JP5263429B1 - 熱伝導性易変形性凝集体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
より少ない使用量で従来と同程度の熱伝導性を付与できるか、あるいは従来と同程度の使用量でより高い熱伝導性を付与できる、熱伝導性付与材料を提供すること。
【課題を解決するための手段】
上記課題は、平均一次粒子径が0.1〜10μmの球状の熱伝導性粒子(A)100重量部と、有機結着剤(B)0.1〜30重量部とを含む、平均粒子径が2〜100μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力が5mN以下である、易変形性凝集体(D)によって解決できる。
【選択図】図3a
Description
エレクトロニクス分野では絶縁材として高分子材料が好適に用いられているため、放熱性を向上させるため、高分子材料の熱伝導性の向上が望まれるようになった。しかし、高分子材料の熱伝導性向上には限界があったため、熱伝導性粒子を高分子材料に混合し、放熱性を向上させる方法が開発された。
従来よりも少ない使用量で成形体に熱伝導性を付与できるよう、熱伝導性無機フィラーには、熱伝導性の向上が求められている。
具体的には、アルミナや窒化アルミニウムや結晶性シリカ等の熱伝導性粒子を、シランカップリング剤や熱硬化性樹脂でコーティング処理した後、低くても800℃、通常は1000〜2800℃の熱伝導性粒子の融点近い温度で焼結し、球状の複合粒子を得る方法が提案されている([0009]、[0021]〜「0022」、[0028]〜[0032]参照)。
特許文献2によれば、複合粒子の凝集力を高めるために焼結すると開示する。しかし、造粒後、熱伝導性粒子の融点近い温度で焼結する結果、造粒の際使用したバインダーは消失してしまい、焼結後の複合粒子の凝集力は決して高くなく、むしろ焼結後の複合粒子は脆くて造粒状態を維持できず、崩壊し易い。
あるいは、融点以上の温度で十分焼結すれば、熱伝導性粒子同士が癒着一体化するので、凝集力の高いものを得ることはできる。しかし、癒着一体化の結果、巨大な硬い粒子となってしまう。
特許文献4、5の場合も、特許文献2の場合と同様に、非常に高温で焼結する上、焼結助剤等と窒化アルミニウムとが強固に結合するため、得られるのは、凝集体としては硬い窒化アルミニウムか、あるいは焼結して一体化された巨大で硬い窒化アルミニウム粒子である。
具体的には、燐片状窒化ホウ素を1800℃前後にて仮焼きした後、粉砕してなる一次粒子から形成される顆粒を2000℃で焼成し、気孔率が50%以下、平均気孔径が0.05〜3μmの二次凝集体を得る方法が開示されている([0014]、[0026]、「0027]参照)。
そこで、より少ない使用量で従来と同程度の熱伝導性を付与できるか、あるいは従来と同程度の使用量でより高い熱伝導性を付与できる、熱伝導性付与材料が求められようになってきた。
即ち、本発明は、平均一次粒子径が0.1〜10μmの球状の熱伝導性粒子(A)100重量部と、有機結着剤(B)0.1〜30重量部とを含む、平均粒子径が2〜100μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力が5mN以下である、易変形性凝集体(D)に関する。
前記熱伝導性粒子(A)は、金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、金属水酸化物、炭酸金属塩、ケイ酸金属塩、水和金属化合物、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、炭化ケイ素、金属、および炭素化合物からなる群より選ばれることが好ましい。
前記熱伝導性粒子(A)は、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群より選ばれることが好ましい。
次いで、前記スラリーから前記溶剤(C)を除去する、ことを特徴とする、
平均粒子径が2〜100μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力が5mN以下である、易変形性凝集体(D)の製造方法に関する。
具体的には、測定対象のごく少量の試料を顕微鏡にて拡大し、任意の一粒を選択し、該測定対象粒子を加圧圧子の下部に移動させ、前記加圧圧子に負荷を加え、前記測定対象粒子を圧縮変形させる。前記試験機は、前記測定対象粒子の圧縮変位を計測するための検出器を、前記加圧圧子の上部に備えている。前記検出器にて、前記測定対象粒子の圧縮変位を計測し、変形率を求める。そして、前記測定対象粒子を10%圧縮変形するために要する圧縮力(以下、「10%圧縮変形力」とも略す)を求める。任意の他の測定対象粒子について、同様にして「10%圧縮変形力」を求め、10個の測定対象粒子についての「10%圧縮変形力」の平均値を「圧縮変形率10%に要する平均圧縮力」とする。
なお、本発明の易変形性凝集体(D)は、後述するように小さな熱伝導性粒子(A)が複数集合した状態のものであるが、圧縮変形率の測定においては凝集体を一粒の単位とする。
図1に示す通り、凝集させていない熱伝導性粒子(A)は、ごく僅かに変形させるために大きな力を要する。一方、図2と同じの大きさの熱伝導性粒子(A)を図4の熱伝導性粒子(A)と同程度の大きさに凝集させた場合、図1に示す通り、はるかに小さな力で変形させることができる。
即ち、本発明の凝集体(D)は、「易変形性」凝集体である。
図3aは、本発明の凝集体(D)を含む熱伝導性前駆部材の一種である熱硬化性シートの平面のSEM写真であり、図3bは、熱伝導性前駆部材を加圧下に熱硬化した硬化物の平面のSEM写真であり、図3cは硬化物の断面のSEM写真である。図3a、b、cからも、本発明の凝集体(D)が「易変形性」凝集体であることが確認できる。
なお、本発明の凝集体(D)が「易変形性」であるが故に、熱伝導性に優れる理由については、後述する。
酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、
窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の金属窒化物、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸金属塩、
ケイ酸カルシウム等のケイ酸金属塩、
水和金属化合物、
結晶性シリカ、非結晶性シリカ、炭化ケイ素またはこれらの複合物、
金、銀等の金属、
カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ、炭素繊維等の炭素化合物等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用することもできる。
