JP2011163393A - 油圧制御装置およびベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents

油圧制御装置およびベルト式無段変速機の制御装置 Download PDF

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隆弘 横川
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勇仁 服部
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Masaya Fujimura
真哉 藤村
Takafumi Inagaki
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Abstract

【課題】応答性を向上させつつ、油圧室を目標圧に収束させることのできる油圧制御装置を提供する。
【解決手段】開閉弁は、油圧室に圧油を供給するための増圧用開閉弁と前記油圧室から圧油を排出するための減圧用開閉弁とを有し、増圧する場合には目標圧となるように前記増圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に低く設定された閾値まで実際の圧力が上昇したのちに閉弁動作させ、減圧する場合には目標圧となるように前記減圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に高く設定された閾値まで実際の圧力が下降したのちに閉弁動作させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、油圧室に圧油を供給および排出するための油圧制御装置およびベルト式無段変速機の制御装置に関するものである。
一般に、車両には、駆動力源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動力源の出力側に変速機が設けられている。変速機には、変速比を無段階に制御する無段変速機と、変速比を段階的に制御する有段変速機とがある。無段変速機には、2つのプーリ、すなわち駆動力源からの駆動力が伝達されるプライマリプーリおよびプライマリプーリに伝達された出力トルクを変化させて出力するセカンダリプーリと、このプライマリプーリに伝達された駆動力をセカンダリプーリに伝達するベルトとにより構成されるベルト式無段変速機がある。
このプライマリプーリおよびセカンダリプーリは、平行に配置された2つのプーリ軸すなわちプライマリプーリ軸とセカンダリプーリ軸と、この両プーリの回転軸線方向にそれぞれ摺動する可動シーブ(プライマリ可動シーブ、セカンダリ可動シーブ)と、この2つの可動シーブに軸方向においてそれぞれ対向するとともに可動シーブとの間でV字形状の溝を形成する2つの固定シーブ(プライマリ固定シーブ、セカンダリ固定シーブ)と、ベルトに対して回転軸線方向に挟圧力を付与する挟圧力発生油圧室とにより構成されている。なお、ベルトは、プライマリプーリおよびセカンダリプーリのそれぞれに形成されるV字形状の溝に巻き掛けられている。
このベルト式無段変速機は、各挟圧力発生油圧室によりそれぞれの可動シーブが各プーリ軸上をその回転軸線方向に摺動し、プライマリプーリおよびセカンダリプーリのそれぞれに形成されるV字形状の溝の幅を変化させる。これにより、ベルトと、プライマリプーリおよびセカンダリプーリとの巻き掛け半径を無段階に変化させ、変速比を無段階に変化させるものである。つまり、駆動源からの出力トルクを無段階に変化させるものである。また、各挟圧力発生油圧室にオイルが供給および排出されてそれぞれの可動シーブが各プーリの回転軸線方向に摺動する構成である場合は、各挟圧力発生油圧室に供給および排出されるオイルの圧力を開閉弁などを用いて適宜に調圧してベルト式無段変速機を制御する。
特許文献1に示す無段変速機の変速制御装置は、油圧供給源と変速プーリとの間に設けられ、前記変速プーリに作動油を供給する第1シフト弁と、前記変速プーリとオイルパンとの間に設けられ、前記変速プーリから作動油を排出する第2シフト弁と、前記第1シフト弁と前記第2シフト弁とを同じ電気信号に基づいて制御する電子制御手段とを備えている。そのため、変速プーリに作動油を供給する第1シフト弁と、変速プーリから作動油を排出する第2シフト弁とを別個に設けるようにしたので、変速プーリに作動油を保持して変速比を一定に保つことが容易となる。また、第1シフト弁と第2シフト弁とは同じ電気信号に基づいて制御できるため、電気信号に対する第1シフト弁および第2シフト弁の作動特性を設定する際の調整作業が容易となる。
また、特許文献2に示すベルト式無段変速機では、プライマリプーリとセカンダリプーリとの実際の変速比と、車両の走行状態に応じて算出される目標変速比との変速比偏差に応じて目標プライマリ圧が設定される。変速制御弁はその電磁コイルに供給される電流に応じて開口面積を変化させてプライマリシリンダに供給される作動油の流量を調整する。開口面積を変化させてプライマリシリンダに供給される作動油の流量を調整する流量制御弁が用いられているため、不測の入力トルクに対する変速比安定性が保証され、目標変速比から最終的な目標プライマリ圧を求めることによって迅速に変速比を変化させることが可能となる。
特開2007−224974号公報 特開2003−240111号公報
ところで、上記のような従来のベルト式無段変速機においては、油圧制御が行われて変速比を変化させる。そのため、可動シーブに備えられた各挟圧力発生油圧室に供給および排出するオイルの調圧を行うために、ポペット弁などの油圧の漏れを抑制もしくは抑止できる開閉弁を用いた場合、その弁体の開閉によって目標圧を超えることなく各挟圧力発生油圧室をその目標圧まで収束させることが困難となる。
