JP6107479B2 - 熱伝導性変形性凝集体、熱伝導性樹脂組成物、熱伝導部材、及びその製造方法 - Google Patents

熱伝導性変形性凝集体、熱伝導性樹脂組成物、熱伝導部材、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子機器の熱を逃がすための熱伝導性部材の形成に好適に使用できる熱伝導性変形性凝集体、熱伝導性樹脂組成物、熱伝導部材、及びその製造方法に関する。
近年、エレクトロニクス分野の発展が目覚しく、特に電子機器の小型化、軽量化、高密度化、高出力化が進み、これらの性能に対する要求がますます高度なものとなっている。電子回路の小型化、高密度化のために高絶縁性や信頼性が求められるほか、特に、電子機器の高出力化に伴う発熱による電子機器の劣化防止のための放熱性向上が強く求められている。
エレクトロニクス分野では絶縁材として高分子材料が好適に用いられており、放熱性を向上させるため、高分子材料の熱伝導性の向上が望まれるようになった。しかし、高分子材料の熱伝導性向上には限界があったため、熱伝導性粒子を高分子材料に混合し、放熱性を向上させる方法が開発された。また、近年は、熱伝導性部材として、それらをシート状に成形した熱伝導性を有する接着シートや、粘着シートとしての利用も検討されている。
例えば、特許文献1には、層状珪酸塩が均一分散されたナノコンポジットポリアミド樹脂と、熱伝導性無機フィラーとを含有する成形用樹脂が開示されている。熱伝導性無機フィラーとしては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、窒化ホウ素、炭化珪素、窒化珪素などが開示されている。
従来よりも少ない使用量で成形体に熱伝導性を付与できるよう、熱伝導性無機フィラーには、熱伝導性の向上が求められている。
特許文献2には、平均粒子径が10μm以下の高熱伝導性粒子を、造粒、焼結することにより、熱伝導性を向上させた平均粒子径が3〜85μmの球状の複合粒子を得、前記複合粒子の利用が提案されている。
具体的には、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムや結晶性シリカ等の熱伝導性粒子を、シランカップリング剤や熱硬化性樹脂でコーティング処理した後、低くても800℃、通常は1000〜2800℃の熱伝導性粒子の融点近い温度で焼結し、球状の複合粒子を得る方法が提案されている([0009]、[0021]〜「0022」、[0028]〜[0032]参照)。
特許文献2によれば、複合粒子の凝集力を高めるために焼結すると開示する。しかし、造粒後、熱伝導性粒子の融点近い温度で焼結する結果、造粒の際使用したバインダーは消失してしまい、焼結後の複合粒子の凝集力は決して高くなく、むしろ焼結後の複合粒子は脆くて造粒状態を維持できず、崩壊し易い。
あるいは、融点以上の温度で十分焼結すれば、熱伝導性粒子同士が融着一体化するので、凝集力の高いものを得ることはできる。しかし、融着一体化の結果、巨大な硬い粒子となってしまう。
特許文献3には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の無機質粉末と熱硬化性樹脂組成物とを含み、粉末、造粒粉末、顆粒状態に加工されてなる粉体組成物の利用が提案されている。しかし、この方法で用いている無機質粉末はサイズが大きいほか、熱硬化性樹脂組成物を使用しているため、凝集体内で樹脂が硬化するため、得られるのは強固な結合をもった硬い粉体組成物である。
特許文献4には、酸化アルミニウム粒子粉末の表面を表面改質剤で被覆した後、前記表面改質剤被覆粒子表面に炭素粉末を付着させた複合粒子粉末を、窒素雰囲気下で1350〜1750℃にて加熱焼成する窒化アルミニウムの製造方法が開示されている(特許請求の範囲、[0034]、[0042]、[0046]〜[0049]」参照)。
特許文献5には、平均粒子径が10〜500μmかつ気孔率が0.3%以上の球状窒化アルミニウム焼結粉が開示されている。具体的には一次粒子径が0.1〜0.8μmの粉末を全量の10重量%以上含む窒化アルミニウム粉末と、酸化リチウムや酸化カルシウム等の焼結助剤とを含むスラリーを噴霧乾燥し、さらに1400〜1800℃で焼成する、前記球状窒化アルミニウム焼結粉の製造方法が記載されている(請求項1、4、[0035]参照)。
特許文献4、5の場合も、特許文献2の場合と同様に、非常に高温で焼結する上、焼結助剤等と窒化アルミニウムとが強固に結合するため、得られるのは、凝集体としては硬い窒化アルミニウムか、あるいは焼結して一体化された巨大で硬い窒化アルミニウム粒子である。
特許文献6には、鱗片状窒化ホウ素の一次粒子を等方的に凝集させた二次凝集粒子の利用が開示されている。
具体的には、鱗片状窒化ホウ素を1800℃前後にて仮焼きした後、粉砕してなる一次粒子から形成される顆粒を2000℃で焼成し、気孔率が50%以下、平均気孔径が0.05〜3μmの二次凝集体を得る方法が開示されている([0014]、[0026]、「0027]参照)。
特許文献7には、不規則形状の非球状窒化ホウ素粒子を凝集させた球状窒化ホウ素凝集体の利用が開示されている。
特許文献8には、窒化珪素質焼結体の利用が開示され、特許文献9には焼結処理してなる球状酸化亜鉛粒子粉末の利用が開示されている。
一方、熱伝導性粒子を使用した熱伝導性部材としては、例えば、特許文献10や11には無機粒子を使用した熱伝導性接着シートが開示されている。これら熱伝導性部材の熱伝導性を高めるためには、粒子の充填率を上げることが効果的であるが、粒子量の増加に伴い、高分子材料成分が減少するため、成膜性、基材追従性の低下が起こってしまう。また、特に接着シート用途においては、充填率を高めることにより接着成分が減少し、接着性が失われてしまうといった課題があった。
そこで、特許文献12や13のように、粒子の充填率が低い状態で粒子の接触(熱伝パス)を形成させるため、熱伝導性部材に磁場や電場をかけて粒子の配向制御する方法が報告されている。しかし、これらの手法は、工業化を考えたときに実用的なものではない。
また、特許文献14では、二次粒子を塗膜中に近接して配置させた三次集合体を形成し、低充填量で、高熱伝導性を発現する試みも報告されている。この報告でも、造粒のための結着剤にはシランカップリング剤が使用されており、該二次粒子を150℃、4時間以上乾燥させ、カップリング反応させることで、造粒体としての操作性を向上させている反面、粒子の柔軟性は失われている。そのため、熱伝導性、接着強度とも不十分である。
このように、従来の熱伝導性粒子やその二次粒子(凝集体)を用いた熱伝導性樹脂組成物や熱伝導性シートでは、高い熱伝導性を有し、かつ優れた成膜性、基材追従性および接着性を達成することは困難であった。
特開2006−342192号公報 特開平9−59425号公報 特開2000−239542号公報 特開2006−256940号公報 特開2006−206393号公報 特開2010−157563号公報 特表2008−510878号公報 特開2007−039306号公報 特開2009−249226号公報 特開平6−162855号公報 特開2004−217861号公報 特開2006−335957号公報 特開2007−332224号公報 特開2010−84072号公報
本発明の目的は、高い熱伝導性を有し、優れた成膜性および基材追従性を有する熱伝導性易変形性凝集体や熱伝導性部材および、さらに耐熱性に優れる接着シートを作製するための、熱伝導性樹脂組成物を提供することである。
本発明は、平均一次粒子径が0.1〜10μmの球状の熱伝導性粒子(A)100重量部と、
反応性官能基を有する有機結着剤(B)0.1〜30重量部とを含み、
平均粒子径が2〜100μmであり、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力が5mN以下であることを特徴とする易変形性凝集体(D)に関する。
また、本発明は、熱伝導性粒子(A)が、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする前記易変形性凝集体(D)に関する。
また、本発明は、前記易変形性凝集体(D)20〜90体積%と、バインダー樹脂(E)10〜80体積%と、バインダー樹脂(E)を溶解する溶剤(F)とを含有する、熱伝導性樹脂組成物(G)に関する。
また、本発明は、易変形性凝集体(D)を構成する反応性官能基を有する有機結着剤(B)が溶剤(F)に溶解しない、前記熱伝導性樹脂組成物(G)に関する。
また、本発明は、易変形性凝集体(D)を構成する反応性官能基を有する有機結着剤(B)が水溶性樹脂であり、バインダー樹脂(E)が非水溶性樹脂である、前記熱伝導性樹脂組成物(G)に関する。
また、本発明は、前記熱伝導性樹脂組成物(G)から溶剤(F)が除去されてなる熱伝導層を含む、熱伝導性部材(H)に関する。
また、本発明は、前記熱伝導性部材(H)を加圧および加熱してなる、熱伝導性部材(I)に関する。
また、本発明は、前記熱伝導性部材(H)、または前記熱伝導性部材(I)を含み、
少なくとも一方の面に剥離フィルムを有する熱伝導性接着シートに関する。
また、本発明は、前記易変形性凝集体(D)の製造方法であって、
平均一次粒子径が0.1〜10μmの球状の熱伝導性粒子(A)100質量部と反応性官能基を有する有機結着剤(B)0.1〜30質量部と反応性官能基を有する有機結着剤(B)を溶解する溶剤(C)とを含有するスラリーを得る工程と、
