JP2015006980A - 窒化ホウ素凝集粒子、凝集bn粒子含有樹脂組成物及び放熱シート - Google Patents

窒化ホウ素凝集粒子、凝集bn粒子含有樹脂組成物及び放熱シート Download PDF

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Abstract

【課題】パワー半導体デバイスの放熱シートの熱伝導性フィラーとして好適な、熱伝導の等方性、耐崩壊性、樹脂との混練性に優れた窒化ホウ素凝集粒子を提供する。【解決手段】窒化ホウ素凝集粒子であって、比表面積が10m2/g以上、全細孔容積が2.15cm3/g以下、且つ、該窒化ホウ素凝集粒子の表面が、平均粒子径0.05μm以上1μm以下の窒化ホウ素一次粒子から構成される、体積基準の最大粒子径で25μmより大きく200μm以下である窒化ホウ素凝集粒子。【選択図】図1

Description

本発明は、パワー半導体デバイス用の放熱シートに好適に用いられる窒化ホウ素凝集粒子と、該窒化ホウ素凝集粒子を含む凝集BN粒子含有樹脂組成物、並びにこれらの窒化ホウ素凝集粒子又は凝集BN粒子含有樹脂組成物を用いた放熱シートと、この放熱シートを含むパワーデバイス装置に関する。
近年、鉄道、自動車、一般家電などの様々な分野で使用されているパワー半導体デバイスは、更なる小型・低コスト・高効率化などのために、従来のSiパワー半導体からSiC、AlN、GaNなどを使用したパワー半導体へ移行しつつある。
パワー半導体デバイスは、一般的には、複数の半導体デバイスを共通のヒートシンク上に配してパッケージングしたパワー半導体モジュールとして利用される。
このようなパワー半導体デバイスの実用化に向けて、種々の課題が指摘されているが、その内の一つにデバイスから発する熱の放熱問題がある。この問題は、一般的に、高温で作動させることにより高出力・高密度化が可能なパワー半導体デバイスの信頼性に影響を与える。デバイスのスイッチングに伴う発熱などは、信頼性を低下させることが懸念されている。
近年、特に電気・電子分野では集積回路の高密度化に伴う発熱が大きな問題となっており、いかに熱を放熱するかが緊急の課題となっている。
この課題を解決する一つの手法として、パワー半導体デバイスを実装する放熱基板に、アルミナ基板や窒化アルミニウム基板などの熱伝導性の高いセラミック基板が使用されている。しかしながら、これらの基板は多層化が困難であり、加工性も悪く、コストも非常に高いという課題があった。一方、樹脂を利用した放熱シートは、加工性に優れ、積層も可能であるという特徴を有するものの、放熱性の指標である熱伝導率が非常に低いという課題がある。
そこで、組成物の樹脂成分を構成する熱硬化性樹脂として、高熱伝導性のエポキシ樹脂を使用したり、このような高熱伝導性樹脂と高熱伝導性無機フィラーとを複合化したりすることで、組成物を高熱伝導化することが行われている。例えば、特許文献1には、球状の窒化ホウ素凝集体をフィラーとして配合した組成物が記載されている。この組成物は、通常適当な有機溶媒に分散ないし溶解させて適度な粘度に調整された塗布液として銅基板に塗布される。
しかし、以下の通り、従来において、樹脂を用いた放熱シートでは、セラミックス基板に匹敵するような熱伝導性を有するものは未だに開発されていない。
従来の組成物において、フィラーとしては窒化ホウ素(BN)が用いられている。窒化ホウ素(BN)は、絶縁性のセラミックスであり、ダイヤモンド構造を持つc−BN、黒鉛構造をもつh−BN(六方晶窒化ホウ素)、乱層構造を持つα−BN、β−BNなど様々な結晶型が知られている。なかでも、黒鉛構造をもつh−BNは、黒鉛と同じ層状構造を有し、合成が比較的容易でかつ熱伝導性、固体潤滑性、化学的安定性、耐熱性に優れるという特徴を備えており、電気・電子材料分野で多く利用されている。
また、h−BNは、絶縁性であるにもかかわらず、高い熱伝導性を有するという特徴を活かして、このような放熱部材用熱伝導性フィラーとして注目を集めており、放熱性に優れた放熱シートを形成し得ると考えられる。前述の特許文献1以外にも、従来から窒化ホウ素粉体を用いる技術が知られており、そのような窒化ホウ素として、例えば、特定の粒径、粒度分布を有する窒化ホウ素粉体が知られている(例えば、特許文献3参照)。また、これとは別に表面積、粒度、タップ密度等の粒子特性の異なる二種の混合窒化ホウ素を用いる技術(例えば、特許文献4参照)が知られている。
また、h−BN粉体は、熱伝導性に優れた材料として知られており、粗六方晶窒化ホウ素粉体を水洗後、不活性ガス気流中で1500〜1800℃で加熱処理することで、高結晶性窒化ホウ素を作製する技術が知られている(例えば、特許文献5参照)。この技術では、窒化ホウ素の結晶子の100面の結晶子サイズ(La)を成長させている。また、特許文献6では、粗製六方晶窒化ホウ素粉末に、特定の処理を施すことで、粒子径が大きく、潤滑性に優れる六方晶窒化ホウ素粉末が得られることが記載されている。また、特許文献7には、同じく粗製六方晶窒化ホウ素粉末にランタンを主成分とする化合物を混合し、非酸化性ガス雰囲気下で特定の温度範囲で加熱処理することで、002面の結晶子サイズ(Lc)を成長させて得られる六方晶窒化ホウ素粉末が記載され、この六方晶窒化ホウ素粉末は、分散性に優れ、高結晶性を有することが記載されている。
また、六方晶窒化ホウ素に関しては、特許文献8に、粗製六方晶窒化ホウ素粉末を大気雰囲気中60℃以下で1週間以上養生させた後に特定の焼成を行うと粒径が大きくかつ高結晶性のものが得られる旨が記載されている。特許文献9には、粗製六方晶窒化ホウ素粉末について大気雰囲気中60℃以下で1週間以上養生させた後に、洗浄してから特定の焼成処理を行うことで、平均子粒径が10μm以上に成長した六方晶窒化ホウ素粉末が記載されている。
しかしながら、h−BNは、板状の粒子形状であり、その板面方向(C面方向あるいは(002)面方向)には高い熱伝導性を示すものの(通常、熱伝導率として250W/mK程度)、板厚方向(C軸方向)には低い熱伝導性(通常、熱伝導率として2〜3W/mK程度)しか示さないため、これを樹脂に配合して組成物の塗布液として基板表面に塗布して塗膜を形成し、これを加熱してBステージ化し、更に本硬化を行って放熱シートを製造すると、製造された放熱シートにおいて、板状のBN粒子が塗膜の膜面方向に配向することとなり、形成された放熱シートは、膜面方向には熱伝導率に優れるものの、厚み方向には低い熱伝導率しか示さないという課題があった。
従来、このようなBN粒子の熱伝導性の異方性を改良するために、樹脂に充填しても上記のような配向が少ない、鱗片状以外の形状を有するh−BN粉末が検討されてきた。このようなh−BN粉末としては、噴霧乾燥などにより造粒されたh−BN粒子、h−BNを焼結し焼結体を粉砕して製造されたh−BN粒子などがある(例えば、特許文献2及び10参照)。
一方、別の凝集粒子として、ホウ酸とメラミンの混合物から製造したh−BN粒子が配向せずに凝集した松ぼっくり状のBN粒子も提案されている(例えば、特許文献11参照)。
日本特表2008−510878号公報 日本特開2006−257392号公報 日本特開2008−189818号公報 日本特表2010−505729号公報 日本特開昭61−7260号公報 日本特開平9−263402号公報 日本特開平9−295801号公報 日本特開2010−37123号公報 日本特開2010−42963号公報 日本特表2008−510878号公報 日本特開平9−202663号公報
従来のh−BN造粒粒子は、高熱伝導性を達成するために構成するh−BN一次粒子の大きさが数ミクロン以上と大きく、また、ランダムに凝集しているため、造粒粒子としては熱伝導異方性が改善されているものの、造粒形状が壊れやすく、樹脂と混練すると崩壊してしまって、結局、成形体を作製した場合、h−BN粒子の低熱伝導面が厚み方向に配向してしまうという課題があった。また、従来技術に開示されているような球状凝集体では、凝集体を構成するh−BN一次粒子は数μm以上の大きな粒子を用いている。これは、原料となるh−BN粒子も結晶性の高いものを用いることで凝集体としての熱伝導性を確保するためであるが、このように高い結晶性のh−BN原料を用いた場合、h−BN一次粒子の大きさに制約を受けて、25μmより大きな凝集BN粒子を十分な粒子強度で作製することは困難であった。さらに、熱処理を施し、結晶化を促進したとしても、原料であるh−BN自体の結晶性が高いために、もはや更なる結晶成長は見込めず、結晶の成長方向の制御もできなかった。
特許文献11などで開示される松ぼっくり状の凝集構造は、結合剤を使用していない点で純度が高く、熱伝導異方性も小さいことが期待されるものの、構成するh−BN粒子の大きさは数μから数百μと大きく、樹脂と混練すると崩壊してしまって低熱伝導面が成形体の厚み方向に配向してしまうという課題があった。また、凝集粒子を構成するh−BN一次粒子の結晶成長方向を制御できないという課題が依然として残されていた。
一方、h−BNの焼結体を粉砕して製造された粉末は、h−BN焼結体の製造過程におけるホットプレスや予備成形時にh−BN一次粒子が配向し、一次粒子が配向した状態で集合した粒子の割合が多くなるため、多少の改善効果はあるものの、やはり、成形体の厚み方向にh−BNの低熱伝導面が配向してしまうという課題があった。
以上のことから、h−BNの凝集粉末では、凝集粉末を構成するh−BN一次粒子の結晶成長方向(BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向へ成長)と大きさを制御し、熱伝導率異方性および樹脂との混練による凝集構造の崩壊性を改良した窒化ホウ素粒子を得ることは、未だ達成されていなかった。
本発明は、特定の体積基準の最大粒子径を有し、表面に特定の平均粒子径の窒化ホウ素一次粒子を有する窒化ホウ素凝集粒子(以下、凝集BN粒子と記すことがある。)であって、熱伝導の等方性、耐崩壊性、樹脂との混練性に優れた凝集BN粒子を提供することを課題とする。また、この凝集BN粒子を用いて、シート化したときの厚み方向の熱伝導性にも優れ、パワー半導体デバイス用放熱シートを成形するための組成物として好適な凝集BN粒子含有樹脂組成物と、放熱シート及びパワーデバイス装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、パワー半導体デバイス用の放熱シート用組成物に用いるフィラーとしての窒化ホウ素として、特定の表面結晶形態と粒子径を有する凝集BN粒子を用いることにより、上記課題を解決することができることを見出した。
本発明の凝集BN粒子は、特定の比表面積、全細孔容積を有し、表面にごく小さなh−BN結晶の一次粒子が配置されているか、または放射状(h−BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向へ配置されていることをいう。)に配置されているものである。また、本発明の凝集BN粒子の大きさは、体積基準の最大粒子径が25μmより大きく200μm以下の範囲にある。
本発明者らは、組成物の高熱伝化のためのフィラーとしてこのような凝集BN粒子を用いると、粒子同士の表面でh−BN結晶の高熱伝導面(C面)がa軸を介して接触する頻度が増し、結果として形成される放熱シートの厚み方向の熱伝導性が大きく改善されることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 窒化ホウ素凝集粒子であって、比表面積が10m/g以上、全細孔容積が2.15cm/g以下、且つ、該窒化ホウ素凝集粒子の表面が、平均粒子径0.05μm以上1μm以下の窒化ホウ素一次粒子から構成される、体積基準の最大粒子径で25μmより大きく200μm以下である窒化ホウ素凝集粒子。
[2] 窒化ホウ素凝集粒子表面において、平均粒子径が1μm以下の窒化ホウ素一次粒子が放射状に配置されている窒化ホウ素凝集粒子であって、該窒化ホウ素凝集粒子が、体積基準の最大粒子径で25μmより大きく200μm以下である窒化ホウ素凝集粒子。
[3] 窒化ホウ素凝集粒子のバルク密度が0.3g/cm以上である[1]又は[2]に記載の窒化ホウ素凝集粒子。
[4] 原料として窒化ホウ素粉末を用いて製造された窒化ホウ素凝集粒子であって、かつ該窒化ホウ素粉末中の全酸素含有量が1質量%以上10質量%以下である[1]ないし[3]のいずれかに記載の窒化ホウ素凝集粒子。
[5] 樹脂(A)と、[1]ないし[4]のいずれかに記載の窒化ホウ素凝集粒子(B)を含む凝集BN粒子含有樹脂組成物。
[6] 樹脂(A)と窒化ホウ素凝集粒子(B)の含有割合が、樹脂(A)10〜50質量%、窒化ホウ素凝集粒子(B)90〜50質量%の範囲である[5]に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
[7] さらに、平板状窒化ホウ素、[1]ないし[4]のいずれかに記載の窒化ホウ素凝集粒子以外の凝集窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び酸化マグネシウムの中から選ばれる1種以上の無機フィラー(C)を含む[5]又は[6]に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
[8] 窒化ホウ素凝集粒子(B)と樹脂(A)と無機フィラー(C)の含有割合が、窒化ホウ素凝集粒子(B)/樹脂(A)/無機フィラー(C)=40〜90質量%/10〜40質量%/10〜50質量%の範囲である[7]に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
[9] 樹脂(A)が硬化性樹脂である[5]ないし[8]のいずれかに記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
[10] 前記硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、該エポキシ樹脂が、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格及びビフェニル骨格のうちの少なくとも1つ以上の骨格を有するフェノキシ樹脂である[9]に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
[11] [1]ないし[4]のいずれかに記載の窒化ホウ素凝集粒子を含む放熱シート。
[12] [5]ないし[10]のいずれかに記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物よりなる放熱シート。
[13] 硬化前シートを厚み方向に加圧して硬化させてなる硬化シートよりなる放熱シートであって、(硬化シート厚み)/(硬化前シート厚み)から計算される圧縮率(1−(硬化シート厚み)/(硬化前シート厚み))が0.2以上0.8以下であり、該硬化シートの厚み方向の熱伝導率が10W/mK以上50W/mK以下である放熱シート。
[14] [11]ないし[13]のいずれかに記載の放熱シートと銅箔とを積層一体化してなる銅張り合わせ放熱シート。
[15] [11]ないし[13]のいずれかに記載の放熱シート又は[14]に記載の銅張り合わせ放熱シートを含むパワーデバイス装置。
本発明の凝集BN粒子は、h−BNの結晶成長方向を制御して得られたものであり、表面に特定の粒子径のh−BN一次粒子の結晶が配置されているか、または放射状に配置されており、特定の粒子径範囲及び最大粒子径で等方的な熱伝導性を示す凝集BN粒子である。このような本発明の凝集BN粒子を樹脂と複合化してなる本発明の凝集BN粒子含有樹脂組成物によれば、厚み方向の熱伝導性も良好でパワー半導体デバイス用の放熱シートとして好適な放熱シートを形成することができる。また、本発明の凝集BN粒子は、樹脂との混練性にも優れ、粒子強度も強いために、このような凝集BN粒子を含む本発明の凝集BN粒子含有樹脂組成物を用いて形成された膜は、膜性状に優れた均質な膜となり、更に、この膜を特定の圧縮率で圧縮して作製された膜は粒子の崩壊がなく、高い熱伝導性を有する膜となる。
