JP2011181275A - 冷陰極紫外線管用電極及びこれを用いた冷陰極紫外線管 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐スパッタ性及び加工性を備え、管電圧を低くすることができる冷陰極紫外線管用電極及びそれを用いた冷陰極紫外線管を提供する。
【解決手段】冷陰極紫外線管1は、全量に対して0.1〜10質量%の範囲のMoと、Fe及び不可避的不純物とを含有する合金からなる冷陰極紫外線管用電極3を備える。冷陰極紫外線管用電極3は、前記合金が、全量に対して1.5〜5.5質量%の範囲のMoを含有することが好ましく、更にRuを含有することが好ましい。
【選択図】 図3
【解決手段】冷陰極紫外線管1は、全量に対して0.1〜10質量%の範囲のMoと、Fe及び不可避的不純物とを含有する合金からなる冷陰極紫外線管用電極3を備える。冷陰極紫外線管用電極3は、前記合金が、全量に対して1.5〜5.5質量%の範囲のMoを含有することが好ましく、更にRuを含有することが好ましい。
【選択図】 図3
Description
本発明は、冷陰極紫外線管用電極及びこれを用いた冷陰極紫外線管に関する。
空気中及び水中の除菌、殺菌、消毒、洗浄等に、紫外線管が用いられている。冷陰極紫外線管は、内部にHgとAr,Ne等の不活性ガスとが封入されたガラス管と、該ガラス管内の両端に管軸方向に互いに対向させて取り付けられた1対の冷陰極紫外線管用電極とを備える。冷陰極紫外線管では、1対の冷陰極紫外線管用電極間に高電圧を印加することにより電界が発生し、非加熱状態の陰極(冷陰極)から電子が放出される。次いで、この電子がHg原子に衝突することによりHg原子が励起され、該Hg原子が励起状態から基底状態に遷移するときに紫外線が放出される。
従来、冷陰極紫外線管用電極として、実質的にW又はNiより形成される電極材料が知られている(例えば、特許文献1参照)。この冷陰極紫外線管用W電極は、耐スパッタ特性が良好であることから長寿命が期待されるものの、Wはビッカース硬さが420HVと大きく電極への加工が困難であるため、製造コストが高くなるという不都合がある。
また、冷陰極紫外線管用Ni電極は、ビッカース硬さが75Hvと低く加工性に優れているものの、Niがスパッタされやすく、スパッタされたNi原子がガラス管内に封入されたHg原子と反応してHg原子を消耗するだけでなく、スパッタ物及び水銀化合物がガラス管壁面に付着してランプを変色させるため、紫外線の透過が悪化し、冷陰極紫外線管の寿命が短くなるという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、優れた耐スパッタ性及び加工性を備え、管電圧を低くすることができる冷陰極紫外線管用電極及びそれを用いた冷陰極紫外線管を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために種々検討を重ね、Wよりも低コスト化が可能で、加工性に優れ且つNiよりも耐スパッタ性に優れる金属元素として、Feに着目した。しかし、実質的にFeのみからなる冷陰極紫外線管用電極は、発錆や放電特性に課題が残るため、Feを主成分として種々の金属元素の添加を試みた。その結果、所定範囲の添加量のMoを含むFe基合金からなる冷陰極紫外線管用電極は、優れた加工性と放電特性と耐スパッタ性とを兼備することが可能であることを見出した。
そして、本発明者らは、含有量を0.1〜10質量%の範囲のMoを含有し、残部が実質的にFeである合金からなる冷陰極紫外線管電極において、耐スパッタ性を向上させることができ、管電圧を低くすることができることを知見した。更に、実質的にFeのみからなる冷陰極紫外線管用電極の場合には発錆するという問題があるが、前記範囲のMoを含有し、残部が実質的にFeである合金からなる冷陰極紫外線管用電極とすることにより、Moが酸素を優先的に捕獲して被膜を生じる結果、発錆を抑制することができることを知見した。
そこで、本発明の冷陰極紫外線管用電極は、全量に対して0.1〜10質量%の範囲のMoと、Fe及び不可避的不純物とを含有する合金からなることを特徴とする。
また、本発明の冷陰極紫外線管用電極は、より低い管電圧を実現するために、前記合金が全量に対して1.5〜5.5質量%の範囲のMoを含有することが好ましい。
本発明の冷陰極紫外線管用電極において、前記合金は、全量に対して5質量%以下のRuを更に含有することができる。これによれば、管電圧を更に低くすることができる。また、前記合金中のRuが酸素を取り込んで酸化ルテニウムからなる被膜を形成することにより、該合金中のFeの発錆を更に抑制することができる。
また、本発明の冷陰極紫外線管用電極において、前記合金は更にWを含有し、その含有量がMoとの合計で全量に対し10質量%以下であることが好ましい。
本発明の冷陰極紫外線管用電極は、冷陰極紫外線管に用いることができる。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態について更に説明する。
