JP2014208818A - 積層型半導体装置の層間充填材用の組成物、積層型半導体装置、および積層型半導体装置の製造方法 - Google Patents

積層型半導体装置の層間充填材用の組成物、積層型半導体装置、および積層型半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性に優れ、積層プロセスにも適合し、半導体デバイスチップ同士の確実な接合も可能であって、しかも各種の環境変化によっても安定した接合が維持されるような層間充填層を形成することができる積層型半導体装置用の層間充填材組成物と、積層型半導体装置、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下の窒化ホウ素フィラー、および体積平均粒径0.1μm以上10μm以下であって該窒化ホウ素フィラーの体積平均粒径とは異なる体積平均粒径を有する無機フィラーを含有する積層型半導体装置用の層間充填材組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層型半導体装置の層間充填材組成物と、当該組成物を用い、特定の工程を経てなる積層型半導体装置の製造方法に関する。
近年、半導体デバイスの更なる高速化・高容量化などの性能向上のために、トランジスタや配線の微細化に加えて、半導体デバイスチップを2層以上積み重ねて三次元(3D)積層化した三次元積層型半導体装置の研究開発が進められている。
より具体的には、半導体デバイスチップ同士が、そのチップ間においてはんだバンプ等の電気信号端子等で接続されていると同時に、層間充填材を充填して形成された層間充填層により接着された構造を有する三次元積層型半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このように、積層型半導体装置の実用化に向けて、種々の課題が指摘されているが、その内の一つにトランジスタや配線等のデバイスから発する熱の放熱問題がある。この問題は、一般的に、半導体デバイスチップの積層の際に用いられる層間充填材組成物の熱伝導率が、金属やセラミックなどに比べて非常に低いことに起因し、積層デバイスチップ内での蓄熱によるパフォーマンスの低下が懸念されている。
この課題を解決する一つの手法として、層間充填材組成物の高熱伝導化が挙げられる。具体的には、層間充填材組成物の接着成分を構成する熱硬化性樹脂として高熱伝導性のエポキシ樹脂を使用したり、このような高熱伝導性樹脂と高熱伝導性無機フィラーとを複合化したりすることで、層間充填材組成物を高熱伝導化することが行われている。例えば、球状窒化ホウ素凝集体をフィラーとして配合した層間充填材組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
このような高熱伝導性樹脂と高熱伝導性無機フィラーとを複合化した層間充填材組成物は、固体である高熱伝導性無機フィラーを含有することから積層型半導体装置を製造する際の温度条件下でも通常流動性が低い。そのため、このような層間充填材組成物は、半導体デバイスチップ間を予めバンプ等の電気信号端子等で接続したものを作成した後、その半導体デバイスチップ間に充填することが困難である。そこで、層間充填材組成物からなる層を予め形成した上で、半導体デバイスチップを接合するプロセスが知られている。
具体的には、半導体デバイスチップを形成したウェハー上に、層間充填材組成物(層間充填層形成用組成物)からなる層を形成し、加熱してBステージ化を行い、次いでダイシングによりチップを切り出し、このチップを複数枚積層し、加圧加熱による仮接合を繰り返し、最終的に加圧加熱条件下で本接合(半田接合)を行うプロセスが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
国際公開第2008/087701号パンフレット 特表2008−510878号公報
エレクトロニクス実装学会講演大会講演論文集、61,23,2009)
上記背景技術に記載したように、積層型半導体装置では、特許文献2に記載の層間充填材組成物でも、集積回路の高密度化に伴う発熱を十分放熱できる程度の熱伝導性を発揮するには至っていなかった。また、半導体デバイスチップ同士の層間に、層間充填材組成物を有してなる積層型半導体装置を製造するプロセス(以下、積層プロセスと略記することがある)では、熱伝導性の向上に加えて、積層体の応力緩和のために線膨張率など各工程で要求される特性を満たさなければならないという課題が見出された。
更に、本発明者らの研究により、積層プロセスへの適合性のみならず、半導体デバイスチップ同士の層間の薄膜化、半導体デバイスチップ間における電気信号端子の接合性や、その安定性(信頼性)などの従前知られていない課題も明らかになった。特に積層体におけるシリコンの基板や有機基板は、低い線膨張率を有しているために、層間充填材組成物の線膨張率が高いと、基板の温度変化による膨張率の違いにより、基板と層間充填材料の界面にて剥離を引き起こす等の課題を有していた。
本発明は、熱伝導性に優れるだけではなく、低い線膨張率により積層プロセス及び積層体にも適合するものであり、更に半導体デバイスチップ同士の確実な接合も可能であって、しかも各種の環境変化によっても安定した接合が維持されるような、層間充填層を形成することができる積層型半導体装置用の層間充填材組成物と、これを用いた積層型半導体装置の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下を要旨とする。[1]
120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下の窒化ホウ素フィラー(B)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下であって該窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径とは異なる体積平均粒径及び化学種からなる無機フィラー(E)とを含有する積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[2]
窒化ホウ素フィラー(B)と、無機フィラー(E)との体積平均粒径の差が、1μm以上5μm以下である、[1]に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[3]
前記窒化ホウ素フィラー(B)の比表面積が、1m/g以上60m/g以下である、[1]または[2]に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[4]
前記無機フィラー(E)の比表面積が、0.1m/g以上20m/g以下である、[1]から[3]のいずれか1つに記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[5]
前記窒化ホウ素フィラー(B)の含有量が、(A)100重量部あたり40重量部以上400重量部以下である、[1]から[4]のいずれか1つに記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[6]
更に硬化剤(C)を含有する、[1]から[5]のいずれか1つに記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[7]
更にフラックス(D)を含有する、[1]から[6]のいずれか1つに記載の積層型半
導体装置用の層間充填剤組成物。
[8]
前記樹脂(A)が熱硬化性樹脂である、[1]から[7]のいずれか1つに記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[9]
前記樹脂(A)がエポキシ樹脂(a)である、[1]から[8]の何れか1つに記載の積層型半体装置用の層間充填剤組成物。
[10]
前記エポキシ樹脂(a)が、エポキシ当量150g/当量以上650g/当量以下であるエポキシ樹脂(a1)を含む、[9]に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[11]
前記エポキシ樹脂(a)が、更にエポキシ当量650g/当量以上30000g/当量以下であるエポキシ樹脂(a2)を含む、[9]または[10]に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[12]
加水分解性の塩素含有量が0.1〜100ppmである、[1]から[11]のいずれか1つに記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[13]
更に有機溶媒(G)を含有する、[1]から[12]のいずれか1つに記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[14]
120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下の窒化ホウ素フィラー(B)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下であって該窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径とは異なる体積平均粒径及び化学種からなる無機フィラー(E)とを含有する積層型半導体装置用の層間充填剤組成物の製造方法であって、全構成成分の少なくとも2つを、40℃〜160℃の温度条件下で混合する、積層型半導体装置用の層間充填剤組成物の製造方法。
[15]
全構成成分の少なくとも2つを、100Torr以下の圧力条件下で混合する、[14]に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物の製造方法。
[16]
半導体デバイス層が形成された半導体基板表面に、[1]から[13]の何れか1つに記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物からなる層を形成し、当該半導体基板と、半導体デバイス層が形成された他の半導体基板とを積層し加圧接合した後、50℃以上200℃以下で処理する工程を含む、積層型半導体装置の製造方法。
[17]
半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した積層型半導体装置であって、当該半導体基板間の少なくとも1つに、[1]から[13]の何れか1つに記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物を有する、積層型半導体装置。
本発明により、積層型半導体装置の製造プロセスへの適合性に優れ、かつ熱伝導性や耐熱性などの性能バランスに優れ、しかも得られた積層型半導体装置の半導体デバイス層が形成された半導体チップ同士の確実な電気的接合が可能であって、しかもその電気的接合が安定した、積層型半導体装置用の層間充填材組成物を提供することができる。また、本発明により提供される層間充填材組成物を半導体デバイスチップの間に有し、特定の条件で処理する工程を含む、積層型半導体装置の製造方法を提供することができる
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明は、120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下の窒化ホウ素フィラー(B)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下の無機フィラー(E)とを含有する積層型半導体装置用の層間充填材組成物(以下、単に「層間充填材組成物」ということがある。)に係るものである。
ここに、本発明の三次元集積型半導体装置とは、半導体デバイス層が形成された半導体チップを少なくとも2層以上積層した半導体チップ積層体である。各半導体チップには、貫通電極(TSV)が設けられており、半導体チップ間では、バンプを介してTSVが接続される。この積層体の層間には、層間充填材(層間充填材組成物)が使用される。
このような積層型半導体装置を形成するプロセスとして、例えば、ウェハー上に層間充填材組成物の塗布薄膜を形成した後に、必要に応じてBステージ化を行い、タック性を低減させて次いでダイシングにより半導体チップを切り出し、この半導体チップを用いた仮接合により積層体を得、最終的に加圧加熱条件下で本接合(はんだ接合)を行う工程が提案されている。
このため、層間充填材組成物は、室温では流動性が低く、はんだ接合時には、低溶融粘度であることが好ましい。一方で、層間充填材組成物には、上記製造プロセスへの適合性及び高い熱伝導率の発現に加えて、低線膨張率が求められている。低い線膨張率の実現のためには、熱伝導性の高い窒化ホウ素フィラーと無機フィラーの複合化が効果的である。
本発明の、120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下の窒化ホウ素フィラー(B)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下の無機フィラー(E)とを含有する積層型半導体装置用の層間充填材組成物は、かかる要求性能に適合するものであり、更に、硬化剤(C)等を含有することにより、より一層優れた層間充填材組成物とすることができる。
<樹脂(A)>
本発明において用いられる樹脂(A)としては、120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sであるものが用いられる。
・粘度
本発明に係る樹脂(A)の120℃における粘度は、市販の溶融粘度計を用いて測定することができる。より具体的には例えば、株式会社アントンパール・ジャパン製 粘弾性測定装置Physica MCR301を用いて測定したパラレルプレート動的粘度であり、測定方法は以下の通りである。
・粘度測定方法
