JP2008163145A - 放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シート - Google Patents

放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シート Download PDF

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康昭 許斐
Katsumi Suzuki
勝美 鈴木
Takeshi Yasui
武 安井
Motonori Nakamichi
元則 仲道
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Abstract

【課題】優れた熱伝導性と絶縁性を有し、かつ柔軟性と靭性を保持しながら、難燃性を有することを特徴とする放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートを提供することを目的とする。
【解決手段】特定の構造を有する水添共重合体(1)および/または特定の構造を有する変性水添共重合体(2)、核部とこの核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、パラフィン系オイル(5)、および難燃剤(6)を特定の割合で含み、かつ特定範囲の体積抵抗率を有する放熱材料及び放熱材料を成形した放熱シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気機器及び電子機器内部の電子基板上のIC、CPU、LED、LSI等の半導体素子に密着させ、半導体素子からの熱を放散させる用途に使用される、放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートに関する。
従来からデジタル家電の普及に伴い、電気機器や電子機器の高速化や高機能化の要求が高まっている。電気機器や電子機器において、電子制御を行うLSIやCPU等の半導体素子は、コンピュータの集積度の増大及び動作の高速化により消費電力が増大し、結果として発熱量も増大している。半導体素子に不具合が生じる等の問題を解決するためには、放熱する必要がある。一般の電気機器及び電子機器における放熱方法は、ヒートシンクなどの冷却用部品を取り付け、さらにヒートシンクを冷却ファン等により強制的に空冷する方法である。ノート型パーソナルコンピュータを始めとする小型の電気機器や、高密度実装される電子機器は、冷却ファンなど設置する空間が小さいなどの制約から、シリコングリースを塗布することにより放熱が行われている。しかし、シリコングリースには、作業効率が低い、塗布後のはみだしにより部品が汚染される、クッション性が劣るため高荷重下での使用が制限される、等の問題点がある。
電気機器や電子機器に対する高性能化の要求に対応するため、放熱シートが使用されている。放熱シートとは、ヒートシンクなどの硬質な冷却用部品と硬質な発熱体間に挟み、両者の近接性を向上させるのに有効な軟質のシートである。両者が近接すれば、熱を冷却用部品へ効率よく伝達することができる。
放熱シートとして、現在シリコンゴムに比較的熱伝導性の高い充填剤を混合させた放熱シートが主に使用されている。このシリコンゴム製放熱シートは、取り扱いが容易である。しかしながら、シリコンゴム製放熱シートは、原料となるシリコン樹脂そのものが高価である他、硬化工程が必要であるため、工程数が増加する等の問題がある。また、シリコン樹脂は樹脂中に低分子量シロキサンが含まれている。よって発熱体に貼り付けて使用する場合、低分子シロキサンガスが発生する。該ガスは電極接点などへ付着して二酸化珪素を生成し、接点不良が発生する可能性がある。
また、放熱シートには、熱伝導性以外に様々な物性を満たすことが要求される。
例えば、電子基板の通電による故障を防止するために、放熱シートには絶縁性が求められる。これは、電子基板に接触した状態で装着されることが多いためである。
また、CPU等の発熱体とヒートシンク等の冷却用部品間に距離がある場合、厚みが1mmを超えて3cm以下の放熱シートが使用されることがある。このときは、柔軟性と靭性も要求される。これは、発熱体と冷却用部品間で放熱シートに圧力がかかった状態で固定された時の、材料割れを防ぐためである。
また、厚みが1mm以下の放熱シートを、例えば電子基板上のCPU上に貼る場合、位置決めが一度でうまくいかず、貼り直しをするために剥がすことがある。その際、靭性が不足していると、放熱シート自体が引きちぎれ、歩止まりが悪化する。
また、放熱シートは電気機器や電子機器だけでなく、住宅の床暖房にも使用される。循環パイプ内を流れる温水の熱を床面へ伝えるためである。現在、放熱シートとして使用されているものは薄いアルミニウムフィルムである。しかし、アルミニウムフィルムはクッション性に欠けるため、パイプと床の近接性が不足し、効率よく床面全体を均一に暖めることができない。
さらに、消費電力の高い電気機器や電子機器の内部部品に放熱シートが使用される場合、安全性の観点から、難燃性が要求される。
特許文献1および特許文献2には、樹脂に酸化亜鉛ウィスカーを配合することが提案されている。これは、樹脂組成物に導電性を付与することや、樹脂の機械的強度を強くすることが目的である。
特許文献3には、共役ジエンとビニル芳香族からなる共重合体に水素添加してなるスチレン系水添共重合体に充填剤を配合することが提案されている。これは樹脂組成物の耐摩耗性や機械的強度を向上させることが目的である。充填剤として、球状の酸化亜鉛の記載があるが、球状の酸化亜鉛を使用しても、優れた熱伝導性は発現しない。また難燃性の記載もない。
特許文献4には、スチレン系熱可塑性エラストマーとプロピレン系重合体の混合物に、パラフィンオイル、熱伝導性充填剤および難燃剤を混合した樹脂組成物が提案されている。該樹脂組成物は、加工性と耐熱性を向上させるためにプロピレン系重合体を、多量の充填剤を使用するためと柔軟性のためにパラフィンオイルを使用している。スチレン系エラストマーとプロピレン系重合体は、パラフィンオイルの添加の有無に係わらず、非相溶である。このため、材料として靭性が不足し、シートまたは成形体に加工した場合、脆いという欠点が生じる。またスチレン系熱可塑性エラストマーとプロピレン系重合体の合計量に対し、パラフィンオイル量が3.5倍以上と非常に多いために、相溶していないスチレン系エラストマーとプロピレン系重合体の両相の界面よりパラフィンオイルがブリードアウトし易い。例えばCPU上に該組成物からなる放熱シートを実装した場合、CPUの作動により放熱シートが冷熱サイクルにさらされ、パラフィンオイルがブリードアウトし、CPUを含む電子基板汚染が生じる。また、硬質成分であるプロピレン重合体を用いているため、柔軟性に欠ける。よってCPUまたはヒートシンクとの近接性が不充分となり、放熱シートが本来持つ熱伝導性を有効に発現させることができない。結果として放熱性が劣る。
特許文献5には、スチレン系熱可塑性エラストマーにアルミナ(酸化アルミニウム)等の充填剤を配合することが提案されている。これは樹脂組成物の熱伝導性を向上させることが目的である。しかし熱伝導性を付与する充填剤として酸化亜鉛を使用すること、充填剤の好ましい形状、および組成物の製造時に生じる切粉についての記載はない。通常のアルミナの構造である不定形状または球状のアルミナを使用すると、ストランド切断時やシートカット時に、アルミナの脱落による切粉が発生し、絶縁性不良による電子基板の故障の原因となる。
特許文献6には、黒鉛を熱可塑性樹脂に混合した熱伝導性樹脂成形品が提案されている。単に黒鉛を多量に混合すれば、熱伝導性は大幅に向上するが、絶縁性は悪化する。よって電子基板に接触すると、通電によりショートし半導体素子を破壊する原因になる。また放熱シートに要求される柔軟性と靭性が欠けた材料となり好ましくない。逆に黒鉛を少量混合する場合、絶縁性は保持できるが、熱伝導性が不足する。よって近年の発熱量が増大している半導体素子に対する放熱材料としては十分ではない。
特開平1−225663号公報 特公平7−51646号公報 特開2003−277560号公報 特開2003−49046号公報 特開2002−206030号公報 特開昭62−131033号公報
本発明は、上記の如き放熱材料の抱える問題を解決するためになされたものであって、優れた熱伝導性と絶縁性を有し、かつ柔軟性と靭性を保持しながら、難燃性を有することを特徴とする放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造を有する水添共重合体および/または又は特定の構造を有する変性水添共重合体、核部とこの核部から4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛、特定範囲の粒径を有する黒鉛、およびパラフィン系オイル、難燃剤を特定の割合で含み、さらに必要に応じて特定の充填剤を加えられ、かつ特定範囲の体積抵抗率を有する放熱材料が、優れた熱伝導性と絶縁性を有し、かつ柔軟性と靭性を保持しながら、難燃性を有することを見出した。そして、該放熱材料を成形した放熱シートが、放熱シートに要求される物性において優れていることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕共役ジエンとビニル芳香族の共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体(1)および/または共役ジエンとビニル芳香族からなる共重合体に水素を添加してなり、かつ官能基を少なくとも1つ有する下記(a)〜(d)を満たす変性水添共重合体(2)、核部とこの核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛(3)、平均粒径が1μm以上100μm以下の黒鉛(4)、パラフィン系オイル(5)、および難燃剤(6)を含み、下記(A)〜(H)を満たすことを特徴とする放熱材料。
(a)ビニル芳香族単位の含有量が50質量%を越え90質量%以下、
(b)ビニル芳香族からなる重合体ブロックの量が40質量%以下、
(c)重量平均分子量が5×10〜100×10
(d)共役ジエンに基づく二重結合の水添添加率が10%以上。
放熱材料100質量%に対して、
(A)水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和[(1)+(2)+(5)]の配合割合が10質量%以上87質量%以下、
(B)酸化亜鉛(3)と黒鉛(4)の和[(3)+(4)]の配合割合が10質量%以上87質量%以下、
(C)難燃剤(6)の配合割合が3質量%以上30質量%以下、
(D)黒鉛(4)の配合割合が3質量%以上20質量%以下。
(E)水添共重合体(1)と変性水添共重合体(2)の和に対するパラフィン系オイル(5)の質量比率[(5)/{(1)+(2)}]が0を超えて2以下、
(F)水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和に対する難燃剤(6)の質量比率[(6)/{(1)+(2)+(5)}]が0.2以上3以下、
(G)酸化亜鉛(3)と黒鉛(4)の和[(3)+(4)]に対する酸化亜鉛(3)の質量比率[(3)/{(3)+(4)}]が0.5を超えて0.97未満、
(H)体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1016Ω・cm未満。
〔2〕共役ジエンとビニル芳香族の共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体(1)および/または共役ジエンとビニル芳香族からなる共重合体に水素を添加してなり、かつ官能基を少なくとも1つ有する下記(a)〜(d)を満たす変性水添共重合体(2)、核部とこの核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛(3)、平均粒径が1μm以上100μm以下の黒鉛(4)、パラフィン系オイル(5)、難燃剤(6)、および窒化ケイ素、窒化アルミニウム、および窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種類の充填剤(7)を含み、下記(A)〜(I)を満たすことを特徴とする〔1〕に記載の放熱材料。
(a)ビニル芳香族単位の含有量が50質量%を越え90質量%以下、
(b)ビニル芳香族からなる重合体ブロックの量が40質量%以下、
(c)重量平均分子量が5×10〜100×10
(d)共役ジエンに基づく二重結合の水添添加率が10%以上。
放熱材料100質量%に対して、
(A)水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和[(1)+(2)+(5)]の配合割合が10質量%以上87質量%以下、
(B)酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および充填剤(7)の総和[(3)+(4)+(7)]の配合割合が10質量%以上87質量%以下、
(C)難燃剤(6)の配合割合が3質量%以上30質量%以下
(D)黒鉛(4)の配合割合が3質量%以上20質量%以下、
(E)充填剤(7)の配合割合が0を超えて30質量%以下。
(F)水添共重合体(1)と変性水添共重合体(2)の和に対するパラフィン系オイル(5)の質量比率[(5)/{(1)+(2)}]が0を超えて2以下、
(G)水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和に対する難燃剤(6)の質量比率[(6)/{(1)+(2)+(5)}]が0.2以上3以下、
(H)酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および充填剤(7)の総和[(3)+(4)+(7)]に対する酸化亜鉛(3)の質量比率[(3)/{(3)+(4)+(7)}]が0.5を超えて0.97未満、
(I)体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1016Ω・cm未満。
〔3〕変性水添共重合体(2)が、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、及びアルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有することを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の放熱材料。
〔4〕水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)中のビニル芳香族重合体ブロックの含有量が10質量%未満である〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の放熱材料。
〔5〕水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)中のビニル芳香族重合体ブロックの含有量が10〜40質量%である〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の放熱材料。
〔6〕水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)が、下記一般式から選ばれる少なくとも一つの構造を有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の放熱材料。
(i)B
(ii)B-A
(iii)B-A-B
(iv)(B-A)-Z
(v)(B-A)-Z-A
(ここで、Bは共役ジエンとビニル芳香族とのランダム共重合体ブロックであり、Aはビニル芳香族重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpはそれぞれ1以上の整数である。Zはカップリング剤残基を示す。)
