JP2011178961A - 樹脂組成物、熱伝導性シート及びその製造方法、並びにパワーモジュール - Google Patents

樹脂組成物、熱伝導性シート及びその製造方法、並びにパワーモジュール Download PDF

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【課題】樹脂組成物や熱伝導性シートを製造する際の機械的な力による二次焼結粒子の変形や崩壊を抑制し、シート厚み方向の熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シートを与える樹脂組成物を提供する。
【解決手段】無機充填材をマトリックス樹脂成分中に分散してなる樹脂組成物であって、
前記無機充填材は、0.1μm超過5μm以下の平均長径を有する鱗片状窒化ホウ素の一次粒子から構成される二次焼結粒子を含み、且つ前記二次焼結粒子は、40%以下の気孔率及び40MPa以上の弾性率を有することを特徴とする樹脂組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、熱伝導性シート及びその製造方法、並びにパワーモジュールに関し、特に、パワーモジュールなどの電気・電子機器の発熱部材から放熱部材へ熱を伝達させる熱伝導性シートを製造するために用いられる樹脂組成物、この樹脂組成物を用いる熱伝導性シート及びその製造方法、並びにパワーモジュールに関する。
従来、パワーモジュールなどの電気・電子機器の発熱部材から放熱部材へ熱を伝達させる部材には、熱伝導性及び電気絶縁性に優れていることが要求され、この要求を満たすものとして、無機充填材をマトリックス樹脂中に分散させた熱伝導性シートが広く用いられている。この熱伝導性シートに用いられる無機充填材としては、アルミナ、窒化ホウ素(BN)、シリカ、窒化アルミニウムなどが挙げられるが、その中でも六方晶窒化ホウ素(h−BN)は、熱伝導性及び電気絶縁性に加えて化学的安定性にも優れており、しかも無毒性且つ比較的安価でもある。そのため、六方晶窒化ホウ素は、熱伝導性シートで使用するのに最適である。
六方晶窒化ホウ素は、黒鉛と同様の分子構造を有している。また、一般に市販されている六方晶窒化ホウ素は、図4に示すように鱗片状の結晶構造を有しているため、鱗片状窒化ホウ素とも称される。図4において、矢印の方向は熱伝導の方向、矢印の太さは熱伝導の大きさを表す。この鱗片状窒化ホウ素は、長径方向(結晶方向)の熱伝導率が高く、短径方向(層方向)の熱伝導率が低いという熱的異方性を有しており、結晶のa軸方向(面方向)の熱伝導率は、c軸方向(厚み方向)の数倍から数十倍と言われている。そのため、マトリックス樹脂中に分散させる鱗片状窒化ホウ素をシート内で直立させた状態、すなわち、鱗片状窒化ホウ素の長径方向をシート厚み方向と平行に配向させることにより、シート厚み方向の熱伝導性を飛躍的に向上させた熱伝導性シートの開発が行われている。
一般に、熱伝導性シートは、無機充填材をマトリックス樹脂成分中に分散させた樹脂組成物をプレス成形法、射出成形法、押出成形法、カレンダー成形法、ロール成形法、ドクターブレード成形法などの公知の成形方法によってシート状に成形した後、硬化させることによって製造される。しかしながら、このような方法では、シート状に成形する際の圧力や流動によって、鱗片状窒化ホウ素がシート内で倒れた状態、すなわち、図5に示すように、マトリックス樹脂4中で鱗片状窒化ホウ素(鱗片状窒化ホウ素の一次粒子2)の長径方向がシート面方向と平行に配向され易い。このような熱伝導性シートは、シート面方向の熱伝導性に優れているため、シート厚み方向が熱伝導経路となる使用形態においては熱伝導性が十分でない。
一方、全ての鱗片状窒化ホウ素の長径方向をシート厚み方向と平行に配向させると、熱伝導性が向上する代わりに電気絶縁性が著しく低下してしまう。そのため、熱伝導性と電気絶縁性とのバランスを考慮しつつ、熱伝導性シート中の鱗片状窒化ホウ素の配向を調整しなければならない。
そこで、鱗片状窒化ホウ素を凝集させて焼結した二次焼結体を作製し、この二次焼結粒子をマトリックス樹脂成分中に分散させた樹脂組成物を用いて熱伝導性シートを製造する方法が提案されている。この二次焼結粒子は、等方的な熱伝導性を有しているので、熱伝導性シート中の鱗片状窒化ホウ素の配向を適切な状態に制御することができる。そのため、この熱伝導性シートは、良好な電気絶縁性を維持しつつ、シート厚み方向の熱伝導性を向上させることができると考えられている。
しかしながら、樹脂組成物に配合される二次焼結粒子は、様々な機械的な力(例えば、樹脂組成物中に二次焼結粒子を分散させる際の剪断力や、熱伝導性シートを製造する際のプレス圧力など)によって変形又は崩壊し、二次焼結粒子を構成する鱗片状窒化ホウ素の多くは、その長径方向がシート面方向と平行に配向してしまうことがある。その結果、シート厚み方向の熱伝導性が十分に向上しないという問題がある。
一方、二次焼結粒子を含む樹脂組成物を用いて製造される熱伝導性シートにおいて、二次焼結粒子の強度を規定したものがある。例えば、特許文献1では、崩壊強度のバルク密度に対する比が6.5MPa・cc/g以上の二次焼結粒子を用いることが提案されている。また、特許文献2では、超音波の印加前後におけるレーザー回折・散乱式粒度分布測定による平均粒径の変化率が47%以下の二次焼結粒子を用いることが提案されている。
