JP2011179483A - 多気筒エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダボアの配列方向に沿って延びるクランクシャフトを挿通、軸支する軸受孔をそれぞれ有する複数の支持壁がクランクケースに設けられ、クランクシャフトの軸線に沿う方向で隣接する支持壁間に、シリンダボアに個別に対応したクランク室が形成される多気筒エンジンにおいて、隣接するクランク室間を連通させる構造を、加工工数の増加を回避して実現する。
【解決手段】クランクケース19は、上ケース半体33および下ケース半体34が上下に分割可能として結合されて成り、クランクケース19に設けられる支持壁38,39,40のうち両側にクランク室41が配置される特定の支持壁39を構成する上壁部39aおよび下壁部の少なくとも一方に、上ケース半体33および下ケース半体の結合面に一端を開口して上下方向に延びる切欠き84が、特定の支持壁39の両側のクランク室41を連通するようにして設けられる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、複数のシリンダボアがシリンダブロックに並列して設けられ、前記シリンダボアの配列方向に沿って延びるクランクシャフトを回転自在に支持するクランクケースに、前記クランクシャフトを挿通、軸支する軸受孔をそれぞれ有する複数の支持壁が前記クランクシャフトの軸線方向に間隔をあけて設けられ、前記クランクシャフトの軸線に沿う方向で隣接する前記支持壁間に、複数の前記シリンダボアに個別に対応したクランク室が形成される多気筒エンジンに関する。
シリンダボアに摺動自在に嵌合されるピストンの往復運動によるポンピングロスを低減するために、クランクシャフトの軸線方向で相互に隣接するクランク室同士を連通するブリージング孔が、シリンダブロックおよびクランクケースに跨がるようにして設けられる多気筒エンジンが、特許文献1で知られている。
特開平11−182325号公報
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、ブリージング孔がシリンダブロックおよびクランクケースに跨がって設けられるものであるので、当該ブリージング孔を加工する際には、クランクシャフトおよびカムシャフト間に設けられる調時伝動機構のクランクシャフト側の部分を組み付けるためにシリンダブロックおよびクランクケース間にわたって設けられる開口部からドリルを挿入して穿孔加工する必要があり、加工工数が増加するとともに、加工時間の増大を招いている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、隣接するクランク室間を連通させる構造を、加工工数の増加を回避して実現するようにした多気筒エンジンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、複数のシリンダボアがシリンダブロックに並列して設けられ、前記シリンダボアの配列方向に沿って延びるクランクシャフトを回転自在に支持するクランクケースに、前記クランクシャフトを挿通、軸支する軸受孔をそれぞれ有する複数の支持壁が前記クランクシャフトの軸線方向に間隔をあけて設けられ、前記クランクシャフトの軸線に沿う方向で隣接する前記支持壁間に、複数の前記シリンダボアに個別に対応したクランク室が形成される多気筒エンジンにおいて、前記クランクケースは、前記支持壁に対応した複数の上壁部が設けられる上ケース半体と、前記上壁部と協働して前記支持壁を構成する下壁部が設けられる下ケース半体とが、上下に分割可能として結合されて成り、前記支持壁のうち両側に前記クランク室が配置される特定の支持壁を構成する前記上壁部および前記下壁部の少なくとも一方に、前記上ケース半体および前記下ケース半体の結合面に一端を開口して上下方向に延びる切欠きが、前記特定の支持壁の両側の前記クランク室を連通するようにして設けられることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記切欠きが、前記特定の支持壁の一部を構成する前記上壁部に設けられることを第2の特徴とする。
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記切欠きが、車両搭載時に前記クランクシャフトよりも後方に配置されることを第3の特徴とする。
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記特定の支持壁の一部を構成する前記上壁部に、前記切欠きの他端に連なる軸孔が、バランサ軸を挿通させるとともにブリージング孔を兼用するようにして設けられることを第4の特徴とする。
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記バランサ軸と、該バランサ軸に設けられるバランサウエイトとから成るバランサが、前記切欠きから前記軸孔に前記バランサ軸を挿通するようにして前記上ケース半体に組み付けられることを第5の特徴とする。
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記クランクシャフトからの動力が伝達されるメインシャフトと、選択的に確立可能な複数変速段のギヤ列が前記メインシャフトとの間に設けられるカウンタシャフトとが、前記クランクシャフトと平行な軸線を有して前記クランクケースに回転自在に支承され、前記クランクシャフトおよび前記カウンタシャフトの軸線が前記上ケース半体および前記下ケース半体の結合面上に配置され、車両搭載時に前記結合面よりも上方に配置される前記メインシャフトの軸線よりも前方に配置される前記切欠きが、前記結合面から前記メインシャフトの軸線よりも上方位置まで連続して形成されることを第6の特徴とする。
本発明は、第1〜第6の特徴の構成のいずれかに加えて、前記切欠きが前記結合面に直交して上下方向に延びるように形成され、前記特定の支持壁を構成する前記上壁部および前記下壁部が、前記切欠きを挟む位置で締結されることを第7の特徴とする。
