JP2009289556A - 電極及びその製造方法 - Google Patents

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太一郎 西川
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健之 徳田
Kazuo Yamazaki
和郎 山▲崎▼
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Abstract

【課題】冷陰極蛍光ランプの輝度の向上、長寿命化に寄与することができる電極、及びこの電極の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明電極は、冷陰極蛍光ランプに用いられる有底筒状の電極であり、塑性加工性に優れる純ニッケルやYを含有するニッケル合金からなる。この電極の内面における(220)面のX線回折の積分強度をI(220)、(111)面のX線回折の積分強度をI(111)とするとき、この電極は、I(220)/I(111)≧0.41を満たす。(111)面の存在割合が少ないことで、この電極は、仕事関数やエッチングレートが小さく、放電性及び耐スパッタリング性を高められる。I(220)/I(111)≧0.41を満たす電極は、純ニッケルやYを含有するニッケル合金からなる線状の素材にインパクト成形を施すことで得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、冷陰極蛍光ランプに用いられる電極、及びこの電極の製造方法に関するものである。特に、冷陰極蛍光ランプの輝度の向上、長寿命化に寄与することができる電極に関する。
液晶表示装置のバックライト用光源といった種々の電気機器の光源として、冷陰極蛍光ランプが利用されている。このランプは、代表的には、内壁面に蛍光体層を有する円筒状のガラス管と、この管の両端に配置される一対のカップ状の電極とを具え、管内に希ガス及び水銀が封入されている。電極の端面に接合されたリード線により、電極に電圧が印加される。電極の材質は、純ニッケルが代表的であり、特許文献1には、特定の元素を添加したニッケル合金が開示されている。また、特許文献1は、カップ状の電極の製造方法として、板材にプレス加工を施す方法、線材に鍛造加工を施す方法を開示している。この鍛造加工は、通常、多段で行う。
特開2007-173197号公報
昨今、冷陰極蛍光ランプの更なる高輝度化、長寿命化が望まれている。輝度は、電極の放電のし易さやスパッタリング速度(エッチングレートに同義)に依存する。また、電極から電子が取り出し易い、即ち、仕事関数が小さいと、放電し易い。一方、ニッケル電極は、点灯中、電極構成物質が飛散してガラス管内に堆積するスパッタリング現象が生じる。この堆積層が水銀を取り込むと、発光に必要な紫外線が蛍光体層から十分に放射されなくなり、ランプの輝度が低下する。従って、スパッタリングされ難い(エッチングレートが小さい)と、輝度の低下を抑制でき、高輝度な状態を維持し易い。また、輝度の低下によりランプが寿命となることを低減することができる。
特許文献1に記載されるニッケル合金からなる電極は、純ニッケルからなる電極よりもエッチングレート及び仕事関数が小さいため、ランプの高輝度化、長寿命化に寄与することができる。しかし、更なる高輝度化、長寿命化の要求を考慮すると、合金組成を調整する以外にも、エッチングレート及び仕事関数が小さい電極の開発が望まれる。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、冷陰極蛍光ランプの高輝度化、長寿命化に寄与することができる電極を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記電極の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、塑性加工性に優れる純ニッケル及びニッケル合金を対象として冷陰極蛍光ランプの電極を検討したところ、以下の知見を得た。仕事関数やエッチングレートは、電極を構成する組織の結晶方位に依存し、特定の優先方位を有する組織であると低い値になる。また、上記特定の優先方位を有する組織を精度よく得るには、カップ状に成形する際に余分な加工歪が加わらない製造方法が好ましい。