図1に示す実施形態の冷陰極紫外線管1は、空気中及び水中の除菌、殺菌、消毒、洗浄等に用いられるものであり、例えば、直径4.7 mm、長さ150 mmのガラス管2と、ガラス管2内の両端に取り付けられた1対の冷陰極紫外線管用電極3(以下、単に「電極3」と略記することがある)とを備える。
ガラス管2は、内部にHgとAr,Ne等の不活性ガスとが封入されている。
冷陰極紫外線管用電極3は、例えば、一方が開口する有底筒状体であって、開口部の外径が2.7mm、肉厚が0.15mm、長さが7.0mmとなっている。冷陰極紫外線管用電極3は、薄板状としてもよいが、有底筒状体であることにより、電子を放出させ易くすることができる。
1対の各冷陰極紫外線管用電極3は、前記開口部をガラス管2の軸方向に互いに対向させて、ガラス管2内に取り付けられている。冷陰極紫外線管用電極3の底部には、コバール線からなり、ガラス管2に封着されてガラス管2の外方に突出する封着ピン4が接続されている。封着ピン4の冷陰極紫外線管用電極3とは反対側の端部には、ジュメット線からなる外部リード線5が接続されている。また、封着ピン4には、ガラス管2との封着用ガラスビーズ(図示せず)が取り付けられている。
冷陰極紫外線管用電極3は、Feと、全量に対して0.1〜10質量%の範囲のMoと、不可避的不純物とを含有する合金からなる。
本実施形態の冷陰極紫外線管用電極3は、該電極3を構成する前記合金において基となる元素をFeとしたことにより、該電極3表面及び該電極3からのスパッタ粒子とガラス管2内のHg原子との反応を抑制しHg消耗の抑制及びスパッタ粒子がガラス管内壁に付着することでガラスと水銀との反応をも抑制する結果、冷陰極紫外線管1の寿命を長くすることができる。また、本実施形態の冷陰極紫外線管用電極3は、該電極3を構成する前記合金において基となる元素をFeとしたことにより、電極としての基本的な電気特性と優れた加工性とを得ることができる上に、低コスト化することができる。
しかし、冷陰極紫外線管用電極3を構成する前記合金が実質的にFeのみでは、発錆及び放電特性に課題が残る。そこで、本実施形態の冷陰極紫外線管用電極3では、前記合金に前記範囲のMoを添加している。
本実施形態の冷陰極紫外線管用電極3は、前記合金が前記範囲のMoを含有することにより、放電時の管電圧を低下させて電子放出特性を向上させることができる。また、本実施形態の冷陰極紫外線管用電極3は、前記合金が前記範囲のMoを含有することにより、Fe基合金の発錆を抑制することができる。また、本実施形態の冷陰極紫外線管用電極3は、前記合金が前記範囲のMoを含有することにより、Fe基合金とHgとの反応を抑制することができる。
冷陰極紫外線管用電極3を構成する前記合金において、Moの含有量が全量に対して0.1質量%未満の場合には、電子放出特性を向上させることができず、管電圧を低くすることができない。また、Moの含有量が全量に対して0.1質量%未満の場合には、Fe基合金の発錆を抑制することができず、且つ、Fe基合金とHgとの反応を十分に抑制することもできない。
一方、前記合金において、Moの含有量が全量に対して10質量%を超える場合には、該合金中にFe2Mo、Fe3Mo3等の脆性を示す金属間化合物が形成され、あるいは、硬度が大きくなることにより加工性が低くなるために、所望の形状を備える冷陰極紫外線管用電極3を形成することができない。
また、上述したMo含有の効果をより確実に得るためには、前記合金において、Moの含有量は全量に対して1.5〜5.5質量%の範囲であることが好ましい。
また、本実施形態の冷陰極紫外線管用電極3は、Feと、全量に対して0.1〜10質量%の範囲のMoと、不可避的不純物とに加えて、全量に対して5質量%以下のRuを更に含有する合金からなるものを用いることができる。この場合には、管電圧を更に低くすることができ、冷陰極紫外線管1の寿命を長くすることができる。
前記合金において、Ruの含有量が全量に対して5質量%を超えても、管電圧を更に低くすることはできない上に、コストが上昇してしまう。前記合金において、Ru添加による管電圧低下の効果を確実に得るためには、Ruの含有量を全量に対して0.1〜5質量%の範囲とするとよい。
また、本実施形態の冷陰極紫外線管用電極3は、前記MoとWの合計で、全質量に対して10質量%以下の範囲で含有する合金からなるものを用いることもできる。WはMoと同様に、放電時の管電圧を低下させて電子放出特性を向上させるだけでなく、Fe基合金の発錆を抑制して耐食性を向上させることができるため、Moの一部をWに置換してもよい。
前記合金において、WもMoと同様、過度に添加すると脆性の金属間化合物(Fe2W)を生成し加工性を劣化させるため、電子放出特性の改善効果を得つつ、加工性を劣化させない範囲として、MoとWの合計量の上限を10.0%とした。なお、MoとWの複合添加による前記効果を確実に得るには、MoとWの合計量の下限を0.1%とするとよい。
次に、本実施形態の冷陰極紫外線管1及び冷陰極紫外線管用電極3について、実施例と比較例とを示す。