前記スラリーから溶剤(C)を除去する工程とを有する、易変形性凝集体(D)の製造方法に関する。
また、本発明は、基材上に前記熱伝導性樹脂組成物(G)を塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜から溶剤(F)を除去して、熱伝導層を形成する工程と、
前記熱伝導層を加圧する工程とを有する、熱伝導性部材(I)の製造方法に関する。
本発明の易変形性凝集体は、より少ない使用量で従来と同程度の熱伝導性を熱伝導部材に付与したり、あるいは従来と同程度の使用量でより高い熱伝導性を熱伝導部材に付与するための、熱伝導性易変形性凝集体を提供できる。
また、本発明の熱伝導性部材は、熱伝導性の高い易変形性凝集体を使用しているため、高い熱伝導性、優れた成膜性、基材追従性を有する熱伝導性部材および、さらに耐熱性に優れる接着シートを作製するための、熱伝導性樹脂組成物を提供できる。
平均一次粒子径が1μmの熱伝導性粒子(A)、平均一次粒子径が10μmの熱伝導性粒子(A)、および、平均一次粒子径が1μmの熱伝導性粒子(A)を反応性官能基を有する有機結着剤(B)で凝集させた平均粒子径10μmの易変形性凝集体(D)の、圧縮変形率と圧縮力との関係を示す図である。 平均一次粒子径が1μmの熱伝導性粒子(A)のSEM写真。 平均一次粒子径が1μmの熱伝導性粒子(A)を反応性官能基を有する有機結着剤(B)で凝集させた平均粒子径10μmの易変形性凝集体(D)を含有する熱硬化性シートの平面のSEM写真。 図3aの熱硬化性シートを加圧下に熱硬化した硬化物の平面のSEM写真。 図3aの熱硬化性シートを加圧下に熱硬化した硬化物の断面のSEM写真。 平均一次粒子径10μmの熱伝導性粒子(A)のSEM写真。
本発明の易変形性凝集体(D)は、平均一次粒子径が0.1〜10umの球状の熱伝導性粒子(A)100重量部と、反応性官能基を有する有機結着剤(B)0.1〜30重量部とを含み、平均粒子径が2〜100um、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力が5mN以下である。
本発明における「易変形性」とは、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力が5mN以下であることをいう。圧縮変形率10%に要する平均圧縮力とは、圧縮試験により測定した、粒子を10%変形させるための荷重の平均値のことであり、例えば、微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、MCT−210)で測定することができる。
具体的には、測定対象のごく少量の試料を顕微鏡にて拡大し、任意の一粒を選択し、該測定対象粒子を加圧圧子の下部に移動させ、前記加圧圧子に負荷を加え、前記測定対象粒子を圧縮変形させる。前記試験機は、前記測定対象粒子の圧縮変位を計測するための検出器を、前記加圧圧子の上部に備えている。前記検出器にて、前記測定対象粒子の圧縮変位を計測し、変形率を求める。そして、前記測定対象粒子を10%圧縮変形するために要する圧縮力(以下、「10%圧縮変形力」とも略す)を求める。任意の他の測定対象粒子について、同様にして「10%圧縮変形力」を求め、10個の測定対象粒子についての「10%圧縮変形力」の平均値を「圧縮変形率10%に要する平均圧縮力」とする。
なお、本発明の易変形性凝集体(D)は、後述するように小さな熱伝導性粒子(A)が複数集合した状態のものであるが、圧縮変形率の測定においては凝集体を一粒の単位とする。
図1は、図2および図4に示すような凝集させていない熱伝導性粒子(A)と、図2に示すような熱伝導性粒子(A)を凝集させた易変形性凝集体(D)、についての圧縮変形率と圧縮力との関係を示す図である。易変形性凝集体(D)の大きさは、図4に示す熱伝導性粒子(A)の大きさと同程度である。
図1に示す通り、凝集させていない熱伝導性粒子(A)は、ごく僅かに変形させるために大きな力を要する。一方、図2と同じ大きさの熱伝導性粒子(A)を図4の熱伝導性粒子(A)と同程度の大きさに凝集させた場合、図1に示す通り、はるかに小さな力で変形させることができる。
即ち、本発明の凝集体(D)は、「易変形性」凝集体である。
図3aは、本発明の凝集体(D)を含む熱伝導性前駆部材の一種である熱硬化性シートの平面のSEM写真であり、図3bは、熱伝導性前駆部材を加圧下に熱硬化した硬化物の平面のSEM写真であり、図3cは硬化物の断面のSEM写真である。図3a、b、cからも、本発明の凝集体(D)が「易変形性」凝集体であることが確認できる。
なお、本発明の凝集体(D)が「易変形性」であるが故に、熱伝導性に優れる理由については、後述する。
<熱伝導性粒子(A)>
熱伝導性粒子(A)は熱伝導性を有するものであれば特に限定されず、例えば、
酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、
窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の金属窒化物、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸金属塩、
ケイ酸カルシウム等のケイ酸金属塩、
水和金属化合物、
結晶性シリカ、非結晶性シリカ、炭化ケイ素またはこれらの複合物、
金、銀等の金属、
カーボンブラック等の炭素化合物等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用することもできる。
電子回路用途で用いる場合は絶縁性を有していることが好ましく、金属酸化物、金属窒化物が好適に用いられ、なかでも熱伝導率の観点から、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素がより好適に用いられる。
得られる易変形性凝集体(D)を電子材料用途等に用いる場合には、熱伝導性粒子(A)としては、加水分解されにくい酸化アルミニウムがより好ましい。
また、耐加水分解性を向上するための処理を予め施した窒化アルミニウム等の金属窒化物を用い、易変形性凝集体(D)を得れば、得られた易変形性凝集体(D)は、電子材料用途等に用いることもできる。
熱伝導性粒子(A)は、得られる易変形性凝集体(D)の空隙の少なさ、変形しやすさの点で球状であることが好ましい。
球状粒子を用いると、空隙の少ない密な易変形性凝集体(D)を得ることができる。易変形性凝集体(D)内の空隙は、熱伝導性を悪化させるので、空隙の生成をできるだけ防止することは、熱伝導性向上の点で重要である。
また、熱伝導性粒子(A)が球状であると、凝集体内の熱伝導性粒子(A)同士の粒子間の摩擦係数が小さい。その結果、凝集体に力が加えられた際、凝集体内の熱伝導性粒子(A)の位置関係が容易に変化し、凝集体が崩壊することなく変形し易い。
熱伝導性粒子の組成と平均一次粒子径が同条件の粒子を比較した場合、球状粒子を用いる場合に比較して、板状あるいは針状等の非球状粒子を用いた場合、相対的に空隙が多く、凝集体内の構成粒子同士の摩擦が相対的に大きく、相対的に変形しにくい凝集体となる傾向がある。
なお、本発明において球状であるとは、例えば、「円形度」であらわすことができ、この円形度とは、粒子をSEM等で撮影した写真から任意の数の粒子を選び、粒子の面積をS、周囲長をLとしたとき、(円形度)=4πS/Lとして表すことができる。円形度を測定するには、各種画像処理ソフト、または画像処理ソフトを搭載した装置を使用することができるが、本発明では、東亜医用電子株式会社製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて粒子の平均円形度を測定した際の平均円形度が0.9〜1のものをいう。好ましくは、平均円形度が0.96〜1である。
易変形性凝集体(D)を得るために用いられる熱伝導性粒子(A)は、平均一次粒子径が0.1〜10μmであり、0.3〜10μmであることが望ましい。一種類の大きさの熱伝導性粒子(A)を用いる場合には、平均一次粒子径が0.3〜5μmのものを用いることが好ましい。大きさの異なる複数の種類の熱伝導性粒子(A)を用いることもでき、その場合には、比較的小さなものと比較的大きなものを組み合わせて用いることが、凝集体内の空隙率を減らすという点で好ましい。
平均一次粒子径が小さ過ぎると、凝集体内における一次粒子同士の接点が多くなり、接触抵抗が大きくなるため熱伝導性が低下する傾向にある。一方、平均一次粒子径が大き過ぎると凝集体を作成しようとしても崩壊し易く、凝集体自体が形成されにくい。
なお、本発明における熱伝導性粒子(A)の平均一次粒子径は、粒度分布計(例えば、Malvern Instruments社製、マスターサイザー2000)で測定したときの値である。
また、本発明の易変形性凝集体(D)が崩壊しにくいことは、例えば、ガラスサンプル管に易変形性凝集体(D)を空隙率70%となるように入れ、振とう機にて2時間振とうしても、振とう後の平均粒子径が振とう前の平均粒子径の80%以上であることからも支持される。
<反応性官能基を有する有機結着剤(B)>
本発明における反応性官能基を有する有機結着剤(B)は、熱伝導性粒子(A)同士を結着させる「つなぎ」の役割を果たす。また、有機結着剤(B)中の反応性官能基と、後記バインダー樹脂(E)中の官能基とが反応することにより、後記熱伝導性部材(H)、(I)の熱伝導層内の架橋構造が発達し、耐熱性の向上につながる。
