JP2013181050A - 三次元集積回路用の層間充填材組成物、塗布液及び三次元集積回路の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱伝導率0.2W/mK以上で、50℃における溶融粘度2000Pa・s以上、120℃における溶融粘度100Pa・s以下のエポキシ樹脂(A)と、熱伝導率が2W/mK以上で、平均粒径0.1μm以上5μm以下、最大粒径10μm以下の無機フィラー(B)と、硬化剤(C)及び/又はフラックス(D)と、フッ素基を含有した界面活性剤(E)とを含有する三次元集積回路用の層間充填材組成物。更に有機溶媒(F)を含有する三次元集積回路用の層間充填材組成物塗布液。
【選択図】なし
Description
即ち、従来の半導体デバイスチップのインターポーザ等への搭載プロセスにおいては、初めに半導体デバイスチップ側のはんだバンプ等の電気信号端子をフラックスにより活性化処理し、次いでランド(電気接合電極)を有する基板に接合した後、基板間に液状樹脂又は液状樹脂に無機フィラーを添加したアンダーフィル材を充填して硬化させることにより接合が行われている。ここで、フラックスには、はんだバンプ等の金属電気信号端子及びランドの表面酸化膜除去や濡れ広がり性の向上、更には金属端子表面の再酸化防止などの活性化処理機能が求められている。
一方、半導体デバイスチップの3D積層プロセスにおいては、初めにフラックスを用いたはんだバンプ等の電気信号端子の活性化処理を行うと、端子表面に熱伝導性の低いフラックス層が形成され、層間充填材組成物による積層基板間の熱伝導性の阻害や、フラックス成分の残留による接合端子の腐食劣化等の要因となることが懸念されている。
このため、高い熱伝導性を有する層間充填材組成物へ直接混合可能であり、且つ金属端子への腐食性の低いフラックスが求められている。
本発明の三次元集積回路用の層間充填材組成物は、熱伝導率が0.2W/mK以上であり、かつ、50℃における溶融粘度が2000Pa・s以上であって、120℃における溶融粘度が100Pa・s以下であるエポキシ樹脂(A)と、熱伝導率が2W/mK以上であり、平均粒径が0.1μm以上5μm以下、かつ、最大粒径が10μm以下である無機フィラー(B)と、硬化剤(C)及び/又はフラックス(D)と、フッ素基を含有した界面活性剤(E)とを含有することを特徴とする。
なお、本発明において、無機フィラー(B)の「平均粒径」とは、島津製作所製粒度分布測定装置「SALD−2200」を用い、後掲の実施例の項に記載される方法で測定された値をさす。
層間充填材として無機フィラー(B)との複合化で高い熱伝導性を得るために、本発明の層間充填材組成物の熱硬化性樹脂(A)の熱伝導率は0.2W/mK以上であることを必須とし、特に0.22W/mK以上であることが好ましい。
なお、この際、後述の硬化剤(C)を添加することにより、Bステージ化や、はんだバンプの接合温度では硬化せず、はんだバンプの接合後に短時間の流動性を有した後にゲル化して、その後に完全硬化することにより、安定な層間充填層を形成することができ、好ましい。
中でも、高熱伝導性で、有機溶媒への溶解性も良好であることから、エポキシ樹脂やポリエーテル樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シリコーン樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。
これらの熱硬化性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
以下、熱硬化性樹脂(A)として好適なエポキシ樹脂(以下「エポキシ樹脂(a)」と称す場合がある。)について説明する。
上記エポキシ樹脂(a1)以外のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(以下「エポキシ樹脂(a2)」と称す場合がある。)であることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂(a)中のエポキシ樹脂(a1)の割合が上記下限以上であることにより、エポキシ樹脂(a1)を配合することによる熱伝導性の向上効果を十分に得ることができ、所望の高熱伝導性を得ることができる。エポキシ樹脂(a)中のエポキシ樹脂(a1)の割合が上記上限以下でエポキシ樹脂(a2)が特に10重量%以上であることにより、エポキシ樹脂(a2)の配合効果が発揮され、硬化性、硬化膜の物性が十分なものとなる。
<無機フィラー(B)>