〔7〕変性水添共重合体(2)が、下記式(a)〜(n)から選ばれる官能基を少なくとも1つ有することを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の放熱材料。
Figure 2008163145
(上式で、R1〜R4は、水素又は炭素数1〜24の炭化水素基、あるいは水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を有する炭素数1〜24の炭化水素基。R5は炭素数1〜48の炭化水素鎖、あるいは水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を有する炭素数1〜48の炭化水素鎖。なおR1〜R4の炭化水素基、及びR5の炭化水素鎖中には、水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基以外の結合様式で、酸素、窒素、シリコン等の元素が結合しても良い。R6は水素又は炭素数1〜8のアルキル基。)
〔8〕変性水添共重合体(2)が、有機リチウム化合物を重合触媒として得た水添前共重合体のリビング末端に官能基を含有する変性剤を付加反応させ、得られた変性水添前共重合体に水素添加して得られることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の放熱材料。
〔9〕黒鉛(4)が球状黒鉛であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の放熱材料。
〔10〕難燃剤(6)が、リン系難燃剤を含有することを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の放熱材料。
〔11〕前記リン系難燃剤が、ホスファゼンであることを特徴とする〔10〕に記載の放熱材料。
〔12〕難燃剤(6)が、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA(DBP−TBBA)を含有することを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか1つ記載の放熱材料。
〔13〕難燃剤(6)が、硝酸化合物で表面された水酸化アルミニウムを含有することを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか1つ記載の放熱材料。
〔14〕酸化亜鉛(3)の配合割合が、放熱材料100質量%に対し、65質量%以上84質量%以下であることを特徴とする請求項〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載の放熱材料。
〔15〕充填剤(7)を含み、酸化亜鉛(3)の配合割合が、放熱材料100質量%に対し、65質量%以上84質量%未満であることを特徴とする〔2〕に記載の放熱材料。
〔16〕厚みが30μm以上1mm以下の、〔1〕〜〔15〕のいずれか1つに記載の放熱材料を成形した放熱シート。
〔17〕厚みが1mmを超えて3cm以下の、〔1〕〜〔15〕のいずれか1つに記載の放熱材料を成形した放熱シート。
である。
本発明によって、優れた熱伝導性と絶縁性を有し、かつ柔軟性と靭性を保持しながら、難燃性であることを特徴とする放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートを提供できる。
本発明は、特定の構造を有する水添共重合体(1)および/または特定構造を有する変性水添共重合体(2)、核部とこの核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛(3)、特定範囲の粒径を有する黒鉛(4)、パラフィン系オイル(5)、および難燃剤(6)を特定の割合で用い、かつ特定範囲の体積抵抗率を有することが必須である。
特定の構造を有する水添共重合体(1)および/または特定の構造を有する変性水添共重合体(2)を特定の割合で含むと、核部とこの核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛(3)を多量に混合することでき、優れた熱伝導性を有する放熱材料および放熱材料で成形した放熱シートを得ることができる。また、核部とこの核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛(3)を用いると、優れた熱伝導性を有する放熱材料および放熱材料で成形した放熱シートを得ることができる。特定範囲の粒径を有する黒鉛(4)を特定の割合で含むと、絶縁性の低下を抑制しつつ、より優れた熱伝導性を付することができる。パラフィン系オイル(5)を特定の割合で含むと、柔軟性、熱伝導性、および成形加工性を向上させることができる。難燃剤(6)を特定の割合で含むと、他の物性をほぼ保持したまま難燃性を付与することができる。
さらに窒化ケイ素、窒化アルミニウム、および窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種類の充填剤(7)を特定の割合で含むと、さらに優れた熱伝導性と絶縁性を付することができる。
水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)とは、共役ジエンとビニル芳香族の共重合体に、水素を添加してなる。以下、水添すると水添共重合体(1)になる共役ジエンとビニル芳香族の共重合体を水添前共重合体(1)、水添すると変性水添共重合体(2)になる共役ジエンとビニル芳香族の共重合体を変性水添前共重合体(2)、水添前共重合体(1)と変性水添前共重合体(2)を合せて水添前共重合体と呼ぶ。
共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2-メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等であり、特に一般的なものとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3-ブタジエン(イソプレン)が挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
また、ビニル芳香族としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N、N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N、N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)のビニル芳香族単位の含有量は各々50質量%を越え90質量%以下、好ましくは50質量%を越え88質量%以下、さらに好ましくは50質量%を越え86質量%以下である。この範囲であれば、柔軟性に富み、靭性等に優れた本発明の放熱材料を得ることができる。
ビニル芳香族単位の含有量は、紫外分光光度計、赤外分光光度計や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。
水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)は各々、ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量は40質量%以下である。この場合、水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)は良好な柔軟性と耐ブロッキング性を有する。
耐ブロッキング性に優れた水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)を得たい場合は、ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量は10〜40質量%が好ましく、より好ましくは13〜37質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。
柔軟性に優れた水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)を得たい場合は、ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量は10質量%未満が好ましく、より好ましくは8質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満である。
ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量の測定は、例えば四酸化オスミウムを触媒として水添前共重合体をターシャルブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により得たビニル芳香族からなる重合体ブロック成分の重量(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求めることができる。
ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量(質量%)={(水添前共重合体(1)および/または変性水添前共重合体(2)中のビニル芳香族からなる重合体ブロック質量/水添前共重合体(1)および/または変性水添前共重合体(2)の質量)}×100
なお、水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)におけるビニル芳香族のブロック率は各々、40質量%未満が好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは18質量%以下である。ここでいうブロック率とは、水添共重合体(1)や変性水添共重合体(2)の全ビニル芳香族量に対するビニル芳香族重合体ブロック量の割合をいう。上記範囲内であることが、柔軟性の良好な組成物を得るうえで奨励される。
水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)は各々、ビニル芳香族からなる重合体ブロック以外にビニル芳香族単位を5質量%以上含んでいる。ビニル芳香族からなる重合体ブロック以外のビニル芳香族単位の含有量が5質量%以上なら、水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)の耐熱性向上効果が見られる。また、ビニル芳香族からなる重合体ブロックではない部分の結晶化の阻害ができ、柔軟性が良い。また酸化亜鉛(3)や充填剤(6)を多量に配合できるため、熱伝導性も良好である。
水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)の重量平均分子量は各々5×10〜100×10であり、好ましくは10×10〜80×10、より好ましくは13×10〜50×10である。ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量が10〜40質量%の水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)を使用する場合、その重量平均分子量は10×10を越え、50×10未満、好ましくは13×10〜40×10、さらに好ましくは15×10〜30×10であることが奨励される。重量平均分子量が5×10以上であれば靭性が良く、また100×10以下であれば柔軟性が良いため好ましい。さらに、重量平均分子量が5×10〜100×10の場合、低分子量成分の含有量が少ないため揮発成分が少ない。水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)の分子量分布(Mw/Mn)(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比)は各々、成形加工性の点で、1.01〜8.0が好ましく、より好ましくは1.1〜6.0、さらに好ましくは1.1〜5.0であることが奨励される。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布の形状に特に制限はない。山(ピーク)が二ヶ所以上存在するポリモーダルの分子量分布を持つものでもよいが、山が一つであるモノモーダルの分子量分布を持つことが好ましい。
水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)の分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)の分子量分布も、同様にGPCによる測定から求めることができる。
水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)は、各々水添前共重合体中の共役ジエンに基づく二重結合の水素添加率が10%以上であり、好ましくは75%以上、さらに好ましくは85%以上である。水素添加率が10%以上の場合、熱劣化による柔軟性、強度、伸びが低下せず良好な耐熱性を示す。耐熱性に優れた放熱材料を得たい場合、水素添加率が好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であることが奨励される。耐候性に優れた放熱材料を得る場合は、水素添加率が好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上であることが奨励される。また、架橋をする場合には、水素添加率は98%以下が好ましく、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは90%以下であることが奨励される。
ここで、共役ジエンに基づく二重結合の水素添加率とは、水添前共重合体(1)および変性水添前共重合体(2)各々が含んでいた共役ジエンの二重結合に対する、水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)各々の水素添加された二重結合の割合をいう。
水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)の水素添加率は、赤外分光光度計や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。
なお、共重合体中のビニル芳香族に基づく芳香族二重結合の水素添加率については特に制限はないが、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)は、下記(i)〜(v)の一般式から選ばれる少なくとも一つの構造を有することが特に好ましい。また、下記構造を複数種類、任意の割合で含む混合物でもよい。
(i)B
(ii)B-A
(iii)B-A-B
(iv)(B-A)-Z
(v)(B-A)-Z-A
(ここで、Bは共役ジエンとビニル芳香族とのランダム共重合体ブロック(以下、ブロックBと称する)であり、Aはビニル芳香族重合体ブロック(以下、ブロックAと称する)である。mは2以上の整数であり、n及びpはそれぞれ1以上の整数である。Zはカップリング剤残基を示す。)
一般式において、ブロックB中のビニル芳香族は均一に分布していても、テーパー状に分布していてもよい。またブロックBには、ビニル芳香族が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。また、mは2以上、好ましくは2〜10の整数であり、n及びpはそれぞれ1以上、好ましくは1〜10の整数である。ブロックBを共役ジエンとビニル芳香族とのランダム構造にすることで、共重合体中の結晶部分を極力少なくする、またはなくすことができ、酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および/または充填剤(7)を多量に混合することが可能となる。