得られる易変形性凝集体(D)を電子材料用途等に用いる場合には、熱伝導性粒子(A)としては、加水分解されにくい酸化アルミニウムがより好ましい。
また、耐加水分解性を向上するための処理を予め施した窒化アルミニウム等の金属窒化物を用い、易変形性凝集体(D)を得れば、得られた易変形性凝集体(D)は、電子材料用途等に用いることもできる。
つまり、球状粒子を用いると、空隙の少ない密な易変形性凝集体(D)を得ることができる。易変形性凝集体(D)内の空隙は、熱伝導性を悪化させるので、空隙の生成をできるだけ防止することは、熱伝導性向上の点で重要である。
また、熱伝導性粒子(A)が球状であると、凝集体内の熱伝導性粒子(A)同士の粒子間の摩擦係数が小さい。その結果、凝集体に力が加えられた際、凝集体内の熱伝導性粒子(A)の位置関係が容易に変化し、凝集体が崩壊することなく変形し易い。
一方、板状や針状の熱伝導性粒子を用いた場合、得られるのは、空隙の多い凝集体であって、凝集体内の構成粒子同士の摩擦が大きく、変形しにくい凝集体となる。
平均一次粒子径が小さ過ぎると、凝集体内における一次粒子同士の接点が多くなり、接触抵抗が大きくなるため熱伝導性が低下する傾向にある。一方、平均一次粒子径が大き過ぎると凝集体を作成しようとしても崩壊し易く、凝集体自体が形成されにくい。
なお、本発明における熱伝導性粒子(A)の平均一次粒子径は、粒度分布計(例えば、Malvern Instruments社製、マスターサイザー2000)で測定したときの値である。
また、本発明の易変形性凝集体(D)が崩壊しにくいことは、例えば、ガラスサンプル管に易変形性凝集体(D)を空隙率70%となるように入れ、振とう機にて2時間振とうしても、振とう後の平均粒子径が振とう前の平均粒子径の80%以上であることからも支持される。
有機結着剤(B)としては、特に制限されず、例えば、「つなぎ」の役割を果たせる範囲において分子量は問わず、例えば、
ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ゼラチン、ギルソナイト、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられるが、これに制限されない。
有機結着剤(B)は、1種類を単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
非硬化性とは、有機結着剤(B)が25℃で自己架橋しないことをいう。
なお、有機結着剤(B)に対して硬化剤として機能する成分は、使用しないことが好ましい。
なお、本発明における易変形性凝集体(D)の平均粒子径は、粒度分布計(例えば、Malvern Instruments社製、マスターサイザー2000)で測定したときの値である。
あるいは、熱伝導性粒子(A)100重量部と有機結着剤(B)0.1〜30重量部とを混合することにより得たり、熱伝導性粒子(A)100重量部に、有機結着剤(B)0.1〜30重量部と前記有機結着剤(B)を溶解する溶剤(C)とを含有する有機結着剤溶液を吹き付けた後、もしくは吹き付けつつ、溶剤(C)を除去することによって、得たりすることもできる。
組成が均一な易変形性凝集体(D)を得るためには、熱伝導性粒子(A)と有機結着剤(B)とを溶剤(C)中で予め混合してスラリーとする工程を経、その後溶剤(C)を除去することが好ましい。
上記溶剤(C)は、有機結着剤(B)を溶解することができれば特に制限はなく、有機結着剤(B)の種類により適宜選択することができる。溶剤(C)としては、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、水等を使用することができ、2種類以上を混合して使用することもできる。
また、上記溶剤(C)の使用量は、除去し易さの点からは少ない方が好ましいが、有機結着剤(B)の溶解性や乾燥用の装置に合わせて適宜変更することができる。
具体的には、前記スラリーを霧状に噴霧しながら、溶剤(C)を揮発・除去すればよい。噴霧条件や揮発条件を適宜選択することができる。
易変形性凝集体(D)とバインダー樹脂(E)とを含有する熱伝導性樹脂組成物(G)を得、前記熱伝導性樹脂組成物(G)から熱伝導性前駆部材(H)を得、前記熱伝導性前駆部材(H)に圧力を加え、含まれている易変形性凝集体(D)を変形させることによって、前記熱伝導性前駆部材(H)の熱伝導性を向上させた高熱伝導性部材(I)を得ることができる。
例えば、熱伝導性樹脂組成物(G)を用いて、接着性や粘着性のある熱伝導性シート(熱伝導性前駆部材(H))を得、放熱対象の物品と放熱部材との間に前記熱伝導性シートを挟み圧力を加えることによって、放熱対象の物品と放熱部材とを貼り合わせると共に、前記熱伝導性シートの熱伝導性を向上させた高熱伝導性部材(I)とし、放熱対象の物品の熱を効率良く放熱部材に伝えることができる。
また、熱伝導性樹脂組成物(G)から接着性や粘着性のない熱伝導性シート(熱伝導性前駆部材(H))を得、前述の接着性や粘着性のある熱伝導性シートの代わりに用いることによって、放熱対象の物品の熱を効率良く放熱部材に伝えることができる。
例えば、圧力を加え、熱伝導性樹脂組成物(G)から熱伝導性シート等(高熱伝導性部材(I))を得ることができる。
例えば、放熱対象の物品と放熱部材との間に易変形性凝集体(D)を挟み、圧力を加え、易変形性凝集体(D)を変形させることによって、放熱対象の物品の熱を効率良く放熱部材に伝えることができる。
本発明の易変形性凝集体(D)は、熱伝導性粒子(A)が凝集しているので、粒子間の距離が近く、熱伝導経路を予め形成しているので、効率良く熱伝導させることができる。
しかも、本発明の易変形性凝集体(D)は「易変形性」であることによって、高熱伝導性を実現できる。即ち、易変形性凝集体(D)に力が加わった際に易変形性凝集体(D)は崩壊することなく、易変形性凝集体(D)内の熱伝導性粒子(A)同士の密着性が向上することにより、予め形成された熱伝導経路を増強できる。あわせて、易変形性凝集体(D)を構成する熱伝導性粒子(A)の位置が容易に変化できることによって、放熱対象の物品と放熱部材との間で、易変形性凝集体(D)が界面の形状に追従し、放熱対象の物品や放熱部材と熱伝導性粒子(A)との接触面積が増え、熱流入面積や熱伝播経路を飛躍的に増大させることができる。
図3aは、図2に示す平均一次粒子径が1μmの熱伝導性粒子(A)を有機結着剤(B)で凝集させた、平均粒子径10μmの易変形性凝集体(D)を含有する熱硬化性シートの平面のSEM写真であり、図3b、cは、前記熱硬化性シートを加圧下に熱硬化した硬化物の、それぞれ平面、断面のSEM写真である。熱硬化性シートに圧力を加えることによって、易変形性凝集体(D)内の熱伝導性粒子(A)同士がより密着すると共に、熱伝導性粒子(A)が硬化物の表面に多く存在し、界面の形状に追従していることが確認できる。