特表2008−510878号公報 国際公開第2009/041300号公報
しかしながら、特許文献1及び2のように二次焼結粒子の強度を単に規定しても、樹脂組成物や熱伝導性シートにおける二次焼結粒子の変形や崩壊を十分に抑制することができないことがある。すなわち、特許文献1では、二次焼結粒子が崩壊する強度を規定しているだけであり、樹脂組成物や熱伝導性シートを製造する際の機械的な力による二次焼結粒子の変形や崩壊については特に考慮されていない。そのため、このような強度を有する二次焼結粒子を用いて樹脂組成物や熱伝導性シートを実際に製造した場合、二次焼結粒子の変形や崩壊が生じることがある。同様に、特許文献2では、超音波の印加前後における平均粒径の変化率によって二次焼結粒子の強度を規定しているが、このような強度を有する二次焼結粒子を用いて樹脂組成物や熱伝導性シートを実際に製造した場合でも、二次焼結粒子の変形や崩壊が生じることがある。その結果、図6に示すように、二次焼結粒子3を構成する鱗片状窒化ホウ素の一次粒子2の多くは、その長径方向がシート面方向に平行に配向し、シート厚み方向の熱伝導率が十分に向上しない。このように特許文献1及び2では、二次焼結粒子の強度設計が十分に検討されていないため、樹脂組成物や熱伝導性シートを実際に製造した場合に二次焼結粒子の変形や崩壊が生じてしまうことがある。
従って、本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、樹脂組成物や熱伝導性シートを製造する際の機械的な力による二次焼結粒子の変形や崩壊を抑制し、シート厚み方向の熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シートを与える樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、シート厚み方向の熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、熱放散性及び電気絶縁性に優れたパワーモジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、樹脂組成物や熱伝導性シートを製造する際の二次焼結粒子の変形や崩壊が、二次焼結粒子の弾性率と密接に関係しているという知見に基づき、二次焼結粒子の弾性率を所定の範囲にすることで、この二次焼結粒子の変形や崩壊を抑制することができ、また、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子の平均長径及び二次焼結粒子の気孔率を所定の範囲にすることで、所定の範囲の弾性率を有する二次焼結粒子を作製することができることを見出した。
すなわち、本発明は、無機充填材をマトリックス樹脂成分中に分散してなる樹脂組成物であって、前記無機充填材は、0.1μm超過5μm以下の平均長径を有する鱗片状窒化ホウ素の一次粒子から構成される二次焼結粒子を含み、且つ前記二次焼結粒子は、40%以下の気孔率及び40MPa以上の弾性率を有することを特徴とする樹脂組成物である。
また、本発明は、無機充填材をマトリックス樹脂中に分散してなる熱伝導性シートであって、前記無機充填材は、0.1μm超過5μm以下の平均長径を有する鱗片状窒化ホウ素の一次粒子から構成される二次焼結粒子を含み、且つ前記二次焼結粒子は、40%以下の気孔率及び40MPa以上の弾性率を有することを特徴とする熱伝導性シートである。
また、本発明は、上記の樹脂組成物を基材に塗布して乾燥させる工程と、塗布乾燥物を0.5MPa以上50MPa以下のプレス圧で加圧しながら硬化させる工程とを含むことを特徴とする熱伝導性シートの製造方法である。
さらに、本発明は、一方の放熱部材に搭載された電力半導体素子と、前記電力半導体素子で発生する熱を外部に放熱する他方の放熱部材と、前記半導体素子で発生する熱を前記一方の放熱部材から前記他方の放熱部材に伝達する、上記の熱伝導性シートとを備えることを特徴とするパワーモジュールである。
本発明によれば、シート厚み方向の熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シートを与える樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、シート厚み方向の熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シート及びその製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、熱放散性及び電気絶縁性に優れたパワーモジュールを提供することができる。
実施の形態2の熱伝導性シートの断面図である 実施の形態3のパワーモジュールの断面図である。 実施例1〜6及び比較例1〜4における二次焼結粒子の弾性率と熱伝導性シートの熱伝導率との関係を示すグラフである。 鱗片状窒化ホウ素の結晶構造を示す図である。 鱗片状窒化ホウ素を含む従来の熱伝導性シートの断面図である。 二次焼結粒子を含む従来の熱伝導性シートの断面図である。
実施の形態1.
