JP2018129526A - 熱伝導性シートおよび半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体装置100において、熱伝導性シート140は、熱硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂中に分散された無機充填材とを含む。熱伝導性シートは、JISK6911に準拠し、印加電圧1000Vで電圧印加後1分後に測定される、175℃での当該熱伝導性シートの硬化物の体積抵抗率が1.0×108Ω・m以上である。
【選択図】図1
Description
これらの電力制御装置は、その耐圧や電流容量に応じて各種機器に応用されている。特に、近年の環境問題、省エネルギー化推進の観点から、各種電気機械へのこれら電力制御装置の使用が年々拡大している。
特に車載用電力制御装置について、その小型化、省スペ−ス化と共に電力制御装置をエンジンル−ム内に設置することが要望されている。エンジンル−ム内は温度が高く、温度変化が大きい等過酷な環境であり、高温での放熱性および絶縁性により一層優れる部材が必要とされる。
熱硬化性樹脂と、上記熱硬化性樹脂中に分散された無機充填材とを含む熱伝導性シートであって、
JIS K6911に準拠し、印加電圧1000Vで電圧印加後1分後に測定される、175℃での当該熱伝導性シートの硬化物の体積抵抗率が1.0×108Ω・m以上である、熱伝導性シートが提供される。
金属板と、
上記金属板の第1面側に設けられた半導体チップと、
上記金属板の上記第1面とは反対側の第2面に接合された熱伝導材と、
上記半導体チップおよび上記金属板を封止する封止樹脂とを備え、
上記熱伝導材が、上記熱伝導性シートにより形成された半導体装置が提供される。
そして、本実施形態に係る熱伝導性シートの硬化物は、JIS K6911に準拠し、印加電圧1000Vで電圧印加後1分後に測定される、175℃での体積抵抗率が1.0×108Ω・m以上であり、好ましくは1.0×109Ω・m以上であり、特に好ましくは1.0×1010Ω・m以上である。175℃での体積抵抗率の上限値は特に限定されないが、例えば、1.0×1013Ω・m以下である。なお、本実施形態において、熱伝導性シートの硬化物は、Bステージ状態の熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理することにより硬化して得られたものである。
ここで、175℃での体積抵抗率は、熱伝導性シートにおける高温での絶縁性の指標を表している。すなわち、175℃での体積抵抗率が高いほど、高温での絶縁性が優れることを意味する。
なお、本実施形態において、熱伝導性シートはBステージ状態のものをいう。また、熱伝導性シートを硬化させたものを「熱伝導性シートの硬化物」と呼ぶ。また、熱伝導性シートを半導体装置に適用し、硬化させたものを「熱伝導材」と呼ぶ。
本実施形態に係る熱伝導性シートを適用した半導体装置の一例としては、たとえば、半導体チップがヒートシンク(金属板)上に設けられており、ヒートシンクの半導体チップが接合された面とは反対側の面に、熱伝導材が設けられた構造が挙げられる。
また、本実施形態に係る熱伝導性シートを適用した半導体パッケージの他の例としては、熱伝導材と、熱伝導材の一方の面に接合した半導体チップと、上記熱伝導材の上記一方の面と反対側の面に接合した金属部材と、上記熱伝導材、上記半導体チップおよび上記金属部材を封止する封止樹脂と、を備えるものが挙げられる。
そこで、本発明者は、上記事情に鑑みて鋭意検討した結果、熱伝導性シートの硬化物のβ緩和が小さいほど、熱伝導性シートの高温での体積抵抗率が向上することを見出した。この理由としては、β緩和が低いほど、高温において熱伝導性シートの硬化物中の導電性成分の運動開放が抑制されるからだと考えられる。
導電性成分の運動開放が抑制されると、温度上昇により熱伝導性シートの硬化物の体積抵抗率が低下することを抑制できる。そのため、本実施形態において、熱伝導性シートのβ緩和を抑制することで、上記175℃での体積抵抗率を達成できる。
上記175℃での体積抵抗率を満たす本実施形態に係る熱伝導性シートは、高温での熱伝導性シートの絶縁性に優れ、絶縁信頼性の高い半導体装置を実現できる。
本実施形態においては、とくに熱硬化性樹脂(A)の種類を適切に選択することや、熱硬化性樹脂(A)および無機充填材(B)を添加した樹脂ワニスに対しエージングを行うこと、当該エージングにおける加熱条件等が、175℃での体積抵抗率を制御するための因子として挙げられる。
ここで、上記イオンは、Li+、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、F−、Cl−、NO2 2−、Br−、NO3 −、PO4 3−、SO4 2−、(COO)2 2−、CH3COO−、およびHCOO−から選択される一種または二種以上である。
(条件)
凍結粉砕させた熱伝導性シートの硬化物2gに対して40mLの純水を加え、125℃20時間熱水抽出し、抽出水を得る。
ここで、熱伝導性シートの硬化物のガラス転移温度は次のように測定できる。まず、熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理することにより、熱伝導性シートの硬化物を得る。次いで、得られた硬化物のガラス転移温度(Tg)を、DMA(動的粘弾性測定)により昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で測定する。