本発明で用いる無機フィラー(B)は、熱伝導率が2W/mK以上、好ましくは3W/mK以上で、平均粒径が0.1μm以上5μm以下、かつ、最大粒径が10μm以下の無機材料からなる。
一方で、無機フィラー(B)の粒径が小さ過ぎると、必要な熱伝導パス数が増加してチップ間の厚み方向に上から下まで繋がる確率が小さくなり、熱伝導性の高い熱硬化性樹脂(A)と組み合わせても、層間充填層の厚み方向への熱伝導率が不十分になる。また、無機フィラー(B)の粒径が小さ過ぎると、無機フィラー(B)が凝集しやすくなり層間充填材組成物ないしは塗布液中での分散性が悪くなる。無機フィラー(B)の平均粒径を、上記範囲とすることにより、フィラー同士の過度の凝集が抑制され、厚み方向へ充分な熱伝導率を有する層間充填層を得ることができる。
無機材料の粉砕の方法は特に限定されず、ジルコニアビーズ等の粉砕用メディアと共に攪拌混合する方法や、ジェット噴射等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
この場合、平均粒径の小さい無機フィラーと平均粒径の大きい無機フィラーとは重量比で10:1〜1:10の割合で用いることが、熱伝導パスの形成の上で好ましい。
さらに、本発明の層間充填材組成物は、粘度調節等の目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、無機フィラー(B)以外のフィラー(以下、「その他のフィラー(B’)」と称す。)の1種又は2種以上を含有してもよい。
例えば、フィラーを熱伝導性向上ではなく粘度調節を目的として添加する場合には、熱伝導率がそれほど高くない、汎用フィラーであるシリカ(SiO2:熱伝導率1.4W/mK)を使用することができる。
ただし、その他のフィラー(B’)の平均粒径及び最大粒径は、無機フィラー(B)と同様の範囲であることが必要である。
本発明において、無機フィラー(B)の含有量は、熱硬化性樹脂(A)と無機フィラー(B)との合計の体積(総体積)に対して5体積%以上60体積%以下、特に10〜55体積%、とりわけ15〜50体積%とすることが好ましい。このような含有量とすることにより、本発明の層間充填材組成物は、充分な熱伝導性が得られ、かつ、均一な塗膜が形成できる程度の粘度を保つことができる。
無機フィラー(B)の含有量が、上記下限未満では、形成される層間充填層に十分な熱伝導性が得られない場合があり、また、上記上限を超えると層間充填材組成物又は塗布液の粘度が高くなり、均一な塗膜を形成できないなどの問題が出てくる可能性がある。
本発明の層間充填材組成物は必要に応じて硬化剤(C)を含有していてもよい。
特に、硬化剤(C)がフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤中の官能基との当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲外であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留し、所望の物性が得られないことがある。
また、硬化剤がアミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール及びその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等の場合は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲で用いることが好ましい。
本発明の層間充填材組成物は、フラックス(D)を含有していてもよい。
より具体的には、後述の実験例2におけるはんだボール融解性の評価において、良好な結果が得られるものをさす。
そのため、フラックス(D)としての有機カルボン酸エステルの分解温度は、仮接合時での分解を回避又は抑制するために、130℃以上であることが好ましく、より好ましくは140℃、更に好ましくは160℃以上、最も好ましくは180℃以上である。
本発明においては、Bステージ化膜のレベリング性を向上させて表面平滑性に優れた均質なBステージ化膜を得るために、フッ素基を含有した界面活性剤(E)を用いる。
また、非イオン系親水性基としては、エチレンオキサイドや、アミド基、ケトン基等の1種又は2種以上が挙げられる。
また、親油性基としては、アルキル基、フェニル基等の1種又は2種以上が挙げられる。
また、非イオン系親水性基と親油性基は、オリゴマーに、非イオン系親水性基1〜50重量%、親油性基1〜50重量%で、非イオン系親水性基:親油性基=1:0.1〜10、特に0.3〜5のモル比で導入されていることが好ましい。
