JP2008204837A - 冷陰極蛍光ランプ用電極 - Google Patents

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耕司 新田
Shinji Inasawa
信二 稲沢
Kazuo Yamazaki
和郎 山▲崎▼
Takeyuki Tokuda
健之 徳田
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Abstract

【課題】電子放出性に優れる冷陰極蛍光ランプ用電極、及びこの電極を具える冷陰極蛍光ランプを提供する。
【解決手段】冷陰極蛍光ランプ1は、ガラス管10内にカップ状の電極12を具える。電極12は、基材表面に基材よりも仕事関数が小さい低仕事関数層を具える。基材は、ニッケル又はニッケル合金からなる。低仕事関数層は、基材の構成元素であるニッケルと希土類元素との金属間化合物から構成される。そのため、低仕事関数層は、基材との密着性に優れ、ランプ1の使用初期に剥離し難く、長期に亘り電子放出層として機能する。このような低仕事関数層を有する電極12を具えることでランプ1は、長期に亘り電子放出性に優れる。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷陰極蛍光ランプに用いる電極、及びこの電極を具える冷陰極蛍光ランプに関する。特に、電子放出性に優れる電極に関する。
従来、複写機やイメージスキャナなどの原稿照射用光源、パソコンの液晶モニタや液晶テレビなどの液晶ディスプレイのバックライト用光源といった種々の光源に冷陰極蛍光ランプが利用されている。このランプは、代表的には、内壁面に蛍光体層を有するガラス管と、管内の両端にそれぞれ配置される一対の電極とを具える。ガラス管内は、希ガス及び水銀が封入され、電極は、端部にリード線が溶接され、リード線を介して電圧が印加される。このランプは、両電極間に高電圧を印加して、ガラス管内の電子を電極に衝突させて電極から電子を放出させ、この電子と管内の水銀とを利用して紫外線を放射させ、この紫外線を利用して蛍光体を発光させることで発光する。
上記電極は、ニッケルからなるものが代表的である。特許文献1,2には、ニッケルからなる電極の表面をイットリウムの酸化物やイットリウムの水素化物(以下、イットリウム化合物と呼ぶ)で覆い、消費電力を低減したり、仕事関数を低減することが開示されている。
特開平9-113908号公報 特開平11-273553号公報
しかし、従来の電極は、電子放出性が十分でない。
イットリウムは仕事関数が低いことから、特許文献1,2に記載されるイットリウム化合物は、電子を放出し易いと考えられる。しかし、これらイットリウム化合物は、基材を構成するニッケルとの密着性が悪い。引用文献1,2に記載されるイットリウムの酸化物や水素化物からなるイットリウム化合物層は、ニッケルからなる基材の表面に、イットリウムの金属膜を形成した後、この金属膜を酸化させたり水素化させることで形成する。上記金属膜の形成には、スパッタや電子ビームなどを用いた蒸着を利用する。蒸着により金属膜を形成した場合、基材を構成するニッケルと金属膜を構成するイットリウムとの間で金属間化合物が実質的に形成されず、基材と化合物層とが十分に密着しない。そのため、これらイットリウム化合物層で覆われた電極を冷陰極蛍光ランプに使用した際、同化合物層は、使用早期に剥離してしまい、電子放出層として十分に機能していないのが実情である。
また、水素化物層を有する電極は、使用に伴い水素がガラス管内に放出され、この水素が水銀の電離を妨げることで紫外線発生量が低減して、ランプの発光が妨げられる恐れがある。
そこで、本発明の目的の一つは、電子放出性に優れる冷陰極蛍光ランプ用電極を提供することにある。また、本発明の他の目的は、電子放出性に優れる電極を具える冷陰極蛍光ランプを提供することにある。
本発明は、基材を構成するニッケルと希土類元素との金属間化合物を電子放出層に利用することで、上記目的を達成する。具体的には、本発明冷陰極蛍光ランプ用電極は、ニッケル又はニッケル合金からなる基材を具え、この基材の表面の少なくとも一部に低仕事関数層を有する。この低仕事関数層は、ニッケルと希土類元素とからなる金属間化合物を含む。本発明冷陰極蛍光ランプは、上記本発明電極を具える。
