JP2011192773A - 半導体素子及び半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板1の一方の面に第1表面電極2を形成し、第1表面電極2が形成された基板の表面に、芳香族テトラカルボン酸及び芳香族テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上のアシル化合物を、前記芳香族ジアミンよりも1モル%以上多く反応して得られるポリアミド酸を含むポリイミド前駆体組成物を塗布し、イミド化して絶縁膜3を形成し、第1表面電極2及び絶縁膜3が少なくとも形成された基板1を、第1表面電極側からダイシングして素子ユニットを分離して半導体素子を製造する。
【選択図】図2
Description
前記絶縁膜は、芳香族テトラカルボン酸及び芳香族テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上のアシル化合物を、前記芳香族ジアミンよりも1モル%以上多く反応して得られるポリアミド酸を含むポリイミド前駆体組成物をイミド化して得られる、熱膨張率が2〜24ppm/℃のポリイミド膜であることを特徴とする。
基板の一方の面に第1表面電極を形成する第1表面電極形成工程と、
第1表面電極が形成された基板の表面に、芳香族テトラカルボン酸及び芳香族テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上のアシル化合物を、前記芳香族ジアミンよりも1モル%以上多く反応して得られるポリアミド酸を含むポリイミド前駆体組成物を塗布しイミド化して絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
第1表面電極及び絶縁膜が少なくとも形成された基板を、第1表面電極側からダイシングして素子ユニットを分離するダイシング工程とを含むことを特徴とする。
このポリイミド前駆体組成物は、ワニス安定性が良好で、取り扱い性に優れることから、半導体素子の製造工程の管理が容易である。また、このポリイミド前駆体組成物を成膜して得られるポリイミド膜は、耐熱性に優れ、適度な柔軟性、強度を有している。更には、熱膨張率が2〜24ppm/℃と、半導体素子基板に近い熱膨張率を有しているため、基板界面の残留応力を低減して、基板の反りや、絶縁膜のクラック等を抑制できる。よって、本発明によれば、長期にわたって信頼性の高い半導体素子を生産性よく製造できる。
本発明の半導体素子に用いる絶縁膜は、芳香族ジアミンと、芳香族テトラカルボン酸及び芳香族テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上のアシル化合物とを反応して得られるポリアミド酸を含むポリイミド前駆体組成物をイミド化して成膜したポリイミド膜である。
芳香族ジアミンとしては、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−5,5’−ビスベンゾオキサゾール、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル及び4,4’−ジアミノベンズアニリドから選ばれる1種以上を、70〜100モル%含有するものが好ましく用いられる。これらの芳香族ジアミンは、比較的剛直な構造を有し、熱膨張率を低くしつつ耐熱性に優れたポリイミド膜を形成できる。芳香族ジアミン全体に対する上記した芳香族ジアミン(以下、剛直構造ジアミンともいう)の割合が70モル%未満であると、耐熱性が低下する傾向にある。
アシル化合物としては、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸及び3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上を、70〜100モル%含有するものが好ましく用いられる。これらのアシル化合物は、比較的剛直な構造を有し、棒状の剛直鎖を形成することができるので、熱膨張率を低くしつつ耐熱性に優れたポリイミド膜を形成できる。アシル化合物全体に対する上記したアシル化合物(以下、剛直構造アシル化合物とうもいう)の割合が70モル%未満であると、耐熱性が低下する傾向にある。
ポリイミド前駆体組成物は、上記芳香族ジアミンと上記アシル化合物とを反応させて得られるポリアミド酸を少なくとも含有する。本発明においては、前記ポリアミド酸は、上記アシル化合物を、上記芳香族ジアミンよりも1モル%以上多く反応して得られるポリアミド酸を用いる。好ましくは、上記芳香族ジアミン1モルに対し、上記アシル化合物を1.01〜1.15モル、より好ましくは1.02〜1.08モル、特に好ましくは1.02〜1.05モル反応させて得られるポリアミド酸である。
また、ポリスチレン換算重量平均分子量が10,000以上50,000未満であるポリアミド酸(以下、低分子量ポリアミド酸ともいう)は、成膜後のポリイミド膜の機械強度などが低下する傾向にあるが、分子末端のカルボキシル基や酸無水物基の割合が増加することから、ワニス安定性、フィラー分散性、基板密着性が向上する。