本発明は、第7の特徴の構成に加えて、前記特定の支持壁を構成する前記上壁部および前記下壁部に、車両搭載時に前記クランクシャフトの前方位置となる第1取付け部と、第1取付け部との間に前記クランクシャフトを挟む第2取付け部と、第2取付け部との間に前記切欠きを挟む第3取付け部とがそれぞれ形成され、第1〜第3取付け部が相互に締結されることを第8の特徴とする。
さらに本発明は、第8の特徴の構成に加えて、前記クランクシャフトの軸線を車幅方向に沿わせた車両搭載状態での側面視で、前記軸孔の中心を通る第1仮想鉛直線が前記切欠きよりも前方に位置し、前記軸孔の前端を通る第2仮想鉛直線が前記軸受孔の後端を通る第3仮想鉛直線とほぼ重なり、前記軸孔の下方に第2取付け部が配置されるようにして、前記軸受孔、前記軸孔および前記切欠きが形成されることを第9の特徴とする。
なお実施の形態の第2支持壁39が本発明の特定の支持壁に対応し、実施の形態の第1バランサ92が本発明のバランサに対応し、実施の形態の第1バランサ軸94が本発明のバランサ軸に対応し、実施の形態の第1バランサウエイト95が本発明のバランサウエイトに対応する。
本発明の第1の特徴によれば、上下に分割可能として結合されてクランクケースを構成する上および下ケース半体に、クランクシャフトを挿通、軸支する軸受孔を有する複数の支持壁を協働して構成する上壁部および下壁部がそれぞれ設けられ、複数の支持壁のうち両側にクランク室が配置される特定の支持壁を構成する上壁部および下壁部の少なくとも一方に、上ケース半体および下ケース半体の結合面に一端を開口して上下方向に延びる切欠きが特定の支持壁の両側のクランク室を連通するようにして設けられるので、中子を用いることなく金型成形できるものである切欠きを用いて隣接するクランク室間を連通させることができ、機械加工工程を削減あるいは不要として加工工数の増加を回避し、生産性を高めることができるようにして、隣接するクランク室間を連通させる構造を実現することができる。
また本発明の第2の特徴によれば、切欠きが上ケース半体の上壁部に設けられるので、下ケース半体側に切欠きを設ける場合に比べると、支持壁の剛性を確保することができる。
本発明の第3の特徴によれば、エンジンが車両に搭載された状態で切欠きがクランクシャフトよりも後方に在るので、比較的大きな剛性が必要とされるクランクシャフトよりも前方に切欠きが在る場合に比べると、クランクシャフトおよびシリンダボア間の剛性を確実に確保しつつ、切欠きによるブリージング機能を確保することができる。
本発明の第4の特徴によれば、バランサ軸を挿通させるとともにブリージング孔を兼用する軸孔が切欠きの他端に連なるので、軸孔およびブリージング孔を切欠きとは別個に設ける場合に比べると、鋳抜きで形成される切欠きの一部を利用して軸孔を形成することを可能とし、機械加工で行う孔形成を容易として、加工工数の低減を図ることができる。
本発明の第5の特徴によれば、バランサが、切欠きから軸孔にバランサ軸を挿通するようにして上ケース半体に組み付けられるので、クランクケースの内方側からバランサを組み付けることを可能とし、バランサの組付け性が向上する。
本発明の第6の特徴によれば、クランクシャフトおよびカウンタシャフトの軸線が上ケース半体および下ケース半体の結合面上に配置され、車両搭載時に上ケース半体および下ケース半体の結合面よりも上方にメインシャフトが配置され、切欠きが、メインシャフトの軸線よりも前方に配置され、結合面からメインシャフトの軸線よりも上方位置まで連続して形成されるので、切欠きの横断面積を大きくして切欠きによるブリージング効果を高めることができる。
本発明の第7の特徴によれば、切欠きが結合面に直交して上下方向に延びるように形成され、特定の支持壁を構成する上壁部および下壁部が、切欠きを挟む位置で締結されるので、切欠きを結合面に対して斜めに延びるように形成したものに比べると、切欠きとの干渉を避けながら上壁部および下壁部の取付け部の面積を大きくし、上壁部および下壁部の結合剛性を高めることができる。
本発明の第8の特徴によれば、特定の支持壁を構成する上壁部および下壁部が、両搭載時に前記クランクシャフトの前方位置となる第1取付け部と、第1取付け部との間にクランクシャフトを挟む第2取付け部と、第2取付け部との間に切欠きを挟む第3取付け部とで相互に締結されるので、特定の支持壁を構成する上壁部および下壁部を、クランクシャフトを挿通、軸支する軸受孔を形成しつつ強固に結合することができる。
さらに本発明の第9の特徴によれば、車両搭載状態での側面視で、軸孔の中心を通る第1仮想鉛直線が、前記切欠きよりも前方に位置し、軸孔の前端を通る第2仮想鉛直線および軸受孔の後端を通る第3仮想鉛直線がほぼ重なり、軸孔の下方に第2取付け部が配置されるので、軸受孔および切欠き間の距離を短くしてクランクケースの小型化を図りつつ、空きスペースを利用して第2取付け部を形成することができる。
自動二輪車の側面図である。 図1と同一方向から見たパワーユニットの側面図である。 図2の3−3線断面図である。 図2の4−4線断面図である。 図2の5−5線断面図である。 図4の6−6線に沿うシリンダブロックおよびクランクケースの断面図である。 図6の7−7線に沿う上ケース半体および第1バランサの断面図である。 図6の8−8線に沿う下ケース半体および第2バランサの断面図である。 図5の9−9線断面図である。
本発明の実施の形態について、添付の図1〜図9を参照しながら説明する。
先ず図1において、この自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支したフロントフォーク11を操向可能に支承するヘッドパイプ12と、該ヘッドパイプ12から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム13…と、それらのメインフレーム13…よりも急傾斜で後下がりに延びる左右一対のダウンフレーム14…と、両ダウンフレーム14…の下端から後方に延びるロアフレーム15…と、前記メインフレーム13…の後端から下方に延びて前記両ロアフレーム15…の後端に連接される左右一対のセンターフレーム16…と、前記メインフレーム13…の後端から後上がりに延びる左右一対のシートレール17…と、前記センターフレーム16…の下部および前記シートレール17…の後部間を結ぶリヤフレーム18…とを備え、メインフレーム13、ダウンフレーム14、ロアフレーム15およびセンターフレーム16は、金属製パイプの曲げ加工によって一体に連なって形成される。