すなわち、図5(a)に示すように、ポペット弁などの油圧の漏れを抑制できる開閉弁の開閉制御では、目標圧との差圧に応じた電流を指示して各挟圧力発生油圧室を目標圧に収束させる圧力制御があるが、ポペット弁などの油圧の漏れを抑制できる開閉弁には、目標圧との差圧に応じて弁を開けるための最小電流である開弁電流と、その目標圧との差圧に応じて弁を閉じるための最大電流である閉弁電流がある。
閉弁時はプランジャに掛かるオイルの圧力、摺動抵抗、流体力および磁気の影響などがあるため、開弁電流と閉弁電流との間には、ヒステリシスが存在する。そのため、図5(a)および(b)に示すように各挟圧力発生油圧室に対する増圧要求時、開弁電流により目標圧に収束しようとすると、その電流値に対する目標圧との差圧と閉弁電流との関係により目標圧を超えてしまうすなわちオーバーシュートするため、トルク伝達効率が低下してベルトや各プーリなどの耐久性にも悪影響が及ぼされる。
一方、目標圧との差圧に応じた閉弁電流を指示した場合では、開弁電流での制御に比較して弁の開度が小さくなるため、目標圧に収束できるが応答性が低下した状態となり、トルク伝達ができなくなる可能性がある。このようにベルト式無段変速機の制御装置においては、応答性を向上させつつ、各挟圧力発生油圧室を目標圧に収束させるための開閉弁の開閉制御について課題があった。また、このような課題は、ポペット弁などの油圧の漏れを抑制できる開閉弁の開閉を行う油圧制御装置に共通の課題であった。すなわち、ポペット弁などの油圧の漏れを抑制できる開閉弁が備えられ、その上流側と下流側とに油路が連通され、さらに下流側に設けられた油路の開閉弁に連通された一方端とは反対側の他方端に油圧室が連通されるような構成における開閉制御についても油圧室を目標圧に収束させる場合に同様の課題があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、油圧制御装置において油圧室の圧力を目標圧に応答性よく収束させることのできる油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、開閉弁と、その上流側と下流側とにそれぞれ連通される油路と、下流側に設けられた油路の開閉弁に連通された一方端とは反対側の他方端に連通される油圧室とを備えた油圧制御装置において、前記開閉弁は、前記油圧室に圧油を供給するための増圧用開閉弁と前記油圧室から圧油を排出するための減圧用開閉弁とを有し、増圧する場合には目標圧となるように前記増圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に低く設定された閾値まで実際の圧力が上昇したのちに閉弁動作させ、減圧する場合には目標圧となるように前記減圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に高く設定された閾値まで実際の圧力が下降したのちに閉弁動作させることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記閾値は目標圧に安全率が掛けられたものとなっており、実際の圧力が前記閾値に到達したのちに閉弁動作させる制御を行うことを特徴とする油圧制御装置である。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記減圧する場合の前記閾値は、減圧時の場合に実際の圧力が降下する速度である圧力降下速度と前記減圧用開閉弁の動作速度とから設定されることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記減圧する場合における実際の圧力の降下度合いが基準値より小さい場合には、前記減圧用開閉弁を閉弁動作させることのみで減圧を行うことを特徴とする油圧制御装置である。
請求項5の発明は、動力が伝達される入力軸に設けられた駆動プーリと、この駆動プーリに対向する位置に備えられた従動プーリと、前記2つのプーリに巻き掛けられ、駆動力源からの出力トルクを伝達するベルトとを備えたベルト式無段変速機を制御するために設けられ、前記各プーリに形成され、油圧により前記ベルトに対して押圧力を付与する油圧室と、該各油圧室に連通される供給排出経路と、この供給排出経路に設けられて、前記油圧室内の油圧を調整する開閉弁とからなるベルト式無段変速機の制御装置において、前記開閉弁は増圧用開閉弁と減圧用開閉弁とを有し、増圧する場合には変速比に応じた目標圧となるように前記増圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に低く設定された閾値まで実際の圧力が上昇したのちに閉弁動作させ、減圧する場合には変速比に応じた目標圧となるように前記減圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に高く設定された閾値まで実際の圧力が下降したのちに閉弁動作させることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項5の構成に加えて、前記閾値は目標圧に安全率が掛けられたものとなっており、実際の圧力が前記閾値に到達したのちに閉弁動作させる制御を行うことを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。
請求項7の発明は、請求項5または6の構成に加えて、前記減圧する場合の前記閾値は、減圧時の場合に実際の圧力が降下する速度である圧力降下速度と前記減圧用開閉弁の動作速度とから設定されることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。
請求項8の発明は、請求項5ないし7のいずれかの構成に加えて、前記減圧する場合における実際の圧力の降下度合いが基準値より小さい場合には、前記減圧用開閉弁を閉弁動作させることのみで減圧を行うことを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。
請求項1の発明によれば、目標圧よりも相対的に低く設定された閾値が設定されており、増圧する場合もしくは減圧する場合に増圧用開閉弁もしくは減圧用開閉弁を開弁動作させてその閾値に実際の圧力が到達したのちに、閉弁動作させることから、油圧室内の油圧を正確に目標圧を超えることなく油圧室をその目標圧まで収束させることができる。