ここでいう反応性とは、本発明の凝集体(D)を含む熱伝導性部材(H)、(I)が加熱されることによって後記バインダー樹脂(E)の官能基と架橋構造を形成することを示す。従って、加熱工程は、熱伝導性部材(H)、(I)が加圧されて凝集体(D)が変形すると同時に、あるいは変形した後に行われることが好ましい。例えば25℃で反応性を示すような、圧縮変形される前に反応性を示す官能基を有すると、易変形性凝集体(D)の変形性が損なわれるため好ましくない。
反応性官能基を有する有機結着剤(B)としては、バインダー樹脂(E)中の官能基と反応性を示す官能基を有していれば特に制限されない。また、「つなぎ」の役割を果たせる範囲において分子量は問わない。
反応性官能基としては例えば、エポキシ基、カルボキシル基、アセトアセチル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、およびチオール基等などが挙げられる。官能基は、1種または2種以上有を併用して用いることができる。
反応性官能基を有する有機結着剤(B)は、反応性官能基を有する単量体を用いて合成された樹脂でもよいし、反応性官能基を有さない樹脂の一部を変性し、反応性を有する官能基を付加させたものでもよい。
反応性官能基を有する有機結着剤(B)としては例えば、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ポリアリルアミン、ポリアクリル酸、エポキシ樹脂、及びこれら樹脂にさらに反応性官能基を導入したものが挙げられる。
また、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ゼラチン、ギルソナイト、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、及び塩素化ポリウレタン樹脂に、反応性官能基を導入したものが挙げられる。
反応性官能基を有する有機結着剤(B)は、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、エポキシ樹脂、及びこれら樹脂にさらに反応性官能基を導入したものが好ましい。
また、反応性官能基を有する有機結着剤(B)は、1種類を単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
バインダー樹脂(E)中の官能基がエポキシ基であった場合、有機結着剤(B)の官能基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、アセトアセチル基、アミノ基、水酸基、チオール基などの官能基が挙げられるが、これに制限されない。
バインダー樹脂(E)中の官能基がカルボキシル基であった場合、有機結着剤(B)の官能基としては、例えば、エポキシ基、アセトアセチル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、チオール基などの官能基が挙げられるが、これに制限されない。
バインダー樹脂(E)中の官能基がアセトアセチル基であった場合、有機結着剤(B)の官能基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、チオール基などの官能基が挙げられるが、これに制限されない。
バインダー樹脂(E)中の官能基がアミノ基であった場合、有機結着剤(B)の官能基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、アセトアセチル基、イソシアネート基などの官能基が挙げられるが、これに制限されない。
バインダー樹脂(E)中の官能基がイソシアネート基であった場合、有機結着剤(B)の官能基としては、例えば、カルボキシル基、アセトアセチル基、アミノ基、水酸基、チオール基などの官能基が挙げられるが、これに制限されない。
バインダー樹脂(E)中の官能基が水酸基であった場合、有機結着剤(B)の官能基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、アセトアセチル基、イソシアネート基などの官能基が挙げられるが、これに制限されない。
バインダー樹脂(E)中の官能基がチオール基であった場合、有機結着剤(B)の官能基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、アセトアセチル基、イソシアネート基などの官能基が挙げられるが、これに制限されない。
耐熱性の観点から、有機結着剤(B)の反応性官能基はエポキシ基、アセトアセチル基、アミノ基、水酸基、またはカルボキシル基であり、バインダー樹脂(E)中の官能基はエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、またはアセトアセチル基であることが好ましい。
また、反応性官能基を有する有機結着剤(B)は、溶剤(F)に不溶であることが好ましい。ここでいう不溶とは、反応性官能基を有する有機結着剤(B)1gを、溶剤(F)100gに入れ、25℃で24時間撹拌したときに、目視で沈殿が確認されることをいう。
反応性官能基を有する有機結着剤(B)は、熱伝導性粒子同士の結着させる「つなぎ」の役割を果たしているため、溶剤(F)に不溶であると、熱伝導性樹脂組成物中で易変形性凝集体(D)がその凝集状態を保持することができるためである。
また、反応性官能基を有する有機結着剤(B)は水溶性樹脂であることが好ましい。後述の熱伝導性部材(I)が接着シートである場合は、好適に使用できる。ここでいう水溶性とは、樹脂1gを水100gに入れ、25℃で24時間撹拌したときに、目視で沈殿が確認されないことをいう。
水溶性樹脂は、特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアリルアミン、及びこれら樹脂にさらに反応性官能基を導入したもの等が挙げられる。
本発明の易変形性凝集体(D)は、上記熱伝導性粒子(A)100重量部に対し、上記反応性官能基を有する有機結着剤(B)を0.1〜30重量部含有するものであり、1〜10重量部含有することが好ましい。0.1重量部より少ないと、熱伝導性粒子(A)を十分に結着することができず形態を維持するために十分な強度が得られないため好ましくない。また、30重量部より多い場合は、熱伝導性粒子(A)同士を結着させる効果は大きくなるが、熱伝導性粒子(A)同士間に必要以上に結着剤が入り込み、熱伝導性を阻害する恐れがあるため好ましくない。
本発明の易変形性凝集体(D)の平均粒子径は2〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μmである。平均粒子径が2μmより小さい場合、凝集体(D)を構成する熱伝導性粒子(A)の数が少なくなり、凝集体としての効果が低く、変形性にも劣るため好ましくない。平均粒子径が100μmを超えると、単位体積あたりの易変形性凝集体(D)の重量が大きくなり、分散体として用いた場合に沈降したり、形成する高熱伝導性部材の膜厚に自由度がなくなる等の問題が生じるため好ましくない。
なお、本発明における易変形性凝集体(D)の平均粒子径は、粒度分布計(例えば、Malvern Instruments社製、マスターサイザー2000)で測定したときの値である。
また、易変形性凝集体(D)の比表面積は、特に制限されないが、10m/g以下で
あることが好ましく、5m/g以上であることがさらに好ましい。10m/gより大きい場合、バインダー樹脂(E)が粒子表面や凝集体内部に吸着し、成膜性の低下・接着力の低下する傾向にあるため、好ましくない。
上記比表面積は、BET比表面積計(例えば、日本ベル社製、BELSORP−mini)で測定したときの値である。
<製造方法>
本発明の易変形性凝集体(D)は、例えば、平均一次粒子径が0.1〜10μmの球状の熱伝導性粒子(A)100重量部と反応性官能基を有する有機結着剤(B)0.1〜30重量部と前記反応性官能基を有する有機結着剤(B)を溶解する溶剤(C)とを含有するスラリーを得、次いで、前記スラリーから前記溶剤(C)を除去することによって、得ることができる。
あるいは、熱伝導性粒子(A)100重量部と反応性官能基を有する有機結着剤(B)0.1〜30重量部とを混合することにより得たり、熱伝導性粒子(A)100重量部に、反応性官能基を有する有機結着剤(B)0.1〜30重量部と前記反応性官能基を有する有機結着剤(B)を溶解する溶剤(C)とを含有する有機結着剤溶液を吹き付けた後、もしくは吹き付けつつ、溶剤(C)を除去することによって、得たりすることもできる。
組成が均一な易変形性凝集体(D)を得るためには、熱伝導性粒子(A)と反応性官能基を有する有機結着剤(B)とを溶剤(C)中で予め混合してスラリーとする工程を経、その後溶剤(C)を除去することが好ましい。
溶剤(C)は、熱伝導性粒子(A)を分散し、かつ反応性官能基を有する有機結着剤(B)を溶解するものである。
上記溶剤(C)は、反応性官能基を有する有機結着剤(B)を溶解することができれば特に制限はなく、反応性官能基を有する有機結着剤(B)の種類により適宜選択することができる。溶剤(C)としては、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、水等を使用することができ、2種類以上を混合して使用することもできる。
上記溶剤(C)は、除去し易さの点から、沸点は低いほうが好ましく、例えば、水、エタノール、メタノール、酢酸エチル等、沸点が110℃以下であると好ましい。
