JP2011179252A - 免震装置の荷重受け替え方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建造物10における免震装置17の据付け個所の上下間に仮受けジャッキ35を据付けて、建造物10の荷重を仮受けする第1の工程と、建造物10における上部躯体30と下部躯体31との間に免震装置設置空間52を形成する第2の工程と、免震装置設置空間52における下部躯体31に免震装置17を取付けるとともに、この免震装置17と上部躯体30との間に受替えジャッキ39とくさび装置42を並べて取付ける第3の工程と、前記受替えジャッキ39により前記仮受けジャッキ35の仮受け荷重を受替えする第4の工程と、前記くさび装置42により免震装置17と躯体(上部躯体30又は下部躯体31)との隙間がなくなるように密着させる第5の工程とからなる。
【選択図】図1
Description
このような免震装置17は、特許文献1及び2の方法で据え付けたとき、据え付け作業時に建造物10の荷重を支えていた油圧ジャッキを除去すると、免震装置17に建造物10の全荷重がかか+るので、免震装置17は、弾性変形をして建造物10が数mm沈み込むおそれがある。
一般に、重要な既設構造物、老朽化した既設構造物、不静定構造物など許容変位量が小さい場合、仮受け杭などの支持条件や荷重の変動が予想されるような場合には、プレロード工(前もって荷重を導入する工法)を導入する必要がある。
しかし、複数個所の第1のサポートジャッキ14をいつ解放するのか、サポートジャッキを解放して免震装置に荷重を受け替えるときに免震装置の弾性変形に伴い建造物が沈み込むのを調整するのかどうかなどの調整プレロード工についての記載はない。もし、沈み込みを調整しないと、第1のサポートジャッキ14を解放したときに建造物10に免震装置の弾性変形分の沈み込みが生じる。
建造物10における免震装置17の据え付け個所の上下間に仮受けジャッキ35を据え付けて、建造物10の荷重を仮受けする第1の工程と、
建造物10における上部躯体30と下部躯体31との間に免震装置設置空間52を形成する第2の工程と、
免震装置設置空間52における上部躯体30と下部躯体31のいずれか一方の面に免震装置17を取り付けるとともに、この免震装置17における躯体に接していない面と上部躯体30と下部躯体31のいずれか他方の面との間に受け替えジャッキ39とくさび装置42を並べて取り付ける第3の工程と、
前記受け替えジャッキ39により前記仮受けジャッキ35の仮受け荷重を受け替えする第4の工程と、
前記くさび装置42により免震装置17と躯体(上部躯体30又は下部躯体31)との隙間がなくなるように密着させる第5の工程と、
受け替えジャッキ39と仮受けジャッキ35を除去し、くさび装置42を躯体と一体化する第6の工程と
からなることを特徴とする。
建造物における免震装置の据え付け個所の上下間に仮受けジャッキを据え付けて、建造物の荷重を仮受けする第1の工程と、
建造物における上部躯体と下部躯体との間に免震装置設置空間を形成する第2の工程と、
この免震装置設置空間における上部躯体と下部躯体のいずれか一方の面に免震装置を取り付けるとともに、この免震装置における躯体に接していない面と上部躯体及び下部躯体のいずれか他方の面との間に受け替えジャッキとくさび装置を並べて取り付ける第3の工程と、
前記受け替えジャッキにより前記仮受けジャッキの仮受け荷重を受け替えする第4の工程と、
前記くさび装置により免震装置と躯体との隙間がなくなるように密着させる第5の工程と
からなるので、受け替えジャッキによる仮受けジャッキの仮受け荷重を受け替えし、くさび装置により免震装置と躯体との隙間がなくなるように密着させることにより、免震装置に、建造物の荷重をあらかじめ加えるという調整プレロード工が行われる。従って、免震装置への受け替えを行っても免震装置の弾性変形による建造物の沈み込みが生じないから、ジャッキを解放しても建造物に異常な応力が発生せず、損傷を与えることがない。
くさび装置により免震装置と上部躯体または下部躯体の隙間がなくなるように密着させる第5の工程の後に、受け替えジャッキと仮受けジャッキを除去し、くさび装置を躯体と一体化する第6の工程を付加したので、免震装置が正しい位置に固定される。また、くさび装置が躯体と一体化されるが、くさび装置は、安全ナット機構付きジャッキを使用する場合に比較して安価であり、経済性にも優れている。ちなみに、くさび装置と受け替えジャッキを併用し、受け替え後に受け替えジャッキを除去して建造物と一体化する本発明は、従来のように、受け替えジャッキを使用し、受け替え後に受け替えジャッキを除去せずに埋め殺しして建造物と一体化する場合に比較して、そのコストを1/2〜1/3とすることができる。