請求項2の発明によれば、閾値は目標圧に安全率が掛けられたものとなっており、増圧する場合もしくは減圧する場合に増圧用開閉弁もしくは減圧用開閉弁を開弁動作させてその閾値に実際の圧力が到達したのちに、閉弁動作させることから、油圧室内の油圧を正確に目標圧を超えることなく油圧室をその目標圧まで収束させることができる。
請求項3の発明によれば、減圧する場合の閾値は、減圧時の場合に圧力の降下する速度である圧力降下速度と減圧用開閉弁の動作速度とから設定されることから、減圧する場合に減圧用開閉弁を開弁動作させてその閾値に実際の圧力が到達したのちに閉弁動作させて、油圧室内の油圧を正確に目標圧を超えることなく油圧室をその目標圧まで収束させることができる。
請求項4の発明によれば、減圧する場合における実際の圧力の降下度合いが基準値より小さい場合には、減圧用開閉弁の動作を閉弁動作させることのみで減圧を行うことから、減圧する場合に減圧用開閉弁を開弁動作させてその閾値に実際の圧力が到達したのちに閉弁動作させて、油圧室内の油圧を正確に目標圧を超えることなく油圧室をその目標圧まで収束させることができる。
請求項5の発明によれば、目標圧よりも相対的に低く設定された閾値が設定されており、増圧する場合もしくは減圧する場合に増圧用開閉弁もしくは減圧用開閉弁を開弁動作させてその閾値に実際の圧力が到達したのちに、閉弁動作させることから、油圧室内の油圧を正確に目標圧を超えることなく各油圧室をその目標圧を超えることなく油圧室をその目標圧まで収束させることができる。
請求項6の発明によれば、閾値は目標圧に安全率が掛けられたものとなっており、増圧する場合もしくは減圧する場合に増圧用開閉弁もしくは減圧用開閉弁を開弁動作させてその閾値に実際の圧力が到達したのちに、閉弁動作させることから、油圧室内の油圧を正確に目標圧を超えることなく各油圧室をその目標圧まで収束させることができる。
請求項7の発明によれば、減圧する場合の閾値は、減圧時の場合に圧力の降下する速度である圧力降下速度と減圧用開閉弁の動作速度とから設定されることから、減圧する場合に減圧用開閉弁を開弁動作させてその閾値に実際の圧力が到達したのちに閉弁動作させて、油圧室内の油圧を正確に目標圧を超えることなく各油圧室をその目標圧まで収束させることができる。
請求項8の発明によれば、減圧する場合における実際の圧力の降下度合いが基準値より小さい場合には、減圧用開閉弁の動作を閉弁動作させることのみで減圧を行うことから、減圧する場合に減圧用開閉弁を開弁動作させてその閾値に実際の圧力が到達したのちに閉弁動作させて、油圧室内の油圧を正確に目標圧を超えることなく各油圧室をその目標圧まで収束させることができる。
この発明に係るベルト式無段変速機の制御装置による第1制御例における開弁電流と閉弁電流との関係を表す図(a)および両電流による制御のタイムチャートを表す図(b)およびその制御時の目標圧と実圧の時間的変化を表す図(c)である。 この発明に係るベルト式無段変速機の制御装置による第1制御例における制御装置の制御フローを表す図である。 この発明に係るベルト式無段変速機の制御装置およびその制御対象となるベルト式無段変速機の構成例を表す模式図である。 この発明に係るベルト式無段変速機の制御装置の開閉弁の構成例を表す模式図である。 従来のベルト式無段変速機の制御装置による制御例における開弁電流と閉弁電流との関係を表す図(a)および両電流による制御のタイムチャートを表す図(b)である。 従来のベルト式無段変速機の制御装置による制御例における開弁電流と閉弁電流とによる制御のタイムチャートを表す図(a)およびその制御時の目標圧と実圧の時間的変化を表す図(b)である。 従来のベルト式無段変速機の制御装置による制御例におけるセカンダリシーブ圧とアップシフト変速比との関係を表す図である。 この発明に係るベルト式無段変速機の制御装置による第2制御例における開弁電流と閉弁電流とによる制御のタイムチャートを表す図(a)およびその制御時の目標圧と実圧の時間的変化を表す図(b)である。 この発明に係るベルト式無段変速機の制御装置による第2制御例における開弁電流と閉弁電流とによる制御のタイムチャートを表す図(a)およびその制御時の目標圧と実圧の時間的変化を表す図(b)である。 この発明に係るベルト式無段変速機の制御装置による第2制御例における制御装置の制御フローを表す図である。
つぎに、この発明を具体例を参照して説明する。以下に説明する具体例は、この発明に係る油圧制御装置をベルト式無段変速機に適用した一例であり、ベルト式無段変速機の変速比を変化させるための、プーリに設けられた可動シーブをその軸線方向に摺動させる油圧制御を行うものであり、この発明に係る油圧制御装置は、このようなベルト式無段変速機を搭載する車両や航空機、船舶、産業用機械などの各種の分野の機械・装置類に用いることができる。
図3には車両に搭載されているベルト式無段変速機1を対象とした油圧制御装置にこの発明を適用した構成例が示されている。ベルト式無段変速機1は、駆動プーリ2と従動プーリ3とにベルト4を巻き掛けてこれらのプーリ2,3の間でエンジンなどの駆動力源(図示せず)からトルクコンバータ(図示せず)などを介して伝達されるトルクを伝達し、かつ各プーリ2,3に対するベルト4の巻き掛け半径を変化させて、変速比を変化させるように構成されている。具体的には、各プーリ2,3は、固定シーブ5,6とその固定シーブ5,6に対して接近・離隔するように配置された可動シーブ7,8とを備え、それらの固定シーブ5,6と可動シーブ7,8との間にV溝状のベルト巻き掛け溝9,10が形成されるように構成されている。