面心立方構造である純ニッケルやニッケル合金の結晶面(111),(100),(110)について、仕事関数及びエッチングレートを比較すると、(111)面、(100)面、(110)面の順に仕事関数及びエッチングレートが小さい。即ち、(110)面が優先的に配向した組織((110)面を優先方位の面とする組織)から構成される電極は、仕事関数及びエッチングレートが小さい。そのため、この電極は、放電し易く、スパッタリングが生じ難いと期待できる。ここで、面心立方構造の純ニッケルやニッケル合金は、X線回折を行うと、(110)面に対応するピークが実質的に現れない。しかし、X線回折を行って(220)面にピークが存在する場合、(110)面が優先的に配列していると捉えることができる。そこで、(220)面におけるX線回折の積分強度I(220)面及び(111)面におけるX線回折の積分強度I(111)を測定し、I(111)に対するI(220)の比(積分強度比):I(220)/I(111)を仕事関数やエッチングレートを低くするための指標とし、(220)面((110)面)を優先的に配向させる方法を検討した。そして、有底筒状(いわゆるカップ状)の電極を特許文献1に記載されるような製造方法により製造した場合、即ち、板状の材料にプレス加工(深絞り加工)を施した場合、又は線状の材料に多段の鍛造加工を施した場合、I(220)/I(111)が小さかった。これに対し、インパクト成形といった単段の鍛造加工で製造した場合、I(220)/I(111)が大きかった。この理由は、インパクト成形は、深絞り加工や多段の鍛造加工と比較して、組織に余分な歪が入り難いため、歪により(111)面が配向することを低減できたためと考えられる。また、純ニッケルよりも、Yなどの添加元素を含有したニッケル合金からなる電極の場合、I(220)/I(111)が大きくなる傾向にあった。
本発明は、上記知見に基づくものである。具体的には、本発明電極は、純ニッケル又はニッケル合金からなる有底筒状の電極であり、冷陰極蛍光ランプに用いられる。特に、この電極は、電極の内面における(220)面のX線回折の積分強度をI(220)、(111)面のX線回折の積分強度をI(111)とするとき、積分強度比I(220)/I(111)がI(220)/I(111)≧0.41を満たす。上記ニッケル合金は、Yを0.001質量%以上2.0質量%以下含有し、残部がNi及び不純物からなるものとする。
上記本発明電極は、以下の本発明製造方法により製造することができる。本発明電極の製造方法は、冷陰極蛍光ランプに用いられる電極を製造する方法に係り、以下の工程を具える。
1. 純ニッケルからなる線状の素材、又はYを0.001質量%以上2.0質量%以下含有するニッケル合金からなる線状の素材を準備する工程。
2. 上記素材にインパクト成形を施して、有底筒状の電極を形成する工程。
本発明電極は、積分強度比I(220)/I(111)が大きいことから、(220)面((110)面)が優先的に配向している。そのため、本発明電極は、仕事関数やエッチングレートが小さくなり、放電し易く、耐スパッタリング性に優れる。このような本発明電極を具える冷陰極蛍光ランプは、高輝度であり、輝度の低下による寿命を低減して、長寿命である。また、本発明電極は、ホローカソード効果が得られる有底筒状であることからも、放電し易い。更に、本発明電極は、塑性加工性に優れる純ニッケルやニッケル合金で構成されることから、有底筒状の本発明電極を塑性加工により容易に製造でき、生産性にも優れる。本発明電極の製造方法は、有底筒状の電極を容易に製造できる上に、積分強度比I(220)/I(111)が大きい電極を製造することができる。以下、本発明をより詳細に説明する。
[電極]
(組成)
本発明電極は、Ni及び不純物からなる純ニッケル、又は、添加元素と残部がNi及び不純物からなるニッケル合金により構成される。純ニッケルやニッケル合金は、塑性加工性に優れる上に、融点が低いため、コバールなどからなるリード線を溶接により容易に接合できる。ニッケル合金は添加元素にもよるが、1.純ニッケルよりも仕事関数が小さいため放電し易い、2.スパッタリングし難い(エッチングレートが小さい)、3.アマルガムを形成し難い、4.表面に酸化膜を形成し難いため、放電が阻害され難い、5.微細な組織になり易い、といった様々な利点を有する。