また、上記溶剤(C)の使用量は、除去し易さの点からは少ない方が好ましいが、反応性官能基を有する有機結着剤(B)の溶解性や乾燥用の装置に合わせて適宜変更することができる。
前記スラリーから溶剤(C)を除去する方法は特に制限はなく、市販の装置を用いて易変形性凝集体(D)を製造することができる。例えば、噴霧乾燥、攪拌乾燥、静置乾燥等の方法の中から選択することができる。中でも、比較的丸くて、粒子径の揃った易変形性凝集体(D)を生産性良く得られるという点から、噴霧乾燥を好適に用いることができる。
具体的には、前記スラリーを霧状に噴霧しながら、溶剤(C)を揮発・除去すればよい。噴霧条件や揮発条件を適宜選択することができる。
<熱伝導性樹脂組成物(G)、熱伝導性部材(H)、(I)>
熱伝導性樹脂組成物(G)は、易変形性凝集体(D)とバインダー樹脂(E)と溶剤(F)とを含むことが好ましく、易変形性凝集体(D)20〜90体積%と、バインダー樹脂(E)10〜80体積%と、バインダー樹脂(E)を溶解する溶剤(F)とを含有することがより好ましい。
基材上に熱伝導性樹脂組成物(G)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜から溶剤(F)を除去して、熱伝導層を形成することで、熱伝導性部材(H)を得ることができる。
さらに、熱伝導性部材(H)に圧力を加え、含まれている易変形性凝集体(D)を変形させることによって、熱伝導性部材(H)の熱伝導性を向上させた熱伝導性部材(高熱伝導性部材)(I)を得ることができる。
さらに、易変形性凝集体(D)を変形させると同時に、あるいは変形させた後に、熱伝導性部材(H)に熱を加え、有機結着剤(B)とバインダー樹脂(E)とが架橋することによって、前記熱伝導性部材(H)の耐熱性を向上させることができる。
例えば、熱伝導性樹脂組成物(G)を用いて熱伝導性部材(H)として熱伝導性シートを得、放熱対象の物品と放熱部材との間に熱伝導性シートを挟み圧力と熱を加えることによって、熱伝導性部材(I)として熱伝導性と耐熱性が向上された熱伝導性シートを得ることができる。この熱伝導性シートは、放熱対象の物品の熱を効率良く放熱部材に伝えることができる。
熱伝導性部材(H)として、接着性あるいは粘着性を有する熱伝導性シートを得ることができる。この場合、加圧時に放熱対象の物品と放熱部材とを貼り合わせることができる。
熱伝導性樹脂組成物(G)に圧力と熱を加え、含まれている易変形性凝集体(D)を変形させることによって、シート状等の熱伝導性部材(I)を直接得ることもできる。
放熱対象の物品としては、
集積回路、ICチップ、ハイブリッドパッケージ、マルチモジュール、パワートランジスタ、およびLED(発光ダイオード)用基板等の種々の電子部品;
建材、車両、航空機、および船舶等に用いられ、熱を帯び易く、性能劣化を防ぐためにその熱を外部に逃がす必要がある物品等が挙げられる。
高熱伝導性を実現するためには、熱を伝えたい方向により多くの熱伝導経路を形成することが重要である。
本発明の易変形性凝集体(D)は、熱伝導性粒子(A)が凝集しているので、粒子間の距離が近く、熱伝導経路が予め形成されているので、効率良く熱伝導させることができる。
しかも、本発明の易変形性凝集体(D)は「易変形性」であることによって、高熱伝導性を実現できる。即ち、易変形性凝集体(D)に力が加わった際に易変形性凝集体(D)は崩壊することなく、易変形性凝集体(D)内の熱伝導性粒子(A)同士の密着性が向上することにより、予め形成された熱伝導経路を増強できる。あわせて、易変形性凝集体(D)を構成する熱伝導性粒子(A)の位置が容易に変化できることによって、放熱対象の物品と放熱部材との間で、易変形性凝集体(D)が界面の形状に追従し、放熱対象の物品や放熱部材と熱伝導性粒子(A)との接触面積が増え、熱流入面積や熱伝播経路を飛躍的に増大させることができる。
図面に基づいてさらに詳細に説明する。
図3aは、図2に示す平均一次粒子径が1μmの熱伝導性粒子(A)を反応性官能基を有する有機結着剤(B)を用いて凝集させた平均粒子径10μmの易変形性凝集体(D)を含有する熱硬化性シートのSEM表面写真の一例である。図3bおよび図3cは、図3aの熱硬化性シートを加圧下に熱硬化した硬化物のSEM平面写真およびSEM断面写真である。
熱硬化性シートに圧力を加えることによって、易変形性凝集体(D)内の熱伝導性粒子(A)同士がより密着すると共に、熱伝導性粒子(A)が硬化物の表面に多く存在し、界面の形状に追従していることが確認できる。
これに対し、図4に示されるような、凝集させていない熱伝導性粒子(A)であって、その大きさが図3aに示す易変形性凝集体(D)と同程度のものは易変形性を有さないため、熱硬化性シートの加圧の前後で上記のような変化はほとんど確認できない。
このように本発明の易変形性凝集体(D)は「易変形性」であるが故に、熱伝導性に優れる。つまり、本発明の易変形性凝集体(D)は、より少ない使用量で従来と同程度の熱伝導性を熱伝導性部材に付与したり、あるいは従来と同程度の使用量でより高い熱伝導性を熱伝導性部材に付与したりできる。
熱伝導率(W/m・K)は、試料中を熱が伝導する速度を表す熱拡散率(mm/s)に測定試料の比熱容量(J/(g・K))と密度(g/cm)を乗じた下記式で求められる。
熱伝導率(W/m・K)=熱拡散率(mm/s)×比熱容量(J/(g・K))×密度(g/cm)
熱拡散率の測定は、測定サンプルの形状等に応じて、例えば、周期加熱法、ホットディスク法、温度波分析法、またはフラッシュ法等を選択することができる。本明細書に記載のデータでは、キセノンフラッシュアナライザーLFA447 NanoFlash(NETZSCH社製)を用いたフラッシュ法で熱拡散率を測定した。
<バインダー樹脂(E)>
熱伝導性樹脂組成物を得る際に用いられるバインダー樹脂(E)は、熱伝導性部材を形成でき、有機結着剤(B)と反応する官能基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ギルソナイト、ゼラチン、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂および塩素化ポリウレタン樹脂からなる郡より用途に応じて選ばれる1種または2種以上を適宜使用することができる。
中でも柔軟性の観点からウレタン系樹脂、電子部品として用いる際の、絶縁性、耐熱性等の観点からエポキシ系樹脂が好適に用いられる。
熱伝導性樹脂組成物(G)や熱伝導性部材(H)に含まれるバインダー樹脂(E)は、バインダー樹脂(E)自体硬化するか、もしくは適当な硬化剤との反応により硬化するものを用いることができる。
バインダー樹脂(E)が有する官能基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、アセトアセチル基、エステル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、チオール基などが挙げられる。官能基は、1種または2種以上有を併用して用いることができる。
バインダー樹脂(E)は非水溶性樹脂であることが好ましい。ここでいう非水溶性とは、樹脂1gを水100gに入れ、25℃で24時間撹拌したときに、目視で沈殿が確認されることをいい、具体的には、前記反応性官能基を有する有機結着剤(B)における水溶性樹脂以外のものが挙げられる。
バインダー樹脂(E)は非水溶性樹脂であると、後述の熱伝導性部材(I)に接着性を付与する場合に好ましい。
<溶剤(F)>
溶剤(F)は、熱伝導性樹脂組成物(G)中に易変形性凝集体(D)及びバインダー樹脂(E)を均一に分散させるために用いられる。
用いられる溶剤(F)は、バインダー樹脂(E)を溶解し得るものであって、易変形性凝集体(D)を構成する反応性官能基を有する有機結着剤(B)を溶解しないものを適宜選択することが重要である。熱伝導性樹脂組成物(G)を得る際、反応性官能基を有する有機結着剤(B)を溶解してしまう溶剤(F)を用いると、易変形性凝集体(D)の凝集状態を保持できなくなる。
例えば、反応性官能基を有する有機結着剤(B)としてポリビニルアルコール、ポリアリルアミン、カルボキシメチルセルロース等の水溶性樹脂を選択した場合には、熱伝導性樹脂組成物(G)を得る際の溶剤(F)として、トルエンやキシレン等の非水性溶剤を選択すれば良い。
反応性官能基を有する有機結着剤(B)としてフェノキシ樹脂や石油樹脂等の非水溶性樹脂を選択した場合には、熱伝導性樹脂組成物(G)を得る際の溶剤(F)として、水やアルコール等の水性溶剤を選択すれば良い。
なお、ここでいう「不溶」とは、反応性官能基を有する有機結着剤(B)1gを、溶剤(F)100gに入れ、25℃で24時間攪拌し、目視で沈殿が確認されることとする。
熱伝導性樹脂組成物(G)中の易変形性凝集体(D)の含有量は、目標とする熱伝導性、用途に応じて適宜選択することができるが、高熱伝導性を得るためには、熱伝導性樹脂組成物(G)の固形分を基準として、20〜90体積%であることが好ましい。さらに好ましくは30〜80体積%の範囲であることが好ましい。
20体積%未満の含有量だと、易変形性凝集体(D)の添加効果が薄く十分な熱伝導性が得られない。一方、90体積%を越えると相対的にバインダー樹脂(E)の含有量が少なくなり、形成される熱伝導性部材(H)や熱伝導性部材(I)が脆くなったり、熱伝導性部材(I)内に空隙が出来るおそれがあり、熱伝導性部材(I)を使用している間に熱伝導性が徐々に低下する可能性がある。ここでいう体積%とは、熱伝導性樹脂組成物(G)中の固形分に対する熱伝導性粒子(A)、反応性官能基を有する有機結着剤(B)、バインダー樹脂(E)の重量比と比重をもとに計算した理論値を示す。