本実施例では、まず、FeとMoとからなるインゴット10kgを真空溶解炉にて溶解して溶湯を調製し、該溶湯から所定の形状のブロックを製造した。前記ブロックは、全量に対して3.4質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金からなる。前記不可避的不純物は、前記合金の全量に対して、0.10質量%以下のCと、0.50質量%以下のSiと、0.50質量%以下のMnと、0.05質量%以下のPと、0.05質量%以下のSとを含有している。
次に、前記ブロックに対し1100℃の温度で熱間鍛造を行い、厚さ20mmの板材を得た。次に、前記厚さ20mmの板材をワイヤーカットすることにより、厚さ1mmの板材を得た。次に、前記厚さ1mmの板材を研磨することにより、前記ワイヤーカットで生じた酸化スケールを除去した。
次に、前記酸化スケールが除去された厚さ1mmの板材に対し、常温での冷間圧延と、水素雰囲気下800℃の温度での焼鈍とを、この順で繰り返し行うことにより、厚さ0.2mmの薄板材を得た。次に、前記厚さ0.2mmの薄板材を、水素雰囲気下800℃での焼鈍を10分間行った後に、常温に冷却することにより、冷陰極紫外線管用電極3に用いられる電極材料を得た。
次に、本実施例で得られた電極材料について、ビッカース硬さを測定したところ、156HVであった。結果を後掲の表1(実施例1)に示す。
次に、不可避的不純物を除き実質的にNiのみからなる電極材料について、本実施例と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、75HVであった。結果を表1(参考例1)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、4探針法により電気抵抗率を測定したところ、19.7μΩ・cmであった。結果を表1及び図2(実施例1)に示す。
また、前記厚さ0.2mmの薄板材から長さ20mm、幅20mmの試験片を切り出し、大気中に2160時間放置して発錆の有無を確認したところ、試験片に発錆は確認されなかった。
次に、本実施例で得られた電極材料から、縦20mm、横20mm、厚さ0.2mmの試験片を製造した。前記試験片を、スパッタ装置の真空チャンバー内に設置し、5.33×10−1PaのAr雰囲気下、投入電力150Wの条件で8時間連続スパッタを行った。次に、連続スパッタされた前記試験片の重量減を測定することにより、本実施例で得られた電極材料におけるスパッタ率を算出した。
次に、上記参考例1の電極材料について、本実施例と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、実施例1の電極材料のスパッタ率は59%に相当した。結果を表1に示す。なお、表1のスパッタ率は、その値が小さい程、スパッタによる消耗が少なく、耐スパッタ性が優れることを意味している。
次に、本実施例で得られた電極材料から、縦15mm、横1.5mm、厚さ0.2mmの薄板状の本実施例の冷陰極紫外線管用電極3を1対製造した。
次に、本実施例で得られた冷陰極紫外線管用電極3の性能評価を行うために、ガラス管の内部に、HgとAr,Ne等の不活性ガスとが封入され、かつ1対の薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を備える冷陰極紫外線管Aを製造した。
まず、冷陰極紫外線管Aを製造するために、本実施例で得られた1対の薄板状の冷陰極紫外線管用電極3の端部にコバール線からなる封着ピン4を接続し、該封着ピン4の該電極3とは反対側の端部にジュメット線からなる外部リード線5を接続した。封着ピン4には、ガラス管との封着用ガラスビーズ(図示せず)が取り付けられている。
次に、直径3mm、長さ300mmのガラス管内の両端に、封着ピン4が接続された薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を取り付けた。このとき、1対の冷陰極紫外線管用電極3は、封着ピン4が接続されていない側の端部が互いに対向するように、軸方向に取り付けられた。
次に、前記ガラス管の内部にHgとArガス及びNeガスとを封入した後に、封着ピン4と該ガラス管とを封着した。このとき、封着ピン4を前記ガラス管の外方に突出させることにより、冷陰極紫外線管Aを得た。
次に、得られた冷陰極紫外線管Aについて、1対の前記電極3の間に、5mA,6mA,7mA,8mAの管電流をそれぞれ印加し、それぞれの管電流に対して生じた管電圧を測定した。結果を図3(実施例1)に示す。
次に、不可避的不純物を除き実質的にNiのみからなる電極材料を用いた以外は、本実施例と全く同一にして、参考例1としての薄板状の冷陰極紫外線管用電極を1対製造し、1対の該電極を備える冷陰極紫外線管Bを製造した。得られた冷陰極紫外線管Bについて、1対の前記電極の間に、5mA,6mA,7mA,8mAの管電流をそれぞれ印加し、それぞれの管電流に対して生じた管電圧を測定した。結果を図3(参考例1)に示す。