本実施の形態の樹脂組成物は、無機充填材をマトリックス樹脂成分中に分散してなるものである。
無機充填材は、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子から構成される二次焼結粒子を含む。ここで、本明細書において「二次焼結粒子」とは、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子を等方的に凝集させ、焼結によって一次粒子同士を結着させたものを意味する。
二次焼結粒子は40MPa以上の弾性率を有する。ここで、本明細書において「二次焼結粒子の弾性率」とは、熱硬化性樹脂中に二次焼結粒子が分散された熱伝導性シートを実際に作製した後、この熱伝導性シートを、電気炉を用い、空気雰囲気中、500℃〜800℃の温度で5〜10時間程度熱処理して灰化させることで得た二次焼結粒子について、微小圧縮試験機による圧縮試験を行って得た応力−歪み曲線から求めた値を意味する。上記のような弾性率を有する二次焼結粒子を用いることで、樹脂組成物や熱伝導性シートを製造する際の機械的な力による二次焼結粒子の変形や崩壊を抑制することができる。二次焼結粒子の弾性率が40MPa未満であると、樹脂組成物や熱伝導性シートを製造する際の機械的な力によって二次焼結粒子の多くが変形又は崩壊してしまう。
上記のような弾性率を有する二次焼結粒子は、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子の平均長径及び二次焼結粒子の気孔率を所定の範囲にすることで作製することができる。
二次焼結粒子を構成する鱗片状窒化ホウ素の一次粒子は、0.1μm超過5μm以下の平均長径を有する。ここで、本明細書において「鱗片状窒化ホウ素の一次粒子の平均長径」とは、熱硬化性樹脂中に二次焼結粒子が分散された熱伝導性シートを実際に作製し、この熱伝導性シートの断面を研磨して電子顕微鏡で数千倍に拡大した写真を数枚撮影した後、一次粒子の長径を実際に測定し、その測定値を平均することによって求めた値を意味する。一次粒子の平均長径が0.1μm以下であると、焼結の際に焼結不足となり易く、一次粒子同士の結着力が小さくなる。その結果、二次焼結粒子の弾性率が低下してしまう。一方、一次粒子の平均長径が5μmを超えると、二次焼結粒子を構成する一次粒子の数が減少し、一次粒子同士の結着点の数が著しく少なくなる。その結果、二次焼結粒子の弾性率が低下する。
二次焼結粒子は40%以下の気孔率を有する。ここで、本明細書において「二次焼結粒子の気孔率」とは、熱硬化性樹脂中に二次焼結粒子が分散された熱伝導性シートを実際に作製した後、この熱伝導性シートを、電気炉を用い、空気雰囲気中、500℃〜800℃の温度で5〜10時間程度熱処理して灰化させることで得た二次焼結粒子について、水銀圧入式のポロシメータを用いて測定した値を意味する。二次焼結粒子の気孔率が40%を超えると、二次焼結粒子の密度が低くなり、二次焼結粒子の弾性率が低下する。
二次焼結粒子の形状は、特に限定されないが、球状であることが好ましい。二次焼結粒子が球状であれば、二次焼結粒子の配合量を多くしても樹脂組成物の流動性を確保することができる。
二次焼結粒子の平均粒径は、好ましくは20μm以上180μm以下、より好ましくは40μm以上130μm以下である。ここで、本明細書において「二次焼結粒子の平均粒径」とは、熱硬化性樹脂中に二次焼結粒子が分散された熱伝導性シートを実際に作製した後、この熱伝導性シートを、電気炉を用いて500℃〜800℃の温度で空気雰囲気中にて5〜10時間程度熱処理して灰化することによって得た二次焼結粒子について、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定によって得られた粒径の平均値を意味する。二次焼結粒子の平均粒径が20μm未満であると、所望の熱伝導性を有する熱伝導性シートが得られないことがある。一方、二次焼結粒子の平均粒径が180μmを超えると、二次焼結粒子をマトリックス樹脂成分中に混合分散させることが困難となり、作業性や成形性に支障を生じることがある。
また、製造する熱伝導性シートの厚さに対する二次焼結粒子の最大粒径が大きすぎる場合、界面を伝って絶縁性が低下するおそれがある。そのため、二次凝集粒子の最大粒径は、製造する熱伝導性シートの厚さの約9割以下であることが好ましい。