樹脂が室温で液状であれば、そのままで、室温で固体であればこれを加熱して室温まで冷却することで不定形固体を得た後に、このエポキシ樹脂を、パラレルプレートディッシュとパラレルプレート(φ25mm)の間に載置し、パラレルプレート動的粘度測定を行う。測定条件は、上記サンプルに正弦波歪みを0.5%与え、その歪みの角周波数は10rad/secとし、1分間に3℃の割合で昇温させる過程での粘度を40℃〜200℃まで測定する。
・粘度の制御
樹脂(A)の120℃における粘度を0.001〜1Pa・sとするには、従前知られる高分子量体の粘度を調整する方法が用いられるが、例えば、樹脂の分子量を調整することや、樹脂の骨格中に、例えば脂肪族炭化水素基などの柔軟性の高い鎖を導入して粘度を下げたり、例えば環状構造や橋頭を有する構造などの柔軟性の低い鎖を導入して粘度を上
げたり、高粘度の樹脂と低粘度の樹脂を混合して用いたり、明確な融点を有する樹脂(化合物)を用いて粘度を下げることなどにより達成することができる。融点を有する樹脂とは、室温では結晶状態で安定した固体として存在する一方、融点に達すると共に速やかに結晶状態が解け、きわめて低粘度の液状になる物質であり、市販の示差走査熱量計により結晶状態の変化が確認できるものをいう。
・樹脂(A)の化学構造
樹脂(A)の種類に特に制限はなく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリエステル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂など如何なる樹脂であっても構わないが、半導体装置に利用するのに適した一定の機械的強度を有するものが好ましい。より好ましくは、半導体装置を使用する際に発生する熱を効率よく移動させることができるように、構造単位としてメソゲンを有するものがあげられる。ここでいうメソゲンとは、剛直な構造単位であって、高分子液晶となり得る構造単位をいう。このようなメソゲンとしては、複数のベンゼン環を有する構造単位、又は縮環した構造単位があげられる。
このようなメソゲンの例としては、ビフェニル、シアノビフェニル、ターフェニル、シアノターフェニル、フェニルベンゾエート、アゾベンゼン、アゾメチン、アゾキシベンゼン、スチルベン、フェニルシクロヘキシル、ビフェニルシクロヘキシル、フェノキシフェニル、ベンジリデンアニリン、ベンジルベンゾエート、フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、ベンゾイルアニリン、トラン等及びこれらの置換体が挙げられる。この置換体としては、ベンゼン環に置換可能な1つ又は複数の炭素数1〜18のアルキル基や、複数あるベンゼン環や縮環構造の一部が水添されたもの等があげられる。
このメソゲンは、樹脂中の繰り返し構造単位1分子中に、少なくとも1つを有していればよく、2つ以上のメソゲンを有していてもよい。また、複数のメソゲンの連結部分やメソゲンの末端部分は、屈曲鎖(スペーサ)と呼ばれる柔軟構造部によって構成されることが好ましい。この柔軟構造部としては、脂肪族炭化水素基、脂肪族エーテル基、脂肪族エステル基、シロキサン結合等が挙げられる。
本発明の樹脂(A)は、所定の温度領域でメソゲンが規則的に配列する液晶状態となる性質を有するものが好ましい。この液晶性は、直交偏光子を利用した偏光検査法によって確認することができ、液晶状態の液晶性反応硬化型樹脂は強い複屈折性を発現する。液晶状態の種類としては、ネマティック、スメクティック、コレステリック、ディスコティック等が挙げられる。
半導体装置に利用するのに適した一定の機械的強度を有する樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂などを例示することができる。これら樹脂の中でも耐熱性や各種電気特性に優れた熱硬化性樹脂が好ましく、本接合(はんだ接合)時の加熱によっても熱分解しないものが好ましい。より具体的には、熱分解開始温度が180℃以上であるものが好ましく、より好ましくは200℃以上であり、更に好ましくは220℃以上である、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂があげられる。特に好ましくは、エポキシ樹脂が用いられる。樹脂(A)中においてこれらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても構わない。
・エポキシ樹脂(a)
本発明に係る樹脂(A)として特に好ましいエポキシ樹脂(a)は、120℃における粘度が1Pa・s以下であるエポキシ樹脂(a1)を含有することが好ましい。エポキシ樹脂(a1)としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好まし
く、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型やビスフェノールF型の固形エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などを使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上の混合体として使用することができる。
溶融粘度制御の観点から、そのエポキシ当量が150g/当量以上650g/当量以下であることが好ましく、より好ましくは175g/当量以上600g/当量以下である。エポキシ当量が150g/当量より小さいものでは、耐熱性が劣る傾向にあり、650g/当量より大きいと、エポキシ樹脂の融点が高くなるとともに、層間充填材組成物の溶融粘度が高くなり、半導体デバイスチップ同士の接合に問題を生じて、積層型半導体装置が有効に機能しない虞や、積層プロセスの各工程で要求される物性を満たすことができず、積層型半導体装置を製造することが困難となる虞がある。
本発明の層間充填材組成物が含有する樹脂(A)中のエポキシ樹脂(a1)の割合は、樹脂(A)全量を100重量%として、好ましくは60〜100重量%、より好ましくは80〜99重量%である。
より具体的に、市販品として入手可能な三菱化学(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6810;120℃における粘度0.008Pa・s以下)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(1750;120℃における粘度0.01Pa・s以下)、ビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000(H);120℃における粘度0.03Pa・s以下、YL6121H;120℃における粘度0.02Pa・s以下)、アントラセン型エポキシ樹脂(YX8800)、新日鐵化学(株)製ビスフェノール型エポキシ樹脂(YSLV−80XY、YSLV−120TE)、ハイドロキノン型エポキシ樹脂(YDC−1312)、DIC(株)製ナフタレン型エポキシ樹脂(HP4032D)等が例示される。
これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても構わない。
また、本発明の層間充填材組成物は、その目的を損なわない範囲において、エポキシ樹脂(a1)以外のその他のエポキシ樹脂(a2)(以下、エポキシ樹脂(a2)と略記する場合がある。)を含むことができる。
その他のエポキシ樹脂(a2)の例としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型やビスフェノールF型の固形エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などを使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上の混合体として使用することができる。
溶融粘度制御の観点から、そのエポキシ当量が650g/当量より大きく30000g/当量以下であることが好ましく、より好ましくは800g/当量以上25000g/当量以下である。エポキシ当量が650g/当量以下のものでは、たとえ併用したとしても、層間充填材組成物として十分な物性を得ることができず、30000g/当量より大きいと、エポキシ樹脂の融点が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
本発明の層間充填材組成物が他のエポキシ樹脂(a2)を含む場合、本発明の層間充填材組成物において、エポキシ樹脂(a1)と他のエポキシ樹脂(a2)を含む全エポキシ樹脂中のエポキシ樹脂(1a)の割合は、その合計を100重量%として、75〜99重量%、好ましくは80〜95重量%である。なお、「エポキシ樹脂(a1)と他のエポキシ樹脂(a2)を含む全エポキシ樹脂」とは、エポキシ樹脂(a1)と他のエポキシ樹脂(a2)の合計を意味する。
<窒化ホウ素フィラー(B)>
本発明の層間充填材組成物は、体積平均粒径が0.1μm以上10μm以下の窒化ホウ素フィラー(B)を含有する。本発明において、窒化ホウ素フィラー(B)は、少なくとも体積平均粒径が0.1μm以上10μm以下であって、窒化ホウ素を含有するフィラーであれば、如何なるものも利用することができる。より具体的には例えば、特定の結晶構造を有する窒化ホウ素の粒子(以下、特定結晶BN粒子と略記することがある)であってもよいし、造粒により窒化ホウ素を凝集させた窒化ホウ素凝集粒子(以下、凝集BN粒子と略記することがある)であっても構わず、バインダーとして機能する金属酸化物などの窒化ホウ素以外の成分を含有するものでも構わない。特定結晶BN粒子は、凝集BN粒子の原料として用いることも可能であるが、凝集BN粒子の原料としては特定結晶BN粒子に限定されず、追って詳細に説明する凝集BN粒子を製造する際の原料となる窒化ホウ素(原料BN粉末)を用いることも可能である。
本発明における窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径の測定方法は追って記載するが、通常知られた体積平均粒径の測定方法によればよい。例えば、窒化ホウ素フィラー(B)を適当な溶剤に分散させ、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置などで粒度分布を測定し、得られた粒度分布から窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径を求めることができる。
本発明の層間充填材組成物において、窒化ホウ素フィラー(B)は、特に熱伝導性の向上を主たる目的とするが、後述する無機フィラー(E)と組み合わせて三次元集積回路の層間に含有させた場合に、高い熱伝導性と低い線膨張率を同時に達成することに寄与する。
[特定結晶BN粒子]
本発明に係る窒化ホウ素フィラー(B)としては、特定結晶BN粒子が好ましく用いられる。特定結晶BN粒子の結晶子のサイズは、002面及び100面それぞれの結晶子径であり、002面の結晶子径(Lc)は、X線回折の2θ=26.5°のピークの半価幅を測定し、下記(ii)式によって求めることができる。100面の結晶子径(La)についても同様に、X線回折の2θ=41.5°のピークの半価幅を測定し、下記式(ii)によって求められる。
L(Å)=(0.9λ・180)/(β・cosθ・π) …(ii)
λ:1.54056Å
β:ピーク半価幅
本発明に係る特定結晶BN粒子は、100面の結晶子サイズ(La)が500[Å]以上である。このLaが500[Å]以上であることで、結晶子界面が十分に少なくなり、高い熱電導性を得られる。このLaは、熱伝導性をさらに高める観点から、550[Å]以上であることがより好ましく、600[Å]以上であることが特に好ましい。
一方、工業的な生産性の観点から、このLaは2000[Å]以下であることが好ましく、1000[Å]以下であることがより好ましい。
このLaは、本発明に係る特定結晶BN粒子の製造時において、例えばLaが500Å未満の六方晶窒化ホウ素を非酸化性ガス中、通常1300〜2300℃、好ましくは15
00℃〜2100℃、より好ましくは1800℃〜2000℃の温度で熱処理を行うことによって調製することができ、Laを大きくするには、前記温度範囲のできるだけ高温の条件で、長時間熱処理する方法を取ることができる。
本発明に係る特定結晶BN粒子は、002面の結晶子サイズ(Lc:六角網面積層方向)が450[Å]以上である。このLcが450[Å]以上であることで、結晶子界面が十分に少なくなり、高い熱電導性を得られる。このLcは、熱伝導性をさらに高める観点から、470[Å]以上であることがより好ましく、500[Å]以上であることが特に好ましい。
一方、工業的な生産性の観点から、このLcは2000[Å]以下であることが好ましく、1000[Å]以下であることがより好ましい。
このLcは、本発明に係る凝集BN粒子の製造時において、例えばLcが450Å未満の六方晶窒化ホウ素を非酸化性ガス中、通常1500〜2300℃、好ましくは1800〜2100℃の温度で熱処理を行うことによって調製することができ、Lcを大きくするには、前記原料の六方晶窒化ホウ素の酸素含有量が1.0重量%未満のものを使用する方法を好ましく採用することができる。
本発明に係る凝集BN粒子は、上記LcとLaの関係が、以下の関係式(i)を満たす。
0.70≦Lc/La …(i)
上記関係式(i)は、本発明に係る特定結晶BN粒子の形状異方性を示すものであり、Lc/Laが1に近いほど、形状異方性が小さいことを示す。
本発明に係る特定結晶BN粒子が、上記の関係式(i)を満たすことで、これを樹脂と共に組成物に含有させたときに、当該組成物の粘度が上がることを防ぐことができる。また、本発明に係る特定結晶BN粒子を原料として用いた窒化ホウ素凝集粒子を樹脂と共に組成物に含有させたときにも、当該組成物の粘度が上がることを防ぐことができる。
LcとLaの関係は、0.75≦Lc/Laであることがより好ましく、0.78≦Lc/Laであることが特に好ましい。 一方、LcとLaの関係は、Lc/La≦1.2であることが、形状異方性を小さくする観点から好ましい。
