JP2011174423A - クランクケース構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の傾斜によるオイルパンのオイル面の変動と低下を抑制し、オイルの戻りを速やかにして、オイル吸入口の露出を防止し、オイルポンプのエア噛みを防止するクランクケース構造。
【解決手段】クランク軸3と変速機4を支持し、下部にオイルパン61を備えた内燃機関1のクランクケース2における、オイルパン61内のオイルをオイルポンプ62によって吸引するオイル吸入口66をオイルパン61の底部に備えたクランクケース構造において、クランク軸3または変速機4を潤滑したオイルをオイルパン61に戻すオイル戻り口74を備えつつ、クランク軸3とオイルパン61との間を仕切る隔壁71L、71R、または変速機4とオイルパン61との間を仕切る隔壁72L、72Rと、前記隔壁に連結して、少なくともその一部が、オイルパンに適正量貯留されたオイルの内燃機関停止時のオイル面より上部に配置されるオイル排除部78、78′を備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、クランクケース下方にオイルパンを備え、その底部にオイル吸入口を備えた内燃機関のクランクケース構造に関する。
クランクケース下方にオイルパンを備えた内燃機関は、オイルパンに貯留されたオイルを汲み上げて潤滑を必要とする所要潤滑部位に供給する潤滑系を備えている。この潤滑系のオイルポンプによるオイル汲上げ機構は、そのオイル吸入口をオイルパンの底面に近接して設け、オイルパンに貯留されたオイルの量に影響されずに常にオイル吸入口がオイルに完全に浸るようにして空気を吸い込まないようにしている。
空気を吸い込んでしまうと、エア噛みによりオイルポンプの吐出油圧が変動して安定した油圧でオイルを潤滑部位に供給することができなくなる。
そこで、オイル吸入口をオイルパンの底面に近接させているとともに、特に自動二輪車等車両に搭載された内燃機関では車体とともに内燃機関が傾いても、オイル吸入口がオイル面から露出しない程度に十分オイルがオイルパン内に貯留されている。しかし、車体とともに内燃機関が急激に揺動したり、加速・減速が作用する場合は、オイルパン内のオイルのオイル面が変動し、変動が大きいと、瞬間的でもオイル吸入口が露出するおそれがあるので、これを防止しようとすると、オイルを大量に貯留させることになる。
そのため、重量が嵩むとともに、クランク室までオイルが溢れると、クランク軸のクランクウエブがオイルに浸ることで、クランク軸の回転に伴うフリクションが増大するという課題があった。
そこで、例えば、下記特許文献1のように、オイルパン内に略水平に隔壁を形成することで、オイルパンに貯留されたオイルのオイル面の変動を抑えるようにしたものが提案されている。
特開2008−223880号公報(図4)
上記特許文献1に示された内燃機関は、自動二輪車等の車両に搭載される内燃機関であって、クランク軸を収容するクランクケース内において、クランク軸より後方に変速機を配設した1気筒の4ストロークサイクル内燃機関であり、クランクケースの下方にオイルパンを備えている。
そして、クランクケースの前後のケース外周壁からオイルパンの内側に向けて上下を仕切る下側隔壁がそれぞれ延出して形成されている。また、その前側の下側隔壁の上方には、クランクウエブの回転軌跡に沿って下方に向けて凸に湾曲した上側隔壁が形成されている。それらにより、オイルパンに貯留されたオイルのオイル面の変動を抑制することができる、としている。
前後の下側隔壁は、オイルパンの底面から略同じ高さで、互いに近づく方向に延出しており、両者の延出先端間に大きな開口部が上下の空間を連通して形成されている。
この開口部にオイル吸入ダクトが挿入されて、その下端にオイル吸入口がオイルパンの底面に近接して設けられている。
クランク軸の下方の上側隔壁は、クランク軸を軸支する一対の鉛直壁間に架設されるように形成され、前側のケース外周壁との間に空隙部を有するとともに、途中の下方に湾曲した最低部より若干後方に吐出口部が形成されている。
したがって、上側隔壁の上に溜まるオイルは、専ら吐出口部から丁度前後の下側隔壁間の開口部に向かって流出して、回転するクランクウエブがオイルに浸ることによるクランク軸のフリクションを低減するようにしている。
しかし、上記特許文献1に示されるものにおいては、内燃機関が大きく傾斜した場合、特に、車体とともに内燃機関が前後左右に傾斜し、また、加速・減速が作用する場合は、オイルパン内のオイル面がその時間中傾くので、容易にオイルが前後の下側隔壁の上方、また、上部隔壁の上方に移動するため、オイルパンのオイル面は著しく低下し、オイル吸入口が露出する恐れがある。また、一旦オイル面の傾きによって隔壁上や、クランクケースとクランクケースカバーとの間等のオイルパン外に移動したオイルの戻りは、遅れがある。それらに対して、オイル吸入口の露出を防止しようとすると、オイルを大量に貯留させることになり、重量が嵩むとともに、クランク室までオイルが溢れると、クランク軸の回転に伴うフリクションが増大するという課題があった。
また、上側隔壁の吐出口部は比較的高い位置にあるとともに、クランクウエブの回転に伴って上側隔壁上のオイルは吐出口部から掻き出されるように流出し、前後の下側隔壁間の開口部に落下するため、泡が発生し易く、その開口部の下方に位置するオイル吸入口に泡が吸入される可能性が高く、エア噛みによりオイルポンプの吐出油圧が不安定になり易かった。
特に、クランク軸にメタルベアリングを採用するためには、所定以上の供給油圧が要求され、オイルポンプを大型化して供給油圧を高くすると、内燃機関が大型化してしまっていた。
本発明は、上記のような課題を解決することを目的とするものであり、内燃機関が振動、傾斜した場合の、オイルパンのオイル面の変動を抑制し、オイル面の低下を抑制するとともに、傾斜によって移動したオイルのオイルパンへの戻りを速やかにして、オイル吸入口の露出を防止し、また、オイルパンへ戻るオイルの泡立ちを抑制して、オイルポンプのエア噛みの発生を防止することができる内燃機関のクランクケース構造を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、クランク軸と変速機を支持し、下部にオイルパンを備えた内燃機関のクランクケースにおける、前記オイルパン内のオイルをオイルポンプによって吸引するオイル吸入口を同オイルパンの底部に備えたクランクケース構造において、前記クランク軸または前記変速機を潤滑したオイルを前記オイルパンに戻すオイル戻り口を備えつつ、前記クランク軸と前記オイルパン、または前記変速機と前記オイルパンとの間を仕切る隔壁と、前記隔壁に連結して、少なくともその一部が、前記オイルパンに適正量貯留されたオイルの内燃機関停止時のオイル面より上部に配置されるオイル排除部とを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクランクケース構造において、前記クランクケースと同クランクケースの外側に設けられた第1カバーとから形成される第1側室内にキック軸が支持されたキック始動機構を備え、前記オイル排除部は、キック軸方向視で前記キック始動機構のキック駆動ギアと重なる位置に配置されたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のクランクケース構造において、前記クランク軸および前記変速機の変速機軸は、前記内燃機関が車両に搭載された状態で同車両の車幅方向に指向して配置され、前記クランクケースは、前記クランク軸および前記変速機軸を回転可能に支持する第1鉛直壁および第2鉛直壁からなる一対の鉛直壁と、同一対の鉛直壁を連結するケース外周壁とを備えて構成され、前記オイル排除部は、前記一対の鉛直壁間に連結し且