変性水添共重合体(2)は、重合体鎖に官能基を有する。官能基としては、例えば水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシシラン基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基およびフェニルスズ基等から選ばれる官能基が挙げられる。好ましくは水酸基、アミノ基、エポキシ基、シラノール基、およびアルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個し、より好ましくは水酸基、アミノ基、およびエポキシ基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有する。本発明において、特に好ましくは、下記一般式で示されるものから選ばれる官能基を有することである。
Figure 2008163145
(上式で、R1〜R4は、水素又は炭素数1〜24の炭化水素基、あるいは水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を有する炭素数1〜24の炭化水素基。R5は炭素数1〜48の炭化水素鎖、あるいは水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を有する炭素数1〜48の炭化水素鎖。なおR1〜R4の炭化水素基、及びR5の炭化水素鎖中には、水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基以外の結合様式で、酸素、窒素、シリコン等の元素を含む官能基が結合していても良い。R6は水素又は炭素数1〜8のアルキル基。)
変性水添共重合体(2)は、共重合体の重合終了時にこれらの官能基を含有する変性剤を反応させることにより得られる。
変性水添共重合体(2)は、有機リチウム化合物を重合触媒として得た水添前共重合体のリビング末端に、官能基を含有する変性剤を付加反応させ、それに水素を添加して得ることができる。
変性水添共重合体(2)を得る他の方法として、水添共重合体(1)に有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させ、有機アルカリ金属が付加した共重合体に官能基を含有する変性剤を付加反応させる方法が挙げられる。
水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)には、示差走査熱量測定法(DSC法)において、−50〜100℃の温度範囲において結晶化ピークが実質的に存在しないことが好ましい。ここで、−50〜100℃の温度範囲において結晶化ピークが実質的に存在しないとは、この温度範囲において結晶化に起因するピークが現れない、もしくは結晶化に起因するピークが認められる場合においても、その結晶化における結晶化ピーク熱量が3J/g未満であることを意味する。結晶部分を極力少なくする、またはなくすことで、酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および/または充填剤(7)の多量に混合することが可能となる。これは、結晶部分には、酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および/または充填剤(7)が侵入できないためである。
水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)の動的粘弾性スペクトルにおける損失正接(tanδ)のピークが少なくとも1つは、−30〜80℃に存在することが好ましく、より好ましくは−20〜70℃、さらに好ましくは−20〜50℃である。−30〜80℃の範囲に存在するtanδのピークは、ブロックBに起因するピークである。tanδのピークが−30〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在することで、柔軟性と靭性が共に優れる。
水添前共重合体(1)および変性水添前共重合体(2)の共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができ、特に制限はない。一般的に共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合含有量は共役ジエン部分100%に対して5〜80%、好ましくは10〜60%である。共役ジエンとしてイソプレンを使用した場合又は1,3−ブタジエンとイソプレンを併用した場合には、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計含有量は好ましくは3〜75%、より好ましくは5〜60%であることが推奨される。なお、本発明においては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計含有量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合含有量)を以後ビニル結合含有量と呼ぶ。
水添前共重合体(1)および変性水添前共重合体(2)の共役ジエンに基づくビニル結合含有量は、赤外分光光度計(例えば、ハンプトン法)や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。
また、水添前共重合体(1)および変性水添前共重合体(2)中における各分子鎖中のビニル結合含有量の最大値と最小値との差が好ましくは10%未満、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下であることが奨励される。共重合体鎖中のビニル結合は、均一に分布していてもテーパー状に分布していてもよい。ここで、ビニル結合含有量の最大値と最小値との差とは、重合条件、すなわちビニル量調整剤の種類、量及び重合温度で決定されるビニル結合含有量の最大値と最小値である。
共役ジエン重合体鎖中のビニル結合含有量の最大値と最小値との差は、例えば共役ジエンの重合時又は共役ジエンとビニル芳香族の共重合時の重合温度によって制御することができる。第3級アミン化合物またはエーテル化合物のようなビニル量調整剤の種類と量が一定の場合、重合中のポリマー鎖に組み込まれるビニル結合含有量は、重合温度によって決まる。従って、等温で重合した重合体はビニル結合が均一に分散した重合体となる。これに対し、昇温で重合した重合体は、初期(低温で重合)が高ビニル結合含有量、後半(高温で重合)が低ビニル結合含有量といった具合に各分子鎖中のビニル結合含有量に差のある重合体となる。かかる構造を有する共重合体に、水素を添加することにより各分子鎖中のビニル結合含有量に差のある水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)が得られる。
本発明において、水添前共重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。炭化水素溶媒としては、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素類である。
また、開始剤としては、一般的に共役ジエン及びビニル芳香族に対し、アニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が含まれる。該開始剤に含まれるアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等である。好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1〜20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。
具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等があげられる。さらに、米国特許5,708,092号明細書に開示されている1−(t-ブトキシ)プロピルリチウムおよびその溶解性改善のために1〜数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物、英国特許2,241,239号明細書に開示されている1−(t−ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム、米国特許5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウムおよびヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエンとビニル芳香族を共重合する際に、重合体に組み込まれる共役ジエンに起因するビニル結合(1,2結合または3,4結合)の含有量の調整や共役ジエンとビニル芳香族とのランダム共重合性を調整するために、調整剤として第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することができる。
第3級アミン化合物としては一般式RN(ただしR、R、Rは炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である。)の化合物である。例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等である。
エーテル化合物としては、直鎖状エーテル化合物および環状エーテル化合物から選ばれる。
直鎖状エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。
環状エーテル化合物としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエンとビニル芳香族を共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。特に分子量分布を好ましい適正範囲に調整する上で連続重合方法が推奨される。重合温度は、一般に0℃乃至180℃、好ましくは30℃乃至150℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には0.1乃至10時間である。また、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合することが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。更に、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意する必要がある。
重合終了時に2官能基以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行うことができる。2官能基カップリング剤としては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
また、3官能基以上の多官能カップリング剤としては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物、一般式R(4−n)SiXn(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3または4)で示されるハロゲン化珪素化合物、ハロゲン化錫化合物が挙げられる。ハロゲン化珪素化合物としては例えばメチルシリルトリクロリド、t-ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素およびこれらの臭素化物等、ハロゲン化錫化合物としては、例えばメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用できる。
本発明において、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、およびアルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有する変性水添共重合体(2)を得るために使用される変性剤としては、特公平4−39495号公報に記載された変性剤または下記のものが挙げられる。
一般式(a)〜(f)の官能基を有する変性剤の例としては、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、N−(1,3−ジブチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、4−ジ(β―トリメトキシシリルエチル)アミノスチレン、4−ジ(β―トリエトキシシリルエチル)アミノスチレン、4−ジ(β―トリエトキシシリルプロピル)アミノスチレン、4−ジ(γ―トリエトキシシリルプロピル)アミノスチレン等;
式(g)の官能基を有する変性剤の例としては、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状ラクトン等;
式(h)の官能基を有する変性剤の例としては、4−メトキシベンゾフェノン、4−エトキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(メトキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エトキシ)ベンゾフェノン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン等;
式(i)および(j)の官能基を有する変性剤の例としては、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン等;
γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペンオキシシラン等;
ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシラン等;
トリス(γ−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、ビス(γ−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、トリス(γ−メタクリロキシプロピル)メトキシシラン等;
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル-トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル-トリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル-トリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル-エチルジメトキシシラン等;
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルエトキシシラン等;
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル-ジエチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジイソプロペンオキシシラン等;
式(k)の官能基を有する変性剤の例としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン等;
式(l)の官能基を有する変性剤の例としては、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N-メチルピロリドン等;
ただし、式(m)および(n)の官能基を有する変性水添共重合体(2)は、それぞれ式(k)および(l)の官能基を有する変性水添前共重合体(2)を水素添加することによって得られる。
なお、変性剤の種類により、変性剤を反応させた段階で一般に水酸基やアミノ基等は有機金属塩となっていることもあるが、その場合には水やアルコール等活性水素を有する化合物で処理することにより、水酸基やアミノ基等にすることができる。
水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)を製造するために用いられる水添触媒は、特に制限されず、従来から公知である以下の触媒が用いられる。