本発明の層間充填材組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の添加剤を含んでいてもよい。
また、本発明の層間充填材組成物には、成形時の流動性改良及び基材との密着性向上の観点より、熱可塑性のオリゴマー類を添加することもできる。
その他、組成物ないしは塗布液中での各成分の分散性を向上させる、上記フッ素基を含有した界面活性剤(E)以外の界面活性剤(以下「その他の界面活性剤」と称す。)や、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等を添加することもできる。
これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
ここで、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、アルキルベタイン類、アミノ酸類などが挙げられる。
また、これら界面活性剤においてCH結合の一部又は全てがCF結合となったフッ素界面活性剤も好ましく用いることができる。
本発明の層間充填材組成物塗布液は、上述の本発明の層間充填材組成物に更に有機溶媒(F)を含有するものである。即ち、本発明の層間充填材組成物は、有機溶媒を含まず、本発明の層間充填材組成物に有機溶媒を添加したものが、本発明の層間充填材組成物塗布液である。
本発明の層間充填材組成物塗布液の有機溶媒(F)としては、層間充填材組成物塗布液の固形分(層間充填材組成物塗布液の有機溶媒(F)以外の成分であって、本発明の層間充填材組成物に相当する)を均一に溶解ないし分散させることができるものであればよく、特に制限はないが、沸点が120℃以上の有機溶媒(Fa)を含有すること、より好ましくは沸点が120℃以上の有機溶媒(Fa)と、沸点が60℃以上120℃未満の有機溶媒(Fb)とを含有することが好ましく、例えば、以下に例示するアルコール系溶媒、芳香族系溶媒、アミド系溶媒、アルカン系溶媒、エチレングリコールエーテル及びエーテル・エステル系溶媒、プロピレングリコールエーテル及びエーテル・エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒の中から、好適な沸点のものを選択して用いることができる。
メタノール(沸点64.7℃)、エタノール(沸点78.4℃)、ブタノール(沸点117℃)、iso−プロピルアルコール(沸点82.4℃)、n−プロピルアルコール(沸点97.15℃)、tert−ブタノール(沸点82.4℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)2−エチルヘキサノール(沸点183〜185℃)等
トルエン(沸点110.6℃)、キシレン(沸点144℃)等
N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点165℃)等
n−ヘキサン(沸点69℃)、iso−ヘキサン(沸点68〜70℃)、シクロヘキサン(沸点80.74℃)、メチルシクロヘキサン(沸点101℃)、n−ヘプタン(沸点98℃)、iso−オクタン(沸点99℃)、n−デカン(沸点174.2℃)等
エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)、エチレングリコールエチルエーテル(沸点135℃)、エチレングリコールn−ブチルエーテル(沸点171℃)、エチレングリコールモノiso−ブチルエーテル(沸点160℃)、エチレングリコールヘキシルエーテル(沸点208℃)、エチレングリコールフェニルエーテル(沸点242℃)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(沸点149.5℃)、エチレングリコールモノiso−プロピルエーテル(沸点141℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル(沸点231℃)、ジエチレングリコールモノiso−ブチルエーテル(沸点220℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、ジエチレングリコールヘキシルエーテル(沸点259℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点271℃)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点295℃)等