従って、この膜を用いて形成されたパワー半導体デバイスは、良好な放熱性能を有し、高品質で熱伝導性に優れた、信頼性の高いパワー半導体モジュールの形成を実現することができる。
(a)図は、製造例1における加熱処理前のBN造粒粒子のSEM写真であり、(b)図は同加熱処理後の凝集BN粒子のSEM写真である。
以下、本発明を詳しく説明するが、本発明は以下の説明に限定して解釈されるものではなく、その要旨の範囲内で任意に実施することが可能である。
〔凝集BN粒子〕
本発明の窒化ホウ素凝集粒子(凝集BN粒子)は、以下の(1)及び/又は(2)を満たすことが特徴である。下記(1),(2)における窒化ホウ素一次粒子については、[凝集BN粒子の製造方法]の項で説明する。
(1) 比表面積が10m/g以上、全細孔容積が2.15cm/g以下、且つ、該窒化ホウ素凝集粒子の表面が、平均粒子径0.05μm以上1μm以下の窒化ホウ素一次粒子から構成される、体積基準の最大粒子径で25μmより大きく200μm以下の凝集BN粒子。
(2) 凝集BN粒子表面において、平均粒子径が1μm以下の窒化ホウ素一次粒子が放射状に配置されている窒化ホウ素凝集粒子であって、該窒化ホウ素凝集粒子が、体積基準の最大粒子径で25μmより大きく200μm以下である凝集BN粒子。
[凝集BN粒子の物性等]
本発明の凝集BN粒子における代表的な物性を以下に示す。
<体積基準の最大粒子径Dmax、平均粒子径D50
0 本発明の凝集BN粒子は、体積基準の最大粒子径Dmax(本明細書では、単に「最大粒子径」と記載する場合がある。)が、25μmより大きく200μm以下であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下で、好ましくは30μm以上、より好ましくは35μm以上、更に好ましくは40μm以上である。
特に凝集BN粒子の最大粒子径が、上記上限以下であることにより、後述の本発明の組成物の凝集BN粒子(B)(以下、単に「フィラー(B)」と記載する場合がある。)として用いた場合、樹脂とフィラー界面が減少する結果、熱抵抗が小さくなり、高熱伝導化を達成できるとともに、表面荒れなどのない良質な膜を形成できる。最大粒子径が上記下限より小さい凝集BN粒子では、パワー半導体デバイスに求められる熱伝導性フィラーとしての熱伝導性向上効果が小さくなる。高熱伝導性のフィラーを用いた場合、複合材料として熱伝導性を発現するためには、熱伝導性フィラーと樹脂の界面密着性、複合材料と基材の密着性などが重要であり、これらの界面が最も熱伝導性減衰の要因となると考えられている。特に、パワー半導体デバイス用の放熱シートとしては、200μm〜300μm厚みの放熱シートが適用されるケースが多いが、シートの厚みに対して上述の界面の影響が顕著になるのは放熱シート厚みに対する熱伝導性フィラーの大きさが1/10以下の場合であると考えられる。したがって、熱伝導性の観点からはフィラー(B)の体積基準の最大粒子径は上記下限より大きいことが好ましい。フィラー(B)の体積基準の最大粒子径が200μmを超えると、硬化した後の放熱シートの表面にフィラー(B)が突出して、放熱シートの表面形状が悪化し、銅基板との張り合わせシートを作製する際の密着性が低下し、耐電圧特性が低下する傾向となる。一方で、フィラー(B)の最大粒子径が小さ過ぎると、熱伝導性に及ぼす上述の界面の影響が顕著になる以外に、フィラー粒子が小さいことにより必要となる熱伝導パス数が増加して、放熱シートの厚み方向に一方の面から他方の面まで繋がる確率が小さくなり、後述の熱伝導性の高い樹脂(A)と組み合わせても、放熱シートの厚み方向の熱伝導率向上効果が不十分となったり、樹脂(A)とフィラー(B)の界面面積が大きくなり、耐電圧特性が低下する傾向がある。
一般的には、パワー半導体デバイス用放熱シートは、更なる高速化・高容量化などの性能向上のために、200℃〜300℃の高温で使用されることが想定されているが、この200℃以上の高温下での使用でも周辺部材の寿命を延ばし、高熱伝導性および耐電圧特性などの信頼性を確保するためには、配合されるフィラーの最大粒子径は、放熱シートの厚み(後述の如く、好ましくは150〜250μmである。)に対して通常1/10以上、好ましくは1/5以上、より好ましくは1/4以上であり、通常1/2以下、好ましくは1/3以下とすることが好ましい。
また、本発明の凝集BN粒子の体積基準の平均粒子径D50(以下、単に「平均粒径」と記載する場合がある。)については特に制限はないが、上記体積基準の最大粒子径の値と同様な理由から、通常1μm以上150μm以下、好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、また、通常100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは60μm以下であることが好ましい。フィラー(B)となる凝集BN粒子の体積基準の平均粒子径D50を、上記範囲とすることにより、厚み方向に十分な熱伝導率を有し、耐電圧特性も良好な放熱シートを得ることができる。
本発明の凝集BN粒子の最大粒子径及び平均粒子径は、例えば、これを適当な溶剤に分散させ、具体的には、分散安定剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する純水媒体中に凝集BN粒子を分散させた試料に対して、堀場製作所社製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920にて粒度分布を測定し、得られた粒度分布から凝集BN粒子の最大粒子径及び平均子粒径を求めることができる。
組成物中の凝集BN粒子の平均粒子径及び最大粒子径についても同様に、これを適当な溶剤に分散させ、上記と同様の装置で測定することが可能である。
凝集BN粒子の体積基準の最大粒子径Dmax及び平均粒子径D50は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
<全細孔容積、比表面積>
本発明の凝集BN粒子において、全細孔容積は放熱シート用の組成物のフィラーとしての用途において重要な因子の一つである。
凝集BN粒子の全細孔容積は、2.15cm/g以下である。全細孔容積が小さいものは、凝集BN粒子内が密になっているために、熱伝導を阻害する境界面を少なくすることが可能となり、より熱伝導性の高い凝集BN粒子となる。凝集BN粒子の全細孔容積が2.15cm/gよりも大きいと、組成物中のフィラー(B)として用いた場合に、細孔に樹脂が取り込まれ、見かけの粘度が上昇して、組成物の成形加工或いは塗布液の塗工が困難となる。
凝集BN粒子の全細孔容積の下限値は特に制限はないが、通常0.1cm/gである。本発明の全細孔容積は、好ましくは0.3cm/g以上2.00cm/g以下、より好ましくは0.5cm/g以上1.95cm/g以下である。
また、本発明の凝集BN粒子の比表面積は10m/g以上であるが、好ましくは10m/g以上50m/g以下、より好ましくは10m/g以上40m/g以下である。
なお、凝集BN粉末の全細孔容積は、水銀圧入法で測定することができ、比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)で測定することができる。
凝集BN粉末の全細孔容積及び比表面積は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
<バルク密度>
凝集BN粒子をフィラーとして用いる場合には、樹脂の取り込みを最小限とするために凝集BN粒子のバルク密度は大きい方が良く、通常0.3g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.35g/cm以上、更に好ましくは0.4g/cm以上である。
凝集BN粒子のバルク密度が0.3g/cm未満の場合、見かけの体積が大きくなり、組成物中の樹脂(A)に対して、添加する凝集BN粒子の体積が多くなるとともに、樹脂の取り込みが大きくなり、また、凝集BN粒子の取り扱い性が著しく悪化する傾向がある。凝集BN粒子のバルク密度の上限については特に制限はないが、通常0.95g/cm以下、好ましくは0.9g/cm以下、より好ましくは0.85g/cm以下である。凝集BN粒子のバルク密度が大きすぎると組成物中で凝集BNの分散に偏りが出来てしまい、沈降しやすくなる傾向がある。
なお、凝集BN粒子のバルク密度は、粉体のバルク密度を測定する通常の装置や方法を用いて求めることができ、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
[凝集BN粒子の製造方法]
本発明の凝集BN粒子を製造する方法としては、制限はないが、特に、原料となる窒化ホウ素(以下、これを粉砕したものとともに原料BN粉末と記することがある。)を粉砕工程で粉砕した後、造粒工程で凝集させることにより造粒し、更に加熱処理する加熱工程を経ることが好ましい。より具体的には、原料BN粉末を一旦媒体中に分散させて原料BN粉末のスラリー(以下、「BNスラリー」と記することがある。)とした後、粉砕処理を施し、その後得られたスラリーを用いて球形の粒子に造粒し、造粒した凝集BN造粒粒子の結晶化を行うために加熱処理を施すことが好ましい。
<原料BN粉末>
本発明の凝集BN粒子を製造する場合には、以下に説明する窒化ホウ素の粒子を原料として用いることが可能である。ただし、本発明の凝集BN粒子の原料としては特に限定されず、後述の原料BN粒子を用いることが可能である。
より具体的には、本発明の凝集BN粒子を製造する際の原料となる窒化ホウ素(原料BN粉末)としては、市販のh−BN、市販のαおよびβ−BN、ホウ素化合物とアンモニアの還元窒化法により作製されたBN、ホウ素化合物とメラミンなどの含窒素化合物から合成されたBN、ホウ水素ナトリウムと塩化アンモニウムから作製されるBNなど何れも制限なく使用できるが、特にh−BNが好ましく用いられる。
h−BN結晶成長の観点からは、原料となるh−BN等の原料BN粉末中に酸素がある程度存在することが好ましく、原料BN粉末中の全酸素含有量は1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、原料BN粉末中の全酸素含有量はより好ましくは3質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上9質量%以下である。
全酸素含有量が上記範囲内である原料BN粉末は、一次粒子径が小さく、結晶が未発達のものが多いため、加熱処理により結晶が成長し易い。本発明では造粒により原料BN粉末が凝集したBN造粒粒子を加熱処理することでBN結晶を成長させることが好ましいが、上記全酸素含有量の範囲の原料BN粉末を用いることで、BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向へ成長させる、すなわちBN一次粒子を得られる凝集BN粒子表面において放射状に配置することができる。
しかして、BN一次粒子を凝集BN粒子表面において放射状に配置した凝集BN粒子を組成物の熱伝導性フィラー(B)として用いて放熱シートを形成した場合、放熱シート中でh−BNの高熱伝導面(C面)がa軸を介して接触することによる熱伝導パスが形成されやすくなるために、放熱シートの厚み方向においても高い熱伝導性を得ることが可能となる。
原料BN粉末の全酸素含有量が上記下限未満の場合、原料BN自体の純度、結晶性が良いために、C面の結晶成長が十分になされず、凝集BN粒子表面において、BN一次粒子を放射状に配置することができず、逆に上記上限を超えると、加熱処理後も酸素含有量が高い状態となって、本発明の凝集BN粒子含有樹脂組成物のフィラー(B)として用いた際に高熱伝導化が図れなくなるため好ましくない。
原料BN粉末の全酸素含有量を上記範囲に調整する方法としては、BN合成時の合成温度を1800℃以下の低温で行う方法などが挙げられる。
また、全酸素含有量が上記好適範囲の原料BN粉末としては市販品を用いることもできる。
なお、本発明に用いる原料BN粉末の酸素含有量は、不活性ガス融解−赤外線吸収法によりHORIBA製酸素・窒素分析計を用いて測定することができる。
また、原料BN粉末の他の物性としては、例えば、原料BN粉末の全細孔容積は通常1.0cm/g以下であるが、好ましくは0.3cm/g以上1.0cm/g以下、より好ましくは0.5cm/g以上1.0cm/g以下である。
また、原料BN粉末の比表面積は通常20m/g以上であるが、好ましくは20m/g以上500m/g以下、より好ましくは50m/g以上200m/g以下である。
全細孔容積が1.0cm/g以下であることにより、原料BN粉末が密になっているために凝集BN粒子を構成する一次粒子として用いた場合に、球形度の高い造粒が可能となる。また、比表面積が20m/g以上であることにより、造粒による球形化の際に用いるBNスラリー中の分散粒子径を小さくすることができるため好ましい。
なお、原料BN粉末の全細孔容積は、水銀圧入法で測定することができ、比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)で測定することができる。
原料BN粉末の全細孔容積及び比表面積は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
<BNスラリーの調製>
BNスラリーの調製に用いる媒体としては特に制限はなく、水及び/又は各種の有機溶媒を用いることができるが、噴霧乾燥の容易さ、装置の簡素化などの観点から、水(純水)を用いることが好ましい。
水の使用量は、多過ぎると噴霧乾燥時の負荷が増大し、少な過ぎると均一分散が困難であることから、原料BN粉末に対して通常0.5〜20質量倍、特に0.5〜10質量倍とすることが好ましい。
<界面活性剤>
BNスラリーには、後述の粉砕処理時のスラリーの粘度上昇を抑制すると共に、BN粒子の分散安定性(凝集抑制)の観点から、種々の界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができ、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
BNスラリーに界面活性剤を添加して用いる場合、BNスラリーの界面活性剤濃度は通常0.1質量%以上10質量%以下、特に0.5質量%以上5質量%以下の割合となるように用いることが好ましい。BNスラリーの濃度が上記下限以上であることにより、界面活性剤を添加したことによる上記効果を十分に得ることができ、また、上記上限以下であることにより、原料BN粉末の含有量の高いBNスラリーを調製した後、造粒し、さらに加熱処理を施した際の残存炭素の影響を小さくすることができる。
なお、界面活性剤は、以下の粉砕処理の前に添加してもよく、粉砕処理後に添加してもよい。
<バインダー>
BNスラリーは、原料BN粉末を効果的に凝集粒子に造粒するために、バインダーを含むことが好ましい。バインダーは、元来、粒子同士が接着性のない原料BN粉末を強固に結びつけ、造粒粒子の形状を安定化するために作用する。
BNスラリーに用いるバインダーとしては、BN粒子同士の接着性を高めることができるものであればよいが、本発明においては、造粒粒子は凝集化後に加熱処理されるため、この加熱処理工程における高温条件に対する耐熱性を有するものが好ましい。
このようなバインダーとしては金属酸化物が好ましく、具体的には酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどが好ましく用いられる。これらの中でも、酸化物としての熱伝導性と耐熱性、BN粒子同士を結合する結合力などの観点から、酸化アルミニウム、酸化イットリウムが好適である。なお、バインダーはアルミナゾルのような液状バインダーであってもよく、有機金属化合物のように焼成により金属酸化物に変換されるものを用いてもよい。
これらのバインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
バインダーの使用量(液状バインダーの場合は、固形分としての使用量)は、BNスラリー中の原料BN粉末に対して、通常1質量%以上30質量%以下であり、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。バインダーの使用量が上記下限未満の場合、BN同士を結着させる効果が小さくなるため造粒粒子が造粒後の形状を保てなくなるおそれがあり、上記上限を超えると造粒粒子中のBNの含有量が少なくなり、結晶成長に影響するばかりか熱伝導性のフィラーとして用いた場合に熱伝導率改善効果が小さくなるおそれがある。
<粉砕処理>
BNスラリーは、そのまま噴霧乾燥による造粒工程に供してもよいが、造粒に先立ち、スラリー中の原料BN粉末のBN粒子を粉砕処理して微細化することが好ましく、BN粒子を粉砕して微細化することにより、凝集化を円滑に行うことができるようになる。
即ち、原料BN粉末の粒子径にもよるが、原料BN粉末をそのまま媒体中に分散させた場合、BN粒子は平板状であるために、凝集化の工程で造粒されない粒子が多くなる傾向にあるが、BN粒子の微細化で、効率的な凝集化を行える。
粉砕には、ビーズミル、ボールミル、ピンミルなど通常の粉砕方法を用いることができるが、スラリーとして大量に循環粉砕可能で粉砕粒子径を制御しやすいという観点からビーズミルが好適である。また、粉砕によりBN粒子が微粒子化することで、BNスラリーの粘度が上昇するため、より高濃度、高粘度でも粉砕が可能なものがよく、加えて、粉砕が進むにつれてBNスラリーの温度上昇も生じるため、冷却システムが備えられているものが好ましい。このような装置としては、例えばフロイントターボ社製「OBミル」、アシザワ・ファインテック社製「スターミルLMZシリーズ」などが挙げられる。
<造粒(凝集化)>
BNスラリーから凝集BN粒子である造粒粒子を得るには、特に制限はないがスプレードライ法が好適に用いられる。スプレードライ法では、原料となるスラリーの濃度、装置に導入する単位時間当たりの送液量と送液したスラリーを噴霧する際の圧空圧力及び圧空量により、所望の大きさの造粒粒子を製造することが可能であって、球状の造粒粒子を得ることも可能である。球状化に際して使用するスプレードライ装置に制限はない。
造粒により得られた造粒粒子の最大粒子径は、加熱処理後に本発明の凝集BN粒子として体積基準の最大粒子径の範囲を25μmより大きく200μm以下とするために、体積基準の平均粒子径D50で通常1μm以上、特に10μm以上150μm以下、とりわけ10μm以上100μm以下であることが好ましい。ここで、造粒粒子の体積基準の平均粒子径D50は、例えば、日機装社製「マイクロトラックHRA」で測定することができる。
<加熱処理>
上記の造粒により得られた窒化ホウ素の造粒粒子は、更に非酸化性ガス雰囲気下に加熱処理されるのが好ましい。
ここで、非酸化性ガス雰囲気とは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、アンモニアガス、水素ガス、メタンガス、プロパンガス、一酸化炭素ガスなどの雰囲気のことである。ここで用いる雰囲気ガスの種類により凝集BN粒子の結晶化速度が異なるものとなり、例えばアルゴンガスでは、結晶化の速度が遅くなり、加熱処理時間が長時間に及ぶ。結晶化を短時間で行うためには特に窒素ガス、もしくは窒素ガスと他のガスを併用した混合ガスが好適に用いられる。この加熱処理の条件を適切に選択することも、本発明の凝集BN粒子の比表面積や全細孔容積を特定の範囲としながら、表面に平均粒子径1μm以下の窒化ホウ素一次粒子を配置し、しかも放射状に配置させる上で、重要である。
加熱処理温度は通常1300℃〜2100℃であるが、好ましくは1300℃〜2000℃、更に好ましくは1400℃〜2000℃である。加熱処理温度が下記下限未満では、h−BNの結晶化が不十分となり、結晶化が未発達のアモルファス部分が残るとともに窒化ホウ素凝集粒子(凝集BN)表面において、平均粒子径が1μm以下の窒化ホウ素一次粒子が放射状に配置、成長されていない粒子の割合が多くなり、熱伝導性フィラーとした場合の熱伝導率改善効果が小さくなる。加熱処理温度が、上記上限を超えると、添加したバインダー成分が溶融・分解して凝集BN粒子同士が凝集し、本来の形状を保てなくなったり、BNの分解などが生じてしまうおそれがある。
加熱処理時間は、通常1時間以上50時間以下であり、より好ましくは3〜40時間、特に好ましくは5〜30時間である。更に、上記加熱処理時間内に、特に1300℃〜1500℃で3時間以上の保持工程を導入することが好ましい。前記温度範囲で保持工程を導入することにより、より効率的にh−BNの結晶化が行われるため、上限の加熱処理温度を低下できる傾向にある。加熱処理時間が上記下限未満の場合、結晶化が不十分となり、上記上限を超えるとh−BNが一部分解するおそれがある。
加熱処理は、非酸化性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、このためには、通常、炉内を真空ポンプで引きながら加熱し、加熱に伴う分解ガスなどが少なくなるまで排気を行った後、非酸化性ガスを導入しながら、続けて所望の温度まで加熱して昇温することが好ましい。真空ポンプで排気を行う温度の目安としては、200〜500℃、例えば、400℃付近まで30〜60分程度で加熱昇温した後、その温度を保持しながら30〜60分程度排気を続け、真空度が10Pa以下となるまで真空引きを行い、その後、非酸化性ガスを導入することが好ましい。非酸化性ガスの流量は、炉の大きさにもよるが、通常2L(リットル)/分以上であれば問題ない。その後、非酸化性ガスを導入しながら1500℃程度まで50〜100℃/時で昇温し、その後1500℃から所定の加熱処理温度まで30〜50℃/時で昇温する。この温度で上記加熱処理時間中、加熱した後、5〜50℃/分程度で室温まで降温することが好ましい。
例えば、窒素ガス雰囲気下で加熱処理を行う場合は、2000℃前後で5時間程度、アルゴンガス雰囲気の場合は、2000℃前後で5〜15時間程度の条件とすることで、BN結晶の一次粒子の平均粒子径を1μm以下とし、放射状に成長させることができる。
加熱処理を施す焼成炉は、マッフル炉、管状炉、雰囲気炉などのバッチ式炉やロータリーキルン、スクリューコンベヤ炉、トンネル炉、ベルト炉、プッシャー炉、竪型連続炉などの連続炉が挙げられ、目的に応じて使い分けられる。
なお、凝集BN粒子は、製造直後では、得られた粒子が更に凝集して、本発明に好適な粒子径の範囲を満たさない場合がある。そのため、凝集BN粒子は、必要に応じて、本発明に好適な粒子径の範囲を満たすように粉砕してもよい。
凝集BN粒子の粉砕の方法は特に限定されず、ジルコニアビーズ等の粉砕用メディアと共に攪拌混合する方法や、ジェット噴射等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
<分級>
上記加熱処理後の凝集BN粒子は、平均粒子径を大きくし、しかも組成物に配合したときの粘度上昇を抑制するために、好ましくは分級処理する。この分級は、通常、造粒粒子の加熱処理後に行われるが、加熱処理前の造粒粒子について行い、その後加熱処理に供してもよい。
分級は湿式、乾式のいずれでも良いが、h−BNの分解を抑制するという観点からは、乾式の分級が好ましい。特に、バインダーが水溶性を有する場合には、特に乾式分級が好ましく用いられる。
乾式の分級には、篩による分級のほか、遠心力と流体抗力の差によって分級する風力分級などがあるが、分級精度の観点からは、風力分級が好ましく、旋回気流式分級機、強制渦遠心式分級機、半自由渦遠心式分級機などの分級機を用いて行うことができる。これらの中で、サブミクロンからシングルミクロン領域の小さな微粒子を分級するには旋回気流式分級機を、それ以上の比較的大きな粒子を分級するには半自由渦遠心式分級機など、分級する粒子の粒子径に応じて適宜使い分ければよい。
本発明では、体積基準の最大粒子径が25μmより大きく200μm以下の凝集BN粒子を得るために、旋回気流式分級機を用いて微粒子の除去のための分級操作および/又は半自由渦遠心式分級を行うことが好ましい。
<凝集BN粒子の形状>
上述のようにして、原料BN粉末を造粒し、加熱処理をすることによって、その形状を保持したままh−BNの結晶を成長させることで、上述した物性の別の態様として、表面に平均粒子径1μm以下、好ましくは0.05μm以上1μm以下の窒化ホウ素一次粒子(以下、「BN一次粒子」と記載する場合がある。)を配置することが可能となり、しかも凝集粒子表面に平均粒子径1μm以下のBN一次粒子が、凝集粒子の中心側から表面側へ向けて放射状、即ち、BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向に配置されている凝集BN粒子と表現することができる(図1(b)参照)。更に好ましくは、凝集BN粒子が球状であるという上記物性の別の形態として表すことができる。尚、本発明において「球状」とは、アスペクト比(長径と短径の比)が1以上2以下、好ましくは1以上1.5以下であることをさす。本発明の凝集BN粒子は、後述の原料BN粉末を凝集させて造粒された粒子であり、この造粒粒子が「球状」であることが好ましく、「球状であることが好ましい」とは、一次粒子の形状が球状であることが好ましいというものではない。本発明の凝集BN粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された画像から200個以上の粒子を任意に選択し、それぞれの長径と短径の比を求めて平均値を算出することにより決定する。
なお、本発明の凝集BN粒子の表面には、平均粒子径1μm以下のBN一次粒子が存在するが、「平均粒子径1μm以下のBN一次粒子」の「1μm以下」とは、当該BN一次粒子の粒子径に相当する長さを指す。このBN一次粒子の結晶の大きさは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、2万倍程度の倍率で観察して、表面に観察される任意の100個の粒子の最大粒子サイズを計測して、平均値を求めることで測定することができる。
凝集BN粒子において、結晶がどのように成長しているかは、高熱伝導性フィラーとしての用途において重要な要件の一つである。
本発明の凝集BN粒子では、このような特異的な結晶成長により、熱伝導性の等方性、樹脂との混練性、耐崩壊性に優れるという効果を奏する。
本発明の凝集BN粒子は、表面が平均粒子径0.05μm以上1μm以下の微細なBN一次結晶(すなわち、BN一次粒子)で覆われていることが特徴の一つであって、更に比表面積および全細孔容積が特定の範囲であることが好ましい。また、本発明の凝集BN粒子は、平均粒子径1μm以下の微細なBN一次結晶が、放射状、即ち、BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向に配置されている。
このような本発明の凝集BN粒子の調製方法の一手段として、全酸素含有量が通常1質量%以上10質量%以下のh−BN粉末を原料に用い、更に、加熱処理の条件を前述のように制御することで製造が可能になる。すなわち、全酸素含有量が1質量%未満のh−BN粉末を原料として作製された凝集BN粒子と本発明の凝集BN粒子では、凝集BN表面の結晶形態が全く異なり、h−BNの結晶成長方向が全く異なるものとなる。
具体的には、本発明の凝集BN粒子では、h−BNの結晶成長方向は球に対して中心から放射状、即ち、BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向へ成長しているのに対して、全酸素含有量が1質量%未満の原料h−BNを用いた場合は、円周方向に結晶成長(h−BNのC面を外に向けるように成長)しており、この結果、比表面積が小さく、全細孔容積も大きいものとなると考えられる。
さらに、本発明の凝集BN粒子をフィラーとして組成物に配合した場合、同一の充填量で比較すると、形成される放熱シートの厚み方向の熱伝導率が劇的に改善できる。これは、本発明の凝集BN粒子では、球表面の微細なh−BN一次粒子の高熱伝導面(C面または002面)がa軸同士での接触を介して、放熱シート中で有効な熱伝導パスを形成しやすいことによると推察している。このような結晶成長は、原料h−BN粉末自体の全酸素含有量が比較的高く、結晶性の低い状態から再結晶化させることによって得られたものであり、全酸素含有量が低く、結晶性の良いh−BN原料を用いた場合には、放射状のh−BN結晶成長はほとんど起こらない。
また、全酸素含有量が高く、結晶性の低い原料を用いることで、粉砕時の微粒子化をスムーズに行うとともに、造粒による球形度の向上が達成され、熱処理後の分級工程において、効率良く体積基準の最大粒子径を25μmより大きく200μm以下の範囲に分級することも容易となる。
また、本発明の凝集BN粒子は、金属酸化物をバインダーとして用い、造粒物としては比較的小さな細孔容量と比較的高いバルク密度を有するものとすることができるため、樹脂との混練性に優れ、高充填が可能で、更には、樹脂との混練時の崩壊も防止される。
上述のように、凝集BN粒子中のBN結晶を球状粒子の中心側から放射状に成長させた、本発明の凝集BN粒子は、後述の本発明の組成物又は本発明の放熱シートに用いた場合、BN結晶の成長方向に由来する熱伝導パスの形成により、著しく高い熱伝導性の改善効果を得ることができる。
さらに、本発明の凝集BN粒子を用いて形成された放熱シートでは、従来から課題となっていた熱伝導性の異方性も大幅に改善される。
なお、本発明の凝集BN粒子の結晶構造は、粉末X線回折測定により確認することができ、凝集BN粒子の表面のBN一次粒子の結晶の成長方向は、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
〔凝集BN粒子含有樹脂組成物〕
本発明の凝集BN粒子含有樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」と記載する場合がある。)は、特定の樹脂(A)と、本発明の凝集BN粒子とを含有してなるものである。
以下、各成分について説明する。
[樹脂(A)]
本発明の組成物を好適に適用することのできる複数のパワー半導体デバイスが集積されたパワー半導体モジュールは、放熱性能を高めるために後述の本発明の放熱シートを有する。通常、熱伝導性の担い手は、フィラー(B)である本発明の凝集BN粒子であるが、パワー半導体デバイス用の放熱シートは、10W/mK以上の高い熱伝導性を必要とされるため、樹脂(A)の熱伝導性も高いことが望ましい。
フィラー(B)との複合化で高い熱伝導性を得るために、本発明の組成物中の樹脂(A)の熱伝導率は0.2W/mK以上であることが好ましく、特に0.22W/mK以上であることが好ましい。
なお、本発明において、樹脂(A)の熱伝導率は、本発明の組成物を構成する成分のうち、樹脂(A)と有機溶媒と、更に塗布液中に硬化剤(D)を含む場合には硬化剤(D)のみを用いて、通常の硬化方法に従って硬化膜を形成し、この硬化膜について、以下の方法で求めた値である。
<樹脂の熱伝導率の測定方法>
樹脂の硬化膜について、以下の装置を用いて、熱拡散率、比重、及び比熱を測定し、この3つの測定値を乗じることで熱伝導率を求める。
(1)熱拡散率:アイフェイズ社製 「アイフェイズ・モバイル 1u」
(2)比重:メトラー・トレド社製 「天秤 XS−204」
(固体比重測定キット使用)
(3)比熱:セイコーインスツル社製 「DSC320/6200」
