JP2012216836A - 三次元集積回路積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した半導体基板積層体を有し、該半導体基板間に、樹脂(A)及び無機フィラー(B)を含有し、熱伝導率が0.8W/(m・K)以上の第1の層間充填材層を有する三次元集積回路積層体。
【選択図】図1
Description
従来の基板間を充填する技術として、半導体基板と有機基板又は有機基板同士を接合するアンダーフィルプロセスが提案されている。しかし、電気接合端子にフラックスを塗布後に接合を行い、フラックスを洗浄後に充填材を基板間横より毛細管現象を用いて充填させるが、基板間距離の微細化により接合後のフラックスの洗浄及び層間材の均一充填が困難となってきている。
<1> 半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した半導体基板積層体を有し、該半導体基板間に、樹脂(A)及び無機フィラー(B)を含有し、熱伝導率が0.8W/(m・K)以上の第1の層間充填材層を有する三次元集積回路積層体。
<2> 前記半導体基板が、シリコン基板である前記<1>記載の三次元集積回路積層体。
<3> 前記第1の層間充填材層の熱伝導率が1W/(m・K)以上である前記<1>又は<2>に記載の三次元集積回路積層体。
<4> 前記第1の層間充填材層に含有された前記無機フィラー(B)の熱伝導率が2W/(m・K)以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の三次元集積回路積層体。
<5> 前記樹脂(A)がエポキシ樹脂を主成分とする樹脂である前記<1>から<4>のいずれかに記載の三次元集積回路積層体。
<6> 前記第1の層間充填材層が、前記樹脂(A)100重量部当たり50重量部以上400重量部以下の前記無機フィラー(B)を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の三次元集積回路積層体。
<7> 前記第1の層間充填材層の厚みが1μm以上50μm以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の三次元集積回路積層体。
<8> 前記半導体基板間に有する前記第1の層間充填材層の中に電気信号接続用のはんだ接続端子を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の三次元集積回路積層体。
<9> 前記半導体基板積層体がさらに有機基板上に搭載されており、前記半導体基板積層体と前記有機基板との間に、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有する第2の層間充填材層を有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の三次元集積回路積層体。
<10> 前記第2の層間充填材層の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上である前記<9>記載の三次元集積回路積層体。
<11> 前記第2の層間充填材層の厚みが50μm以上300μm以下である前記<9>又は<10>に記載の三次元集積回路積層体。
本発明の三次元集積回路積層体は、半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した半導体基板積層体を有し、該半導体基板間に、樹脂(A)及び無機フィラー(B)を含有し、熱伝導率が0.8W/(m・K)以上の第1の層間充填材層を有している。
図1に示すように、第1の三次元集積回路積層体1は、半導体デバイス層11,21及び31が各々に形成された半導体基板10,20,30を3層に積層した半導体基板積層体からなる。なお、本実施形態では、半導体基板を3層に積層しているがこれは一例であり、2層以上であれば何層であってもよい。
半導体基板10と半導体基板20との間及び半導体基板20と半導体基板30との間には、樹脂(A)及び無機フィラー(B)を含有する第1の層間充填材層40,50をそれぞれ有している。
また、第1の三次元集積回路積層体1において、隣接する半導体基板(半導体基板10と半導体基板20、及び半導体基板20と半導体基板30)における半導体デバイス層間の電気的な接続を確保するために、半導体基板10,20,30には、基板を貫通するように設けられた半導体基板貫通電極13,23,33、ランド端子24,34、およびはんだバンプ15,25,35が設けられている。ランド端子24とはんだバンプ15、ランド端子34とはんだバンプ25とは、それぞれ第1の層間充填材層40および50の中に含まれる形で存在し、半導体基板10と半導体基板20及び半導体基板20と半導体基板30との間の電気信号を接続する機能を果たしている。