本発明に係る特定結晶BN粒子は、その酸素含有量が0.30重量%以下である。特定結晶BN粒子の酸素含有量が0.30重量%以下であることで、これを樹脂とともに組成物に含有させたとき、当該組成物の熱伝導率が好ましいものになる。この酸素含有量は0.25重量%以下であることがより好ましく、0.15重量%以下であることが特に好ましい。一方、この酸素含有量の下限値は、通常、0.01重量%である。
本発明に係る特定結晶BN粒子の酸素含有量をこのような範囲にすることは、特定結晶BN粒子の製造工程において、非酸化性ガス雰囲気下で焼成することで達成できる。酸素含有量を減少させるために、窒素ガス雰囲気下で焼成することが特に好ましい。
なお、本発明に係る特定結晶BN粒子の酸素含有量は、不活性ガス融解−赤外線吸収法によりHORIBA製酸素・窒素分析計を用いて測定することができる。
本発明に係る特定結晶BN粒子は、体積平均粒径が10μm以下であることが好ましい。また、本発明に係る特定結晶BN粒子は、体積平均粒径が7μm以下であることがより好ましく、体積平均粒径が5μm以下であることがさらに好ましく、4μm以下であることが特に好ましい。一方、体積平均粒径は、0.1μm以上であることが、良好な熱伝導性及び良好な流動性を得る観点から好ましい。
本発明における特定結晶BN粒子の体積平均粒径は、例えば、これを適当な溶剤に分散させ、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置などで粒度分布を測定し、得られた粒度分布
から特定結晶BN粒子の体積平均粒径を求めることができる。具体的には例えば、堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」で測定することができる。
(特定結晶BN粒子の製造方法)
本発明に係る特定結晶BN粒子を得るために用いられる原料としては、市販の六方晶窒化ホウ素、市販のαおよびβ−窒化ホウ素、ホウ素化合物とアンモニアの還元窒化法により作製された窒化ホウ素、ホウ素化合物とメラミンなどの含窒素化合物から合成される窒化ホウ素、ホウ水素ナトリウムと塩化アンモニウムから作製される窒化ホウ素など何れも制限なく使用できるが、特に六方晶窒化ホウ素が好ましく用いられる。
これらの原料の中でも、本発明に係る特定結晶BN粒子が所定の結晶子サイズを有するように、原料としては、六方晶窒化ホウ素であって、特にLaが300[Å]以上であり、より好ましくはまた、Lcが250[Å]以上であり、Lc/Laが0.8〜1.0のものを用いることが特に好ましい。
本発明に係る特定結晶BN粒子は、上記の原料を非酸化性ガスの雰囲気下、1800℃〜2300℃の温度で焼成することで得ることができる。
非酸化性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、アンモニアガス、一酸化炭素等を用いることができ、特に窒素ガスが好適に用いられる。
焼成時間は、1時間〜20時間程度、より好ましくは3〜15時間、特に好ましくは5〜15時間である。
焼成温度や焼成時間は、本発明に係る特定結晶BN粒子のLc及びLaが同時に大きくなるように適宜調整して決めることができる。
また、焼成に用いる炉はカーボン炉であることが特に好ましく、焼成の際に六方晶窒化ホウ素を入れる坩堝は、カーボン製であることが特に好ましい。
また、焼成の際には六方晶窒化ホウ素の所望の結晶成長を阻害しない範囲で、添加剤を加えて行ってもよい。
なお、特定結晶BN粒子は、製造直後では、得られた粒子が更に凝集して、上記粒子径の範囲を満たさない場合がある。そのため、特定結晶BN粒子は、上記粒子径の範囲を満たすように粉砕して用いることが好ましい。
特定結晶BN粒子の粉砕の方法は特に限定されず、ジルコニアビーズ等の粉砕用メディアと共に攪拌混合する方法や、ジェット噴射等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
本発明に係る特定結晶BN粒子を組成物に含有させて用いる場合においては、特定結晶BN粒子は1種を単独で用いてもよく、物性の異なる特定結晶BN粒子の2種以上を任意に組み合わせて用いてもよいし、更には本発明に係る凝集BN粒子を併用しても構わない。
[凝集BN粒子]
本発明に係る窒化ホウ素凝集粒子(凝集BN粒子)は、比表面積が10m/g以上、全細孔容積が2.15cm/g以下であって、且つ、該窒化ホウ素凝集粒子の表面が、平均粒子径0.05μm以上1μm以下の窒化ホウ素一次粒子から構成されるものである

本発明に係る凝集BN粒子は、平均粒子径が10μm以下であるが、7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることが特に好ましい。一方、平均粒子径は、通常0.1μm以上であるが、良好な熱伝導性及び良好な流動性を得る観点から、0.3μm以上であることが好ましい。
本発明に係る凝集BN粒子の平均粒子径は、例えば、これを適当な溶剤に分散させ、堀場製作所社製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920にて測定することが可能
である。得られた粒度分布から凝集BN粒子の体積平均粒径を求めることができる。
本発明に係る凝集BN粒子は、通常、全細孔容積が2.15cm/g以下である。全細孔容積を小さくすることにより、凝集BN粒子内が密になっているために、熱伝導を阻害する境界面を少なくすることが可能となり、より熱伝導性の高い凝集BN粒子を得ることができる。
凝集BN粒子の全細孔容積は、通常2.15cm/g以下であるが、好ましくは0.3cm/g以上2.00cm/g以下、より好ましくは0.5cm/g以上1.95cm/g以下である。また、通常、凝集BN粒子の比表面積は20m/g以上であるが、好ましくは20m/g以上50m/g以下、より好ましくは25m/g以上30m/g以下である。
なお、原料BN粉末の全細孔容積は、水銀圧入法で測定することができ、比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)で測定することができる。
原料BN粉末の全細孔容積及び比表面積は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明に係る凝集BN粒子は、球状であることが好ましい。本発明において「球状」とは、アスペクト比(長径と短径の比)が1以上2以下、好ましくは1以上1.5以下である形状に、後述の原料BN粉末を凝集させて造粒された粒子のことをいい、一次粒子のことではない。即ち、本発明において「球状」ないし「球形」とはアスペクト比が1以上2以下のものを示す。なお、このアスペクト比は、好ましくは1以上1.5以下である。造粒された凝集BN粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された画像から200個以上の粒子を任意に選択し、それぞれの長径と短径の比を求めて平均値を算出することにより決定する。
なお、造粒により得られた造粒粒子の粒子径は、加熱処理後に本発明に係る凝集BN粒子として、好適な体積基準の最大粒子径の範囲を0.1μm〜25μmとするために、体積基準の平均粒子径D50で2〜20μm、特に5〜10μmであることが好ましい。ここで、造粒粒子の体積基準の平均粒子径D50は、例えば、日機装社製「マイクロトラックHRA」で測定することができる。
なお、凝集BN粒子は、製造直後では、得られた粒子が更に凝集して、上記粒子径の範囲を満たさない場合がある。そのため、凝集BN粒子は、上記粒子径の範囲を満たすように粉砕して用いることが好ましい。
凝集BN粒子の粉砕の方法は特に限定されず、ジルコニアビーズ等の粉砕用メディアと共に攪拌混合する方法や、ジェット噴射等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
本発明に係る凝集BN粒子を組成物に含有させて用いる場合においては、凝集BN粒子は1種を単独で用いてもよく、物性の異なる凝集BN粒子の2種以上を任意に組み合わせて用いてもよいし、更には本発明に係る特定結晶BN粒子を併用しても構わない。
例えば、平均粒子径が異なる2種以上の凝集BN粒子を使用してもよい。即ち、平均粒子径が比較的小さい、例えば0.1〜2μm、好ましくは0.2〜1.5μmの凝集BN粒子と、平均粒子径が比較的大きい、例えば1〜5μm、好ましくは1〜3μmの凝集BN粒子とを併用することにより、平均粒子径の大きい凝集BN粒子同士の熱伝導パスを、平均粒子径の小さい凝集BN粒子で繋ぐことにより、同一の平均粒子径のもののみを用いた場合に比べて、高充填が可能となり、より高い熱伝導性を得ることができる。
この場合、平均粒子径の小さい凝集BN粒子と平均粒子径の大きい凝集BN粒子とは重量比で10:1〜1:10の割合で用いることが、熱伝導パスの形成の上で好ましい。
また、窒化ホウ素フィラー(B)として、凝集BN粒子を使用する際には、樹脂(A)や塗布液中での分散性を高めるため、適宜表面処理を行ってもよい。
[凝集BN粒子の製造方法]
本発明において、凝集BN粒子を製造する方法としては、制限はないが、特に、原料BN粉末を粉砕工程で粉砕した後、造粒工程で凝集させることにより造粒し、更に加熱処理する加・BR>M工程を経ることが好ましい。より具体的には、原料となるBN粉末を一旦媒体中に分散させて原料BN粉末のスラリー(以下、「BNスラリー」と略記することがある。)とした後、粉砕処理を施し、その後得られたスラリーを用いて球形の粒子に造粒し、造粒した凝集BN造粒粒子の結晶化を行うために加熱処理を施すことが好ましい。
(原料BN粉末)
本発明で、凝集BN粒子を製造する際の原料となる窒化ホウ素(以下、原料BN粉末と記することがある。)としては、市販の六方晶窒化ホウ素、市販のαおよびβ−BN、ホウ素化合物とアンモニアの還元窒化法により作製されたBN、ホウ素化合物とメラミンなどの含窒素化合物から合成されたBN、ホウ水素ナトリウムと塩化アンモニウムから作製されるBNなど何れも制限なく使用できるが、特に六方晶窒化ホウ素が好ましく用いられる。
六方晶窒化ホウ素の結晶成長の観点からは、原料となる六方晶窒化ホウ素等の原料BN粉末中に酸素がある程度存在することが好ましく、本発明に係る凝集BN粒子では、原料BN粉末として全酸素含有量が1重量%以上10重量%以下であるものを用いることが好ましく、より好ましくは全酸素含有量が3重量%以上10重量%以下、さらに好ましくは全酸素含有量が3重量%以上9重量%以下である。
全酸素含有量が上記範囲内であるBN粉末は、一次粒子径が小さく、結晶が未発達のものが多いため、加熱処理により結晶が成長し易い。本発明では造粒により原料BN粉末が凝集した凝集BN粒子を加熱処理することでBN結晶を成長させることが好ましいが、上記全酸素含有量の範囲の原料BN粉末を用いることで、BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向へ成長させる、すなわちBN一次粒子を凝集BN粒子表面において放射状に配置することができる。
原料BN粉末の全酸素含有量が上記下限未満の場合、BN自体の純度、結晶性が良いために、C面の結晶成長が十分になされず、凝集BN粒子表面において、BN一次粒子を放射状に配置することができず、逆に上記上限を超えると、加熱処理後も酸素含有量が高い状態となって、組成物の窒化ホウ素フィラー(B)として用いた際に高熱伝導化が図れなくなるため好ましくない。
しかして、このような凝集BN粒子を組成物の窒化ホウ素フィラー(B)として用いて層間充填層を形成した場合、層間充填層中で六方晶窒化ホウ素の高熱伝導面(C面)がa軸を介して接触することによる熱伝導パスが形成されやすくなるために、層間充填層の厚み方向においても高い熱伝導性を得ることが可能となる。
原料BN粉末の全酸素含有量を上記範囲に調製する方法としては、BN合成時の合成温度を1800℃以下の低温で行う方法などが挙げられる。
また、全酸素含有量が上記好適範囲の原料BN粉末としては市販品を用いることもでき、例えば、日新リフラテック社製の六方晶窒化ホウ素「ABN」やMARUKA社製の六方晶窒化ホウ素「AP170S」などが挙げられる。
なお、本発明に用いる原料BN粉末の酸素含有量は、不活性ガス融解−赤外線吸収法によりHORIBA製酸素・窒素分析計を用いて測定することができる。
また、原料BN粉末は、下記(1)及び/又は(2)を満たすことが好ましい。
(1)全細孔容積が1.0cm/g以下
(2)比表面積が20m/g以上
全細孔容積が1.0cm/g以下であることにより、BN粉末が密になっているために凝集BN粒子を構成する一次粒子として用いた場合に、球形度の高い造粒が可能となる。また、比表面積が20m/g以上であることにより、造粒による球形化の際に用いるBNスラリー中の分散粒子径を小さくすることができるため好ましい。
本発明では、原料BN粉末の全細孔容積は1.0cm/g以下が好ましいが、より好ましくは0.3cm/g以上1.0cm/g以下、特に好ましくは0.5cm/g以上1.0cm/g以下である。また、本発明では、原料BN粉末の比表面積は20m/g以上であるが、より好ましくは20m/g以上500m/g以下、特に好ましくは50m/g以上200m/g以下である。
なお、原料BN粉末の全細孔容積は、水銀圧入法で測定することができ、比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)で測定することができる。
原料BN粉末の全細孔容積及び比表面積は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
また、上記の原料BN粉末でも、本発明に係る凝集BN粒子が所定の結晶子サイズを有するように、BN粉末であって、特にLaが300[Å]以上であり、より好ましくはまた、Lcが250[Å]以上であり、Lc/Laが0.8〜1.0のものを用いることが特に好ましい。
(BNスラリーの調製)
BNスラリーの調製に用いる媒体としては特に制限はなく、水及び/又は各種の有機溶媒を用いることができるが、噴霧乾燥の容易さ、装置の簡素化などの観点から、水(純水)を用いることが好ましい。
水の使用量は、多過ぎると噴霧乾燥時の負荷が増大し、少な過ぎると均一分散が困難であることから、原料BN粉末に対して1〜20重量倍、特に1〜10重量倍とすることが好ましい。