ガラス転移温度が上記下限値以上であると、導電性成分の運動開放をより一層抑制できるため、温度上昇による熱伝導性シートの絶縁性の低下をより一層抑制できる。その結果、より一層絶縁信頼性に優れた半導体装置を実現できる。
ガラス転移温度は熱伝導性シートを構成する各成分の種類や配合割合、および熱伝導性シートの作製方法を適切に調節することにより制御することができる。
熱硬化性樹脂(A)としては、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、シアネート樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂(A)として、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
このような熱硬化性樹脂(A)を使用することで、本実施形態に係る熱伝導性シートの硬化物のガラス転移温度を高くするとともに、熱伝導性シートの硬化物のβ緩和を抑制し、高温での体積抵抗率の増加を抑制することができる。なお、熱伝導性シートの硬化物のβ緩和は、例えば、誘電損失率および比誘電率の変化により評価することができる。
熱硬化性樹脂(A)の中でも、175℃での体積抵抗率をより一層向上させる観点から、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂が特に好ましい。
無機充填材(B)としては、たとえばシリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填材(B)としては、本実施形態に係る熱伝導性シートの熱伝導性をより一層向上させる観点から、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子を凝集させることにより形成される二次凝集粒子であることが好ましい。
このように、鱗片状窒化ホウ素を焼結させて得られる二次凝集粒子を用いる場合には、熱硬化性樹脂(A)中における無機充填材(B)の分散性を向上させる観点から、熱硬化性樹脂(A)としてジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂がとくに好ましい。
なお、この平均長径は電子顕微鏡写真により測定することができる。たとえば、以下の手順で測定する。まず、二次凝集粒子をミクロトームなどで切断しサンプルを作製する。次いで、走査型電子顕微鏡により、数千倍に拡大した二次凝集粒子の断面写真を数枚撮影する。次いで、任意の二次凝集粒子を選択し、写真から鱗片状窒化ホウ素の一次粒子の長径を測定する。このとき、10個以上の一次粒子について長径を測定し、それらの平均値を平均長径とする。
無機充填材(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、熱伝導性シートにおける熱伝導性や機械的強度の向上をより効果的に図ることができる。一方で、無機充填材(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の成膜性や作業性を向上させ、本熱伝導性シートの膜厚の均一性をより一層良好なものとすることができる。
これにより、熱伝導性と絶縁性のバランスにより一層優れた熱伝導性シートを実現することができる。
本実施形態に係る熱伝導性シートは、熱硬化性樹脂(A)としてエポキシ樹脂を用いる場合、さらに硬化剤(C)を含むのが好ましい。
硬化剤(C)としては、硬化触媒(C−1)およびフェノール系硬化剤(C−2)から選択される1種以上を用いることができる。
硬化触媒(C−1)としては、たとえばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類;2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン等の有機リン化合物;フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物;酢酸、安息香酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;等、またはこの混合物が挙げられる。硬化触媒(C−1)として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。
本実施形態に係る熱伝導性シート中に含まれる硬化触媒(C−1)の含有量は、特に限定されないが、熱伝導性シート100質量%に対し、0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
これらの中でも、ガラス転移温度の向上及び線膨張係数の低減の観点から、フェノール系硬化剤(C−2)がノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂が好ましい。
フェノール系硬化剤(C−2)の含有量は、特に限定されないが、熱伝導性シート100質量%に対し、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
さらに、本実施形態に係る熱伝導性シートは、カップリング剤(D)を含んでもよい。カップリング剤(D)は、熱硬化性樹脂(A)と無機充填材(B)との界面の濡れ性を向上させることができる。
カップリング剤(D)の添加量は無機充填材(B)の比表面積に依存するので、特に限定されないが、無機充填材(B)100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、特に0.5質量部以上7質量部以下が好ましい。