第1の三次元集積回路積層体における、半導体基板としては集積回路の製造において基板として用いることができる任意の材質のものを用いることができるが、シリコン基板が好ましく使用される。シリコン基板としては、口径に応じた基板膜厚のまま用いても良いし、バックサイドエッチングやバックグラインド等の裏面研磨により100μm以下の薄膜化した後に用いても良い。
はんだバンプとしては微細なハンダボールを用いても良いし、リソグラフィーにて開口部を形成後、開口部の下地に直接、又はニッケルや銅のポストを形成した上にはんだめっきを施して、レジスト材を除去後、加熱処理によりはんだバンプを形成しても良い。はんだの組成としては特に限定はされないが、電気的な接合性及び低温接合性を勘案して錫を主要成分として含有するはんだが好ましく用いられる。
ランド端子は半導体基板上にPVD等を用いて薄膜を成膜した後、リソグラフィーによるレジスト膜形成及びドライ又はウエットエッチングにより、不要部を除去することにより形成することができる。ランド端子の材料としては、はんだバンプと接合可能なものであれば特に限定はされないが、はんだとの接合性及び信頼性等を勘案して、金や銅を好ましく用いることができる。
第1の層間充填材層は、半導体基板間に形成され、樹脂(A)及び無機フィラー(B)を含有してなる。
第1の層間充填材層の熱伝導率が0.8W/m未満であると、半導体基板間の熱伝導性が十分ではなく半導体基板に熱が蓄積して高温となり、動作不良の要因となる。
無機フィラー(B)の熱伝導率が2W/(m・K)以上であると、樹脂(A)に比べて熱伝導性が5倍程度以上高くなり、適当な添加量で層間充填材層の熱伝導率を十分に向上させることができる。
第1の層間充填材組成物は、樹脂(A)及び無機フィラー(B)を含有し、その他必要に応じて硬化剤(C)、フラックス(D)等を含有してなる。
樹脂(A)は、第1の層間充填材組成物として、無機フィラー(B)と組み合わせた際に十分な熱伝導性を得るために、その熱伝導率が0.2W/(m・K)以上であることが好ましい。
また、基板上に薄膜を形成後、仮接着前に接合対象の基板と位置合わせを行うために、樹脂(A)は、50℃における溶融粘度が2000Pa・s以上であることが好ましく、10000Pa・s以上であることがより好ましい。
また、仮接着後に本接合を実施する際には、加温により第1の層間充填材組成物を溶融して電気接合端子を接続させるために、樹脂(A)は、120℃における溶融粘度が100Pa・s以下であることが好ましく、20Pa・s以下であることがより好ましい。
ここで、「エポキシ樹脂を主成分とする」とは、樹脂(A)におけるエポキシ樹脂の割合が、50重量%以上であることを意味し、好ましくは、60重量%以上(100重量%含む)である。
エポキシ樹脂としては、いかなるエポキシ樹脂も使用できる。エポキシ樹脂は、1種類の構造単位を有するエポキシ樹脂のみであってもよいが、構造単位の異なる複数のエポキシ樹脂を組み合わせてもよい。
以下、エポキシ樹脂(A1)について説明する。
フェノキシ樹脂とは、通常、エピハロヒドリンと2価フェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、または2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂を指すが、本発明においてはこれらのうち、特に重量平均分子量200以上の分子量を有するエポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂をエポキシ樹脂(A1)という。なお、エポキシ樹脂(A1)の重量平均分子量の上限は50000以下が好ましく、30000以下がより好ましい。
上記エポキシ樹脂(A1)以外のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(以下「エポキシ樹脂(A2)」と称す場合がある。)であることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂が挙げられる。
これらは1種を単独でまたは2種以上の混合体として使用することができる。
エポキシ樹脂(A1)の割合が10重量%以上であることにより、エポキシ樹脂(A1)を配合することによる熱伝導性の向上効果を十分に得ることができ、所望の高熱伝導性を得ることができる。エポキシ樹脂(A1)の割合が90重量%未満でエポキシ樹脂(A2)が10重量%以上であることにより、エポキシ樹脂(A2)の配合効果が発揮され、硬化性、硬化物の物性が十分なものとなる。
第1の層間充填材層は、高い熱伝導率を有する無機フィラー(B)を含有することにより、第1の層間充填材層に高い熱伝導性を付与することが可能となり、半導体基板間の熱伝導を促進させて半導体デバイス基板の温度を低下させることにより、半導体デバイスを安定的に動作させることが可能となる。