つ前記ケース外周壁に連結されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のクランクケース構造において、前記オイル排除部の上縁に沿って前記第1鉛直壁に形成された開口をなし、同オイル排除部周辺のオイルを、前記第1鉛直壁と同第1鉛直壁の外側に設けられた第1カバーとから形成される第1側室内に排出するオイル戻し穴と、前記隔壁よりも下方において、前記第1鉛直壁に形成された開口をなし、前記第1側室内のオイルを前記オイルパンに戻すオイルパン連通孔とを備えたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載のクランクケース構造において、前記オイル排除部は、前記変速機の変速ギアの下方に配置され、前記変速機軸の軸方向に延出する上部壁を備えるとともに、同上部壁は前記ケース外周壁から前記オイル戻り口へ向けて下方に傾斜していることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のクランクケース構造において、キック始動機構のキック軸に支持されたキック駆動ギアと、前記変速機軸に支持されたキック従動ギアとが、前記オイル戻し穴を介して噛合わされたことを特徴とする請求項4記載のクランクケース構造。
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載のクランクケース構造において、前記第1カバーに冷却フィンが備えられたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載のクランクケース構造において、前記クランクケースは、前記第1鉛直壁を有する第1クランクケース、前記第2鉛直壁を有する第2クランクケースからなる2分割された鋳造ケースであり、前記第1クランクケースの、前記第1鉛直壁から互いに同方向に延出する前記ケース外周壁、隔壁および上部壁と、前記第2クランクケースの、前記第2鉛直壁から互いに同方向に延出する前記ケース外周壁、隔壁および上部壁とが、合わせ面で合わせられて形成され、前記オイル排除部は、前記第1クランクケース、第2クランクケースそれぞれの、前記ケース外周壁、隔壁および上部壁を合わせ面で合わせて閉じた中空空間から構成されたことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、クランク軸と変速機を支持し、下部にオイルパンを備えた内燃機関のクランクケースにおける、前記オイルパン内のオイルをオイルポンプによって吸引するオイル吸入口を同オイルパンの底部に備えたクランクケース構造において、前記クランク軸または前記変速機を潤滑したオイルを前記オイルパンに戻すオイル戻り口を備えつつ、前記クランク軸と前記オイルパン、または前記変速機と前記オイルパンとの間を仕切る隔壁と、前記隔壁と直接連結せず前記クランクケースに一体成形され、少なくともその一部が、前記オイルパンに適正量貯留されたオイルの内燃機関停止時のオイル面より上部に配置される閉空間をなすオイル排除部とを備えたことを特徴とする。
請求項1の発明のクランクケース構造によれば、内燃機関が振動、傾斜した場合、オイル面の変動、暴れによって、オイルパンのオイルが隔壁を越えても、オイル排除部がオイル内に埋没することにより、オイルパン内のオイル面の低下を抑制して、そのレベルを高く維持でき、オイル吸入口が露出することが防止されて、オイルポンプのエア噛みの発生を防止でき、油圧の変動を抑制することができた。よって、安定した所定以上の供給油圧によって、クランク軸へのメタルベアリング適用が、より好適になった。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、オイル排除部が、キック軸方向に見てキック始動機構のキック駆動ギアと重なる位置に配置されたことで、内燃機関の小型化が可能となった。
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、鉛直壁、ケース外周壁および隔壁を利用してオイル排除部を構成したので、クランクケースの重量増を抑制できる。また、クランクケースのクランク軸および変速機軸を車両の車幅方向に配向させて、内燃機関が車両に搭載されたので、隔壁は、クランク軸とオイルパン、または変速機オイルパンとの間を仕切るため、特に車両前後方向に揺れ、傾斜が大きい車両において、効果的に請求項1の発明の効果を奏することができた。
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、オイル排除部上のオイルを、オイル戻し穴を介してクランクケース内から一旦第1側室に排出した後、隔壁より下方の低い位置からオイルパン連通孔を介してクランクケース内のオイルパンに戻すので、オイルパン内の泡を低減できるため、より効果的にオイルポンプのエア噛みの発生を防止でき、油圧の変動を抑制することができた。
請求項5の発明によれば、請求項3または請求項4の発明の効果に加え、上部壁は変速ギアとの干渉を避けつつ、より高い位置に配置させることにより、オイル排除部の大型化が可能となり、また、上部壁の上のオイルはオイル戻り口からスムーズにオイルパンに戻すことができるので、オイル容量を増加させることなくオイルパン内のオイルを確保することができ、内燃機関の小型化、軽量化が図れた。
請求項6の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、キック駆動ギアとキック従動ギアの潤滑を良好にできた。
請求項7の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、オイル戻し孔からオイルパン連通孔へオイルが流れる第1側室を覆う第1カバーの冷却が冷却フィンによって促進されるので、オイルパン内のオイル冷却が促進された。
請求項8の発明によれば、請求項5の発明の効果に加え、オイル排除部を閉じられた中空空間とすることで、クランクケースの剛性を確保しつつ軽量化を図れた。また、ケース外周壁、隔壁および上部壁を同方向に延出させて形成することで、分割ケースとしてのクランクケースを鋳造形成する際に、第1クランクケース、第2クランクケースのそれぞれにオイル排除部の半体を形成することができ、加工工数を増大させることなくオイル排除部を形成することができた。
請求項9の発明によれば、内燃機関が振動、傾斜した場合、オイル面の変動、暴れによって、オイルパンのオイルが隔壁を越えても、オイル排除部がオイル内に埋没することにより、オイルパン内のオイル面の低下を抑制して、そのレベルを高く維持でき、オイル吸入口が露出することが防止されて、オイルポンプのエア噛みの発生を防止でき、油圧の変動を抑制することができた。よって、安定した所定以上の供給油圧によって、クランク軸へのメタルベアリング適用が、より好適になった。また、オイル排除部が隔壁とは直接連結しない閉空間として形成されたので、クランクケースの重量増大を抑制できた。