本発明においてニッケル合金は、Yを0.001〜2.0質量%含有する。Yを含有することで上記1〜5の効果に加えて耐スパッタリング性を高められる。Yのより好ましい含有量は、0.01〜1.0質量%である。Yに加えて、Si,Mg,Al,Cr,及びMnから選択される1種以上の元素を含有するニッケル合金は、耐スパッタリング性が更に高い。Si,Mg,Al,Cr,Mnの合計含有量は、0.001質量%3.0質量%以下が好ましい。特に、Si,Mg,Al,Cr,MnとYとの合計含有量は3.0質量%以下が好ましい。取分け、Y,Si,及びMgを含有するニッケル合金は、耐スパッタリング性が高い。好ましい含有量は、Y及びSiの合計で0.01〜2.0質量%、Mg:0.01〜1.0質量%である。添加元素が上記範囲未満であると、上述の効果が得られず、多過ぎると塑性加工性の低下を招く。これらの添加元素は、Niとの金属間化合物をつくり、電極中に存在する。
(配向性)
有底筒状の電極は、通常、その内面、特に底面を中心に放電が起こる。そのため、有底筒状の電極の内面が特定の優先方位を有していれば、放電性や耐スパッタリング性を高め易い。そこで、本発明電極は、内面(好ましくは底面)の積分強度比I(220)/I(111)が0.41以上を満たすものとする。電極の内面の全面に亘ってI(220)/I(111)が0.41以上でもよい。電極の外面のI(220)/I(111)は問わない。0.41以上でも0.41未満でもよい。I(220)/I(111)が大きいほど、仕事関数やエッチングレートが小さくなり易いため、0.6以上が更に好ましく、特に上限を設けない。
上述の配向性は、塑性加工に伴う歪の導入量や歪の方向により変化させられる。深絞り加工や多段の鍛造加工のように歪が多く導入される塑性加工では、単段の加工で得られるはずの組織が破壊されるなどして、電極組織中における(110)面の存在比率が低くなったり、(111)面の存在比率が高くなったりする。また、本発明電極を上述のようにYなどの添加元素を含有したニッケル合金で構成する場合、純ニッケルで構成する場合と比較して、(111)面の存在比率が低くなり易い。従って、上述の配向性は、添加元素の含有量や添加元素の種類によっても変化させられる。添加元素の含有量が多いほど、I(220)/I(111)が大きくなる傾向にある。
(仕事関数)
上記特定の優先方位を有する本発明電極は、仕事関数が小さく、4.7eV未満である。仕事関数が小さいほど、電極から電子が放出され易く、この電子を利用することで冷陰極蛍光ランプが発光し易くなって輝度を向上できるため、4.3eV以下が更に好ましく、特に下限を設けない。
(エッチングレート)
上記特定の優先方位を有する本発明電極は、エッチングレートが小さく、22nm/min未満である。エッチングレートが小さいほど、冷陰極蛍光ランプにスパッタリング層が生成され難くなるため、スパッタリング層に取り込まれる水銀量を低減して、水銀を発光に十分に利用できることからランプの輝度を向上できる。従って、エッチングレートは、20nm/min以下が更に好ましく、特に下限を設けない。
本発明電極をニッケル合金で構成する場合、仕事関数やエッチングレートは、添加元素の種類や含有量を調整することで変化させられる。添加元素の含有量を多くすると、仕事関数やエッチングレートは、小さくなる傾向にある。仕事関数及びエッチングレートの測定方法は、後述する。
(製造方法)
本発明電極は、代表的には、溶解→鋳造→熱間圧延→冷間伸線加工及び熱処理→成形用塑性加工により得られる。素材に鋳造材を利用することで、高密度(相対密度が98%超、概ね100%)で強度が高い電極が得られる。特に、本発明製造方法では、線状の素材を利用し、成形用塑性加工として、インパクト成形(衝撃加工による単段の鍛造成形)を利用する。インパクト成形の条件は、有底筒状の部材の成形に利用されている一般的な条件が利用できる。但し、電極の側壁の厚さを薄くし過ぎると電極の強度の低下を招くため、側壁の厚さが0.05mm以上となるように成形することが好ましい。
また、インパクト成形を施す線状の素材として、伸線加工時の加工度や伸線後に施す最終熱処理により、再結晶集合組織の優先方位を制御し、I(220)/I(111)≧0.41を満たす素材を利用すると、インパクト成形後の電極もI(220)/I(111)≧0.41を満たし易い。I(220)/I(111)≧0.41を満たす素材を製造するには、総加工度が70%以上の伸線加工、及び加熱温度を500℃以上とした最終熱処理の少なくとも一方を行うことが挙げられる。伸線加工時の加工度(総加工度)は、特に80%以上99%以下、最終熱処理の加熱温度は、600℃以上900℃以下、保持時間:1秒以上10時間以下がより好ましい。また、素材として、Yといった添加元素を含むニッケル合金を用いると、I(220)/I(111)を高くし易い。このように製造条件や成分を調整することで、素材全体が上記特定の配向性を有するような素材を製造することができる。