二次焼結粒子は、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子を含むスラリーをスプレードライ法などの公知の方法によって凝集させた後、焼結させることによって製造することができる。例えば、結晶性が比較的低い鱗片状窒化ホウ素を仮焼きして粉砕処理を行った後、これに水性媒体(例えば、水など)やバインダー(例えば、ポリビニルアルコールなど)を加えてスラリーを調製する。次に、このスラリーをスプレードライすることによって顆粒(二次凝集粒子)を形成させた後、焼成すればよい。この方法における各条件(仮焼温度、粉砕時間、スラリー濃度、焼成温度など)は、使用する原料などによって異なるため、一義的に定義することは難しい。そのため、使用する原料などに応じて、二次焼結粒子が上記特性を有するように適宜調整する必要がある。
二次焼結粒子の含有量は、樹脂組成物の固形分(熱伝導性シート)中で20体積%以上80体積%以下となることが好ましい。特に、樹脂組成物の固形分中の二次焼結粒子の含有量が30体積%以上65体積%以下の場合には、二次焼結粒子をマトリックス樹脂成分中に混合分散させ易く、作業性や成形性が良好であると共に、熱伝導性シートの熱伝導性がより一層向上する。二次焼結粒子の含有量が20体積%未満であると、所望の熱伝導性を有する熱伝導性シートが得られないことがある。一方、二次焼結粒子の含有量が80体積%を超えると、二次焼結粒子をマトリックス樹脂成分中に混合分散させることが困難となり、作業性や成形性に支障を生じることがある。
無機充填材は、熱伝導性や電気絶縁性の向上や、熱伝導性と電気絶縁性とのバランスの改善を目的として、上記の二次焼結粒子を構成する鱗片状窒化ホウ素とは別の鱗片状窒化ホウ素や無機粉末を含むことができる。無機粉末の例としては、溶融シリカ(SiO)、結晶シリカ(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)などが挙げられる。これらは、単独又は組み合わせて用いることができる。
上記の二次焼結粒子以外の無機充填材の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されず、使用する無機充填材の種類に応じて適宜設定すればよい。
本明細書において「マトリックス樹脂成分」とは、硬化した際にマトリックス樹脂となる成分のことを意味し、熱硬化性樹脂や硬化剤を含む。
熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂は、耐熱性などの物性に優れているので好ましい。エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環脂肪族エポキシ樹脂、グリシジル−アミノフェノール系エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独又は組み合わせて用いることができる。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤の例としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及び無水ハイミック酸などの脂環式酸無水物;ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族酸無水物;無水フタル酸及び無水トリメリット酸などの芳香族酸無水物;ジシアンジアミド及びアジピン酸ジヒドラジドなどの有機ジヒドラジド;トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;ジメチルベンジルアミン;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン及びその誘導体;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独又は組み合わせて用いることができる。
硬化剤の配合量は、使用する熱硬化性樹脂や硬化剤の種類などに応じて適宜設定すればよいが、一般的に100質量部の熱硬化性樹脂に対して0.1質量部以上200質量部以下である。
本実施の形態の樹脂組成物は、二次焼結粒子とマトリックス樹脂との界面の接着力を向上させる観点から、カップリング剤を含むことができる。カップリング剤の例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのカップリング剤は、単独又は組み合わせて用いることができる。
カップリング剤の配合量は、使用する熱硬化性樹脂やカップリング剤の種類などに応じて適宜設定すればよいが、一般的に100質量部の熱硬化性樹脂に対して0.01質量部以上1質量部以下である。