前記メインフレーム13…、ダウンフレーム14…、ロアフレーム15…およびセンターフレーム16…で囲まれる領域には、多気筒たとえば2気筒であるエンジンEと、該エンジンEのクランクケース19に一部が内蔵される歯車変速機M(図3参照)とを備えるパワーユニットPが車体フレームFで支持されるようにして配置され、該パワーユニットPが発揮する動力で駆動される後輪WRを後端部で軸支するスイングアーム20の前端部が、前記センターフレーム16…の下部に設けられるピボットプレート21…に支軸22を介して上下揺動可能に支承される。また前記エンジンEの上方でメインフレーム13…に燃料タンク24が搭載され、該燃料タンク24の後方に配置される乗車用前部シート25ならびに該乗車用前部シート25のさらに後方に配置される乗車用後部シート26が前記シートレール17…で支持される。
図2において、前記エンジンEは、車幅方向に延びる軸線を有するクランクシャフト28を回転自在に支承するクランクケース19と、前傾したシリンダ軸線Cを有してクランクケース19の前部上端に結合されるシリンダブロック29と、該シリンダブロック29の上端に結合されるシリンダヘッド30と、該シリンダヘッド30の上端に結合されるヘッドカバー31と備え、前記クランクケース19の下部にはオイルパン32が結合される。
図3〜図6を併せて参照して、前記クランクケース19は、上ケース半体33および下ケース半体34が上下に分割可能として分割面35で結合されて成るものであり、シリンダブロック29は上ケース半体33と一体に形成される。
前記シリンダブロック29は、車幅方向に並列して配置される複数たとえば2つのシリンダボア36,36を有するものであり、それらのシリンダボア36…の配列方向すなわち車幅方向に沿って延びる前記クランクシャフト28を回転自在に支承するクランクケース19には、前記クランクシャフト28を挿通、軸支する軸受孔37…を有する複数の支持壁が設けられる。而してこの実施の形態では、クランクシャフト28の軸方向一端(図3の左端)から軸方向他端(図3の右端)側に向かって順に並ぶ第1、第2および第3支持壁38,39,40が、軸受孔37…をそれぞれ有して前記クランクケース19に設けられる。しかも前記クランクケース19内において、前記クランクシャフト28の軸線に沿う方向で隣接する前記支持壁間、すなわち第1および第2支持壁38,39間ならびに第2および第3支持壁39,40間には、複数の前記シリンダボア36…に個別に対応したクランク室41,41が形成される。また前記クランクケース19内の後部には、前記各クランク室41…に共通に通じる変速機室42が形成される。
而して第1〜第3支持壁38,39,40は、前記上ケース半体33にそれぞれ一体に設けられる上壁部38a,39a,40aと、前記下ケース半体34にそれぞれ一体に設けられる下壁部38b,39b,40bとの協働により構成されるものであり、第1〜第3支持壁38〜40にそれぞれ設けられる軸受孔37…は、各上壁部38a,39a,40aの下端に形成されて下方に開放する半円状凹部43…と、各下壁部38b,39b,40bの上端に形成されて上方に開放する半円状凹部44…とによってそれぞれ形成される。
図3に注目して、前記クランクケース19の左側面には、該クランクケース19との間に発電機室45を形成する左ケースカバー46が結合され、発電機室45内に収容される発電機47のロータ48が前記クランクシャフト28の一端部に固定され、発電機47のステータ49は、前記ロータ48で囲繞されるようにして左ケースカバー46に固定される。
またクランクケース19の上方には、図2で示すように、前記左ケースカバー46の上端部で側方から覆われるようにしてスタータモータ50が固定配置されており、そのスタータモータ50からの動力を伝達する減速ギヤ列51の一部を構成する被動ギヤ52が、一方向クラッチ53を介して前記ロータ48に連結される。
前記クランクケース19の右側面には、該クランクケース19との間にクラッチ室54を形成する右ケースカバー55が結合される。而して前記変速機室42には、前記クランクシャフト28と平行な軸線を有してクランクケース19で回転自在に支承されるメインシャフト58およびカウンタシャフト59間に選択的に確立可能な複数変速段のギヤ列たとえば第1速〜第6速ギヤ列G1〜G6が設けられて成る歯車変速機Mが収容される。また前記クラッチ室54には、前記クランクシャフト28からの動力を伝達する一次減速装置60と、一次減速装置60および前記メインシャフト58間に介設される第1および第2油圧クラッチ61,62とが収容される。
前記カウンタシャフト59の一端部は、クランクケース19との間にボールベアリング63および環状のシール部材64を介在させてクランクケース19の後部左側面から突出され、カウンタシャフト59の他端部は、クランクケース19の右側壁にローラベアリング82を介して回転自在に支承される。
このカウンタシャフト59の一端部から出力される回転動力は、図1で示すように、動力伝達手段65を介して後輪WRに伝達される。而して動力伝達手段65は、前記カウンタシャフト59の軸端に固定される駆動スプロケット66と、前記後輪WRに同軸に設けられる被動スプロケット67とに、無端状のチェーン68が巻掛けられて成る。
また前記クランクシャフト28の他端にはパルサ69が固着されており、このパルサ69の外周に対向するようにして前記クラッチ室54内に配置される回転速センサ70が右ケースカバー66に固定される。
前記メインシャフト58は、第1シャフト71と、第1シャフト71を同軸にかつ相対回転可能に挿通せしめる第2シャフト72とから成り、第1シャフト71およびカウンタシャフト59間に、第1速ギヤ列G1、第3ギヤ列G3および第5速ギヤ列G5が設けられ、第2シャフト72およびカウンタシャフト59間に、第2速ギヤ列G2、第4速ギヤ列G4および第6速ギヤ列G6が設けられる。