次に、不可避的不純物を除き実質的にMoのみからなる電極材料を用いた以外は、本実施例と全く同一にして、参考例2としての薄板状の冷陰極紫外線管用電極を1対製造し、1対の該電極を備える冷陰極紫外線管Cを製造した。得られた冷陰極紫外線管Cについて、1対の前記電極の間に、5mA,6mA,7mA,8mAの管電流をそれぞれ印加し、それぞれの管電流に対して生じた管電圧を測定した。結果を図3(参考例2)に示す。また、前記冷陰極紫外線管A(本実施例の冷陰極紫外線管用電極3を備える)に8mAの管電流を印加したときに生じた管電圧を、前記冷陰極紫外線管C(参考例2の冷陰極紫外線管用電極を備える)の管電圧に対する比として、図4(実施例1)に示す。
次に、前記冷陰極紫外線管Aについて、管電流を6mA一定の条件で200時間放電させた後、該冷陰極紫外線管Aを開封して冷陰極紫外線管用電極3を取り出した。次に、冷陰極紫外線管用電極3からスパッタされた原子の有無及びHgとの反応を調べるために、該電極3の表面の組成と、前記ガラス管の内壁面の組成とを、電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)により測定した。結果を表2及び表3(実施例1)に示す。表2は冷陰極紫外線管用電極3の表面の組成を示し、表3は前記ガラス管の内壁面の組成を示す。
次に、前記冷陰極紫外線管Bについて、本実施例と全く同一にして、冷陰極紫外線管用電極の表面の組成と、ガラス管の内壁面の組成とを、EPMAにより測定した。結果を表2及び表3(参考例1)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料から、一方が開口する有底筒状体であって、開口部の外径が2.1mm、肉厚が0.15mm、長さが7.0mmである冷陰極紫外線管用電極3を2対製造した。
次に、本実施例で得られた冷陰極紫外線管用電極3を備える冷陰極紫外線管1について水銀消耗量評価を行うために、ガラス管2の内部に、1対の有底筒状体の冷陰極紫外線管用電極3を備える冷陰極紫外線管1を製造した。
まず、冷陰極紫外線管1を製造するために、本実施例で得られた1対の有底筒状体の冷陰極紫外線管用電極3の端部にコバール線からなる封着ピン4を接続し、該封着ピン4の該電極3とは反対側の端部に、ジュメット線からなる外部リード線5を接続した。封着ピン4には、ガラス管との封着用ガラスビーズ(図示せず)が取り付けられている。
次に、直径3mm、長さ569mmのガラス管2内の両端に、封着ピン4が接続された有底筒状体の冷陰極紫外線管用電極3を取り付けた。このとき、1対の冷陰極紫外線管用電極3は、封着ピン4が接続されていない側の端部が互いに対向するように、軸方向に取り付けられた。
次に、ガラス管2の内部にHgとArガスとNeガスとを封入した。前記封入は、Arガス及びNeガスの合計圧力が5.3kPaとなるように行った。次に、封着ピン4とガラス管2とを封着した。このとき、封着ピン4を前記ガラス管の外方に突出させることにより、冷陰極紫外線管1を得た。
次に、得られたガラス管2の長さが569mmである本実施例の冷陰極紫外線管1について、管電流を8mA一定の条件で2000時間放電した。次に、封入水銀量測定装置を用いてガラス管2を240℃の温度で加熱し、ガラス管2から放出された金属水銀量を測定したところ、3.64gであった。これは、前記放電の際に消耗されなかった水銀量に相当し、「有効水銀量」という。
次に、ガラス管2を900℃の温度で加熱し、ガラス管2から放出された水銀量を測定したところ、0.04gであった。これは、前記放電の際に消耗された管壁及び電極に付着した化合物水銀量に相当し、「消耗水銀量」という。
前記有効水銀量と前記消耗水銀量との和は、冷陰極紫外線ランプ1の製造時にガラス管2内に封入されたHg量に相当し、「総水銀量」という。そして、次式(1)により前記放電における水銀消耗率を算出した。結果を表4(実施例1)に示す。
水銀消耗率(%)={消耗水銀量(g)/総水銀量(g)}×100(%)…(1)
次に、参考例1の電極材料を用いたことを除いて、実施例1と全く同一にして、有底筒状体の冷陰極紫外線管用電極を1対製造し、長さ569mmのガラス管の内部に1対の該電極を備える参考例1の冷陰極紫外線管を製造した。
次に、参考例1の電極材料を用いたことを除いて、実施例1と全く同一にして、有底筒状体の冷陰極紫外線管用電極を1対製造し、長さ569mmのガラス管の内部に1対の該電極を備える参考例1の冷陰極紫外線管を製造した。
次に、得られたガラス管の長さが569mmである参考例1の冷陰極紫外線管について、実施例1と全く同一にして、管電流を8mA一定の条件で2000時間放電し、該放電における水銀消耗率を算出した。結果を表4(参考例1)に示す。