これに対し、図4に示されるような、凝集させていない熱伝導性粒子(A)であって、その大きさが図3aに示す易変形性凝集体(D)と同程度のものは易変形性を有さないため、熱硬化性シートの加圧の前後で上記のような変化はほとんど確認できない。
このように本発明の易変形性凝集体(D)は「易変形性」であるが故に、熱伝導性に優れる。つまり、本発明の易変形性凝集体(D)は、より少ない使用量で従来と同程度の熱伝導性を熱伝導性部材に付与したり、あるいは従来と同程度の使用量でより高い熱伝導性を熱伝導性部材に付与したりできる。
熱伝導率(W/m・K)=熱拡散率(mm 2/s)×比熱容量(J/(g・K))×密度(g/cm3)
熱拡散率の測定は、測定サンプルの形状や目的に応じて、例えば、周期加熱法、ホットディスク法、温度波分析法、フラッシュ法等を選択することができるが、本発明では、キセノンフラッシュアナライザーLFA447 NanoFlash(NETZSCH社製)を用いたフラッシュ法で熱
拡散率を測定した。
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ギルソナイト、ゼラチン、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂および塩素化ポリウレタン樹脂からなる郡より用途に応じて選ばれる1種または2種以上を適宜使用することができる。
中でも柔軟性の観点からウレタン系樹脂、電子部品として用いる際の絶縁性、耐熱性等の観点からエポキシ系樹脂が好適に用いられる。
なお、易変形性凝集体(D)を構成する有機結着剤(B)は、易変形性を確保するために、非硬化性であることが好ましい。しかし、熱伝導性樹脂組成物(G)や熱伝導性前駆部材(H)に含まれるバインダー樹脂(E)は、バインダー樹脂(E)自体硬化するか、もしくは適当な硬化剤との反応により硬化するものを用いることができる。
易変形性凝集体(D)は、1種を単独で用いることも、平均粒子径の異なるものや、構成する熱伝導性粒子(A)の種類や平均一次粒子径の異なるものや、構成する有機結着剤(B)の種類や量の異なるものを、複数併用しても良い。
例えば、有機結着剤(B)としてポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂を選択した場合には、熱伝導性樹脂組成物(G)を得る際の溶剤(F)として、トルエンやキシレン等の非水性溶剤を選択すれば良い。
有機結着剤(B)としてフェノキシ樹脂や石油樹脂等の非水溶性樹脂を選択した場合には、熱伝導性樹脂組成物(G)を得る際の溶剤(F)として、水やアルコール等の水性溶剤を選択すれば良い。
なお、ここでいう「不溶」とは、有機結着剤(B)1gを、溶剤(F)100gに入れ、25℃で24時間攪拌し、目視で沈殿が確認されることとする。
併用し得る熱伝導性粒子としては、例えば熱伝導性粒子(A)として例示したものが挙げられる。
難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
熱伝導性シートは、基材上に溶剤(F)を含有する熱伝導性樹脂組成物(G)を塗工・乾燥し、形成できる。なお、熱伝導性シートは熱伝導性フィルムと称されることもある。
剥離フィルムに熱伝導性樹脂組成物(G)を塗工・乾燥した場合には、熱伝導層の表面に他の剥離フィルムを重ね、加熱下で加圧プレスし、2枚の剥離フィルムに挟まれたシート状の高熱伝導性部材(I)を得、剥離フィルムを剥がしシート状の高熱伝導性部材(I)を単離できる。あるいは熱伝導層の表面に剥離フィルム以外の他の基材を重ね、加熱下で加圧プレスし、高熱伝導性部材(I)を得ることもできる。
なお、平均一次粒子径、円形度、平均粒子径、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力、崩壊しにくさ等については以下のようにして求めた。
Malvern Instruments社製粒度分布計マスターサイザー2000を用いて測定した。測定条件は乾式ユニットを用いて空気圧2.5バール、また、フィード速度はサンプルにより最適化を行った。
東亜医用電子(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて粒子の平均円形度を測定した。具体的にはトルエン10mlに測定したい粒子約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5,000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、円相当径粒子群の円形度を測定し、平均円形度を求めた。
Malvern Instruments社製粒度分布計マスターサイザー2000を用いて測定した。測定条件は乾式ユニットを用いて空気圧2.5バール、また、フィード速度はサンプルにより最適化を行った。
圧縮変形率10%に要する平均圧縮力は、微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、MCT−210)圧縮試験により粒子を10%変形させるための荷重を測定領域内で無作為に選んだ10個の粒子について測定し、その平均値とした。
ガラスサンプル管に易変形性凝集体(D)を空隙率70%となるように入れ、振とう機にて2時間振とうしたのちに粒子径分布を測定し、処理後の粒子径が処理前の平均粒子径の80%以上であることを指標とし確認した。
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、テレフタル酸とアジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール((株)クラレ製「クラレポリオールP−1011」、Mn=1006)401.9重量部、ジメチロールブタン酸12.7重量部、イソホロンジイソシアネート151.0重量部、トルエン40重量部を仕込み、窒素雰囲気下90℃3時間反応させ、これにトルエン300部を加えてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次に、イソホロンジアミン27.8重量部、ジ−n−ブチルアミン3.2重量部、2−プロパノール342.0重量部、トルエン396.0重量部を混合したものに、得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液815.1重量部を添加し、70℃3時間反応させ、トルエン144.0重量部、2−プロパノール72.0重量部で希釈し、Mw=54,000、酸価=8mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂の溶液A−1を得た。