第1シャフト71は、第2シャフト72よりも小径に形成されており、第1シャフト71の一端部はクランクケース19の上ケース半体33にボールベアリング73を介して回転自在に支承され、クランクケース19を回転自在に貫通する第1シャフト71の他端部は、クラッチインナ74およびボールベアリング75を介して右ケースカバー55に回転自在に支承される。またクランクケース19には、第1シャフト71よりも大径である第2シャフト72の軸方向中間部がボールベアリング76を介して回転自在に支承され、第2シャフト72には、第1シャフト71の中間部が同軸にかつ相対回転自在に挿通され、第1シャフト71および第2シャフト72間には複数のニードルベアリング77,77…が介装される。
第1シャフト71の他端側には、第2シャフト72に軸方向で隣接する伝動筒軸78が相対回転可能に装着されており、該伝動筒軸78には、クランクシャフト28からの動力が一次減速装置60およびダンパースプリング79を介して伝達される。而して一次減速装置60は、前記クランクシャフト28とともに回転する駆動ギヤ80と、該駆動ギヤ80に噛合するようにして第1および第2シャフト71,72と同軸に配置される被動ギヤ81とから成り、被動ギヤ81が前記ダンパースプリング79を介して伝動筒軸78に連結される。
前記伝動筒軸78および第1シャフト71間には第1油圧クラッチ61が設けられ、第1油圧クラッチ61が備えるクラッチインナ74が第1シャフト71の他端部に相対回転不能に結合され、このクラッチインナ74および前記右ケースカバー55間に前記ボールベアリング75が介装される。また伝動筒軸78および第2シャフト72間には、前記第1油圧クラッチ61との間に一次減速装置60を挟む第2油圧クラッチ62が設けられる。
而して第1油圧クラッチ61が動力伝達状態にあって第1シャフト71にクランクシャフト28から動力が伝達されているときには、第1、第3および第5速ギヤ列G1,G3,G5のうち択一的に確立したギヤ列を介して第1シャフト71からカウンタシャフト59に動力を伝達することが可能であり、第2油圧クラッチ62が動力伝達状態にあって第2シャフト72にクランクシャフト28から動力が伝達されているときには、第2、第4および第6速ギヤ列G2,G4,G6のうち択一的に確立したギヤ列を介して第2シャフト72からカウンタシャフト59に動力を伝達することが可能である。
図3、図5および図6に注目して、クランクケース19に設けられる第1〜第3支持壁38,39,40のうち両側に前記クランク室41,41が配置される特定の支持壁すなわち第2支持壁39を構成する上壁部39aおよび下壁部39bの少なくとも一方に、前記上ケース半体33および前記下ケース半体34の結合面35に一端を開口して上下方向に延びる切欠き84が、第2支持壁39の両側のクランク室41,41を連通するようにして設けられており、この実施の形態では、上ケース半体33の下ケース半体34への結合面35に一端を開口する切欠き84が、エンジンEの車両搭載時には前記クランクシャフト28よりも後方に配置されるようにして第2支持壁39の上壁部39aに設けられる。また第2支持壁39における下壁部39bの上端には前記切欠き84に対応してわずかに凹んだ凹部85が設けられる。
ところで前記クランクシャフト28の軸線CL1および前記カウンタシャフト59の軸線CL3は、クランクケース19における前記上ケース半体33および前記下ケース半体34の結合面35上に配置され、前記メインシャフト58は、前記結合面35よりも上方に配置されるものであり、エンジンEの車両搭載時に前記メインシャフト58の軸線CL2よりも前方に配置される前記切欠き84は、図6で示すように、前記結合面35から前記メインシャフト58の軸線CL2よりも上方位置まで連続して形成される。
前記切欠き84は、前記結合面35に直交して上下方向に延びるように形成されており、第2支持壁39を構成する前記上壁部39aおよび前記下壁部39bは前記切欠き84を挟む位置で締結される。すなわち第2支持壁39の前記上壁部39aおよび前記下壁部39bに、車両搭載時に前記クランクシャフト28の前方位置となる第1取付け部86a,86bと、第1取付け部86a,86bとの間に前記クランクシャフト28を挟む第2取付け部87a,87bと、第2取付け部87a,87bとの間に前記切欠き84を挟む第3取付け部88a,88bとが結合面35上に位置するようにしてそれぞれ形成され、前記上壁部39aおよび前記下壁部39bの第1および第2取付け部86a,86b;87a,87bがボルト89,89で相互に締結され、第3取付け部88a,88bがボルト90で相互に締結される。
また第2支持壁39の前記上壁部39aには、前記切欠き84の他端に連なる軸孔91が設けられる。而してクランクシャフト28の軸線を車幅方向に沿わせた車両搭載状態での側面視で、前記軸孔91の中心を通る第1仮想鉛直線VL1が前記切欠き84よりも前方に位置し、前記軸孔91の前端を通る第2仮想鉛直線VL2が前記軸受孔37の後端を通る第3仮想鉛直線VL3とほぼ重なり、前記軸孔91の下方に第2取付け部87a,87bが配置されるようにして、前記軸受孔37、前記軸孔91および前記切欠き84が形成される。
ところでクランクケース19には、一次バランサである第1および第2バランサ92,93が回転自在に支承されるものであり、第1バランサ92は、前記クランクシャフト28の後方斜め上方に配置され、第2バランサ93は、前記クランクシャフト28の前方斜め下方に配置される。
図7において、第1バランサ92は、第1バランサ軸94と、一対のクランク室41…にそれぞれ対応した位置で第1バランサ軸94に一体に設けられる一対の第1バランサウエイト95,95とから成るものであり、第1バランサ軸94の一端部は、クランクケース19の第1支持壁38における上壁部38aに設けられた軸受ハウジング96に装着されるボールベアリング97を介してクランクケース19で回転自在に支承され、第1バランサ軸94の他端部は、クランクケース19の第3支持壁40における上壁部40aに設けられた支持孔98に挿入され、支持孔98の内周および第1バランサ軸94の外周間にボールベアリング99が介装される。