そして、各プーリ2,3にはそれぞれの可動シーブ7,8をその軸線の方向に前後動させるための油圧アクチュエータ11,12が設けられている。この油圧アクチュエータ11,12は、各プーリ2,3の可動シーブ7,8の背面に設けられたシリンダとピストンとにより構成される油圧室13,14、およびその油圧室13,14に連通される、可動シーブ7,8や可動シーブ7,8が嵌合する入出力軸に設けられた油路(いずれも図示せず)により主に構成されている。それらの油圧アクチュエータ11,12のうちのいずれか一方、例えば従動プーリ3における油圧アクチュエータ12には、従動プーリ3がベルト4を挟み付ける挟圧力を発生させる油圧が供給され、また前記油圧アクチュエータ11,12のうちの他方、例えば駆動プーリ2における油圧アクチュエータ11には、ベルト4の巻き掛け半径を変化させて変速を行うための油圧が供給されている。
油圧室13,14に供給される油圧は、車両に搭載されているエンジン(図示せず)などの駆動力源によって駆動される油圧ポンプ15を油圧源としている。また、その油圧ポンプ15と並列に他の油圧ポンプ、例えば電動ポンプなどを設けてもよい。油圧ポンプ15は、オイルパン16に連通されて、そのオイルパン16からオイル(圧油もしくは圧力流体とも言う)を汲み上げるように構成されている。また、油圧ポンプ15から吐出した油圧を所定の圧力に調圧する調圧弁(図示せず)が設けられている。この調圧弁は、制御などのための元圧を調圧するためのものである。
そして、その下流側に低油圧供給部(図示せず)が連通されて調圧弁で減圧した圧油が供給されるように構成されている。この低油圧供給部とは、潤滑部や例えば、エンジンなどの駆動力源(図示せず)とベルト式無段変速機1との間に設けられたトルクコンバータに備えられたロックアップ機構のロックアップ油圧を制御するための制御弁(L/Uコントロールバルブ)(ともに図示せず)などである。なお、この制御弁はロックアップクラッチに対する油圧の供給方向やその圧力を制御するためのものであり、したがって制御弁は相対的に低い油圧で動作するようになっている。
一方、油圧ポンプ15の吐出口は、高圧供給油路17を介して逆止弁18に連通されている。また、逆止弁18は、高圧供給油路17を介してアキュムレータ(蓄圧器)19に連通されている。逆止弁18は、油圧ポンプ15からアキュムレータ19に向けて圧油が流れる場合に開き、これとは反対方向の圧油の流れを阻止するように閉弁する一方向弁である。アキュムレータ19は、蓄圧室に弾性体で押圧されたピストンや弾性膨張体(いずれも図示せず)などを容器内に収容し、その弾性力以上の圧力で圧油を蓄えるように構成されている。そして、このアキュムレータ19から高油圧供給部に圧油を供給するように構成されている。この高油圧供給部とは、前述した駆動プーリ2における油圧アクチュエータ11、および従動プーリ3における油圧アクチュエータ12であり、したがって、この油圧アクチュエータ11,12の油圧室13,14は、高圧供給油路17を介してアキュムレータ19と連通されている。
油圧室13,14と油圧ポンプ15とは、前述した逆止弁18、アキュムレータ19および開閉弁20,21,22,23を介して連通されている。すなわち、アキュムレータ19は、高圧供給油路17を介して開閉弁(増圧用開閉弁)20,22に連通されている。アキュムレータ19に連通された端部とは反対側の高圧供給油路17の端部は、分岐されて、その分岐された一方は駆動プーリ側の増圧用開閉弁20に連通されて、他方は従動プーリ側の増圧用開閉弁22に連通されている。
また、この増圧用開閉弁20,22は、油圧室13,14へ圧油を給排するための供給排出油路24,25にそれぞれ連通されている。したがって、供給排出油路24,25は増圧用開閉弁20,22に連通されている端部とは反対側の端部が、それぞれ油圧室13,14へと連通されている。さらに、供給排出油路24,25は、増圧用開閉弁20,22と油圧室13,14との間で連通して分岐されて、その分岐された端部が、それぞれ減圧用開閉弁21,23へと連通されている。この減圧用開閉弁21,23は排出油路26,27を介してオイルパン16に連通されて、オイルを吐出するように構成されている。
そして、油圧室13,14へは、油圧ポンプ15から逆止弁18、アキュムレータ19を介して圧油が増圧用開閉弁20,22にそれぞれ送られる構成となっている。この増圧用開閉弁20,22は、後述する電子制御装置30によって電気的に制御されて開閉されることにより、油圧室13,14に対して圧油を供給し、また圧油の供給を遮断するように構成されている。また、油圧室13,14からは、供給排出油路24,25が分岐されて連通する減圧用開閉弁21,23に圧油がそれぞれ送られる構成となっている。この減圧用開閉弁21,23は、後述する電子制御装置30によって電気的に制御されて開閉されることにより、油圧室13,14から圧油を排出し、また圧油の排出を遮断するように構成されている。なお、上述した開閉弁20,21,22,23には、コイル(ソレノイド)が設けられて、それに流される電流によって開閉状態が調整可能となっている。
また、増圧用開閉弁20,22と減圧用開閉弁21,23とは、制御電流によって開閉状態が設定できる構成となっている。この制御電流は、各種センサ例えば運転者のアクセルやブレーキなどの操作状態を検出するセンサ、車両の走行状態を検出するセンサ、駆動力源の回転数やトルクなどを検出するセンサ、ベルト式無段変速機1の変速比などを検出するセンサおよびベルト式無段変速機1の供給排出油路24,25に設けられた圧力センサ28,29などから、その測定値の電気信号が送られる電子制御装置30によって判断されて開弁電流もしくは閉弁電流となる電流値が設定される。電子制御装置30は、変速電子制御装置、車両電子制御装置および油圧電子制御装置(ともに図示せず)などから構成されており、これらが連係してその制御電流の判断を行う構成となっている。また、電子制御装置30は、前述したような種々のセンサの電気信号からベルト式無段変速機1の変速状態を判断および制御するものである。