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、導入管、窒素導入管を備えた4口フラスコに、ポリカーボネートジオール(クラレポリオール C−2090:株式会社クラレ製)292.1重量部、テトラヒドロ無水フタル酸(リカシッドTH:新日本理化株式会社製)44.9重量部、溶剤としてトルエン350.0重量部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いてこのフラスコを110℃に昇温し、3時間反応させた。その後、40℃に冷却後、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−8125:東都化成株式会社製)62.9重量部、触媒としてトリフェニルホスフィン4.0重量部を添加して110℃に昇温し、8時間反応させた。室温まで冷却後、トルエンで固形分が35%になるように調整し、本発明のカルボキシル基含有変性エステル樹脂A−2溶液を得た。
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに、ブチルアクリレート98.5重量部、アクリル酸1.5重量部、酢酸エチル150.0重量部を仕込み、窒素置換下で70℃まで加熱し、アゾビスイソブチロニトリル0.15重量部を添加し重合を開始した。重合開始後3時間後から1時間おきに5時間後までそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.15重量部を添加し更に2時間重合を行った。その後、酢酸エチル150.0重量部を追加して重合を終了させ、アクリル樹脂(A−3)を得た。
アルミナ粒子(株式会社アドマテックス製「AO−502」、平均一次粒子径:約1μm、平均円形度:0.99)100重量部、ポリビニルアルコールの4重量%水溶液(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセノールNL−05」):125重量部(固形分:5重量部)、及びイオン交換水:25重量部を、ディスパーで1000rpm、1時間、攪拌してスラリーを得た。
このスラリーをミニスプレードライヤー(日本ビュッヒ社製「B−290」)にて、125℃雰囲気下で、噴霧乾燥し、平均粒子径約10μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.6mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:97%の易変形性凝集体D−1を得た。
アルミナ粒子(昭和電工株式会社製「CB−P02」、平均一次粒子径:約2μm、平均円形度:0.98)100重量部、前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液:50重量部(固形分:2重量部)、及びイオン交換水:100重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約20μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.5mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:93%の易変形性凝集体D−2を得た。
アルミナ粒子(株式会社アドマテックス製「AO−509」、平均一次粒子径:約10μm、平均円形度:0.99)100部、前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液:12.5重量部(固形分:0.5重量部)、及びイオン交換水:137.5重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約50μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約4mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:90%の易変形性凝集体D−3を得た。
アルミナ粒子(株式会社アドマテックス製「AO−502」、平均一次粒子径:約1μm、平均円形度:0.99)70重量部、アルミナ粒子(株式会社アドマテックス製「AO−509」、平均一次粒子径:約10μm、平均円形度:0.99)30重量部、前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液:50重量部(固形分:2重量部)、及びイオン交換水:100重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約30μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約1mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:95%の易変形性凝集体D−4を得た。
窒化アルミニウム(株式会社トクヤマ製「Hグレード」、平均一次粒子径:約1μm、平均円形度:0.97)100重量部、前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液:50重量部(固形分:2重量部)、及びイオン交換水:100重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約15μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約1mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:97%の易変形性凝集体D−5を得た。
アルミナ粒子(昭和電工株式会社製「CB−P05」、平均一次粒子径:約5μm、平均円形度:0.99)100重量部、ポリビニルピロリドンの20重量%水溶液(株式会社日本触媒製「K−85W」):25重量部(固形分:10重量部)、及びイオン交換水:125重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約40μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約2mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:92%の易変形性凝集体D−6を得た。
前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液を750重量部(固形分:30重量部)とし、イオン交換水を150重量部とした以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約20μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.7mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:98%の易変形性凝集体D−7を得た。