前記第1支持壁38の上壁部38aに内方側から近接、対向するようにして前記第1バランサ軸94には、せらし構造の第1被動ギヤ100が設けられており、この第1被動ギヤ100は、クランクシャフト28に設けられた駆動ギヤ101(図3参照)に噛合される。
しかも第1バランサ92のバランサ軸94は、第2支持壁39の上壁部39aに設けられた軸孔91に挿通されるものであり、軸孔91の内周および第1バランサ軸94の外周間には、第2支持壁39の両側のクランク室41…間を連通する環状間隙102が形成され、軸孔91は、クランク室41…間を通じさせるブリージング孔を兼用することになる。
ところで第1バランサ軸94が挿通される軸孔91は切欠き84の他端すなわち上端に連なって第2支持壁39の上壁部39aに設けられるものであり、第1被動ギヤ100が設けられた状態にある第1バランサ92は、図7の鎖線で示すように、第1バランサ軸94の他端を第3支持壁40における上壁部40aの支持孔98に先ず挿入するように傾斜させつつ、前記切欠き84から前記軸孔91に第1バランサ軸94を挿通するようにして、前記上ケース半体33にその内方側すなわち下方側から組み付けられる。
図8において、第2バランサ93は、第2バランサ軸104と、クランクシャフト28の軸線に沿う方向で第1バランサウエイト95…にそれぞれ対応した位置で第2バランサ軸104に一体に設けられる一対の第2バランサウエイト105,105とから成るものであり、第2バランサ軸104の一端部は、クランクケース19の第1支持壁39における下壁部39bに設けられた軸受ハウジング106に装着されるボールベアリング107を介してクランクケース19で回転自在に支承され、第2バランサ軸104の他端部は、クランクケース19の第3支持壁40における下壁部40bに設けられた支持孔107に挿入され、支持孔107の内周および第2バランサ軸104の外周間にボールベアリング108が介装される。
前記第1支持壁38の下壁部38bに内方側から近接、対向するようにして第2バランサ軸104には、せらし構造の第2被動ギヤ109が設けられており、この第2被動ギヤ109は、クランクシャフト28に設けられた駆動ギヤ101に噛合される。
而して第2被動ギヤ109が設けられた状態の第2バランサ93は、図8の鎖線で示すように、第2バランサ軸104の他端を第3支持壁40における下壁部40bの支持孔107に先ず挿入するように傾斜させつつ、前記下ケース半体34にその内方側すなわち上方側から組み付けられる。
ところで、クランクケース19の第3支持壁40における下壁部40bの外面には、オイルポンプ110のポンプケース111が取付けられており、オイルポンプ110のポンプ軸102は、第2バランサ軸104の他端に同軸にかつ相対回転不能に連結される。
クランクケース19の下部に結合されるオイルパン32には、図2で示すように、オイルパン32内に貯留されるオイルを浄化して前記オイルポンプ110で吸い上げるためのオイルストレーナ113が収容されており、このオイルストレーナ113から上方に立ち上がる吸入管114の上端が、クランクケース19の下ケース半体34に設けられる吸入通路116に接続され、この吸入通路116は前記ポンプケース111内に形成される吸入ポート115に連通する。
また前記ポンプケース111内に形成される吐出ポート(図示せず)に接続されるリリーフ弁118が前記ポンプケース111に配設されており、オイルポンプ110の吐出圧が所定圧以上となったときには、前記リリーフ弁118が開弁し、吐出ポートから一部のオイルがリリーフ弁118を介してオイルパン32内に戻される。
図5および図9において、前記クランクケース19の下ケース半体34には、該クランクケース19内のクランク室41…と、前記オイルパン32内とを隔てる隔壁120が設けられており、この隔壁120に前記クランク室41…側から前記オイルパン32側にオイルを戻す開口部121,122;123,124が設けられる。
前記隔壁120には、車両搭載状態での前後方向で対をなす複数組の前記開口部が車幅方向に間隔をあけて設けられるものであり、この実施の形態では、第1および第2支持壁38.39間に配置されて前後で対をなす開口部121,122と、第2および第3支持壁39,40間に配置されて前後で対をなす開口部123,124との2組の開口部121,122;123,124が隔壁120に設けられる。
しかも前記オイルパン32側から前記クランク室41…側へのオイルの逆流を抑制する仕切り壁125,126;127,128が、前記開口部121,122;123,124の少なくとも一部を下方から覆うようにして前記開口部121,122;123,124の下方に固定配置されるものであり、前記仕切り壁125,126;127,128は前記隔壁120に一体に連設される。
ところで前記隔壁120の少なくとも一部が水平壁部120aとして平坦に形成されるものであり、この実施の形態では、前後で対をなす開口部121,122;123,124間で隔壁120の一部が水平壁部120aとして形成され、前記仕切り壁125,126;127,128が、前記水平壁部120aから下方に傾斜するようにして前記水平壁部120aから延出される。
前記仕切り壁125,126;127,128は、車両搭載時に前記水平壁部120aから前後方向少なくとも一方に延出するように形成されるものであり、この実施の形態では、前後で対をなす開口部121,122;123,124のうち前方側の開口部121,123を下方から覆う仕切り壁125,127は当該開口部121,123の後縁から前方斜め下に延びるように形成され、前後で対をなす開口部121,122;123,124のうち後方側の開口部122,124を下方から覆う仕切り壁126,128は当該開口部122,124の前縁から後方斜め下に延びるように形成される。しかも車両搭載時の前記仕切り壁125,127;126,128の前後方向長さLFA,LRAは、前記開口部121,123;122,124の前後方向長さLFB,LRBよりも短く設定される。