さらに、本実施形態に係る熱伝導性シートは、さらにフェノキシ樹脂(E)を含んでもよい。フェノキシ樹脂(E)を含むことにより熱伝導性シートの耐屈曲性をより一層向上できる。
また、フェノキシ樹脂(E)を含むことにより、熱伝導性シートの弾性率を低下させることが可能となり、熱伝導性シートの応力緩和力を向上させることができる。
また、フェノキシ樹脂(E)を含むと、粘度上昇により流動性が低減し、ボイド等が発生することを抑制できる。また、熱伝導性シートと放熱部材との密着性を向上できる。これらの相乗効果により、半導体装置の絶縁信頼性をより一層高めることができる。
本実施形態に係る熱伝導性シートには、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、レベリング剤等を含むことができる。
まず、上述の各成分を溶媒へ添加して、ワニス状の樹脂組成物を得る。本実施形態においては、たとえば溶媒中に熱硬化性樹脂(A)等を添加して樹脂ワニスを作製したのち、当該樹脂ワニスへ無機充填材(B)を入れて三本ロール等を用いて混練することにより樹脂組成物を得ることができる。これにより、無機充填材(B)をより均一に、熱硬化性樹脂(A)中へ分散させることができる。
上記溶媒としては特に限定されないが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン等が挙げられる。
以下、詳細に説明する。
次に、各リード160をリードフレームの枠体(図示略)から切断する。こうして、図1に示すような構造の半導体装置100が得られる。
これに対し、本実施形態に係る半導体装置100は、例えば、その実装床面積が10×10mm以上100×100mm以下の大型のパッケージであったとしても、上記の構造の熱伝導材140を備えることにより、十分な絶縁信頼性を得ることが期待できる。
これに対し、平面視において、金属層150の上面151の外形線と、熱伝導材140の下面142の外形線と、が重なっている構造とすることにより、熱伝導材140におけるクラックの発生および金属層150の剥離を抑制することができる。
ホウ酸メラミンと鱗片状窒化ホウ素粉末(平均長径:15μm)を混合して得られた混合物を、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液へ添加し、2時間混合して噴霧用スラリーを調製した。次いで、このスラリーを噴霧造粒機に供給し、アトマイザーの回転数15000rpm、温度200℃、スラリー供給量5ml/minの条件で噴霧することにより、複合粒子を作製した。次いで、得られた複合粒子を、窒素雰囲気下、2000℃の条件で焼成することにより、平均粒径が80μmの凝集窒化ホウ素を得た。
ここで、凝集窒化ホウ素の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA−500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)とした。
実施例1〜7および比較例1〜2について、以下のように熱伝導性シートを作製した。
まず、表1に示す配合に従い、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを溶媒であるメチルエチルケトンに添加し、これを撹拌して熱硬化性樹脂組成物の溶液を得た。次いで、この溶液に無機充填材を入れて予備混合した後、三本ロールにて混練し、無機充填材を均一に分散させた熱伝導性シート用樹脂組成物を得た。次いで、得られた熱伝導性シート用樹脂組成物に対し、60℃、15時間の条件によりエージングを行った。次いで、熱伝導性シート用樹脂組成物を、銅箔上にドクターブレード法を用いて塗布した後、これを100℃、30分間の熱処理により乾燥して、膜厚が400μmであるBステージ状の熱伝導性シートを作製した。
なお、表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。
なお、表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。
エポキシ樹脂1:ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(XD−1000、日本化薬社製)
エポキシ樹脂2:ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂(YX−4000、三菱化学社製)
エポキシ樹脂3:アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂(E201、出光興産社製)
エポキシ樹脂4:フェノールアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂(NC−2000−L、日本化薬社製)
エポキシ樹脂5:ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂(NC−3000、日本化薬社製)
エポキシ樹脂6:ナフタレンアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂(NC−7000、日本化薬社製)
エポキシ樹脂7:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(830S、大日本インキ社製)