本発明において、組成物のマトリックスとなる樹脂(A)としては、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも制限なく用いることが出来る。硬化性樹脂としては、熱硬化性、光硬化性、電子線硬化性などの架橋可能なものであればよいが、耐熱性、吸水性、寸法安定性などの点で、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミノビスマレイミド(ポリビスマレイミド)樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等のポリイミド系樹脂;ポリベンゾオキサゾール系樹脂;ポリエーテル樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;シリコーン系樹脂;フェノール系エポキシ樹脂、アルコール系エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の原料となる対応するモノマー、ダイマー、オリゴマー等の前駆体でもよい。
中でも、高熱伝導性で、有機溶媒への溶解性も良好であることから、エポキシ樹脂やポリエーテル樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シリコーン樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。
これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
また、本発明の組成物に用いる樹脂(A)は、熱可塑性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルアミドイミド樹脂、ポリエーテルアミド樹脂及びポリエーテルイミド樹脂などが挙げられる。また、それらのブロック共重合体、グラフト共重合体等の共重合体も含まれる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、樹脂(A)は、ゴム成分であってもよく、ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、フッソゴム、クロロ・スルホン化ポリエチレン、ポリウレタンゴムなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<エポキシ樹脂>
以下、樹脂(A)として好適なエポキシ樹脂(以下、「エポキシ樹脂(A)」と称す場合がある。)について説明する。
エポキシ樹脂(A)は1種類の構造単位を有するエポキシ樹脂のみであってもよいが、上記の熱伝導率を満たすならば、構造単位の異なる複数のエポキシ樹脂を組み合わせてもよい。
塗膜性ないしは成膜性や接着性と併せて、シート化時のボイドを低減して高熱伝導性の硬化膜を得るとともに、シート化時に膜の流動性を得るために、エポキシ樹脂(A)として少なくとも後述するフェノキシ樹脂を含むことが好ましい。フェノキシ樹脂とは、通常エピハロヒドリンと2価フェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂を指す。
エポキシ樹脂(A)は、これらのうち、分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましく、溶融粘度制御の観点から、そのエポキシ当量が通常100g/当量以上650g/当量未満であり、好ましくは125g/当量以上600g/当量以下である。エポキシ当量が100g/当量より小さいものでは、耐熱性が劣る傾向にあり、650g/当量より大きいと、エポキシ樹脂の融点が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
エポキシ樹脂は、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂は、溶融粘度制御の観点から、その重量平均分子量が、通常100〜5000であり、好ましくは200〜2000である。重量平均分子量が100より低いものでは、耐熱性が劣る傾向にあり、5000より高いと、エポキシ樹脂の融点が高くなり、作業性が低下する傾向がある。しかしながら、塗布膜の性状を改善するため、高分子量のエポキシ樹脂を作業性が低下しない範囲において添加することに制限はない。
上述のようにエポキシ樹脂は、構造単位の異なる複数のエポキシ樹脂を含むものであってもよい。上記エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂としては、特にエポキシ当量が650g/当量以上30000g/当量以下であるエポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂であることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましい。中でも、耐熱性がより一層高められることから、フルオレン骨格及び/又はビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂が特に好ましく、とりわけビルフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格及びビフェニル骨格のうちの少なくとも1つ以上の骨格を有するフェノキシ樹脂であることが好ましい。
本発明においては、これらのうち、特に重量平均分子量10000以上の高分子量エポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂が好ましい。ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)で測定したポリスチレン換算の値である。
エポキシ樹脂は、前述のエポキシ樹脂の1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
また、エポキシ樹脂(A)は、その目的を損なわない範囲において、前述のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(以下、「他のエポキシ樹脂」)を含んでいてもよい。他のエポキシ樹脂の含有量は、前述のエポキシ樹脂の合計に対して、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
本発明において、エポキシ樹脂(A)中の、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂等の割合は、組成物として使用するエポキシ樹脂(A)の合計を100質量%として、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは20〜30質量%である。
エポキシ樹脂(A)中の例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂等の割合が上記下限以上であることにより、エポキシ樹脂(A)の流動性の向上効果を十分に得ることができ、所望の流動性及び高熱伝導性を得ることができる。
また、本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、エポキシ当量が100g/当量以上650g/当量未満であるエポキシ樹脂を含むことが好ましく、更にエポキシ当量が650g/当量以上30000g/当量以下であるエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
このような特定のエポキシ当量のエポキシ樹脂は、本発明の組成物に流動性を付与するために有効で、また多官能フェノール型エポキシ樹脂は硬化性や架橋性を持たすために好ましい成分であり、エポキシ当量の大きいエポキシ樹脂は、膜物性の改善のために好ましい。
また、本発明の組成物を低粘度化して、本発明の凝集BN粒子の高充填を可能とし、熱伝導性を高めるために、ビスフェノールA/ビスフェノールF構造を有するエポキシ樹脂を用いることが好ましく、分子の自己配列による高次構造を制御して組成物の高熱伝導化を図るためには、メソゲンを有するビフェニル構造のエポキシ樹脂が好ましい。
[フィラー]
本発明の組成物は、本発明の凝集BN粒子を含み、更に、必要に応じて凝集BN粒子以外の無機フィラー(C)として、平板状窒化ホウ素、本発明の凝集BN粒子以外の凝集窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化マグネシウムの中から選ばれる1種以上の無機フィラーを含有するものである。
<フィラーとしての本発明の凝集BN粒子>
一般的には、パワー半導体デバイス用放熱シートは、更なる高速化・高容量化などの性能向上のために、200℃以上の高温で使用されることが想定されているが、この200℃以上の高温下での使用でも周辺部材の寿命を延ばし、高熱伝導性および耐電圧特性などの信頼性を確保するためには、シートにおいて配合されるフィラーの最大粒径は、放熱シートの厚みの1/2から1/3以下程度にすることが好ましい。本発明の凝集BN粒子の体積基準の最大粒子径が200μmを超えると、硬化した後の放熱シートの表面に本発明の凝集BN粒子が突出して、放熱シートの表面形状が悪化し、銅基板との張り合わせシートを作製する際の密着性が低下し、耐電圧特性が低下する傾向となる。一方で、本発明の凝集BN粒子の粒径が小さ過ぎると、必要な熱伝導パス数が増加して、放熱シートの厚み方向に上から下まで繋がる確率が小さくなり、熱伝導性の高い樹脂(A)と組み合わせても、放熱シートの厚み方向の熱伝導率が不十分となる。また、樹脂(A)と本発明の凝集BN粒子の界面面積が大きくなり、耐電圧特性が低下する。本発明では、所定の体積基準の最大粒子径、平均粒子径の本発明の凝集BN粒子をフィラーとして含有することにより、フィラー同士の厚み方向へ充分な熱伝導率を有し、耐電圧特性も良好な放熱シートを得ることができる。
また、本発明の組成物は、熱伝導率の等方性に優れた本発明の凝集BN粒子を含有することにより、形成される放熱シートの厚み方向にも高い熱伝導性を付与することが可能となり、パワー半導体デバイスの熱伝導を促進させてパワー半導体モジュール内の温度を低下させて蓄熱を防止することにより、パワー半導体デバイスを安定的かつ高信頼性で動作させることが可能となる。
<フィラー(C)>
さらに、本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の凝集BN粒子以外の無機フィラー(以下、「フィラー(C)」と記載する場合がある。)の1種又は2種以上を含有してもよい。例えば、本発明の凝集BN粒子以外の熱伝導性フィラーを用いることもできる。
そのような無機フィラーとしては、シリカ(SiO:熱伝導率0.8〜1.4W/mK)、アルミナ(Al:熱伝導率30W/mK)、窒化アルミニウム(AlN:熱伝導率260W/mK)、本発明の凝集BN粒子以外の窒化ホウ素(粒子径が小さく、本発明の粒子径範囲外の凝集BN粒子や平板状窒化ホウ素:熱伝導率3W/mK(厚み方向)、275W/mK(面内方向))、窒化ケイ素(Si:熱伝導率23W/mK)、酸化マグネシウム(MgO:熱伝導率46W/mK)などが挙げられる。
また、フィラー(C)としては、酸素や水への高温暴露に対する安定性と低誘電性をも併せ持つことが、デバイスの信頼性の点で好ましい。上記無機材料の中でもフィラー(C)としては、化学安定性が高いAl、本発明の凝集BN粒子以外の窒化ホウ素が好ましく、特に誘電率がより低い、本発明のBN粒子以外の窒化ホウ素が好ましい。フィラー(C)の平均粒子径に制限はないが、本発明の凝集BNと併用して用いる本発明以外の凝集BNの場合、平均粒子径は、例えば25μm以上、好ましくは25〜50μmが好ましい。このような平均粒子径の本発明以外の凝集BN粒子を併用することにより、本発明の凝集BN粒子同士の熱伝導パスを、本発明以外の凝集BN粒子で繋ぐことにより、同一の平均粒子径のもののみを用いた場合に比べて、高充填が可能となり、より高い熱伝導性を得ることができる。
また、その他のフィラー(C)を熱伝導性向上ではなく粘度調節を目的として添加することもでき、その場合には、熱伝導率がそれほど高くない、汎用フィラーであるシリカ(SiO:熱伝導率0.8〜1.4W/mK)を使用することができる。
その他のフィラー(C)の体積基準の最大粒子径は、本発明の凝集BN粒子(以下、フィラー(B)と記載する場合がある)と同様の範囲であることが好ましいが、粒子強度が高くなく、放熱シート作製時に崩壊性を有するものについてはその限りではない。
<含有量>
本発明において、フィラー(B)の含有量は、樹脂(A)10〜50質量%に対してフィラー(B)が90〜50質量%であることが好ましく、フィラー(B)の含有量は特に80〜60質量%、とりわけ80〜70質量%とすることが好ましい(ただし、樹脂(A)とフィラー(B)の合計で100質量%とする。)。このような含有量とすることにより、本発明の組成物においては、充分な熱伝導性が得られ、かつ、均一な塗膜が形成できる。
フィラー(B)の含有量が、上記下限未満では、形成される放熱シートの熱伝導性が十分得られない場合があり、また、上記上限を超えると組成物又は塗布液の粘度が高くなり、均一な塗膜を形成できないなどの問題が出てくる可能性がある。
なお、上記のフィラー(C)を併用する場合は、フィラー(B)とフィラー(C)との合計の含有量が通常60質量%以上90質量%以下であり、熱伝導性の向上効果を十分に得るために、フィラー(C)は、フィラー(B)との合計である全フィラー100質量%に対して、60質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下とすることが特に好ましい(ただし、樹脂(A)とフィラー(B)とフィラー(C)の合計で100質量%とする。)。
例えば、フィラー(B)と樹脂(A)とフィラー(C)との割合を、(B)/(A)/(C)=通常40〜90/10〜40/10〜50(質量%)であり、(B)/(A)/(C)=40〜70/10〜30/20〜40(質量%)とすることが好ましく(B)/(A)/(C)=50〜60/20〜30/20〜30(質量%)がより好ましい。
[硬化剤(D)]
本発明の組成物は必要に応じて硬化剤(D)を含有していてもよい。
本発明で用いる硬化剤(D)とは、エポキシ樹脂のエポキシ基等などの、樹脂(A)の架橋基間の架橋反応に寄与する物質を示す。
エポキシ樹脂においては、必要に応じて、エポキシ樹脂用の硬化剤、硬化促進剤が共に用いられる。
硬化促進剤は、用いられる樹脂や硬化剤の種類に応じて適宜選べばよい。例えば前記酸無水系硬化剤用の硬化促進剤としては、例えば三フッ化ホウ素モノエチルアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの硬化促進剤は、通常、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
硬化剤(D)としては、特に制限はなく、用いる熱硬化性樹脂の種類に応じて選択使用される。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール及びその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
アミン系硬化剤の具体例として、脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が例示される。
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が例示される。
第3級アミンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
イミダゾール及びその誘導体としては、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
これらの硬化剤(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
上記硬化剤の中でも、イミダゾール又はその誘導体やジシアンジアミン化合物が好適に用いられる。