第2の工程は、建造物の柱又は既設杭を切断してこの柱又は既設杭の上部躯体と下部躯体との間に免震装置設置空間を形成するようにしたので、重要な既設構造物、老朽化した既設構造物、不静定構造物など許容変位量が小さい場合でも安全に作業ができる。
第2の工程は、地中に別途埋設した基礎杭からなる下部躯体と建造物の一部からなる上部躯体との間に免震装置設置空間を形成するようにしたので、基礎杭の上に建造された建造物の免震が確実に行われる。
建造物における上部躯体と下部躯体との間に形成した免震装置設置空間に、免震装置を据え付けて建造物を振動から保護する免震装置の荷重受け替え装置において、
前記免震装置設置空間の形成時に建造物の荷重を仮受けする仮受けジャッキと、
前記免震装置設置空間における上部躯体と下部躯体のいずれか一方の面に接して取り付けられる免震装置と、
この免震装置における躯体と接していない面と前記上部躯体と下部躯体のいずれか他方の面との間に取り付けられ、前記仮受けジャッキの仮受け荷重を受け替えする受け替えジャッキと、
この受け替えジャッキと並べて取り付けられて前記免震装置と前記躯体との隙間がなくなるように密着させるくさび装置と
を具備したので、建造物への受け替え時の建造物の荷重による免震装置の弾性変形をくさび装置で前もって除去し、建造物に異常な応力を発生させることなく確実に受け替えをすることができる。
くさび装置は、固定側くさび板と可動側くさび板とからなる4台のくさび装置を、可動側くさび板が中心に向かって圧入されるように十文字状に配置し、これら十文字状のくさび装置の4隅に4台の受け替えジャッキを配置したので、バランスよく、かつ安定して荷重の受け替えができる。
くさび装置は、免震装置の受圧面と略同面積の略4角形の上下2枚の固定側くさび板とこれら2枚の間に圧入される1枚の可動側くさび板からなり、この可動側くさび板に、この可動側くさび板を圧入する油圧機構を設け、受け替えジャッキとくさび装置とを兼用するようにしたので、構造が簡単で、安価に、しかも安全に免震装置を据え付けることができる。
建造物10における免震装置17の据え付け個所の上下間に仮受けジャッキ35を据え付けて、建造物10の荷重を仮受けする第1の工程と、
建造物10における上部躯体30と下部躯体31との間に免震装置設置空間52を形成する第2の工程と、
この免震装置設置空間52における上部躯体30と下部躯体31のいずれか一方の面に免震装置17を取り付けるとともに、この免震装置17における躯体に接していない面と上部躯体30及び下部躯体31のいずれか他方の面との間に受け替えジャッキ39とくさび装置42を並べて取り付ける第3の工程と、
前記受け替えジャッキ39により前記仮受けジャッキ35の仮受け荷重を受け替えする第4の工程と、
前記くさび装置42により免震装置17と躯体(上部躯体30又は下部躯体31)との隙間がなくなるように密着させる第5の工程と、
受け替えジャッキ39と仮受けジャッキ35を除去し、くさび装置42を躯体と一体化する第6の工程と
からなることを特徴とする。
からなる。
また、この第2の工程では、地中に埋設した基礎杭からなる下部躯体と建造物の一部からなる上部躯体との間に免震装置設置空間52を形成するようにすることもできる。
建造物10における上部躯体30と下部躯体31との間に形成した免震装置設置空間52に、免震装置17を据え付けて建造物10を振動から保護する免震装置の荷重受け替え装置において、
前記免震装置設置空間52の形成時に建造物10の荷重を仮受けする仮受けジャッキ35と、
前記免震装置設置空間52における上部躯体30と下部躯体31のいずれか一方の面に接して取り付けられる免震装置17と、
この免震装置17における躯体と接していない面と前記上部躯体30と下部躯体31のいずれか他方の面との間に取り付けられ、前記仮受けジャッキ35の仮受け荷重を受け替えする受け替えジャッキ39と、
この受け替えジャッキ39と並べて取り付けられて前記免震装置17と前記躯体(上部躯体又は下部躯体)との隙間がなくなるように密着させるくさび装置とを具備している。
また、くさび装置42は、免震装置17の受圧面と略同面積の略4角形の上下2枚の固定側くさび板40とこれら2枚の間に圧入される1枚の可動側くさび板41からなり、この可動側くさび板41に、この可動側くさび板41を圧入する油圧機構を設け、受け替えジャッキ39とくさび装置42とを兼用するようにしてもよい。
くさび装置42と受け替えジャッキ39の台数は、4台ずつに限られるものではなく、また、くさび装置42を十文字状に配置し、十文字状のくさび装置42の4隅に4台の受け替えジャッキ39を配置する例に限られるものではない。
図1は、図7と同様に、既設の建造物10における地下階の垂直な複数の柱27の一部を切断して免震装置設置空間52を形成して免震装置17を据え付ける例を示している。
