JP2017002589A - 仮受支柱および免震装置の交換方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮受支柱50は、下部躯体2と上部躯体3との間に設置される。この仮受支柱50は、下部モルタル層51、下部仮設免震基礎52、仮設免震装置53、上部仮設免震基礎54、油圧ジャッキ55、支柱材56、上部受桁57、および上部モルタル層58を備える。仮設免震装置53は、上部躯体3の下部躯体2に対する水平方向の相対移動を許容する。
【選択図】図5
Description
例えば、特許文献2に示すように、免震装置の下部基礎と上部基礎とを囲んで筒状の耐震プレートを拘束部材としてセットし、この耐震プレートとこれら基礎との隙間にグラウト材を充填することで、上部躯体の水平移動を拘束する。この方法では、免震装置の交換対象となる箇所にのみ耐震プレートを設置する。
また、従来の拘束部材のように、仮受支柱の設置にグラウト材を使用しないので、仮受支柱の取付けや撤去が容易である。
したがって、油圧ジャッキで軸力を維持する必要がないから、長期間に亘って導入した軸力を維持できる。
また、連結部材の両端側に油圧ジャッキを配置して、連結部材に反力をとってこの油圧ジャッキを駆動したので、ジャッキの反力が互いに打ち消されるから、反力を確実にとることができる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る免震装置の交換方法の適用対象となる既存建物1の断面図である。
既存柱10の中間高さには、免震装置20が設置される。この免震装置20よりも下側の部分を下部躯体2とし、免震装置20よりも上側の部分を上部躯体3とする。免震装置20は、下部躯体2に支持されて、上部躯体3を免震化するものである。
既存柱10のうち免震装置20よりも下側には、下部免震基礎30が構築され、既存柱10のうち免震装置20よりも上側には、上部免震基礎40が構築されている。
下部免震基礎30の上面には、下部ベースプレート31が打ち込まれる。下部ベースプレート31には、複数の雌ねじ部32が円環状に配置されている。
上部免震基礎40の下面には、上部ベースプレート41が打ち込まれる。上部ベースプレート41には、複数の雌ねじ部42が円環状に配置されている。
積層ゴム22は、ゴムと鋼板とを交互に積層したものであり、弾性変形可能となっている。
上部フランジ23は、上部免震基礎40の上部ベースプレート41の雌ねじ部42にボルト24で固定される。
ステップS1では、免震装置20が設置された既存柱10の近傍の3箇所に、仮受支柱50を設置する。この仮受支柱50は、下部躯体2と上部躯体3との間に設置される。
仮受支柱50は、下部としての下部モルタル層51、下部としての下部仮設免震基礎52、相対移動許容機構としての一対の仮設免震装置53、上部としての上部仮設免震基礎54、一対の軸力導入機構としての油圧ジャッキ55、上部としての一対の支柱材56、上部としての上部受桁57、および、上部としての上部モルタル層58を備える。
下部モルタル層51は、モルタルからなり、地下1階床12と下部仮設免震基礎52との隙間に充填されている。
具体的には、仮設免震装置53は、下部フランジ531と、この下部フランジ531の上に設けられた積層ゴム532と、この積層ゴム532の上に設けられた上部フランジ533と、を備える。
積層ゴム532は、ゴムと鋼板とを交互に積層したものであり、弾性変形可能となっている。また、下部フランジ531は、下部仮設免震基礎52に固定されている。
一対の油圧ジャッキ55は、上部仮設免震基礎54の上に、仮設免震装置53の直上となる位置に設けられている。油圧ジャッキ55は、上部仮設免震基礎54と支柱材56とを離間させる方向に力を加えて、仮受支柱50に軸力を導入するものである。油圧ジャッキ55には、安全ナットが設けられており、この安全ナットをロックすることで、油圧力を開放しても、上部仮設免震基礎54と支柱材56との間隔を保持できる。
上部受桁57は、水平方向に延びる鋼材であり、1階梁13の下面でかつ一対の支柱材56の上に設けられている。
上部モルタル層58は、モルタルからなり、上部受桁57と1階梁13との隙間に充填されている。