そして、高分子量ポリアミド酸の割合が70〜100質量%で、低分子量ポリアミド酸の割合が0〜30質量%であれば、ワニス安定性に優れ、フィラー分散性が良好であり、更には、膜機械強度に優れ、耐熱性に優れたポリイミド膜が得られやすくなる。また、高分子量ポリアミド酸と低分子量ポリアミド酸とを混合して用いた場合には、両樹脂の機能を有するポリイミド膜を得ることができる。
本発明の半導体素子に用いる絶縁膜は、上記ポリイミド前駆体組成物を成膜して得られるポリイミド膜からなる。
次に、本発明の半導体素子について説明する。
[第1実施形態]
次に、本発明の半導体素子の製造方法の第1の実施形態について、図2を用いて説明する。
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。
上記した第1の実施形態では、第2表面電極5を形成した後、基板1の裏面側を研磨したが、この実施形態では、絶縁膜3を研磨または切削等により表面を削り、コンタクト電極4の上部を絶縁膜3上に削り出した後、表面電極側を基板1の裏面側を研磨して所定の厚みに調整し、裏面電極を形成した後、絶縁膜3上に第2表面電極5を形成する。
このようにして基板1の裏面側を研磨することで、基板研磨後の基板厚、絶縁膜厚の面内均一性が高くなり、基板1をより薄膜にし易くなる。
次に、本発明の半導体素子の製造方法の第2の実施形態について、図3を用いて説明する。
・重量平均分子量測定
測定装置:島津製作所製LC−10AD(解析ソフト:CLASS−VP、GPC for CLASS−VP)
UV検出:測定波長 270nm
カラム:PL製 Plgel 5μm MIXED−C 300×7.5mm
PL製 Plgel 5μm Guard 50×7.5m 2本
カラム温度:36℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500ml/Lと、テトラヒドロフラン(THF)500ml/Lと、リン酸5.8g/Lの混合液
流量:1ml/min(ポンプ流量誤差±2%)
標準ポリスチレン:東ソー標準キッド
樹脂濃度0.1Wt%
ポリイミド前駆体組成物の粘度が30Psになるように、N−メチルピロリドン(NMP)とジメチルアセトアミド(DMAc)とを重量比で1:1の割合で混合した混合溶剤を加えて調整し、25℃で48時間放置後の粘度を、東機産業株株式会社製E型回転粘度計、中粘度用M型を用い、25℃、20rpmまたは100rpmの条件で測定した。±10%以内の粘度変化の場合は○とし、±10〜12%の粘度変化の場合は△とし、それ以外を×とした。
ポリイミド前駆体組成物に、平均粒径5μmの窒化ホウ素を樹脂重量に対して25質量%添加した後、攪拌して分散させた。25℃で3時間放置した後の分散性を目視で観察し、均一分散の場合は○とし、僅かに沈降分離の場合は△とし、沈降分離の場合は×とした。
測定装置:Seiko instruments製 EXSTAR TMA/SS6000
測定試料:4mm×20mm×10μm
測定条件:25℃→300℃→25℃→300℃→25℃サイクルの2回目の冷却時における熱膨脹率変化を記録した。
昇温速度:5℃/分
荷重:2g(空気雰囲気)
測定装置:Seiko instruments製 EXSTAR 6000
測定試料:2g〜500mg
測定条件:N2ガスを200ml/分の流量で供給しながら、昇温速度10℃/℃にて、室温から600℃まで昇温し、1%重量減衰開始温度を記録した。
測定装置:Seiko instruments製 EXSTAR TMA/SS6000
測定試料:9mm×20mm×10μm
測定条件:最小張力/圧縮力=50mN、張力/圧力ケ゛イン=1.2、力振幅初期=50mN、周波数=1Hz、温度変化プログラム=室温〜300℃、昇温速度=5℃/min
測定装置:島津製作所製 精密万能試験機オートグラフ 床置型AG−10kNX
測定試料:0.01mm×10mm×35mm
測定条件:引張速度10mm/分(25℃)
測定装置:FT/IR−470Plus−Irtron IRT−30 (ニコレー製)
加熱温度:開始温度100℃〜700℃(30min)
昇温速度:20℃/min
(GC部)
カラム:Ultra ALLOY−DTM 2.5m×0.15mm
温度:300℃
注入口:300℃
インターフェース:280℃
キャリアガス:50Kpa 全流量60mL/min
シリコン基板上に製膜後の膜厚が30〜40μmとなるように、ポリイミド前駆体組成物を塗布後、プリベークした。この上にさらに該ポリイミド前駆体組成物を重ね塗布した。この操作を繰り返して膜厚を調整後、熱イミド化して試料を作製し、京都電子工業株式会社製、迅速熱伝導率計(QTM−50)を用いて熱伝導率を測定した。
(製造例1)
高粘度攪拌装置、窒素ガスラインを備えた500mLセパラブルフラスコ中に2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビベンゾオキサゾール12.54g(0.03モル)を秤量した。次いで、N−メチルピロリドン(NMP)とジメチルアセトアミド(DMAc)とを重量比で1:1の割合で混合した混合溶剤(以下、混合溶剤という)90gを加え、室温にて30分間攪拌した。