(界面活性剤)
BNスラリーには、後述の粉砕処理時のスラリーの粘度上昇を抑制すると共に、BN粒子の分散安定性(凝集抑制)の観点から、種々の界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができ、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
BNスラリーに界面活性剤を添加して用いる場合、BNスラリー中の界面活性剤濃度は0.1重量%以上10重量%以下、特に0.5重量%以上5重量%以下となるように用いることが好ましい。BNスラリーの濃度が上記下限以上であることにより、界面活性剤を添加したことによる上記効果を十分に得ることができ、また、上記上限以下であることにより、BN粉末の含有量の高いBNスラリーを調製した後、造粒し、さらに加熱処理を施した際の残存炭素の影響を小さくすることができる。
なお、界面活性剤は、以下の粉砕処理の前に添加してもよく、粉砕処理後に添加してもよい。
(バインダー)
BNスラリーは、BN粉末を効果的に凝集粒子に造粒するために、バインダーを含むことが好ましい。バインダーは、元来、粒子同士が接着性のないBN粉末を強固に結びつけ、造粒粒子の形状を安定化するために作用する。
BNスラリーに用いるバインダーとしては、BN粒子同士の接着性を高めることができるものであればよいが、本発明においては、造粒粒子は凝集化後に加熱処理されるため、この加熱処理工程における高温条件に対する耐熱性を有するものが好ましい。
このようなバインダーとしては金属酸化物が好ましく、具体的には酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどが好ましく用いられる。これらの中でも、酸化物としての熱伝導性と耐熱性、BN粒子同士を結合する結合力などの観点から、酸化アルミニウム、酸化イットリウムが好適である。なお、バインダーはアルミナゾルのような液状バインダーを用いてもよい。
これらのバインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
バインダーの使用量(液状バインダーの場合は、固形分としての使用量)は、BNスラリー中のBN粉末に対して、好ましくは1重量%以上30重量%以下であり、より好ましくは1重量%以上20重量%以下、更に好ましくは5重量%以上20重量%以下である。バインダーの使用量が上記下限未満の場合、BN同士を結着させる効果が小さくなるため造粒粒子が造粒後の形状を保てなくなるおそれがあり、上記上限を超えると造粒粒子中のBNの含有量が少なくなり、結晶成長に影響するばかりか熱伝導性のフィラーとして用いた場合に熱伝導率改善効果が小さくなるおそれがある。
(粉砕処理)
BNスラリーは、そのまま噴霧乾燥による造粒工程に供してもよいが、造粒に先立ち、スラリー中の原料BN粉末のBN粒子を粉砕処理して微細化することが好ましく、BN粒子を粉砕して微細化することにより、凝集化を円滑に行うことができるようになる。
即ち、原料BN粉末の粒子径にもよるが、BN粉末をそのまま媒体中に分散させた場合、BN粒子は平板状であるために、凝集化の工程で造粒されない粒子が多くなる傾向にあるが、BN粒子の微細化で、効率的な凝集化を行える。
粉砕には、ビーズミル、ボールミル、ピンミルなど通常の粉砕方法を用いることができるが、スラリーとして大量に循環粉砕可能で粉砕粒子径を制御しやすいという観点からビーズミルが好適である。また、粉砕によりBN粒子が微粒子化することで、BNスラリーの粘度が上昇するため、より高濃度、高粘度でも粉砕が可能なものがよく、加えて、粉砕が進むにつれてBNスラリーの温度上昇も生じるため、冷却システムが備えられているものが好ましい。このような粉砕装置としては、例えばフロイントターボ社製「OBミル」、アシザワ・ファインテック社製「スターミルLMZシリーズ」などが挙げられる。
本発明では、粉砕により、BNスラリーの原料BN粉末の体積基準の平均粒子径D50を、好ましくは、球形に造粒した際のBN造粒粒子の体積基準の平均粒子径D50に対して1/5以下の粒子径となるように粉砕する。BNスラリー中のBN粉末の体積基準の平均粒子径D50が、造粒粒子の体積基準の平均粒子径D50の1/5より大きいと、BN粒子は平板状であることから、球形化の造粒工程で球形に造粒されない粒子が多くなるため好ましくなく、また造粒した後の粒子強度も弱くなるため好ましくない。粉砕効果と粉砕の負荷とを考慮した場合、造粒に供するBNスラリー中のBN粒子の体積基準の平均粒子径D50は、このBNスラリーを造粒して得られる造粒粒子の体積基準の平均粒子径D
50の1/100〜1/5であることが好ましく、特に1/50〜1/5であることが好ましい。
なお、BNスラリー中のBN分散粒子の体積基準の平均粒子径D50は、例えば、粉砕後のスラリーを適当な溶剤に分散させ、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」、日機装社製マイクロトラック「FRA」、「HRA」、「MT3300EX」、「UPA−EX150」、日機装社製ナノトラック「UPA−EX150」など)にて測定することが可能である。
(造粒(凝集化))
BNスラリーから凝集BN粒子である造粒粒子を得るには、スプレードライ法が好適に用いられる。スプレードライ法では、原料となるスラリーの濃度、装置に導入する単位時間当たりの送液量と送液したスラリーを噴霧する際の圧空圧力及び圧空量により、所望の大きさの造粒粒子を製造することが可能であって、球状の造粒粒子を得ることも可能である。球状化に際して使用するスプレードライ装置に制限はないが、より微小な大きさの球状BN造粒粒子とするためには、四流体ノズルによるものが最適である。このような装置としては、藤崎電機社製「MDL−050M」などが挙げられる。
(加熱処理)
上記の造粒により得られた窒化ホウ素の造粒粒子は、更に非酸化性ガス雰囲気下に加熱処理されるのが好ましい。
ここで、非酸化性ガス雰囲気とは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、アンモニアガス、水素ガス、メタンガス、プロパンガス、一酸化炭素ガスなどの雰囲気のことである。ここで用いる雰囲気ガスの種類により凝集BN粒子の結晶化速度が異なるものとなり、例えばアルゴンガスでは、結晶化の速度が遅くなり、加熱処理時間が長時間に及ぶ。結晶化を短時間で行うためには特に窒素ガス、もしくは窒素ガスと他のガスを併用した混合ガスが好適に用いられる。この加熱処理の条件を適切に選択することで、本発明に係る凝集BN粒子の比表面積や全細孔容積を特定の範囲としながら、表面に平均粒子径1μm以下の窒化ホウ素一次粒子を配置し、しかも放射状に配置させることが可能となる。
加熱処理温度は通常1300℃〜2100℃であるが、好ましくは1300℃〜2000℃、更に好ましくは1400℃〜2000℃である。加熱処理温度が下記下限未満では、六方晶窒化ホウ素の結晶化が不十分となり、結晶化が未発達のアモルファス部分が残り、熱伝導性フィラーとした場合の熱伝導率改善効果が小さくなる。加熱処理温度が、上記上限を超えると、添加したバインダー成分が溶融・分解して凝集BN粒子同士が凝集し、本来の形状を保てなくなったり、BNの分解などが生じてしまうおそれがある。
加熱処理時間は、通常1時間以上50時間以下であり、より好ましくは3〜40時間、特に好ましくは5〜30時間である。更に、上記加熱処理時間内に、特に1300℃〜1500℃で3時間以上の保持工程を導入することが好ましい。前記温度範囲で保持工程を導入することにより、より効率的に六方晶窒化ホウ素の結晶化が行われるため、上限の加熱処理温度を低下できる傾向にある。加熱処理時間が上記下限未満の場合、結晶化が不十分となり、上記上限を超えると六方晶窒化ホウ素が一部分解するおそれがある。
加熱処理は、非酸化性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、このためには、通常、炉内を真空ポンプで引きながら加熱し、加熱に伴う分解ガスなどが少なくなるまで排気を行った後、非酸化性ガスを導入しながら、続けて所望の温度まで加熱して昇温することが好ましい。真空ポンプで排気を行う温度の目安としては、200〜500℃、例えば、400℃付近まで30〜60分程度で加熱昇温した後、その温度を保持しながら30〜60分程度排気を続け、真空度が10Pa以下となるまで真空引きを行い、その後、非酸化性ガス
を導入することが好ましい。非酸化性ガスの流量は、炉の大きさにもよるが、通常2L(リットル)/分以上であれば問題ない。その後、非酸化性ガスを導入しながら1500℃程度まで50〜100℃/時で昇温し、その後1500℃から所定の加熱処理温度まで30〜50℃/時で昇温する。この温度で上記加熱処理時間中、加熱した後、5〜50℃/分程度で室温まで降温することが好ましい。
例えば、窒素ガス雰囲気下で加熱処理を行う場合は、2000℃前後で5時間程度、アルゴンガス雰囲気の場合は、2000℃前後で5〜15時間程度の条件とすることで、BN結晶の一次粒子を平均1μm以下とし、放射状に成長させることができる。
加熱処理を施す焼成炉は、マッフル炉、管状炉、雰囲気炉などのバッチ式炉やロータリーキルン、スクリューコンベヤ炉、トンネル炉、ベルト炉、プッシャー炉、竪型連続炉などの連続炉が挙げられ、目的に応じて使い分けられる。
(分級)
上記加熱処理後の凝集BN粒子は、平均粒子径を小さくし、しかも組成物に配合したときの粘度上昇を抑制するために、好ましくは分級処理する。この分級は、通常、造粒粒子の加熱処理後に行われるが、加熱処理前の造粒粒子について行い、その後加熱処理に供してもよい。
分級は湿式、乾式のいずれでも良いが、六方晶窒化ホウ素の分解を抑制するという観点からは、乾式の分級が好ましい。特に、バインダーが水溶性を有する場合には、特に乾式分級が好ましく用いられる。
乾式の分級には、篩による分級のほか、遠心力と流体抗力の差によって分級する風力分級などがあるが、分級精度の観点からは、風力分級が好ましく、旋回気流式分級機、強制渦遠心式分級機、半自由渦遠心式分級機などの分級機を用いて行うことができる。これらの中で、サブミクロンからシングルミクロン領域の小さな微粒子を分級するには旋回気流式分級機を、それ以上の比較的大きな粒子を分級するには半自由渦遠心式分級機など、分級する粒子の粒子径に応じて適宜使い分ければよい。
本発明では、好ましくは、体積基準の最大粒子径が0.1μm以上25μm以下の凝集BN粒子を得るために、旋回気流式分級機を用いて分級操作を行うことが好ましい。
(凝集BN粒子の物性)
上述のようにして、原料BN粉末を造粒し、加熱処理をすることによって、その形状を保持したまま六方晶窒化ホウ素の結晶を成長させ、比表面積や全細孔容積を特定の範囲としながら、表面に平均粒子径1μm以下の窒化ホウ素一次粒子を配置することが可能となり、しかも凝集粒子表面に平均1μm以下のBN一次粒子が、凝集粒子の中心側から表面側へ向けて放射状、即ち、BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向に配置されている本発明に係る凝集BN粒子を調製することができる。
なお、本発明に係る凝集BN粒子表面には、平均粒子径1μm以下の窒化ホウ素一次粒子が存在することが好ましいが、「平均1μm以下のBN一次粒子」の「1μm以下」とは、当該BN一次粒子の粒子径に相当する長さを指す。このBN一次粒子の結晶の大きさは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、2万倍程度の倍率で観察して、表面に観察される任意の100個の粒子の最大粒子サイズを計測して、平均値を求めることで測定することができる。
本発明に係る凝集BN粒子において、結晶がどのように成長しているかは、高熱伝導性フィラーとしての用途において重要な要件であり、熱伝導性の等方性、樹脂との混練性、耐崩壊性に優れるという観点から、本発明に係る凝集BN粒子では、このような特異的な結晶成長をさせたものが好ましい。
本発明に係る凝集BN粒子は、表面が平均1μm以下の微細なBN一次結晶で覆われていることが好ましく、更に比表面積および全細孔容積が特定の範囲であることが好ましい。また、平均1μm以下の微細なBN一次結晶が、放射状、即ち、BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向に配置されていることが好ましい。その調製方法の一手段としては、全酸素含有量1重量%以上10重量%以下の六方晶窒化ホウ素粉末を原料に用い、更に、加熱処理の条件を前述のように制御することが重要である。
すなわち、全酸素含有量が1重量%未満の六方晶窒化ホウ素粉末を原料として作製された凝集BN粒子と本発明に係る凝集BN粒子では、凝集BN表面の結晶構造が全く異なり、六方晶窒化ホウ素の結晶成長方向が全く異なるものとなる。
具体的には、本発明に係る凝集BN粒子では、六方晶窒化ホウ素の結晶成長方向は球に対して中心から放射状、即ち、BN結晶の一次粒子がa軸を外に向けるように法線方向へ成長しているのに対して、全酸素含有量が1重量%未満の原料六方晶窒化ホウ素を用いた場合は、円周方向に結晶成長(六方晶窒化ホウ素のC面を外に向けるように成長)しており、この結果、比表面積が小さく、全細孔容積も大きいものであった。
さらに、本発明に係る凝集BNを窒化ホウ素フィラー(B)として組成物に配合した場合、同一の充填量で比較すると、形成される層間充填層の厚み方向の熱伝導率が劇的に改善できる。これは、本発明に係る六方晶窒化ホウ素では、球表面の微細な六方晶窒化ホウ素一次粒子の高熱伝導面(C面または002面)がa軸同士での接触を介して、層間充填層中で有効な熱伝導パスを形成しやすいことによると推察している。このような結晶成長は、原料六方晶窒化ホウ素粉末自体の全酸素含有量が比較的高く、結晶性の低い状態から再結晶化させることによって得られるものであり、全酸素含有量が低く、結晶性の良い六方晶窒化ホウ素原料を用いた場合には、放射状の六方晶窒化ホウ素結晶成長はほとんど起こらない。