易変形性凝集体(D)は、1種を単独で用いることも、平均粒子径の異なるものや、構成する熱伝導性粒子(A)の種類や平均一次粒子径の異なるものや、構成する反応性官能基を有する有機結着剤(B)の種類や量の異なるものを、複数併用しても良い。
また、熱伝導性樹脂組成物(G)は、さらに凝集していない熱伝導性粒子も併用することができる。凝集していない熱伝導性粒子も併用することにより、易変形性凝集体(D)間の隙間を埋めたり、易変形性凝集体(D)が変形する際、隙間が生じた場合、熱伝導性粒子(A)間の隙間を埋めたりし、更なる熱伝導性の向上効果が期待できる。
併用し得る熱伝導性粒子としては、例えば熱伝導性粒子(A)として例示したものが挙げられる。
また、熱伝導性樹脂組成物(G)は、さらに必要に応じて、難燃剤等、その他充填剤を添加しても良い。
難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
熱伝導性樹脂組成物(G)には、必要に応じて各種添加剤を加えることができる。各種添加剤としては、例えば、基材密着性を高めるためのカップリング剤、吸湿時の絶縁信頼性を高めるためのイオン捕捉剤、レベリング剤、耐熱性を高めるための硬化剤等が挙げられる。これらは1種を用いてもよいし、複数種を併用することもできる。
有機結着剤は、バインダー樹脂だけでなく、硬化剤とも反応させると耐熱性が向上するため好ましい。
<製造方法>
熱伝導性樹脂組成物(G)は、易変形性凝集体(D)と、バインダー樹脂(E)と、溶剤(F)とを撹拌混合することで製造することが好ましい。撹拌混合には一般的な撹拌方法を用いることができ、例えば、スキャンデックス、ペイントコンディショナー、サンドミル、らいかい機、メディアレス分散機、三本ロール、ビーズミル等が挙げられ、これらを組み合わせて行うことができる。
撹拌混合後は、熱伝導性樹脂組成物(G)から気泡を除去するために、脱泡工程を経ることが好ましい。脱泡の方法については特に限定されず、一般的な手法を用いて行うことができるが、例えば、真空脱泡、超音波脱泡等が挙げられる。
本発明の熱伝導性部材(H)の製造方法は、
基材上に熱伝導性樹脂組成物(G)を塗布して塗膜を形成する工程と、
上記塗膜から溶剤(F)を除去して、熱伝導層を形成する工程とを有する。
本発明の熱伝導性部材(I)の製造方法は、
熱伝導性部材(H)を用意する工程と、
上記熱伝導層を加圧する工程とを有する。
熱伝導性部材(H)、(I)として、熱伝導性シート等を製造できる。熱伝導性シートは熱伝導性フィルムと称されることもある。
基材としては例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム;
および、
上記プラスチックフィルムに離型処理したフィルム(以下、剥離フィルムという);
アルミニウム、銅、ステンレス、およびベリリウム銅等の金属体または金属箔等が挙げられる。
基材への熱伝導性樹脂組成物(G)の塗布方法としては例えば、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ロールコート、カーテンコート、バーコート、グラビアコート、フレキソコート、ディップコート、スプレーコート、スクリーンコート、およびスピンコート等が挙げられる。
熱伝導層の厚さは、用途に応じて適宜決定しうる。
熱源とヒートシンク等との間に配置され、熱を逃がすために用いられる熱伝導性シート等の用途では、熱伝導性および種々の物性の観点より、熱伝導層の厚さは通常10〜200μm、好ましくは30〜150μmとするのが良い。また、熱源からの熱がこもらないようにしたいパッケージ等の筐体等の用途では、強度等を鑑みて、熱伝導層の厚さは200μm以上、場合によっては1mm程度の厚さとすることもできる。
任意の基材上の熱伝導層を形成して熱伝導性部材(H)を製造した後、他の任意の基材を重ね、加熱下で加圧プレスし、熱伝導性部材(I)を得ることができる。
上記2つの基材のうち少なくとも一方を剥離フィルムとすることができる。この場合、剥離フィルムを剥がすことができる。
2つの基材を剥離フィルムとした場合、2枚の剥離フィルムを剥がして、熱伝導層を単離し、これを熱伝導性部材(I)とすることができる。
加圧プレス処理方法は特に限定されず、公知のプレス処理機を使用することができる。
加圧プレス時の温度は適宜選択することが出来るが、熱硬化性接着シートとして使用するのであれば、バインダー樹脂(E)の熱硬化が起こる温度以上で加熱することが望ましい。
必要に応じて、減圧下にて加圧プレスすることができる。
加圧プレス時の圧力は、易変形性凝集体(D)が変形できる圧力を加えることができれば適宜選択することができるが、1MPa以上であることが好ましい。
溶剤(F)を含有しない熱伝導性樹脂組成物(G)を加圧下に直接成形することによって、高熱伝導の成形物を得ることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例において、「部」および「%」は特に明記しない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を表し、「vol%」は「体積%」を表し、Mwは重量平均分子量を表す。
なお、平均一次粒子径、円形度、平均粒子径、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力、崩壊しにくさ等については以下のようにして求めた。
<平均一次粒子径>
Malvern Instruments社製粒度分布計マスターサイザー2000を用いて測定した。測定条件は乾式ユニットを用いて空気圧2.5バール、また、フィード速度はサンプルにより最適化を行った。
<円形度>
東亜医用電子株式会社製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて粒子の平均円形度を測定した。具体的にはトルエン10mlに測定したい粒子約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5,000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、円相当径粒子群の円形度を測定し、平均円形度を求めた。
<平均粒子径>
Malvern Instruments社製粒度分布計マスターサイザー2000を用いて測定した。測定条件は乾式ユニットを用いて空気圧2.5バール、また、フィード速度はサンプルにより最適化を行った。
<圧縮変形率10%に要する平均圧縮力>
圧縮変形率10%に要する平均圧縮力は、微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、MCT−210)圧縮試験により粒子を10%変形させるための荷重を測定領域内で無作為に選んだ10個の粒子について測定し、その平均値とした。
<崩壊しにくさ:振とう試験後の平均粒子径の維持率>
ガラスサンプル管に易変形性凝集体(D)を空隙率70%となるように入れ、振とう機にて2時間振とうしたのちに粒子径分布を測定し、処理後の粒子径が処理前の平均粒子径の80%以上であることを指標とし確認した。
<樹脂合成例1>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、テレフタル酸とアジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(株式会社クラレ製「クラレポリオールP−1011」、Mn=1006)401.9重量部、ジメチロールブタン酸12.7重量部、イソホロンジイソシアネート151.0重量部、トルエン40.0重量部を仕込み、窒素雰囲気下90℃、3時間反応させ、これにトルエン300.0重量部を加えてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次に、イソホロンジアミン27.8重量部、ジ−n−ブチルアミン3.2重量部、2−プロパノール342.0重量部、トルエン396.0重量部を混合したものに、得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液815.1重量部を添加し、70℃、3時間反応させ、トルエン144.0重量部、2−プロパノール72.0重量部で希釈し、Mw=54,000、酸価=8mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂の溶液E−1を得た。
<樹脂合成例2>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、導入管、窒素導入管を備えた4口フラスコに、ポリカーボネートジオール(クラレポリオール C−2090:株式会社クラレ製)292.1重量部、テトラヒドロ無水フタル酸(リカシッドTH:新日本理化株式会社製)44.9重量部、溶剤としてトルエン350.0重量部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いてこのフラスコを110℃に昇温し、3時間反応させた。その後、40℃に冷却後、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−8125:東都化成株式会社製)62.9重量部、触媒としてトリフェニルホスフィン4.0重量部を添加して110℃に昇温し、8時間反応させた。室温まで冷却後、トルエンで固形分が35%になるように調整し、Mw=25000のカルボキシル基含有変性エステル樹脂E−2溶液を得た。