この電子制御装置30によって制御される開閉弁20,22は、変速制御用バルブであり、図示しない電源を備えたソレノイドが設けられたものである。また、開閉弁21,23は、ベルト挟圧力用バルブであり、図示しない電源を備えたソレノイドが設けられたものである。これら開閉弁20,21,22,23は、閉弁状態において油圧の漏れが生じないように構成されたバルブであり、ポペット弁や逆止弁などによって構成されている。図4には、そのポペット弁の一例が示されており、先端部がテーパ状もしくは半球状に形成された弁体31と、その弁体31が押し付けられる弁座シート部32と、弁体31が取り付けられたプランジャ(アーマチュアとも言う)33と、弁体31を弁座シート部32に向けて押圧するスプリング34と、プランジャ33をスプリング34の弾性力に抗して弁座シート部32とは反対方向に引き戻す電磁コイル35とを備えている。
したがって図4に示す構成において、電磁コイル35に通電しないすなわちOFF状態では、弁体31がスプリング34のバネ力によって弁座シート部32に押し付けられるので、入力ポート36と出力ポート37との連通状態が遮断される。また反対に、電磁コイル35に通電するすなわちON状態では、弁体31がプランジャ33と共に電磁コイル35の磁界による吸引力によってバネ力に抗して弁座シート部32から離れるように引き戻されるので、入力ポート36と出力ポート37とが連通する。したがって、図3において、この図4に示したポペット弁が開閉弁20,21,22,23として高圧供給油路17と供給排出油路24,25とに連通される。そして、高圧供給油路17から供給排出油路24,25への圧油の供給が行われ、また、供給排出油路24,25から排出油路26,27への排油が行われる構成となっている。
上述したベルト式無段変速機1を対象とした油圧制御装置の作用について次に説明する。油圧ポンプ15はエンジンなどの駆動力源に動力伝達可能に連結されているので、その駆動力源が回転している場合には油圧ポンプ15も同様に回転して油圧を発生する。その駆動力源の回転は、燃料などのエネルギー源が供給されて自律回転している場合と、燃料などのエネルギー源の供給を止めて車両の走行慣性力で強制的に回転させられている場合のいずれでも生じる。すなわち、駆動力源の駆動時とエンジンブレーキ状態の被駆動時とのいずれであっても油圧ポンプ15が回転して油圧を発生する。その圧力および油量は、油圧ポンプ15の仕様、回転数ならびにトルクに応じたものとなる。こうして発生した油圧は、一方で、前記調圧弁(図示せず)によって設計上、予め定めた低油圧に調圧された後、前記潤滑部や制御弁(L/Uコントロールバルブ)に供給される。
他方、油圧ポンプ15は駆動力源の動作状態に応じた油圧を発生するので、急加速時や大きいエンジンブレーキ力を生じさせている場合などにおいては、油圧ポンプ15の吐出圧が高くなる。このような場合に生じた高油圧は、逆止弁18を押し開いてアキュムレータ19に供給される。また、逆止弁18は、油圧ポンプ15の吐出圧がアキュムレータ19での油圧より低い場合に閉じるから、アキュムレータ19に供給された高油圧はここに蓄えられることになる。なお、アキュムレータ19に蓄えられる油圧は、ベルト式無段変速機1で必要する最高圧力より高い油圧である。また、油圧ポンプ15の代わりに電動ポンプをしてもよく、この場合は、アキュムレータ19の蓄圧量に応じて間欠駆動させて蓄圧する。
ベルト式無段変速機1の伝達トルク容量は、入力されたトルクを十分に伝達できる容量に制御され、これは従動プーリ3の油圧アクチュエータ12に供給される油圧に応じた挟圧力によって設定される。より具体的には、電子制御装置30によりアクセル開度やスロットル開度などに基づいて求められる要求駆動力に応じて挟圧力が制御され、要求駆動力が大きい場合には、従動プーリ3の油圧アクチュエータ12に供給される油圧が高くなるように制御される。その制御は、この具体例における油圧制御装置では、従動プーリ3の油圧アクチュエータ12に連通する増圧用開閉弁22を開弁し、アキュムレータ19からその油圧アクチュエータ12に油圧を供給することにより行われる。この増圧用開閉弁22の開閉制御は、従動プーリ3の油圧アクチュエータ12における目標圧力(あるいは目標挟圧力)と、その油圧アクチュエータ12における実際の油圧とに基づいて行われる。この実際の油圧は、供給排出油路25に設けられた圧力センサ29もしくは油圧アクチュエータ12に設けられた実際の油圧を検出するセンサ(図示せず)により測定される。
また、ベルト式無段変速機1に対する入力トルクの低下に基づいて挟圧力を低下させる場合、従動プーリ3の油圧アクチュエータ12に連通されている減圧用開閉弁23を開弁動作させることにより行う。すなわち、その電磁コイル35に通電して弁体31を弁座シート部32から離隔させ、前記油圧アクチュエータ12をドレン部すなわちここではオイルパン16に連通させる。その減圧用開閉弁23に対する通電制御も、増圧用開閉弁22と同様に、従動プーリ3の油圧アクチュエータ12における目標圧力(あるいは目標挟圧力)と、その油圧アクチュエータ12における実際の油圧とに基づいて行うことができる。
さらに、ベルト式無段変速機1による変速比は、アクセル開度などの駆動要求量、車速もしくはトルクコンバータのタービン回転数などに基づいて電子制御装置30に備えられた変速マップから求められる。そして、駆動プーリ2の溝幅が、目標とする変速比となるように制御される。その制御は、駆動プーリ2における油圧アクチュエータ11に対して圧油を給排することにより行われ、具体的には、増圧用開閉弁20および減圧用開閉弁21を開閉することにより行われる。例えば、アップシフトするべく溝幅を狭くする(ベルトの巻き掛け半径を大きくする)場合には、増圧用開閉弁20が開制御されて油圧アクチュエータ11に対して圧油が供給される。また反対にダウンシフトするべく駆動プーリ2の溝幅を広くする(ベルトの巻き掛け半径を小さくする)場合には、減圧用開閉弁21が開制御されて油圧アクチュエータ11から排圧される。
このように変速比を制御する増圧用開閉弁20および減圧用開閉弁21の開閉制御は、駆動プーリ2を構成している可動シーブ7のストローク量や、エンジン回転数もしくは入力回転数と出力回転数との比である実際の変速比と目標変速比との比較結果、あるいは各プーリ2,3における油圧アクチュエータ11,12の油圧の比較結果に基づいて行うことができる。