本発明の実施形態1に係る自動二輪車用内燃機関の、右クランクケースを省略して左クランクケースを内側から見た、右側面断面図である。 図1のII−II断面展開図である。なお、図1は、図2中I-I矢視断面図に相当する。 図2中III−III矢視による、実施形態1の右側面外観図であり、細部を省略した、オイル吸入口、オイルポンプ等の位置説明図である。 左クランクケースを省略して示す、図2中IV−IV矢視による、右クランクケースの左側(内側)面図であり、装着される各軸等は省略し、それらの軸芯位置を示す。 右クランクケースカバーを省略して示す、図2中V−V矢視による、右クランクケースの右側(外側)面図であり、装着される各軸等は省略し、それらの軸芯位置を示す。 図4(および図6)中VI−VI矢視による、右クランクケースの縦断面図である。 図1中VII−VII矢視による、左クランクケースの一部縦断面図である。 (a)は、図2中VIIIa−VIIIa矢視による、右クランクケースカバーを右側(外側)から視た右外観図であり、(b)は、(a)中VIIIb−VIIIb矢視による、縦断面図である。 実施形態1の変形例1のクランクケースの、図1と同様方向で、右クランクケースを省略して左クランクケースを内側から見た、右側面断面部分図である。 実施形態1の変形例2のクランクケースの、図1と同様方向で、右クランクケースを省略して左クランクケースを内側から見た、右側面断面部分図である。 実施形態1の変形例3のクランクケースの、図1と同様方向で、右クランクケースを省略して左クランクケースを内側から見た、右側面断面部分図である。 本発明に係る実施形態2の自動二輪車用内燃機関の、図1と同様方向で、右クランクケースを省略して左クランクケースを内側から見た、右側面断面図である。
以下、本発明の実施形態1に係るクランクケース構造について図1ないし図11に基づいて説明する。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る内燃機関を自動二輪車等の車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
また、各図の機器、構造部に付記された小矢印は、潤滑用のオイルの流れ方向を模式的に示すものである。
本実施形態に係る内燃機関1は、単気筒の4ストロークサイクル内燃機関であり、図示しない車両、例えば自動二輪車に、そのクランクケース2のクランク軸3および変速機4の軸を車両の車幅方向に配向させて、車両に搭載される。
図1は、本実施形態の車両用の内燃機関1を、図示しない車両に搭載された状態の姿勢で示す。
図1に示されるように、内燃機関1は、車両に搭載された状態において、クランク軸3の軸線Yを車両の前後方向に直交させ、車体幅方向に指向させて、クランクケース2に回転自在に軸支すると共に、クランクケース2から上方に向けて、シリンダ軸Xを鉛直よりも前傾して突出するシリンダ部5を有する。シリンダ部5は、クランクケース2の斜め上方に、シリンダブロック50およびシリンダヘッド51が順次重ねられて一体に締結され、シリンダヘッド51の上には図示しないシリンダヘッドカバーが被せられて構成される。
クランクケース2から斜め上方に突出したシリンダブロック50にはピストン10が摺動可能に嵌装され、コンロッド11を介してクランク軸3のクランクウエブ30L,30R間に架設されるクランクピン31に接続され、ピストン10の動きに応じてクランク軸3を回転駆動する(図2参照)。
シリンダヘッド50の下部、ピストン10の上部には、燃焼室12が形成されている。燃焼室12には、吸気ポート13、排気ポート14が連なり、これらの内端を開閉する吸気弁15および排気弁16が設けられている。
吸気ポート13には、図示しないスロットルボディおよび燃料噴射弁が接続されている。
内燃機関1の、図1中II−II断面展開図である図2に示されるように、クランクケース2は、左右2分割の鋳造ケースで構成され、左クランクケース2L(本発明の「第2クランクケース」)と右クランクケース2R(本発明の「第1クランクケース」)の間にケース内空間20が形成されている。
ケース内空間20は、互いに対面する左鉛直壁21L(本発明の「第2鉛直壁」)、右鉛直壁21R(本発明の「第1鉛直壁」)間に、左右ケース外周壁22L、22R(本発明の「ケース外周壁」)に囲まれて形成される空間であり、クランク軸3のカウンタウエイトを構成するクランクウエブ30L、30Rが収容されるクランク室23と、常時噛合い式歯車変速機を構成する変速機4が収容されるミッション室24とが互いに前後に位置して連通して1つの空間を構成している。
左クランクケース2Lと右クランクケース2Rのさらに左右外側方を、左クランクケースカバー25Lと、右クランクケースカバー25R(本発明の「第1カバー」)とが覆う。
左クランクケース2Lと左クランクケースカバー25Lの間には、ACジェネレータ6が収容される左側室26Lが形成され、右クランクケース2Rと右クランクケースカバー25Rとの間には、多板摩擦クラッチ7、キック始動機構8が収容される右側室26R(本発明の「第1側室」)が形成される。
クランク軸3のクランクウエブ30L、30Rの外側部付け根が、左クランクケース2Lと右クランクケース2Rの互いに対面する左右鉛直壁21L、21Rに左右メタルベアリング32L、32Rを介して回転自在に軸支される。メタルベアリングの採用には、潤滑オイルの安定した所定以上の供給油圧が求められる。
この左メタルベアリング32Lより左方に突出したクランク軸3には、左側室26L内において、動弁機構のカムチェーン駆動スプロケット33が取り付けられるとともに、左端側にACジェネレータ6が設けられ、ACジェネレータ6は左クランクケースカバー25Lにより覆われる。
図2に示されるように、左右クランクケース2L、2Rの左右鉛直壁21L、21Rの後方に延長した両鉛直壁間に、クランク軸3の軸線Yと平行に、変速機4のメイン軸40(本発明の「変速機軸」)が左右ベアリング42L、42R、カウンタ軸41(本発明の「変速機軸」)が左右ベアリング43L、43Rを介して回転自在に軸支され、メイン軸40に支持された駆動歯車列44とカウンタ軸41に支持された被動歯車列45(本発明の「変速ギア」)とが、各対応する歯車を常時噛み合わせてミッション室24に収容されている。
変速機4のメイン軸40には、右鉛直壁21Rを右方に貫通し右側室26R内に突出した右側部に上記のようにシフトチェンジ用の多板摩擦クラッチ7が組み付けられている。
クランク軸3の回転動力は、クランク軸3側のプライマリ駆動ギア34、多板摩擦クラッチ7側のプライマリ従動ギア46を介して多板摩擦クラッチ7に伝達されるが、多板摩擦クラッチ7は、変速機4のギア切換え中にはクランク軸3の回転動力を変速機4に伝達せずにニュートラル状態とし、変速機4のギア切換えが終了するとともにクランク軸3の回転動力を変速機4に伝達するように構成されている。
カウンタ軸41は、左鉛直壁21Lを左方に貫通して外部に突出した左端部に出力スプロケット47が嵌着されており、出力スプロケット47には後輪駆動用チェーン48が巻き掛けられている。
すなわち、本実施形態の内燃機関1は、そのクランクケース2をパワーユニットケースとして所謂パワーユニット100を構成し、カウンタ軸41はパワーユニット100の出力軸となる。
カウンタ軸41には、その右ベアリング43Rに近接してミッション室24内に、キック始動機構8により駆動されるキック従動ギア49が嵌合されている。
キック始動機構8のキック軸80は、右側室26R内においてその左端部81を、右クランクケース2Rの右鉛直壁21Rの右面(外面)に設けられた左軸受け部82aに支持され、右側部83は、右クランクケースカバー25Rに右軸受け部82bを介して支持されるとともに、右クランクケースカバー25Rを貫通し、キックアーム84が取り付けられる。
キック軸80には左端部81に隣接して、キック従動ギア49と噛合わされるキック駆動ギア85が嵌合されており、キック従動ギア49とキック駆動ギア85とは、右鉛直壁21Rの内側と外側とに分かれて位置しているが、右鉛直壁21Rに設けられた開口60(後述の「オイル戻し穴60」)を介して噛合わされる。
図2に示すように、クランク軸3に対してメイン軸40とカウンタ軸41は平行であり、図1に示すように、クランク軸3の後方若干斜め上にメイン軸40が位置し、メイン軸40のさらに後方で若干斜め下にカウンタ軸41が位置している。
メイン軸40の略真下でカウンタ軸41より低い位置にシフトドラム55が配置される。図示しないシフトスピンドルによってシフトドラム55が回動し、シフトフォーク56a,56bが移動して、変速機4の駆動歯車列44と被動歯車列45の各噛合う歯車対のうち有効に動力伝達する歯車対が選択され変速が行われる。