本実施の形態の樹脂組成物は、当該組成物の粘度を調整する観点から、溶剤を含むことができる。溶剤としては特に限定されず、使用する熱硬化性樹脂や無機充填材の種類に応じて適宜選択すればよい。かかる溶剤としては、例えば、トルエンやメチルエチルケトンなどが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤の配合量は、混練が可能な量であれば特に限定されず、一般的に熱硬化性樹脂と無機充填剤との合計100質量部に対して40質量部以上85質量部以下である。
上記のような構成成分を含有する本実施の形態の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法に従って行うことができる。例えば、樹脂組成物は、以下のようにして製造することができる。
まず、所定量の熱硬化性樹脂と、この熱硬化性樹脂を硬化させるために必要な量の硬化剤とを混合する。次に、この混合物に溶剤を加えた後、二次焼結粒子などの無機充填材を加えて予備混合する。なお、樹脂組成物の粘度が低い場合には、溶剤を加えなくてもよい。次に、この予備混合物を3本ロールやニーダなどを用いて混練することによって樹脂組成物を得ることができる。なお、樹脂組成物にカップリング剤を配合する場合、カップリング剤は混練工程前までに加えればよい。
このようにして製造される本実施の形態の樹脂組成物は、強度設計が十分になされた二次焼結粒子を配合しているため、樹脂組成物や熱伝導性シートを製造する際の機械的な力による二次焼結粒子の変形や崩壊を抑制することができる。そのため、本実施の形態の樹脂組成物は、シート厚み方向の熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シートを与えることができる。
実施の形態2.
本実施の形態の熱伝導性シートは、上記の樹脂組成物をシート状に成形した後、硬化してなるものである。すなわち、本実施の形態の熱伝導性シートは、無機充填材をマトリックス樹脂中に分散してなり、前記無機充填材は、0.1μm超過5μm以下の平均長径を有する鱗片状窒化ホウ素の一次粒子から構成される二次焼結粒子を含み、且つ前記二次焼結粒子は、40%以下の気孔率及び40MPa以上の弾性率を有する。
以下、図面を参照して本実施の形態の熱伝導性シートについて説明する。
図1は、本実施の形態における熱伝導性シートの断面図である。図1において、熱伝導性シート1は、マトリックス樹脂2と、このマトリックス樹脂2中に分散された二次焼結粒子3とから構成されている。そして、二次焼結粒子3は、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子4から構成されている。
本実施の形態の熱伝導性シート1は、上記の樹脂組成物を基材に塗布して乾燥させる工程と、塗布乾燥物を所定のプレス圧で加圧しながら硬化させる工程とを含む方法によって製造することができる。
ここで、基材としては、特に限定されず、例えば、離型処理された樹脂シートやフィルムなどの公知の離型性基材が挙げられる。また、熱伝導性シート1を放熱部材上に直接形成する場合には、放熱部材を基材として用いてもよい。ここで、放熱部材としては特に限定されないが、例えば、リードフレーム、ヒートシンク、ヒートスプレッダなどが挙げられる。
樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されず、ドクターブレード法などの公知の方法を用いることができる。
塗布した樹脂組成物の乾燥は、周囲温度で行ってよいが、溶剤の揮発を促進させる観点から、必要に応じて80℃以上150℃以下に加熱してもよい。
塗布乾燥物の加圧時のプレス圧は、好ましくは0.5MPa以上50MPa以下、より好ましくは1.9MPa以上30MPa以下である。プレス圧が0.5MPa未満であると、熱伝導性シート1内のボイドを十分に除去することができないことがある。一方、プレス圧が50MPaを超えると、二次焼結粒子3の多くが変形又は崩壊してしまい、熱伝導性シート1の熱伝導性及び電気絶縁性が低下することがある。また、プレス時間は、特に限定されないが、一般的に5分以上60分以下である。
塗布乾燥物の硬化温度は、使用する熱硬化性樹脂の種類にあわせて適宜設定すればよいが、一般的に150℃以上250℃以下である。また、硬化時間は、特に限定されないが、一般的に2分以上24時間以下である。
このようにして得られる熱伝導性シート1では、強度設計が十分になされた二次焼結粒子をマトリックス樹脂2中に分散させているので、熱伝導性シート1を製造する際の機械的な力による二次焼結粒子3の変形や崩壊を抑制することができる。そのため、この熱伝導性シート1は、熱伝導性及び電気絶縁性に優れたものとなる。
実施の形態3.