アルミナ粒子(電気化学工業株式会社製「ASFP−20」、平均一次粒子径:約0.3μm、平均円形度:0.99)100重量部、前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液:50重量部(固形分:2重量部)、及びイオン交換水:100重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約5μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.2mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:98%の易変形性凝集体D−8を得た。
前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液の代わりに、ポリエスエテル樹脂(東洋紡績株式会社:バイロン200)の20重量%トルエン溶液:10重量部(固形分:2重量部)用い、イオン交換水の代わりにトルエンを140重量部用い、噴霧乾燥温度を125℃から140℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、平均粒子径約20μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.7mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:93%の易変形性凝集体D−9を得た。
前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液の代わりに、ポリウレタン樹脂(東洋紡績株式会社:バイロンUR−1400)の20重量%トルエン溶液:10重量部(固形分:2重量部)用い、イオン交換水の代わりにトルエンを140重量部用い、噴霧乾燥温度を125℃から140℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、平均粒子径約20μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.5mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:93%の易変形性凝集体D−10を得た。
実施例2と同様のスラリーを得た後、ハイスピードミキサ(株式会社アーステクニカ製「LFS−2」)にて、撹拌下乾燥し、水分を除去し、平均粒子径約100μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約4mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:97%の易変形性凝集体D−11を得た。
「CB−P02」の代わりに、アルミナ粒子(昭和電工株式会社製「CB−P20」、平均一次粒子径:約20μm、平均円形度:0.98、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約220mN)を用い、実施例2と同様にして前記アルミナ粒子に対し、前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液を用い、易変形性凝集体を得ようとしたが、崩壊し易く、凝集体の態を成さない生成物D’−12を得た。
前記ポリビニルアルコールを使用せず、イオン交換水を150重量部とした以外は実施例1と同様にして、易変形性凝集体を得ようとしたが、崩壊し易く、凝集体の態を成さない生成物D’−13を得た。
前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液を1250重量部(固形分:50重量部)とし、イオン交換水を50重量部とした以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約20μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.8mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:97%の易変形性凝集体D‘−14を得た。
前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液の代わりに、シランカップリング剤(信越化学社製「KBM−04」、テトラメトキシシラン(10重量%溶液):20重量部(固形分:2重量部)を用い、イオン交換水を130重量部とした以外は実施例1と同様にして、スラリーを得、前記スラリーを125℃雰囲気下、噴霧乾燥・硬化し、平均粒子径約15μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約42mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:75%の易変形性凝集体D’−15を得た。
比較例4と同様のスラリーを得、前記スラリーを、125℃雰囲気下で、噴霧乾燥後、アルミナの融点以上の2100℃で焼結し、平均粒子径約15μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約200mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:98%の易変形性凝集体D’−16を得た。
実施例3と同様のスラリーを得、前記スラリーを125℃雰囲気下で噴霧乾燥後、有機結着剤の分解温度以上の800℃で加熱し、易変形性凝集体を得ようとしたが、崩壊し易く、凝集体の態を成さない生成物D’−17を得た。
「CB−P02」の代わりに、板状のアルミナ(キンセイマテック株式会社製「セラフ05025」、平均円形度:0.5)を用い、実施例2と同様にして前記アルミナ粒子に対し、前記ポリビニルアルコールの4wt%水溶液を用い、平均粒子径約30μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約15mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:50%の易変形性凝集体D‘−18を得た。
アルミナ粒子(住友化学(株)製、「AL−33」、平均一次粒子径:約12μm、平均円形度:0.9)100重量部、エポキシ樹脂組成物(ジャパンエポキシレジン製、「エピコート1010」2重量部、及びトルエン:148重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、易変形性凝集体を得ようとしたが、崩壊し易く、凝集体の態を成さない生成物D’−19を得た。