本発明で用いる無機フィラー(B)の熱伝導率は高い熱伝導性を有するものが好ましく、特に2W/(m・K)以上であることが好ましい。
無機材料の粉砕の方法は特に限定されず、ジルコニアビーズ等の粉砕用メディアと共に攪拌混合する方法や、ジェット噴射等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
また、無機フィラー(B)は、樹脂(A)や塗布液中での分散性を高めるため、適宜表面処理をおこなってもよい。また、結晶性を高めたり、水分除去の為、熱処理したフィラーを用いても良い。
樹脂(A)として、第1の層間充填材組成物には、硬化剤(C)を含んでいてもよい。本発明で用いる硬化剤(C)とは、エポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応に寄与する物質を示す。
硬化剤(C)としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾールおよびその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
ここで、硬化剤がフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤中の官能基との当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲外であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留し、所望の物性が得られないことがある。
また、硬化剤がアミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール及びその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等の場合は、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲で用いることが好ましい。
フラックス(D)とは、具体的には、金属端子のはんだ接合時において、はんだバンプ等の金属電気信号端子及びランドの表面酸化膜の溶解除去や、はんだバンプのランド表面における濡れ広がり性の向上、更にははんだバンプの金属端子表面の再酸化防止などの機能を有する化合物であり、第1の層間充填材層の中に半導体デバイス層が形成された半導体基板間の電気信号接続用のはんだ接続端子を含む場合に第1の層間充填材組成物に含有される。
フラックス(D)の溶融温度は、はんだ接合前にはんだ表面の酸化膜溶解、はんだ表面の濡れ性向上、及びはんだ表面の再酸化防止等の機能を発現するために、90℃〜220℃であることが好ましく、より好ましくは100℃〜200℃、更に好ましくは120℃〜180℃である。
また、フラックス(D)が有機カルボン酸類及び有機カルボン酸エステル類の場合には、はんだ接合時の220℃〜260℃の温度においてカルボン酸の分解又は揮発・蒸発等が少ないものが好ましい。この場合、分解温度及び沸点としては好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上、最も好ましくは290℃以上である。多価アルコール類としては、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、リビトールなどを好ましく用いることができる。有機カルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、トリメリット酸などを好ましく用いることができる。
有機カルボン酸エステルが熱分解によりカルボン酸を生じて機能を発現する温度としては、130℃以上であることが好ましく、より好ましくは140℃、更に好ましくは160℃以上、最も好ましくは180℃以上である。
これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
ここで、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
用いることができる有機溶媒(E)としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン(MAK)、シクロヘキサノン(CHN)等のケトン類、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。
このうち、樹脂の溶解性及び溶媒の沸点等を勘案すると、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンやシクロヘキサノン等ケトン類、エステル類及びエーテル類が好ましく、特にメチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類を用いることが特に好ましい。
これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