この混合反応液を氷冷攪拌下にて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物9.18g(0.0312モル)を粉体のまま添加した。さらに、上記混合溶剤20gを用い反応容器内に付着した3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を洗浄しながら追加添加した。氷冷攪拌2時間後、25℃に昇温後24時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。このポリアミド酸の重量平均分子量、ワニス安定性、フィラー分散性を表1に記載する。
得られたポリアミド酸に、上記混合溶剤を適量加えて粘度を30〜50Psに調整してポリイミド前駆体組成物を得た。このポリイミド前駆体組成物を、カップリング剤処理を施したシリコン基板にスピナーを用い塗布し、90℃6分ホットプレートを用いプリベーク処理した。(塗工膜厚はキュア後膜厚が8μmとなるようにスピンコート条件を調整した)。次いで、イナートオーブンを用い、50℃×60分→150℃×30分→250℃×60分×最終キュア温度(350又は400℃)×60分→冷却(室温)の温度プロセスで熱イミド化して成膜した。
そして、50%フッ化水素酸を用い、シリコン基板から成膜した膜を剥離し、十分水洗後130℃3時間加熱乾燥して評価用フィルムを得て、破断強度(MPa)、破断の伸び(%)、熱膨張率(ppm/℃)、弾性率(GPa)、1%重量減衰開始温度(℃)、脱ガス検知温度(℃)、分解ガスの種類を評価した。結果を表1にまとめて記す。
製造例1において、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビベンゾオキサゾール12.54g(0.03モル)の代わりに、p−フェニレンジアミン3.25g(0.03モル)を用いた以外は製造例1と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
製造例1において2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビベンゾオキサゾール12.54g(0.03モル)の代わりに、4,4’−ジアミノベンズアニリド6.82g(0.03モル)を用いた以外は製造例1と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
製造例1において、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビベンゾオキサゾール12.54g(0.03モル)の代わりに、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビベンゾオキサゾール12.18g(0.0291モル)と下式(2)に示すSiジアミン0.224g(0.0009モル)とを用いた以外は製造例1と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
製造例1において、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビベンゾオキサゾール12.54g(0.03モル)の代わりに、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビベンゾオキサゾール9.16g(0.0219モル)と、2,5‐ビス(4−アミノベンゾイル)チオフェン2.61g(0.0081モル)とを用いた以外は製造例1と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物9.18g(0.0312モル)の代わりに、ピロメリット酸二無水物6.8g(0.0312モル)を用いた以外は製造例1と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
製造例3において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物9.18g(0.0312モル)の代わりに、ピロメリット酸二無水物6.8g(0.0312モル)を用いた以外は製造例3と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
製造例5において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物9.18g(0.0312モル)の代わりに、ピロメリット酸二無水物6.8g(0.0312モル)を用いた以外は製造例5と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物9.18g(0.0312モル)の代わりに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物10.06g(0.0312モル)を用いた以外は製造例1と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の使用量を12.55g(0.03モル)とした以外は製造例1と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
このポリイミド前駆体組成物の粘度は、100Psを超え、ワニスハンドリングが大幅に悪化した。また、実施例1の混合溶剤を加えて粘度を30Psまで低下させたところ、樹脂濃度5.0%まで低下し、厚膜塗工が困難であった。また、ワニス安定性が悪化した。初期分解ガス成分もベンゼン環由来のガス(C6系ガス)を検知した。