また、全酸素含有量が高く、結晶性の低い原料を用いることで、粉砕時の微粒子化をスムーズに行うとともに、造粒による球形度の向上が達成され、熱処理後の分級工程において、効率良く体積基準の最大粒子径0.1μm以上25μm以下の範囲に分級することも容易となる。
また、本発明に係る凝集BN粒子は、金属酸化物をバインダーとして用い、造粒物としては比較的小さな細孔容量と比較的高いバルク密度を有するものとすることができるため、樹脂との混練性に優れ、高充填が可能で、更には、樹脂との混練時の崩壊も防止される。
上述のように、凝集BN粒子中のBN結晶を球状粒子の中心側から放射状に成長させた、本発明に係る凝集BN粒子を組成物に用いた場合、BN結晶の成長方向に由来する熱伝導パスの形成により、微粒子であるにもかかわらず、著しく高い熱伝導性の改善効果を得ることができる。
さらに、本発明に係る凝集BN粒子を用いて形成された層間充填層では、従来から課題となっていた熱伝導性の異方性も大幅に改善される。
(凝集BN粒子の結晶構造、その表面及び平均粒子径)
本発明において、凝集BN粒子の結晶構造は、粉末X線回折測定により確認することができ、凝集BN粒子の表面のBN一次粒子の結晶の成長方向は、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。また、凝集BNの平均粒子径は、分散安定剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する純水媒体中に凝集BN粒子を分散させた試料に対して、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置などを用いて測定することができる。
(凝集BN粒子の体積基準の最大粒子径)
本発明に係る凝集BN粒子は、体積基準の最大粒子径が、0.1〜25μm、特に2〜10μm、とりわけ4〜10μmの範囲にあることが好ましい。凝集BN粒子の最大粒子径が、上記上限以下であることにより、組成物の窒化ホウ素フィラー(B)として用いた場合、表面荒れのない層間充填層を形成することができる。また、薄い層間充填層の形成も可能となり、薄膜塗布に好適に用いることができ、その厚み方向の熱伝導性を高めることができる。最大粒子径が上記下限より小さい凝集BNでは、熱伝導性フィラーとしての熱伝導性向上効果が小さくなる。
なお、本発明に係る凝集BN粒子の体積基準の平均粒子径D50については特に制限はないが、上記体積基準の最大粒子径の値と同様な理由から、1〜20μm、特に1〜10μmであることが好ましい。
特に窒化ホウ素フィラー(B)としての凝集BN粒子は、平均粒子径D50が0.1〜5μm、かつ、最大粒子径が10μm以下であることが好ましく、より好ましくは平均粒子径D50が0.3〜4.5μm、かつ、最大粒子径が9.5μm以下であり、更に好ましくは平均粒子径D50が0.5〜4μm、かつ、最大粒子径が9μm以下である。
一般的には、三次元集積回路は、更なる高速化・高容量化などの性能向上のために、各チップ間の距離がチップ間距離10〜50μm程度にまで小さくなっているが、チップ間の層間充填層において、配合されるフィラーの最大粒径は、層間充填層の厚みの1/2から1/3以下にすることが好ましい。
窒化ホウ素フィラー(B)の最大粒子径が10μmを超えると、硬化した後の層間充填層の表面に窒化ホウ素フィラー(B)が突出して、層間充填層の表面形状が悪化する傾向となる。
一方で、窒化ホウ素フィラー(B)の粒径が小さ過ぎると、必要な熱伝導パス数が増加して、チップ間の厚み方向に上から下まで繋がる確率が小さくなり、熱伝導性の高い樹脂(A)と組み合わせても、層間充填層の厚み方向への熱伝導率が不十分となる。
また、窒化ホウ素フィラー(B)の粒径が小さ過ぎると、窒化ホウ素フィラー(B)が凝集しやすくなり、組成物或いは塗布液中での分散性が悪くなる。窒化ホウ素フィラー(B)の平均粒子径D50を、上記範囲とすることにより、フィラー同士の過度の凝集が抑制され、厚み方向へ充分な熱伝導率を有する層間充填層を得ることができる。
なお、本発明に係る凝集BN粒子の体積基準の最大粒子径及び平均粒子径D50は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
なお、上記の凝集BN粒子は1種を単独で用いてもよく、物性の異なる凝集BN粒子の2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
例えば、平均粒子径D50が異なる2種以上の凝集BN粒子を使用してもよい。即ち、平均粒子径D50が比較的小さい、例えば0.1〜2μm、好ましくは0.2〜1.5μmの凝集BN粒子と、平均粒子径D50が比較的大きい、例えば1〜5μm、好ましくは1〜3μmの凝集BN粒子とを併用することにより、平均粒子径D50の大きい凝集BN粒子同士の熱伝導パスを平均粒子径D50の小さい凝集BN粒子で繋ぐことにより、同一平均粒子径D50のもののみを用いた場合に比べて高充填が可能となり、より高い熱伝導性を得ることができる。
この場合、平均粒子径D50の小さい凝集BN粒子と平均粒子径D50の大きい凝集BN粒子とは重量比で10:1〜1:10の割合で用いることが、熱伝導パスの形成の上で好ましい。
また、窒化ホウ素フィラー(B)としての凝集BN粒子は、樹脂(A)や塗布液中での分散性を高めるため、例えばシランカップリング剤などにより適宜表面処理を行ってもよい。シランカップリング剤としては、官能基としてビニル基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基から選ばれる少なくとも1つの基を有するものが好ましく、中でも、エポキシ基、アミノ基を有するものがより好ましい。
<無機フィラー(E)>
本発明において用いられる無機フィラー(E)には、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下であって、窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径とは異なる体積平均粒径を有するものが用いられる。この体積平均粒径は追って記載するが、窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径と同じ方法により測定される。
本発明の層間充填材組成物において、無機フィラー(E)は、熱伝導性の向上と線膨張率の制御を目的に添加される。窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径とは異なる体積平均粒径を有することにより、層間充填材組成物中での粒子間の空隙を、窒化ホウ素フィラー(B)と相互に充填し合うことが可能となり、熱伝導性の向上と線膨張率の制御に顕著な効果を発現するが、特に線膨張率の制御に寄与する。
無機フィラー(E)は窒化ホウ素フィラー(B)と化学的に異なるものが用いられる。ここで、化学的に異なるとは、無機フィラーを構成する元素の種類が異なるのみではなく、構成する元素の種類が同じであっても組成比が異なるものは、化学的に異なる無機フィラーであると定義する。
このような無機フィラー(E)としては、金属、炭素、金属炭化物、金属酸化物及び金属窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1種があげられる。炭素の例としては、カーボンブラック、炭素繊維、グラファイト、フレーレン、ダイヤモンドなどがあげられる。金属炭化物の例としては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タングステンなどがあげられる。金属酸化物の例としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イッテルビウム、サイアロン(ケイ素、アルミニウム、酸素、窒素からなるセラミックス)等があげられる。また、それらの形状について制限はなく、粒子状、ウィスカー状、繊維状、板状、またはそれらの凝集体であってもよい。上記金属窒化物としては、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等があげられる。
高熱伝導性樹脂組成物においては、絶縁性が要求される用途が多いことから、無機フィラー(E)の中でも、金属酸化物及び金属窒化物が好ましい。
無機フィラー(E)としてより具体的には、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化マグネシウム(MgO)、高結晶性シリカ(SiO)などが挙げられ、なかでも、Al、SiOが好ましい。これらの無機フィラー(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の無機フィラー(E)は、体積平均粒径が10μm以下であることが好ましい。また、本発明の無機フィラー(E)は、体積平均粒径が7μm以下であることがより好ましく、体積平均粒径が5μm以下であることがさらに好ましく、4μm以下であることが特に好ましい。一方、良好な熱伝導性及び良好な流動性を得る観点から、体積平均粒径は0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上である。
本発明において、窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径と、無機フィラー(E)の体積平均粒径は異なるものであるが、熱伝導性の向上と線膨張率の制御を両立させるために、窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径と、無機フィラー(E)の体積平均粒径と
の差が、1μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm以上4μm以下である。
本発明の層間充填材組成物は、高い熱伝導率を有する六方晶窒化ホウ素粉末に加えて、無機フィラー(E)を含有することにより、この層間充填材組成物を用いて層間充填層を形成すると、半導体基板間の熱伝導の向上と同時に、層間充填層の線膨張率を低減させて、半導体デバイス基板との線膨張率のミスマッチによる積層体破損の可能性を低下させ、半導体デバイスを安定的に動作させることが可能となる。
近年、三次元集積回路は、更なる高速化・高容量化などの性能向上のために各チップ間の距離がチップ間距離10〜50μm程度にまで小さくなっているが、チップ間の層間充填層において、配合されるフィラーの最大粒径は層間充填層の厚みの1/3以下にすることが好ましい。
無機フィラー(E)の最大粒子径が10μmを超えると硬化した後の層間充填層の表面に無機フィラー(E)が突出して、層間充填層の表面形状が悪化する傾向にある。
一方で、無機フィラー(E)の粒径が小さ過ぎると、無機フィラー(E)が凝集しやすくなり層間充填材組成物ないしは塗布液中での分散性が悪くなる。また無機フィラー(E)の粒径が小さ過ぎると比表面積が増大して層間充填材組成物の粘度が上昇して積層プロセスに適用することが困難となる。本発明において、無機フィラー(E)の体積平均粒径を上記範囲とすることにより、フィラー同士の過度の凝集が抑制され、良好な熱伝導率を有する層間充填材層を得ることができる。
なお無機フィラーは、合成直後では、粉末が凝集して、上記粒径範囲を満たさない場合がある。そのため、無機フィラーを上記粒径範囲を満たすように粉砕して用いることが好ましい。
無機フィラーの粉砕の方法は特に限定されず、ロールミルやプラネタリミキサによる解砕、ジルコニアビーズ等の粉砕用メディアと共に攪拌混合する方法、ジェット噴射等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
本発明においては、上記の無機フィラーは1種を単独で用いてもよく、物性の異なる無機フィラーの2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
例えば、体積平均粒径が異なる2種以上の無機フィラーを使用してもよい。即ち、体積平均粒径が比較的小さい、例えば0.1〜2μm、好ましくは0.2〜1.5μmの無機フィラーと、体積平均粒径が比較的大きい、例えば1〜5μm、好ましくは1〜3μmの無機フィラーとを併用することにより、体積平均粒径の大きい無機フィラー同士の熱伝導パスを体積平均粒径の小さい無機フィラーで繋ぐことにより、同一の体積平均粒径のもののみを用いた場合に比べて高充填が可能となり、より高い熱伝導性を得ることができる。
この場合、体積平均粒径の小さい無機フィラーと体積平均粒径の大きい無機フィラーとは重量比で10:1〜1:10の割合で用いることが、熱伝導パスの形成の上で好ましい。
また、無機フィラー(E)は、樹脂(A)や塗布液中での分散性を高めるため、例えばシランカップリング剤などにより適宜表面処理を行ってもよい。シランカップリング剤としては、官能基としてビニル基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基から選ばれる少なくとも1つの基を有するものが好ましく、中でも、エポキシ基、アミノ基を有するものがより好ましい。
本発明の層間充填材組成物中の無機フィラー(E)の含有量は、樹脂(A)100重量
部あたり、10重量部以上400重量部以下が好ましく、20重量部以上300重量部以下がより好ましい。無機フィラー(E)の含有量が全エポキシ樹脂100重量部当たり、10重量部未満であると無機フィラー(E)の添加効果が小さくなり、目的とする線膨張率の低減効果が得られない場合があり、400重量部を超えると無機フィラー(E)の存在が接合性を阻害することがある。
<窒化ホウ素フィラー(B)及び無機フィラー(E)の物性>
・体積平均粒径
窒化ホウ素フィラー(B)及び無機フィラー(E)は、その粒径が大き過ぎると、積層型半導体装置の半導体デバイス層が形成された半導体チップ同士の電気的接合を阻害したり、いったん接合した半導体チップ同士の電気的接合が温度変化などにより切断されたりするような不具合が発生する場合がある。また、小さ過ぎると凝集しやすくなり、層間充填材組成物中での分散性が悪くなり、粘度上昇や接合不良を起こしたりすることから、既に記載した本発明の規定する体積平均粒径に制御する必要がある。