本発明の組成物中の硬化剤(D)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、通常0.1〜60質量部であり、0.5〜40質量部が好ましい。
特に、硬化剤(D)がフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基と硬化剤中の官能基との当量比で、通常0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲外であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留し、所望の物性が得られないことがある。
また、硬化剤(D)がアミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール及びその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等の場合は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、通常0.1〜20質量部の範囲で用いることが好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
また、ジシアンジアミン化合物の場合は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いることが好ましく、通常0.5〜6質量部がより好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の組成物には、機能性の更なる向上を目的として、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の添加剤(その他の添加剤)を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、液晶性エポキシ樹脂等の、前記の樹脂に機能性を付与した機能性樹脂、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、繊維状窒化ホウ素等の窒化物粒子、アルミナ、繊維状アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の絶縁性金属酸化物、ダイヤモンド、フラーレン等の絶縁性炭素成分、樹脂硬化剤、樹脂硬化促進剤、粘度調整剤、分散安定剤が挙げられる。
さらに、その他の添加剤としては、基材との接着性やマトリックス樹脂と無機フィラーとの接着性を向上させるための添加成分として、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤、保存安定性向上のための紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、着色剤、分散剤、流動性改良剤、基材との密着性向上剤等が挙げられる。 また、本発明の組成物には、成形時の流動性改良及び基材との密着性向上の観点より、熱可塑性のオリゴマー類を添加することもできる。
その他、組成物或いは塗布液中での各成分の分散性を向上させる、界面活性剤や、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等を添加することもできる。
これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
また、本発明の組成物には、その効果を損なわない限り、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機フィラー、無機フィラーとマトリックス樹脂の界面接着強度を改善するシランカップリング剤などの表面処理剤、還元剤などを添加しても良い。
なお、上記無機フィラーについては、複合材組成物中の成形加工性を維持する上で、組成物中の本発明の凝集BN粒子と必要に応じて用いられる前述のフィラー(C)との合計の含有量で90質量%以下であることが好ましい。
その他の添加剤の配合量には特に制限はなく、必要な機能性が得られる程度に、通常の樹脂組成物の配合量で用いられる。
上記添加剤の中でも、樹脂成分とフィラー(B)との密着性を向上させる観点からは、カップリング剤を含むことが好ましい。
ここで、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン;p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
一方、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
カップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
カップリング剤の添加量は、本発明の組成物に対して0.1〜2.0質量%程度とすることが好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。カップリング剤の配合量が少ないと、カップリング剤を配合したことによるマトリックス樹脂と無機フィラーとの密着性の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎると得られる硬化膜からカップリング剤がブリードアウトする問題がある。
熱可塑性のオリゴマー類としては、C5系及びC9系の石油樹脂、スチレン樹脂、インデン樹脂、インデン・スチレン共重合樹脂、インデン・スチレン・フェノール共重合樹脂、インデン・クマロン共重合樹脂、インデン・ベンゾチオフェン共重合樹脂等が例示される。その添加量としては、樹脂(A)100質量部に対して、通常2〜30質量部、好ましくは、5〜15質量部の範囲である。
界面活性剤としては、従来公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤のいずれも使用できる。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、アルキルベタイン類、アミノ酸類などが挙げられる。
また、これら界面活性剤においてC−H結合の一部又は全てがC−F結合となったフッ素界面活性剤も好ましく用いることができる。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
界面活性剤の添加量としては、本発明の組成物に対して通常0.001〜5質量%であり、0.005〜3質量%が好ましい。界面活性剤の添加量が上記下限未満では、所定の膜厚均一性が得られない場合があり、また上記上限を超えると樹脂成分との相分離等を引き起こす場合があり好ましくない。
また、本発明の組成物は、組成物又は塗布液中のフィラー(B)の分散性を高め、フィラー(B)を均一に分散させることで、塗布液の塗布性、形成される塗膜の膜性状、表面平滑性を改善するために、分散剤として、アミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤(E)を用いても良い。
アミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤(E)としては、本発明の目的を達成することができるものであればよく、特に制限はないが、塗布液の塗布性の向上効果、塗膜性状の改善効果に優れることから、官能基として3級アミノ基を有するものが好ましい。
分散剤(E)のアミン価が10mg−KOH/gより小さいと、フィラー(B)の分散性が十分ではなく、300mg−KOH/gより大きいとフィラーの凝集等を引き起こす場合があり、いずれの場合も本発明の目的を達成し得ない。
分散剤(E)のアミン価は20〜200mg−KOH/g、特に30〜100mg−KOH/gであることが好ましい。
なお、ここで「アミン価」とは、塩基性基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。
このような分散剤(E)の一例として、例えば、アクリル系分散剤及び/又はウレタン系分散剤が挙げられる。
ウレタン系分散剤としては、ポリイソシアネート化合物と、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる分散樹脂等が好ましい。
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω′−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート;及びこれらの3量体、水付加物、並びにこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとしては、好ましいくは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体又はイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出し、薄膜蒸留により除去して、目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコールのグリコール類、これらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えば、ポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物と、グリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール;ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール;キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール;N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られるものが挙げられる。例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等のアジペート類;前記ジオール類又は炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えば、ポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエステルグリコールとして最も好ましいのは、ポリカプロラクトングリコール、又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。より具体的には、モノオールにε−カプロラクトンを開環付加重合して得られる化合物である。
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリオレフィングリコールとしては、ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。
本発明に用いられる同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物において。活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又はイオウ原子に直接結合している水素原子とは、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。3級アミノ基は特に限定されない。また、3級アミノ基としては、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的には、イミダゾール環又はトリアゾール環が挙げられる。
このような同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。
また、3級アミノ基が含窒素ヘテロ環であるものとして、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等のN含有ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環として好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
これらのイミダゾール環と一級アミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾール、1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。中でも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールが好ましい。
上記ウレタン系分散剤原料の好ましい配合比率は、ポリイソシアネート化合物100質量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物が通常10〜200質量部、好ましくは20〜190質量部、更に好ましくは30〜180質量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が通常0.2〜25質量部、好ましくは0.3〜24質量部である。
このようなウレタン系分散剤のGPC(ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000の範囲である。この分子量が1,000未満では、分散性及び分散安定性が劣り、200,000を超えると溶解性が低下し、分散性が劣ると同時に反応の制御が困難となる。
このようなウレタン系分散剤の製造は、ポリウレタン樹脂製造における公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の一部のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等の1種又は2種以上が用いられる。
上記製造に際して、通常のウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系;鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系;等が挙げられる。
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は、反応後のアミン価で通常10〜300mg−KOH/gの範囲に制御する。好ましくは20〜200mg−KOH/gの範囲である。アミン価が上記範囲より低いと、分散能力が低下する傾向があり、また、上記範囲を超えると現像性が低下しやすくなる。
なお、以上の反応で得られた分散樹脂にイソシアネート基が残存する場合には、更にアルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を保護すると、生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
アクリル系分散剤としては、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体が好ましい。
アクリル系分散剤のブロック共重合体を構成するAブロックは、4級アンモニウム塩基、好ましくは−N+・Y(但し、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換されていても良い環状若しくは鎖状の炭化水素基を表し、R、R及びRのうち2つ以上は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。Yは対アニオンを表す。)で表される4級アンモニウム塩基を有する。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していても良いが、2価の連結基を介して主鎖に結合していても良い。
−N+において、R、R及びRのうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、下記のものが挙げられる。