(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、
(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、及び
(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒等。
具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物があげられる。チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できる。具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル構造、インデニル構造、およびフルオレニル構造を有する配位子を少なくとも1つ以上持つ化合物が挙げられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等が挙げられる。
水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は好ましくは0.1〜15MPa、より好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜5MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
水添反応後の反応溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)を溶媒から分離することができる。分離の方法としては、例えば水添後の溶液にアセトンまたはアルコール等の重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)の溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。
なお、水添共重合体(1)および変性水添共重合体(2)には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)の代わりに、ブロック構造を持つスチレン系水添熱可塑性エラストマーであるSEBS(スチレン/エチレン・ブチレン/スチレン)を用いた場合、エチレン・ブチレン部分で結晶が存在するため、酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および/または充填剤(7)を多量に混合することできず、熱伝導性が不足する。また、他の熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン樹脂を使用した場合、放熱材料に必要な柔軟性が劣り、かつ酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および/または充填剤(7)が多量に混合できないため、熱伝導性も劣る。
酸化亜鉛(3)は、核部と核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛である。例えば株式会社アムテック製「パナテトラ(登録商標)」等が挙げられる。このような核部と核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛の場合、樹脂中の酸化亜鉛の接触点が多くなり、伝熱経路が形成されやすく、放熱材料として優れる熱伝導性を発現することが可能となる。
酸化亜鉛(3)は、他の熱伝導性充填剤と比較して、相対的に粒径が大きく、かつ4軸方向に結晶が伸びていることにより、水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)との接触面積が大きく、アンカー効果で欠落しにくいため、成形加工時の切粉を大幅に減らすことができ、絶縁性不良による電子基板の故障を抑制できる。
酸化亜鉛(3)の針状結晶部の基部の径は、0.7〜14μmが好ましく、針状結晶部の基部から先端までの長さが3〜200μmであることが好ましい。より好ましくは針状結晶部の基部の径が1〜14μmであり、針状結晶部の基部から先端までの長さが10〜200μmである。なお、基部の径とは、核部と針状結晶部の連結部分における針状結晶部の径をいう。
酸化亜鉛(3)の構造は、核部から伸びた針状結晶部の1つを基準としてその針状結晶部とは別の方向に伸びた各針状結晶部との角度が、好ましくはそれぞれ90〜140°の範囲にあることであり、より好ましくは100〜120°の範囲にあることである。針状結晶部がテトラポッド状に均等方向に伸びた109.5°が最も好ましい。
酸化亜鉛(3)には、カップリング剤で表面処理された核部と核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛も本発明に含まれ、カップリング剤の種類として、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤が好適に用いられる。
また、本発明の放熱材料中に針状の酸化亜鉛が存在することがあるが、これは酸化亜鉛(3)の4軸方向に伸びた針状結晶部が折損したものであり、本発明の主要な特性を何ら損なうものではない。
酸化亜鉛(3)を用いると、不定形状または球状の酸化亜鉛を使用した場合とは異なり、熱伝導性が良好である。かつ切粉が発生しにくいため絶縁不良も起こし難い。
ただし、酸化亜鉛(3)以外の酸化亜鉛、例えば粒状酸化亜鉛、球状酸化亜鉛も、本発明の目的を損なわない範囲の量を用いることも可能である。
本発明に用いる黒鉛(4)は、平均粒径が1μm以上100μm以下の黒鉛である。好ましくは平均粒径が1μm以上50μm以下であり、熱伝導率と靭性の内、特に熱伝導率を向上させたい場合には、平均粒径が25μm以上50μmであることがより好ましく、特に靭性を向上させたい場合には、平均粒径1μm以上25μm未満であることがより好ましい。平均粒径が100μm未満であれば靭性に優れ、1μm以上であれば、より熱伝導率を向上させることが可能となる。
本発明において、酸化亜鉛(3)と黒鉛(4)を特定割合で併用することが、絶縁性の低下を抑制しつつ、より優れた熱伝導率を付与するために必須である。酸化亜鉛(3)を用いず、黒鉛(4)のみを用いた場合、熱伝導性は向上するが、同時に絶縁性も急激に低下し、放熱材料及び放熱シートとして好ましくない。
黒鉛(4)の種類としては、種々の天然黒鉛または人造黒鉛を用いることができる。天然黒鉛として、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛を用いることができる。鱗片状黒鉛等の層間に硫酸等を挿入(インターカーレーション)し、800〜1000℃の温度で加熱し、層間を大きく膨張させた膨張黒鉛を用いることができる。
黒鉛(4)の形状として、鱗片状、塊状、球状等を用いることができ、靭性の観点から、球状黒鉛が好ましい。
パラフィン系オイル(5)とは、石油留分又は残油を水素添加し、精製したもの又は分解により得られる潤滑油基油のことであり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるオイルをいう。水添共重合体(1)や酸化亜鉛(3)等の原材料を溶融混練した放熱材料を製造する際、または放熱材料を成形して放熱シートを製造する際、酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および/または窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種類の充填剤(7)を大量に混合するためと、溶融混練して得られる放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートの熱伝導性向上、ならびに柔軟性付与のために用いられる。
パラフィン系オイル(5)の40℃における動粘度は、100mm/sec以上のものが好ましく、より好ましくは100〜10000mm/sec、さらに好ましくは200〜5000mm/secである。
パラフィン系オイル(5)として、例えば、日本油脂株式会社製の「NAソルベント(商標)」、出光興産株式会社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW-90、PW-380」、出光石油化学株式会社製の「IP-ソルベント2835(商標)」、三光化学工業株式会社製「ネオチオゾール(商標)」等が挙げられる。
パラフィン系オイル(5)以外に、柔軟性付与の目的で、ナフテン環炭素数が30〜45%のナフテン系オイル、芳香族炭素数が30%を超える芳香族系オイル、ヒマシ油、アマニ油、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン、流動パラフィン等を本発明の目的を損なわない量を用いることが可能である。
難燃剤(6)の例としては、ハロゲン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤、リン系難燃剤、シリコン系難燃剤等が挙げられる。
ハロゲン系難燃剤の具体例として、以下のものが挙げられる。
塩素系難燃剤の例として、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、パークロロシクロペンタデカン等が挙げられる。
臭素系難燃剤の例として、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、デカブロモジフェニルオキサイド(DBDPO)、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン(BPBPE)、テトラブロモビスフェノールAエポキシ樹脂(TBBAエポキシ)、テトラブロモビスフェノールAカーボネート(TBBA−PC)、エチレン(ビステトラブロモフタル)イミド(EBTBPI)、エチレンビスペンタブロモジフェニル、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン(TTBPTA)、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA(DBP−TBBA)、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールS(DBP−TBBS)、テトラブロモビスフェノールS(TBBS)、トリス(トリブロモネオペンチル)フォスフェート(TTBNPP)、ポリブロモトリメチルフェニルインダン(PBPI)、トリス(ジブロモプロピル)−イソシアヌレート(TDBPIC)等。
上記ハロゲン系難燃剤の中でも、本発明の放熱材料の難燃性を少量添加で発現させるために、臭素系難燃剤が好ましい。難燃剤の分散性を良くするために、融点が50℃以上150℃以下の臭素系難燃剤がより好ましい。難燃剤のブリードアウト防止のために、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA(DBP−TBBA)がさらに好ましい。
金属水酸化物系難燃剤の例としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、表面処理した金属水酸化物を用いることもできる。具体的にはステアリン酸、脂肪酸、チタン酸、シランカップリング剤、硝酸化合物等で表面処理した水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムを挙げられる。これらの内、硝酸化合物で表面処理された水酸化アルミニウムがより好ましい。その理由は、非ハロゲン系かつ非リン系であるため環境に優しい難燃性を発現でき、他の金属水酸化物難燃剤と比較して、低温で高い吸熱反応が生じ、かつ少量使用で難燃効果を発現でき、柔軟性と靭性が保持されるからである。ここで用いる硝酸化合物としては、硝酸メチル、硝酸エチル、硝酸ブチル、硝酸イソプロピル、硝酸イソブチル、硝酸アンモニウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸グアニジン、硝酸セルロース、硝酸ヒドロキシアンモニウム、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸ブチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸イソブチル、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸亜鉛、等が挙げられる。これらの内の2種類以上の硝酸化合物を混合しても良い。分解温度と樹脂の着色防止の観点から、硝酸アンモニウムがより好ましい。硝酸化合物で表面処理された水酸化アルミニウムとして、例えば、石塚硝子株式会社製「パイロライザー(登録商標)HG」(硝酸アンモニウムで表面処理された水酸化アルミニウム)等が挙げられる。
金属水酸化物系難燃剤の平均粒径は、機械的強度や靭性保持の観点から、0.1μm以上5μm以下の範囲にあることが好ましく、0.5μm以上3μm以下の範囲にあることがより好ましい。
リン系難燃剤の例としては、以下のものが挙げることができる。ホスファゼン化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、三級ホスフィン類、さらに赤燐系化合物、ホスホン酸塩、リン酸エステルアミド、リン含有ポリマー、ホスフィンオキシド、ホスフィンスルフィド等が挙げられる。
上記リン系難燃剤の中でも、難燃性と安全性の観点からホスファゼン化合物が好ましい。
これらは一種単独又は二種以上の混合物として使用することができる。
リン系難燃剤の含有水分量は、電気特性、耐加水分解性等を考慮した場合、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは650ppm以下、さらには500ppm以下、より好ましくは300ppm以下である。且つJIS K6751に基づき測定された酸価が好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下であることが望ましい。
また、リン系難燃剤は、耐加水分解性、耐吸湿性の観点から、水への溶解度(サンプルを0.1g/mLの濃度で蒸留水に混合し、室温で1時間攪拌した後の溶解度を指す)が好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm、さらに好ましくは、25ppm以下であるものがよい。
リン系難燃剤は、難燃性、燃焼時の低発煙性、低揮発性等を考慮すると、TGA(ThermoGravimetric Analysis)測定による不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時、50質量%の質量減少時の温度と5質量%の質量減少時の温度の差が、20〜150℃であるものが好ましく、20〜120℃であるものがさらに好ましい。また、リン系難燃剤を樹脂に対して用いた場合、燃焼時の炭化層形成促進効果による難燃効率を考えると、50質量%の質量減少時の温度が320〜500℃であるものが好ましく、より好ましくは350〜460℃である。
リン系難燃剤は、含有する置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができ、本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。
リン系難燃剤自体の耐熱性や、低揮発性を考慮する必要がある場合、本発明に好適に用いることができるリン系難燃剤の中で、ホスファゼン化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、三級ホスフィン類、ホスフィン酸塩が特に好適に用いられる。また、更に耐加水分解性を考慮する必要がある場合、ホスファゼン化合物が特に好適に用いられる。