エポキシ樹脂8:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(828、三菱化学社製)
シアネート樹脂1:フェノールノボラック型シアネート樹脂(PT−30、ロンザジャパン社製)
硬化触媒1:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(2PHZ−PW、四国化成社製)
硬化触媒2:トリフェニルホスフィン(北興化学社製)
(硬化剤C−2)
フェノール系硬化剤1:トリスフェノルメタン型フェノールノボラック樹脂(MEH−7500、明和化成社製)
充填材1:上記作製例により作製された凝集窒化ホウ素
熱伝導性シートの硬化物のガラス転移温度を次のように測定した。まず、得られた熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理することにより、熱伝導性シートの硬化物を得た。次いで、得られた硬化物のガラス転移温度(Tg)を、DMA(動的粘弾性測定)により昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で測定した。
熱伝導性シートの硬化物中のイオンの総量を次のように測定した。まず、得られた熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理することにより、熱伝導性シートの硬化物を得た。次いで、得られた硬化物を凍結粉砕させた。凍結粉砕させた熱伝導性シート2gに対して40mLの純水を加え、125℃20時間熱水抽出し、抽出水を得た。
この抽出水について、ダイオネクスICS-3000型、ICS-2000型、DX-320型イオンクロマトグラフ装置を用いてLi+、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、F−、Cl−、NO2 2−、Br−、NO3 −、PO4 3−、SO4 2−、(COO)2 2−、CH3COO−、およびHCOO−から選択される一種または二種以上のイオンの総量を測定した。
ここで、イオンクロマトグラフ装置に検液及び標準溶液を導入し、検量線法により各イオン濃度を求め、試料からの溶出イオン量を算出した。
熱伝導性シートの硬化物の体積抵抗率を次のように測定した。まず、得られた熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理することにより、熱伝導性シートの硬化物を得た。次いで、JIS K6911に準拠し、得られた硬化物の体積抵抗率を、ULTRA HIGH RESISTANCE METER R8340A(エーディーシー社製)を用いて、印加電圧1000Vで電圧印加後、1分後に測定した。
なお、主電極は導電性ペーストを用いてφ25.4mmの円形状に作製した。またこのときガード電極は作成していない。対電極はシート作成時に、基材として用いた銅箔を利用した。
実施例1〜7および比較例1〜3のそれぞれについて、半導体パッケージの絶縁信頼性を次のように評価した。まず、熱伝導性シートの硬化物を用いて図1に示す半導体パッケージを作製した。次いで、この半導体パッケージを用いて、温度85℃、湿度85%、交流印加電圧1.5kVの条件で連続湿中絶縁抵抗を評価した。なお、抵抗値106Ω以下を故障とした。評価基準は以下の通りである。
◎◎:300時間以上故障なし
◎ :200時間以上300時間未満で故障あり
○ :150時間以上200時間未満で故障あり
△ :100時間以上150時間未満で故障あり
× :100時間未満で故障あり
一方、175℃での体積抵抗率が本発明の範囲外である熱伝導性シートを用いた比較例1〜3の半導体パッケージは、絶縁信頼性に劣っていた。
110 半導体チップ
111 上面
112 下面
120 導電層
130 ヒートシンク(金属板)
131 第1面
132 第2面
140 熱伝導性シート(熱伝導材)
141 上面
142 下面
150 金属層
151 上面
152 下面
160 リード
161 電極
170 ワイヤ
180 封止樹脂
182 下面
熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂中に分散された無機充填材と、フェノキシ樹脂とを含む熱伝導性シートであって、
前記無機充填材は、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成されている二次凝集粒子であり、
JIS K6911に準拠し、印加電圧1000Vで電圧印加後1分後に測定される、175℃での当該熱伝導性シートの硬化物の体積抵抗率が1.0×108Ω・m以上である、熱伝導性シートが提供される。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂中に分散された無機充填材とを含む熱伝導性シートであって、
JIS K6911に準拠し、印加電圧1000Vで電圧印加後1分後に測定される、175℃での当該熱伝導性シートの硬化物の体積抵抗率が1.0×10 8 Ω・m以上である、熱伝導性シート。
2. 1.に記載の熱伝導性シートにおいて、前記体積抵抗率が1.0×10 9 Ω・m以上である、熱伝導性シート。
3. 1.または2.に記載の熱伝導性シートにおいて、下記条件で得られた抽出水をイオンクロマトグラフにより分析することにより測定される、前記熱伝導性シートの硬化物中のイオンの総量が30,000ppm以下であり、