有機溶媒(E)の混合割合が、20重量%未満では組成物の粘度が上昇し良好な塗布膜が得られない場合があり、または70重量%を超えると所定の膜厚が得られない等の問題が出てくる可能性がある。
このような添加剤としては、上述の添加剤の他、塗布液中での各成分の分散性を向上させる界面活性剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、アルキルベタイン類、アミノ酸類などが挙げられる。
また、これら界面活性剤においてCH結合の一部又は全てがCF結合となったフッ素界面活性剤も好ましく用いることができる。
界面活性剤の添加量として、樹脂組成物中の全固形分に対して、0.001〜5重量%程度とするのが好ましい。0.001重量%未満では、所定の膜厚均一性が得られない場合があり、また5重量%を超えると樹脂成分との相分離等を引き起こす場合があり好ましくない。
混合順序も反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、塗布液の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め配合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
なお、上述のように無機フィラー(B)は、粒径の大きな凝集体とならないように粉砕を行うことが好ましいが、塗布液の製造前に粉砕してもよいし、他の成分と混合してから粉砕してもよい。無機材料の粉砕の方法は特に限定されず、従来公知の粉砕方法を適用できる。
以下、第1の三次元集積回路積層体の製造方法について説明する。
半導体基板積層体からなる第1の三次元集積回路積層体は、三次元集積回路の各層を構成し、半導体デバイス層が形成された半導体基板に、上述の第1の層間充填材層の前駆体となる第1の層間充填材組成物の塗膜を形成する工程と、これらの半導体基板を加圧接着して、半導体基板間に第1の層間充填材層を有する半導体基板積層体を形成する工程を含む方法を用いて製造される。
以下、各工程について具体的に説明する。
第1の層間充填材組成物の塗膜は、有機溶媒(E)に溶解・分散した第1の層間充填材組成物を、ディップ法やスピンコート法、スプレーコート法やブレード法その他の任意の方法で形成することができる。得られた塗布膜から溶媒や低分子成分除去のために、50〜150℃の任意の温度でベーキング処理を行いB−ステージ化膜を形成する。この際、一定の温度においてベーキング処理を行ってもよいが、組成物中の揮発成分除去を円滑に進めるために、減圧条件下にてベーキング処理を行ってもよい。また、樹脂の硬化が進行しない範囲で、段階的な昇温によるベーキング処理を行っても良い。例えば、初めに60℃、次に80℃、更に120℃で各5〜90分程度のべーキング処理を実施することができる。
また、上述の有機溶媒(E)を含まない第1の層間充填材組成物をそのまま用いてもよい。例えば、樹脂の硬化が始まらない温度範囲において加温して溶融させたものを用いて、任意の方法で半導体基板上に第1の層間充填材組成物からなる膜を成膜してもよい。
また、第1の層間充填材組成物は、フィルム成形に適した十分な伸び性を有するため、フィルム成形し、該フィルムを半導体基板上に設置することで成膜してもよい。
また、加圧接着の際には必要に応じて基板間に好ましくは10gf/cm2〜10Kgf/cm2、より好ましくは50gf/cm2〜5Kgf/cm2の荷重をかけて実施することが好ましい。
本発明の三次元集積回路積層体は、上述の半導体基板積層体がさらに有機基板の上に搭載されており、半導体基板積層体と有機基板との間に、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有する第2の層間充填材層が形成されていてもよい。
すなわち、上述の半導体基板積層体(第1の三次元集積回路積層体)が、さらに有機基板の上に搭載されており、半導体基板積層体と有機基板との間に、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有した第2の層間充填材層が形成された三次元集積回路積層体である。
図3に本発明の第2の実施の形態に係る三次元集積回路積層体(以下、「第2の三次元集積回路積層体」と称す。)の概念断面図を示す。なお、図3では、三次元集積回路積層体の構造の理解を容易にするために、半導体基板及び有機基板に対する他の構成部材の厚みや大きさは、実際より大きく示している。
図3に示すように、第2の三次元集積回路積層体100において、上述の半導体基板積層体1がさらに有機基板101の上に搭載されており、半導体基板積層体1と有機基板101との間に、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有する第2の層間充填材層102が形成されている。