実施例1で得られた易変形性凝集体D−1(平均粒子径10μm)37.1重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液31.5重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1001)の50%MEK溶液3.15重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール6.5重量部、トルエン25.8重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率50vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を、コンマコーターを用いて剥離処理シート(厚さ75μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗工し、100℃で2分加熱乾燥し、熱伝導性層の厚みが50μmの熱伝導性前駆部材(H−1)を得た。後述する方法にて求めた熱伝導率は3(W/m・K)であった。
実施例101で得られた熱伝導性前駆部材(H−1)の熱伝導性層に剥離処理シートを重ね、150℃、2MPaで1時間プレスして、熱伝導性層の厚みが45μm、易変形性凝集体D−1の含有量は50vol%、熱伝導率6.5(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−2)を得た。
実施例2で得られた易変形性凝集体D−2(平均粒子径20μm)37.1重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液31.5重量部と、硬化剤としてエピコート1031S(ジャパンエポキシレジン(株)製)の50%MEK溶液3.15重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール6.5重量部、トルエン25.8重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率70vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を、コンマコーターを用いて剥離処理シート(厚さ75μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗工し、100℃で2分加熱乾燥した後、熱伝導性層に剥離処理シートを重ね、150℃、2MPaで1時間プレスして、熱伝導性層の厚みが60μm、熱伝導率10(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−3)を得た。
実施例3で得られた易変形性凝集体D−3(平均粒子径50μm)32.4重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液50.4重量部と硬化剤としてエピコート1031S(ジャパンエポキシレジン(株)製)の50%MEK溶液5.0重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール6.5重量部、トルエン25.8重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率40vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を、実施例103と同様にして、熱伝導性層の厚みが60μm、熱伝導率5.5(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−4)を得た。
実施例4で得られた易変形性凝集体D−4(平均粒子径30μm)36.0重量部と、樹脂合成例2で得られたカルボキシル基含有変性エステル樹脂A−2の25%MEK溶液36.0重量部と、熱硬化助剤としてケミタイトPZ(株式会社日本触媒製)1重量部とを混合しディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール5.8重量部、トルエン23.2重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率50vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた熱伝導性樹脂組成物を、実施例103と同様にして、熱伝導性層の厚みが45μm、熱伝導率7(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−5)を得た。
実施例8で得られた易変形性凝集体D−8(平均粒子径5μm)36.0重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液36.0重量部と硬化剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1001)の50%MEK溶液3.15重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール6.5重量部、トルエン25.8重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して異変形成凝集体の易変形性凝集体の含有率50vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた熱伝導性樹脂組成物を、実施例103と同様にして、熱伝導性層の厚みが40μm、熱伝導率5(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−6)を得た。
実施例1で得られた易変形性凝集体D−1(平均粒子径10μm)7.4重量部と、平均一次粒子径が20μmの球状アルミナ(昭和電工株式会社製、CB−P20)29.7重量部と、樹脂合成例2で得られたカルボキシル基含有変性エステル樹脂A−2の25%MEK溶液31.5重量部と、硬化剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1001)の50%MEK溶液3.2重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール0.4重量部、トルエン1.6重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率55vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた熱伝導性樹脂組成物を実施例103と同様にして、熱伝導性層の厚みが40μm、熱伝導率6.5(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−7)を得た。