また、クランク軸3の前方には、バランサウエイト57を備えたバランサ軸58が左右鉛直壁21L、21Rに回転自在に架設され、クランク軸3によって図示しないギアを介して回転駆動される。
また、図1に示すように、クランクケース2は、左右クランクケース2L,2Rの左右ケース外周壁22L、22Rおけるミッション室24の上方が、左右のクランクケース2L、2Rに亘って上方に膨出してブリーザ膨出壁87が形成され、ブリーザ膨出壁87の内部にブリーザ室底壁88によりミッション室24と仕切って、ブリーザ室89が形成されている。
図1は、右クランクケース2Rを省略して左クランクケース2Lを内側から視た、一部断面とした内燃機関1の右側面(内面)図であり、右クランクケース2Rとの合わせ面27L(格子ハッチで示す部分)が環状(一部シリンダ部分が切り欠かれている)に形成されている。
一方、図4は、左クランクケース2Lを省略して右クランクケース2Rを内側から視た右クランクケース2Rの左側面(内面)図であり、左クランクケース2Lとの合わせ面27R(格子ハッチで示す部分)が環状(一部シリンダ部分が切り欠かれている)に形成されている。
したがって、図1に示す左クランクケース2Lの合わせ面27Lと、図4に示す右クランクケース2Rの合わせ面27Rとが突き合わされて、図2に示すような、内部にクランク室23とミッション室24をそなえるケース内空間20が形成される。
なお、図5は、右クランクケース2Rの右クランクケースカバー25Rを取外した状態の右側面(外面)図であり、右クランクケース2Rには、右鉛直壁21Rとともに右側面に突出形成された右環状枠壁28Rが設けられ、その右側端面には右クランクケースカバー25Rとの環状の合わせ面29R(格子ハッチで示す部分)が形成されている。
右クランクケースカバー25Rは、右クランクケース2Rの右環状枠壁28Rの合わせ面29Rに突き合わされて右クランクケース2Rの右側を覆い、内部に右側室26Rを形成する。
図1、図4に示されるように、左右クランクケース2L、2Rの左右ケース外周壁22L、22Rが、バランサ軸58の前方からクランク軸3の下方および変速機4の下方に回り込んで後方に向かい、変速機4の後方を上方に回り込んで、さらに変速機4の上方に至るようにして外周を覆う。
左右ケース外周壁22L、22Rの内側端面が各合わせ面27L、27Rである。
左右クランクケース2L、2Rは、左右鉛直壁21L、21Rおよび左右ケース外周壁22L、22Rが下方に延出するようにして、クランク室23およびミッション室24の下方に凹出してオイルを貯留するオイルパン61を形成している。
オイルパン61には、常に適正量のオイルが貯留されている必要があり、適正量の貯留オイルの機関停止時の平均的なオイル面S(以下、本明細書において「停止時オイル面S」と略記する)を図1および図4に2点鎖線で示す。
内燃機関1が停止しているときに、この停止時オイル面Sの上下近傍幅内にオイル面があればオイルは適正量である。
内燃機関1が稼動すると、オイルポンプ62(図3参照)の駆動でオイルパン61内のオイルが汲み上げられて各潤滑部位に供給されるので、稼動時オイル面は図1、図4に示す停止時オイル面Sの高さよりずっと低い位置となる。
図4に示すように、右クランクケース2Rの内面には、オイルパン61の底面の前半部の上方に右ケース外周壁22Rの前側壁から後方に右鉛直壁21Rに一体に連結されながら延出してオイル吸入通路右上壁63Rが底面に沿って形成されている。
オイル吸入通路右上壁63Rは、左クランクケース2Lに対称的に形成されたオイル吸入通路左上壁63L(図1参照)と当接されて、オイルパン61の底面との間にオイル吸入通路64が形成される。
その際、オイル吸入通路左右上壁63L、63Rの後端がオイルパン61の底面との間で形成する扁平矩形開口はオイル吸入通路左右後壁65L、65Rで左右が塞がれ、中央にオイル吸入口66が形成される(図6参照)。
図5に示す右クランクケース2Rの右鉛直壁21Rの右側面(外面)には、右環状枠壁28R内を扁平矩形に穿孔した矩形孔67が形成され、矩形孔67にオイルストレーナ68が装填される。
矩形孔67の下方は、オイル吸入通路右上壁63Rの下縁に沿って右鉛直壁21Rに穿孔されたオイル連通路69(図4参照)を介して、オイル吸入通路64に連通している。
矩形孔67の右端開口は、右クランクケース2Rの右側面を塞いで取り付けられる右クランクケースカバー25Rによって閉塞されるとともに、矩形孔67の上方は、右クランクケース2Rの右鉛直壁21Rと右クランクケースカバー25Rの内面との間に設けられたオイルポンプ62(図3参照)に連通している。
したがって、図3に示すように、内燃機関1が稼動してオイルポンプ62が駆動されオイルを吸入すると、クランクケース2内のオイルパン61の底面近くのオイルが、オイル吸入口66からオイル吸入通路64へ流入し、オイル連通路69を介して矩形孔67内に吸入されるとともに、矩形孔67内に装填されたオイルストレーナ68を通過して濾過され、オイルポンプ62に吸入される。なお、本実施形態のオイルポンプ62はトロコイドポンプである。
しかる後、オイルポンプ62で加圧され吐出したオイルは、オイルフィルタ70等を経て各潤滑部位に供給される。
また、図1に示すように、左クランクケース2Lの内面には、クランク軸3とオイルパン61との間を仕切るように、クランク軸3のカウンタウエイトを備えたクランクウエブ30L、30Rの下方を上下に仕切る高さで、左ケース外周壁22Lの前側壁から後方に向けてバランサ軸18の下方を経てクランクウエブ30L、30Rの回転軌跡の外周縁に沿って下方に向けて凸に湾曲しながら左前側隔壁(クランク軸側隔壁)71Lが延出している。左前側隔壁71Lは下部が停止時オイル面Sに若干浸る程度であり、少なくともその一部、本実施形態ではその後端側が、停止時オイル面Sより上方に位置させてある。
また、変速機4とオイルパン61との間を仕切るように、停止時オイル面Sの下方を上下に仕切る高さで、左ケース外周壁22Lの後側壁から前方に左前側隔壁71Lに向けて左後側隔壁(変速機側隔壁)72Lが延出しているとともに、左後側隔壁72Lより上方で左ケース外周壁22Lの後側壁から前方に向けて、変速機4の被動歯車列45に沿って下方を、左上部壁73Lが延出している。
左上部壁73Lは、大部分が停止時オイル面Sの上方にあって停止時オイル面Sに対して前方下向きに傾斜しており、その前方端で、左後側隔壁72Lの前方端と連結している。左ケース外周壁22Lと左後側隔壁72Lと左上部壁73Lとは、互いに連結して略三角環状の閉じた壁体を形成し、その壁体の頂部は合わせ面27Lと同一面をなしている。
左後側隔壁72Lと左上部壁73Lの前端の結合部と、左前側隔壁71Lの後端とは、所定間隔離れていて、この間にシフトドラム55が配置される。
図4に示されるように、右クランクケース2Rの内面には、左クランクケース2Lの内面の左前側隔壁71Lと左後側隔壁72Lと左上部壁73Lに対称的に、右前側隔壁71Rと右後側隔壁72Rと右上部壁73Rとが形成されている。
したがって、左クランクケース2Lと右クランクケース2Rが合体すると、左右前側隔壁71L、71Rが互いの合わせ面を当接して同一面をなす一体の前側隔壁(本発明の「隔壁」)を構成する。
また、左右後側隔壁72L、72Rが互いの合わせ面を当接して同一面をなす一体の後側隔壁(本発明の「隔壁」)を構成し、左右上部壁73L、73Rが互いの合わせ面を当接して同一面をなす一体の上部壁(本発明の「上部壁」)を構成する。