プロピレングリコールメチルエーテル(沸点120℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(沸点190℃)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(沸点242℃)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル(沸点150℃)、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(沸点212℃)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル(沸点274℃)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル(沸点170℃)、プロピレングリコール−iso−ブチルエーテル(沸点157℃)、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(沸点229℃)、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(沸点274℃)、プロピレングリコールフェニルエーテル(沸点243℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、プロピレングリコールフェニルエーテル(沸点243℃)等
アセトン(沸点56℃)、メチルエチルケトン(以下「MEK」と略記する。)(沸点80℃)、メチルプロピルケトン(沸点102℃)、メチルn−ブチルケトン(沸点128℃)、メチルiso−ブチルケトン(沸点118℃)、メチルiso−アミルケトン(沸点145℃)、メチルn−アミルケトン(沸点152℃)、エチルブチルケトン(沸点149℃)、エチルsec−アミルケトン(沸点159℃)、アセチルアセトン(沸点140℃)、ジアセトンアルコール(沸点166℃)、ジiso−ブチルケトン(沸点169℃)、シクロヘキサノン(以下「CHN」と略記する。)(沸点157℃)、シクロヘキシルシクロヘキサノン(沸点261℃)等
メチルアセテート(沸点57℃)、エチルアセテート(沸点77℃)、プロピルアセテート(沸点102℃)、iso−プロピルアセテート(沸点88℃)、ブチルアセテート(沸点126℃)、iso−ブチルアセテート(沸点117℃)、sec−ブチルアセテート(沸点112℃)、アミルアセテート(沸点146℃)、メチルアミルアセテート(沸点146℃)、2−エチルヘキシルアセテート(沸点199℃)、エチレングリコールエーテルメチルアセテート(沸点145℃)、エチレングリコールエーテルメチルアセテート(沸点145℃)、エチレングリコールエーテルエチルアセテート(沸点156℃)、エチレングリコールエーテルn−ブチルアセテート(沸点188℃)、ジエチレングリコールエーテルエチルアセテート(沸点217℃)、ジエチレングリコールエーテルn−ブチルアセテート(沸点245℃)、エチレングリコールジアセテート(沸点191℃)、iso−ブチル−iso−ブチレート(沸点147℃)、エチルラクテート(沸点154℃)、ブチルラクテート(沸点188℃)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート(沸点188℃)、乳酸エチル(沸点155℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と略記する。)(沸点146℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、プロピレンモノメチルエーテルメチルアセテート(沸点188℃)等
本発明の層間充填材組成物塗布液においては、沸点が120℃以上の有機溶媒(Fa)を用いることにより、Bステージ化時の有機溶媒の急激な蒸発による蒸発荒れを防止して、より均質なBステージ化膜を形成することが可能となる。即ち、Bステージ化のための加熱処理における加熱温度は通常50〜150℃、好ましくは70〜120℃であるため、この温度条件に対して、沸点120℃以上の有機溶媒であれば、蒸発荒れを起こすことのない適度な速度で蒸発除去される。ただし、この有機溶媒(Fa)の沸点が過度に高いとBステージ化における加熱処理時に効率的にかつ高度に塗膜中の有機溶媒を蒸発除去することが困難であることから、有機溶媒(Fa)の沸点は180℃未満であることが好ましく、特に130℃以上180℃未満、とりわけ140〜170℃であることが好ましい。