Figure 2015006980
これらの環状構造は、さらに置換基を有していても良い。
−N+におけるR、R及びRとして、より好ましいのは、各々独立に、置換基を有していても良い炭素数1〜3のアルキル基、置換基を有していても良いフェニル基、又は置換基を有していても良いベンジル基である。
Aブロックは、特に下記一般式(I)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
Figure 2015006980
(式中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換されていても良い環状若しくは鎖状の炭化水素基を表し、R、R及びRのうち2つ以上は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。Rは水素原子又はメチル基を表す。Xは2価の連結基を表し、Yは対アニオンを表す。)
上記一般式(I)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R−基、−COO−R−基(但し、R及びRは、各々独立に、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R’−O−R”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基である。)である。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R−基である。
特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていても良い。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、該Aブロック中において、ランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていても良い。また、該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、Aブロック中に含まれていてもよく、該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。かかる4級アンモニウム塩基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜20質量%であるが、かかる4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造は、Aブロック中に含まれないことが最も好ましい。
一方、アクリル系分散剤のブロック共重合体を構成するBブロックとしては、例えば、 スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N−メタクリロイルモルホリン、などのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
Bブロックは、特に下記一般式(II)で表される、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造であることが好ましい。
Figure 2015006980
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは置換基を有していても良い環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していても良いアリル基、又は置換基を有していても良いアラルキル基を表す。)
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていても良い。もちろん該Bブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していても良い。2種以上のモノマー由来の部分構造が、4級アンモニウム塩基を含有しないBブロック中に存在する場合、各部分構造は該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていても良い。Bブロック中に上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造以外の部分構成を含有する場合、当該(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外の部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜20質量%であるが、かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外の部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
本発明で用いるアクリル系分散剤は、好ましくはこのようなAブロックとBブロックとからなる、A−Bブロック又はB−A−Bブロック共重合型高分子化合物であるが、このようなブロック共重合体は、例えば以下に示すリビング重合法にて調製される。
リビング重合法には、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法があり、このうち、アニオンリビング重合法は、重合活性種がアニオンであり、例えば下記スキームで表される。
Figure 2015006980
上記式中、一般的には、ArおよびArは置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Mはアルカリ金属を表し、tおよびsは整数を表す。
ラジカルリビング重合法は、重合活性種がラジカルであり、例えば下記スキームで示される。
Figure 2015006980
上記式中、一般的には、ArおよびArは置換基を有していてもよいフェニル基を表し、RおよびRはアルキル基を表し、Meはメチル基を表し、pおよびqは整数を表す。
このようなアクリル系分散剤を合成するに際しては、日本特開平9−62002号公報や、P.Lutz, P.Masson et al, Polym. Bull. 12, 79 (1984), B.C.Anderson, G.D.Andrews et al, Macromolecules, 14, 1601(1981), K.Hatada, K.Ute,et al, Polym. J. 17, 977(1985), 18, 1037(1986), 右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36, 366(1987),東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46, 189(1989), M.Kuroki, T.Aida, J. Am. Chem. Sic, 109, 4737(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43, 300(1985), D.Y.Sogoh, W.R.Hertler et al, Macromolecules, 20, 1473(1987)などに記載の公知の方法を採用することができる。
本発明で用いるアクリル系分散剤がA−Bブロック共重合体であっても、B−A−Bブロック共重合体であっても、その共重合体を構成するAブロック/Bブロック比は、通常1/99〜80/20であり、特に5/95〜60/40(質量比)であることが好ましい。この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。
また、本発明に係るA−Bブロック共重合体、及びB−A−Bブロック共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、通常0.1〜10mmolであることが好ましく、2〜8mmolであることがより好ましい。この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。
なお、このようなブロック共重合体中には、通常、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があるが、そのアミン価は通常5〜500mg−KOH/g、好ましくは10〜300mg−KOH/g程度である。なお、アミン価は、前述の如く、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常300mg−KOH/g以下である。
その分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1,000〜100,000の範囲であり、5000〜50,000の範囲が好ましい。ブロック共重合体の重量平均分子量が1,000未満であると、分散安定性が低下し、100,000を超えると、現像性、解像性が低下する傾向にある。
本発明において、アミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤(E)としては、上述のものと同様の構造を有する市販のウレタン系及び/又はアクリル系分散剤を適用することもできる。
これらのアミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明の組成物において、アミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤(E)の含有量は、通常0.05質量%以上10質量%以下、0.25質量%以上5質量%以下が好ましく、フィラー(B)を含む組成物中のフィラーの合計量100質量部に対して通常0.1質量部以上20質量部以下、0.5質量部以上10質量部以下で用いることが好ましい。アミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤(E)の含有量が、上記下限未満では、塗布性、塗膜性状の改善向上効果が十分でなく、また上記上限を超えるとフィラーの層分離や凝集を引き起こすことがある。
〔組成物塗布液〕
本発明の組成物に含まれる本発明の凝集BN粒子(B)の含有量は、前述のように、通常50質量%以上90質量%以下であり、好ましくは60質量%以上80質量%以下、より好ましくは70質量%以上80質量%以下である。組成物中の凝集BN粒子(B)の含有量が、上記下限値未満の場合、組成物としての粘度は低く、成形加工性は良好であるものの熱伝導性の付与効果が小さい。組成物中の凝集BN粒子の含有量が上記上限値を超えると、組成物の粘度が高くなり、成形が困難になる傾向がある。
本発明の組成物は、成形加工時の粘度調整のために、有機溶媒を添加した塗布液(以下、「本発明の組成物塗布液」と記載する場合がある。)として用いることができる。
即ち、組成物塗布液は、上述の本発明の組成物に、更に有機溶媒(F)を含有するものである。
本発明の組成物は有機溶媒を含まないが、本発明の組成物に有機溶媒を添加したものが、組成物塗布液であり、従って、有機溶媒(F)を除去した後の組成物が本発明の組成範囲に入る場合は、組成物塗布液も本発明の範疇である。
[有機溶媒(F)]
本発明の組成物を組成物塗布液として用いる場合、組成物塗布液の有機溶媒(F)としては、組成物塗布液の固形分(組成物塗布液の有機溶媒(F)以外の成分であって、本発明の組成物に相当する)を均一に溶解若しくは分散させることができるものであればよく、特に制限はない。有機溶媒(F)としては、沸点が60℃以上120℃未満の有機溶媒(Fa)を含有することが好ましく、より好ましくは有機溶媒(Fa)と沸点が120℃以上の有機溶媒(Fb)とを含有することが好ましい。
有機溶媒(F)としては、例えば、以下に例示するアルコール系溶媒、芳香族系溶媒、アミド系溶媒、アルカン系溶媒、エチレングリコールエーテル及びエーテル・エステル系溶媒、プロピレングリコールエーテル及びエーテル・エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒の中から、好適な沸点のものを選択して用いることができる。
(アルコール系溶媒)
メタノール(沸点64.7℃)、エタノール(沸点78.4℃)、ブタノール(沸点117℃)、iso−プロピルアルコール(沸点82.4℃)、n−プロピルアルコール(沸点97.15℃)、tert−ブタノール(沸点82.4℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)2−エチルヘキサノール(沸点183〜185℃)、ヘキサフルオロイソプロパノール等。
(芳香族系溶媒)
トルエン(沸点110.6℃)、キシレン(沸点144℃)、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、フェノール等。
(アミド系溶媒)
N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点165℃)等
(アルカン系溶媒)
n−ヘキサン(沸点69℃)、iso−ヘキサン(沸点68〜70℃)、シクロヘキサン(沸点80.74℃)、メチルシクロヘキサン(沸点101℃)、n−ヘプタン(沸点98℃)、iso−オクタン(沸点99℃)、n−デカン(沸点174.2℃)等。
(エチレングリコールエーテル及びエーテル・エステル系溶媒)
エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)、エチレングリコールエチルエーテル(沸点135℃)、エチレングリコールn−ブチルエーテル(沸点171℃)、エチレングリコールモノiso−ブチルエーテル(沸点160℃)、エチレングリコールヘキシルエーテル(沸点208℃)、エチレングリコールフェニルエーテル(沸点242℃)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(沸点149.5℃)、エチレングリコールモノiso−プロピルエーテル(沸点141℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル(沸点231℃)、ジエチレングリコールモノiso−ブチルエーテル(沸点220℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、ジエチレングリコールヘキシルエーテル(沸点259℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点271℃)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点295℃)等。
(プロピレングリコールエーテル及びエーテル・エステル系溶媒)
プロピレングリコールメチルエーテル(沸点120℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(沸点190℃)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(沸点242℃)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル(沸点150℃)、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(沸点212℃)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル(沸点274℃)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル(沸点170℃)、プロピレングリコール−iso−ブチルエーテル(沸点157℃)、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(沸点229℃)、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(沸点274℃)、プロピレングリコールフェニルエーテル(沸点243℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、プロピレングリコールフェニルエーテル(沸点243℃)等。