線状の素材の大きさ(直径)は、適宜選択することができる。冷陰極蛍光ランプ用の電極素材には、0.5〜5mmφが好ましい。
なお、インパクト成形を施して得られた有底筒状の電極は、(220)面((110)面)が優先的に配列した加工集合組織を有する。この電極は、冷陰極蛍光ランプを製造するにあたり、リード線を溶接したり、このリード線をガラス管に接合する際などで加熱される。この熱により、電極の組織は再結晶する。この再結晶組織も、(220)面が優先的に配列した再結晶集合組織を有し、I(220)/I(111)≧0.41を満たす。つまり、I(220)/I(111)≧0.41を満たす電極を用いれば、冷陰極蛍光ランプに取り付けられた電極も、I(220)/I(111)≧0.41を満たす。従って、この冷陰極蛍光ランプは、高輝度で、長寿命である。
本発明電極は、冷陰極蛍光ランプの輝度の向上や長寿命化に貢献することができる。本発明電極の製造方法は、特定の優先方位を有する上記本発明電極を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(試験例1)
表1に示す組成からなる板材を作製して、X線回折を利用し、この板材における(220)面の積分強度I(220)及び(111)面の積分強度I(111)を調べた。
板材は、以下のように作製した。通常の真空溶解炉を用いて表1に示す成分組成を有する金属の溶湯を作製した。表1に示す「Ni」は、市販の純ニッケル(99.0質量%以上Ni)であり、精錬により、C及びSの合計含有量を低減させたものを用いた。なお、溶解は、大気溶解炉で行ってもよい。大気溶解炉を利用する場合、精錬などにより不純物や介在物を除去又は低減したり、温度調整を行って溶湯を調整する。
用意した溶湯の温度を適宜調整して、真空鋳造により鋳塊を得た。得られた鋳塊に熱間圧延を施し、熱間圧延板を得た。この熱間圧延板の表面を切削した後、冷間圧延及び熱処理を繰り返し行い、更に同じ厚さの板材が得られるように表面の切削量を調整した後、熱処理(軟化処理:800℃×1時間、真空雰囲気)を施して、熱処理材(軟材)を得た。得られた熱処理材に冷間圧延の総圧下率(%)が表1に示す値となるように更に冷間圧延を行った後、最終熱処理(軟化処理:800℃×1時間、真空雰囲気)を施して、板材(軟材)を得た。なお、軟化処理は、真空雰囲気以外の雰囲気でもよい。例えば、熱伝導率が高い水素の含有量が高い雰囲気(特に、水素雰囲気)で行うと、効率よく加熱できることから移動速度(線速)を速められるため、生産性を向上することができる。或いは、水素の含有量が少ない雰囲気や窒素雰囲気などの水素を含まない雰囲気で行うと、電極の水素含有量を低減して、リード線の溶接時などで電極が酸化変色することを防止できる。
最終熱処理を施して得られた板材にX線回折を行い、X線回折プロファイルを取得して、積分強度比I(220)/I(111)を算出した。具体的には、板材の表面における任意の5箇所のX線回折プロファイルを取得して、各箇所におけるI(220)/I(111)を求め、5箇所のI(220)/I(111)の平均値を表1に示す。
また、最終熱処理を施して得られた板材の仕事関数及びエッチングレートを調べた。その結果を表1に示す。
仕事関数は、前処理として素材にArイオンエッチングを数分間実施した後、紫外線光電子分光分析法により測定した。測定は、複合電子分光分析装置(PHI製ESCA-5800 付属 UV-150HI)を用い、紫外線源:He I (21.22eV)/8W,測定時の真空度:3×10-9〜6×10-9torr(0.4×10-9〜0.8×10-9kPa),測定前のベース真空度:4×10-10torr(5.3×10-11kPa),印加バイアス:約-10V,エネルギー分解能:0.13eV,分析エリア:φ800μm 楕円形,分析深さ:約1nmとした。なお、仕事関数は、大気走査型ケルビンプローブ(英国KP Technology社製)を用いて測定することもできる(使用プローブのチップサイズ:直径0.3mm)。この場合、各試料に対し、測定位置をずらしながら複数点(例えば、N=5)測定し、その平均値を利用する。