本発明の層間充填材組成物塗布液には、上記の沸点120℃以上の有機溶媒(Fa)と共に、沸点が120℃未満の有機溶媒(Fb)を併用してもよく、このような低沸点有機溶媒(Fb)を併用することにより、Bステージ化工程での有機溶媒の蒸発効率を高めることができる。
ただし、この有機溶媒(Fb)の沸点が過度に低いと蒸発荒れの問題が生じるため、有機溶媒(Fb)の沸点は60℃以上であることが好ましく、特に65〜115℃であることが好ましい。
本発明の層間充填材組成物塗布液において、有機溶媒(F)の有機溶媒以外の他の成分(層間充填材組成物塗布液の有機溶媒(F)以外の成分であって、本発明の層間充填材組成物に相当する)に対する混合割合は、特に制限はないが、好ましくは他の成分に対して20重量%以上70重量%以下、特に好ましくは30重量%以上60重量%以下とし、塗布液中の固形分濃度としては10〜80重量%、特に20〜70重量%とすることが好ましい。このような混合割合とすることにより、任意の塗布法によって良好な塗膜を形成することができる適当な粘度で取り扱い性に優れた塗布液とすることができる。
有機溶媒(F)の混合割合が、上記下限では塗布液の粘度が上昇し良好な塗膜が得られない場合があり、又は上記上限を超えると所定の膜厚が得られない等の問題が出てくる可能性がある。
本発明の層間充填材組成物及び塗布液の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法によればよく、層間充填材組成物及び塗布液の構成成分を混合することで製造することができる。なお、その際、組成物や塗布液の均一性の向上、脱泡等を目的として、ペイントシェーカーやビーズミル、プラネタリミキサ、撹拌型分散機、自公転攪拌混合機、三本ロールなどを用いて混合することが好ましい。
各配合成分の混合順序も反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、層間充填材組成物及び塗布液の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め混合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
以下に、本発明の三次元集積回路の製造方法について説明する。
また、本発明の層間充填材組成物塗布液を用いて、複数の半導体基板間に、本発明の層間充填材組成物塗布液を塗布して成膜後、これらの半導体基板を加圧接合して積層することにより三次元集積回路を製造することができる。この場合、より具体的には、半導体基板表面に、本発明の層間充填材組成物塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、塗膜が形成された半導体基板を他の半導体基板と積層して加圧する接合工程とを含み、塗布工程と接合工程の間に、通常、前記塗膜を乾燥してBステージ化する乾燥工程(以下「Bステージ化工程」と称す。)を有する。
本発明の製造方法では、まず半導体基板の表面に本発明の層間充填材組成物塗布液の塗膜を形成する。
即ち、本発明の層間充填材組成物塗布液を用いて、それぞれディップ法やスピンコート法、スプレーコート法やブレード法その他の任意の方法で塗膜を形成する。本発明の塗布液の塗布には、スピンコーター、スリットコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどの塗布装置を用いることで、半導体基板上に所定の膜厚の塗膜を均一に形成することが可能であり好ましい。
本発明の塗布液を塗布することにより形成された塗膜から溶媒や低分子成分除去のために、通常50〜150℃、好ましくは70〜120℃の任意の温度で10〜120分程度加熱処理を行ってBステージ化膜を形成する。
この際、一定の温度において加熱処理を行ってもよいが、塗布液中の有機溶媒等の揮発成分の除去を円滑に進めるために、減圧条件下にて加熱処理を行ってもよい。また、熱硬化性樹脂(A)の硬化が進行しない範囲で、段階的な昇温による加熱処理を行っても良い。例えば、初めに50〜70℃、例えば60℃で、次に70〜90℃、例えば80℃で、更に90〜150℃、例えば120℃で各5〜30分程度の加熱処理を実施することができる。