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の使用量を12.55g(0.03モル)とし、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビベンゾオキサゾールの使用量を13.06g(0.0312モル)とした以外は実施例1と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
このポリイミド前駆体組成物は、ワニス安定性が極めて悪かった。また、膜の破断伸びが低く、強度不足が懸念される。更には、脱ガス開始温度が低く、初期分解ガス成分もベンゼン環由来のガスを検知した。
製造例2において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の使用量を12.55g(0.03モル)とし、p−フェニレンジアミンの使用量を3.25g(0.03モル)とした以外は製造例2と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
このポリイミド前駆体組成物の粘度は、100Psを超え、ワニスハンドリングが大幅に悪化した。また、実施例1の混合溶剤を加えて粘度を30Psまで低下させたところ、樹脂濃度5.1%まで低下し、厚膜塗工が困難であった。また、フィラー分散性も悪かった。初期分解ガス成分はベンゼン環由来のガスを検知した。
製造例2において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の使用量を12.55g(0.03モル)とし、p−フェニレンジアミンの使用量を3.38g(0.0312モル)とした以外は製造例2と同様にしてポリアミド酸を得てポリイミド前駆体組成物を調製した。このポリイミド前駆体組成物を用い、製造例1と同様にして成膜した。
このポリイミド前駆体組成物は、ワニス安定性が極めて悪かった。また、膜の破断伸びが低く、強度不足が懸念される。更には、脱ガス開始温度が低く、初期分解ガス成分もベンゼン環由来のガスを検知した。
市販の低熱膨張自己密着型樹脂ワニス(商品名:「SP−042」 東レ社製)を用い、ワニス安定性、フィラー分散性を評価した。また、この樹脂ワニスを用いて製造例1と同様にして成膜し、破断強度(MPa)、破断の伸び(%)、熱膨張率(ppm/℃)、弾性率(GPa)、1%重量減衰開始温度(℃)、脱ガス検知温度(℃)、分解ガスの種類を評価した。
この樹脂ワニスは、ワニス安定性が悪く、ハンドリング性に問題があった。また、脱ガス開始温度が300℃と極めて低かった。
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物9.18g(0.0312モル)の使用量を9.53g(0.0324モル)とした以外は、実施例1と同様にしてポリアミド酸を得た。このポリアミド酸の重量平均分子量は38000であった。
次に、得られたポリアミド酸30gと、製造例1のポリアミド酸70gと混合した。2種類のポリアミド酸は主鎖構造が同一のため、完全に溶解し、均一ワニスになった。このワニスに窒化ホウ素4.8g(商品名「HP−40」、JFES社製、平均粒径5μm、ポリアミド酸の全質量に対して30質量%に相当)を添加し、攪拌してポリイミド前駆体組成物を調製した。窒化ホウ素はワニスに均一分散した。このポリイミド前駆体組成物から成膜したフィルムの熱伝導率は1.4(W/m/K)であった。
一方、窒化ホウ素を添加しないこと以外は同様にして調製したポリイミド前駆体組成物を用いて成膜したフィルムの熱伝導率は0.2(w/m/k)であった。このように、窒化ホウ素を添加することにより放熱特性が著しく向上した。
図2に示す手順にて、半導体素子を製造した。
半導体セルが回路でつながれて形成された第1表面電極2(ニッケル電極)を有するシリコン基板(基板厚み500μm)上に、めっきレジスト(商品名「ZPN103」,ネガ型感化ゴムレジスト、日本ゼオン製)をコート後、露光、現像処理を行い、第1表面電極2上にコンタクトホール11が貫通して形成された20μm膜厚のレジスト膜を形成した。
電解めっき法を用いてコンタクトホール内にコンタクト電極4を作成した(図2−(c))。専用剥離液を用い、レジスト膜10を剥離してコンタクト電極4を露出させた(図2−(d))。
この基板上に、製造例1で合成したポリイミド前駆体組成物を、キュア後膜厚が20μm以上になるように塗布し、製造例1記載のキュア条件で熱イミド化してポリイミド膜(絶縁膜3)を作製した(図2−(e))。
このシリコン基板1上のポリイミド膜を、切削加工(切削加工装置DAS8920,株式会社ディスコ社製)してコンタクト電極4を削りだし、絶縁膜3上面に、コンタクト電極4を露出させた(図2−(f))。
次いで、コンタクト電極4より、ポリイミド膜表面に第2表面電極5をスパッタ法で作製した後、ポリイミド面を固定して、シリコン基板裏面を研磨加工してシリコン基板2を100μmまで薄板化した。薄膜化したシリコン基板は反ることが無く、平坦であり、シリコン基板の欠けも見られなかった。安定して次工程に進めることが出来た。
裏面電極6をスパッタ法で順次積層した後、ポリイミド面からダイサーを用いてチップを分割したところ、そりおよび欠けのない半導体素子を得ることが出来た。
