg]で、画像流れや画像抜けのない良好な定着ができた。一方、比較例では、A4当りの定着液塗布量が530[mg]で、多量の液が紙に付着し、トナー画像に流れが認められ、定着劣化が生じた。
以上説明したように、本実施の形態によれば、図1に示すように、フォーム状定着液を生成する直前に軟化剤液と起泡剤液と希釈溶媒とを混合してフォーム状の定着液を生成する。軟化剤液と起泡剤液は、それぞれ独立した状態で収納可能な容器11、12に保存される。起泡剤液は容器に長期期間の保存したままにしておくと、起泡剤液を保存する容器12の内部は固化した部分とそれ以外の部分と分離してしまう。そこで、図8に示すように、起泡剤液を保存する容器12の内部に微小な隔壁81で区切られた複数の空間を設ける。上記容器12に起泡剤液を保存して長期期間経過した際の微小な隔壁81で区切られた空間内には、固形分が僅かに上部に偏っている。この状態での空間内で同じ現象が全ての空間で起きている。しかし、1つの分離自体は容器全体から見れば小さいので、分離を解消することも容易である。軟化剤液と起泡剤液とを混合する際に起泡剤液の分離を簡単に解消しておけば、混合して生成されるフォーム状定着液の定着応答性を確保できる。このように、本実施の形態によれば、起泡剤液の保存安定性を損なうことを回避できる。
また、容器を垂直方向に設置して保存していると鉛直方向に対して直交する方向、つまり水平方向に起泡剤液の固化した沈殿物が溜まる。この沈殿物が各空間にそれぞれ微小づつ溜まるために上記隔壁81は少なくとも水平方向に設けられていることが望ましい。更には、上記隔壁81は、図10に示すような網目状の繊維構造であることが望ましい。
更に、図11に示すように、このような定着装置を画像形成装置に搭載することで、起泡剤の能力が維持され、上記軟化剤液と上記起泡剤を混合して行う定着液のフォーム化が安定的に行うことができ、定着不良を防止できる画像形成装置を提供できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
特許第3,290,513号公報 特開2004−109749号公報 特開昭59−119364号公報 特開2004−109747号公報 特開2009−008967号公報

Claims (4)

  1. 樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する樹脂含有微粒子を軟化させる軟化剤を少なくとも含有する軟化剤液を収納する第1の容器と、上記軟化剤液をフォーム化する起泡剤を少なくとも含有する起泡剤液を収納する第2の容器と、上記第1の容器に収納された上記軟化剤液と上記第2の容器に収納された上記起泡剤液と希釈溶媒とを少なくとも混合してフォーム状定着液を生成するフォーム状定着液生成手段とを有し、上記フォーム状定着液生成手段によって生成されたフォーム状定着液を上記樹脂含有微粒子に付与し定着させる定着装置において、
    上記第2の容器は、内部が微小な隔壁で区切られた複数の空間を有することを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1記載の定着装置において、
    上記第2の容器を垂直方向に設置したとき鉛直方向に対して直交する方向に、上記隔壁が設けられていることを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1又は2に記載の定着装置において、
    上記隔壁は、網目状の繊維構造であることを特徴とする定着装置。
  4. 樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含む現像剤で静電記録プロセスを行い媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置により上記未定着トナー画像を媒体に定着させる定着手段と
    を具備することを特徴とする画像形成装置。
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