そのため、左クランクケース2Lの、左鉛直壁21Lから互いに同じく変速機4の軸方向で右方向に延出する左ケース外周壁22L、左後側隔壁72Lおよび左上部壁73Lと、右クランクケース2Rの、右鉛直壁21Rから互いに同じく変速機4の軸方向で左方向に延出する右ケース外周壁22R、右後側隔壁72Rおよび左上部壁73Rとが、合わせ面で合わせられて閉じた空間が形成され、オイル排除部78を構成する。
したがって、オイル排除部78は空間となるため、クランクケース2の強度を確保しつつ軽量化がなされる。
オイル排除部78は、左右後側隔壁72L、72Rと連結して、その後部の大部分が、停止時オイル面Sより上部に配置されている。
そのため、内燃機関1が後方向に傾斜した場合、オイル面の後方への移動等の変動、暴れによって、オイルパン61のオイルが左右後側隔壁72L、72Rを越えても、オイル排除部78がオイル内に埋没することにより、オイルパン61内のオイル面の低下を抑制する。また、内燃機関1が横方向に傾斜した場合も、オイル排除部78がオイル内に埋没した部分が同様の効果を奏する。
したがって、オイルパン61内のオイルのレベルを高く維持でき、オイル吸入口66が露出することが防止されて、オイルポンプ62のエア噛みの発生を防止でき、油圧の変動を抑制することができる。
なお、左右前側隔壁71L、71Rの後端側は、停止時オイル面Sより上方に位置しているので、内燃機関1が前方向に傾斜した場合、オイル面の前方への移動等の変動、暴れによって、オイルパン61のオイルが左右前側隔壁72L、72Rを越えたとき、後端側がオイル内に埋没することにより、オイルパン61内のオイル面の低下を抑制する前側オイル排除部78′(本発明の「オイル排除部」)としての機能を有する。内燃機関1が横方向に傾斜した場合も、前側オイル排除部78′がオイル内に埋没した部分が同様の効果を奏する。
図9〜図11に本実施形態のクランクケース構造の変形例1〜3を示す。
各変形例は、オイル排除部78、または前側オイル排除部78′の変形例を示すものであり、それ以外は本実施形態と同様である。
上記実施形態1が、左クランクケース2Rの左ケース外周壁22L、左後側隔壁72Lおよび左上部壁73Lが閉じた環状壁を形成し、右クランクケース2Rも対応する同様環状壁を形成して、閉じた空間をなすオイル排除部78を構成するのに対して、図9に示す変形例1においては、左クランクケース2Lにおいて、左ケース外周壁22Lの一部を切り欠いて、左後側隔壁172L(本発明の「隔壁」)と左上部壁173L(本発明の「上部壁」)との間がクランクケース2の外部に開いた凹部をなし、右クランクケース2Rにおいてもそれと対応する同様構造とすることで、オイル排除部178を構成したものである。
そのようなオイル排除部178によって、上記実施形態1と同様のオイル面低下防止の効果を奏するとともに、クランクケース2の軽量化、小型化が可能となる。
図10に示す変形例2においては、左クランクケース2Lにおいて、左ケース外周壁22Lと左後側隔壁272L(本発明の「隔壁」)と左上部壁273L(本発明の「上部壁」)との間を一体に鋳造等で中実構造に形成し、右クランクケース2Rにおいてもそれと対応する同様構造とすることで、オイル排除部278を構成したものである。
そのようなオイル排除部278によって、上記実施形態1と同様のオイル面低下防止の効果を奏するとともに、金属材料を多く用いたことによりクランクケース2の冷却性を向上させ、内燃機関1の重心を下げることができる。
図11に示す変形例3においては、左クランクケース2Lにおいて、上記実施形態1のオイル排除部78に加え、左前側隔壁371L(本発明の「隔壁」)の下部を厚く形成して、右クランクケース2Rにおいてもそれと対応する同様構造とすることで、前側オイル排除部378(本発明の「オイル排除部」)を構成したものである。
実施形態1において、左右前側隔壁71L、71Rの後端部は停止時オイル面Sより上方に位置しており、左右前側隔壁71L、71R自体が一定の前側オイル排除部78′としての機能を有していたが、本変形例3においてはより容積の大きい前側オイル排除部378が構成されたので、内燃機関1が前方向に傾斜した場合、オイル面の前方への移動等の変動、暴れによって、オイルパン61のオイルが左右前側隔壁を越えても、前側オイル排除部378がオイル内に埋没することにより、オイルパン61内のオイル面の低下を抑制する。内燃機関1が横方向に傾斜した場合も、前側オイル排除部378がオイル内に埋没した部分が同様の効果を奏する。
したがって、オイルパン61内のオイルのレベルを高く維持でき、オイル吸入口66が露出することが防止されて、オイルポンプ62のエア噛みの発生を防止でき、油圧の変動を抑制することができる。
上記の変形例1〜3は、そのままの態様に限られず、可能な何らかの組み合わせの態様によって実施することができ、例えば、変形例3は変形例2または3と組み合わせて実施できる。
なお、本実施形態のオイル排除部78は、左クランクケース2L側では、左ケース外周壁22L、左後側隔壁72Lおよび左上部壁73Lに囲まれた範囲の左クランクケース2Lの全幅に亘って形成されるが(図2参照)、右クランクケース2Rでは、図4に示すように、前述のキック始動機構8のキック軸80が、キック軸80方向に見て、右ケース外周壁22R、右後側隔壁72Rおよび左上部壁73Rに囲まれたオイル排除部78の領域に重なって位置している。
そのため、右クランクケース2Rの右鉛直壁21Rの右面(外面)に設けられたキック軸80の左軸受け部82aの背面が、左クランクケース2Lとの合わせ面近くに位置し(図2参照)している。
また、キック軸80には、キック駆動ギア85が左軸受け部82a右側に隣接して嵌合されているので、オイル排除部78は、キック軸80方向に見て(キック軸方向視で)キック始動機構8のキック駆動ギア85と重なる位置に配置されており、右鉛直壁21Rがキック駆動ギア85をかわすように左方向に段差をなして膨出している。
したがって、右クランクケース2R側のオイル排除部78は幅方向に浅く形成されている。
以上のようなキック軸80の配置と、キック駆動ギア85周りの右鉛直壁21Rの左方向に段差をなして膨出している形状によって、キック従動ギア49とキック駆動ギア85とは、右鉛直壁21Rの内側と外側とに分かれて位置しているが、右鉛直壁21Rの段差部に設けられた開口60を介して噛合わされ、クランクケース2の、ひいては内燃機関1の小型化に寄与する(図2参照)。また、開口60は、ミッション室24内等を潤滑し、カウンタ軸41の下方において左右上部壁73L、73R上に至ったオイルを、速やかに右側室26Rに排出するオイル戻し穴60(本発明の「オイル戻し穴」)となる。
そのため、キック従動ギア49とキック駆動ギア85は、オイル戻し穴60を通るオイルによって良好に潤滑される。
また、左右後側隔壁72L、72Rと左右上部壁73L、73Rの前端の連結部と、前側隔壁71の後端とは、所定間隔離れていて矩形開口をなし、クランク軸3または変速機4を潤滑したオイルをオイルパン61に戻すオイル戻り口74が構成される。オイル戻り口74は、オイル吸入口66の上方に位置する。また、オイル戻り口74にはシフトドラム55が矩形開口を塞ぐような位置に配置される(図1参照)。したがって、オイル戻り口74からオイルパン61に流下するオイルは、シフトドラム55によって流下速度、流下量が減じられて、左右後側隔壁72L、72Rと左右上部壁73L、73R上に至ったオイルは、オイル戻し穴60や下記の右前側オイル戻し穴75から多くが右側室26Rに排出され、比較的高い位置にあるオイル戻り口74から直接のオイル流下によるオイルの泡立ちが抑制される。
図4に示されるように、右クランクケース2Rの右鉛直壁21Rにおいて、下方に湾曲した右前側隔壁71Rの上面に沿った最も低い部分に前後に2つ右前側オイル戻し穴75(散点を施した部分)が穿設されている。右前側オイル戻し穴75(本発明の「オイル戻し穴」)は、クランク室23と右クランクケースカバー25R内の右側室26Rとを連通する(図5参照)。