実施例2で得られた易変形性凝集体D−2(平均粒子径20μm)19.2重量部と、平均一次粒子径が10μmの球状アルミナ(アドマテックス株式会社製、AO−509)19.2重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液26.1重量部と、熱硬化助剤としてケミタイトPZ(株式会社日本触媒製)2.6重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール3.3重量部、トルエン13.2重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率60vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた熱伝導性樹脂組成物を、実施例103と同様にして、熱伝導性層の厚みが40μm、熱伝導率7.5(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−8)を得た。
実施例2で得られた易変形性凝集体D−2(平均粒子径20μm)34.0重量部、樹脂合成例3で得られたアクリル樹脂A−3の25%酢酸エチル溶液64.0重量部と、硬化剤としてエポキシ系硬化剤テトラッドX(三菱ガス化学株式会社製)0.8重量部とをディスパー撹拌し、トルエン2.8重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率35vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた熱伝導性樹脂組成物を、剥離処理されたポリエステルフィルム上に均一に塗工して乾燥させ、粘着剤層を設けた。次に、剥離処理された別のポリエステルフィルムを粘着剤層側にラミネートし、熱伝導性層の厚みが50μm、熱伝導率2(W/m・K)の高熱伝導性前駆部材(H−9)を得た。
実施例5で得られた易変形性凝集体D−5(平均粒子径15μm)56.5重量部と熱可塑性樹脂としてポリスチレン樹脂PSJポリスチレン679(PSジャパン株式会社製)43.5重量部とを、撹拌・混合したものを、200℃に設定した二軸押出機で溶融混練し、易変形性凝集体の含有率25vol%の熱伝導性樹脂組成物を作成した後、射出成型機(東芝機械(株)製IS−100F)を用い成形し、厚みが1mm、熱伝導率10(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−10)を得た。
実施例6で得られた易変形性凝集体D−6(平均粒子径40μm)61.6重量部とポリエステルウレタン樹脂バイロンUR6100(東洋紡績株式会社製)18.7重量部、硬化剤として硬化剤としてエポキシ系硬化剤テトラッドX(三菱ガス化学株式会社製)0.08重量部とをディスパー撹拌し、トルエン20.0重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率65vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた熱伝導性樹脂組成物を、実施例103と同様にして、熱伝導性層の厚みが100μm、熱伝導率6.5(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−11)を得た。
実施例7で得られた易変形性凝集体D−7(平均粒子径20μm)94.0重量部とエチレンーメタクリル酸共重合体6.0重量部とを混合し、金型に入れ、脱気した後、3MPaの荷重をかけ、150℃1時間押し固めて、易変形性凝集体の含有率80vol%、熱伝導性層の厚みが500μm、熱伝導率6(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−12)を得た。
実施例9で得られた易変形性凝集体D−9(平均粒子径20μm)72.0重量部と高密度ポリエチレン樹脂Hizox 2100J(三井住友ポリオレフィン株式会社製)28.0重量部とを混合し、混練機で加熱混合し、冷却粉砕を行った後、押出機により押出成形し、易変形性凝集体の含有率40vol%、熱伝導率3.5(W/m・k)のペレット状の高熱伝導性部材(I−13)を得た
実施例11で得られた易変形性凝集体D−11(平均粒子径100μm)37.1重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液31.5重量部と、硬化剤としてエピコート1031S(ジャパンエポキシレジン(株)製)の50%MEK溶液3.15重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール6.5重量部、トルエン25.8重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率70vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた熱伝導性樹脂組成物を実施例103と同様にして、熱伝導性層の厚みが60μm、熱伝導率6(W/m・K)の高熱伝導性部材(I−14)を得た。
平均一次粒子径1umの球状の酸化アルミニウム粉末(アドマテックス株式会社製、AO-502)36.0重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液36.0重量部と、硬化剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン(株)製)の50%MEK溶液3.6重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール5.7重量部、トルエン22.7重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して酸化アルミニウムの含有率50vol%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、コンマコーターを用いて剥離処理シート(厚さ75μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗工し、100℃で2分加熱乾燥した後、塗布層に剥離処理シートを重ね、150℃、2MPaで1時間プレスして、厚みが45μmのシートを得た。このシートの熱伝導率は0.8(W/m・K)と低いものであった。