ホスファゼン化合物としては、従来公知のものを広く用いることができる。本発明で好適に用いられるホスファゼン化合物の構造は、例えばJames E. Mark,Harry R. Allcock, Robert West著、”Inorganic Polymers” Pretice-HallInternational, Inc., 1992, p61-p140に記載されている。例えば、下記一般式(1)で示される環状ホスファゼン化合物及び/又は下記一般式(2)で示される鎖状ホスファゼン化合物が挙げられる。その中でもこれらの構造を有するホスファゼン化合物を95質量%以上含有するものが好ましい。
Figure 2008163145
Figure 2008163145
(式中のnは3〜25の整数、mは3〜10000の整数であり、置換基Xは、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が6〜11のアリール基、フッ素原子、下記一般式(3)で示される置換基を有するアリールオキシ基、ナフチルオキシ基、炭素数が1〜6のアルコキシ基およびアルコキシ置換アルコキシ基で表される置換基から選ばれる置換基であり、それぞれ異なっていても、同じでも良い。置換基上の水素は一部又は全部がフッ素に置換されていても構わない。また、式中のYは-N=P(O)(X)又は-N=P(X)3を表し、Zは-P(X)4又は-P(O)(X)2を表す。)
Figure 2008163145
(式中のY、Y、Y、Y及びYは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数が1〜5のアルキル基またはアルコキシ基、フェニル基、ヘテロ元素含有基の中からなる群より選ればれる置換基を表す。)
ホスファゼン化合物中の置換基Xの例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、tert-ブチル基、n-アミル基、イソアミル基等のアルキル基、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、4-ターシャリーブチルフェニル基、2-メチル-4-ターシャリーブチルフェニル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、s-ブチルオキシ基、n-アミルオキシ基、イソアミルオキシ基、tert-アミルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、メトキシプロピルオキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基、フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、3-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,5-ジメチルフェノキシ基、2,4-ジメチルフェノキシ基、3,5-ジメチルフェノキシ基、3,4-ジメチルフェノキシ基、2,3,4-トリメチルフェノキシ基、2,3,5-トリメチルフェノキシ基、2,3,6-トリメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、2,4,5-トリメチルフェノキシ基、3,4,5-トリメチルフェノキシ基、2-エチルフェノキシ基、3-エチルフェノキシ基、4-エチルフェノキシ基、2,6-ジエチルフェノキシ基、2,5-ジエチルフェノキシ基、2,4-ジエチルフェノキシ基、3,5-ジエチルフェノキシ基、3,4-ジエチルフェノキシ基、4-n-プロピルフェノキシ基、4-イソプロピルフェノキシ基、4-ターシャリーブチルフェノキシ基、2-メチル-4-ターシャリーブチルフェノキシ基、2-フェニルフェノキシ基、3-フェニルフェノキシ基、4-フェニルフェノキシ基等のアルキル置換フェノキシ基、アリール置換フェノキシ基ナフチル基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。これらの基の一部又は全部の水素がフッ素及び/又はヘテロ元素を含有する基に置き換わっていても構わない。
ヘテロ元素を含有する基とは、B、N、O、Si、P、S原子を含有する基である。一例として、アミノ基、アミド基、アルデヒド基、グリシジル基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、シリル基等を含有する基が挙げられる。
さらに、これらのホスファゼン化合物は国際公開番号WO00/09518号に開示されている技術により、フェニレン基、ビフェニレン基および下記に示す基(4)からなる群より選ばれた架橋基によって架橋されていても良い。
Figure 2008163145
(式中、Xqは、―C(CH-、-SO-、-S-、または-O-を、yは0又は1を表す。)
これらの架橋構造を有するホスファゼン化合物は、具体的にはジクロルホスファゼンオリゴマーにフェノールのアルカリ金属塩および芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させることにより製造される。これらのアルカリ金属塩は、ジクロロホスファゼンオリゴマーに対して理論量よりもやや過剰に添加される。
これらの化合物は、一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いてもよい。
難燃性を決める因子の一つとして、分子中に含有するリン原子の濃度が挙げられる。ホスファゼン化合物において、鎖状構造を有する鎖状ホスファゼンは分子末端に置換基を有することから、環状ホスファゼン化合物よりもリン含有率が低くなる。よって同じ重量を添加した場合、鎖状ホスファゼン化合物よりも環状ホスファゼン化合物の方がより難燃性付与効果が高いと考えられる。このことから、本発明においては、環状構造を有するホスファゼン化合物の使用が好ましく、環状ホスファゼン化合物を95質量%以上含有する難燃剤が好ましい。
また、ホスファゼン化合物は環状三量体、環状四量体等の環状体や鎖状ホスファゼンといった構造の異なる混合物であるが、樹脂に添加した場合の加工性は環状三量体、四量体含有率が高いほど好ましい傾向にあり、具体的には環状三量体及び/又は四量体化合物を80質量%以上含むホスファゼン化合物、より好ましくは三量体及び/又は四量体化合物を85質量%以上、さらに好ましくは93質量%以上含有するホスファゼン化合物が好ましい。
また、本発明において、三量体を好ましくは70質量%以上、より好ましくは三量体を76質量%以上、更に好ましくは三量体を80質量%以上、特に好ましくは三量体を85質量%以上含有するホスファゼン化合物を用いると、特に優れた難燃性付与効果が得られる上、優れた機械特性の向上効果が得られる。
また、ホスファゼン化合物は、置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができ、本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。固体状態の場合、嵩密度が好ましくは0.45g/cm以上、より好ましくは0.45g/cm以上、0.75g/cm以下である。
該ホスファゼン化合物中に含有するナトリウム、カリウム等のアルカリ金属成分はそれぞれ好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは、全アルカリ金属成分が50ppm以下である。
また、該ホスファゼン化合物中の、一般式(1)中の置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物、即ちP-OH結合を含有するホスファゼン化合物の含有量は1質量%未満であることが望ましく、且つ、塩素含有量が好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下である。
置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物は、下記一般式(5)で表されるオキソ体構造を含有しても良い。ただし、このようなオキソ体構造を有するホスファゼン化合物は1質量%未満であることが望ましい。上記一般式(2)で表される鎖状構造を有するホスファゼン化合物でも同様である。
Figure 2008163145
(式中のa、bは1以上の整数であり、その和(a+b)は3以上の整数である。また、式中のXは同じであっても異なっても良い。)
リン酸エステルとしては、公知のものを用いることができる。一例として、トリフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、クレジルジキシレニルホスフェート、ジクレジルキシレニルホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、例えばペンタエリスリトールジホスフェートや、下記一般式(6)、(7)を有するリン酸エステル系化合物が挙げられる。ビスフェノールAとフェノールを原料として合成される縮合リン酸エステル、ビスフェノールAまたはレゾルシンと2,6-キシレノールを原料として得られる縮合リン酸エステルが特に好適である。
Figure 2008163145
Figure 2008163145
(ここで、Q、Q、Q、Q、Q、Q10、Q11、Q12は、独立に水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を表し、Q,Q、Q、Q、Q13は独立に水素原子、またはメチル基を表す。m1、m2、m3、m4、m7、m8、m9、m10は、独立に0〜3の整数を示し、m5、m6は独立に0から2の整数を表し、m11は独立に0〜4の整数を表す。)
ホスフィン酸塩としては、下記一般式(8)及び/又は(9)で表されるホスフィン酸塩及び/又はこれらのポリマーから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
Figure 2008163145
Figure 2008163145
(式中Q、Q、Q、Qは、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数が1〜12のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基を表し、Qは炭素数が1〜18のアルキレン、アリールアルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、ジアリーレンから選ばれる基を表す。n、mはそれぞれ1〜3の整数であり、xは1又は2である。また、Mは、周期表第四周期以降の金属原子、アミド、アンモニウム基及びメラミン誘導体から選ばれる基を表し、xが2の場合は同じ基であっても異なる基であっても良い。)
三級ホスフィン類としては、公知のものを好適に用いることができる。例えば、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールオキシホスフィン、トリアルコキシホスフィン、ビス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン、トリス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン等が挙げられる。耐熱性及び、難燃性、機械特性のバランスを考慮すると、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の10%減量温度が、150℃〜320℃であることが好ましい。具体的には、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールオキシホスフィン、トリアルコキシホスフィンが好ましく、より好ましくは。下記一般式(10)で表されるトリアリールホスフィン類である。
Figure 2008163145
(式中、T、T、T、Tは、それぞれ、独立に水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基を表し、Tは水素原子又はメチル基を表す。m1、m2、m3、m4は、それぞれ、独立に0から5の整数を示し、m5は独立に0から4の整数を表す。また、式中のnは、0〜3の整数を表す。また、アリール基として、ナフチル基も好適に用いることができる。また、リン原子上の三つのアリール基は、すべて同じ基であっても、それぞれ異なる基であっても良い。)
本発明において、アンチモン系化合物を難燃剤と併用して使用することができる。該アンチモン化合物の具体例としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン類やアンチモン酸ソーダ等が挙げられる。
さらに熱伝導率と絶縁性を向上させたい場合、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、および窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種類の充填剤(7)を加えることができる。
充填剤(7)の平均粒径は、0.5μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以上50μm以下である。さらに好ましくは充填剤(7)が窒化アルミニウムの場合0.5μm以上8μm以下であり、充填剤(7)が窒化ホウ素の場合0.8μm以上30μm以下である。
充填剤(7)の純度は、熱伝導性と絶縁性制御容易性の点から、90%以上であることが好ましく、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上である。
また、本発明の放熱材料で成形した放熱シートのシート厚みT1(μm)と、酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および/または充填剤(7)の内、最も大きいものの平均粒径T2(μm)との比率T2/T1は、1以下であることが好ましく、より好ましくは0.8以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。T2/T1が1以下の場合、シート表面より酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、または充填剤(7)の粒子が突出せず、シート表面の平滑性が保持される。よって、絶縁性が要求される、例えば電子基板用に用いても、通電する等の問題が発生しない。
本発明の放熱材料において、水添共重合体(1)と変性水添共重合体(2)の割合は、付着性に優れた放熱材料を得たい場合、水添共重合体(1)と変性水添共重合体(2)の各含有量の和に対する変性水添共重合体(2)の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であることが奨励される。また、耐腐食性に優れた放熱材料を得たい場合は、変性水添共重合体(2)の含有量が好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であることが奨励される。
水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和[(1)+(2)+(5)]の配合割合は、放熱材料100質量%に対し、10質量%以上87質量%以下である。この範囲であれば、良好な柔軟性と靭性が得られ、良好な熱伝導性を示す。好ましくは10質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
水添共重合体(1)と変性水添共重合体(2)の和に対するパラフィン系オイル(5)の質量比率[(5)/{(1)+(2)}]は、0を超えて2以下であり、好ましくは0.5以上1.5以下であり、より好ましくは0.8以上1.2以下である。2以下であれば、パラフィン系オイル(5)のブリードアウトを防止することができる。パラフィン系オイル(5)を使用することで、柔軟性がさらに向上し、かつ酸化亜鉛(3)をさらに多量に混合することが可能となり、熱伝導性も向上する。