さらに、右鉛直壁21Rにおいて、オイル戻り口74の下方部分にオイルパン連通孔76(散点を施した部分)が穿設されており、オイルパン連通孔76(本発明の「オイルパン連通孔」)は、右クランクケース2Rを外側(右側)から視た図5に示されるように、右環状枠壁28Rの下側部分の上面に沿って形成されている。
したがって、クランク室23内等を潤滑して左右前側隔壁71L、71R上に至ったオイルは、右前側オイル戻し穴75を介して速やかに右側室26Rに排出され、右側室26R内を流下して環状枠壁28Rの下側部分の上面に至る。
しかるのち、右側室26R内を潤滑したオイルと、前述の、ミッション室24内を潤滑し、左右上部壁73L、73R上からオイル戻し穴60を介して右側室26Rに排出され右側室26R内を流下したオイルと、ともにオイルパン連通孔76からオイルパン61に戻される。
したがって、多くのオイルが、比較的低い位置で、オイル吸入口66の側方に位置するオイルパン連通孔76からオイルパン61に流し込まれるので、オイルの泡立ちが抑制される。
また、図1に示すように、左クランクケース2Lの左鉛直壁21Lにおいて左前側隔壁71Lの下側に左前側オイル戻し穴77(散点を施した部分)が穿設されている。図7に示すように、左前側オイル戻し穴77は、左クランクケース2Lと左クランクケースカバー25Lとの間の左側室26Lの最下部に連通しており、左側室26L内のACジェネレータ6等を潤滑したオイルは速やかにクランクケース2内の下部に流下し、オイルパン61に戻る。
上記のように、クランクケース2のケース内空間20(クランク室23、ミッション室24)内を潤滑したオイルのうち、オイル戻り口74からオイルパン61に直接戻るオイル以外の大部分は、右前側オイル戻し穴75、オイル戻し穴60から、右側室26Rに排出され、右側室26R内を流下して、オイルパン連通孔76からオイルパン61に戻される。
特に、クランク室23側を潤滑後のオイルは殆ど右前側オイル戻し穴75から排出されるので、オイルが流下する右側室26Rを形成する右クランクケースカバー25Rの右前側オイル戻し穴75の位置に近いその前方部分は、十分な冷却を行い、オイルの冷却を図ることが好ましい。
そこで本実施形態のクランクケース構造においては、図8に示すように、右クランクケースカバー25Rの多板摩擦クラッチ7に対応する位置より前方、すなわち右前側オイル戻し穴75の位置に近いクランク室23に対応する側の外面に冷却フィン90が設けられている。また、冷却フィン90の間は、右クランクケースカバー25Rの左方向(内側方向)に凹んだ溝部91に形成されて、右クランクケースカバー25Rの冷却(空冷)効果を高めている。
本実施形態1に係るクランクケース構造は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
図1および図4において、内燃機関1の停止時における平均的なオイル面、停止時オイル面S(停止時オイル面S)が示されているが、内燃機関1が稼動中は、各潤滑部位にオイルが供給されて、オイル面は相当程度低くなり、例えば、左右前側隔壁71L、71Rおよび左右後側隔壁72L、72Rより低く位置することになり、このようにオイルパン61に貯留されたオイルが車体とともに内燃機関1の揺れで流動しても、左右前側隔壁71L、71Rおよび左右後側隔壁72L、72Rによりオイル面が抑えられて、オイルの流動が効果的に抑制される。
特に加減速時等や車両が前後に傾いた時、オイルパン61内のオイルが前後に大きく揺れる場合、左右ケース外周壁22L、22Rの前側壁内面に連結している左右前側隔壁71L、71Rによって、オイルが左右ケース外周壁22L、22Rの前側壁内面に沿って遡ってクランク室23内に移動するのを阻止することができる。また、左右ケース外周壁22L、22Rの後側壁内面に連結している左右後側隔壁72L、72Rによって、オイルが左右ケース外周壁21L、21Rの後側壁内面に沿って遡ってミッション室24内に移動し、さらにはブリーザ室89内に至ることを阻止することができる。そのため、クランク軸3、バランサ軸58、および変速機4のフリクションの増大を可及的に抑制することができる。
さらに、左右前側隔壁71L、71Rと左右後側隔壁72L、72Rとによって、オイル面の移動が抑えられることで、オイルパン61の底面に沿ったオイル吸入口66が露出することが防止され、オイルポンプ62がオイル吸入口66から空気を吸ってエア噛を生じるのを防止することができる。
そして、本実施形態のクランクケース構造で特徴的なことは、クランク軸3と変速機4を支持し、下部にオイルパン61を備えた内燃機関1のクランクケース2における、オイルパン61内のオイルをオイルポンプ62によって吸引するオイル吸入口66をオイルパン61の底部に備えたクランクケース構造において、クランク軸3または変速機4を潤滑したオイルをオイルパン61に戻すオイル戻り口74を備えつつ、クランク軸3とオイルパン61との間を仕切る隔壁(左右前側隔壁71L、71R)、または変速機4とオイルパン61との間を仕切る隔壁(左右後側隔壁72L、72R)と、各隔壁に連結して、少なくともその一部が、停止時オイル面Sより上部に配置されるオイル排除部78、78′、178、278、378とを備えたことである。
そのため、内燃機関1が振動、傾斜した場合、オイル面の変動、暴れによって、オイルパン61のオイルが各隔壁71L、71R、72L、72Rを越えても、オイル排除部78、78′、178、278、378がオイル内に埋没することにより、オイルパン61内のオイル面の低下を抑制して、そのレベルを高く維持でき、オイル吸入口66が露出することが防止されて、オイルポンプ62のエア噛みの発生を防止でき、油圧の変動を抑制することができた。よって、安定した所定以上の供給油圧によって、クランク軸3への左右メタルベアリング32L、32R適用が、より好適になった。
またさらに、クランクケース2とクランクケース2の外側に設けられた右クランクケースカバー25Rとから形成される右側室26R内にキック軸80が支持されたキック始動機構8を備え、オイル排除部78、178、278は、キック軸80方向に見てキック始動機構8のキック駆動ギア85と重なる位置に配置された。
そのため、内燃機関1の小型化が可能となった。
また、クランク軸3および変速機4のメイン軸40、カウンタ軸41は、内燃機関1が車両に搭載された状態で車両の車幅方向に指向して配置され、クランクケース2は、クランク軸3およびメイン軸40、カウンタ軸41を回転可能に支持する右鉛直壁21Rおよび左鉛直壁21Lからなる一対の鉛直壁と、一対の鉛直壁21L、21Rを連結する左右ケース外周壁22L、22Rとを備えて構成され、オイル排除部78、78′、178、278、378は、一対の鉛直壁21L、21R間に連結し且つ左右ケース外周壁22L、22Rに連結されている。
そのため、左右鉛直壁21L、21R、左右ケース外周壁22L、22R、および左右前側隔壁71L、71Rまたは左右後側隔壁72L、72Rを利用してオイル排除部78、78′、178、278、378を構成したので、クランクケース2の重量増を抑制できる。また、クランクケース2のクランク軸3およびメイン軸40、カウンタ軸41を車両の車幅方向に配向させて、内燃機関1が車両に搭載されたので、各隔壁は、クランク軸3とオイルパン61、または変速機4とオイルパン61との間を仕切るため、特に車両前後方向に揺れ、傾斜が大きい車両において、効果的にその効果を奏することができた。
また、オイル排除部78、78′、178、278、378の上縁に沿って右鉛直壁21Rに形成された開口をなし、オイル排除部周辺のオイルを、右鉛直壁21Rと右鉛直壁の外側に設けられた右クランクケースカバー25Rとから形成される右側室26R内に排出するオイル戻し穴60、75と、左右前側隔壁71L、71Rまたは左右後側隔壁72L、72Rよりも下方において、右鉛直壁21Rに形成された開口をなし、右側室26R内のオイルをオイルパン61に戻すオイルパン連通孔76とを備えた。