有機基板は、はんだボールを外部電極とするアレイ状の電極と半導体基板を接続する高密度実装用のパターン変換基板(インターポーザ)であり、三次元集積回路積層体を実装する際のプリント基板やフレキシブル基板との熱膨張率の整合性を確保するためにも、樹脂板の中に配線層を有する多層回路構造を有する有機基板であることが好ましい。有機基板を構成する樹脂成分としてエポキシ樹脂等が、配線層として銅(Cu)がそれぞれ好ましく用いられる、第2の層間充填材層を介してプリント基板上に搭載された半導体基板積層体は、はんだバンプ等を介して有機基板に接続され、有機基板はアレイ状の電極を介してプリント基板の端子と電子的に接続されていてもよい。
第2の層間充填材層は、半導体基板積層体と有機基板との間に形成され、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有してなる。
第2の層間充填材層は、熱伝導率が0.4W/(m・K)以上であることが好ましく、0.8W/(m・K)以上であることがより好ましく、1.0W/(m・K)以上であることが特に好ましい。
第2の層間充填材組成物は、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有し、その他必要に応じて硬化剤(c)、フラックス(d)等を含有してなる。
なお、第2の層間充填材組成物において、第1の層間充填材組成物と同様である部分は詳しい説明を省略する。
樹脂(a)は、第2の層間充填材組成物として、無機フィラー(b)と組み合わせた際に十分な熱伝導性を得るために、その熱伝導率が0.15W/(m・K)以上であることが好ましい。
また、基板上に薄膜を形成後、仮接着前に接合対象の基板と位置合わせを行うために、樹脂(a)は、50℃における溶融粘度が2000Pa・s以上であることを必須とし、10000Pa・s以上であることが好ましい。
また、仮接着後に本接合を実施する際には、加温により第1の層間充填材組成物を溶融して電気接合端子を接続させるために、樹脂(a)は、120℃における溶融粘度が100Pa・s以下であることが好ましく、20Pa・s以下であることがより好ましい。
なお、一般的にシリコン基板と有機基板を充填する技術としてはアンダーフィルプロセスが提案されており、バンプとランドを接合後に基板間横より毛細管現象を用いて層間充填材を充填する。この為、本プロセスには室温で液体である樹脂成分が必要であり、一般的には液状エポキシ樹脂等が好ましく用いられている。
無機フィラー(b)は、第2の層間充填材組成物の熱伝導率を向上させるために添加される。第2の層間充填材組成物は、熱伝導率を有する無機フィラー(b)を含有することにより、第2の層間充填材組成物に高い熱伝導性を付与することが可能となり、半導体基板積層体と有機基板の熱伝導を促進させて半導体デバイス基板の温度を低下させることにより、半導体デバイスを安定的に動作させることが可能となる。
無機フィラー(b)の熱伝導率は、1W/(m・K)以上であることが好ましく、2W/(m・K)以上であることがより好ましい。
このような熱伝導率を有する無機フィラー(b)であると、適当な添加量で、十分な熱伝導度を有する第2の層間充填材層を得ることができる。
すなわち、アルミナ(Al2O3:熱伝導率30W/(m・K))、窒化アルミニウム(AlN:熱伝導率260W/(m・K))、窒化ホウ素(BN:熱伝導率3W/(m・K)(厚み方向)、275W/(m・K)(面内方向))、窒化ケイ素(Si3N4:熱伝導率23W/(m・K))、シリカ(SiO2:熱伝導率1.4W/(m・K))などを使用できる。また、これらの無機フィラー(b)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
無機フィラー(b)は更に酸素、水や高温暴露に対する安定性と低誘電性をも併せ持つことが接着したデバイスの信頼性の点で好ましく、このような無機フィラーとしては、Al2O3、AlN、BN、SiO2が挙げられ、好ましくはAl2O3、AlN、BNが挙げられる。
第2の層間充填材組成物において、樹脂(a)及び無機フィラー(b)以外の成分としては、上述した第1の層間充填材組成物における硬化剤(C)、フラックス(D)、その他の添加剤が挙げられる。これらの使用目的、配合量などは第1の層間充填材組成物と同様である。
第2の三次元集積回路積層体は、上述の半導体基板積層体の有機基板上に接する側の面上、および有機基板上の半導体基板積層体と接する面上の一方又は双方に、上述の第2の層間充填材層の前駆体となる第2の層間充填材組成物の塗膜を形成する工程と、半導体基板と有機基板とを加圧接着して、半導体基板積層体と有機基板との間に第2の層間充填材層を有する半導体基板積層体を形成する工程を含む方法を用いて製造される。なお、第2の層間充填材組成物は、第1の層間充填材組成物と同一であってもよく、異なっていてもよい。
・樹脂(A)