窒化ホウ素フィラー(B)及び無機フィラー(E)の体積平均粒径は、通常知られる粒度分布測定装置により測定することができるが、例えば以下の方法により測定することができる。層間充填材組成物をシクロヘキサノン中に所望の濃度で分散させ、島津製作所製粒度分布測定装置「SALD−2200」にて測定し、体積粒度分布を得る。得られた粒度分布から、粉砕後の無機フィラーの体積平均粒径を求めることができる。
・比表面積
窒化ホウ素フィラー(B)及び無機フィラー(E)の比表面積は、ガス吸着法などの通常知られる比表面積測定方法により測定することができるが、例えば以下の方法により測定することができる。無機フィラー(E)に250℃、15分間窒素ガスフローの前処理を行った後、株式会社マウンテック製 マックソーブHM MODEL−1201を用い、BET1点法(吸着ガス:窒素)にて、比表面積を測定することができる。
・熱伝導率
無機フィラー(E)の熱伝導率は、焼結等による薄板を形成してこれを定常法又は非定常法により測定することが出来る。非定常法では熱伝導率λは、熱拡散率(α)と比熱容量(Cp)、及び密度(ρ)に比例するので、例えばJIS R1611に規定の方法に従い、α、Cp及びρをそれぞれ求めた後、これらの積により熱伝導率λを測定することが出来る。
<硬化剤(C)>
本発明の層間充填材組成物は、必要に応じて硬化剤(C)を含有していてもよい。
本発明で用いる硬化剤(C)とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応に寄与する物質を示す。
硬化剤(C)としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾールおよびその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。また、これらの硬化剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,
4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
アミン系硬化剤の具体例として、脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸
、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が例示される。
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が例示される。
第3級アミンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
イミダゾールおよびその誘導体としては、1−シアノエチルー2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、およびエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が例示される。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
また、下記式(1)で示される芳香族アミン系硬化剤があげられる。
N−Ar−COO−[X−O]−CO−Ar−NH ・・・(1)ここで、Arはフェニレン基を表す。
式(1)において、−[X−O]−は、−[(CH−O]−及びこの構造の有するいずれかの炭素がアルキル基を有する分岐構造から選ばれる少なくとも1種の構造を意味する。この式(1)中のnは、1〜20の整数がよく、2〜12の整数が好ましく、2〜8がさらに好ましく、2〜4が最も好ましい。また、この式(1)中のmは、1〜10の整数がよく、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数が最も好ましい。nまたはmが大きすぎると、硬化物の弾性率やガラス転移温度が低下し、一方、n=0の場合は、芳香族ジアミンの剛直性のため、エポキシ樹脂中のメソゲンの運動性が低下し、メソゲンが並んで高秩序化されたドメイン相の形成を妨げ、熱伝導性が大きくならない場合がある。
より具体的には、
ビス(4−アミノベンゾイロキシ)メタン、
ビス(4−アミノベンゾイロキシ)エタン、
1,3−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)プロパン、
1,4−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ブタン、
1,5−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ペンタン、
1,6−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ヘキサン、
1,7−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ヘプタン、
1,8−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)オクタン、
1,9−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ノナン、
1,10−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)デカン、
1,11−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ウンデカン、
1,12−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ドデカン等があげられる。
なお、−[X−O]−がブチレングリコールに由来するユニット(nが4)の場合、またはXがアルキル基を有する分岐構造から選ばれる少なくとも1つの構造の場合が、工業的に入手しやすい点でより好ましい。このような芳香族アミン系硬化剤の例として、
1,4−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ブタン、
ジ(テトラメチレンオキシ)ビス−4−アミノベンゾエート、
トリ(テトラメチレンオキシ)ビス−4−アミノベンゾエート、
ポリ(テトラメチレンオキシ)ビス−4−アミノベンゾエートがあげられる。
本発明の層間充填材組成物中の硬化剤(C)の含有量は、150℃における粘度が1Pa・s以下であるエポキシ樹脂(a1)と他のエポキシ樹脂(a2)を含む全エポキシ樹脂100重量部当たり、0.005重量部以上200重量部以下であり、好ましくは、0.01重量部以上180重量部以下ある。
全エポキシ樹脂100重量部当たりの硬化剤(C)の含有量が0.005重量部未満であると、硬化が不十分になるおそれがあり、200重量部を超えると接着性、熱伝導性などの所望の物性が得られない場合がある。
<フラックス(D)>
本発明の層間充填材組成物は、更にフラックス(D)を含むことが好ましい。フラックスとは、具体的には、金属端子のはんだ接合時において、はんだバンプ等の金属電気信号端子およびランドの表面酸化膜の溶解除去や、はんだバンプのランド表面における濡れ広がり性の向上、更にははんだバンプの金属端子表面の再酸化防止などの機能を有する化合物である。
本発明で用いるフラックスとしては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメシン酸、ベンゼンテトラカルボン酸などの芳香族カルボン酸やその酸無水物、アビエチン酸、ロジンなどのテルペン系カルボン酸などの有機カルボン酸、および有機カルボン酸をアルキルビニルエーテル類と反応して変換したヘミアセタールエステルである有機カルボン酸エステル、グルタミン酸塩酸塩、アニリン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩、臭化セチルピリジン、フェニルヒドラジン塩酸塩、テトラクロルナフタレン、メチルヒドラジン塩酸塩、メチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩などの有機ハロゲン化合物、尿素、ジエチレントリアミンヒドラジンなどのアミン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、塩酸、フッ酸、燐酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化銅、フッ化ニッケル、フッ化亜鉛などのフッ化物、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化第一銅、塩化ニッケル、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化第一錫などの塩化物、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、臭化錫、臭化亜鉛などの臭化物などが挙げられる。これらの化合物は、そのまま用いても、また有機ポリマ
ーや無機化合物等による被覆剤を用いてマイクロカプセル化したものを用いても良い。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の層間充填材組成物中のフラックス(D)の含有量は、樹脂(A)100重量部あたり、好ましくは0.1重量部以上10重量部以下、より好ましくは0.5重量部以上5重量部以下である。フラックス(D)の含有量が全エポキシ樹脂100重量部当たり0.1重量部未満では、酸化膜除去性低下によるはんだ接続不良のおそれがあり、また10重量部を超えると組成物の粘度上昇による接続不良の恐れがでてくる。
フラックス(D)の含有量は、前記樹脂(A)および窒化ホウ素フィラー(B)と無機フィラー(E)の合計100重量部に対して、5重量部以上がよく、10重量部以上が好ましい。5重量部より少ないと、得られる樹脂組成物の熱伝導性が小さく好ましくない。一方、含有量の上限は、150重量部がよく、100重量部が好ましい。150重量部より多いと、複合材の粘度が大きくなり、窒化ホウ素フィラー(B)や無機フィラー(E)が均一に分散しにくくなるため、好ましくない。無機フィラー(E)として六方晶窒化ホウ素を用いる場合の含有量も、また同様である。
<分散剤(F)>
本発明に係る層間充填材組成物は、窒化ホウ素フィラー(B)及び無機フィラー(E)の分散性を高めるため、分散剤、界面活性剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等を含有することが好ましい。分散剤としては、窒化ホウ素フィラー(B)の分散性を高めるために、アミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤を用いることが好ましい。また、分散剤を用いたコンパウンドとして本発明の層間充填材組成物を用いる場合、コンパウンドの塗布性の向上や塗膜性状の改善効果に優れることから、官能基として3級アミノ基を有するものが好ましい。このような分散剤(F)の一例として、例えば、アクリル系分散剤及び/又はウレタン系分散剤があげられる。
界面活性剤としては、従来公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤のいずれも使用できる。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、アルキルベタイン類、アミノ酸類などが挙げられる。
また、これら界面活性剤においてC−H結合の一部又は全てがC−F結合となったフッ素界面活性剤も好ましく用いることができる。
界面活性剤の添加量として、層間充填材組成物中の全固形分に対して、0.001〜5重量%程度とするのが好ましく、0.01〜1重量%がより好ましい。0.001重量%未満では、無機フィラー(E)の分散特性を改善することができない場合があり、また5重量%を超えると樹脂(A)との相分離等を引き起こす場合があり好ましくない。
<積層型半導体装置用の層間充填材組成物の製造方法>
本発明にかかる積層型半導体装置用の層間充填材組成物は、前記構成成分を前記した混合割合で混合することにより製造することができる。その際、層間充填材組成物の均一性の向上、脱泡等を目的として、ペイントシェーカーやビーズミル、プラネタリミキサ、撹拌型分散機、自公転攪拌混合機、三本ロールなどを用いて混合することが好ましい。また、混合順序も反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、層間充填材組成物の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め混合し、その後に残りの成
分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
本発明の層間充填材組成物の構成成分を混合する際は、各構成成分がより均一に混合できるように、常温以上に加熱することが好ましい。より好ましくは、40℃以上130℃以下の温度条件下で混合する。40℃以下の温度で混合すると、樹脂(A)の粘度が高いために無機フィラーを均一に分散させることが困難となる虞があり、130℃以上の温度で混合すると、層間充填材組成物中に気泡が混在しやすくなる虞がある。
また、本発明の層間充填材組成物の構成成分を混合する際の気泡の混在は、混合する際の圧力を下げることにより低減することが可能である。より具体的には、混合槽内の圧力を100Torr以下にすることが好ましく、より好ましくは90Torr以下にすることが好ましく、80Torr以下のすることが特に好ましい。
更に、混合を均一にするために有機溶媒を用いてもよい。
本発明の層間充填材組成物で用いる有機溶媒(G)としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。