平均一次粒子径20umの球状の酸化アルミニウム粉末(昭和電工株式会社製、CB−P20)36.0重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液36.0重量部と、硬化剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン(株)製)の50%MEK溶液3.6重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール5.7重量部、トルエン22.7重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して酸化アルミニウムの含有率50vol%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、比較例101と同様にして、厚みが45μmのシートを得た。このシートの熱伝導率は0.7(W/m・K)と低いものであった。
比較例3で得られた凝集体D’−14(平均粒子径20μm)38.3重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液27.0重量部と、硬化剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン(株)製)の50%MEK溶液2.7重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール7.0重量部、トルエン28.0重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して凝集体の含有率60vol%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、比較例101と同様にして、厚みが50μmのシートを得た。このシートの熱伝導率は0.3(W/m・K)と低いものであった。
比較例4で得られた凝集体D’−15(平均粒子径15μm)38.3重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液27.0重量部と、硬化剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン(株)製)の50%MEK溶液2.7重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール7.0重量部、トルエン28.0重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して凝集体の含有率60vol%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、比較例101と同様にして、厚みが50μmのシートを得た。このシートは粒子が破砕したことに起因するクラックが多く見られ、熱伝導率も0.4(W/m・K)と低いものであった。
比較例5で得られた凝集体D’−16(平均粒子径15μm)38.3重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液27.0重量部と、硬化剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン(株)製)の50%MEK溶液2.7重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール7.0重量部、トルエン28.0重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して凝集体の含有率60vol%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、比較例101と同様にして、厚みが50μmのシートを得た。このシートの表面は粒子由来の凹凸が多く存在し、熱伝導率も0.5(W/m・K)と低いものであった。
比較例7で得られた凝集体D’−18(平均粒子径30μm)38.3重量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂A−1の25%MEK溶液27.0重量部と、硬化剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン(株)製)の50%MEK溶液2.7重量部とをディスパー撹拌し、イソプロピルアルコール7.0重量部、トルエン28.0重量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して凝集体の含有率60vol%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、比較例101と同様にして、厚みが50μmのシートを得た。このシートの熱伝導率は0.3(W/m・K)と低いものであった。
サンプル試料を15mm角に切り出し、サンプル表面を金蒸着しカーボンスプレーでカーボン被覆した後、キセノンフラッシュアナライザーLFA447 NanoFlash(NETZSCH社製)にて、試料環境25℃での熱拡散率を測定した。また、比熱容量はエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の高感度型示差走査熱量計DSC220Cを用いて測定した。さらに、密度は水中置換法を用いて算出した。
Claims (5)
- 平均一次粒子径が0.1〜10μmの球状の熱伝導性粒子(A)100重量部と、
有機結着剤(B)0.1〜30重量部とを含む、
平均粒子径が2〜100μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力が5mN以下である、易変形性凝集体(D)。 - 熱伝導性粒子(A)が、金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、金属水酸化物、炭酸金属塩、ケイ酸金属塩、水和金属化合物、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、炭化ケイ素、金属、および炭素化合物からなる群より選ばれる、請求項1記載の易変形性凝集体(D)。
- 熱伝導性粒子(A)が、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群より選ばれる、請求項1記載の易変形性凝集体(D)。
- 平均一次粒子径が0.1〜10μmの球状の熱伝導性粒子(A)100重量部と有機結着剤(B)0.1〜30重量部と前記有機結着剤(B)を溶解する溶剤(C)とを含有するスラリーを得、
次いで、前記スラリーから前記溶剤(C)を除去する、ことを特徴とする、
平均粒子径が2〜100μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力が5mN以下である、易変形性凝集体(D)の製造方法。 - 熱伝導性粒子(A)が、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群より選ばれる、請求項4記載の易変形性凝集体(D)の製造方法。
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