本実施例では、全量に対して6.6質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例の電極材料を製造した。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、200HVであった。結果を表1(実施例2)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、26.0μΩ・cmであった。結果を表1及び図2(実施例2)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本実施例の電極材料のスパッタ率は65%に相当した。結果を表1(実施例2)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料から、実施例1と全く同一にして、薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を1対製造し、ガラス管の内部に1対の該電極3を備える冷陰極紫外線管Dを製造した。
次に、得られた冷陰極紫外線管Dについて、実施例1と全く同一にして、1対の前記電極3の間に8mAの管電流を印加し、生じた管電圧を測定した。前記冷陰極紫外線管Dにおける管電圧を、前記冷陰極紫外線管Cの管電圧に対する比として、図4(実施例2)に示す。
本実施例では、全量に対して9.9質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いたこと以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例の電極材料を製造した。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、291HVであった。結果を表1(実施例3)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、26.2μΩ・cmであった。結果を表1及び図2(実施例3)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本実施例の電極材料のスパッタ率は71%に相当した。結果を表1(実施例3)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料から、実施例1と全く同一にして、薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を1対製造し、ガラス管の内部に1対の該電極3を備える冷陰極紫外線管Eを製造した。
次に、得られた冷陰極紫外線管Eについて、実施例1と全く同一にして、1対の前記電極3の間に8mAの管電流を印加し、生じた管電圧を測定した。前記冷陰極紫外線管Eにおける管電圧を、前記冷陰極紫外線管Cの管電圧に対する比として、図4(実施例3)に示す。
本実施例では、全量に対して0.17質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例の電極材料を製造した。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、113HVであった。結果を表1(実施例4)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、11.0μΩ・cmであった。結果を表1及び図2(実施例4)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本実施例の電極材料のスパッタ率は58%に相当した。結果を表1(実施例4)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料から、実施例1と全く同一にして、薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を1対製造し、ガラス管の内部に1対の該電極3を備える冷陰極紫外線管Fを製造した。
次に、得られた冷陰極紫外線管Fについて、実施例1と全く同一にして、1対の前記電極3の間に8mAの管電流を印加し、生じた管電圧を測定した。前記冷陰極紫外線管Fにおける管電圧を、前記冷陰極紫外線管Cの管電圧に対する比として、図4(実施例4)に示す。
本実施例では、全量に対して1.7質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例の電極材料を製造した。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、149HVであった。結果を表1(実施例5)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、15.4μΩ・cmであった。結果を表1及び図2(実施例5)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本実施例の電極材料のスパッタ率は57%に相当した。結果を表1(実施例5)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料から、実施例1と全く同一にして、薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を1対製造し、ガラス管の内部に1対の該電極3を備える冷陰極紫外線管Gを製造した。