本実施の形態のパワーモジュールは、上記の樹脂組成物から得られる熱伝導性シートを具備する。すなわち、本実施の形態のパワーモジュールは、一方の放熱部材に搭載された電力半導体素子と、前記電力半導体素子で発生する熱を外部に放熱する他方の放熱部材と、前記半導体素子で発生する熱を前記一方の放熱部材から前記他方の放熱部材に伝達する、上記の熱伝導性シートとを備えることを特徴とする。
本実施の形態のパワーモジュールにおいて、熱伝導性シート以外の構成は特に限定されず、公知のパワーモジュールの構成を採用することができる。
以下、本実施の形態のパワーモジュールについて図面を用いて説明する。
図2は、本実施の形態のパワーモジュールの断面図である。図2において、パワーモジュール10は、一方の放熱部材であるリードフレーム12と、他方の放熱部材であるヒートシンク14と、リードフレーム12とヒートシンク14との間に配置された熱伝導性シート11と、リードフレーム12に搭載された電力半導体素子13及び制御用半導体素子15とを備えている。そして、電力半導体素子13と制御用半導体素子15との間、及び電力半導体素子13とリードフレーム12との間は、金属線16によってワイヤボンディングされている。また、リードフレーム12の端部、及びヒートシンク14の外部放熱部以外は封止樹脂17で封止されている。このパワーモジュールにおいて、熱伝導性シート11以外の部材は特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。
パワーモジュールに熱伝導性シート11を組み込む方法は、特に限定されることはなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、熱伝導性シート11を別個に作製した場合、電力半導体素子13などの各種部品を搭載したリードフレーム12と、ヒートシンク14との間に熱電伝導性シート11を挟み込んだ後、これをトランスファーモールド成型用金型に配置し、トランスファーモールド成型装置を用いて封止樹脂7を金型に流し込み、加圧及び加熱して封止すればよい。また、ヒートシンク12に熱伝導性シート11を直接形成する場合、熱伝導性シート1上に、電力半導体素子13などの各種部品を搭載したリードフレーム12を配置した後、これをトランスファーモールド成型用金型に配置し、トランスファーモールド成型装置を用いて封止樹脂7を金型に流し込み、加圧及び加熱して封止すればよい。
なお、上記では、トランスファーモールド法による封止方法を説明したが、それ以外の公知の方法(例えば、プレス成形法、射出成形法、押出成形法)などを用いてもよい。
また、パワーモジュールに熱伝導性シート11を組み込む場合、マトリックス樹脂2がBステージ状態(半硬化状態)にある熱伝導性シート1を予め作製しておき、これをリードフレーム12とヒートシンク14との間に挟みこんだ後、所定のプレス圧で加圧しながら150℃以上250℃以下に加熱することで熱伝導性シート1を作製してもよい。この方法によれば、熱伝導性シート1に対するリードフレーム12及びヒートシンク14の接着性を高めることができる。
このような構成を有するパワーモジュール10は、熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シート11を有しているので、熱放散性及び電気絶縁性に優れたものとなる。
以下、実施例及び比較例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(二次焼結粒子の作製)
純度93%で結晶性が比較的低い鱗片状窒化ホウ素を窒素雰囲気中、1800℃で1時間仮焼きした後、ライカイ機を用いて3時間粉砕処理を行った。次に、鱗片状窒化ホウ素100質量部に対して1〜5質量部のポリビニルアルコール(バインダー)を加えてスラリーを調製し、このスラリーをスプレードライすることによって顆粒にした。次に、この顆粒を窒素雰囲気中、所定の焼成温度で2時間焼成することによって二次焼結粒子を得た。得られた二次焼結粒子の製造条件及び特性を表1に示す。
Figure 2011178961
表1において、バインダー添加量とは、鱗片状窒化ホウ素100質量部に対するバインダーの添加量を意味する。また、一次粒子の平均長径、二次焼結粒子の平均粒径及び気孔率は、上記で説明した方法により測定した値を意味する。
表1に示されているように、二次焼結粒子の弾性率は、二次焼結粒子を構成する一次粒子の平均長径や二次焼結粒子の気孔率と関係していることがわかる。例えば、二次焼結粒子No.Gは、気孔率が高すぎる(すなわち、密度が低すぎる)ため、弾性率が低くなる。また、二次焼結粒子No.Hは、二次焼結粒子を構成する一次粒子の平均長径が小さすぎるため、焼成の際に焼結不足となって一次粒子同士の結着力が弱くなり、弾性率が低くなる。また、二次焼結粒子No.I及びJは、二次焼結粒子を構成する一次粒子の平均長径が大きすぎるため、一次粒子同士の結着点の数が少なくなり、弾性率が低くなる。
(実施例1)