エッチングレートは、以下のようにして求めた。前処理として板材に部分的にマスキングを行い、マスキングされていない露出部分にイオン照射を所定時間行った後、イオン照射により露出部分により生じた窪みの平均深さを測定し、平均深さ/照射時間をエッチングレートとした。イオン照射は、X線光電子分光分析装置(PHI製 Quantum-2000)を用い、加速電圧:4kV,イオン種:Ar+,照射時間:120min,真空度:2×10-8〜4×10-8torr(2.7×10-9〜5.3×10-9kPa),アルゴン圧:約15mPa,入射角度:試料面に対して約45度として行い、窪みの深さは、触針式表面形状測定器(Vecco社製 Dektak-3030)を用い、触針:ダイヤモンド 半径=5μm,針圧:20mg,走査距離:2mm,走査速度:Mediumとして測定した。
Figure 2009289556
表1に示すように、冷間圧延時の圧延率を高くして再結晶集合組織の優先方位を制御することで、(220)面を優先的に配向できることが分かる。また、(220)面が優先方位の面であることで、仕事関数及びエッチングレートが小さい素材が得られることが分かる。更に、Yといった添加元素を添加することでも、(220)面を優先的に配向できる上に、仕事関数及びエッチングレートが更に小さい素材が得られることが分かる。
この試験から、(220)面を優先的に配向させるように集合組織を制御すると、仕事関数やエッチングレートが小さい素材が得られることが分かる。
(試験例2)
表2に示す組成からなる線状の素材に冷間塑性加工を施して、有底筒状の電極を作製し、この電極を用いた冷陰極蛍光ランプの輝度及び寿命を調べた。
線状の素材は、以下のように作製した。試験例1と同様にして真空鋳造により鋳塊を得た。得られた鋳塊を熱間圧延により線径5.5mmφまで加工して熱間圧延線材を得た。この熱間圧延線材に冷間伸線及び熱処理を組み合わせて施し(総伸線加工度:86.8%)、得られた線材に、試験例1と同様の条件で軟化処理を施して、線径2.0mmφの線状の軟材を得た。
得られた線状の軟材を所定の長さに切断し、得られた素材に表2に示す成形法の加工を施し、有底筒状の電極(外径2.1mmφ、長さ5.0mm、開口部の直径1.9mmφ、開口部の深さ4.7mm、底部分の厚さ0.3mm、側壁の厚さ:0.1mm)を作製した。試料ごとに複数の電極(特性測定用電極、ランプ作製用電極)を用意した。そして、得られた特性測定用電極に、コバールからなるインナーリード線と銅被覆Ni合金線からなるアウターリード線とを溶接し、更に、上記電極の外側の底面にインナーリード線を溶接する。上記インナーリード線の外周にガラスビーズを溶着させて、リード線、電極、及びガラスビーズが一体化した電極部材を作製する。
上記電極部材に具える特性測定用電極について、X線回折における積分強度比I(220)/I(111)、仕事関数及びエッチングレートを測定した。I(220)/I(111)は、電極をその軸方向(縦方向)に切断して、内面の任意の5箇所を選択し、各箇所のX線回折プロファイルを取得して、各箇所におけるI(220)/I(111)を求め、5箇所のI(220)/I(111)の平均値を表1に示す。仕事関数、及びエッチングレートは、試験例1と同様にして測定した。
Figure 2009289556
表2に示すように、インパクト成形を行うことで、積分強度比I(220)/I(111)が0.41以上の電極が得られることが分かる。また、I(220)/I(111)が0.41以上であると、仕事関数及びエッチングレートが小さいことが分かる。特に、Yといった添加元素を含有するニッケル合金からなる電極は、I(220)/I(111)が更に高く、仕事関数及びエッチングレートが更に小さいことが分かる。なお、伸線加工度や軟化処理を調整することで、I(220)/I(111)が0.41以上の電極が得られ易くなったと考えられる。試料No.2-1〜2-7に用いた線径2.0mmφの線状の軟材において、試験例1と同様にしてI(220)/I(111)を調べたところ、いずれも0.41以上であった。ここでは、上記軟材の端面において任意の5箇所の平均を評価した。