ここで、図7に示すように、地震が発生して、上部躯体3が下部躯体2に対して水平方向に相対移動した場合を想定する。この場合、仮受支柱50の仮設免震装置53よりも上側の部分は、上部躯体3と一体となって、仮受支柱50の仮設免震装置53よりも下側の部分に対して水平方向に相対移動する。すると、仮設免震装置53の積層ゴム532が変形して、この相対移動を許容する。
すなわち、ボルト24を緩めることで、既存の免震装置20の下部フランジ21を下部ベースプレート31から取り外すとともに、上部フランジ23を上部ベースプレート41から取り外す。次に、既存の免震装置20を新規の免震装置20に交換し、ボルト24を取り付けて、新規の免震装置20の下部フランジ21を下部ベースプレート31に固定するとともに、上部フランジ23を上部ベースプレート41に固定する。
すなわち、仮受支柱50の油圧ジャッキ55を駆動して、仮受支柱50に導入した軸力を解除することで、1階梁13をジャッキダウンし、上部躯体3を新規の免震装置20に支持させる。
ステップS6では、仮受支柱50を撤去する。
(1)既存の免震装置20を撤去した際に地震が発生すると、上部躯体3が下部躯体2に対して水平方向に相対移動する。これにより、上部仮設免震基礎54が下部仮設免震基礎52に対して水平方向に相対移動するが、この相対移動は、仮設免震装置53により許容される。よって、上部躯体3の水平方向の相対移動に追従する。したがって、免震装置20の交換工事の期間中に地震が発生しても、免震効果を維持できるので、耐震安全性を確保でき、工事期間中でも既存建物1を使用できる。
〔第2実施形態〕
図8は、本発明の第2実施形態に係る仮受支柱60の水平断面図であり、図9は、仮受支柱60の側面図である。
本実施形態では、仮受支柱60の構造が、第1実施形態と異なる。
すなわち、仮受支柱60は、免震装置20が設置された既存柱10の近傍の3箇所に設置される。
下部モルタル層61は、モルタルからなり、地下1階床12と下部仮設免震基礎52との隙間に充填されている。
3つの油圧ジャッキ64は、下部仮設免震基礎62と下部受桁65とを離間させる方向に力を加えて、仮受支柱60に軸力を導入する。油圧ジャッキ64には、安全ナットが設けられており、この安全ナットをロックすることで、油圧力を開放しても、下部仮設免震基礎62と下部受桁65との間隔を保持できる。
上部モルタル層67は、モルタルからなり、上部受桁66と1階梁13との隙間に充填されている。
滑り機構70は、下側滑り部材受け71、滑り部材72、および上側滑り部材受け73を備える。
下側滑り部材受け71は、下部受桁65の上面に設けられて、所定方向Aに延びている。この下側滑り部材受け71は、上面が平滑な滑り板711と、この滑り板711の両端部に立設されて所定方向Aに延びる一対のガイド部712と、を備える。
上側滑り部材受け73は、上部受桁66の下面に設けられて、所定方向Aに直交する所定方向Bに延びている。この上側滑り部材受け73は、下面が平滑な滑り板731と、この滑り板731の両端部に立設されて所定方向Bに延びる一対のガイド部732と、を備える。
滑り部材72の下面には、下面が平滑な下側ナイロン樹脂部721が設けられ、滑り部材72の上面には、上面が平滑な上側ナイロン樹脂部722が設けられている。
ナイロン樹脂部721、722は、例えば、クオドラントポリペンコジャパン株式会社製のMCナイロン(登録商標)で形成される。
上側ナイロン樹脂部722は、上側滑り部材受け73の滑り板731の下面に当接しており、摺動可能となっている。これにより、滑り部材72は、ガイド部732に沿って、滑り板731上を所定方向Bに相対移動可能となっている。
(4)滑り部材72が下側滑り部材受け71の上面あるいは上側滑り部材受け73の下面を摺動することで、下部受桁65にと上部受桁66とが水平面内であらゆる方向に相対移動可能となる。よって、簡素な構造で、既存建物1の免震装置20よりも上側の部分の相対移動に追従できる。
図12は、本発明の第3実施形態に係る仮受支柱80の平面図である。図13は、仮受支柱80の水平断面図である。
本実施形態では、特に軸力導入機構90の構造が第1実施形態と異なる。
すなわち、仮受支柱80は、免震装置20が設置された既存柱10を挟んで一対設けられている。
仮受支柱80は、下部としての下部仮設免震基礎81、軸力導入機構90、下部としての中間部仮設免震基礎82、仮設免震装置83、および、上部としての上部仮設免震基礎84を備える。