<樹脂合成例3>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに、ブチルアクリレート98.5重量部、アクリル酸1.5重量部、酢酸エチル150.0重量部を仕込み、窒素置換下で70℃まで加熱し、アゾビスイソブチロニトリル0.15重量部を添加し重合を開始した。重合開始後3時間後から1時間おきに5時間後までそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.15重量部を添加し更に2時間重合を行った。その後、酢酸エチル150.0重量部を追加して重合を終了させ、固形分25%、Mw=84000のアクリル樹脂E−3を得た。
<易変形性凝集体(D)の実施例>
(実施例1)
酸化アルミニウム粒子(株式会社アドマテックス製「AO−502」、平均一次粒子径:約1μm、平均円形度:0.99):100質量部、カルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム株式会社製「CMCダイセル1240」)の4質量%水溶液:125質量部(固形分:5質量部)、およびイオン交換水:25質量部を、ディスパーで1000rpm、1時間、攪拌してスラリーを得た。
このスラリーをミニスプレードライヤー(日本ビュッヒ社製「B−290」)にて、125℃雰囲気下で、噴霧乾燥し、平均粒子径約10μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約3.2mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:98%の易変形性凝集体(D−1)を得た。
(実施例2)
酸化アルミニウム粒子(昭和電工株式会社製「CB−P02」、平均一次粒子径:約2μm、平均円形度:0.98):100質量部、アセトアセチル基を有する変性ビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセファイマーZ−100」)の4質量%水溶液:50質量部(固形分:2質量部)、およびイオン交換水:100質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約15μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.3mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:93%の易変形性凝集体(D−2)を得た。
(実施例3)
酸化アルミニウム粒子(株式会社アドマテックス製「AO−509」、平均一次粒子径:約10μm、平均円形度:0.99):100部、アセトアセチル基を有する変性ビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセファイマーZ−100」)の4質量%水溶液:12.5質量部(固形分:0.5質量部)、およびイオン交換水:137.5質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約40μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約1mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:92%の易変形性凝集体(D−3)を得た。
(実施例4)
窒化アルミニウム(株式会社トクヤマ製「Hグレード」、平均一次粒子径:約1μm、平均円形度:0.97):100質量部、アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセファイマーZ−100」)の4質量%水溶液:50質量部(固形分:2質量部)、およびイオン交換水:100質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約15μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.7mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:92%の易変形性凝集体(D−4)を得た。
(実施例5)
酸化アルミニウム粒子(昭和電工株式会社製「CB−P05」、平均一次粒子径:約5μm、平均円形度:0.99):100質量部、Mw=25000のポリアクリル酸の40質量%水溶液:12.5質量部(固形分:10質量部)、およびイオン交換水:137.5質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約30μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約2mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:95%の易変形性凝集体(D−5)を得た。
(実施例6)
実施例1でのカルボキシメチルセルロースの4質量%水溶液の代わりに、エポキシ樹脂組成物(ジャパンエポキシレジン製、「エピコート1010」2質量部、およびトルエン:148質量部を用い噴霧乾燥温度を125℃から140℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、平均粒子径約20μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.4mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:93%の易変形性凝集体(D−6)を得た。
(実施例7)
実施例1と同様のスラリーを得た後、ハイスピードミキサ(株式会社アーステクニカ製「LFS−2」)にて、撹拌下乾燥し、水分を除去し、平均粒子径約100μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約3mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:90%の易変形性凝集体(D−7)を得た。
(比較例1)
「CB−P02」の代わりに、酸化アルミニウム粒子(昭和電工株式会社製「CB−A20S」、平均一次粒子径:約20μm、平均円形度:0.98、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約220mN)を用い、実施例1と同様にして酸化アルミニウム粒子に対し、上記カルボキシメチルセルロースの4質量%水溶液を用い、易変形性凝集体を得ようとしたが、崩壊し易く、凝集体の態を成さない生成物(D’−1)を得た。
(比較例2)
カルボキシメチルセルロースを使用せず、イオン交換水を150質量部とした以外は実施例1と同様にして、易変形性凝集体を得ようとしたが、崩壊し易く、凝集体の態を成さない生成物(D’−2)を得た。
(比較例3)
上記カルボキシメチルセルロースの4質量%水溶液を1250質量部(固形分:50質量部)とし、イオン交換水を50質量部とした以外は実施例1と同様にして、平均粒子径約20μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約0.8mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:12%の易変形性凝集体(D’−3)を得た。
(比較例4)
カルボキシメチルセルロースの4質量%水溶液を使用せず、シランカップリング剤(信越化学社製「KBM−04」、テトラメトキシシラン(10質量%溶液):20質量部(固形分:2質量部)を用い、イオン交換水を130質量部とした以外は実施例1と同様にして、スラリーを得、このスラリーを125℃雰囲気下、噴霧乾燥・硬化し、平均粒子径約15μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約42mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:75%の易変形性凝集体(D’−4)を得た。
(比較例5)
比較例4と同様のスラリーを得、このスラリーを、125℃雰囲気下で、噴霧乾燥後、酸化アルミニウムの融点以上の2100℃で焼結し、平均粒子径約15μm、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力:約200mN、振とう試験後の平均粒子径の維持率:98%の易変形性凝集体(D’−5)を得た。
(比較例6)
酸化アルミニウム粒子(住友化学株式会社製、「AL−33」、平均一次粒子径:約12μm、平均円形度:0.9)100質量部、ポリウレタン樹脂(東洋紡績株式会社:バイロンUR−1400)の20質量%トルエン溶液:10質量部(固形分:2質量部)用い、イオン交換水の代わりにトルエンを140質量部用いた以外は実施例1と同様にして、易変形性凝集体を得ようとしたが、崩壊し易く、凝集体の態を成さない生成物(D’−6)を得た。
実施例1〜7および比較例1〜6における主な製造条件と評価結果を表1に示す。