上記配合量、比率を満たした上で、パラフィン系オイル(5)の配合割合は、放熱材料100質量%に対し、0質量%を超えて87質量%以下であることが好ましい。より好ましくは0質量%を超えて50質量%以下、さらに好ましくは0質量%を超えて20質量%以下である。
難燃剤(6)の配合割合は、放熱材料100質量%に対し、3質量%以上30質量%以下である。3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。30質量%以下であれば充分な熱伝導性を示し、3質量%以上であれば難燃性を付与することができる
水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和に対する難燃剤(6)の質量比率[(6)/{(1)+(2)+(5)}]は、0.2以上3以下であり、0.4以上3以下であることが好ましく、0.6以上2.5以下であることがより好ましく、1以上2以下であることがさらに好ましい。0.2以上であれば、難燃性を付与することができ、3以下であれば、充分な柔軟性と靭性が得られる。
酸化亜鉛(3)と黒鉛(4)の和[(3)+(4)]、または酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および充填剤(7)の総和[(3)+(4)+(7)]の配合割合は、放熱材料100質量%に対し、10質量%以上87質量%以下である。好ましくは50質量%以上87質量%以下であり、より好ましくは65質量%以上87質量%以下、さらに好ましくは70質量%以上87質量%以下である。この範囲にあると熱伝導性、柔軟性、および靭性が優れる。
酸化亜鉛(3)と黒鉛(4)の和[(3)+(4)]、または酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および充填剤(7)の総和[(3)+(4)+(7)]に対する酸化亜鉛(3)の質量比率[(3)/{(3)+(4)}] 、または[(3)/{(3)+(4)+(7)}]は、0.5を超えて0.97以下である。好ましくは0.7以上0.95以下であり、より好ましくは0.85以上0.90以下である。酸化亜鉛(3)の質量比率が0.5を超えていれば、黒鉛(4)、および/または充填剤(7)との接触等により熱伝導性が向上する。
なお、用いる黒鉛(4)、および/または充填剤(7)の種類、形状、粒径、粒径分布によって、酸化亜鉛(3)と黒鉛(4)、および/または充填剤(7)との接触等の態様が異なるため、黒鉛(4)、および/または充填剤(7)が与える熱伝導性と絶縁性への影響が異なる。電気・電子分野において放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートに要求される絶縁性を満たすために、印加電圧100Vでの体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1016Ω・cm未満であることが必須であり、この範囲に体積抵抗率がなるように、黒鉛(4)、および/または充填剤(7)の配合割合は、上記に記載した酸化亜鉛(3)と黒鉛(4)の和[(3)+(4)]、または酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および充填剤(7)の総和[(3)+(4)+(7)]に対する酸化亜鉛(3)の質量比率0.5を超えて0.97未満から決定する。
上記配合量、比率を満たした上で、黒鉛(4)の配合割合は、放熱材料100質量%に対し、3質量%以上20質量%以下である。20質量%以下であれば、充分な絶縁性を示し、3質量%以上であれば、熱伝導性をより向上することができる。
また、上記配合量、比率を満たした上で、熱伝導性と絶縁性をさらに向上させたい場合に用いる充填剤(7)の配合割合は、放熱材料100質量%に対し、0質量%を超えて30質量%以下である。好ましくは0質量%を超えて20質量%以下、より好ましくは0質量%を超えて10質量%以下である。充填剤(7)を加えることで、熱伝導性と絶縁性がさらに向上し、30質量%以下であれば、充分な柔軟性を示す。
さらに、上記配合量、比率を満たした上で、酸化亜鉛(3)の配合割合は、放熱材料100質量%に対し、7質量%以上84質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以上84質量%以下、さらに好ましくは65質量%以上84質量%以下、最も好ましくは70質量%以上84質量%以下である。ただし、充填剤(7)を含む場合、放熱材料100質量%に対し、7質量%以上84質量%未満が好ましく、より好ましくは50質量%以上84質量%未満、さらに好ましくは65質量%以上84質量%未満、最も好ましくは70質量%以上84量%未満である。この範囲にあると熱伝導性、柔軟性、および靭性が優れる。
本発明の放熱材料は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、ビニル芳香族のみからなる重合体、アクリル系樹脂、脂肪酸、脂肪酸塩、難燃助剤であるドリップ防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、剛性向上剤、熱安定剤、帯電防止剤、光安定剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。
アクリル系樹脂とは、具体的には(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の重合体又は共重合体のことである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等が挙げられる。これら化合物を単独で、または2種類以上組み合わせて重合させて得られる共重合体であればアクリル系樹脂として使用することができる。またアクリル酸アルキルエステルを重合して得られるアクリル系ゴム粒子に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として得られるグラフト共重合体も使用することができる。例えば、ゼオン化成株式会社製「ハイブレン(商標)」等が挙げられる。
アクリル系樹脂の配合割合は、放熱材料100質量%に対し、0を超えて5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上2質量%以下がさらに好ましい。アクリル系樹脂を加えることで、伝熱方向異方性を減らすことができ、かつカレンダー成形等で作成したシートの厚みムラが大幅に減少する。しかし、アクリル系樹脂の配合割合が5質量%を超えると熱伝導性が低下する。
脂肪酸、脂肪酸塩は、飽和脂肪酸、飽和脂肪酸塩であっても不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸塩であってもよい。炭素数8〜34であることがより好ましく、炭素数14〜22であることがさらに好ましい。また飽和脂肪酸、飽和脂肪酸塩であることが好ましい。具体的には、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、オレイン酸、カプリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、モンタン酸等の脂肪酸およびそれら脂肪酸のマグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩の他、亜鉛金属塩等を挙げることができる。これらの中でもステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸およびそれらのアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩)、亜鉛金属塩等が好適に用いられる。
脂肪酸、脂肪酸塩の配合割合は、放熱材料100質量%に対し、0を超えて5質量%以下が好ましく、0.2質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がさらに好ましい。脂肪酸、脂肪酸塩を加えることで、Tダイシート成形やカレンダー成形において、高温時でのロールからのシートリリース性が大幅に向上する。その結果、平滑性に優れた放熱シートを得ることができ、得られた放熱シートを電子基板に装着した際に密着性が増し、熱伝導性が大幅に向上する。また、カレンダー成形等で作成した場合の放熱シートの厚みムラが大幅に減少する。脂肪酸、脂肪酸塩の配合割合が5質量%以下であれば充分な熱伝導性も保持される。
難燃助剤として、ポリテトラフルオロエチレンなどのドリップ防止剤を配合することもできる。このポリテトラフルオロエチレンは、分子量10×10以上、好ましくは20×10から300×10程度のものが望ましい。分子量が10×10以上の場合、ポリテトラフルオロエチレンが配合された放熱材料は、燃焼時のドリップが抑制される。例えば、三菱レイヨン株式会社製「メタブレン(登録商標)」等が挙げられる。
本発明に用いることができる酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤やアミン系やヒドロキシルアミン系の酸化防止剤が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕、及びペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
本発明に用いることができる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩紫外線吸収剤等が挙げられる。特に好ましいのはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。
本発明の放熱材料の機械的強度を向上させるために、剛性向上材である、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を用いることができる。
本発明の放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートの絶縁性は、印加電圧100Vでの体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1016Ω・cm未満である。この範囲にあれば、帯電した静電気や、通電により電子部品等が壊れることはない。1×1010Ω・cm以上1×1016Ω・cm未満であることが好ましく、1×1012Ω・cm以上1×1016Ω・cm未満であることがより好ましい。また、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1016Ω・cm未満になる印加電圧は、好ましくは100V以上、より好ましくは250V以上、さらに好ましくは500V以上、最も好ましくは1kV以上である。
本発明の放熱材料は、ブラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、二軸あるいは一軸押出機など従来の公知技術によって容易に製造できる。
本発明の放熱材料は、優れた熱伝導率を有し、熱可塑性であるため、溶融して型に注入し、賦型できる。このことから、本発明の放熱材料は、様々な放熱用途に、成形体として好適に使用される。
このような特性を有する成形体は、本発明の放熱材料を加熱溶融可塑化して成形することにより得られる。具体的には、射出成形、インジェクションプレス成形、またはガスインジェクション成形など公知の成形方法にて成形体を製造することが可能である。
中でも、本発明の放熱材料が熱可塑性であること、加熱可塑化させた溶融物を容易に連続した薄肉シート状に賦型できること、かつ加熱による揮発成分が少ないこと等の点から、シート形状の成形体が好ましい。
本発明の放熱材料で成形した放熱シートは、上記の方法で混練した後、射出成形、インジェクションプレス成形、またはガスインジェクション成形以外の成形方法として、Tダイシート成形、カレンダー成形、ブロー成形、プレス成形、インフレーション成形等により製造することができる。中でも、0.2mm厚み以下の放熱材料で成形した放熱シートを製造するためには、Tダイシート成形またはインフレーション成形が好ましい。表面平滑性に優れる放熱シートを製造するためには、カレンダー成形またはプレス成形が好ましい。表面平滑性に優れる放熱シートは、発熱体に実装時、発熱体および冷却用部品と密着し、両者を近接させるため、優れた放熱性を発揮する。
放熱シートの平滑性は、具体的にはJIS K7105に準拠して測定した放熱材料で成形した放熱シートの表面における60度表面グロスの値が10以上であることが好ましい。
本発明の放熱材料で成形した放熱シートの厚みは、30μm以上3cm以下が好ましい。厚みが30μm以上なら、絶縁性が保持され、厚みが3cm以下であれば、成形加工や取り扱いが容易である。また、放熱シートは厚くなる程、絶縁性と難燃性が向上する。
発熱体からの熱を迅速に放散ことが要求される用途の場合、熱伝導経路の短い薄いシートが好ましい。具体的にシート厚みとして30μm以上1mm以下がより好ましく、30μm以上0.5mm以下がさらに好ましい。またCPU等の発熱体とヒートシンク等の冷却用部品間のスペーサーとして用いる場合、クッション性のある厚いシートが好ましい。具体的には、シート厚みとして1mmを超えて3cm以下が好ましく、かつJIS A硬度で65以下であることが好ましく、45以下であることがさらに好ましい。このクッション性のある厚い放熱シートは、住宅の床暖房のスペーサー(床と循環パイプ間に装着)にも好適である。
本発明の放熱材料で成形した放熱シートの硬度は、JIS A硬度で20以上95以下であることが好ましい。95以下であれば、半導体素子と冷却用部品が充分に近接し、熱伝導性が良好となる。20以上であれば、取り扱いが容易である。
本発明の放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートは、廃棄物等の環境問題の観点から再利用することができる。具体的には、以下のようにして再利用することができる。
1)一度市場に流通などした後に回収された放熱シートを必要に応じ破砕した後放熱材料を加えて溶融し再度シート化する。
2)回収された放熱シートと、放熱材料ペレットあるいは本発明の原材料を共に再度溶融混練してシート状に成形し、放熱シートを製造する。
回収された放熱シートの、放熱材料あるいは本発明の原材料に対する好ましい割合は、全体100質量%に対し、100質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。この範囲であれば放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートの特性を維持しつつ、放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートを再利用することができる。
本発明の放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートは、
コンピュータ類の放熱部品:パソコン、家庭用ゲーム機等、携帯電話等;
ディスプレイ電源ユニット等の放熱部品:家庭用テレビ、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等;AV機器、OA機器等の放熱部品:DVDプレーヤー、DVDレコーダー、HDDレコーダー、家庭用テレビ、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等;LEDバックライト光源の放熱部品:液晶TV等;
自動車電装部材の放熱部品:カーステレオ、カーナビゲーショシステム等;
その他の放熱部品:インバーター、照明、エアコン等;
などの高熱伝導性、絶縁性、柔軟性、靭性及び難燃性が必要とされる用途に好適に使用される。
本発明の水素添加条件下では、ビニル芳香族単位の含有量、ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量は水添の前後で変わらないため、水添前共重合体を用いて測定した。