次に、得られた冷陰極紫外線管Gについて、実施例1と全く同一にして、1対の前記電極3の間に8mAの管電流を印加し、生じた管電圧を測定した。前記冷陰極紫外線管Gにおける管電圧を、前記冷陰極紫外線管Cの管電圧に対する比として、図4(実施例5)に示す。
本実施例では、全量に対して5.0質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例の電極材料を製造した。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、175HVであった。結果を表1(実施例6)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、23.8μΩ・cmであった。結果を表1及び図2(実施例6)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本実施例の電極材料のスパッタ率は57%に相当した。結果を表1(実施例6)に示す。
次に、本実施例で得られた電極材料から、実施例1と全く同一にして、薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を1対製造し、ガラス管の内部に1対の該電極3を備える冷陰極紫外線管Hを製造した。
次に、得られた冷陰極紫外線管Hについて、実施例1と全く同一にして、1対の前記電極3の間に8mAの管電流を印加し、生じた管電圧を測定した。前記冷陰極紫外線管Hにおける管電圧を、前記冷陰極紫外線管Cの管電圧に対する比として、図4(実施例6)に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、不可避的不純物を除き実質的にFeのみからなる金属を用いたこと以外は、実施例1と全く同一にして、本比較例の電極材料を製造した。
本比較例では、不可避的不純物を除き実質的にFeのみからなる金属を用いたこと以外は、実施例1と全く同一にして、本比較例の電極材料を製造した。
次に、本比較例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、110HVであった。結果を表1(比較例1)に示す。
次に、本比較例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、10.1μΩ・cmであった。結果を表1及び図2(比較例1)に示す。
次に、本比較例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本比較例の電極材料のスパッタ率は58%に相当した。結果を表1(比較例1)に示す。
次に、本比較例で得られた電極材料から、実施例1と全く同一にして、薄板状の冷陰極紫外線管用電極を1対製造し、ガラス管の内部に1対の該電極を備える冷陰極紫外線管Jを製造した。
次に、得られた冷陰極紫外線管Jについて、実施例1と全く同一にして、1対の前記電極3の間に8mAの管電流を印加し、生じた管電圧を測定した。前記冷陰極紫外線管Jにおける管電圧を、前記冷陰極紫外線管Cの管電圧に対する比として、図4(比較例1)に示す。
次に、前記冷陰極紫外線管Jについて、実施例1と全く同一にして、冷陰極紫外線管用電極の表面の組成と、ガラス管の内壁面の組成とを、EPMAにより測定した。結果を表2及び表3(比較例1)に示す。
〔比較例2〕
本比較例では、全量に対して16.0質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本比較例の電極材料を製造した。
本比較例では、全量に対して16.0質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本比較例の電極材料を製造した。
次に、本比較例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、490HVであった。結果を表1(比較例2)に示す。
次に、本比較例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、33.6μΩ・cmであった。結果を表1及び図2(比較例2)に示す。
次に、本比較例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本比較例の電極材料のスパッタ率は65%に相当した。結果を表1(比較例2)に示す。
次に、本比較例で得られた電極材料から、実施例1と全く同一にして、薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を1対製造し、ガラス管の内部に1対の該電極3を備える冷陰極紫外線管Kを製造した。