次に、形成されたBステージ化膜を加熱してタック性を発現させた後に、接合対象の半導体基板と仮接合を行う。仮接合の温度としては、用いた熱硬化性樹脂(A)にもよるが、80〜150℃、中でも90〜140℃の温度で1秒〜120秒程度行うことが好ましい。半導体基板の接合が複数層の場合には、前記仮接合を基板の層数分繰り返しても良いし、Bステージ化膜を形成した基板を複数層重ね合わせた後に、加熱してまとめて仮接合しても良い。仮接合の際には必要に応じて積層基板間に1gf/cm2〜5Kgf/cm2の加重をかけて実施することが好ましい。
本接合は、仮接合させた半導体基板を200℃以上、好ましくは220℃以上の温度で10〜60秒程度加圧することにより、Bステージ化膜中の熱硬化性樹脂(A)の溶融粘度を低下させて半導体基板間の電気端子の接続を促進すると同時に、Bステージ化膜中のフラックス(D)を活性化させて半導体基板間のはんだ接合を実現することにより行なわれる。なお、本接合の加熱温度の上限は、使用する熱硬化性樹脂(A)が分解、変質しない温度であり、樹脂の種類、グレードにより適宜決定されるが、通常300℃以下で行われる。
また、加熱接着の際には必要に応じて基板間に10gf/cm2〜10Kgf/cm2の加重をかけて実施することが好ましい。
逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下において用いた層間充填材組成物塗布液の配合成分は次の通りである。
<エポキシ樹脂(a)>
エポキシ樹脂(a1):フェノキシ樹脂
重量平均分子量:26,000
エポキシ当量:4,600g/当量
30重量%メチルエチルケトン/シクロヘキサノン溶液
エポキシ樹脂(a2):三菱化学株式会社製 品名「YL6800」
エポキシ樹脂(a3):三菱化学株式会社製 品名「1032H60」
エポキシ樹脂(a4):三菱化学株式会社製 品名「1001」
エポキシ樹脂(a5):三菱化学株式会社製 品名「4004」
日新リフラテック株式会社製窒化ホウ素 BN(熱伝導率3W/mK(厚み方向)、
275W/mK(面内方向))
<硬化剤(C)>
四国化成工業株式会社製 2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール
品名「2PHZ−PW」
<フラックス(D)>
和光純薬工業株式会社製 アジピン酸 試薬特級
DIC株式会社製「F477」非イオン系含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー
<界面活性剤(X)>
界面活性剤(x1):ドデシルベンゼンスルホン酸
界面活性剤(x2):ポリオキシエチレン(EO付加モル数11)ドデシルエーテル
有機溶媒(Fa):和光純薬工業株式会社製 シクロヘキサノン(CHN)
(沸点157℃) 試薬特級
有機溶媒(Fb):和光純薬工業株式会社製 メチルエチルケトン(MEK)
(沸点80℃) 試薬特級
YL6121H(エポキシ当量171g/当量、4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂の1:1混合物(三菱化学株式会社製)215重量部、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール(OH当量107g/当量、本州化学株式会社製)127重量部、27重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.32重量部、及び、反応用溶媒としてシクロヘキサノン228重量部を撹拌機付き耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、180℃で5時間反応を行った後、希釈用溶剤としてシクロヘキサノン171重量部及びメチルエチルケトン399重量部を加えて固形分濃度を調整した。反応生成物から定法により溶剤を除去して30重量%の樹脂溶液を得た。
(1)エポキシ樹脂の溶融粘度
株式会社アントンパール・ジャパン製 粘弾性測定装置Physica MCR301を用いて、溶融粘度(パラレルプレート動的粘度)を測定した。
まず、測定対象であるエポキシ樹脂から溶媒を留去して固形物を得、その後、この固形物に対してプレス成形を行い、厚さ約1mmの板状サンプルを得た。このサンプルを、パラレルプレートディッシュとパラレルプレート(25mmφ)の間に載置し、パラレルプレート動的粘度測定を行った。
測定条件は、上記サンプルに正弦波歪みを20%与え、その歪みの角周波数は10rad/secとし、1分間に3℃の割合で昇温させる過程での粘度を40℃〜200℃まで測定した。
エポキシ樹脂の硬化膜について、以下の装置を用いて、熱拡散率、比重、及び比熱を測定し、この3つの測定値を乗じることで求めた。
1)熱拡散率:株式会社アイフェイズ「アイフェイズ・モバイル 1u」