そして、アクセル開度および車速がほぼ一定に維持される定常走行状態では、変速比および挟圧力を一定に維持することになる。その場合、ベルト式無段変速機1についての各増圧用開閉弁20,22および減圧用開閉弁21,23をOFF状態に制御して高圧供給油路17から供給排出油路24,25への圧油の供給と供給排出油路24,25から排出油路26,27への排油とが停止すなわち各油圧アクチュエータ11,12に圧油を封じ込められる。各増圧用開閉弁20,22および減圧用開閉弁21,23からの圧油の漏洩は生じないから、アキュムレータ19に蓄えた油圧が低下したり、あるいは各油圧アクチュエータ11,12の圧力を維持するべくアキュムレータ19から油圧を継続して供給したりする必要がなく、したがって圧油の漏洩によるエネルギ損失が生じない。なお、圧油の漏洩が生じないことは、各増圧用開閉弁20,22および減圧用開閉弁21,23が開状態に制御されている場合であっても同様である。
ここで、この発明に係るベルト式無段変速機1を対象とした油圧制御装置の第1制御例について説明する。図1(a)〜(c)に前述した電子制御装置30による開弁電流と閉弁電流との関係、開弁電流と閉弁電流との制御タイムチャートおよび目標圧と実際の圧力(実圧)の時間的変化が示されている。この発明で制御の直接的な対象となる開閉弁20,21,22,23は、閉弁状態において油圧の漏れが生じないように構成されたポペット弁や逆止弁などによって構成されており、上述した課題で説明したとおり、この種のポペット弁は、開弁電流と閉弁電流とにヒステリシスが存在する。そのため、この第1制御例では、必要最小挟圧力とこれより通常は大きく設定される目標圧との間にその値が設定された閾値を設けて、開弁電流から閉弁電流へと電流値を変化させるタイミングをこの閾値に設定して目標圧に収束させることから、応答性よく目標圧に正確に収束させるものである。
図1(a)に示すように、高圧供給油路17と供給排出油路24,25との目標差圧、言い換えると入力ポート36と出力ポート37との目標差圧に応じた開弁電流と閉弁電流とが設定される。この開弁電流と閉弁電流とは、前述のとおりヒステリシスが存在する。図1(b)に示すように、この開弁電流を圧力値が閾値を超えるタイミングで閉弁電流に切り替える制御を行う。この閾値は、挟圧制御における安全率(セーフティファクター)が掛けられて設定される。ここで、このセーフティファクターSFについてさらに詳しく説明する。ベルト式無段変速機1の目標圧には、入力トルクに応じた必要挟圧力の他に入力トルクのばらつきや外乱入力時などのファクター(要因)を想定して、所定の安全値を上乗せするための所定の安全率が掛けられた圧力値とするためのセーフティファクターSFが設定されている。この第1制御例ではこのセーフティファクターSFを‘1’に設定した時が必要最小圧力となる。
図1(c)に示すように、目標圧をSF=αに設定した場合、開弁電流と閉弁電流との切り替えタイミングとなる閾値をSF=β(βは正の値)に設定すると、SFの大きさには、次の関係式(1)が成り立つ。
1<β<α・・・式(1)
すなわち、閾値におけるセーフティファクターSF=βは、必要最小挟圧力におけるセーフティファクターSF=1より大きく、目標圧におけるSF=αより小さい値となる。
そして、制御された実際の圧力を示す曲線は、圧力値が閾値(SF=β)における値となったタイミングで開弁電流から閉弁電流へと電流値を変化されて目標圧に収束する。このような圧力制御が、開閉弁20,21,22,23に対して行われて、ベルト式無段変速機1は所定の変速比に変化され、挟圧力が維持される制御が行われる。つぎに、さらに、この制御についての具体的な制御フローを用いて説明する。また、この制御フローで説明される制御ルーチンが電子制御装置30により所定時間毎に動作して油圧制御の判断がなされる。
図2に示すように、まず、ステップS1において、目標圧PTGTと実際の圧力である実圧PACTとの差すなわち目標圧PTGTから実圧PACTが減じられて、その値が所定値γ(γは正の値)よりも大きいか否かが判定される。すなわち、ここでは増圧要求があるか否かが判断される。この所定値γは、上記に示したベルト式無段変速機1の油圧制御装置が油圧を封入するシステムであることから設定される。すなわち、ある程度の増圧要求がなされてから、増圧を行うようにこの所定値γが設定されている。ただし、この所定値γは、トルク伝達が可能なように次の式(2)の関係を満たす。
γ<(α−1)×PACT・・・式(2)
このステップS1で否定の判断がされた場合は、増圧要求がないと判断されてリターンされる。ステップS1で肯定の判断がされた場合すなわち増圧要求があると判断された場合は、目標差圧に対応した開弁電流(目標差圧対応開弁電流)の出力が開始される(ステップS2)。つぎに、ステップS3において、実圧PACTが閾値である‘PTGT×β/α’より大きいか否かすなわち実圧PACTが閾値を超えたか否かが判断される。すなわち、実圧PACTが目標圧のβ/αである閾値に到達したか判断される。ステップS3で否定の判断がされた場合すなわち実圧PACTが閾値を超えていない場合は、未だ開弁電流での増圧が必要であると判断されてステップS2に戻される。一方、ステップS3で肯定の判断がされた場合すなわち実圧PACTが閾値を超えた場合は、目標差圧に対応した閉弁電流(目標差圧対応閉弁電流)の出力が開始される(ステップS4)。そして、目標圧に実際の圧力が到達すると目標差圧対応閉弁電流の出力が終了して、その目標圧に収束してベルト式無段変速機1は所定の挟圧力に維持される。上記に示した第1制御例は増圧時の制御であるが、減圧時の制御においても上述のように閾値を設けて目標圧に到達する前の閾値を超えたタイミングで開弁電流から閉弁電流へと切り替える制御を行う。