2:第1表面電極
3:絶縁膜
4:コンタクト電極
5:第2表面電極
6:裏面電極
10:レジスト膜
11:ビアホール
Claims (17)
- 基板の少なくとも一方に、第1表面電極と、該第1表面電極の少なくとも一部を被覆する絶縁膜とが形成された半導体素子であって、
前記絶縁膜は、芳香族テトラカルボン酸及び芳香族テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上のアシル化合物を、前記芳香族ジアミンよりも1モル%以上多く反応して得られるポリアミド酸を含むポリイミド前駆体組成物をイミド化して得られる、熱膨張率が2〜24ppm/℃のポリイミド膜であることを特徴とする半導体素子。 - 前記絶縁膜の膜厚が1〜50μmである、請求項1に記載の半導体素子。
- 前記芳香族ジアミンが、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−5,5’−ビスベンゾオキサゾール、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル及び4,4’−ジアミノベンズアニリドから選ばれる1種以上を70〜100モル%含有する、請求項1又は2に記載の半導体素子。
- 前記アシル化合物が、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸及び3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上を70〜100モル%含有する、請求項1から3のいずれか記載の半導体素子。
- 前記ポリイミド前駆体組成物が、絶縁性放熱フィラーを含有する、請求項1から4のいずれか記載の半導体素子。
- 前記絶縁性放熱フィラーが、窒化ホウ素である、請求項5に記載の半導体素子。
- 前記ポリアミド酸が、ポリスチレン換算重量平均分子量が50,000以上200,000以下であるポリアミド酸の割合が70〜100質量%で、ポリスチレン換算重量平均分子量が10,000以上50,000未満であるポリアミド酸の割合が0〜30質量%である、請求項1から6のいずれか記載の半導体素子。
- 前記絶縁膜と第1表面電極との間に無機薄膜絶縁層が形成されている、請求項1から7のいずれかに記載の半導体素子。
- 前記無機薄膜絶縁層が、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素で構成されている、請求項8に記載の半導体素子。
- 前記絶縁膜の表面に第2表面電極が形成され、前記絶縁膜を連通して形成されたコンタクト電極を介して前記第1表面電極と第2表面電極とが導通するように構成されている、請求項1から9のいずれかに記載の半導体素子。
- 前記基板の厚みが150μm以下である、請求項1から10のいずれかに記載の半導体素子。
- 前記基板が、シリコン、SiC、GaNから選ばれる一種以上で構成されている、請求項請求項1から11のいずれかに記載の半導体素子。
- 基板の一方の面に第1表面電極を形成する第1表面電極形成工程と、
第1表面電極が形成された基板の表面に、芳香族テトラカルボン酸及び芳香族テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上のアシル化合物を、前記芳香族ジアミンよりも1モル%以上多く反応して得られるポリアミド酸を含むポリイミド前駆体組成物を塗布し、イミド化して絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
第1表面電極及び絶縁膜が少なくとも形成された基板を、第1表面電極側からダイシングして素子ユニットを分離するダイシング工程とを含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 前記第1表面電極が形成された基板にレジスト組成物を塗布し、プリベークしてレジスト膜を形成し、該レジスト膜を貫通して前記第1表面電極上にコンタクトホールを形成し、このコンタクトホール内にコンタクト電極を形成し、前記レジスト膜を剥離した後、前記絶縁膜形成工程を行い、次いで、前記コンタクト電極を介して前記絶縁膜上に第2表面電極を形成する、請求項13に記載の半導体素子の製造方法。
- 絶縁膜形成工程で形成した絶縁膜にビア部分を開口させ、開口したビア部分にコンタクト電極を形成した後、前記コンタクト電極を介して前記絶縁膜上に第2表面電極を形成する、請求項13に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記絶縁膜上に第2表面電極を形成した後、前記基板の他方の面を研磨して厚みを150μm以下に調整し、研磨した側の面に裏面電極を形成する、請求項14又は15に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記絶縁膜形成工程を終えた後、前記基板の他方の面を研磨して厚みを150μm以下に調整し、研磨した側の面に裏面電極を形成した後、前記絶縁膜上に第2表面電極を形成する、請求項14又は15に記載の半導体素子の製造方法。
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