2)比重:メトラー・トレド株式会社「天秤 XS−204」(固体比重測定キット使用)
3)比熱:セイコーインスツル株式会社「DSC320/6200」
攪拌混合後の層間充填材組成物塗布液をシクロヘキサノンで分散させ、島津製作所製粒度分布測定装置「SALD−2200」にて測定した。得られた粒度分布から粉砕後の無機フィラーの平均粒径及び最大粒径を求めた。
得られたBステージ化膜を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:表面平滑性に優れ、均質な膜が形成されている。
×:膜表面の荒れで膜が不均質となっている。
エポキシ樹脂(a)の熱伝導率測定のための硬化膜形成方法を以下に示す。
エポキシ樹脂(a)として、上記エポキシ樹脂(a1)溶液3.33gとエポキシ樹脂(a2)3.50gとエポキシ樹脂(a3)溶液(80重量%シクロヘキサノン溶液)0.63g(溶媒を除いた樹脂として配合重量比20:70:10。このエポキシ樹脂(a1)、エポキシ樹脂(a2)及びエポキシ樹脂(a3)の混合エポキシ樹脂(a)の溶融粘度は、800Pa・s(50℃)及び4Pa・s(120℃)であった。)に、硬化剤(C)0.20g、フラックス(D)0.15g、及び有機溶媒(E1)1.94gを加え、自公転攪拌機を用いて2000rpmで6分間攪拌し、エポキシ樹脂溶液(塗布液)を得た。
この樹脂溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)に塗布し、60℃で15分、その後80℃で15分、その後減圧下にて100℃で15分加熱して溶媒を除去してBステージ化膜とした。その後、もう一枚のセパレータを得られたBステージ化膜上に載せた後、まず130℃で1時間、次いで150℃で1時間することにより硬化させて、膜厚約100μmの硬化膜を得た。
この硬化膜について、熱伝導率を測定したところ、エポキシ樹脂(a)の熱伝導率は0.22W/mKであった。
表1に示すフラックスと有機溶媒(メチルエチルケトンとシクロヘキサノンを配合重量比(35:65)で混合したもの)を表1に記載のフラックス濃度にて配合した後、撹拌混合し、フラックス溶液を得た。
このフラックス溶液を10mm×10mmの銅基板上に50μL滴下した後、このフラックス液滴中にはんだボール(Sn3.0Ag0.5Cu、直径300μm)を添加した。この基板をホットプレート上にて120℃で1分間加熱して溶媒を留去した。
次に、この基板を250℃のホットプレート上において、250℃で10秒間加熱を行い、銅基板に対するはんだボールの融解性の良(○)否(×)を評価した。結果を表1に示す。
<製造例1:実施例1〜6の塗布液の調製>
エポキシ樹脂(a−a)として、上記エポキシ樹脂(a1)溶液1.67gとエポキシ樹脂(a2)1.25gとエポキシ樹脂(a3)溶液(80重量%シクロヘキサノン溶液)0.31gとエポキシ樹脂(a4)溶液(70重量%シクロヘキサノン溶液)0.71g(溶媒を除いた樹脂として配合重量比20:50:10:20。このエポキシ樹脂(a1)、エポキシ樹脂(a2)、エポキシ樹脂(a3)及びエポキシ樹脂(a4)の混合エポキシ樹脂(a)の溶融粘度は、>1000Pa・s(50℃)及び12Pa・s(120℃)であり、熱伝導率は0.20W/mKである。)と、無機フィラー(B)2.5gと、有機溶媒(Fa)及び有機溶媒(Fb)を有機溶媒(Fa):有機溶媒(Fb)=9:1(重量比)で混合した有機溶媒(F)3.11gとを、PE製の容器に仕込み、更に直径2mmのジルコニアボール(YTZ−2)を12g加え、自公転攪拌機を用いて2000rpmで30分間攪拌した。攪拌終了後、濾過によりビーズを取り除き、硬化剤(C)を0.10g、フラックス(D)を0.05g、界面活性剤(E)を表2に示す量加え、更に自公転攪拌機にて6分間攪拌し、層間充填材組成物塗布液(固形分濃度は50重量%、無機フィラー(B)の含有量はエポキシ樹脂(a−a)との合計に対して34体積%)を得た。
得られた粉砕後の層間充填材組成物塗布液中の無機フィラー(B)の粒度分布から求めた無機フィラー(B)の平均粒径は4μmで、最大粒径は9μmであった。