ところで車両搭載状態で車幅方向に軸線を沿わせたクランクシャフト28が隔壁120の上方で前記クランクケース19に回転自在に支承されており、このクランクシャフト28の軸線を通る第4仮想鉛直線VL4の前後少なくとも一方に、仕切り壁125,127;126,128が配置されるものであり、この実施の形態では第4仮想鉛直線L4の前後のいずれにも仕切り壁125,127;126,128が配置される。
また第2バランサ93は、前記クランクシャフト28の前方斜め下に配置されるのであるが、この第2バランサ93の下方に、前後で対をなす開口部121,122;123,124のうち前方側の開口部121,123が配置される。
また前記隔壁120には、2組の前記開口部121,122;123,124のうち前方側の開口部121,123および後方側の開口部122,124間に配置されて前記車幅方向に延びるオイル通路であるメインギャラリー130が設けられており、このメインギャラリー130には、前記オイルポンプ110から吐出されたオイルが、クランクケース19の下部前面に取付けられたオイルフィルタ131(図2参照)を経て導かれる。
第2支持壁39を構成する上壁部39aおよび下壁部39bを締結するための一対のボルト89,89は、前記車幅方向に並ぶ複数の前記開口部間すなわち車両搭載状態で作法に配置される開口部121,122ならびに右方に配置される開口部123,124間において前記メインギャラリー130を前後方向から挟むように配置されるものであり、クランクケース19を協働して構成する前記上ケース半体33および前記下ケース半体34は、車幅方向に並ぶ複数の前記開口部121,122;123,124間であって前記メインギャラリー130を前記前後方向から挟むように少なくとも2箇所に配置されるボルト89,89を含む複数のボルトで結合されることになる。
次にこの実施の形態の作用について説明すると、クランクシャフト28を挿通、軸支する軸受孔37…を有する第1、第2および第3支持壁38,39,40が設けられるクランクケース19は、第1〜第3支持壁38〜40に対応した複数の上壁部38a,39a,40aが設けられる上ケース半体33と、各上壁部38a,39a,40aと協働して第1〜第3支持壁38〜40を構成する下壁部38b,39b,40bが設けられる下ケース半体34とが上下に分割可能として結合されて成り、第1〜第3支持壁38〜40のうち両側にクランク室41…が配置される特定の支持壁である第2支持壁39を構成する上壁部39aおよび下壁部39bの少なくとも一方に、上ケース半体33および下ケース半体34の結合面35に一端を開口して上下方向に延びる切欠き84が第2支持壁39の両側のクランク室41…を連通するようにして設けられるので、中子を用いることなく金型成形できるものである切欠き84を用いて隣接するクランク室41…間を連通させることができ、機械加工工程を削減あるいは不要とすることで加工工数の増加を回避し、生産性を高めることができるようにして、隣接するクランク室41…間を連通させる構造を実現することができる。
また切欠き84が第2支持壁39の一部を構成する上壁部39aに設けられるので、下ケース半体34側に切欠き84を設ける場合に比べると、第2支持壁39の剛性を確保することができる。
また切欠き84が、車両搭載時に車幅方向に沿う軸線を有するクランクシャフト28よりも後方に配置されるので、比較的大きな剛性が必要とされるクランクシャフト28よりも前方に切欠き84が在る場合に比べると、クランクシャフト28およびシリンダボア36…間の剛性を確実に確保しつつ、切欠き84によるブリージング機能を確保することができる。
ところでクランクケース19には第1および第2バランサ92,93が回転自在に支承されており、第2支持壁39の上壁部39aに、前記切欠き84の他端に連なる軸孔91が第1バランサ92の第1バランサ軸94を挿通させるとともにブリージング孔を兼用するようにして設けられるので、軸孔91およびブリージング孔を切欠き84とは別個に設ける場合に比べると、鋳抜きで形成される切欠き84の一部を利用して軸孔91を形成することを可能とし、機械加工で行う孔形成を容易として、加工工数の低減を図ることができる。
また第1バランサ92は、第1バランサ軸94と、第1バランサ軸94に設けられる一対の第1バランサウエイト95,95とから成るものであり、切欠き84から軸孔91に第1バランサ軸94を挿通するようにして上ケース半体33に第1バランサ92が組み付けられるので、クランクケース19の内方側から第1バランサ92を組み付けることを可能とし、第1バランサ92の組付け性が向上する。
またクランクケース19には、クランクシャフト28からの動力が伝達されるメインシャフト58と、選択的に確立可能な第1〜第6速ギヤ列G1〜G6がメインシャフト58との間に設けられるカウンタシャフト59とがクランクシャフト28と平行な軸線を有して回転自在に支承され、クランクシャフト28の軸線CL1およびカウンタシャフト59の軸線CL3が上ケース半体33および下ケース半体34の結合面35上に配置され、車両搭載時にその結合面35よりも上方に配置されるメインシャフト58の軸線CL2よりも前方に配置される前記切欠き84が、前記結合面35からメインシャフト58の軸線CL2よりも上方位置まで連続して形成されるので、切欠き84の横断面積を大きくして切欠き84によるブリージング効果を高めることができる。
しかも切欠き84が前記結合面35に直交して上下方向に延びるように形成され、第2支持壁39を構成する上壁部39aおよび下壁部39bが、前記切欠き84を挟む位置で締結されるので、切欠き84を結合面35に対して斜めに延びるように形成したものに比べると、切欠き84との干渉を避けながら上壁部39aおよび下壁部39bの取付け部の面積を大きくし、上壁部39aおよび下壁部39bの結合剛性を高めることができる。
