JP2011150309A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な環境に応じて帯電制御方法を切り替えることによって、長期に渡って安定的な帯電ひいては画像形成を行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】エンジン制御部17は、第1の印加電圧決定手段として、帯電ローラ2に対する印加電圧と放電電流量との関係を求め、所定の放電電流量に対応する印加電圧の電圧値を決定する。エンジン制御部17は、第2の印加電圧決定手段として、環境センサ18により検知された環境情報に基づいて帯電ローラ2に印加すべき電圧の電圧値を決定する。エンジン制御部17はさらに、帯電ローラ2に印加する電圧の電圧値として、前記第1および第2の印加電圧決定手段により決定された電圧値のいずれかを用いるかを環境情報に基づいて選択する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像を形成する画像形成装置に関し、より詳しくは、電子写真方式を利用した画像形成装置に関する。
電子写真方式により画像を印刷する印刷装置では、ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラム)の表面を帯電ユニットにより所定の電位に均一に帯電する。この帯電ユニットは、細いコロナ放電ワイヤに高電圧を印加して発生するコロナを感光ドラムの表面に作用させて帯電する、非接触帯電であるコロナ帯電が一般的であった。
近年は、低電圧プロセス、低オゾン発生量、低コスト等の点で有利な接触帯電方式が主流となりつつある。接触帯電方式は、例えばローラ帯電部材(以下、帯電ローラ)を感光ドラムの表面に当接し、この帯電ローラに電圧を印加して感光ドラムを帯電する方式である。この帯電ローラに印加する電圧は直流電圧のみでもよいが、交流電圧を印加してプラス側、マイナス側への放電を交互に発生させることによって、より均一に帯電することができる。例えば、直流電圧を印加した時の感光ドラムへの放電開始閾値電圧(帯電開始電圧)の2倍以上のピーク間電圧(Vpp)を有する交流電圧と直流電圧とを重畳した振動電圧を印加することにより、被帯電体の帯電を均一にできることが知られている。
帯電ローラに正弦波電圧を印加すると、帯電ローラと感光ドラム間の抵抗性負荷に流れる抵抗負荷電流と、帯電ローラと感光ドラム間の容量性負荷に流れる容量負荷電流と、帯電ローラと感光ドラム間の放電電流とが発生する。これらの電流が合計された電流が帯電ローラに流れることになる。この際、安定した帯電を得るためには、放電電流量を所定値以上にするとよいことが経験的に知られている。ただし、高湿環境で所定以上に放電電流量をかけると画像不良が生じることもある。
また、近年では、高画質、高安定化が望まれ、上記放電電流量を制御するような放電電流制御というものが提案されてきている(特許文献1参照)。
さらに、画像形成装置の使用環境も広がり特に低温低湿環境で使用されることが多くなってきている。それと同時に低コスト化への要望も強くなり、低いピーク間電圧(Vpp)で使用することも必要となってきている。
特開2001−201921号公報
しかし、上記放電電流制御を低温低湿環境で使用した場合、帯電装置の抵抗などが上がるため、そのため必要放電電流量が上がり、さらにその上に演算のための電圧をかけなければならず、印刷装置本体自身の能力を必要以上に備えなくてはならず、非常に無駄な電力を消費してしまう。
そこで本発明は、帯電装置に印加する電圧の電圧値の決定方法を切り替えることによって、長期に渡って安定的な帯電ひいては画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
更に本発明の別の目的は、所定の環境に応じて帯電装置に印加する電圧の電圧値の決定方法を切り替えることで環境条件に適した帯電ひいては画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することにある。
本発明による画像形成装置は、画像を担持する画像担持体と、前記画像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段に対する印加電圧と放電電流量との関係を求め、所定の放電電流量に対応する印加電圧の電圧値を決定する第1の印加電圧決定手段と、前記帯電手段に印加すべき電圧の電圧値を予め記憶された記憶部の電圧値の中から決定する第2の印加電圧決定手段と、前記第1の印加電圧決定手段及び前記第2の印加電圧決定手段のいずれか一方により決定された電圧値に基づいて、前記帯電手段を制御する制御手段とを備えている。
本発明によれば、帯電手段に対する印加電圧の電圧値を決定する第1及び第2の印加電圧決定手段を備え、いずれを用いるかを選択することにより、長期に渡り安定的な帯電動作が得られる画像形成装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例の概略の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る帯電部材の一例の概略構成を示す図である。 フィシャースコープH100V(H.Fishere社製)の出力の概略を示したグラフである。 本発明の実施の形態に係る感光体ドラムの概略構成を説明するための図である。 図5を用いて、本発明に係る放電電流量を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係る放電電流制御を説明するための図である。 低音環境での放電電流制御の問題を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置の処理例を示すフローチャートである。 図8の処理が基づく環境テーブルの一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置の他の処理例を示すフローチャートである。 図10の処理が基づく環境テーブルの別の例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置のさらに他の処理例を示すフローチャートである。 図10の処理が基づく環境テーブルの別の例を示す図である。 図10の処理が基づく環境テーブルの別の例を示す図である。 本実施の形態の画像形成装置の帯電制御に関する電圧印加装置の概略のハードウェア構成例を示すブロック図である。 入力部と表示部を備えた操作部を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[画像形成装置]