本発明電極は、基材よりも仕事関数が低い低仕事関数層を基材表面に具える。仕事関数が小さいことから低仕事関数層は、電子放出性に優れ、電子放出層として機能する。この低仕事関数層は、基材の主要構成元素であるニッケルと仕事関数が低い希土類元素とからなる金属間化合物を主成分とする。即ち、本発明電極は、基材の構成元素と低仕事関数の元素とが直接結合した金属間化合物を電子放出層の主要構成物とする。そのため、低仕事関数層は、基材との密着性が高い。このような低仕事関数層を具える本発明電極は、冷陰極蛍光ランプに使用した際、使用初期に低仕事関数層が剥離し難く、長期に亘って電子放出性に優れる。
また、本発明電極は、基材が塑性加工性に優れるニッケルやニッケル合金からなることで、所望の形状に容易に成形することができ、製造性が良い。更に、基材を比較的安価なニッケルやニッケル合金とすることで、比較的高価な希土類金属の使用量が少なくて済み、製造コストも低減できる。
本発明電極は電子を放出し易いことから、本発明電極を具える本発明冷陰極蛍光ランプは、紫外線を十分に放出させて、輝度を高めることができる。特に、本発明電極は、低仕事関数層が長期に亘り保持されることから、長期に亘り高輝度を維持することができ、輝度の低下を低減することができる。また、本発明ランプは、電極が電子を放出し易いことから、消費電力を低減できる。更に、本発明ランプは、使用時の電流を小さくできることから、電極のスパッタリングによる消費を抑えてランプの寿命をも長くすることができる。
更に、本発明電極は、低仕事関数層の構成物に水素化物を含有していないことから、使用に伴い水素を放出することが無く、かつ放出された水素により冷陰極蛍光ランプの発光を妨げて、ランプの寿命を短くさせることも無い。
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明電極は、基材と、基材表面を覆う低仕事関数層とを具える構成を基本構成とする。基材は、ニッケル又はニッケル合金からなるものとする。ニッケルは、Niと不可避的不純物とからなる純Niとする。ニッケル合金は、28質量%以上のNiと添加元素と不可避的不純物とからなるものとする。具体的には、Niを主成分(95質量%以上)とするものや、鉄を含有する鉄ニッケル合金が挙げられる。
Niを主成分とするニッケル合金は、Ti,Hf,Zr,V,Fe,Nb,Mo,Mn,W,Sr,Ba,B,Th,Be,Si,Al,Y,及び希土類元素(Yを除く)から選ばれる1種以上の元素を合計で0.001質量%以上5.0質量%以下含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなるものが挙げられる。
上記添加元素を含有するニッケル合金は、1.ニッケルよりも仕事関数が小さいため電子を放出し易い、2.スパッタリングし難い、3.アマルガムを形成し難い、4.酸化膜を形成し難いため、酸化膜により電子の放出が阻害され難い、といった利点を有している。そのため、このようなニッケル合金からなる基材に低仕事関数層を有する電極は、仮に低仕事関数層が消費されて基材が露出しても、輝度の低下や電極の消費を低減できる。特に、Yを含有するニッケル合金は、耐スパッタリング性が高い。上記添加元素の種類や含有量を調整することで、基材の仕事関数を変化させることができる。
鉄ニッケル合金は、例えば、以下の組成のものが挙げられる。
1. 鉄ニッケル合金:質量%でNi:41〜52%を含有し、残部:Fe及び不可避的不純物からなる合金
この合金は、更に、質量%でMn:0.8%以下,Si:0.3%以下を含んでいてもよい。
2. 鉄ニッケルコバルト合金:質量%で、Ni:28〜30%,Co:16〜20%を含有し、残部:Fe及び不可避的不純物からなる合金
この合金は、更に、質量%でMn:0.1〜0.5%,Si:0.1〜0.3%を含んでいてもよい。また、この合金は、市販のコバールを利用することができる。
3. 鉄ニッケルクロム合金:質量%で、Ni:41〜46%,Cr:5〜6%を含有し、残部:Fe及び不可避的不純物からなる合金
この合金は、更に、Mn:0.25質量%以下を含んでいてもよい。