また第2支持壁39を構成する上壁部39aおよび下壁部39bに、車両搭載時に前記クランクシャフト28の前方位置となる第1取付け部86a,86bと、第1取付け部86a,86bとの間に前記クランクシャフト28を挟む第2取付け部87a,87bと、第2取付け部87a,87bとの間に前記切欠き84を挟む第3取付け部88a,88bとがそれぞれ形成され、前記上壁部39aおよび前記下壁部39bの第1〜第3取付け部86a,86b;87a,87b;88a,88bが相互に締結されるので、第2支持壁39を構成する上壁部39aおよび下壁部39bを、クランクシャフト28を挿通、軸支する軸受孔37を形成しつつ強固に結合することができる。
さらに前記クランクシャフト28の軸線を車幅方向に沿わせた車両搭載状態での側面視で、前記軸孔91の中心を通る第1仮想鉛直線VL1が前記切欠き84よりも前方に位置し、前記軸孔91の前端を通る第2仮想鉛直線VL2が前記軸受孔37の後端を通る第3仮想鉛直線VL3とほぼ重なり、前記軸孔91の下方に第2取付け部87a,87bが配置されるようにして、前記軸受孔37、前記軸孔91および前記切欠き84が形成されるので、軸受孔37および切欠き84間の距離を短くしてクランクケース19の小型化を図りつつ、空きスペースを利用して第2取付け部87a,87bを形成することができる。
ところでクランクケース19の下部にはオイルパン32が結合され、そのオイルパン32の上方で前記クランクケース19には、該クランクケース19内のクランク室41…と、オイルパン32内とを隔てる隔壁120が設けられ、該隔壁120に前記クランク室41…側から前記オイルパン32側にオイルを戻す開口部121〜124が設けられており、オイルパン32側からクランク室41…側へのオイルの逆流を抑制する仕切り壁125〜128が、前記開口部121〜124の少なくとも一部を下方から覆うようにして前記開口部121〜124の下方に固定配置されている。
したがってクランクケース19内からオイルパン32内にオイルをスムーズに戻すことができるとともに、エンジンEの揺動によってオイルパン32内の油面が揺動する場合にも、オイルパン32からのオイル跳ね上がりによってオイルパン32側からクランク室41…側にオイルが逆流することを仕切り壁125〜128で抑制し、エアレーションやオイル分散による回収性の悪化を防止することができる。
また仕切り壁125〜128が前記隔壁120に一体に連設されるので、仕切り壁125〜128を隔壁120とは別体とする場合に比べて、部品点数の低減が可能となり、仕切り壁125〜128の取付け作業を不要として作業工数の低減を図ることができる。
また隔壁120の少なくとも一部は水平壁部120aとして平坦に形成され、前記仕切り壁125〜128が、前記水平壁部120aから下方に傾斜するようにして前記水平壁部120aから延出されるので、クランク室41…からオイルパン32内にオイルをスムーズに戻すことができるとともに、オイルパン32からのオイルの跳ね上がりを傾斜した仕切り壁125〜128で抑えることができる。
また仕切り壁125〜128が、車両搭載時に前記水平壁部120aから前後方向少なくとも一方に延出するように形成されるものであり、車両発進時や停止時等でオイルパン32内の油面が前後方向に揺れるのに対応して仕切り壁125〜128を配置することができる。
また車両搭載時の仕切り壁125,127;126,128の前後方向長さLFA,LRAが開口部121,123;122,124の前後方向長さLFB,LRBよりも短く設定されるので、仕切り壁125〜128が傾斜していることによって仕切り壁125〜128の前後方向長さが必要以上に長くならないようにすることができる。
また車両搭載状態での前後方向で対をなすように前記開口部121,122;123,124が前記隔壁120に設けられ、前方の開口部121,123に対応した仕切り壁125,127が前記隔壁120から前方に延出され、後方の開口部122,124に対応した仕切り壁126,128が前記隔壁120から後方に延出されるので、複数の開口部121,122;123,124によってオイルパン32へのオイル回収性を高めるとともに、前後の傾斜した仕切り壁125〜128でオイルパン32内の油面の前後揺動を抑えることができる。
また車両搭載状態で車幅方向に軸線を沿わせたクランクシャフト28が、前記隔壁120の上方で前記クランクケース19に回転自在に支承され、前記クランクシャフト28の軸線を通る第4仮想鉛直線VL4の前後少なくとも一方(この実施の形態では両方)に開口部121,122;123,124および仕切り壁125,127;126,128が配置されるので、クランクシャフト28から飛散するオイルをオイルパン32にスムーズに回収することができる。
またクランクシャフト28の前方斜め下に配置される第2バランサ93が前記クランクケース19で回転自在に支承され、第2バランサ93の下方に配置される前記開口部121,123が前記隔壁120に設けられ、当該開口部121,123の下方に前記仕切り壁125,127が配置されるので、第2バランサ93から飛散するオイルをオイルパン32にスムーズに回収することができる。
さらに車両搭載状態での前後方向で対をなす複数組の前記開口部121,122;123,124が、車幅方向に間隔をあけて前記隔壁120に設けられ、前方側の開口部121,123および後方側の開口部122,124間に配置されて前記車幅方向に延びるメインギャラリー130が前記隔壁120に設けられ、クランクケース19を協働して構成するようにして上下に分割可能に結合される上ケース半体33および下ケース半体34が、前記車幅方向に並ぶ複数の前記開口部間すなわち作法の開口部121,122および右方の開口部123,124間で前記メインギャラリー130を前記前後方向から挟む少なくとも2箇所に配置されるボルト89,89を含む複数のボルトで結合されるので、隔壁120に設けられる複数の開口部121〜124ならびに上ケース半体33および下ケース半体34を結合するボルト89,89,90…との干渉を回避しつつ空きスペースにメインギャラリー130をスペース効率よく配置することができ、クランクケース19の大型化を回避することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