なお、放熱材料や放熱シートの状態から、各原材料の含有量や組成を測定するには、クロロホルム、シクロヘキサン、または適当な割合のシクロヘキサン-クロロホルム混合溶媒等を用いて該放熱材料や放熱シートを溶解し、該溶液を測定に用いる。
また、水添共重合体から、ビニル芳香族重合体ブロック含有量を算出する場合は、核磁気共鳴装置(NMR、JMN−270WB:日本電子株式会社製等)を使用して、Y. Tanaka, et al., Rubber Chemistry and Technology 54. 685(1981)に記載の方法に準じる。
具体的には、水添共重合体30mgを1g重クロロホルムに溶解したものを試料とし、H−NMRを測定する。ビニル芳香族がスチレンの場合、NMR測定によって得られる見かけ上のビニル芳香族重合体ブロック含有量(Ns)を、下記数値と下記式を用い、ビニル芳香族重合体ブロック含有量(Os)を算出する。
ブロックスチレン強度(S1)=(6.9〜6.3ppmの積算値)/2
ランダムスチレン強度(S2)=(7.5〜6.9ppmの積算値)−3×(S1)
エチレン・ブチレン強度(EB)=全積算値−3×[(S1)+(S2)]/8
見かけ上のビニル芳香族重合体ブロック含有量(Ns)=104×(S1)/[104
×{(S1)+(S2)}+56×(EB)]
Os=−0.012×(Ns)+1.8×(Ns)−13.0
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定
されるものではない。
[原料]
<水添共重合体(1)>
(ポリマー1)
下記重合方法で製造した。
・反応条件等
反応器:内容積が10Lの撹拌装置及びジャケット付き槽型反応器
反応温度:重合中は70℃を保持した。水添反応中は65℃を保持した。
水添触媒:窒素置換した水添触媒調整用反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加した。充分に攪拌しながら、トリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させたものを用いた。
・反応手順
(i)シクロヘキサン10質量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整する。
(ii)1段目反応として、n−ブチルリチウム0.076質量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下TMEDA)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.4モル添加する。
(iii)スチレン8質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を約3分間かけて添加し、添加終了後30分間反応させた。
(iv)2段目反応として、1,3−ブタジエン48質量部とスチレン36質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を60分かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、添加終了後30分間反応させた。
(v)3段目反応としてスチレン8質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を約3分間かけて添加し、添加終了後30分間反応させ、共重合体を得た。
(vi)得られた共重合体に、上記水添触媒をチタン量換算で、100質量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
(vii)反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共重合体に対して0.3質量%添加し、水添共重合体を得た。
得られた水添共重合体の重量平均分子量は16.5×10、分子量分布は1.2、水
素添加率は99%であった。また動的粘弾性測定の結果、tanδのピーク温度は−15℃に存在した。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
また、3段目反応後に得られた水添前共重合体から求めたビニル芳香族単位の含有量は52質量%、ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量は16質量%、1,3−ブタジエン部のビニル結合含有量は21質量%であった。
(ポリマー2)
下記重合方法で製造した。
1段目でスチレン4.5質量部、2段目で1,3−ブタジエン49質量部とスチレン42質量部、3段目でスチレン4.5質量部を使用した以外は、ポリマー1と同様の方法で水添前共重合体を得た。次にポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体を得た。重量平均分子量は17.5×10、分子量分布は1.2、水素添加率は99%であった。また動的粘弾性測定の結果、tanδのピーク温度は−14℃に存在した。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
また、3段目反応後に得られた水添前共重合体から求めたビニル芳香族単位の含有量は51質量%であり、ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量は9質量%、ブタジエン部のビニル結合含有量は21質量%であった。
<変性水添共重合体(2)>
(ポリマー3)
下記重合方法で製造した。
ポリマー1を製造する際の3段目の反応として、2段目の反応で得られたリビングポリマーの溶液に、スチレンと変性剤であるテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンをn−ブチルリチウムに対して等モル使用・反応させたこと以外は、ポリマー1と同様の方法で変性共重合体を得た。重量平均分子量は16.5×10、分子量分布は1.2、水素添加率は99%、変性率は80%であった。また動的粘弾性測定の結果、tanδのピーク温度は−15℃に存在した。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
また、3段目反応後に得られた水添前変性共重合体から求めたビニル芳香族単位の含有量は52質量%、ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量は16質量%、ブタジエン部のビニル結合含有量は21質量%であった。
<その他熱可塑性樹脂>
(ポリマー4)
水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)である旭化成ケミカルズ株式会社製「タフテック(登録商標)H1043」(スチレン/エチレン・ブチレン=67/33)。
(ポリマー5)
ポリプロピレン樹脂であるサンアロマー株式会社製「サンアロマー(登録商標)PM900A」
<酸化亜鉛(3)>
[酸化亜鉛A]
核部と核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する、株式会社アムテック製「パナテトラ(登録商標)WZ−0501」(表面処理なし、針状結晶部の基部の径が0.7〜14μm、針状結晶部の基部から先端までの長さが3〜200μm)。
[酸化亜鉛B]
球状構造である、東邦亜鉛株式会社製「銀嶺(登録商標)A」(平均粒径0.2μm)。
<黒鉛(4)>
[黒鉛A]
鱗片状構造である、伊藤黒鉛工業株式会社製[鱗片状黒鉛Z−50(商標)](平均粒径45μm)。
[黒鉛B]
球状構造である、伊藤黒鉛工業株式会社製[球状黒鉛SG−BL40(商標)](平均粒径40μm)。
[黒鉛C]
球状構造である、伊藤黒鉛工業株式会社製[球状黒鉛SG−BH8(商標)](平均粒径8μm)。
[黒鉛D]
膨張黒鉛である三洋貿易株式会社製[SYZR3252(商標)](平均粒径45μm)。膨張黒鉛は、難燃効果を有する。
[黒鉛E]
鱗片状構造である、伊藤黒鉛工業株式会社製[鱗片状黒鉛XD−150(商標)](平均粒径150μm)。
<オイル(5)>
出光興産株式会社製[ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW380](40℃における動粘度が382mm/sec)。
<難燃剤(6)>
[難燃剤A]
ハロゲン系難燃剤である鈴裕化学株式会社製[ファイアカット(商標)P−680](ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA(DBP−TBBA))。
[難燃剤B]
第一工業製薬株式会社製[ピロガード(登録商標)AN−800(T)](三酸化アンチモン)。
[難燃剤C]
リン系難燃剤である大塚化学株式会社製[SPS−100(商標)](フェノキシホスファゼン、n=3が90質量%以上)。
[難燃剤D]
非ハロゲン・非リン系難燃剤である石塚硝子株式会社製[パイロライザー(登録商標)HG](硝酸アンモニウムで表面処理された水酸化アルミニウム、平均粒径1.1μm)。
[難燃剤E]
ポリテトラフルオロエチレンである三菱レイヨン社製「メタブレン(登録商標)A−3800」。
<充填剤(7)>
[充填剤A]
窒化ホウ素である昭和電工株式会社製「ショウビーエヌ(登録商標)UHP(登録商標)−1」(平均粒径10μm、熱伝導率約130W/m・K)。
[充填剤B]
宇部興産株式会社製「高純度窒化珪素粉末SN−E03(商標)」(平均粒径1.0μm、熱伝導率約80W/m・K)。
[充填剤C]
株式会社トクヤマ製「シェイパル(登録商標)高純度窒化アルミニウム粉末E−グレード」(平均粒径1.1μm、熱伝導率約200W/m・K)。
[充填剤E]
膨張黒鉛である三洋貿易株式会社製[SYZR(商標)3252](平均粒径45μm)。膨張黒鉛は、難燃効果を有する。
<添加剤>
[添加剤A]
株式会社ADEKA製「アデカ(登録商標)脂肪酸SA−200」(ステアリン酸)。
[添加剤B]
アクリル系樹脂であるゼオン化成株式会社製「ハイブレン(商標)B403」。
[サンプル成形方法]
・実施例1〜21、比較例1〜10で評価したサンプルのうち、成形品は下記の方法で成形した。
(プレス成形品シート)
放熱材料ペレットを3インチロール混練機を用い、200℃で混練し、シート状にした。さらに200℃で加熱したプレス成形にて、縦120mm×横220mm、1mm厚のプレス成形品シートを得た。同様に、2mm厚、5mm厚のプレス成形品シートも作成した。
(0.3mm厚Tダイシート成形品シート)
放熱材料ペレットを、190℃に設定された単軸押出機(株式会社東洋精機製作所製、ラボプラストミル型式:50M、スクリュー型式:D2020)及び120mm幅Tダイ(株式会社東洋精機製作所製)を用い、Tダイのリップ厚みを0.3mmに調整し、幅約100mm、0.3mm厚のTダイシート成形品シートを得た。
・実施例18,19で評価したサンプルのうち、成形品は下記の方法で成形した。
(カレンダー成形)
実施例6の配合組成で容量75L、温度170℃、ブレード回転数20rpmに設定した加圧ニーダーにて原材料を5分間溶融混練し、放熱材料の塊を得た。該放熱材料の塊を、シリンダー温度150℃で、押出機先端にダイスを取り付けた異方向二軸押出機で、幅200mm、10mm厚のシートにした。該シートをカレンダーロール径1000mm、幅1600mm、温度140℃、ロールギャップ間隔を1mmに調整した後、カレンダーロール成形機にて成形を実施し、幅約1000mm、1mm厚のシートを得た。
(Tダイシート成形)
実施例6で得た放熱材料ペレットを用い、190℃に設定された単軸押出機(株式会社東洋精機製作所製、ラボプラストミル型式:50M、スクリュー型式:D2020)及び120mm幅Tダイ(株式会社東洋精機製作所製)を用い、Tダイのリップ厚を1mmに調整し、さらに引取速度を調整することで(株式会社東洋精機製作所製、コンベア式引取装置;コンベアCON型)、1mm厚のシートを得た。
[物性測定法]
1)ビニル芳香族単位の含有量
測定装置:紫外分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−2450)
サンプル:50mgの水添前共重合体を100mlのクロロホルム溶解したもの
測定波長:254nm
検量線:スチレン/クロロホルム溶液のスチレン濃度を変え、絶対検量線を作成
2)ビニル芳香族からなる重合体ブロック含有量
水添前共重合体を用い、I.M. Kolthohoff, et al., J. Polym. Sci. 1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法で測定した。水添前共重合体の分解にはオスミウム酸0.1g/125ml第3級ブタノール溶液を用いた。
3)共役ジエンに基づくビニル結合の含有量
測定装置:赤外分光光度計(日立製作所製、FT/IR−230)
サンプル:50mgの水添共重合体または変性水添共重合体を二硫化炭素10ccに溶解したもの
測定方法:上記溶液を1mm厚KBr液体セルに入れ、960cm−1(トランス)、910cm−1(ビニル)、724cm−1(シス)、699cm−1(スチレン)の透過率を測定、ハンプトン法により算出
4)水素添加率
測定装置:核磁気共鳴装置(日本電子社製、JNM−LA400)
サンプル:水添共重合体または変性共重合体5重量%の重クロロホルム溶液
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:TMS
パルスディレイ:2.9秒
スキャン回数:128回
パルス幅:45°
測定温度:23℃
上記条件で1H−NMR測定を実施し、スチレン単位(0〜8ppm)、1,4−ブタジエン(4.5〜4.8ppm)、1,2−ブタジエン単位(4.9〜5.7ppm)から水素添加率を算出。
5)重量平均分子量及び分子量分布
測定装置:GPC(島津製作所製、LC−10)
カラム:島津製作所製、Shim−pac 803:1本、804:2本、805:1本の計4本を直列接続
検出器:RI(示差屈折)検出器
サンプル:10mgの水添共重合体または変性水添共重合体を20ccのテトラヒドロフランに溶解したもの
展開溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1ml/min
測定温度:40℃
検量線用標準サンプル:東ソー社製、TSK標準ポリスチレン(Mw/Mn<1.2、10<Mw≦10、8種類)、サンプルと同濃度のテトラヒドロフラン溶液を作成。
尚、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量をいう。また、分子量分布は得られた重量平均分子量と数平均分子量の比である。
6)結晶化ピーク及び結晶化ピーク熱量
測定装置:示差走査熱量分析装置(DSC)(マックサイエンス社製、DSC3200S)
昇温条件:
step1:室温から30℃/分の昇温速度で150℃まで昇温
step2:10℃/分の降温速度で−100℃まで降温
結晶化カーブを測定して結晶化ピークの有無を確認した。結晶化ピークがある場合、そのピークが出る温度を結晶化ピーク温度とした。そのピーク面積から結晶化ピーク熱量を算出した。
7)変性率
変性共重合体はシリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに吸着するが、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたGPCカラムには吸着しない特性を利用して、変性率を算出した。
測定装置:GPC(島津製作所製、LC−10)
カラム:
i)ポリスチレン系ゲルカラム:島津製作所社製、Shim−pac 803×1本、804×2本、805×1本の計4本を直列接続
ii)シリカゲルカラム:デュポン社製、Zorbax PSM60S×1本、PSM300S×2本の計3本を直列接続
検出器:RI(示差屈折)検出器