(ケトン系溶媒)
アセトン(沸点56℃)、メチルエチルケトン(以下「MEK」と略記する。)(沸点80℃)、メチルプロピルケトン(沸点102℃)、メチルn−ブチルケトン(沸点128℃)、メチルiso−ブチルケトン(沸点118℃)、メチルiso−アミルケトン(沸点145℃)、メチルn−アミルケトン(沸点152℃)、エチルブチルケトン(沸点149℃)、エチルsec−アミルケトン(沸点159℃)、アセチルアセトン(沸点140℃)、ジアセトンアルコール(沸点166℃)、ジiso−ブチルケトン(沸点169℃)、シクロヘキサノン(以下「CHN」と略記する。)(沸点157℃)、シクロヘキシルシクロヘキサノン(沸点261℃)等。
(エステル系溶媒)
メチルアセテート(沸点57℃)、エチルアセテート(沸点77℃)、プロピルアセテート(沸点102℃)、iso−プロピルアセテート(沸点88℃)、ブチルアセテート(沸点126℃)、iso−ブチルアセテート(沸点117℃)、sec−ブチルアセテート(沸点112℃)、アミルアセテート(沸点146℃)、メチルアミルアセテート(沸点146℃)、2−エチルヘキシルアセテート(沸点199℃)、エチレングリコールエーテルメチルアセテート(沸点145℃)、エチレングリコールエーテルメチルアセテート(沸点145℃)、エチレングリコールエーテルエチルアセテート(沸点156℃)、エチレングリコールエーテルn−ブチルアセテート(沸点188℃)、ジエチレングリコールエーテルエチルアセテート(沸点217℃)、ジエチレングリコールエーテルn−ブチルアセテート(沸点245℃)、エチレングリコールジアセテート(沸点191℃)、iso−ブチル−iso−ブチレート(沸点147℃)、エチルラクテート(沸点154℃)、ブチルラクテート(沸点188℃)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート(沸点188℃)、乳酸エチル(沸点155℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と略記する。)(沸点146℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、プロピレンモノメチルエーテルメチルアセテート(沸点188℃)等。
<有機溶媒(Fa)>
本発明の組成物を組成物塗布液として用いる場合、沸点が120℃未満の有機溶媒(Fa)を用いることにより、放熱シート製造時の有機溶媒の蒸発効率を高めることができる。ただし、この有機溶媒(Fa)の沸点が過度に低いと、蒸発荒れの問題が生じるため、有機溶媒(Fa)の沸点は60℃以上であることが好ましく、特に65〜115℃であることが好ましい。
このような有機溶媒(Fa)としては、上記の各種の有機溶媒のうち、沸点が120℃未満のものを選択使用すればよい。特に、沸点が上記の好適範囲であり、また、有機溶媒(Fa)との均一混合性や、樹脂の溶解性が良好であることから、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、イソブチルアセテートが好ましい。
有機溶媒(Fa)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
<有機溶媒(Fb)>
本発明の組成物を組成物塗布液として用いる場合、上記の沸点が120℃未満の有機溶媒(Fa)と共に、沸点が120℃以上の有機溶媒(Fb)を併用してもよい。沸点が120℃以上の有機溶媒(Fb)を用いることにより、放熱シート製造時の有機溶媒の急激な蒸発による蒸発荒れを防止して、より均質な放熱シートを形成することが可能となる。
即ち、放熱シート製造時の加熱乾燥処理における加熱温度は、通常50〜150℃、好ましくは70〜120℃であるため、この温度条件に対して、沸点120℃以上の有機溶媒であれば、蒸発荒れを起こすことのない適度な速度で蒸発除去される。ただし、この有機溶媒(Fb)の沸点が過度に高いと、放熱シート製造時の加熱乾燥処理時に、効率的にかつ高度に塗膜中の有機溶媒を蒸発除去することが困難であることから、有機溶媒(Fb)の沸点は、180℃未満であることが好ましく、特に130℃以上180℃未満、とりわけ140〜170℃であることが好ましい。
有機溶媒(Fb)としては、上記の各種の有機溶媒のうち、沸点が120℃以上のものを選択使用すればよい。特に、沸点が上記の好適範囲であり、また、樹脂の溶解性が良好であり、混合液の安定性も良好であることから、有機溶媒(Fb)としては、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン、PGMEA、乳酸エチルを用いることが好ましい。
有機溶媒(Fb)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
<含有量>
本発明の組成物を組成物塗布液として用いる場合、有機溶媒(F)の有機溶媒(F)以外の他の成分(組成物塗布液の有機溶媒(F)以外の成分であって、本発明の組成物に相当する)に対する混合割合は、特に制限はないが、好ましくは、他の成分に対して通常20質量%以上70質量%以下、好ましくは30質量%以上60質量%以下である。また、有機溶媒(F)は、エポキシ樹脂等の樹脂(A)100質量部に対して通常10,000質量部以下、好ましくは1,000質量部以下の範囲で用いられる。
また、本発明の組成物を組成物塗布液として用いる場合の固形分濃度としては、通常10〜80質量%、20〜70質量%とすることが好ましい。
上記のような混合割合とすることにより、任意の塗布法によって良好な塗膜を形成することが可能な、適当な粘度で、取り扱い性に優れた塗布液とすることができる。
有機溶媒(F)の混合割合が、上記下限では塗布液の粘度が上昇し、良好な塗膜が得られない場合があり、又、上記上限を超えると、所定の膜厚が得られない等の問題が出てくる可能性がある。
有機溶媒(F)として、有機溶媒(Fa)と有機溶媒(Fb)を併用する場合、これらの合計の混合割合が、上記範囲内であることが好ましい。また、有機溶媒(Fa)と有機溶媒(Fb)との併用による相乗効果を得るために、有機溶媒(Fa)と有機溶媒(Fb)とは、質量%として、有機溶媒(Fa):有機溶媒(Fb)=95〜50:5〜50、特に90〜60:10〜40の割合(有機溶媒(Fa)と有機溶媒(Fb)との合計で100質量%とする。)で用いることが好ましい。
[組成物及び組成物塗布液の調製方法]
本発明の組成物及び本発明の組成物を組成物塗布液として用いる場合の調製方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、組成物及び本発明の組成物を組成物塗布液として用いる場合の構成成分を混合することで製造することができる。なお、その際、組成物や組成物塗布液の均一性の向上、脱泡等を目的として、ペイントシェーカーやビーズミル、プラネタリミキサ、攪拌型分散機、自公転攪拌混合機、三本ロール、ニーダー、単軸又は二軸混練機等の一般的な混練装置などを用いて混合することが好ましい。
各配合成分の混合順序も、反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、組成物及び組成物塗布液の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め混合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
〔成形体の製造方法〕
本発明の組成物又は本発明の組成物を組成物塗布液として用いて各種の成形体を製造することができる。
本発明の組成物又は本発明の組成物を組成物塗布液として用いて成形体を成形する方法は、樹脂組成物の成形に一般に用いられる方法を用いることができる。
例えば、本発明の組成物が可塑性や流動性を有する場合、該組成物を所望の形状で、例えば、型へ充てんした状態で硬化させることによって成形することができる。このような成形体の製造法としては、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、及び圧縮成形法を用いることができる。
また、本発明の組成物がエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂組成物である場合、成形体の成形、すなわち硬化は、それぞれの組成に応じた硬化温度条件で行うことができる。
また、本発明の組成物が熱可塑性樹脂組成物である場合、成形体の成形は、熱可塑性樹脂の溶融温度以上の温度及び所定の成形速度や圧力の条件で行うことができる。
また、本発明の組成物を成形硬化した固形状の材料から所望の形状に削り出すことによって成形体を得ることもできる。
[放熱シートの製造方法]
以下、本発明の組成物を組成物塗布液として用いて本発明の放熱シートを製造する方法を具体的に説明する。
<塗布工程>
まず基板の表面に、本発明の組成物の組成物塗布液で塗膜を形成する。
即ち、組成物塗布液を用いて、ディップ法、スピンコート法、スプレーコート法、ブレード法、その他の任意の方法で塗膜を形成する。組成物塗布液の塗布には、スピンコーター、スリットコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどの塗布装置を用いることにより、基板上に所定の膜厚の塗膜を均一に形成することが可能であり、好ましい。
なお、基板としては、後述の厚さの銅箔が一般的に用いられるが、何ら銅基板に限定されるものではない。
<乾燥工程>
組成物塗布液を塗布することにより形成された塗膜を、溶媒や低分子成分の除去のために、通常25〜150℃、好ましくは25〜100℃の任意の温度で、10〜120分程度の加熱処理を行って乾燥膜を形成する。
この乾燥の加熱温度が低過ぎたり、加熱時間が短過ぎたりすると、塗膜中の有機溶媒を十分に除去し得ず、得られる乾燥膜中に有機溶媒が残留し、残留した有機溶媒が次のシート化工程における高温加圧処理で蒸発し、残留溶媒の蒸発跡がボイドとなって、高熱伝導性、高絶縁性、所定の物理的強度等を有するシートを形成し得ない。逆に、乾燥の加熱温度が高過ぎたり、加熱時間が長過ぎたりすると、樹脂の硬化が進行し、良好な乾燥膜とすることができない。従って、乾燥工程の加熱条件は、形成される乾燥膜の膜厚や塗布液中の有機溶媒(F)の沸点、用いた樹脂(A)の種類によっても異なるが、乾燥膜の膜厚が50〜200μmの場合には通常25〜100℃、好ましくは25〜80℃で60〜180分程度、乾燥膜の膜厚が200〜400μmであれば通常40〜100℃、好ましくは50〜90℃で60〜240分程度とすることが好ましい。
この際、一定の温度において加熱処理を行ってもよいが、塗布液中の有機溶媒等の揮発成分の除去を円滑に進めるために、減圧条件下にて加熱処理を行ってもよい。また、樹脂(A)の硬化が進行しない範囲で、段階的な昇温による加熱処理を行っても良い。例えば、初めに25〜40℃、例えば30℃で、次に40〜90℃、例えば50℃で、各30分〜60分程度の加熱処理を実施することができる。
また、本発明の組成物又は本発明の組成物を組成物塗布液として用いる場合は、シート成形に適した十分な柔軟性を有するため、直接フィルムを成形し、該フィルムを銅基板で挟んで放熱シートとすることもできる。
本発明の組成物又は本発明の組成物を組成物塗布液として用いて成形体を得る方法によれば、フィルム成形時の蒸発荒れによる膜質の低下を防止して、均質なフィルムを成形することができる。
<シート化工程>
乾燥工程の後には、シート化工程を行う。
シート化工程では、銅基板に塗布、乾燥した組成物膜を通常80℃以上、好ましくは100℃以上、例えば100〜140℃の温度で1〜5分程度所定の加重をかけて加圧することにより、塗布・乾燥膜中の樹脂(A)の溶融粘度を低下させると同時に、ある程度硬化反応を進めて、銅基板への接着を促進する加圧工程と、その後、樹脂膜を完全に硬化させるために、所望の硬化温度、例えば150℃以上で2〜4時間程度、オーブンなどで加熱することにより硬化反応を行わせてシートを作製する硬化工程とが行われる。硬化工程において完全硬化させる際の加熱温度の上限は、使用する樹脂(A)が分解、変質しない温度であり、樹脂の種類、グレードにより適宜決定されるが、通常300℃以下で行われる。
上記銅基板への接着を促進するために行う加圧工程は、銅基板上の乾燥膜に通常10kgf/cm〜2000Kgf/cm、好ましくは200gf/cm〜1000kgf/cm程度の加重をかけて実施される。この加圧時の加重を上記上限以下とすることにより、凝集BN粒子が破壊することなく、シート中に空隙などがない高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。また、加重を上記下限以上とすることにより、凝集BN粒子間の接触が良好となり、熱伝導パスを形成しやすくなるため、高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。
完全に硬化反応を行わせる硬化工程は、加圧下で行ってもよく、無加圧で行ってもよいが、加圧する場合は、上記と同様の理由から、通常10kgf/cm〜2000Kgf/cmの加重をかけて実施することが好ましく、200gf/cm〜1000kgf/cmの加重をかけて実施することがより好ましい。
特に加圧工程と硬化工程を経るシート化工程においては、上記の範囲の加重をかけて、後述の圧縮率の範囲となるように加圧、硬化を行うことが好ましい。
本発明の放熱シートの製造に当っては、このように樹脂組成物の膜に大きな加重を加えることによりシート化することで本発明の効果を発揮しやすい傾向がある。
従来の、本発明の凝集BN粒子以外の凝集窒化ホウ素を用いて、同様に大きな加重でシート化を行った場合、本発明の凝集BN粒子以外の凝集窒化ホウ素は、平板状に破壊され、シート面内方向に低熱伝導面が配向してしまって、シート厚み方向では、低熱伝導性しか得られない。これに対して、本発明の凝集BN粒子は、本発明の凝集BN粒子以外の一般的な凝集窒化ホウ素に比較して高い粒子強度を有しているため、大きな加重を加えても粒子が破壊することなく、加圧圧縮することにより効率的にシート中で粒子の接触による熱伝導パスを形成することが出来る。また、本発明の凝集BN粒子と他の無機フィラー、特に一般的な凝集窒化ホウ素を用いることで、単独で凝集窒化ホウ素を用いた場合には破壊してしまう凝集構造が、本発明の凝集BN粒子の粒子強度が高いことにより、破壊されず有効な熱伝導パスを形成できるようになる。
このようなことから、本発明の凝集BN粒子を用いた場合には、シート化工程の加圧により、厚み方向に高い熱伝導性を有するシートとすることができる。
<放熱シート>
上記のように高い粒子強度を持つ本発明の凝集BN粒子を含有する本発明の放熱シートは、上述のように大きな加重下でシート化を行って製造されるが、特に加重をかける前の硬化前シート厚みと加重をかけて完全に硬化させた後の硬化シート厚みの比((硬化シート厚み)/(硬化前シート厚み))から計算される圧縮率(1−(硬化シート厚み)/(硬化前シート厚み))が0.2以上0.8以下の圧縮率の時に、厚み方向に10W/mK以上50W/mK以下の高熱伝導性が発現する。この圧縮率は、より好ましくは0.3以上0.7以下、更に好ましくは0.4以上0.7以下、特に好ましくは0.5以上0.7以下である。圧縮率を上記上限以下とすることにより、凝集BN粒子が破壊することなく、シート中に空隙などがない高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。また、圧縮率を上記下限以上とすることにより、凝集BN粒子間の接触が良好となり、熱伝導パスを形成しやすくなるため、高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。