次に、得られた冷陰極紫外線管Kについて、実施例1と全く同一にして、1対の前記電極3の間に8mAの管電流を印加し、生じた管電圧を測定した。前記冷陰極紫外線管Kにおける管電圧を、前記冷陰極紫外線管Cの管電圧に対する比として、図4(比較例2)に示す。
〔比較例3〕
本実施例では、全量に対して23.3質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本比較例の電極材料を製造した。
本実施例では、全量に対して23.3質量%のMoを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本比較例の電極材料を製造した。
次に、本比較例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、493HVであった。結果を表1に示す。
次に、本比較例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、36.2μΩ・cmであった。結果を表1及び図2に示す。
次に、本比較例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本比較例の電極材料のスパッタ率は83%に相当した。結果を表1に示す。
次に、本比較例で得られた電極材料から、実施例1と全く同一にして、薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を1対製造し、ガラス管の内部に1対の該電極3を備える冷陰極紫外線管Lを製造した。
次に、得られた冷陰極紫外線管Lについて、実施例1と全く同一にして、1対の前記電極3の間に8mAの管電流を印加し、生じた管電圧を測定した。前記冷陰極紫外線管Lにおける管電圧を、前記冷陰極紫外線管Cの管電圧に対する比として、図4に示す。
表1から、Moの含有量が全量に対して0.17〜9.9質量%の範囲であり、残部が実質的にFeである実施例1〜6の電極材料は、ビッカース硬さが300HV以下で小さく、加工性に優れていることが明らかである。金属材料において、ビッカース硬さが低い材料は冷間塑性加工性に優れており、ビッカース硬さが300HV以下であれば冷間加工が容易である。したがって、表1の結果から、実施例1〜6の電極材料は、実施例1の冷陰極紫外線ランプ用電極3に容易に加工することができることが明らかである。
また、表1から、Moの含有量が全量に対して0.17〜9.9質量%であり、残部が実質的にFeである実施例1〜6の電極材料のスパッタ率は、参考例1の電極材料よりも小さいことが明らかである。したがって、実施例1〜6の電極材料は、スパッタ率が小さく、優れた耐スパッタ性を備えることが明らかである。
また、図2から、Moの含有量が10質量%を越えると急に上昇することから、Moの含有量は10質量%以下が良いことがわかる。
また、図3から、実施例1の冷陰極紫外線管用電極3は、実質的にMoのみからなる参考例2の冷陰極紫外線管用電極に近い管電圧となっていることが明らかである。したがって、実施例1の冷陰極紫外線管用電極3は、管電圧が小さくエネルギー効率が良好であることが明らかである。
また、図4から、管電流を8mAとするとき、Moの含有量が全量に対して0.17〜9.9質量%の範囲であり、残部が実質的にFeである実施例1〜6の冷陰極紫外線管用電極3は、実質的にFeのみからなる比較例1の冷陰極紫外線管用電極と比較して、管電圧が小さいことが明らかである。また、Moの含有量が全量に対して1.5〜5.5質量%の範囲内にある冷陰極紫外線管用電極3は、管電圧が特に小さく、エネルギー効率が良好であることが明らかである。
また、冷陰極紫外線管A(実施例1の薄板状の冷陰極紫外線管用電極3を備える)においては、表2から、該電極3の表面にHg原子が存在していないことが明らかであり、表3から、ガラス管の内壁面にFe原子が3.3質量%存在し、Hg原子が存在していないことが明らかである。これは、冷陰極紫外線管用電極3の表面にMoが存在することによると考えられる。したがって、前記冷陰極紫外線管Aにおいては、前記電極3を構成するFe原子が僅かにスパッタされるものの、該電極3の表面とガラス管の内壁面との両方にFeとHgとからなる合金(アマルガム)が形成されていないことが明らかである。これにより、冷陰極紫外線管Aは、アマルガム形成によりガラス管内のHgを消耗することがなく、該冷陰極紫外線管Aの寿命を長くすることができることが明らかである。
一方、冷陰極紫外線管J(比較例1の薄板状の冷陰極紫外線管用電極を備える)においては、表2から、該電極の表面にHg原子が2.5質量%存在することが明らかである。したがって、冷陰極紫外線管Jにおいては、前記電極の表面にFeとHgとが微量ながら反応していることが明らかである。
また、冷陰極紫外線管B(参考例1の薄板状の冷陰極紫外線管用電極を備える)においては、表2から、該電極の表面にHg原子が86.94質量%存在することが明らかである。したがって、冷陰極紫外線管Bにおいては、前記電極の表面にNiとHgとが完全に反応してHgが付着していることが明らかである。