このようにこの第1制御例の制御では、最初に目標差圧に対応した開弁電流に閾値まで応答性よく圧力を制御して、その油圧により可動シーブ7,8をその軸線方向に摺動させて変速をおこなうので、変速応答性がよく所定の変速比に制御してトルクを伝達できる。また、目標圧に応じた閾値を設定して、その閾値まで目標差圧に対応した開弁電流を流し、その後、目標差圧に対応した閉弁電流を流すことによって、前述のように開弁電流と閉弁電流とにヒステリシスが存在する場合であっても、増圧時に目標圧をオーバーシュートせず、収束できる。そのため、目標圧を超えてしまうことによるトルク伝達効率の低下およびベルト式無段変速機1のベルト4や各シーブ5,6,7,8などの各要素の耐久性の低下を回避することができる。
ここでさらに、この発明に係るベルト式無段変速機1を対象とした油圧制御装置の第2制御例について説明する。なお、この第2制御例についての説明では、上述した第1制御例と同様の符号および記号についてはそのまま記載して、その説明を省略する。図6(a)、(b)に前述した電子制御装置30による減圧時の開弁電流と閉弁電流との制御タイムチャートおよび目標圧と実際の圧力の時間的変化が示されている。減圧を行う場合、上述の第1制御例で説明したとおり、図6(a)、(b)に示すように閾値(SF=δ(δは正の値))を設けてその閾値(SF=δ)を超えたタイミングで開弁電流から閉弁電流へと切り替えて目標圧(SF=α)に収束させる制御は行える。この場合、制御の応答性は向上できるが、増圧の時とは異なり、減圧時は油圧が必要以上に低下するアンダーシュートが惹き起こされるおそれがある。アンダーシュートが惹き起こされると、駆動プーリ2から従動プーリ3へのトルク伝達ができなくなる可能性がある。したがって、増圧時にはオーバーシュートが発生しても、トルク伝達の観点からは安全方向であるが、減圧時には安全方向でないため、開弁電流から閉弁電流へと切り替える際には注意しなければならない。
また、制御の応答性よりも収束性を重視して、閉弁電流のみで制御しようする場合、減圧要求時はほぼアップシフト時であるため、図7に示すように従動プーリ3の油圧アクチュエータ12の油圧が高い状態が維持されているとその油圧アクチュエータ12の油圧に応じた矢印Aの方向のシフト線図が設定されてアップシフトへの変速速度が遅くなり、エンジンの燃費効率の良い最適運転点を外してしまう。すなわち、アップシフトが遅れることにより変速比を高速側に変化されないため、エンジンの効率に影響が及ぼされる。この発明に係るベルト式無段変速機1を対象とした油圧制御装置の第2制御例は、このような減圧時のアンダーシュートを回避するものであり、減圧時もしくはアップシフト時の変速速度が考慮されたものとなっている。
この第2制御例では、図8(a)、(b)に示すように、ある程度大きさの減圧要求が起きた場合、すなわち所定の基準値を設けて、その基準値よりも減圧要求が大きい場合、圧力値が閾値(SF=ζ(ζは正の値))を超えるタイミングで開弁電流から閉弁電流へと切り替える制御を行う。また、この閾値(SF=ζ)は、実際の圧力値の圧力降下速度と減圧用開閉弁21,23の動作速度すなわち減圧用開閉弁21,23の電流変化に対する応答速度とに応じて設定され、油圧のアンダーシュートが起こらないように設定する。
一方、減圧要求が微少である場合、すなわち所定の基準値を設けて、その基準値よりも減圧要求が小さい場合、圧力値が閾値(SF=ζ)を超えるタイミングで開弁電流から閉弁電流へと切り替える制御では、応答が速すぎてアンダーシュートを惹起されやすいため、図9(a)、(b)に示すように、アンダーシュート抑制防止のために弁開度が小さい閉弁電流のみの制御を行う。この場合、閉弁電流のみで弁開度が小さいため応答が遅いため、特に閾値を設定した制御は行われない。つぎに、さらに、この制御についての具体的な制御フローを用いて説明する。また、この制御フローで説明される制御ルーチンが電子制御装置30により所定時間毎に動作して油圧制御の判断がなされる。
図10に示すように、まず、ステップS11において、目標圧PTGTと実際の圧力である実圧PACTとの差すなわち目標圧PTGTから実圧PACTが減じられて、その値が所定値−γよりも小さいか否かが判定される。すなわち、ここでは減圧要求があるか否かが判断される。この所定値−γは、第1制御例と同様に上記に示したベルト式無段変速機1の油圧制御装置が油圧を封入するシステムであることから設定される。すなわち、ある程度の減圧要求がなされてから、減圧を行うようにこの所定値−γが設定されている。ただし、この所定値−γは、トルク伝達が可能なように次の式(3)の関係を満たす。
−γ>(α−1)×PACT・・・式(3)
このステップS11で否定の判断がされた場合は、減圧要求がないと判断されてリターンされる。ステップS11で肯定の判断がされた場合すなわち減圧要求があると判断された場合は、目標圧PTGTと実際の圧力である実圧PACTとの差すなわち目標圧PTGTから実圧PACTが減じられて、その値が基準値−ε(εは正の値)よりも小さいか否かが判定される(ステップS12)。すなわち、ここでは減圧要求が基準値−εをマイナスの方向に超えたか否かが判断される。基準値−εは減圧時もしくはアップシフト時の変速速度と、エンジンの燃費効率の良い最適運転点からずれててよい許容時間とから設定される。
このステップS12で否定の判断がされた場合すなわち減圧要求が基準値−εを超えない場合は、目標差圧に対応した閉弁電流(目標差圧対応閉弁電流)の出力が開始される(ステップS15)。そして、目標圧に実際の圧力が到達すると目標差圧対応閉弁電流の出力が終了して、その目標圧に収束してベルト式無段変速機1は所定の挟圧力に維持されてリターンされる。一方、ステップS12で肯定の判断がされた場合すなわち減圧要求が基準値−εを超えた場合は、目標差圧に対応した開弁電流(目標差圧対応開弁電流)の出力が開始される(ステップS13)。