サンプル:10mgの水添共重合体または変性水添共重合体を20ccのテトラヒドロフランに溶解したもの
展開溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1ml/min
測定温度:40℃
検量線用標準サンプル:東ソー社製、TSK標準ポリスチレン(Mw/Mn<1.2、10<Mw≦10、8種類)、サンプルと同濃度のテトラヒドロフラン溶液
上記ポリスチレン系ゲルカラムを用いた場合とシリカ系ゲルカラムを用い、各サンプルのクロマトグラムを2種類測定した。それらのピーク面積の差分よりシリカ系ゲルカラムへの吸着量を算出し、変性率を求めた。
8)損失正接(tanδ)
測定装置:粘弾性測定解析装置(レオロジ社製、DVE−V4)
昇温速度:1℃/min
測定モード:ずりモード
測定周波数:10MHz
評価サンプル:1mm厚プレス成形シート
上記の条件で粘弾性スペクトルを測定することによりtanδのピーク温度を求めた。
[物性評価法]
1)熱伝導率評価サンプル:0.3mm厚Tダイ成形シート
評価装置:迅速熱伝導率測定機(京都電子工業株式会社製、QTM−500)
測定方式:細線加熱法(ホットワイヤ法)
使用ソフト:薄膜測定用ソフト(京都電子工業社製、SOFT−QTM5W)
測定方法:測定は、熱伝導率が既知であるレファレインスプレート(発泡ポリエチレン、シリコンゴム、石英ガラス、ムライト、ジルコニア)を用いてボックス式プローブ(型番:PD−11)で熱伝導率を求める方法(特公平5−12361号公報記載)で実施した。
2)絶縁性
評価サンプル:0.3mm厚Tダイ成形シート
評価装置:超絶縁計(東亜電波工業社製、型番:SM−8220)
測定電極:平板試料用電極(東亜電波工業社製、型番SME−8311)
測定方法:放熱材料で成形した10cm角放熱シートに、印加電圧100Vを50秒チャージした後、10秒後の体積抵抗(Rv)を測定し、次式より体積抵抗率を算出した。
体積抵抗率(Ω・cm)=30/(シート厚み(mm))−Rv
異なる5箇所の相加平均を持って、体積抵抗率(Ω・cm)とした。
3)硬度
評価サンプル:1mm厚プレス成形シート
評価装置:デュロメータタイプA、島津製作所製、JIS A硬度計
測定方法:JIS K6253に準じ、10秒後の測定値
4)靭性
<靭性1>
評価サンプル:1mm厚プレス成形シートを2つ折りにしたシート(2つ折後:縦120mm×横約110mm)
評価サンプルに2kgのおもりをのせ(圧力:約15g/cm)、室温で24時間放置後の折れ目割れの有無を評価した。
評価基準:
折れ目割れ無:○
折れ目割れ有:△
2つ折り不可(柔軟性不足):×
<靭性2>
評価サンプル:0.3mm厚Tダイ成形シート
試験速度:200mm/min
JIS K7128−3直角形引裂法に従い、引裂強度を測定した。
評価基準:
引裂強度30N/mm以上:○
引裂強度10N/mm以上30N/mm未満:△
引裂強度10N/mm未満:×
5)難燃性
評価サンプル:1mm厚プレス成形シートから作成した127mm×12.7mm×1mm厚
UL−94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)垂直燃焼試験に基づき、10秒接炎後、炎を放してから消炎までの燃焼時間を測定。消炎したら、再度10秒接炎し、炎を放してから消炎までの燃焼時間を測定。5本1組で評価(計10回燃焼時間を測定)。10回中の最大燃焼時間、10回の合計燃焼時間、及び燃焼時のドリップ有無を評価した。
分類される難燃性のクラスを以下に示す。その他詳細はUL94規格に準じる。
V-0:最大燃焼時間10秒以下、合計燃焼時間50秒以下、ドリップなし
V-1:最大燃焼時間30秒以下、合計燃焼時間250秒以下、ドリップなし
V-2:最大燃焼時間30秒以下、合計燃焼時間250秒以下、ドリップあり
燃焼:上記条件を満たさないもの
[実施例1〜17及び比較例1〜10]
各成分を表1及び表2に示す配合組成にて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数200rpmに設定した二軸押出機(ZSK−25 25mmφ、L/D=52、加熱部分の全長1300mm、WERNER&PFLEIDERE社製)にて溶融混練を行い、放熱材料ペレットを得た。
但し、比較例5はパラフィン系オイル(5)がブリードアウトし、予定した配合の組成物を得ることができず、また比較例7と比較例9は均一な組成物を得ることができなかった。
[実施例18〜19]
実施例18は、実施例6の配合組成で、カレンダー成形により、1mm厚の樹脂シートを得た。
実施例19は、実施例6の配合組成でTダイシート成形により、厚み1mmの放熱材料で成形した放熱シート試験片を得た。
上記成形品を、実施例2の1mm厚プレス成形シートと比較した評価結果を表3に示す。
[実施例20〜21]
実施例10の配合組成で、プレス成形により、実施例20は2mm厚の樹脂シートを、実施例21は5mm厚の樹脂シートを得た。上記成形品を、実施例9の1mm厚プレス成形シートと比較した評価結果を表4に示す。
本発明における放熱材料及び放熱材料で成形した放熱シートは、
コンピュータ類の放熱部品:パソコン、家庭用ゲーム機等、携帯電話等;
ディスプレイ電源ユニット等の放熱部品:家庭用テレビ、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等;
AV機器、OA機器等の放熱部品:DVDプレーヤー、DVDレコーダー、HDDレコーダー、家庭用テレビ、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等;
LEDバックライト光源の放熱部品:液晶TV等;
自動車電装部材の放熱部品:カーステレオ、カーナビゲーショシステム等;
その他の放熱部品:インバーター、照明、エアコン等;
などの高熱伝導性、絶縁性、柔軟性、靭性及び難燃性が必要とされる用途に好適に使用される。
Figure 2008163145
Figure 2008163145
Figure 2008163145
Figure 2008163145

Claims (17)

  1. 共役ジエンとビニル芳香族の共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体(1)および/または共役ジエンとビニル芳香族からなる共重合体に水素を添加してなり、かつ官能基を少なくとも1つ有する下記(a)〜(d)を満たす変性水添共重合体(2)、核部とこの核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛(3)、平均粒径が1μm以上100μm以下の黒鉛(4)、パラフィン系オイル(5)、および難燃剤(6)を含み、下記(A)〜(H)を満たすことを特徴とする放熱材料。
    (a)ビニル芳香族単位の含有量が50質量%を越え90質量%以下、
    (b)ビニル芳香族からなる重合体ブロックの量が40質量%以下、
    (c)重量平均分子量が5×10〜100×10
    (d)共役ジエンに基づく二重結合の水添添加率が10%以上。
    放熱材料100質量%に対して、
    (A)水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和[(1)+(2)+(5)]の配合割合が10質量%以上87質量%以下、
    (B)酸化亜鉛(3)と黒鉛(4)の和[(3)+(4)]の配合割合が10質量%以上87質量%以下、
    (C)難燃剤(6)の配合割合が3質量%以上30質量%以下、
    (D)黒鉛(4)の配合割合が3質量%以上20質量%以下。
    (E)水添共重合体(1)と変性水添共重合体(2)の和に対するパラフィン系オイル(5)の質量比率[(5)/{(1)+(2)}]が0を超えて2以下、
    (F)水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和に対する難燃剤(6)の質量比率[(6)/{(1)+(2)+(5)}]が0.2以上3以下、
    (G)酸化亜鉛(3)と黒鉛(4)の和[(3)+(4)]に対する酸化亜鉛(3)の質量比率[(3)/{(3)+(4)}]が0.5を超えて0.97以下、
    (H)体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1016Ω・cm未満。
  2. 共役ジエンとビニル芳香族の共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体(1)および/または共役ジエンとビニル芳香族からなる共重合体に水素を添加してなり、かつ官能基を少なくとも1つ有する下記(a)〜(d)を満たす変性水添共重合体(2)、核部とこの核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛(3)、平均粒径が1μm以上100μm以下の黒鉛(4)、パラフィン系オイル(5)、難燃剤(6)、および窒化ケイ素、窒化アルミニウム、および窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種類の充填剤(7)を含み、下記(A)〜(I)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の放熱材料。
    (a)ビニル芳香族単位の含有量が50質量%を越え90質量%以下、
    (b)ビニル芳香族からなる重合体ブロックの量が40質量%以下、
    (c)重量平均分子量が5×10〜100×10
    (d)共役ジエンに基づく二重結合の水添添加率が10%以上。
    放熱材料100質量%に対して、
    (A)水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和[(1)+(2)+(5)]の配合割合が10質量%以上87質量%以下、
    (B)酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および充填剤(7)の総和[(3)+(4)+(7)]の配合割合が10質量%以上87質量%以下、
    (C)難燃剤(6)の配合割合が3質量%以上30質量%以下
    (D)黒鉛(4)の配合割合が3質量%以上20質量%以下、
    (E)充填剤(7)の配合割合が0を超えて30質量%以下。
    (F)水添共重合体(1)と変性水添共重合体(2)の和に対するパラフィン系オイル(5)の質量比率[(5)/{(1)+(2)}]が0を超えて2以下、(G)水添共重合体(1)、変性水添共重合体(2)、およびパラフィン系オイル(5)の総和に対する難燃剤(6)の質量比率[(6)/{(1)+(2)+(5)}]が0.2以上3以下、
    (H)酸化亜鉛(3)、黒鉛(4)、および充填剤(7)の総和[(3)+(4)+(7)]に対する酸化亜鉛(3)の質量比率[(3)/{(3)+(4)+(7)}]が0.5を超えて0.97以下、
    (I)体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1016Ω・cm未満。
  3. 変性水添共重合体(2)が、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、及びアルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1または2に記載の放熱材料。
  4. 水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)中のビニル芳香族重合体ブロックの含有量が10質量%未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱材料。
  5. 水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)中のビニル芳香族重合体ブロックの含有量が10〜40質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱材料。
  6. 水添共重合体(1)および/または変性水添共重合体(2)が、下記一般式から選ばれる少なくとも一つの構造を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の放熱材料。
    (i)B
    (ii)B-A
    (iii)B-A-B
    (iv)(B-A)-Z
    (v)(B-A)-Z-A
    (ここで、Bは共役ジエンとビニル芳香族とのランダム共重合体ブロックであり、Aはビニル芳香族重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpはそれぞれ1以上の整数である。Zはカップリング剤残基を示す。)
  7. 変性水添共重合体(2)が、下記式(a)〜(n)から選ばれる官能基を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の放熱材料。
    Figure 2008163145
    (上式で、R1〜R4は、水素又は炭素数1〜24の炭化水素基、あるいは水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を有する炭素数1〜24の炭化水素基。R5は炭素数1〜48の炭化水素鎖、あるいは水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を有する炭素数1〜48の炭化水素鎖。なおR1〜R4の炭化水素基、及びR5の炭化水素鎖中には、水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基以外の結合様式で、酸素、窒素、シリコン等の元素が結合しても良い。R6は水素又は炭素数1〜8のアルキル基。)
  8. 変性水添共重合体(2)が、有機リチウム化合物を重合触媒として得た水添前共重合体のリビング末端に官能基を含有する変性剤を付加反応させ、得られた変性水添前共重合体に水素添加して得られることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の放熱材料。
  9. 黒鉛(4)が球状黒鉛であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の放熱材料。
  10. 難燃剤(6)が、リン系難燃剤を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の放熱材料。
  11. 前記リン系難燃剤が、ホスファゼンであることを特徴とする請求項10に記載の放熱材料。
  12. 難燃剤(6)が、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA(DBP−TBBA)を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の放熱材料。
  13. 難燃剤(6)が、硝酸化合物で表面された水酸化アルミニウムを含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の放熱材料。
  14. 酸化亜鉛(3)の配合割合が、放熱材料100質量%に対し、65質量%以上84質量%以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の放熱材料。
  15. 充填剤(7)を含み、酸化亜鉛(3)の配合割合が、放熱材料100質量%に対し、65質量%以上84質量%未満であることを特徴とする請求項2に記載の放熱材料。
  16. 厚みが30μm以上1mm以下の、請求項1〜15のいずれか1項に記載の放熱材料を成形した放熱シート。
  17. 厚みが1mmを超えて3cm以下の、請求項1〜15のいずれか1項に記載の放熱材料を成形した放熱シート。
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