そのため、オイル排除部78、78′、178、278、378上のオイルを、オイル戻し穴60、75を介してクランクケース2内から一旦右側室26Rに速やかに排出した後、各隔壁より下方の低い位置からオイルパン連通孔76を介してクランクケース2内のオイルパン61に戻すので、オイルパン61内の泡を低減できるため、より効果的にオイルポンプ62のエア噛みの発生を防止でき、油圧の変動を抑制することができた。
また、オイル排除部78、178、278は、変速機4の被動歯車列45の下方に配置され、メイン軸40、カウンタ軸41の軸方向に延出する左右上部壁73L、73Rを備えるとともに、左右上部壁73L、73Rは左右ケース外周壁22L、22Rからオイル戻り口74へ向けて下方に傾斜している。
そのため、左右上部壁73L、73Rは被動歯車列45との干渉を避けつつ、より高い位置に配置させることにより、オイル排除部78、178、278の大型化が可能となり、また、左右上部壁73L、73Rの上のオイルはオイル戻り口74からスムーズにオイルパンに戻すことができるので、オイル容量を増加させることなくオイルパン61内のオイルを確保することができ、内燃機関の小型化、軽量化が図れた。
また、キック始動機構8のキック軸80に支持されたキック駆動ギア85と、カウンタ軸41に支持されたキック従動ギア49とが、オイル戻し孔60を介して噛合わされた。
そのため、キック駆動ギア85とキック従動ギア49の潤滑を良好にできた。
また、右クランクケースカバー25Rに冷却フィン90が備えられた。
そのため、右前側オイル戻し穴75、オイル戻し穴60からオイルパン連通孔76へオイルが流れる右側室26Rを覆う右クランクケースカバー25Rの冷却が冷却フィン90によって促進されるので、オイルパン61内のオイル冷却が促進された。
また、クランクケース2は、右鉛直壁21Rを有する右クランクケース2R、左鉛直壁21Lを有する左クランクケース2Lからなる2分割された鋳造ケースであり、右クランクケース2Rの、右鉛直壁21Rから互いに同方向に延出する右ケース外周壁22R、右後側隔壁72Rおよび右上部壁73Rと、左クランクケース2Lの、左鉛直壁21Lから互いに同方向に延出する左ケース外周壁22L、左後側隔壁72Lおよび左上部壁73Lとが、合わせ面27R、27Lで合わせられて形成され、オイル排除部78は、右クランクケース2R、左クランクケース2Lそれぞれの、左右ケース外周壁22L、22R、左右後側隔壁72L、72Rおよび左右上部壁73L、73Rを合わせ面で合わせて閉じた中空空間を形成する。
そのため、オイル排除部78を閉じられた中空空間とすることで、クランクケース2の剛性を確保しつつ軽量化を図れた。また、左右ケース外周壁22L、22R、左右後側隔壁72L、72Rおよび左右上部壁73L、73Rをそれぞれ同方向に延出させて形成することで、分割ケースとしてのクランクケース2を鋳造形成する際に、右クランクケース2R、左クランクケース2Lのそれぞれにオイル排除部78の半体を形成することができ、加工工数を増大させることなくオイル排除部78を形成することができた。
次に、図12に基づき、本発明の実施形態2に係るクランクケース構造について説明する。
実施形態2のクランクケース構造は、図12に示すオイル排除部478の態様以外は、実施形態1と同様であり、本実施形態のオイル排除部478について特筆する作用効果以外は、実施形態1と同様の作用効果を奏するので、実施形態1と異なる構成、作用効果につき説明し、他は記載省略する。
実施形態2における各部位の符号は、実施形態1のものと対応するが異なる部位については、実施形態1の符号と下2桁を同じくする400番台の符号を付し、他は同じ符号を付して説明を省略する。
上記実施形態1のオイル排除部78は、左右クランクケース2L、2Rの、左右後側隔壁72L、72Rに左右上部壁73L、73Rが連結して形成されるのに対して、図12に示すように、本実施形態2のオイル排除部478は、左右後側隔壁72L、72Rと直接連結せずに形成される。
本実施形態における左後側隔壁72Lは、停止時オイル面Sの下方を上下に仕切る高さで、左ケース外周壁22Lの後側壁から前方に延出する。
また、左後側隔壁72Lと間隔を空けた上方で、左ケース外周壁22Lの後側壁から前方に向けて左後中間壁473aLが延出するとともに、さらにその上方において左ケース外周壁22Lの後側壁から前方に向けて、変速機4の被動歯車列45に沿って下方を、シフトフォーク56bとの干渉を避けた形状で、左後上部壁473bLが延出し、左後中間壁473aLと左後上部壁473bLとの前端部(図示右端部)は連結している。
また、左後上部壁473bLは、大部分が停止時オイル面Sの上方にある。
したがって、左クランクケース2Rにおいて、左ケース外周壁22L、左後中間壁473aL、左後上部壁473bLは、閉じた環状壁を形成し、右クランクケース2Rも対応する同様環状壁を形成しており、左右クランクケース2L、2Rが一体に合わせられると、閉じた空間をなすオイル排除部478が構成される。
本実施形態2に係るクランクケース構造は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
すなわち、実施形態2において特徴的なことは、クランク軸3と変速機4を支持し、下部にオイルパン61を備えた内燃機関1のクランクケース2における、オイルパン61内のオイルをオイルポンプ62によって吸引するオイル吸入口66をオイルパン61の底部に備えたクランクケース構造において、クランク軸3または変速機4を潤滑したオイルをオイルパン61に戻すオイル戻り口74を備えつつ、クランク軸3とオイルパン61との間を仕切る隔壁(左右前側隔壁71L、71R)、または変速機4とオイルパン61との間を仕切る隔壁(左右後側隔壁72L、72R)と、各隔壁と直接連結せず、クランクケース2に一体成形され、少なくともその一部が、オイルパンに適正量貯留されたオイルの内燃機関停止時のオイル面Sより上部に配置される閉空間をなすオイル排除部478とを備えたことである。
そのため、上記実施形態1と同様に、内燃機関1が振動、傾斜した場合、オイル面の変動、暴れによって、オイルパン61のオイルが各隔壁71L、71R、72L、72Rを越えても、オイル排除部478がオイル内に埋没することにより、オイルパン61内のオイル面の低下を抑制して、そのレベルを高く維持でき、オイル吸入口66が露出することが防止されて、オイルポンプ62のエア噛みの発生を防止でき、油圧の変動を抑制することができた。よって、安定した所定以上の供給油圧によって、クランク軸3へのメタルベアリング32L、32R適用が、より好適になった。
そしてさらに、本実施形態2においては、オイル排除部478が各隔壁71L、71R、72L、72Rとは直接連結しない閉空間として形成されたので、各隔壁の前後方向長さに関わらず、オイル排除部478を形成することができ、オイル排除部478の形状および配置を最適化することができ、クランクケース2の重量増大の抑制も可能となった。
以上のように、本発明のクランクケース構造によれば、内燃機関1が搭載される車両の傾斜、振動にかかわらず、オイル吸入口66から空気が吸入されるのをできる限り防止し、オイルパン61のオイル面の低下を抑制できるので、オイルポンプ62がエア噛みを発生するのを回避し、オイルポンプ62の吐出油圧の変動を抑え安定させることができる、そのため、クランク軸3等の軸受に安定した所定以上の供給油圧が要求されるメタルベアリング32L、32Rを採用することが、より好適になった。