したがって、Moの含有量が全量に対して0.17〜9.9質量%の範囲であり、残部が実質的にFeである上記各実施例1〜6の冷陰極紫外線管用電極3をガラス管2の内部に備える冷陰極紫外線管1は、アマルガム形成によりガラス管内のHgを消耗することがなく、該紫外線管1の寿命を長くすることができることが明らかである。
また、表4から、Moの含有量が全量に対して3.4質量%であり、残部が実質的にFeである実施例1の冷陰極紫外線管用電極3は、実質的にNiのみからなる参考例1の冷陰極紫外線管用電極と比較して、水銀消耗率が格段に低いことが明らかである。したがって、実施例1の冷陰紫外線管1は、ガラス管2内のHgの消耗が非常に少なく、該紫外線管1の寿命を長くすることができることが明らかである。
本実施例では、全量に対して3.4質量%のMoと、全量に対して1.1質量%のRuとを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例の電極材料を製造した。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、153HVであった。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、22.1μΩ・cmであった。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタされた該試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本実施例の電極材料のスパッタ率は71%に相当した。
次に、本実施例で得られた電極材料を用いたことを除いて、実施例1と全く同一にして、実施例7としての薄板状の冷陰極紫外線管用電極を1対製造し、1対の該電極を備える冷陰極紫外線管Mを製造した。実施例7の冷陰極紫外線管Mは、Moの含有量が全量に対して3.4質量%であり、Ruの含有量が全量に対して1.1質量%であり、残部が実質的にFeである冷陰極紫外線管用電極3を備えている。得られた冷陰極紫外線管Mについて、1対の前記電極の間に、5mA,6mA,7mA,8mAの管電流をそれぞれ印加し、それぞれの管電流に対して生じた管電圧を測定した。結果を図3(実施例7)に示す。
図3に示すように、Ruを微量添加した実施例7の冷陰極紫外線管用電極は、実施例1の冷陰極紫外線管用電極よりも更に管電圧が小さいことが明らかで、参考例2の冷陰極紫外線管用電極に更に近い管電圧となっていることが明らかである。したがって、実施例7の冷陰極紫外線管用電極3は、管電圧が小さくエネルギー効率が良好であることが明らかである。
本実施例では、全量に対して0.3質量%のMoと、全量に対して5.0%のWとを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である合金を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例の電極材料を製造した。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、ビッカース硬さを測定したところ、107HVであった。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、電気抵抗率を測定したところ、22.0μΩ・cmであった。
次に、本実施例で得られた電極材料について、実施例1と全く同一にして、試験片を製造し、連続スパッタさせた試験片の重量減を測定することにより、該電極材料におけるスパッタ率を算出した。参考例1の電極材料のスパッタ率を100%とするとき、本実施例の電極材料のスパッタ率は65%であった。
以上の結果から、本実施例の電極材料のスパッタ率は、参考例1の純Ni製の電極材料より大幅に減少しており、電極として寿命が長いことが確認できた。
1…冷陰極紫外線管、3…冷陰極紫外線管用電極。
Claims (5)
- 全量に対して0.1〜10質量%の範囲のMoと、Fe及び不可避的不純物とを含有する合金からなることを特徴とする冷陰極紫外線管用電極。
- 前記合金は、全量に対して1.5〜5.5質量%の範囲のMoを含有することを特徴とする請求項1記載の冷陰極紫外線管用電極。
- 前記合金は、全量に対して5質量%以下のRuを更に含有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の冷陰極紫外線管用電極。
- 前記合金は、更にWを含有し、その含有量がMoとの合計で全量に対して10質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の冷陰極紫外線管電極。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の冷陰極紫外線管電極を用いたことを特徴とする冷陰極紫外線管。
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