19・・・クランクケース
28・・・クランクシャフト
29・・・シリンダブロック
33・・・上ケース半体
34・・・下ケース半体
35・・・結合面
36・・・シリンダボア
37・・・軸受孔
38・・・第1支持壁
38a,39a,40a・・・上壁部
38b,39b,40b・・・下壁部
39・・・特定の支持壁である第2支持壁
40・・・第3支持壁
41・・・クランク室
58・・・メインシャフト
59・・・カウンタシャフト
84・・・切欠き
86a,86b・・・第1取付け部
87a,87b・・・第2取付け部
88a,88b・・・第3取付け部
91・・・軸孔
92・・・バランサである第1バランサ
94・・・バランサ軸である第1バランサ軸
95・・・バランサウエイトである第1バランサウエイト
E・・・エンジン
G1,G2,G3,G4,G5,G6・・・ギヤ列

Claims (9)

  1. 複数のシリンダボア(36)がシリンダブロック(29)に並列して設けられ、前記シリンダボア(36)の配列方向に沿って延びるクランクシャフト(28)を回転自在に支持するクランクケース(19)に、前記クランクシャフト(28)を挿通、軸支する軸受孔(37)をそれぞれ有する複数の支持壁(38,39,40)が前記クランクシャフト(28)の軸線方向に間隔をあけて設けられ、前記クランクシャフト(28)の軸線に沿う方向で隣接する前記支持壁(38,39;39,40)間に、複数の前記シリンダボア(36)に個別に対応したクランク室(41)が形成される多気筒エンジンにおいて、前記クランクケース(19)は、前記支持壁(38〜40)に対応した複数の上壁部(38a,39a,40a)が設けられる上ケース半体(33)と、前記上壁部(38a,39a,40a)と協働して前記支持壁(38〜40)を構成する下壁部(38b,39b,40b)が設けられる下ケース半体(34)とが、上下に分割可能として結合されて成り、前記支持壁(38〜40)のうち両側に前記クランク室(41)が配置される特定の支持壁(39)を構成する前記上壁部(39a)および前記下壁部(30b)の少なくとも一方に、前記上ケース半体(33)および前記下ケース半体(34)の結合面(35)に一端を開口して上下方向に延びる切欠き(84)が、前記特定の支持壁(39)の両側の前記クランク室(41)を連通するようにして設けられることを特徴とする多気筒エンジン。
  2. 前記切欠き(84)が、前記特定の支持壁(39)の一部を構成する前記上壁部(39a)に設けられることを特徴とする請求項1記載の多気筒エンジン。
  3. 前記切欠き(84)が、車両搭載時に前記クランクシャフト(28)よりも後方に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の多気筒エンジン。
  4. 前記特定の支持壁(39)の一部を構成する前記上壁部(39a)に、前記切欠き(84)の他端に連なる軸孔(91)が、バランサ軸(94)を挿通させるとともにブリージング孔を兼用するようにして設けられることを特徴とする請求項2記載の多気筒エンジン。
  5. 前記バランサ軸(94)と、該バランサ軸(94)に設けられるバランサウエイト(95)とから成るバランサ(92)が、前記切欠き(84)から前記軸孔(91)に前記バランサ軸(94)を挿通するようにして前記上ケース半体(33)に組み付けられることを特徴とする請求項4記載の多気筒エンジン。
  6. 前記クランクシャフト(28)からの動力が伝達されるメインシャフト(58)と、選択的に確立可能な複数変速段のギヤ列(G1,G2,G3,G4,G5,G6)が前記メインシャフト(58)との間に設けられるカウンタシャフト(59)とが、前記クランクシャフト(28)と平行な軸線を有して前記クランクケース(19)に回転自在に支承され、前記クランクシャフト(28)および前記カウンタシャフト(59)の軸線が前記上ケース半体(33)および前記下ケース半体(34)の結合面(35)上に配置され、車両搭載時に前記結合面(35)よりも上方に配置される前記メインシャフト(58)の軸線よりも前方に配置される前記切欠き(84)が、前記結合面(35)から前記メインシャフト(58)の軸線よりも上方位置まで連続して形成されることを特徴とする請求項2記載の多気筒エンジン。
  7. 前記切欠き(84)が前記結合面(35)に直交して上下方向に延びるように形成され、前記特定の支持壁(39)を構成する前記上壁部(39a)および前記下壁部(39b)が、前記切欠き(84)を挟む位置で締結されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多気筒エンジン。
  8. 前記特定の支持壁(39)を構成する前記上壁部(39a)および前記下壁部(39b)に、車両搭載時に前記クランクシャフト(28)の前方位置となる第1取付け部(86a,86b)と、第1取付け部(86a,86b)との間に前記クランクシャフト(28)を挟む第2取付け部(87a,87b)と、第2取付け部(87a,87b)との間に前記切欠き(84)を挟む第3取付け部(88a,88b)とがそれぞれ形成され、第1〜第3取付け部(86a,86b;87a,87b;88a,88b)が相互に締結されることを特徴とする請求項7記載の多気筒エンジン。
  9. 前記クランクシャフト(28)の軸線を車幅方向に沿わせた車両搭載状態での側面視で、前記軸孔(91)の中心を通る第1仮想鉛直線が前記切欠き(84)よりも前方に位置し、前記軸孔(91)の前端を通る第2仮想鉛直線が前記軸受孔(37)の後端を通る第3仮想鉛直線とほぼ重なり、前記軸孔(91)の下方に第2取付け部(87a,87b)が配置されるようにして、前記軸受孔(37)、前記軸孔(91)および前記切欠き(84)が形成されることを特徴とする請求項8記載の多気筒エンジン。
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