エポキシ樹脂(A1):フェノキシ樹脂
重量平均分子量:26,000
エポキシ当量:4,600g/当量
30重量%メチルエチルケトン/シクロヘキサノン溶液
エポキシ樹脂(A2−1):三菱化学株式会社製 品名「YL6800」
エポキシ樹脂(A2−2):三菱化学株式会社製 品名「1032H60」
エポキシ樹脂(A2−3):三菱化学株式会社製 品名「1001」
エポキシ樹脂(A2−4):三菱化学株式会社製 品名「YX4000」
エポキシ樹脂(A2−5):三菱化学株式会社製 品名「1006」
・無機フィラー(B)
無機フィラー(B−1):日新リフラテック株式会社製BN 品名「R−BN」
無機フィラー(B−2):株式会社龍森製シリカ 品名「PLV−4」
・硬化剤(C):四国化成工業株式会社製 品名「2PHZ−PW」 2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール
・フラックス(D)
フラックス(D−1):日油株式会社製 品名「サンタシッドG」
ジアルキルビニルエーテルブロック2官能ポリマー型カルボン酸
フラックス(D−2):和光純薬株式会社製 品名「アジピン酸」
・有機溶媒(E)
有機溶媒(E1):和光純薬工業株式会社製 試薬特級「メチルエチルケトン」
有機溶媒(E2):和光純薬工業株式会社製 試薬特級「シクロヘキサノン」
・分散剤(F)
分散剤(F−1):ビックケミー社製 品名「BYK−2155」
YL6121H(エポキシ当量171g/当量、4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂の1:1混合物(三菱化学株式会社製)215重量部、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール(OH当量107g/当量、本州化学株式会社製)127重量部、27重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.32重量部、及び、反応用溶媒としてシクロヘキサノン228重量部を撹拌機付き耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下180℃で5時間、反応を行った後、希釈用溶剤としてシクロヘキサノン171重量部及びメチルエチルケトン399重量部を加えて固形分濃度を調整した。反応生成物から定法により溶剤を除去して30重量%の樹脂溶液を得た。
1)熱拡散率:株式会社アイフェイズ「アイフェイズ・モバイル 1u」
2)比重:メトラー・トレド株式会社 天秤 XS−204(「固体比重測定キット」使用)
3)比熱:セイコーインスツル株式会社 DSC320/6200
(1)層間充填材組成物膜の作製及び評価
エポキシ樹脂(A)として、上記エポキシ樹脂(A1)溶液5gとエポキシ樹脂(A2−1)3.75g、エポキシ樹脂(A2−2)溶液0.94g(80重量%シクロヘキサノン溶液)、エポキシ樹脂(A2−3)溶液2.14g(70重量%シクロヘキサノン溶液)及び無機フィラー(B−1)7.74g、更に直径2mmのジルコニアボール(YTZ−2)を24.6g加え、自公転攪拌機を用いて2000rpmで33分間攪拌した。攪拌終了後、ろ過によりビーズを取り除き、硬化剤(C)を0.15g、フラックス(D−1)を0.15g加え、更に自公転攪拌機にて6分間攪拌し、層間充填材ペースト(塗布液)を得た。
この原料ペーストを離型処理したガラス基板に塗布して、減圧下にて100℃で90分加熱し溶媒を留去してB−ステージ化膜とした。この膜上にさらに離型処理したガラス基板をのせ、挟んだ後に、150℃で1時間、続いて170℃で1時間、プレス(圧力1MPa)することにより、成形・硬化させて膜厚500μmの層間充填材組成物膜を得た。この膜の熱伝導率は1.0W/(m・K)であった。
エポキシ樹脂(A2−2)2.50g、エポキシ樹脂(A2−4)6.25g及びエポキシ樹脂(A2−5)3.75gを有機溶媒(E1)12.5gに撹拌溶解させた。これに分散剤(F−1)0.25g、フラックス(D−2)0.25g及び有機溶媒(E1)11.75gを添加して、更に無機フィラー(B−1)12.5g及び直径0.5mmのジルコニアボール(YTZ−0.5)を100g加え、自公転攪拌機を用いて2000rpmで10分間攪拌した。攪拌終了後、ろ過によりビーズを取り除き、硬化剤(C)を0.25g加え、更に自公転攪拌機にて6分間攪拌し、層間充填材ペースト(塗布液)を得た。得られた攪拌後の層間充填材ペースト中の無機フィラー(B−1)の平均粒径および最大粒径の測定を行ったところ、平均粒径4μm、最大粒径は9μmであった。
この原料ペーストを株式会社WALTS社製のシリコン製はんだバンプ基板(CC80ModelI)に25μL塗布後、ホットプレート上にて60℃15分、80℃15分及び120℃30分間加熱して溶媒を留去した。さらにホットプレート上にて150℃10分間加熱を行いB−ステージ化膜とした。