仮設免震装置83は、仮設免震装置53と同様の構造であり、中間部仮設免震基礎82の上に設けられている。
上部仮設免震基礎84は、鉄筋コンクリート造であり、1階梁13の下面でかつ仮設免震装置83の上に設けられている。一対の上部仮設免震基礎84と既存柱10の免震装置20の上側の部分とは、PC鋼棒86により、緊張力を導入した状態で互いに連結されている。これにより、上部仮設免震基礎84と既存柱10との固定度が向上する。
軸力導入機構90は、下部仮設免震基礎81と中間部仮設免震基礎82との間に設けられて中央部に向かうに従って上下の間隔が狭くなる上下一対のガイド91、92と、これら一対のガイド91、92同士の間に水平方向に対向配置された一対のくさび状のくさび部材としてのテーパプレート93A、93Bと、一対のガイド91、92に係止されて一対のテーパプレート93A、93Bを貫通して水平方向に延びる連結部材としてのPC鋼棒94と、PC鋼棒94に反力をとってテーパプレート93A、93Bを押圧する一対の油圧ジャッキ95と、を備える。
下側ガイド板912の上面の側端縁には、一対の側壁913が形成されており、上面の中央部には、一対の側壁913同士を連結する中央壁914が形成されている。ここで、下側ガイド板912の上面のうち中央壁914を挟んだ両側の部分をガイド面915A、915Bとする。これらガイド面915A、915Bは、傾斜面であり、中央壁914に向かうに従って高くなっている。
上側ガイド板922の下面の側端縁には、一対の側壁923が形成されており、下面の中央部には、一対の側壁923同士を連結する中央壁924が形成されている。ここで、上側ガイド板922の下面のうち中央壁924を挟んだ両側の部分をガイド面925A、925Bとする。これらガイド面925A、925Bは、傾斜面であり、中央壁924に向かうに従って低くなっている。
これにより、ガイド面915A、915Bとガイド面925A、925Bとの間隔は、中央部である中央壁914、924に向かうに従って狭くなっている。
すなわち、一対の支圧板941は、中央壁914、924を挟んで配置されており、PC鋼棒94は、これら一対の支圧板941を貫通している。PC鋼棒94は、外周面に雌ねじが形成されており、PC鋼棒94の一対の支圧板941の外側にナット942を螺合し、このナット942を締め付けることで、PC鋼棒94が中央壁914、924に係止する。
すなわち、一対の支圧板931は、テーパプレート93A、93Bの外端面に配置されており、PC鋼棒94は、これらテーパプレート93A、93Bおよび支圧板931を貫通している。ナット932は、PC鋼棒94の一対の支圧板931の外側に螺合されている。
この油圧ジャッキ95の先端面は、一対のテーパプレート93A、93Bの外端面に連結されている。
すなわち、一対の支圧板943は、各油圧ジャッキ95の外端面に配置されており、PC鋼棒94は、これら油圧ジャッキ95および支圧板943を貫通している。PC鋼棒94の一対の支圧板941の外側にナット944を螺合し、このナット944を締め付けることで、PC鋼棒94がテーパプレート93A、93Bの外端面に係止する。
仮受支柱80に軸力を導入する場合、油圧ジャッキ95により、下側ガイド板912および上側ガイド板922に反力をとって一対のテーパプレート93A、93Bを互いに接近する方向に押し込む。
すると、テーパプレート93Aは、下側ガイド板912のガイド面915Aおよび上側ガイド板922のガイド面925Aを摺動して、これらガイド面同士の間隔を押し拡げる。また、テーパプレート93Bは、下側ガイド板912のガイド面915Bおよび上側ガイド板922のガイド面925Bを摺動して、これらガイド面同士の間隔を押し拡げる。
このとき、中央壁914、924は、テーパプレート93A、93Bの行き過ぎを防止するエンドストッパとなる。
(5)テーパプレート93A、93Bを打ち込んで、ガイド板912、922同士の間隔を押し拡げることで、仮受支柱80に軸力を導入して、上部躯体3をジャッキアップする。そして、テーパプレート93A、93Bの位置を固定することで、この導入した軸力を維持する。
したがって、油圧ジャッキで軸力を維持する必要がないから、長期間に亘って導入した軸力を維持できる。