このうち、樹脂の溶解性および溶媒の沸点等を勘案すると、メチルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン類、エステル類およびエーテル類が好ましく、特にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を用いることが特に好ましい。
これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の層間充填材組成物において、有機溶媒の他の成分に対する混合割合は、特に制限はないが、好ましくは層間充填材組成物中の固形分濃度が20重量%以上70重量%以下、特に30重量%以上60重量%以下となるような割合で有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒を、このような含有割合とすることにより、本発明の層間充填材組成物を使用して、任意の塗布法によって良好な塗布膜を形成することができる。
有機溶媒の混合割合が、上記下限未満では層間充填材組成物の粘度が上昇し、良好な層間が得られない場合があり、または上記上限を超えると所望の層間膜厚が得られない等の問題が出てくる可能性がある。溶媒は混合後、減圧乾燥によって除去することができる。
この発明にかかる積層型半導体装置用の層間充填材組成物は、更に加熱し成形することにより成形体を得ることができる。この成形方法は、一般に用いられる方法を用いて、層間充填材組成物の状態や樹脂の種類に応じて適宜に行うことができる。
例えば、可塑性や流動性を有する層間充填材組成物の成形は、窒化ホウ素樹脂複合材を所望の形状で、例えば型へ収容した状態で、硬化させることによって行うことができる。このような成形体の製造では、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、及び圧縮成形を利用することができる。また成形体の成形、すなわち硬化は、それぞれの硬化温度条件で行うことができる。また前記成形体は、層間充填材組成物の硬化物を所望の形状に削り出すことによっても得ることができる。
[その他の添加剤]
本発明の層間充填材組成物には、その機能の更なる向上を目的として、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の添加剤を含んでいてもよい。
このような添加剤としては、窒化ホウ素フィラーや無機フィラーの配向を制御するための微粒子成分や、エポキシ樹脂の特性を損なわずに層間充填材組成物を低粘度下する反応性希釈剤成分や、弾性率や破壊靱性等の膜物性の改良のために、柔軟性骨格やゴム弾性骨格を有する樹脂成分や、0.01〜1μm程度のゴム状粒子等が挙げられる。
窒化ホウ素フィラーや無機フィラーの配向を制御するための微粒子成分としては、体積平均粒径が0.5μm以上20μm以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1μm以上10μm以下である。このような微粒子成分としては、例えば樹脂の微粒子として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステルや、アクリル酸エステル等から得られる樹脂等を基材とする微粒子、上記モノマーとメチルビニルエーテル、酢酸ビニル、ジビニルベンゼンなど他のモノマーとの共重合体微粒子、又はこれらを架橋した微粒子などのアクリル系微粒子;スチレン系微粒子;低密度ポリエチレン微粒子、高密度ポリエチレン微粒子、超高分子量ポリエチレン微粒子、又はエチレン・アクリル酸共重合体微粒子などのポリエチレン系微粒子;ナイロン系微粒子;ポリアクリロニトリルを主成分とするPAN系微粒子;熱硬化性若しくは熱可塑性のポリウレタン系微粒子;ノボラック樹脂微粒子、レゾール樹脂微粒子などのフェノール樹脂系微粒子;シリコーン樹脂微粒子、シリコーン樹脂被覆微粒子などのシリコーン樹脂系微粒子;ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物微粒子、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物微粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物微粒子などのベンゾグアナミン・メラミン系微粒子;四フッ化エチレン樹脂微粒子などのフッ素樹脂系微粒子;アラミド微粒子、ポリイミド微粒子、PEEK微粒子などのエンプラ系微粒子;シルクなどの天然高分子系微粒子等が挙げられる。また、無機の微粒子としては、絶縁性のある微粒子が好ましく、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム等の無機酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機窒化物;炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素等の無機炭化物;ダイヤモンド等;等の微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
反応性希釈剤としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、溶融粘度の低減の観点から、そのエポキシ当量が70g/当量以上350g/当量以下であることが好ましく、より好ましくは80g/当量以上200g/当量以下である。このような反応性希釈剤として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、エリスリトールテトラグリシジルエーテルなど、2価以上の多価アルコール類のグリシジルエーテル体などが挙げられる。
また樹脂成分としては、柔軟性やゴム弾性骨格を有する樹脂が好ましく、この中でも特に柔軟性やゴム弾性骨格を有するエポキシ樹脂が好ましい。
さらにゴム状粒子としては、層間充填材として積層型半導体装置の製造プロセスへの適合性を勘案して、0.01〜1μmの粒径を有するゴム状粒子であることが好ましい。ゴム状粒子の樹脂中への分散性促進のために、該粒子表面はゴム状成分とは異なる樹脂成分にて被覆されていても良い。ゴム状成分としては、汎用のゴム成分を用いることが出来るが、この中でもスチレンブタジエンゴムやポリブタジエンゴム、シリコンゴムなどのゴム成分であることが好ましい。
その他、基材との接着性や樹脂と無機フィラーとの接着性を向上させるための添加成分として、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤、保存安定性向上のための紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、着色剤、成形時の流動性
改良及び基材との密着性向上の観点より、熱可塑性のオリゴマー類を添加することもできる。これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。その他の添加剤の配合量には特に制限はなく、必要な機能性が得られる程度に、通常の樹脂組成物の配合量で用いられる。
本発明の層間充填材組成物においては、硬化膜からのイオン成分の溶出を低減させ積層型半導体装置の信頼性向上のためにも、構成成分である樹脂、無機フィラー、硬化剤、フラックス、分散剤及びその他の添加剤について、事前に精製処理を施したものを適用することが好ましい。
また、硬化膜からのイオン成分の溶出を低減させて、積層型半導体装置の層間材料として使用した場合に、積層型半導体装置の信頼性を向上させるために、イオン成分を捕捉する作用を有するイオン捕捉剤を使用することが好ましい。イオン補足剤としては、ナトリウムイオンやカリウムカリウムイオンなどのアルカリ金属イオンを補足するものが好適に使用可能であるが、塩素や臭素等のハロゲンイオンの捕捉に優れた捕捉剤の使用が更に好ましく、これらイオン捕捉剤としては、ビスマスやアルミニウム、マグネシウムなどを含有する無機イオン交換体であることが好ましい。
また、層間充填材組成物は、加水分解性の塩素を含有すると積層型半導体装置の信頼性を低下させる虞があるので、層間充填材組成物中の加水分解性の塩素量は150ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。加水分解性の塩素を好ましい範囲とするためには、樹脂(A)中の加水分解性の塩素を、水などの溶媒により抽出洗浄した後に分液したり、蒸留による精製処理を行ったりする方法を適用することで達成することができる。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのジグリシジルエーテル変性物については160〜200℃の温度で100Torr以下にて減圧蒸留することにより、また1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル変性物については、純水を添加して撹拌混合を行い静置して層分離させた後、分液して脱水処理を行うことにより、それぞれ精製することが出来る。
<積層型半導体装置>
本発明の積層型半導体装置は、本発明の層間充填材組成物を硬化させてなる層間充填材組成物硬化物を層間に有するものであり、樹脂(A)の特性により、窒化ホウ素フィラー(B)及び無機フィラー(E)を高い割合で配合した場合でも低溶融粘度を示し、高熱伝導率とはんだ接合性を両立することが出来る。
本発明に係る層間充填材組成物は、高熱伝導性及び液晶性を有するので、電気・電子分野などにおいて熱伝導性が要求される放熱基板、放熱シート、熱伝導性ペースト、熱伝導性接着剤、半導体パッケージ、ヒートシンク、ヒートパイプ、電気電子機器の筐体等に使用することができる。
本発明の積層型半導体装置は、複数の基板を有するものであって、当該基板としては、有機インターポーザなどに代表される有機基板、メモリー回路や論理回路などの半導体デバイス層が形成されたシリコン基板に代表される半導体基板があげられ、これらの基板の中から選ばれる任意の基板の間に本発明の組成物を含む層間充填材層を有するものである。
本発明の積層型半導体装置は、本発明の組成物の特性により、窒化ホウ素フィラー(B)及び無機フィラー(E)を高い割合で配合した場合でも低溶融粘度を示し、高熱伝導率と、適度な線膨張率を両立することによって、基板を積層するプロセス、および積層型半導体装置に適合し、各種の環境変化によっても積層型半導体装置の電気的接合が安定に維
持されるような層間充填材層を形成することができる。
・半導体基板
本発明における半導体基板としては、集積回路の製造において基板として用いることができる任意の材質のものを用いることができるが、シリコン基板が好ましく使用される。シリコン基板としては、口径に応じた基板膜厚のまま用いても良いし、バックサイドエッチングやバックグラインド等の裏面研磨により、100μm以下に薄膜化した後に用いても良い。
半導体基板は、通常はんだバンプとランド端子を有している。
はんだバンプとしては微細なはんだボールを用いても良いし、リソグラフィーにて開口部を形成後、開口部の下地に直接、又はニッケルや銅のポストを形成した上にはんだめっきを施して、レジスト材を除去後、加熱処理によりはんだバンプを形成しても良い。はんだの組成としては特に限定はされないが、電気的な接合性及び低温接合性を勘案して、錫を主要成分として含有するはんだが好ましく用いられる。
ランド端子は半導体基板上にPVD(Physical Vapor Deposition)等を用いて薄膜を成膜した後、リソグラフィーによるレジスト膜形成、及びドライ又はウエットエッチイングにより、不要部を除去することにより形成することができる。ランド端子の材料としては、はんだバンプと接合可能なものであれば特に限定はされないが、はんだとの接合性及び信頼性等を勘案して、金や銅を好ましく用いることができる。
・有機基板
有機基板は、はんだボールを外部電極とするアレイ状の電極と半導体基板を接続する高密度実装用のパターン変換基板(インターポーザ)であり、有機基板を構成する樹脂成分としてエポキシ樹脂等が、配線層として銅(Cu)がそれぞれ好ましく用いられる、第2の層間充填材層を介してプリント基板上に搭載された半導体基板積層体は、はんだバンプ等を介して有機基板に接続され、有機基板はアレイ状の電極を介してプリント基板の端子と電気的に接続されていてもよい。
・積層
本発明の組成物を含む層間充填材層は、有機基板および半導体基板から選ばれる任意の基板の間に形成されるが、低溶融粘度、高熱伝導率、高K1c値、且つ高ガラス転移温度の特性を生かすために、半導体基板と接する面に形成されることが好ましく、特には半導体基板と半導体基板との間に本発明の組成物を含む層間充填材層が形成されることが好ましい。
<積層型半導体装置の製造方法>
本発明の積層型半導体装置は、半導体基板表面に本発明の組成物を含む層間充填材層を、プレアプライ法により形成し、当該半導体基板と他の基板とを加圧接合した後に。50℃以上200℃以下の温度範囲で処理する工程を含む製造方法により製造できる。
・プレアプライ法による層間充填材層の形成
プレアプライ法による層間充填材層の形成には、従前知られる形成法、より具体的には例えば、ディップ法、スピンコート法、スプレーコート法、ブレード法、その他の任意の方法で形成することができる。層間充填材層は、半導体基板のどの面に形成しても構わないが、はんだバンプを有する面、またはランドを有する面に形成することが好ましい。
・加圧接合
本発明の組成物から得られた層間充填材層を、組成物中に含まれる低分子量成分など
除去するために、50〜150℃の任意の温度、好ましくは60〜130℃の任意の温度でベーキング処理を行い、B−Stage化処理をすることが好ましい。
この際、一定の温度においてベーキング処理を行ってもよいが、組成物中の揮発成分除去を円滑に進めるために、減圧条件下にてベーキング処理を行ってもよい。また、樹脂の硬化が進行しない範囲で、段階的な昇温によるベーキング処理を行っても良い。例えば、初めに60℃、次に80℃、更に120℃で各5〜90分程度のべーキング処理を実施することができる。