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコート828)100質量部と、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(硬化剤、四国化成工業株式会社製キュアゾール2PN−CN)1質量部とを混合した後、メチルエチルケトン(溶剤)166質量部をさらに加えて混合攪拌した。次に、この混合物に287質量部の二次凝集粒子No.Aを加えて予備混合した後、この予備混合物を三本ロールにて混練し、二次凝集粒子No.Aが均一に分散された樹脂組成物を調製した。ここで、樹脂組成物の固形分における二次焼結粒子No.Aの含有量は60体積%とした。
次に、この樹脂組成物を厚さ105μmの基材(銅箔)上にドクターブレード法にて塗布した後、110℃で15分間加熱乾燥させることによって、厚さが100μmでBステージ状態の熱伝導性シートを得た。
次に、基材上に形成したBステージ状態の熱伝導性シートを、熱伝導性シート側が内側になるように2枚重ねた後、14.7MPaのプレス圧で加圧しながら120℃で1時間加熱し、さらに160℃で3時間加熱することで、熱硬化性樹脂を完全に硬化させ、2つの基材に挟まれた熱伝導性シートを得た。
(実施例2)
二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。
(実施例3)
二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。
(実施例4)
二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。
(実施例5)
二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。
(実施例6)
二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。
(実施例7)
メチルエチルケトン(溶剤)の量を78質量部としたこと、及び二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Cを用い、その量を82質量部としたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。ここで、樹脂組成物の固形分における二次焼結粒子No.Aの含有量は30体積%とした。
(実施例8)
メチルエチルケトン(溶剤)の量を102質量部としたこと、及び二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Cを用い、その量を127質量部としたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。ここで、樹脂組成物の固形分における二次焼結粒子No.Aの含有量は40体積%とした。
(実施例9)
メチルエチルケトン(溶剤)の量を234質量部としたこと、及び二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Cを用い、その量を446質量部としたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。ここで、樹脂組成物の固形分における二次焼結粒子No.Aの含有量は70体積%とした。
(比較例1)
比較例1では、40%を超える気孔率及び40MPa未満の弾性率を有する二次焼結粒子No.Gを用いて樹脂組成物及び熱伝導性シートを作製した。ここで、二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Gを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。
(比較例2)
比較例2では、0.1μm以下の平均長径を有する一次粒子から構成され、40MPa未満の弾性率を有する二次焼結粒子No.Hを用いて樹脂組成物及び熱伝導性シートを作製した。ここで、二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Hを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。
(比較例3)
比較例3では、5μmを超える平均長径を有する一次粒子から構成され、40MPa未満の弾性率を有する二次焼結粒子No.Iを用いて樹脂組成物及び熱伝導性シートを作製した。ここで、二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Iを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。
(比較例4)
比較例4では、5μmを超える平均長径を有する一次粒子から構成され、40%を超える気孔率及び40MPa未満の弾性率を有する二次焼結粒子No.Jを用いて樹脂組成物及び熱伝導性シートを作製した。ここで、二次焼結粒子No.Aの代わりに二次焼結粒子No.Jを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び熱伝導性シートを得た。
上記実施例1〜9及び比較例1〜4で得られた熱伝導性シートについて、シート厚み方向の熱伝導率をレーザーフラッシュ法にて測定した。この熱伝導率の結果は、比較例4の熱伝導性シートで得られた熱伝導率を基準とする各実施例又は各比較例の熱伝導性シートで得られた熱伝導率の相対値([各実施例又は各比較例の熱伝導性シートで得られた熱伝導率]/[比較例4の熱伝導性シートで得られた熱伝導率])として表2に表した。