つぎに、ステップS14において、実圧PACTが閾値である‘PTGT×ζ/α’より小さいか否かすなわち実圧PACTが閾値を超えたか否かが判断される。すなわち、実圧PACTが目標圧にζ/αが掛けられた閾値に到達したか判断される。ステップS14で否定の判断がされた場合すなわち実圧PACTが閾値を超えていない場合は、未だ開弁電流での減圧が必要であると判断されてステップS13に戻される。一方、ステップS14で肯定の判断がされた場合すなわち実圧PACTが閾値を超えた場合は、目標差圧に対応した閉弁電流(目標差圧対応閉弁電流)の出力が開始される(ステップS15)。そして、目標圧に実際の圧力が到達すると目標差圧対応閉弁電流の出力が終了して、その目標圧に収束してベルト式無段変速機1は所定の挟圧力に維持されてリターンされる。
このようにこの第2制御例の制御では、所定の基準値−εを設けて、その基準値−εよりも大きいか小さいかにより、制御を異ならせている。この基準値−εは、アンダーシュート防止の観点から、減圧時もしくはアップシフト時の変速速度とエンジンの燃費効率の良い最適運転点からずれててよい許容時間とから設定される。そのため、油圧がアンダーシュートとなることが抑止されて、アンダーシュートが惹き起こされることによる駆動プーリ2から従動プーリ3へのトルク伝達ができなくなる状態を回避することができる。また、ある程度大きさの減圧要求が起きた場合であっても、圧力値が閾値(SF=ζ(ζは正の値))を超えるタイミングで応答の速い開弁電流から閉弁電流へと切り替える制御を行うため、アップシフト変速速度の低下を抑制でき、エンジンの燃費効率の良い最適運転点に速く到達することができる。
上記の構成例では、油圧制御装置の制御対象を車両に搭載されているベルト式無段変速機1としたが、この発明は、ポペット弁などの油圧の漏れを抑制できる開閉弁が備えられ、その上流側と下流側とに油路が連通され、さらに下流側に設けられた油路の開閉弁に連通された一方端とは反対側の他方端に油圧室が連通されるような構成における開閉制御についても油圧室を目標圧に収束させる制御に関するものであり、そのため、その制御対象はベルト式無段変速機に限定されず、例えばトロイダル式無段変速機やその他の車両に搭載される動力伝達装置、さらには、一般的な機器や車両、航空機、船舶、産業用機械などの各種の分野の機械・装置類をその制御対象とすることができる。
13,14…油圧室、 20,22…増圧用開閉弁、 21,23…減圧用開閉弁。

Claims (8)

  1. 開閉弁と、その上流側と下流側とにそれぞれ連通される油路と、下流側に設けられた油路の開閉弁に連通された一方端とは反対側の他方端に連通される油圧室とを備えた油圧制御装置において、
    前記開閉弁は、前記油圧室に圧油を供給するための増圧用開閉弁と前記油圧室から圧油を排出するための減圧用開閉弁とを有し、増圧する場合には目標圧となるように前記増圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に低く設定された閾値まで実際の圧力が上昇したのちに閉弁動作させ、減圧する場合には目標圧となるように前記減圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に高く設定された閾値まで実際の圧力が下降したのちに閉弁動作させることを特徴とする油圧制御装置。
  2. 前記閾値は目標圧に安全率が掛けられたものとなっており、実際の圧力が前記閾値に到達したのちに閉弁動作させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
  3. 前記減圧する場合の前記閾値は、減圧時の場合に実際の圧力が降下する速度である圧力降下速度と前記減圧用開閉弁の動作速度とから設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の油圧制御装置。
  4. 前記減圧する場合における実際の圧力の降下度合いが基準値より小さい場合には、前記減圧用開閉弁を閉弁動作させることのみで減圧を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の油圧制御装置。
  5. 動力が伝達される入力軸に設けられた駆動プーリと、この駆動プーリに対向する位置に備えられた従動プーリと、前記2つのプーリに巻き掛けられ、駆動力源からの出力トルクを伝達するベルトとを備えたベルト式無段変速機を制御するために設けられ、前記各プーリに形成され、油圧により前記ベルトに対して押圧力を付与する油圧室と、該各油圧室に連通される供給排出経路と、この供給排出経路に設けられて、前記油圧室内の油圧を調整する開閉弁とからなるベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記開閉弁は増圧用開閉弁と減圧用開閉弁とを有し、増圧する場合には変速比に応じた目標圧となるように前記増圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に低く設定された閾値まで実際の圧力が上昇したのちに閉弁動作させ、減圧する場合には変速比に応じた目標圧となるように前記減圧用開閉弁を開弁動作させ、目標圧よりも相対的に高く設定された閾値まで実際の圧力が下降したのちに閉弁動作させることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  6. 前記閾値は目標圧に安全率が掛けられたものとなっており、実際の圧力が前記閾値に到達したのちに閉弁動作させる制御を行うことを特徴とする請求項5に記載のベルト式無段変速機の制御装置。
  7. 前記減圧する場合の前記閾値は、減圧時の場合に実際の圧力が降下する速度である圧力降下速度と前記減圧用開閉弁の動作速度とから設定されることを特徴とする請求項5または6に記載のベルト式無段変速機の制御装置。
  8. 前記減圧する場合における実際の圧力の降下度合いが基準値より小さい場合には、前記減圧用開閉弁を閉弁動作させることのみで減圧を行うことを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載のベルト式無段変速機の制御装置。
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