表1に示すように、凝集体を生成するには、熱伝導性粒子(A)の平均一次粒子径が10μm以下であり、有機結着剤(B)を使用することが必要である。比較例1,2,6は凝集体を形成することができない。比較例3に示すように、有機結着剤(B)が多すぎると、振とう時に凝集体同士がさらに凝集してしまい、衝撃により変質してしまう。比較例4,5に示すように、シランカップリング剤を有機結着剤として使用し、易変形性凝集体(D)を変形させる前に加熱して硬化させたり、酸化アルミニウムの融点以上で焼結したりと、熱伝導性粒子(A)同士を強固に結着させると、易変形性に乏しくなる。
<熱伝導性樹脂組成物(G)、及び熱伝導性部材(H)、(I)の実施例>
(実施例8)
実施例1で得られた易変形性凝集体(D−1)(平均粒子径10μm)37.1質量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(E−1)の30%トルエン/2−プロパノール溶液31.5質量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製「エピコート1001)の50%MEK溶液3.15質量部とをディスパー撹拌し、2-プロパノール6.5質量部およびトルエン25.8質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率50vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を、コンマコーターを用いて剥離処理シート(厚さ75μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗工し、100℃で2分加熱乾燥し、熱伝導層の厚みが50μmの熱伝導性部材(H−1)を得た。熱伝導率は3(W/m・K)であった。この熱伝導性部材(H−1)を、150℃、2MPaで1時間プレスすることにより、熱伝導層の厚みが45μm、熱伝導率7(W/m・K)の熱伝導性部材(I−1)を得た。
別途、熱伝導性部材(H−1)から剥離処理シートを剥離して熱伝導層を単離し、これを40μm厚の銅箔と250μm厚のアルミ板との間に挟み、150℃、2MPaで1時間プレスした。得られたシートの耐熱性は良好であった。
(実施例9)
実施例2で得られた易変形性凝集体(D−2)(平均粒子径15μm)37.1質量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(E−1)の30%トルエン/2−プロパノール溶液31.5質量部と、硬化剤としてのエピコート1031S(ジャパンエポキシレジン株式会社製)の50%MEK溶液3.15質量部とをディスパー撹拌し、2-プロパノール6.5質量部およびトルエン25.8質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率70vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を用い、実施例8と同様にして、熱伝導層の厚みが65μm、熱伝導率2.8(W/m・K)の熱伝導性部材(H−2)を得た。さらに同様にして、熱伝導層の厚みが60μm、熱伝導率5.5(W/m・K)、耐熱性良好の熱伝導性部材(I−2)を得た。
(実施例10)
実施例3で得られた易変形性凝集体(D−3)(平均粒子径40μm)32.4質量部と、樹脂合成例2で得られたカルボキシル基含有変性エステル樹脂(E-2)の35%トルエン溶液36.0質量部と硬化剤としてのケミタイトPZ(株式会社日本触媒製)2.5質量部とを混合しをディスパー撹拌し、2-プロパノール9.3質量部およびトルエン37.0質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率40vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を用い、実施例8と同様にして、熱伝導層の厚みが60μm、熱伝導率2.5(W/m・K)の熱伝導性部材(H−3)を得た。さらに同様にして、熱伝導層の厚みが55μm、熱伝導率3.5(W/m・K)、耐熱性良好の熱伝導性部材(I−3)を得た。
(実施例11)
実施例4で得られた易変形性凝集体(D−4)(平均粒子径15μm)36.0質量部と、樹脂合成例3で得られたアクリル樹脂(E−3)の25%酢酸エチル溶液50.4質量部と、熱硬化助剤としてのケミタイトPZ(株式会社日本触媒製)1質量部とを混合しディスパー撹拌し、メチルエチルケトン(MEK)29.0質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率50vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を用い、実施例8と同様にして、熱伝導層の厚みが50μm、熱伝導率6(W/m・K)の熱伝導性部材(H−4)を得た。さらに同様にして、熱伝導層の厚みが44μm、熱伝導率10(W/m・K)、耐熱性良好の熱伝導性部材(I−4)を得た。
(実施例12)
実施例5で得られた易変形性凝集体(D−5)(平均粒子径30μm)22.8質量部と、エポキシ樹脂(YX−4000H、油化シェルエポキシ株式会社製)の25%トルエン溶液68.8質量部と、熱硬化助剤としてのケミタイトPZ(株式会社日本触媒製)1.72質量部とを混合しディスパー撹拌し、トルエン11.0質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率25vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を用い、実施例8と同様にして、熱伝導層の厚みが50μm、熱伝導率2.3(W/m・K)の熱伝導性部材(H−5)を得た。さらに同様にして、熱伝導層の厚みが45μm、熱伝導率3(W/m・K)、耐熱性良好の熱伝導性部材(I−5)を得た。
(実施例13)
実施例6で得られた易変形性凝集体(D−6)(平均粒子径20μm)38.3質量部と、水系エマルジョン樹脂(ポリゾールAX−590、昭和電工株式会社製、固形分49%)13.8質量部とを混合しディスパー撹拌し、水48.0質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率60vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を用い、実施例8と同様にして、熱伝導層の厚みが50μm、熱伝導率2(W/m・K)の熱伝導性部材(H−6)を得た。さらに同様にして、熱伝導層の厚みが45μm、熱伝導率4.2、耐熱性良好の熱伝導性部材(I−6)を得た。
(実施例14)
実施例7で得られた易変形性凝集体(D−7)(平均粒子径100μm)61.6質量部とポリエステルウレタン樹脂バイロンUR6100(東洋紡績株式会社製)18.7質量部、硬化剤としてのエポキシ系硬化剤テトラッドX(三菱ガス化学株式会社製)0.08質量部とをディスパー撹拌し、トルエン20.0質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して易変形性凝集体の含有率65vol%の熱伝導性樹脂組成物を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を用い、実施例8と同様にして、熱伝導層の厚みが110μm、熱伝導率2.7(W/m・K)の熱伝導性部材(H−7)を得た。さらに同様にして、熱伝導層の厚みが100μm、熱伝導率5(W/m・K)、耐熱性良好の熱伝導性部材(I−7)を得た。
(比較例7)
平均一次粒子径1μmの球状の酸化アルミニウム粉末(アドマテックス株式会社製、AO-502)36.0質量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(E−1)の25%トルエン/2−プロパノール溶液36.0質量部と、硬化剤としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製)の50%MEK溶液3.6質量部とをディスパー撹拌し、2-プロパノール5.7質量部およびトルエン22.7質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して酸化アルミニウムの含有率50vol%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、コンマコーターを用いて剥離処理シート(厚さ75μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗工し、100℃で2分加熱乾燥し、熱伝導層の厚みが50μm、熱伝導率0.5(W/m・K)の熱伝導性部材(H’−1)を得た。さらに、この熱伝導性部材(H’−1)に剥離処理シートを重ね、150℃、2MPaで1時間プレスして、厚みが45μmの熱伝導性部材(I’−1)を得た。このシートの熱伝導率は0.8(W/m・K)と低いものであった。
別途、熱伝導性部材(H’−1)から剥離処理シートを剥離して熱伝導層を単離し、これを40μm厚の銅箔と250μm厚のアルミ板との間に挟み、150℃、2MPaで1時間プレスした。得られたサンプルは耐熱性の試験で剥がれが観察された。
(比較例8)