製造例1において、エポキシ樹脂を、エポキシ樹脂(a−b)として、エポキシ樹脂(a3)溶液(80重量%シクロヘキサノン溶液)0.31g、エポキシ樹脂(a4)溶液(70重量%シクロヘキサノン溶液)2.14g、及びエポキシ樹脂(a5)0.75g(溶媒を除いた樹脂として配合重量比10:60:30。このエポキシ樹脂(a3)、エポキシ樹脂(a4)、及びエポキシ樹脂(a5)の混合エポキシ樹脂(a)の溶融粘度は、12000Pa・s(50℃)及び3Pa・s(120℃)であり、熱伝導率は0.21W/mKである。)の混合組成とし、有機溶媒(F)として有機溶媒(Fa)と有機溶媒(Fb)を有機溶媒(Fa):有機溶媒(Fb)=5:5(重量比)で混合したものを用いたこと以外は同様にして層間充填材組成物塗布液(固形分濃度は50重量%、無機フィラー(B)の含有量はエポキシ樹脂(a)との合計に対して34体積%)を調製した。
得られた粉砕後の層間充填材組成物塗布液中の無機フィラー(B)の粒度分布から求めた無機フィラー(B)の平均粒径は3μmで、最大粒径は9μmであった。
製造例1において、界面活性剤(E)を添加しなかったこと以外は同様にして層間充填材組成物塗布液を調製した。
製造例2において、界面活性剤(E)を添加しなかったこと以外は同様にして層間充填材組成物塗布液を調製した。
製造例2において、界面活性剤(E)を界面活性剤(x1)又は界面活性剤(x2)に代え、その添加量を表2に示す量としたこと以外は同様にして層間充填材組成物塗布液を調製した。
各々の層間充填材組成物塗布液を、スピンコーター(株式会社共和理研製)を用いて2inchのシリコン基板に静止状態で塗布した後、800rpmで10秒間、続いて2000rpmで30秒の条件で塗布し、表2に示す加熱条件でBステージ化して、表2に示す膜厚のBステージ化膜とした。
なお、Bステージ化の加熱処理は、実施例1〜3及び比較例1では2段階で行い、実施例4,5及び比較例2では1段処理とした。
得られたBステージ化膜について、前述の方法でレベリング性の評価を行い、結果を表2に示した。
なお、比較例3,4では相分離のため塗膜を形成し得なかった。
伝導性の高い高品質の層間充填層を形成することができる。
Claims (10)
- 熱伝導率が0.2W/mK以上であり、かつ、50℃における溶融粘度が2000Pa・s以上であって、120℃における溶融粘度が100Pa・s以下であるエポキシ樹脂(A)と、熱伝導率が2W/mK以上であり、平均粒径が0.1μm以上5μm以下、かつ、最大粒径が10μm以下である無機フィラー(B)と、硬化剤(C)及び/又はフラックス(D)と、フッ素基を含有した界面活性剤(E)とを含有することを特徴とする三次元集積回路用の層間充填材組成物。
- エポキシ樹脂(A)と無機フィラー(B)との総体積に対し、無機フィラー(B)が5体積%以上60体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の三次元集積回路用の層間充填材組成物。
- 無機フィラー(B)が、窒化ホウ素フィラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元集積回路用の層間充填材組成物。
- 硬化剤(C)が、イミダゾール、イミダゾール誘導体、及びジシアンジアミン化合物から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の三次元集積回路用の層間充填材組成物。
- フラックス(D)が、有機カルボン酸及び有機カルボン酸誘導体から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の三次元集積回路用の層間充填材組成物。
- フッ素基を含有した界面活性剤(E)が、非イオン系親水性基及び親油性基を含有するオリゴマーであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の三次元集積回路用の層間充填材組成物。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の層間充填材組成物と、有機溶媒(F)とを含有してなることを特徴とする三次元集積回路の層間充填材組成物塗布液。
- 複数の半導体基板間に、請求項1から6のいずれか1項に記載の層間充填材組成物を成膜後、これらの半導体基板を加圧接合して積層する工程を含むことを特徴とする三次元集積回路の製造方法。
- 複数の半導体基板間に、請求項7に記載の層間充填材組成物塗布液を塗布して成膜後、これらの半導体基板を加圧接合して積層する工程を含むことを特徴とする三次元集積回路の製造方法。
- 前記加圧接着を200℃以上で行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の三次元集積回路の製造方法。
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