ランプ作製用電極を用いて冷陰極蛍光ランプを作製し、輝度及び寿命を調べた。その結果を表3に示す。市販の輝度計を用いて各冷陰極蛍光ランプの中央輝度を測定し、この測定値を用いて輝度及び寿命を評価した。具体的には、輝度は、試料No.2-10の冷陰極蛍光ランプの初期輝度(43000cd/m2)を100とし、その他の試料の初期輝度を相対的に表す。寿命は、各冷陰極蛍光ランプの輝度が各ランプの初期輝度の50%になるまでの時間を測定し、この時間により評価する。この試験では、試料No.2-10の冷陰極蛍光ランプの寿命を100とし、その他の試料の寿命を相対的に表す。
冷陰極蛍光ランプは、以下のように作製した。ランプ作製用電極を用いて、上述のようにリード線、電極、及びガラスビーズが一体化した電極部材を一対用意する。次に、内壁面に蛍光体層(ここではハロリン酸塩蛍光体層)を有し、両端が開口した円筒状のガラス管の一端に一方の電極部材を挿入し、ガラスビーズと管の一端とを溶着して、管の一端を封止すると共に、電極を管内に固定する。次に、ガラス管の他端から真空引きして希ガス(ここではArガス)及び水銀を導入し、他方の電極部材を挿入して電極を固定すると共にガラス管を封止する。この手順により、一対のカップ状の電極の開口部が対向配置された冷陰極蛍光ランプが得られる。
Figure 2009289556
表3に示すように、積分強度比I(220)/I(111)が0.41以上である電極を用いた冷陰極蛍光ランプは、輝度が高く、長寿命であることが分かる。従って、I(220)/I(111)が0.41以上である電極は、冷陰極蛍光ランプの高輝度化、長寿命化に寄与できると期待できる。また、電極にリード線などを溶接する際の熱などにより、電極は、加工集合組織から再結晶集合組織を形成する。この電極は、溶接などによる熱を受ける前の電極の(220)面が優先的に配向していることで、この配向性が維持され、冷陰極蛍光ランプの輝度の向上、寿命の長化に寄与していると考えられる。
また、表3に示すように、Yを含有するニッケル合金からなる電極は、純ニッケルからなる電極と比較して、冷陰極蛍光ランプの輝度を高められることが分かる。更に、Yに加えて、Si,Mg,Al,Cr,Mnといった元素を含有するニッケル合金からなる電極は、冷陰極蛍光ランプの輝度の更に高められる上に、ランプ寿命を延長できることが分かる。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、電極の組成を適宜変更することができる。
本発明電極は、冷陰極蛍光ランプに好適に利用できる。この冷陰極蛍光ランプは、例えば、パソコンの液晶モニタや液晶テレビなどの液晶表示装置のバックライト用光源、小型ディスプレイのフロントライト用光源、複写機やスキャナなどの原稿照射用光源、複写機のイレイサー用光源といった種々の電気機器の光源に好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 冷陰極蛍光ランプに用いられる電極であって、
    純ニッケル、又はYを0.001質量%以上2.0質量%以下含有し、残部がNi及び不純物からなるニッケル合金から構成される有底筒状であり、
    内面における(220)面のX線回折の積分強度をI(220)、(111)面のX線回折の積分強度をI(111)とするとき、積分強度比I(220)/I(111)がI(220)/I(111)≧0.41を満たすことを特徴とする電極。
  2. 前記ニッケル合金は、更に、Si,Mg,Al,Cr,及びMnから選択される1種以上の元素を合計で0.001質量%以上3.0質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の電極。
  3. 前記電極の仕事関数が4.7eV未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電極。
  4. 前記電極のエッチングレートが22nm/min未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極。
  5. 冷陰極蛍光ランプに用いられる電極を製造する電極の製造方法であって、
    純ニッケルからなる線状の素材、又はYを0.001質量%以上2.0質量%以下含有するニッケル合金からなる線状の素材を準備する工程と、
    前記素材にインパクト成形を施して、有底筒状の電極を形成する工程とを具えることを特徴とする電極の製造方法。
  6. 前記素材は、伸線後に加熱温度500℃以上の加熱処理を施して形成することを特徴とする請求項5に記載の電極の製造方法。
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