上述のような鉄ニッケル合金は、電極に電力を供給するリード線、特に、ガラス管内に固定されるインナーリード線の構成材料にも利用される。そのため、上記鉄ニッケル合金で基材を形成すると、リード線との接合性に優れる。また、鉄ニッケル合金は、塑性加工性や切削加工性にも優れることから、電極本体とインナーリード線とを一体に形成することができる。電極本体とインナーリード線とを一体に形成することで、両者を別個に作製したり、両者を溶接などにより接合することが不要になり、電極部品の製造性を向上できる。但し、鉄ニッケル合金は、ニッケルよりも電子放出性や耐スパッタリング性が良くない。しかし、本発明電極は、電子放出性に優れる低仕事関数層を具えるため、このような鉄ニッケル合金を基材の構成材料とすることができる。
基材の形状は、種々の形状が利用できる。代表的には、中空の有底筒からなるカップ状や中実の柱状が挙げられる。カップ状の電極は、ホローカソード効果により、スパッタリングをある程度抑制できるため好ましい。柱状の基材は、基材形成材料からなる線状材を所定長に切断することにより形成することができ、製造が容易である。カップ状の基材は、代表的には、基材形成材料からなる板状材をプレス加工することにより形成することができる。電極本体とインナーリード線とを一体に形成する場合は、基材形成材料からなる線状材を作製し、この線状材の一端に鍛造加工を施すことでカップ状の電極本体を形成し、他端をインナーリード線とすることで、一体化物を形成できる。この線状材の他端を適宜切削して、インナーリード線の径を調整してもよい。或いは、基材形成材料からなる線状材全体に切削加工を施して、カップ状の電極本体と線状のインナーリード線との一体化物を形成してもよい。中実の柱状の電極本体と線状のインナーリード線とを一体に形成する場合は、線状材の一端を電極本体とし、他端をインナーリード線とするとよく、上述のように切削加工によりインナーリード線の径を調整してもよい。本発明電極は、電極本体とインナーリード線とが一体形成された構成を含むものとする。
本発明電極は、上述したニッケルやニッケル合金からなる基材の表面の少なくとも一部に低仕事関数層を有する。低仕事関数層は、基材を構成するNiと希土類元素とからなる金属間化合物を主要構成物とする。希土類元素(Sc,Y,及びランタノイド)は、概ね仕事関数が2.5〜3.5eVであり、ニッケルと比較して低く、ニッケルとの金属間化合物も仕事関数が小さい。従って、希土類元素とニッケルとの金属間化合物を主成分とする低仕事関数層は、仕事関数が小さいことから電子放出性に優れる。低仕事関数層は、基材がニッケルからなる場合、実質的にニッケルと希土類元素との金属間化合物から構成され、基材がニッケル合金からなる場合、金属間化合物からなる層中に合金の添加元素を含有することを許容する。
低仕事関数層は、基材表面を合金化することで形成する。合金化は、希土類元素を含有した溶融塩を用いた電解処理により行う。具体的には、希土類元素を含有した溶融塩浴を用意し、所定の形状に成形した基材、又は成形前基材(例えば、板状材や線状材)をカソード(陰極)とし、希土類元素からなる任意形状の片をアノード(陽極)として通電し、基材表面にニッケルと希土類元素との金属間化合物を形成する。このとき、被覆対象である基材表面から基材の厚さ方向の所定の領域において金属間化合物が形成され、被覆対象の一部(表面側)が低仕事関数層となり、被覆対象の残部が基材となる。従って、低仕事関数層と基材との合計厚さは、同層を形成する前の基材の厚さとほぼ同等、或いは若干大きい。
低仕事関数層の形成は、基材を所望の形状に成形する前でも後でもいずれでもよい。溶融塩浴の温度は、400〜900℃が好ましい。基材において金属間化合物を形成しない箇所(例えば、リード線の接続箇所)には、適宜マスキングを施してから電解処理を行う。カップ状電極とする場合、少なくともカップの内側(内周面)に低仕事関数層を設けることが好ましい。なお、金属間化合物の存在は、例えば、X線回折により調べられる。