この免震装置設置空間52は、柱27の一部を切断して形成する例の他、図8に示すような既設の基礎杭11などの既設杭の一部を切断して形成する例、さらに、地中に別途新たに埋設した基礎杭と建造物との間に形成する例であってもよい。
以下は、柱27の一部を切断して免震装置設置空間52を形成した場合について説明する。
さらに詳しくは、図5及び図6において、免震装置17の上に載せたベース板38の上に、免震装置17をすべて覆うような大きさの略4角形のくさび装置42が据え付けられる。このくさび装置42は、先端に向かって肉厚となる上下2枚の固定側くさび板40が免震装置17側のベース板38と上部躯体30側のベース板38に固定的に取り付けられ、これら2枚のくさび装置42の間に1枚の可動側くさび板41が挿入され、この可動側くさび板41の肉厚側に3台の油圧機構46が着脱自在に取り付けられている。
このくさび装置42により、先に仮受けした仮受けジャッキ35に代わって建造物10の荷重を受け替える。すると、免震装置17は、建造物10の荷重に応じた弾性変形をする。この状態で、3個所の盛り替えナット45をPC鋼棒43側に回してPC鋼棒43の端面に密着して可動側くさび板41を固定する。可動側くさび板41が固定したら、カップラ44で連結した図中左側のPC鋼棒43を外して油圧機構46等を取り外す。また、仮受けジャッキ35も除去する。
くさび装置42の周りを無収縮モルタル49で埋め込み、上部躯体30と一体化する。
たとえば、上部躯体30と下部躯体31の形状や大きさ、くさび装置42と受け替えジャッキ39の形状や能力などに応じて、1ないし複数台のくさび装置42と、1ないし複数台の受け替えジャッキ39の任意の組み合わせ、任意の配置により構成することができる。
Claims (7)
- 建造物における免震装置の据え付け個所の上下間に仮受けジャッキを据え付けて、建造物の荷重を仮受けする第1の工程と、
建造物における上部躯体と下部躯体との間に免震装置設置空間を形成する第2の工程と、
この免震装置設置空間における上部躯体と下部躯体のいずれか一方の面に免震装置を取り付けるとともに、この免震装置における躯体に接していない面と上部躯体及び下部躯体のいずれか他方の面との間に受け替えジャッキとくさび装置を並べて取り付ける第3の工程と、
前記受け替えジャッキにより前記仮受けジャッキの仮受け荷重を受け替えする第4の工程と、
前記くさび装置により免震装置と躯体との隙間がなくなるように密着させる第5の工程と
からなることを特徴とする免震装置の荷重受け替え方法。 - くさび装置により免震装置と上部躯体または下部躯体の隙間がなくなるように密着させる第5の工程の後に、受け替えジャッキと仮受けジャッキを除去し、くさび装置を躯体と一体化する第6の工程を付加したことを特徴とする請求項1記載の免震装置の荷重受け替え方法。
- 第2の工程は、建造物の柱又は既設杭を切断してこの柱又は既設杭の上部躯体と下部躯体との間に免震装置設置空間を形成するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の免震装置の荷重受け替え方法。
- 第2の工程は、地中に別途埋設した基礎杭からなる下部躯体と建造物の一部からなる上部躯体との間に免震装置設置空間を形成するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の免震装置の荷重受け替え方法。
- 建造物における上部躯体と下部躯体との間に形成した免震装置設置空間に、免震装置を据え付けて建造物を振動から保護する免震装置の荷重受け替え装置において、
前記免震装置設置空間の形成時に建造物の荷重を仮受けする仮受けジャッキと、
前記免震装置設置空間における上部躯体と下部躯体のいずれか一方の面に接して取り付けられる免震装置と、
この免震装置における躯体と接していない面と前記上部躯体と下部躯体のいずれか他方の面との間に取り付けられ、前記仮受けジャッキの仮受け荷重を受け替えする受け替えジャッキと、
この受け替えジャッキと並べて取り付けられて前記免震装置と前記躯体との隙間がなくなるように密着させるくさび装置と
を具備したことを特徴とする免震装置の荷重受け替え装置。 - くさび装置は、固定側くさび板と可動側くさび板とからなる4台のくさび装置を、可動側くさび板が中心に向かって圧入されるように十文字状に配置し、これら十文字状のくさび装置の4隅に4台の受け替えジャッキを配置したことを特徴とする請求項5記載の免震装置の荷重受け替え装置。
- くさび装置は、免震装置の受圧面と略同面積の略4角形の上下2枚の固定側くさび板とこれら2枚の間に圧入される1枚の可動側くさび板からなり、この可動側くさび板に、この可動側くさび板を圧入する油圧機構を設け、受け替えジャッキとくさび装置とを兼用するようにしたことを特徴とする請求項5記載の免震装置の荷重受け替え装置。
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