本発明は、上記実施形態で示された態様に限定されることはなく、その要旨の範囲で多様な形態の実施を含むものであり、例えば、上記実施形態1に示されるものと実施形態2に示されるものを可能な態様で組み合わせたものを含むことは勿論であり、さらに本発明のクランクケース構造を実施する内燃機関は、実施形態の自動二輪車に搭載されるものに限らず、同様に振動、傾斜の問題を有する車両用内燃機関に広く適用できるものであり、気筒数も単気筒に限らず、車両搭載の態様もクランク軸が車幅方向のみならず、車体前後方向に配置される内燃機関においても適用できる。
1…内燃機関、2…クランクケース、2L…左クランクケース(第2クランクケース)、2R…右クランクケース(第1クランクケース)、3…クランク軸、4…変速機、5…シリンダ部、6…ACジェネレータ、7…多板摩擦クラッチ、8…キック始動機構、9…10…ピストン、11…コンロッド、12…燃焼室、13…吸気ポート、14…排気ポート、15…吸気弁、16…排気弁、20…ケース内空間、21L…左鉛直壁(第2鉛直壁)、21R…右鉛直壁(第1鉛直壁)、22L…左ケース外周壁(ケース外周壁)、22R…右ケース外周壁(ケース外周壁)、23…クランク室、24…ミッション室、25L…左クランクケースカバー、25R…右クランクケースカバー(第1カバー)、26L…左側室、26R…右側室(第1側室)、27L…合わせ面、27R…合わせ面、28R…右環状枠壁、29R…合わせ面、30L…クランクウエブ、30R…クランクウエブ、31…クランクピン、32L…左メタルベアリング、32R…右メタルベアリング、33…カムチェーン駆動スプロケット、34…プライマリ駆動ギア、40…メイン軸(変速機軸)、41…カウンタ軸(変速機軸)、42L…左ベアリング、42R…右ベアリング、43L…左ベアリング、43R…右ベアリング、44…駆動歯車列、45…被動歯車列(変速ギア)、46…プライマリ従動ギア、47…出力スプロケット、48…後輪駆動用チェーン、49…キック従動ギア、50…シリンダブロック、51…シリンダヘッド、55…シフトドラム、56a…シフトフォーク、56b…シフトフォーク、57…バランサウエイト、58…バランサ軸、60…開口(オイル戻し穴)、61…オイルパン、62…オイルポンプ、63L…オイル吸入通路左上壁、63R…オイル吸入通路右上壁、64…オイル吸入通路、65L…オイル吸入通路左後壁、65R…オイル吸入通路右後壁、66…オイル吸入口、67…矩形孔、68…オイルストレーナ、69…オイル連通路、70…オイルフィルタ、71L…左前側隔壁(隔壁)、71R…右前側隔壁(隔壁)、72L…左後側隔壁(隔壁)、72R…右後側隔壁(隔壁)、73L…左上部壁(上部壁)、73R…右上部壁(上部壁)、74…オイル戻り口、75…右前側オイル戻し穴(オイル戻し穴)、76…オイルパン連通孔、77…左前側オイル戻し穴、78…オイル排除部、78′…前側オイル排除部(オイル排除部)、80…キック軸、81…左端部、82a…左軸受け部、82b…右軸受け部、83…右側部、84…キックアーム、85…キック駆動ギア、87…ブリーザ膨出壁、88…ブリーザ室底壁、89…ブリーザ室、90…冷却フィン、91…溝部、100…パワーユニット、172L…左後側隔壁(隔壁)、173L…左上部壁(上部壁)、178…オイル排除部、272L…左後側隔壁(隔壁)、273L…左上部壁(上部壁)、278…オイル排除部、371L…左前側隔壁(隔壁)、378…前側オイル排除部(オイル排除部)、473aL…左後中間壁、473bL…左後上部壁、478…オイル排除部

Claims (9)

  1. クランク軸と変速機を支持し、下部にオイルパンを備えた内燃機関のクランクケースにおける、前記オイルパン内のオイルをオイルポンプによって吸引するオイル吸入口を同オイルパンの底部に備えたクランクケース構造において、
    前記クランク軸または前記変速機を潤滑したオイルを前記オイルパンに戻すオイル戻り口を備えつつ、前記クランク軸と前記オイルパン、または前記変速機と前記オイルパンとの間を仕切る隔壁と、
    前記隔壁に連結して、少なくともその一部が、前記オイルパンに適正量貯留されたオイルの内燃機関停止時のオイル面より上部に配置されるオイル排除部とを備えたことを特徴とするクランクケース構造。
  2. 前記クランクケースと同クランクケースの外側に設けられた第1カバーとから形成される第1側室内にキック軸が支持されたキック始動機構を備え、
    前記オイル排除部は、キック軸方向視で前記キック始動機構のキック駆動ギアと重なる位置に配置されたことを特徴とする請求項1記載のクランクケース構造。
  3. 前記クランク軸および前記変速機の変速機軸は、前記内燃機関が車両に搭載された状態で同車両の車幅方向に指向して配置され、
    前記クランクケースは、前記クランク軸および前記変速機軸を回転可能に支持する第1鉛直壁および第2鉛直壁からなる一対の鉛直壁と、同一対の鉛直壁を連結するケース外周壁とを備えて構成され、
    前記オイル排除部は、前記一対の鉛直壁間に連結し且つ前記ケース外周壁に連結されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のクランクケース構造。
  4. 前記オイル排除部の上縁に沿って前記第1鉛直壁に形成された開口をなし、同オイル排除部周辺のオイルを、前記第1鉛直壁と同第1鉛直壁の外側に設けられた第1カバーとから形成される第1側室内に排出するオイル戻し穴と、
    前記隔壁よりも下方において、前記第1鉛直壁に形成された開口をなし、前記第1側室内のオイルを前記オイルパンに戻すオイルパン連通孔とを備えたことを特徴とする請求項3記載のクランクケース構造。
  5. 前記オイル排除部は、前記変速機の変速ギアの下方に配置され、前記変速機軸の軸方向に延出する上部壁を備えるとともに、同上部壁は前記ケース外周壁から前記オイル戻り口へ向けて下方に傾斜していることを特徴とする請求項3または請求項4記載のクランクケース構造。
  6. キック始動機構のキック軸に支持されたキック駆動ギアと、前記変速機軸に支持されたキック従動ギアとが、前記オイル戻し穴を介して噛合わされたことを特徴とする請求項4記載のクランクケース構造。
  7. 前記第1カバーに冷却フィンが備えられたことを特徴とする請求項4記載のクランクケース構造。
  8. 前記クランクケースは、前記第1鉛直壁を有する第1クランクケース、前記第2鉛直壁を有する第2クランクケースからなる2分割された鋳造ケースであり、
    前記第1クランクケースの、前記第1鉛直壁から互いに同方向に延出する前記ケース外周壁、隔壁および上部壁と、前記第2クランクケースの、前記第2鉛直壁から互いに同方向に延出する前記ケース外周壁、隔壁および上部壁とが、合わせ面で合わせられて形成され、
    前記オイル排除部は、前記第1クランクケース、第2クランクケースそれぞれの、前記ケース外周壁、隔壁および上部壁を合わせ面で合わせて閉じた中空空間から形成されたことを特徴とする請求項5記載のクランクケース構造。
  9. クランク軸と変速機を支持し、下部にオイルパンを備えた内燃機関のクランクケースにおける、前記オイルパン内のオイルをオイルポンプによって吸引するオイル吸入口を同オイルパンの底部に備えたクランクケース構造において、
    前記クランク軸または前記変速機を潤滑したオイルを前記オイルパンに戻すオイル戻り口を備えつつ、前記クランク軸と前記オイルパン、または前記変速機と前記オイルパンとの間を仕切る隔壁と、
    前記隔壁と直接連結せず前記クランクケースに一体成形され、少なくともその一部が、前記オイルパンに適正量貯留されたオイルの内燃機関停止時のオイル面より上部に配置される閉空間をなすオイル排除部とを備えたことを特徴とするクランクケース構造。
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