ここで、蒸着によりイットリウム膜を形成し、膜中のイットリウムがニッケルと結合した場合、結合層中の希土類元素の含有量、及びニッケルの含有量は層の厚さ方向に漸次変化する。具体的には、結合層の表面側ほど希土類元素の含有量が高く、基材側ほどニッケルの含有量が高くなる。これに対し、概ね金属間化合物から構成される低仕事関数層は、同層中の希土類元素の含有量、及びニッケルの含有量が層の厚さ方向にほぼ一定で含有量がほとんど変化しない。このような低仕事関数層は、層全体に亘って基材の主要構成元素であるニッケルと十分に結合しているため、基材との密着性に優れる。
本発明電極を冷陰極蛍光ランプに使用した際、低仕事関数層は、使用に伴ってガラス管内のガスでスパッタされて摩滅するため、長期間に亘り高い電子放出性を維持するには、厚さが1μm以上であることが好ましく、厚いほど好ましい。従って、基材全体が実質的にニッケルと希土類元素との金属間化合物から構成されていてもよい。低仕事関数層は、上述のように金属間化合物を主要構成物とすることから、このような厚膜化も可能であり、厚膜としても基材から剥離し難い。低仕事関数層の厚さは、基材や成形前基材を溶融塩浴に浸漬する時間を調整することで変化させることができる。
但し、成形前基材に低仕事関数層を形成する場合、低仕事関数層は、寿命を満足する範囲内で薄いほうが好ましい。低仕事関数層を構成する金属間化合物は比較的脆いことから、同層が厚過ぎると、成形に要求される機械的強度を十分に有することができず、成形時に同層に亀裂が生じたり剥離する恐れがある。このことから、低仕事関数層の厚さは、基材の厚さの1/2以下であることが好ましい。低仕事関数層のより好ましい厚さは、1〜100μmである。なお、成形前基材に低仕事関数層を形成する場合、成形前基材に通電用端子を容易に接続できるため、層形成性に優れる。
希土類元素のうちイットリウム(Y)は、希土類元素の他の元素、特にランタノイドと比較して原子が小さいことからニッケルやニッケル合金からなる基材に浸透して合金化し易い、即ち、低仕事関数層の形成速度が速く、層形成性に優れる。電解処理により形成されるYとNiとの金属間化合物は、NiY,Ni2Y,Ni2Y3,Ni17Y2,Ni5Y,Ni4Y,Ni7Y2,Ni3Y,NiY3などの種々のものが挙げられる。低仕事関数層は、これら金属間化合物のうちの一種のみ、又は二種以上を組み合わせて構成される。特に、Ni2Yは、溶融塩浴が500〜700℃程度の温度域にある場合に支配的に形成されることから、低仕事関数層を安定して製造することができる。低仕事関数層中のNi2Yの含有量を多くするには、例えば、溶融塩浴の温度を高めることが挙げられる。
本発明電極は、冷陰極蛍光ランプの電極に利用する。冷陰極蛍光ランプは、内壁面に蛍光体層を有するガラス管を具え、この管内に本発明電極を配置して構成する。ガラス管内には、アルゴンやキセノンといった希ガス、及び水銀が封入される。
本発明電極は、低仕事関数層を具えることで、電子放出性に優れる。この低仕事関数層は、基材との密着性に優れ、本発明電極を冷陰極蛍光ランプに利用した際、使用初期に剥離し難く、長期に亘り高い電子放出性を維持することができる。このような本発明電極を具える本発明冷陰極蛍光ランプは、長期に亘り、電子放出性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
表1に示す組成の基材の形成材料を用いて、カップ状の電極(直径φ1.6mm×長さ3.0mm)を作製し、この電極を用いた冷陰極蛍光ランプを作製し、ランプの性能を評価した。
<電極の作製>
表1に示す組成の基材の形成材料からなる鋳塊に熱間圧延を施し、得られた圧延板材に熱処理を施した後、表面切削を行う。得られた表面処理材に冷間圧延及び熱処理を繰り返し行った後、最終熱処理(軟化処理)を行って、厚さ:0.1mmの軟化処理材を作製する。この軟化処理材を所定の大きさに切断し、得られた板状材に冷間プレス加工を施して、カップ状の基材を作製する。低仕事関数層を有していない電極は、この基材をそのまま電極として利用し、低仕事関数層を有する電極は、この基材に後述する電解処理を施して低仕事関数層を形成する。また、低仕事関数層の厚さ、同層の組成、仕事関数を測定するにあたり、試験片を別途用意する。測定用の試験片は、上記得られた板状材、及び板状材に低仕事関数層を形成したものを利用する。
Figure 2008204837
<低仕事関数層の形成手順>
1.導通の確保
