JP6087680B2 - 既存建物の免震化方法 - Google Patents
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Description
具体的には、上部躯体の下面に、免震装置の上端面を取り付けるとともに、この免震装置の下端面を上端面から水平方向にずれた位置に仮固定する。すると、この免震装置の変形から復元力が生じる。この復元力により上部躯体を水平移動させる。このような作業を繰り返すことで、上部躯体を所定の位置まで水平移動する。
図1は、本発明の一実施形態に係る既存建物の免震化方法1の適用対象となる既存建物10の一部の縦断面図である。
既存建物10は、下部躯体11と、この下部躯体11から上方に延びる断面矩形状の既存柱12と、この既存柱12に支持される上部躯体13と、を有する。この既存柱12の柱芯を一点鎖線Cで示す。
下部躯体11および上部躯体13は、複数のフロアで構成されている。つまり、既存柱12は、既存建物10の中間階に位置していることになる。
免震化された既存建物10では、既存柱12は、2箇所で略水平に切断されて、中間部分が撤去されて間隙14が形成されている。この既存柱12の残る下側の部分を、下側既存柱15とし、既存柱12の残る上側の部分を、上側既存柱16とする。
上部躯体13は、上側既存柱16とともに水平移動しており、上側既存柱16の柱芯は、CからC´に移動している。
また、下側既存柱15および新設躯体20の上面には、下側免震基礎21が構築されて、この下側免震基礎21の上には、免震装置30が設置されている。
一方、上側既存柱16の下面には、上側免震基礎22が構築され、免震装置30は、この上側免震基礎22を支持している。
免震装置30は、下側フランジ31と、この下側フランジ31の上に設けられた積層ゴム32と、この積層ゴム32の上に設けられた上側フランジ33と、を備える。
積層ゴム32は、鋼板とゴムとが交互に積層されたものである。
上下のフランジ31、33には、周縁部に沿って所定間隔おきに、ボルトを挿通するためのボルト挿通孔311、331が設けられている。
これらベースプレート40、41の周縁部には、円環状の所定間隔おきに、雌ねじ42、43が設けられている。
ステップS1では、図5に示すように、既存柱12に隣接して、新設躯体20を新たに構築する。このとき、既存柱12の新設躯体20に接合される面には、目荒らし処理を施しておく。
具体的には、まず、既存柱12の高さ方向中間部分に間隙14の位置決めを行う。この間隙14の高さ寸法は、上述の寸法H1よりも僅かに大きいH2である。
このフレーム50は、矩形枠状で下側既存柱15および新設躯体20の上に設けられた基部51と、この基部51に立設された矩形枠状の壁部52と、壁部52を基部51に補強する補強プレート53と、を備える。
基部51は、下側既存柱15および新設躯体20にアンカー54で固定されている。
壁部52のうちの移動方向に沿って延びる部分の上端には、内側に向かって略水平に延びる係止部521が設けられている。
具体的には、まず、フレーム50の壁部52内側に樹脂製のシート23を敷設する。この樹脂製のシート23は、表面が平滑となっている。
次に、このシート23の上に支持架台60を配置する。この支持架台60は、シート23の上に配置された鋼板61と、この鋼板61の上に設置されて下側ベースプレート40を支持するサポートジャッキ62と、を備える。
具体的には、まず、ボルト34、35を用いて、ベースプレート40、41を免震装置30に取り付けておく。
次に、支持架台60の上に、ベースプレート40、41が一体化した免震装置30を載せて、支持架台60のサポートジャッキ62で免震装置30の下側ベースプレート40を支持させる。このとき、免震装置30の下側ベースプレート40の端縁が、フレーム50の係止部521の直下に入り込むように配置する(図9参照)。
具体的には、フレーム50内で支持架台60の移動方向と反対側に、推進ジャッキ70を配置し、支持架台60の移動方向側に、拘束ジャッキ71を配置する。
そして、これら推進ジャッキ70および拘束ジャッキ71のピストンロッドの先端面を、下側ベースプレート40および支持架台60の鋼板61に当接させておく。
具体的には、推進ジャッキ70により、フレーム50に反力をとって、下側ベースプレート40および支持架台60の鋼板61を新設躯体20に向かって押圧するとともに、拘束ジャッキ71により、フレーム50に反力をとって、下側ベースプレート40および支持架台60の鋼板61を、推進ジャッキ70よりも弱い力で押圧する。
このとき、フレーム50の係止部521の直下に免震装置30の下側ベースプレート40の端縁が入り込んでいるので、免震装置30の浮き上がりを防止できる。さらに、移動中に地震が発生しても、免震建物として機能する。また、拘束ジャッキ71により下側ベースプレート40および支持架台60の鋼板61を適宜押圧しているので、移動方向に対して免震装置30の向きが傾斜するのを防止できる。
ステップS12では、下側免震基礎21を構築する。
(1)免震装置30で上部躯体13を支持した状態で、この免震装置30を推進ジャッキ70および拘束ジャッキ71で水平移動させる。これにより、既存建物10を容易に水平移動して免震化できる。
例えば、本実施形態では、下側ベースプレート40を免震装置30に取り付けた状態で、免震装置30を水平移動したが、これに限らない。例えば、予め免震装置30の移動先に下側ベースプレート40を設置しておき、免震装置30を水平移動した後に、免震装置30を下側ベースプレート40に取り付けるようにしてもよい。
10…既存建物
11…下部躯体
12…既存柱
13…上部躯体
14…間隙
15…下側既存柱
16…上側既存柱
17…支持プレート
20…新設躯体
21…下側免震基礎
22…上側免震基礎
23…シート
30…免震装置
31…下側フランジ
32…積層ゴム
33…上側フランジ
34、35…ボルト
40…下側ベースプレート
41…上側ベースプレート
42、43…雌ねじ
50…フレーム
51…基部
52…壁部
53…補強プレート
54…アンカー
60…支持架台
61…鋼板
62…サポートジャッキ
70…推進ジャッキ
71…拘束ジャッキ
311、331…ボルト挿通孔
521…係止部
Claims (1)
- 既存建物を水平移動して免震化する既存建物の免震化方法であって、
前記既存建物は、下階のフロアを含む下部躯体と、当該下部躯体から上方に延びる柱と、当該柱に支持されて上階のフロアを含む上部躯体と、を有し、
前記柱に隣接して新設躯体を構築するとともに、前記柱を切断して当該切断した箇所に免震装置を設置して当該免震装置に前記上部躯体を支持させる工程と、
前記免震装置を、前記上部躯体とともに前記切断した柱の上から前記新設躯体の上に向かって水平移動させる工程と、を備え、
前記柱を切断して当該切断した箇所に前記免震装置を設置する工程では、前記柱の側面のうち前記既存建物の移動方向に沿って延びる2つの側面に一対のプレートを取り付ける工程と、
当該柱を切断して前記一対のプレートを介して前記上部躯体の柱を前記下部躯体の柱に仮支持させ、この状態で当該切断した箇所に免震装置を設置する工程と、
前記プレートを取り外して仮支持を解除し、前記上部躯体を前記免震装置に支持させる工程と、を備えることを特徴とする既存建物の免震化方法。
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