前記イオンがLi + 、Na + 、NH 4+ 、K + 、Ca 2+ 、Mg 2+ 、F − 、Cl − 、NO 2 2− 、Br − 、NO 3 − 、PO 4 3− 、SO 4 2− 、(COO) 2 2− 、CH 3 COO − 、およびHCOO − から選択される一種または二種以上である、熱伝導性シート。
(条件)
凍結粉砕させた当該熱伝導性シートの硬化物2gに対して40mLの純水を加え、125℃20時間熱水抽出し、抽出水を得る
4. 1.乃至3.いずれかに記載の熱伝導性シートにおいて、前記熱硬化性樹脂がジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、およびシアネート樹脂から選択される一種または二種以上である、熱伝導性シート。
5. 1.乃至4.いずれかに記載の熱伝導性シートにおいて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で動的粘弾性測定により測定される、当該熱伝導性シートの硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、熱伝導性シート。
6. 1.乃至5.いずれかに記載の熱伝導性シートにおいて、前記無機充填材は、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成されている二次凝集粒子である、熱伝導性シート。
7. 6.に記載の熱伝導性シートにおいて、前記二次凝集粒子の平均粒径が5μm以上180μm以下である、熱伝導性シート。
8. 6.または7.に記載の熱伝導性シートにおいて、前記二次凝集粒子を構成する前記一次粒子の平均長径が0.01μm以上20μm以下である、熱伝導性シート。
9. 1.乃至8.いずれかに記載の熱伝導性シートにおいて、前記無機充填材の含有量が、当該熱伝導性シート100質量%に対し、50質量%以上95質量%以下である、熱伝導性シート。
10. 金属板と、
前記金属板の第1面側に設けられた半導体チップと、
前記金属板の前記第1面とは反対側の第2面に接合された熱伝導材と、
前記半導体チップおよび前記金属板を封止する封止樹脂とを備え、
前記熱伝導材が、1.乃至9.いずれかに記載の熱伝導性シートにより形成された半導体装置。
Claims (10)
- 熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂中に分散された無機充填材とを含む熱伝導性シートであって、
JIS K6911に準拠し、印加電圧1000Vで電圧印加後1分後に測定される、175℃での当該熱伝導性シートの硬化物の体積抵抗率が1.0×108Ω・m以上である、熱伝導性シート。 - 請求項1に記載の熱伝導性シートにおいて、
前記体積抵抗率が1.0×109Ω・m以上である、熱伝導性シート。 - 請求項1または2に記載の熱伝導性シートにおいて、
下記条件で得られた抽出水をイオンクロマトグラフにより分析することにより測定される、前記熱伝導性シートの硬化物中のイオンの総量が30,000ppm以下であり、
前記イオンがLi+、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、F−、Cl−、NO2 2−、Br−、NO3 −、PO4 3−、SO4 2−、(COO)2 2−、CH3COO−、およびHCOO−から選択される一種または二種以上である、熱伝導性シート。(条件)
凍結粉砕させた当該熱伝導性シートの硬化物2gに対して40mLの純水を加え、125℃20時間熱水抽出し、抽出水を得る - 請求項1乃至3いずれか一項に記載の熱伝導性シートにおいて、
前記熱硬化性樹脂がジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、およびシアネート樹脂から選択される一種または二種以上である、熱伝導性シート。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載の熱伝導性シートにおいて、
昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で動的粘弾性測定により測定される、当該熱伝導性シートの硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、熱伝導性シート。 - 請求項1乃至5いずれか一項に記載の熱伝導性シートにおいて、
前記無機充填材は、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子により構成されている二次凝集粒子である、熱伝導性シート。 - 請求項6に記載の熱伝導性シートにおいて、
前記二次凝集粒子の平均粒径が5μm以上180μm以下である、熱伝導性シート。 - 請求項6または7に記載の熱伝導性シートにおいて、
前記二次凝集粒子を構成する前記一次粒子の平均長径が0.01μm以上20μm以下である、熱伝導性シート。 - 請求項1乃至8いずれか一項に記載の熱伝導性シートにおいて、
前記無機充填材の含有量が、当該熱伝導性シート100質量%に対し、50質量%以上95質量%以下である、熱伝導性シート。 - 金属板と、
前記金属板の第1面側に設けられた半導体チップと、
前記金属板の前記第1面とは反対側の第2面に接合された熱伝導材と、
前記半導体チップおよび前記金属板を封止する封止樹脂とを備え、
前記熱伝導材が、請求項1乃至9いずれか一項に記載の熱伝導性シートにより形成された半導体装置。
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