また、このような圧縮率で硬化させて得られる本発明の放熱シートの厚み方向の熱伝導率は、より好ましくは15〜40W/mK、特に好ましくは20〜40W/mKである。
<銅張り合わせ放熱シート>
本発明の銅張り合わせ放熱シートは、例えば、上述の放熱シートの製造方法により製造される銅基板としての銅箔が積層一体化されたものである。
本発明の放熱シート又は本発明の銅張り合わせ放熱シートに銅箔と積層された放熱シートの厚さについては特に制限はないが、通常100〜300μm、特に150〜250μmであることが好ましい。放熱シートの厚さが上記下限未満では、硬化膜の厚さが薄すぎて、耐電圧特性が悪化し、絶縁破壊電圧が低くなるため好ましくなく、上記上限を超えるとパワー半導体デバイスの小型化や薄型化が達成できなくなるため好ましくない。
また、銅箔の厚さは通常、十分な放熱性を確保するという理由から、30〜200μm、特に30〜150μmであることが好ましい。
〔パワーデバイス装置〕
本発明のパワーデバイス装置は、本発明の放熱シート又は本発明の銅張り合わせ放熱シートが放熱基板として実装されたものであり、その高い熱伝導性による放熱効果で、高い信頼性のもとに、高出力、高密度化が可能である。パワー半導体デバイス装置において、本発明の放熱シート以外のアルミ配線、封止材、パッケージ材、ヒートシンク、サーマルペースト、はんだというような部材は従来公知の部材を適宜採用できる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
〔配合成分〕
実施例において用いた組成物の配合成分は、次の通りである。
[エポキシ樹脂(A)]
エポキシ樹脂(A−1):三菱化学社製 品名「157S70」
(エポキシ当量:200〜220g/当量)
エポキシ樹脂(A−2):三菱化学社製 品名「828US」
(エポキシ当量:184〜194g/当量)
エポキシ樹脂(A−3):三菱化学社製 品名「4275」
(エポキシ当量:8400〜9200g/当量)
エポキシ樹脂(A−4):三菱化学社製 品名「7367H」
(YL6121HとYL6800の1:1(質量比)混合物)
[フィラー(B)]
フィラー(B):下記製造例1で製造した凝集BN粒子
[フィラー(C)]
フィラー(C−1):凝集窒化ホウ素
(モメンティブ社製、品名「PTX60」、平均粒子径:37.2μm)
フィラー(C−2):アルミナ
(マイクロン社製、品名「AW70」、平均粒子径:63.2μm)
[硬化剤(D)]:1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール
(四国化成社製、品名「C11Z−CN」)
[有機溶媒(F)]
有機溶媒(Fa):メチルエチルケトン(MEK)
(和光純薬工業社製 試薬特級、沸点:80℃)
〔製造例1:凝集BN粒子の製造・評価〕
[凝集BN粒子の製造]
h−BN粉末(全酸素含有量7.5質量%):500g、純水:4250g、バインダー(日産化学社製「アルミナゾル520」、固形分濃度20質量%):250g、界面活性剤(花王社製のアニオン系界面活性剤「デモールNL」):50gを良く混合し、得られたスラリーをフロイントターボ社製の「OBミル」に投入し、ローター回転数2000rpm、循環送液量0.5L/minで120分間循環粉砕を行った。粉砕には1.0mmφのジルコニア製ビーズを使用した。
粉砕により得られたスラリー液を、スプレードライヤーを用い、噴霧乾燥することにより球状化した。スラリー送液量30ml/min(15ml/min×2)、圧空圧力0.7MPa、空気流量92L/min(46L/min×2)にて噴霧し、ノズル噴射後の乾燥温度は200℃に設定した。その後、BN造粒粒子を、雰囲気炉を用いて2000℃で5時間、窒素ガス流通下に加熱処理した。加熱処理時の昇温及び降温は、以下のように行った。
室温から400℃まで真空引きをしながら20分で上げ、真空引きをしたまま400℃で30分保持した。真空度は、10−1〜10−2Paとした。その後、2.0L/分の窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを導入しながら、1500℃まで100℃/時で温度を上げ、更に1500〜2000℃まで50℃/時で温度を上げた。2000℃到達後、5時間保持した。その後、7℃/分で室温まで冷却した。加熱処理後の各BN造粒粒子を、旋回気流式分級機を用いて分級して凝集BN粒子を得た。
用いた原料h−BN粉末、及び得られた凝集BN粒子について、以下の評価を行った。 以下において、「体積基準の平均粒子径D50」は「D50」と記載し、「体積基準の最大粒子径」は「Dmax」と記載する。
[評価]
<原料h−BN粉末の全酸素含有量>
原料h−BN粉末の全酸素含有量は、7.5質量%である。
<原料h−BN粉末の全細孔容積>
マイクロメリテックス社製「オートポアIV9520型」を用いて、h−BN粉末を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm〜500μmの全細孔容積を求めた。その結果、原料h−BN粉末の全細孔容積は、0.754cm/gであった。
<原料h−BN粉末の比表面積>
h−BN粉末に250℃で15分間の窒素ガスフローの前処理を行った後、マウンテック社製「マックソーブHM MODEL−1201」を用い、BET1点法(吸着ガス:窒素)にて、比表面積を測定した。その結果、比表面積は、116m/gであった。
<加熱処理、分級後の凝集BN粒子の結晶性及び形態観察>
凝集BN粒子の表面結晶成長方向の違いを確認するために、加熱処理前後での結晶性の確認(XRD)、及びSEMによる形態変化の観察を行った。その結果、BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向に結晶成長し、かつ、平均粒子径1μm以下の微細なBN一次粒子の結晶が形成されていることがわかった。図1に加熱処理前のBN造粒粒子、図2に加熱処理後の凝集BN粒子のSEM写真をそれぞれ示した。
<加熱処理、分級後の凝集BN粒子のD50及びDmax
分級後の凝集BN粒子をヘキサメタリン酸ナトリウム0.2質量%水溶液30mlに、透過率が90%以上となるように添加し、さらにアルドリッチ社製ノニオン系界面活性剤「TritonX100」の10質量%水溶液を0.1g加えた後、150Wの超音波を1分間照射して、粒子径分布測定用の分散液を調製した。この分散液について日機装社製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」を用いてD50を測定した。また、測定された体積基準の粒子径分布において、最も大きな粒子の粒子径をDmaxとした。
<加熱処理、分級後の凝集BN粒子の全細孔容積>
マイクロメリテックス社製「オートポアIV9520型」を用いて、凝集BN粒子を減圧下(50μmHg以下)で、10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm〜500μmの全細孔容積を求めた。
<加熱処理、分級後の凝集BN粒子のバルク密度>
マイクロメリテックス社製「オートポアIV9520型」を用い、予め容積を測定した専用セルに秤量した凝集BN粒子試料を入れ、セルごとの質量を測定し、このセルを、減圧下(50μmHg以下)、室温で10分間脱気処理した。次いで、処理したセルに水銀を導入し、水銀導入後のセルを秤量し、導入された水銀の質量から水銀の容量を算出し、予め求めたセルの容量からこの水銀量を差し引いて粉体試料の体積を算出し、この体積で凝集BN粒子試料の質量を除することによって求めた。
<加熱処理、分級後の凝集BN粒子の比表面積>
凝集BN粒子に250℃で15分間の窒素ガスフローの前処理を行った後、マウンテック社製「マックソーブHM MODEL−1201」を用い、BET1点法(吸着ガス:窒素)にて、比表面積を測定した。
加熱処理後、分級処理して得られた凝集BN粒子のD50、Dmax、全細孔容積、バルク密度及び比表面積の測定結果と、フィラー(C−1)、(C−2)として用いた凝集窒化ホウ素(PTX60)およびアルミナ(AW70)について、同様にして測定を行った結果を表1に示す。
Figure 2015006980
[実施例1〜5:シートの作製及び評価]
<組成物塗布液の調製>
フィラー(B)(凝集BN粒子)、凝集BN粒子以外の無機フィラー(C−1),(C−2)と、表2に示すエポキシ樹脂を用い、それぞれ表2に示す割合で配合した。
調製された樹脂/フィラー混合物100質量部と、有機溶媒(Fa)メチルエチルケトン50質量部をポリプロピレン製の蓋付きカップに入れ、さらに、樹脂成分100質量部に対して6質量部の1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(硬化剤(D))を加え、自公転攪拌機(シンキー社製「泡取り錬太郎 AR−250」))を用いて混合して、組成物塗布液を調製した。
<シートの作製>
得られた組成物塗布液を、ギャップ間隔400μmのバーコーター(テスター産業株式会社製「オートフィルムアプリケーター」)で、厚さ38μmの銅基板上に塗布し、その後、50℃で、30分間真空乾燥を行って、銅基板に塗布膜を形成した。
得られた塗布膜を離型PETで挟み込み、さらに、ステンレス製の板の間に入れて、平板ホットプレス(上島製作所製30トンハンドル式油圧成形機SC1530)で120℃、200〜2000kgf/cmの範囲で、所望の圧縮率となるように加重を調整して3分間加圧した。次いで、オーブン中、150℃で2時間加熱硬化させて、表2に示す各圧縮率の熱伝導率評価用の銅基板付きのシートサンプルを得た。
<厚み方向の熱伝導率の測定>
得られたシートサンプルについて、以下の装置で熱拡散率、比重、及び比熱を測定し、この3つの測定値を乗じることにより厚み方向の熱伝導率を求めた。
(1)熱拡散率:銅基板付きのシートサンプルを切り出して、10mm角、厚み約0.25〜0.30mmの検体にした後、アイフェイズ社製の「アイフェイズ・モバイル 1u」を用いて、厚み方向の熱拡散率を測定した。その際、まず、サンプルに用いたものと同様の銅基板でベースライン測定を実施し、銅基板の測定で得られたベースラインを用いて銅基板付きのサンプル測定をオート測定で実施した。次いで銅基板の厚みを差し引いて、樹脂層の厚み補正を実施した。さらに、この厚み補正を実施した樹脂層厚みで、オート測定から得られた最適な周波数範囲でマニュアル測定を実施して、樹脂層のみの熱拡散率を取得した。
(2)比重:硬化膜のみのシートサンプルについて、メトラー・トレド社製の天秤「XS204」「固体比重測定キット」使用)を用いて測定した。
(3)比熱:硬化膜のみのシートサンプルについて、セイコーインスツル社製の「DSC320/6200」を用い、10℃/分の昇温条件の下、25℃における比熱をDSC7のソフトウエアを用いて求めた。
結果を表2に示す。
[比較例1]
表2に示す樹脂/フィラー配合で、実施例1と同様の操作で組成物塗布液の調製、シートの作製と熱伝導率の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2015006980
表2より、本発明の凝集BN粒子を用いることにより、従来品に比べてシート厚み方向に高い熱伝導率を達成できることが分かる。
本発明の凝集BN粒子を用いることにより、パワーデバイスで必要とされる熱伝導性の高い、高品質の放熱シートを形成することができる。該放熱シートを有するパワー半導体デバイスは、次世代のSiC、GaNなど、高温動作が可能な高効率基板を用いたパワーデバイスの作製に有用である。

Claims (15)

  1. 窒化ホウ素凝集粒子であって、比表面積が10m/g以上、全細孔容積が2.15cm/g以下、且つ、該窒化ホウ素凝集粒子の表面が、平均粒子径0.05μm以上1μm以下の窒化ホウ素一次粒子から構成される、体積基準の最大粒子径で25μmより大きく200μm以下である窒化ホウ素凝集粒子。
  2. 窒化ホウ素凝集粒子表面において、平均粒子径が1μm以下の窒化ホウ素一次粒子が放射状に配置されている窒化ホウ素凝集粒子であって、該窒化ホウ素凝集粒子が、体積基準の最大粒子径で25μmより大きく200μm以下である窒化ホウ素凝集粒子。
  3. 窒化ホウ素凝集粒子のバルク密度が0.3g/cm以上である請求項1又は2に記載の窒化ホウ素凝集粒子。
  4. 原料として窒化ホウ素粉末を用いて製造された窒化ホウ素凝集粒子であって、かつ該窒化ホウ素粉末中の全酸素含有量が1質量%以上10質量%以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の窒化ホウ素凝集粒子。
  5. 樹脂(A)と、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の窒化ホウ素凝集粒子(B)を含む凝集BN粒子含有樹脂組成物。
  6. 樹脂(A)と窒化ホウ素凝集粒子(B)の含有割合が、樹脂(A)10〜50質量%、窒化ホウ素凝集粒子(B)90〜50質量%の範囲である請求項5に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
  7. さらに、平板状窒化ホウ素、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の窒化ホウ素凝集粒子以外の凝集窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び酸化マグネシウムの中から選ばれる1種以上の無機フィラー(C)を含む請求項5又は6に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
  8. 窒化ホウ素凝集粒子(B)と樹脂(A)と無機フィラー(C)の含有割合が、窒化ホウ素凝集粒子(B)/樹脂(A)/無機フィラー(C)=40〜90質量%/10〜40質量%/10〜50質量%の範囲である請求項7に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
  9. 樹脂(A)が硬化性樹脂である請求項5ないし8のいずれか1項に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
  10. 前記硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、該エポキシ樹脂が、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格及びビフェニル骨格のうちの少なくとも1つ以上の骨格を有するフェノキシ樹脂である請求項9に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物。
  11. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の窒化ホウ素凝集粒子を含む放熱シート。
  12. 請求項5ないし10のいずれか1項に記載の凝集BN粒子含有樹脂組成物よりなる放熱シート。
  13. 硬化前シートを厚み方向に加圧して硬化させてなる硬化シートよりなる放熱シートであって、(硬化シート厚み)/(硬化前シート厚み)から計算される圧縮率(1−(硬化シート厚み)/(硬化前シート厚み))が0.2以上0.8以下であり、該硬化シートの厚み方向の熱伝導率が10W/mK以上50W/mK以下である放熱シート。
  14. 請求項11ないし13のいずれか1項に記載の放熱シートと銅箔とを積層一体化してなる銅張り合わせ放熱シート。
  15. 請求項11ないし13のいずれか1項に記載の放熱シート又は請求項14に記載の銅張り合わせ放熱シートを含むパワーデバイス装置。
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