直径φ0.5mmのニッケル線の一端を基材の外周に巻き付け、他端を電源に接続することで、基材に通電できるようにする。測定用の試験片は、板状材の片端に上記と同様のニッケル線の一端を抵抗溶接により接続して、このニッケル線を導線とする。
2.脱脂
ニッケル線を取り付けた基材や試験片(以下、これら基材や試験片を被覆対象と呼ぶ)を80℃、10質量%のNaOH水溶液に5分間浸漬して脱脂し、その後十分に水洗する。
3.電解脱脂
次に、10質量%のNaOH水溶液に被覆対象を浸漬し、ニッケル線の他端を電源の−極に接続する。また、白金をコートしたチタン板を上記NaOH水溶液に浸漬すると共に、電源の+極に接続する。この状態で、電流密度を100mA/cm2として3分間通電して電解脱脂を行った後、被覆対象を十分に水洗する。
4.酸活性
次に、コケイサンB(株式会社キザイ製活性化剤)を200g/Lで調整した溶液(30℃)に被覆対象を3分間浸漬して、基材や試験片の表面の活性化を行った後、被覆対象を十分に水洗する。
5.電解浴(溶融塩浴)の調整
150℃、24hr以上減圧乾燥したLiCl:420gとKCl:580gとを混合し、これらをアルミナルツボ(株式会社ニッカトー製SSA-Sグレード)内に収容して500℃に昇温して溶解した混合物を作製する。この溶解混合物に、表1に示す添加量(g/混合物1kg)の希土類元素の塩(使用試薬)を添加し、適宜かき混ぜながら1時間程度放置したものを電解浴とする。
6.低仕事関数層の形成
上記工程5で準備した電解浴を用いて、被覆対象を電解する。図1は、低仕事関数層の形成状態を説明する説明図である。ルツボ50をマントルヒーター60に配置し、電解浴51が表1に示す温度(成膜温度)を保持できるようにする。工程5までの前処理を施した被覆対象40をカソード、イットリウム金属といった希土類元素の棒材42をアノードとし、導線(ニッケル線)41及び棒材42を電源にそれぞれ接続し、電解を行う。電解条件は、電解浴の温度:表1に示す成膜温度(℃)、電流密度:50mA/cm2、成膜時間:表1に示す電解時間(分)とする。低仕事関数層の厚さは、電解時間を変化させることで変化させる。
上記工程により、ニッケル線で覆われた箇所を除く基材表面において、表面から所定の深さ(表2に示す厚さにほぼ等しい)までの領域を希土類元素と合金化させ、Niと希土類元素との金属間化合物を形成する。測定用の試験片も同様に表面から所定の深さまでの領域を希土類元素と合金化させ、Niと希土類元素との金属間化合物を形成する。
7.水洗・乾燥
被覆対象をルツボから取り出し、ニッケル線を取り外して十分に水洗した後、50℃の恒温槽内で15分乾燥させ、基材(又は板状材)の表面に低仕事関数層を具える電極(又は試験片)を得る。
<低仕事関数層の組成及び厚さ>
低仕事関数層を形成した試験片を端面(低仕事関数層と基材との積層状態が見える面)が露出するように樹脂に埋め込み、露出した端面と樹脂とを研磨して、断面(端面)を精度良く出す。この断面を電子顕微鏡で観察して、低仕事関数層の厚さを測定した。その結果を表2に示す。また、低仕事関数層を形成した試験片の表面部分をX線回折し、低仕事関数層の組成を調べた。その結果を表2に示す。
<仕事関数の測定>
大気走査型ケルビンプローブ(英国KP Technology社製)を用いて、試験片の仕事関数を測定した。使用したプローブのチップサイズは、直径2mmである。各試験片の仕事関数はそれぞれ、測定位置をずらしながら複数点測定し(N=5)、その平均値を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 2008204837
X線回折の結果により、低仕事関数層を形成した電極の表面には、希土類元素とニッケルとの金属間化合物が存在すること、基材がニッケル合金からなる場合、低仕事関数層中に合金の添加元素が存在することがあることが確認された。また、表2に示すように低仕事関数層は、ニッケルよりも仕事関数が小さい。更に、使用試薬にイットリウムの塩を用いた場合、低仕事関数層の成膜速度(厚さ(μm)/成膜時間(分))が速く、層形成性に優れる。
<冷陰極蛍光ランプの作製>