また、PC鋼棒94の両端側に油圧ジャッキ95を配置して、PC鋼棒94に反力をとってこの油圧ジャッキ95を駆動したので、ジャッキの反力が互いに打ち消されるから、反力を確実にとることができる。
例えば、上述の第1、第3実施形態では、免震装置20を仮受支柱50、80の下側に配置したが、これに限らず、仮受支柱50、80の上側に配置してもよい。また、第2実施形態では、滑り機構70を仮受支柱60の上側に配置したが、これに限らず、仮受支柱60の下側に配置してもよい。
10…既存柱、11…地下1階梁、12…地下1階床、13…1階梁、14…1階床
20…免震装置、21…下部フランジ、22…積層ゴム、23…上部フランジ、24…ボルト
30…下部免震基礎、31…下部ベースプレート、32…雌ねじ部、40…上部免震基礎、41…上部ベースプレート、42…雌ねじ部
50…仮受支柱、51…下部モルタル層(下部)、52…下部仮設免震基礎(下部)、53…仮設免震装置(相対移動許容機構)、54…上部仮設免震基礎(上部)、55…油圧ジャッキ(軸力導入機構)、56…支柱材(上部)、57…上部受桁(上部)、58…上部モルタル層(上部)
60…仮受支柱、61…下部モルタル層(下部)、62…下部仮設免震基礎(下部)、63…サンドル材(下部)、64…油圧ジャッキ(軸力導入機構)、65…下部受桁(下部)、66…上部受桁(上部)、67…上部モルタル層(上部)
70…滑り機構(相対移動許容機構)、71…下側滑り部材受け、72…滑り部材、73…上側滑り部材受け
80…仮受支柱、81…下部仮設免震基礎(下部)、82…中間部仮設免震基礎(下部)、83…仮設免震装置(相対移動許容機構)、84…上部仮設免震基礎(上部)、85、86…PC鋼棒
90…軸力導入機構、91…下側ガイド、92…上側ガイド、93A、93B…テーパプレート(くさび部材)、94…PC鋼棒(連結部材)、95…油圧ジャッキ
531…下部フランジ、532…積層ゴム、533…上部フランジ
711…滑り板、712…ガイド部、721…下側ナイロン樹脂部、722…上側ナイロン樹脂部、731…滑り板、732…ガイド部
911…コンクリート体、912…下側ガイド板、913…側壁、914…中央壁、915A、915B…ガイド面
921…コンクリート体、922…上側ガイド板、923…側壁、924…中央壁、925A、925B…ガイド面
931…支圧板、932…ナット、941…支圧板、942…ナット、943…支圧板、944…ナット
Claims (5)
- 下部躯体と上部躯体との間に設置される仮受支柱であって、
下部と、
当該下部の上に設けられた相対移動許容機構と、
当該相対移動許容機構の上に設けられた上部と、
当該下部または当該上部に設けられて軸力を導入する軸力導入機構と、を備え、
前記相対移動許容機構は、前記上部の下部に対する水平方向の相対移動を許容することを特徴とする仮受支柱。 - 前記相対移動許容機構は、ゴムと鋼板とを交互に積層して弾性変形可能な積層ゴムを備えることを特徴とする請求項1に記載の仮受支柱。
- 前記相対移動許容機構は、前記下部の上に設けられた下側滑り部材受けと、
当該下側滑り板受けの上に設けられた滑り部材と、
前記上部の下でかつ当該滑り部材の上に設けられた上側滑り部材受けと、を備え、
前記滑り部材は、前記下側滑り部材受けの上面を、所定方向に摺動可能であり、かつ、前記上側滑り部材受けの下面を、所定方向に交差する方向に摺動可能であることを特徴とする請求項1に記載の仮受支柱。 - 前記軸力導入機構は、中央部に向かうに従って間隔が狭くなる上下一対のガイドと、
当該一対のガイド同士の間に配置された一対のくさび部材と、
前記一対のガイドに係止されて前記一対のくさび部材を貫通して水平方向に延びる連結部材と、
当該連結部材に反力をとって前記くさび部材を中央部に向かって押圧する一対の油圧ジャッキと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の仮受支柱。 - 下部躯体と上部躯体との間に設置された免震装置の交換方法であって、
請求項1から4のいずれかに記載の仮受支柱を前記下部躯体上に設置して、当該仮受支柱により前記上部躯体を支持する工程と、
前記免震装置を新規の免震装置に交換する工程と、
前記仮受支柱を撤去する工程と、を備えることを特徴とする免震装置の交換方法。
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