なお、表2において、各実施例及び比較例で使用した構成成分の含有量についてもまとめた。ここで、二次焼結粒子の含有量とは、樹脂組成物の固形分(熱伝導性シート)中の二次焼結粒子の含有量を意味する。また、配合量は質量部を単位とする。
Figure 2011178961
表2に示されているように、実施例1〜9の熱伝導性シートは熱伝導率が高かったのに対し、比較例1〜4の熱伝導性シートは熱伝導率が低かった。比較例1〜4の熱伝導性シートでは、二次焼結粒子の弾性率が低すぎたため、樹脂組成物や熱伝導性シートを製造する際の機械的な力によって二次焼結粒子の多くが変形や崩壊してしまい、多くの鱗片状窒化ホウ素の長径方向がシート面方向と平行に配向したと考えられる。
ここで、上記の結果を詳細に検討するため、二次焼結粒子の弾性率が、熱伝導性シートの熱伝導率に与える影響を示すグラフを図3に示す。なお、このグラフは、二次焼結粒子の含有量が同じである実施例1〜6及び比較例1〜4を基に作成した。
図3に示されているように、二次焼結粒子の弾性率は、熱伝導性シートの熱伝導率と密接に関係しており、二次焼結粒子の弾性率が40MPa以上であると、熱伝導性シートの熱伝導率が著しく向上する。
次に、実施例1〜9の熱伝導性シートを用い、トランスファーモールド法により封止樹脂で封止して、パワーモジュールを作製した。
このパワーモジュールにおいて、リードフレームと銅のヒートシンクの中央部とに熱電対を取り付けた後、パワーモジュールを稼動させ、リードフレームとヒートシンクとの温度をそれぞれ測定した。その結果、実施例1〜9の熱伝導性シートを用いたパワーモジュールはいずれも、リードフレームとヒートシンクとの温度差が小さく、熱放散性に優れていた。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、シート厚み方向の熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シートを与える樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、シート厚み方向の熱伝導性及び電気絶縁性に優れた熱伝導性シート及びその製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、熱放散性及び電気絶縁性に優れたパワーモジュールを提供することができる。
1、11 熱伝導性シート、2 マトリックス樹脂、3 二次焼結粒子、4 鱗片状窒化ホウ素の一次粒子、10 パワーモジュール、12 リードフレーム、13 電力半導体素子、14 ヒートシンク、15 制御用半導体素子、16 金属線、17 封止樹脂。

Claims (8)

  1. 無機充填材をマトリックス樹脂成分中に分散してなる樹脂組成物であって、
    前記無機充填材は、0.1μm超過5μm以下の平均長径を有する鱗片状窒化ホウ素の一次粒子から構成される二次焼結粒子を含み、且つ前記二次焼結粒子は、40%以下の気孔率及び40MPa以上の弾性率を有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記二次焼結粒子は、20μm以上180μm以下の平均粒径を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物の固形分における前記二次焼結粒子の含有量は、20体積%以上80体積%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 無機充填材をマトリックス樹脂中に分散してなる熱伝導性シートであって、
    前記無機充填材は、0.1μm超過5μm以下の平均長径を有する鱗片状窒化ホウ素の一次粒子から構成される二次焼結粒子を含み、且つ前記二次焼結粒子は、40%以下の気孔率及び40MPa以上の弾性率を有することを特徴とする熱伝導性シート。
  5. 前記二次焼結粒子は、20μm以上180μm以下の平均粒径を有することを特徴とする請求項4に記載の熱伝導性シート。
  6. 前記熱伝導性シートにおける前記二次焼結粒子の含有量は、20体積%以上80体積%以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱伝導性シート。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物を基材に塗布して乾燥させる工程と、
    塗布乾燥物を0.5MPa以上50MPa以下のプレス圧で加圧しながら硬化させる工程と
    を含むことを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  8. 一方の放熱部材に搭載された電力半導体素子と、前記電力半導体素子で発生する熱を外部に放熱する他方の放熱部材と、前記半導体素子で発生する熱を前記一方の放熱部材から前記他方の放熱部材に伝達する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の熱伝導性シートとを備えることを特徴とするパワーモジュール。
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