図2は、冷陰極蛍光ランプの模式断面図である。コバールからなるインナーリード線13iと銅被覆Ni合金線からなるアウターリード線13oとを溶接してリード線13を作製し、上述のようにして作製したカップ状の電極12の底面にインナーリード線13iを溶接する。ニッケルやニッケル合金とコバールとは融点が同程度或いは比較的近いため、電極とインナーリード線とを簡単に接合できる。インナーリード線13iの外周にガラスビーズ14を溶着させて、リード線13、電極12、ガラスビーズ14を一体にした電極部材を作製する。このような電極部材を二つ用意する。なお、リード線を接続した状態で基材に低仕事関数層を形成してもよい。
内壁面に蛍光体層(本試験ではハロリン酸塩蛍光体層)11を有し、両端が開口したガラス管10を用意する。開口したガラス管10の一端に一方の電極部材を挿入し、ガラスビーズ14と管10の端部とを溶着して、管10の一端を封止すると共に、この電極部材を管10内に固定する。次に、開口したガラス管10の他端から真空引きして希ガス(本試験ではArガス)及び水銀を導入し、他方の電極部材を同様にガラス管10内に固定すると共に管10を封止する。この手順により、一対の電極12の開口部が対向配置された冷陰極蛍光ランプ(サンプル)1を得る。
<ランプの性能評価>
作製した各サンプルについて初期輝度及び5000時間経過後の輝度を測定した。低仕事関数層を形成していない電極No.100を具えるサンプルNo.100における使用初期の中央輝度(43000cd/m2)を100とし、その他の電極を具える各サンプルの輝度を相対的に表わす。その結果を表3に示す。
Figure 2008204837
表3に示すように低仕事関数層を有する電極を具えるサンプルは、同層を有していない電極を具えるサンプルNo.100と比較して、初期の輝度が高く、長時間経過後も輝度の低下が少ない。この原因は、低仕事関数層が電子放出性に優れると共に、基材との密着性に優れることから、長期に亘り同層が電子放出層として機能することができたためと考えられる。また、表3に示すように低仕事関数層が厚いほど、長時間経過後の輝度の低下が低い。
上記試験結果から、低仕事関数層を具える電極は、輝度の低下が少なく長寿命な冷陰極蛍光ランプの実現に貢献すると推測される。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、基材表面だけでなく基材全体をニッケルと希土類元素との金属間化合物から構成した電極としてもよい。
本発明電極は、冷陰極蛍光ランプの電極に好適に利用することができる。本発明冷陰極蛍光ランプは、例えば、液晶ディスプレイのバックライト用光源、小型ディスプレイのフロントライト用光源、複写機やスキャナなどの原稿照射用光源、複写機のイレイサー用光源といった種々の電気機器の光源として好適に利用することができる。
基材表面に低仕事関数層を形成する際の説明図である。 冷陰極蛍光ランプの模式断面図である。
符号の説明
1 冷陰極蛍光ランプ 10 ガラス管 11 蛍光体層 12 電極
13 リード線 13i インナーリード線 13o アウターリード線
14 ガラスビーズ
40 被覆対象 41 導線 42 棒材 50 ルツボ 51 電解浴
60 マントルヒーター

Claims (5)

  1. ニッケル又はニッケル合金からなる基材を具え、 前記基材の表面の少なくとも一部に低仕事関数層を有しており、
    前記低仕事関数層は、ニッケルと希土類元素とからなる金属間化合物を含むことを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用電極。
  2. 希土類元素は、イットリウムであることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極。
  3. 低仕事関数層は、Ni2Yを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極。
  4. 低仕事関数層は、厚さが1μm以上でかつ基材の厚さの1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電極を具えることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
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