平均一次粒子径20μmの球状の酸化アルミニウム粉末(昭和電工株式会社製、CB−A20S)36.0質量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(E−1)の25%トルエン/2−プロパノール溶液36.0質量部と、硬化剤としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製)の50%MEK溶液3.6質量部とをディスパー撹拌し、2-プロパノール5.7質量部およびトルエン22.7質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して酸化アルミニウムの含有率50vol%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、比較例7と同様にして、熱伝導層の厚みが50μm、熱伝導率0.4(W/m・K)の熱伝導性部材(H’−2)を得た。さらに同様にして、厚みが45μm、熱伝導率が0.7(W/m・K)、耐熱性の試験で若干の発泡が観察される熱伝導性部材(I’−2)を得た。
(比較例9)
比較例3で得られた凝集体(D’−3)(平均粒子径20μm)38.3質量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(E−1)の25%トルエン/2−プロパノール溶液27.0質量部と、硬化剤としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製)の50%MEK溶液2.7質量部とをディスパー撹拌し、2-プロパノール7.0質量部およびトルエン28.0質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して凝集体の含有率60vol%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、比較例7と同様にして、熱伝導層の厚みが60μm、熱伝導率0.3(W/m・K)の熱伝導性部材(H’−3)を得た。さらに同様にして、厚みが50μm、熱伝導率が0.4(W/m・K)、耐熱性良好の熱伝導性部材(I’−3)を得た。
(比較例10)
比較例4で得られた凝集体(D’−4)(平均粒子径15μm)38.3質量部と、樹脂合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(E−1)の25%トルエン/2−プロパノール溶液27.0質量部と、硬化剤としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製)の50%MEK溶液2.7質量部とをディスパー撹拌し、2-プロパノール7.0質量部およびトルエン28.0質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して凝集体の含有率60vol%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、比較例7と同様にして、熱伝導層の厚みが60μm、熱伝導率0.2(W/m・K)の熱伝導性部材(H’−4)を得た。さらに同様にして、厚みが50μm、熱伝導率が0.4(W/m・K)、耐熱性の試験で剥がれが観察される熱伝導性部材(I’−4)を得た。
このシートは粒子が破砕したことに起因するクラックが多く見られた。
(比較例11)
比較例5で作製した(D’−5)38.3質量部と、樹脂合成例2で得られたカルボキシル基含有変性エステル樹脂(E−2)の35%トルエン溶液27.0質量部と、硬化剤としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製)の50%MEK溶液2.7質量部とをディスパー撹拌し、2-プロパノール7.0質量部およびトルエン28.0質量部で粘度を調整した後、超音波脱泡して非凝集体の含有率60vol%の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、比較例7と同様にして、熱伝導層の厚みが60μm、熱伝導率0.7(W/m・K)の熱伝導性部材(H’−5)を得た。さらに同様にして、厚みが50μm、熱伝導率が0.9(W/m・K)、耐熱性の試験で剥がれが観察される熱伝導性部材(I’−5)を得た。
このシートは粒子が破砕したことに起因するクラックが多く見られた。
実施例8〜14および比較例7〜11における主な製造条件と評価結果を表2に示す。表中の溶剤(F)は、溶剤として追加したもののみを記載した。
<熱伝導率の算出方法>
サンプル試料を15mm角に切り出し、サンプル表面を金蒸着しカーボンスプレーでカーボン被覆した後、キセノンフラッシュアナライザーLFA447 NanoFlash(NETZSCH社製)にて、試料環境25℃での熱拡散率を測定した。また、比熱容量はエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の高感度型示差走査熱量計DSC220Cを用いて測定した。さらに、密度は水中置換法を用いて算出した。
<耐熱性の試験方法>
3層構成のサンプル(銅箔(40μm)/高熱伝導部材/アルミ板(250μm))を、260℃の溶融半田に、アルミ板面を接触させて3分間浮かべた。その後、サンプルの外観を目視で観察し、高熱伝導部材の発泡、浮き・剥がれの発生の状態を評価した。
発泡とは、高熱伝導部材と銅箔(40μm)との界面に気泡が発生している状態である。
浮き・剥がれとは、密着させた3層構成のサンプルがアルミ板、または銅箔から浮き上がり、剥がれてしまっている状態である。評価結果を表2に示す。
それぞれの評価基準は以下の通りである。
◎:外観変化なし。
○:小さな発泡がわずかに観察される。
△:発泡が観察される。
×:激しい発生や剥がれが観察される。
表2に示すように、本発明の熱伝導性樹脂組成物(G)は、熱伝導率に優れた熱伝導性部材(H)または、(I)を提供する。比較例7,8に示すように、熱伝導性樹脂組成物(G)中に、易変形性凝集体(D)を含まない樹脂組成物では、充分な熱伝導率を発現できない。比較例9に示すように、樹脂組成物作製中に、凝集体が崩れても樹脂分が多いために充分な熱伝導経路がなく、高い熱伝導率を発現できない。比較例10に示すように、圧縮変形される前に反応性を示す反応性官能基を有する有機結着剤(B)を用いると易変形性凝集体(D)の変形性が損なわれるため、充分な熱伝導性が得られないことがある。比較例11に示すように、酸化アルミニウムの融点以上で焼結させると、易変形性凝集体(D)の変形性が損なわれるため、充分な熱伝導性が得られない。また、比較例10,11に示すように、有機結着剤中の反応性官能基がバインダー樹脂(E)の官能基と架橋構造を形成する前に反応してしまうと、充分な耐熱性が得られない。

Claims (9)

  1. 易変形性凝集体(D)20〜90体積%と、バインダー樹脂(E)10〜80体積%と、前記バインダー樹脂(E)を溶解する溶剤(F)とを含有する、熱伝導性樹脂組成物(G)であって、
    前記易変形性凝集体(D)が、平均一次粒子径が0.1〜10μmの球状の熱伝導性粒子(A)100重量部と、前記バインダー樹脂(E)中の官能基と反応性を示す反応性官能基を有する有機結着剤(B)0.1〜30重量部とを含み、
    平均粒子径が2〜100μmであり、圧縮変形率10%に要する平均圧縮力が5mN以下である、
    熱伝導性樹脂組成物(G)。
  2. 有機結着剤(B)の有する反応性官能基が、エポキシ基、カルボキシル基、アセトアセチル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、およびチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性樹脂組成物(G)。
  3. 熱伝導性粒子(A)が、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または2記載の熱伝導性樹脂組成物(G)。
  4. 易変形性凝集体(D)を構成する反応性官能基を有する有機結着剤(B)が溶剤(F)に溶解しない、請求項1ないし3いずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物(G)。
  5. 易変形性凝集体(D)を構成する反応性官能基を有する有機結着剤(B)が水溶性樹脂であり、バインダー樹脂(E)が非水溶性樹脂である、請求項1ないし4いずれか1項に載の熱伝導性樹脂組成物(G)。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物(G)から溶剤(F)が除去されてなる熱伝導層を含む、熱伝導性部材(H)。
  7. 請求項6記載の熱伝導性部材(H)を加圧および加熱してなる、熱伝導性部材(I)。
  8. 請求項6記載の熱伝導性部材(H)、または請求項7記載の熱伝導性部材(I)を含み、
    少なくとも一方の面に剥離フィルムを有する熱伝導性接着シート。
  9. 基材上に請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物(G)を塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜から溶剤(F)を除去して、熱伝導層を形成する工程と、
    前記熱伝導層を加圧する工程とを有する、熱伝導性部材(I)の製造方法。
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