層間充填材層を形成した後に、接合対象の基板と仮接合を行う。仮接合の温度としては、80℃〜150℃の温度で行うことが好ましい。半導体基板の接合が複数層の場合には、前記仮接合を基板の層数分繰り返しても良いし、基板を複数層重ね合わせた後に、加熱してまとめて仮接合させても良い。仮接合の際には、必要に応じて基板間に、好ましくは1gf/cm2〜50Kgf/cm2、より好ましくは10gf/cm2〜10Kgf/c
2の荷重をかけて実施することが好ましい。
仮接合の後には本接合を行う。仮接合させた積層基板を200℃以上、好ましくは220℃以上で加圧接合することにより、層間充填材層に含まれる組成物の溶融粘度を低下させて、基板間の電気端子の接続を促進すると同時に、半導体基板間のはんだ接合を実現することができる。なお、加熱温度の上限は、使用するエポキシ化合物(A)が分解、変質しない温度であれば、適宜決定してかまわないが、通常300℃以下で行われる。
また、加圧接合の際には、必要に応じて基板間に、好ましくは10gf/cm2〜10
Kgf/cm2、より好ましくは50gf/cm2〜5Kgf/cm2の荷重をかけて実施
することが好ましい。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[配合成分]
以下において用いた層間充填材組成物塗布液の配合成分は次の通りである。
<エポキシ樹脂(a)>
エポキシ樹脂(a1):三菱化学株式会社製 品名「YL6810」(エポキシ当量171g/当量)
エポキシ樹脂(a2):三菱化学株式会社製 品名「YL7805」(エポキシ当量177g/当量)
エポキシ樹脂(a3):三菱化学株式会社製 品名「YL7175」(エポキシ当量487g/当量)
エポキシ樹脂(a4):三菱化学株式会社製 品名「630」(エポキシ当量96g/当量)
<窒化ホウ素フィラー(B)>
無機フィラー(B1):日新リフラテック株式会社製 窒化ホウ素 品名「R−BN」(熱伝導率3W/(m・K)(厚み方向)、275W/(m・K)(面内方向))
無機フィラー(B2):凝集BN粒子
<無機フィラー(E)>
無機フィラー(E1):株式会社アドマテックス製 シリカ 品名「SO−E6」
無機フィラー(E2):マイクロン社製 アルミナ 品名「AX−3」
無機フィラー(E3):株式会社トクヤマ製 窒化アルミニウム 品名「AlN−H」
<硬化剤(C)>
硬化剤(C1):四国化成工業株式会社製 1−シアノエチル−2−ウンデシルイミ
ダゾール 品名「C11Z−CN」
<フラックス(D)>
和光純薬工業株式会社製 アジピン酸 試薬特級
<分散剤(F)>
分散剤(F1):ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK−2155」、アミン価(mg−KOH/g)48
[各種物性、特性の評価]
(1)エポキシ樹脂の溶融粘度
株式会社アントンパール・ジャパン製 粘弾性測定装置Physica MCR102を用いて、溶融粘度(パラレルプレート動的粘度)を測定した。
まず、測定対象であるエポキシ樹脂からコンパウンドを調整した後、このコンパウンドをパラレルプレートディッシュとパラレルプレート(φ20mm)の間に載置し、パラレルプレート動的粘度測定を行った。
測定条件は、上記サンプルに正弦波歪みを0.5%与え、その歪みの角周波数は10rad/secとし、1分間に3℃の割合で昇温させる過程での粘度を40℃〜200℃まで測定した。
(2)窒化ホウ素フィラー及び無機フィラーの粒径
攪拌混合後の層間充填材組成物塗布液をシクロヘキサノンにて分散させ、島津製作所製粒度分布測定装置「SALD−2200」にて測定した。得られた粒度分布から粉砕後の無機フィラーの体積平均粒径及び最大粒径を求めた。
(3)無機フィラーの比表面積
無機フィラーに250℃、15分間窒素ガスフローの前処理を行った後、株式会社マウンテック製 マックソーブHM MODEL−1201を用い、BET1点法(吸着ガス:窒素)にて、比表面積を測定した。
(4)クラック評価
層間充填材組成物コンパウンド0.1gを10mm角のシリコン基板(厚み500μm)上に塗布したものを、ホットプレート上にて150℃で2時間硬化させ、硬化処理後、室温まで冷却をおこなった。その際、層間充填材の硬化膜又はシリコン基板にクラックを生じたものを表中で「×」、変化のなかったものを表中で「○」と記載した。
(5)硬化膜の熱伝導率
層間充填材組成物コンパウンドの硬化膜について、以下の装置を用いて、熱拡散率、比重、及び比熱を測定し、この3つの測定値を乗じることで求めた。
1)熱拡散率:株式会社アイフェイズ「アイフェイズ・モバイル 1u」
2)比重:メトラー・トレド株式会社「天秤 XS−204」(固体比重測定キット使用)
3)比熱:セイコーインスツル株式会社「DSC320/6200」
(6)接合性の評価
層間充填材組成物塗布液を株式会社WALTS社製のシリコン製はんだバンプ基板(CC80ModelI)を80℃に加熱しながら約25μL塗布した。
このはんだバ
ンプ基板及び株式会社WALTS社製のインターポーザ(IP80ModelI)を、東レエンジニアリング社製フリップチップボンダ(FC3000S)を用いて250℃まで昇温させて加熱圧着接合して、冷却後150℃で2時間硬化させて、積層体を形成した。積層体内部のデイジーチェインの電気抵抗をデジタルマルチメーターにより測定し、電気
抵抗が30Ω以下のものを合格とし、表中で「○」と記載した。
(7)接合面内のボイド評価
シリコン製はんだバンプ基板を、層間充填材組成物を介して有機インターポーザ基板に接合したチップについて、日立建機ファインテック株式会社製超音波探査映像装置(HYE−FOCUSII)を用いて接合チップ間のバンプとバンプの間における空孔有無を評価した。
[実施例1]
125mlの撹拌容器に、エポキシ樹脂(a1)を1.25g、(a2)を0.75g、(a3)を0.25g及び(a4)を0.25gを秤量し、これに分散剤(F1)を全フィラー添加量に対して2重量部(0.15g)を添加して、自公転撹拌機(株式会社シンキー製ARV−310)を用いて2000rpmで1分間撹拌した。これに、窒化ホウ素フィラー(B1)及び無機フィラー(E1)を表3に記載の量を添加して、自公転攪拌機にて2000rpmで5分間撹拌した。更に、硬化剤(C1)を全樹脂量に対して2重量%、及びフラックス(D)を全樹脂量に対して4重量%をそれぞれ添加した後、自公転攪拌機にて2000rpm1.2kPaにて5分間減圧脱泡しながら撹拌を行い、層間充填材コンパウンドを得た。用いたエポキシ樹脂の物性を表1に、フィラーの体積平均粒径及び比表面積を表2に示す。
層間充填材コンパウンドを、10mm角のシリコン基板(膜厚500μm)上に80℃で0.1g塗布した後、ホットプレート上にて150℃2時間硬化させた。硬化反応終了後、シリコン基板チップを室温に冷却したところ、層間充填材の硬化膜及びシリコン基板共にクラックを生じなかった。
この層間充填材コンパウンドを、ガラス基板にのせた離型フィルム上に塗布して、この膜上にさらに離型フィルム及びガラス基板をスペーサーを介して載せて挟んだ後に、150℃で2時間プレス(圧力1MPa)することにより、成形・硬化させて膜厚500μmの層間充填材組成物膜を得た。この膜の熱伝導率を測定したところ1.3W/(m・K)であった。
[実施例2]
エポキシ樹脂として(a1)を2.80g、(a3)を0.35g及び(a4)を0.35gを用いて、また窒化ホウ素フィラー(B1)及び無機フィラー(E1)を表3に記載の量を添加した以外は実施例1と同様に行った。クラック評価及び熱伝導率の測定結果を表3に示す。
層間充填材コンパウンドを、株式会社WALTS社製のシリコン製はんだバンプ基板(CC80ModelI)を80℃に加熱しながら約25μL塗布した。これを株式会社WALTS社製のインターポーザ(IP80ModelI)と、東レエンジニアリング社製フリップチップボンダ(FC3000S)を用いて250℃まで昇温させて加熱圧着接合して、冷却後150℃2時間硬化させて、積層体を形成した。積層体内部のデイジーチェインの電気抵抗をデジタルマルチメーターにより測定したところ、30Ω以下で良好であった。
この積層体を日立建機ファインテック株式会社製超音波探査映像装置(HYE−FOCUSII)を用いて接合チップ間のバンプとバンプの間におけるボイド(空孔)の有無を観察したところ、ボイドは見られなかった。
[実施例3〜7]
エポキシ樹脂として(a1)を、窒化ホウ素フィラー(B1)または(B2)及び無機フィラー(E1)、(E2)または(E3)を表3に記載の量を添加した以外は実施例1と同様に行った。クラック評価及び熱伝導率の測定結果を表3に示す。
[比較例1〜5]
エポキシ樹脂として(a1)を、窒化ホウ素フィラー(B1)、(B2)、無機フィラー(E1)、(E2)、または(E3)の何れかを表3に記載の量を添加した以外は実施例1と同様に行った。クラック評価及び熱伝導率の測定結果を表3に示す。
Figure 2014208818
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本発明によると、半導体デバイス基板間のはんだバンプ等とランドの接合と同時に、クラックを生じることなく、熱伝導性が高い高品質の層間充填層を形成することができる。

Claims (17)

  1. 120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下の窒化ホウ素フィラー(B)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下であって該窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径とは異なる体積平均粒径及び化学種からなる無機フィラー(E)とを含有する積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  2. 窒化ホウ素フィラー(B)と、無機フィラー(E)との体積平均粒径の差が、1μm以上5μm以下である、請求項1に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  3. 前記窒化ホウ素フィラー(B)の比表面積が、1m/g以上60m/g以下である、請求項1または請求項2に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  4. 前記無機フィラー(E)の比表面積が、0.1m/g以上20m/g以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  5. 前記窒化ホウ素フィラー(B)の含有量が、(A)100重量部あたり40重量部以上400重量部以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  6. 更に硬化剤(C)を含有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  7. 更にフラックス(D)を含有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  8. 前記樹脂(A)が熱硬化性樹脂である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  9. 前記樹脂(A)がエポキシ樹脂(a)である、請求項1から請求項8の何れか1項に記載の積層型半体装置用の層間充填剤組成物。
  10. 前記エポキシ樹脂(a)が、エポキシ当量150g/当量以上650g/当量以下であるエポキシ樹脂(a1)を含む、請求項9に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  11. 前記エポキシ樹脂(a)が、更にエポキシ当量650g/当量以上30000g/当量以下であるエポキシ樹脂(a2)を含む、請求項9または請求項10に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  12. 加水分解性の塩素含有量が0.1〜100ppmである、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  13. 更に有機溶媒(G)を含有する、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  14. 120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下の窒化ホウ素フィラー(B)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下であって該窒化ホウ素フィラー(B)の体積平均粒径とは異なる体積平
    均粒径及び化学種からなる無機フィラー(E)とを含有する積層型半導体装置用の層間充填剤組成物の製造方法であって、全構成成分の少なくとも2つを、40℃〜160℃の温度条件下で混合する、積層型半導体装置用の層間充填剤組成物の製造方法。
  15. 全構成成分の少なくとも2つを、100Torr以下の圧力条件下で混合する、請求項14に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物の製造方法。
  16. 半導体デバイス層が形成された半導体基板表面に、請求項1から請求項13の何れか1項に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物からなる層を形成し、当該半導体基板と、半導体デバイス層が形成された他の半導体基板とを積層し加圧接合した後、50℃以上200℃以下で処理する工程を含む、積層型半導体装置の製造方法。
  17. 半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した積層型半導体装置であって、当該半導体基板間の少なくとも1つに、請求項1から請求項13の何れか1項に記載の積層型半導体装置用の層間充填剤組成物を有する、積層型半導体装置。
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