このはんだバンプ基板及び株式会社WALTS社製の有機インターポーザ(CC80ModelI)を、東レエンジニアリング社製フリップチップボンダ(FC3000S)を用いて250℃まで昇温させて加熱圧着接合して、冷却後165℃2時間ポストアニール処理を行い、積層体を形成した。積層体内部のデイジーチェインの電気抵抗を測定したところ、10Ω以下であった。
また、同じ層間充填材ペーストを、離型処理したガラス基板に塗布して、減圧下にて80℃で30分間、120℃で30分間、順次加熱し溶媒を留去した。この膜上にさらに離型処理したガラス基板をのせて挟んだ後に、165℃で2時間、圧力1MPaでプレスすることにより、成形・硬化させて膜厚500μmの層間充填材組成物膜を得た。 この膜の熱伝導率は1.1W/(m・K)、線膨張率は34ppm、誘電率は3.2であった。なお、誘電率は、個々の材料における誘電率(エポキシ樹脂2.8、窒化ホウ素3.9)をもとに、層間充填材組成物中のフィラー成分の体積分率より算出した。
また、この積層体を、インターポーザ基板を下にして120℃のホットプレート上にのせて、シリコン基板の表面温度が25℃から100℃に上昇する時間を測定したところ、2.4秒であった。
(1)層間充填材組成物膜の作製及び評価
無機フィラー(B)として無機フィラー(B−2)を用いた以外は実施例と同様に成形・硬化させて層間充填材組成物膜を得た。この硬化膜の熱伝導率は0.4W/(m・K)であった。
(2)積層体の製造及び評価
無機フィラー(B)として無機フィラー(B−2)を用いて、ジルコニアボールによる粉砕処理を除いた以外は実施例と同様に成形・硬化させて積層体を形成した。この積層体が25℃から100℃に上昇する時間を実施例と同様の方法で測定したところ、4.3秒であった。
10,20,30 半導体基板
11,21,31 半導体デバイス層
12,22,32 バッファーコート膜
13,23,33 半導体基板貫通電極
14,24,34,103 ランド端子
15,25,35 はんだバンプ
40,50 第1の層間充填材層
100 第2の三次元集積回路積層体
101 有機基板
102 第2の層間充填材層
Claims (11)
- 半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した半導体基板積層体を有し、該半導体基板間に、樹脂(A)及び無機フィラー(B)を含有し、熱伝導率が0.8W/(m・K)以上の第1の層間充填材層を有することを特徴とする三次元集積回路積層体。
- 前記半導体基板が、シリコン基板であることを特徴とする請求項1記載の三次元集積回路積層体。
- 前記第1の層間充填材層の熱伝導率が、1W/(m・K)以上であることを特徴とする1又は2に記載の三次元集積回路積層体。
- 前記無機フィラー(B)の熱伝導率が、2W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の三次元集積回路積層体。
- 前記樹脂(A)が、エポキシ樹脂を主成分とする樹脂であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の三次元集積回路積層体。
- 前記第1の層間充填材層が、前記樹脂(A)100重量部当たり50重量部以上400重量部以下の前記無機フィラー(B)を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の三次元集積回路積層体。
- 前記第1の層間充填材層の厚みが、1μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の三次元集積回路積層体。
- 前記半導体基板間に有する前記第1の層間充填材層の中に電気信号接続用のはんだ接続端子を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の三次元集積回路積層体。
- 前記半導体基板積層体がさらに有機基板上に搭載されており、前記半導体基板積層体と前記有機基板との間に、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有する第2の層間充填材層を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の三次元集積回路積層体。
- 前記第2の層間充填材層の熱伝導率が、0.4W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項9記載の三次元集積回路積層体。
- 前記第2の層間充填材層の厚みが、50μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項9又は10記載の三次元集積回路積層体。
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