図1は画像形成装置の一例の概略の構成を示す模式図である。この画像形成装置は、静電潜像を形成するための回転可能な画像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)1を用いた接触帯電方式・転写方式の電子写真画像形成装置である。
感光ドラム1は、ドラム軸線を中心に回転自在に支持されて配設されており、駆動機構(図示せず)により矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。
回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段により所定の極性・電位に一様に帯電される。本例においてこの帯電手段は、帯電部材として帯電ローラ2を用いた接触帯電装置(ローラ帯電装置)である。帯電ローラ2は、ローラ軸体(導電性基体、芯金)を有する導電性弾性ローラである。この帯電ローラ2は、ローラ軸体の両端部をそれぞれ軸受け部材で回転自在に支持され、ローラ軸線を感光ドラム1のドラム軸線に対してほぼ並行に配列された状態で、感光ドラム1に対して所定の押圧力で接触押圧されて配設されている。本例において、帯電ローラ2は感光ドラム1の回転に従動して回転する。帯電ローラ2は、また、表層に樹脂粒子を混入させて表面の凹凸を形成している。この帯電ローラ2については後述する。図示しないが、帯電ローラ2に対して、その表面を清掃する清掃部材としての回転ブラシ(クリーニングブラシ)が設けられる。この回転ブラシは、帯電ローラ2に対して従動で回転し、帯電ローラ表面に付着した異物を掻き取って、帯電ローラ表面が局部的或いは全面的に異物汚れするのを防止する。
帯電ローラ2のローラ軸体に対して、高圧電源部16で生成された所定の直流電圧(DC帯電方式)、或いは所定の直流電圧に所定の交流電圧を重畳した電圧(AC+DC帯電方式)が帯電バイアスとして印加される。この制御はエンジン制御部17により行われる。また、その制御の内容は、環境センサ18から出力される環境情報に応じて切り替えられる。すなわち、エンジン制御部17は、放電電流制御に関して帯電ローラ2に対する印加電圧と放電電流量との関係を求め、所定の放電電流量に対応する印加電圧の電圧値を決定する第1の印加電圧決定手段と、定電圧制御に関して、環境センサ18により検知された環境情報に基づいて帯電ローラ2に印加すべき電圧の電圧値を決定する第2の印加電圧決定手段として機能する。このような構成により、回転する感光ドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に接触帯電される。本例では、感光ドラム1の表面がマイナスの所定電位に帯電される。
その感光ドラム1の帯電面に対して像露光手段3により像露光がなされる。これにより、感光ドラム表面の露光明部が電位減衰して、感光ドラム表面に像露光パターンに対応した静電潜像が形成される。像露光手段3は、原稿画像を結像投影露光するアナログ露光装置でもよいし、レーザスキャナやLEDアレイ等のデジタル露光装置であってもよい。本例では、波長λ=780nmのレーザ走査露光Lを行うレーザスキャナを像露光手段3として用いている。
上記のようにして感光ドラム表面に形成された静電潜像は現像手段によりトナー像として現像される。本例において、この現像手段は、現像剤として一成分磁性ネガ極性トナーを用いたジャンピング反転現像装置4を用いている。ただ、本発明においては、その他の現像方式のトナー粒子に対して磁性キャリアを混合したものを現像剤として用い、この現像剤を磁気力により搬送し、感光ドラムに対して接触状態で現像する方法(2成分接触現像)でもよいし、また、上記2成分現像剤を感光ドラム1に対して非接触状態で現像する方法(2成分非接触現像法)も好適に用いることが出来る。現像装置4は、回転駆動される現像スリーブ5と、現像スリーブ5に現像剤を供給するためのホッパー部6を有する。現像スリーブ5と感光ドラム1とは、両者の間に装置長手方法に渡り0.3mmの一定間隔を保つように配置されている。現像スリーブ5には現像バイアス印加電源部(図示せず)から所定のAC成分とDC成分を重畳した電圧が印加される。これにより、感光ドラム表面の静電潜像が現像装置4によりジャンピング反転される。
感光ドラム表面に形成されたトナー像は、感光ドラム1の回転により、感光ドラム1と転写ローラ7との当接ニップ部である転写部Tに至り、この転写部Tに給送されてきた記録材Pに転写される。転写ローラ7は、ローラ軸体(導電性基体、芯金)を有する導電性弾性ローラである。ローラ軸体の両端部はそれぞれ軸受け部材により回転自在に支持される。そのローラ軸線は感光ドラム1のドラム軸線に対してほぼ並行に配列されて、転写ローラ7は感光ドラム1に対して所定の押圧力で接触押圧されて配設されている。
本例において、この転写ローラ7は感光ドラム1の回転に従動して回転する。記録材Pは給紙機構部(図示せず)から所定の制御タイミングで給送され、レジストレーションローラ(図示せず)により感光ドラム1に対する画像形成と同期取りされて適正なタイミングをもって転写部Tに導入され、感光ドラム1と転写ローラ7により挟持搬送される。転写ローラ7には、記録材Pが転写部Tを通過している間、転写バイアス印加電源部(図示せず)からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の直流電圧が印加される。本例ではプラス極性の所定電位の直流電圧が印加される。これにより、転写部Tにおいて記録材Pの裏面側(感光ドラム対向面側とは反対面側)にプラスの電荷が付与されて感光ドラム表面のトナー像が順次に記録材Pの表面に静電的に転写される。
トナー像の転写を受けた記録材Pは転写部Tを出ると、感光ドラム1の表面から分離され、搬送ベルト(図示せず)により定着装置(図示せず)に導入される。定着装置はヒートローラと加圧ローラとの圧接回転ローラ対を有する熱定着装置である。定着装置に導入された記録材Pはローラ対の圧接ニップ部である定着部に進入して挟持搬送される。これにより、記録材P上の未定着のトナー像が記録材面に固着画像として熱と圧力により定着され、その後、記録材は画像形成物として装置本体外部に排出される。
一方、記録材分離後の感光ドラム1の表面はクリーニング装置8により転写残トナー・紙粉等の残留物の除去を受けて清掃され、繰り返して画像形成に供される。本例において、このクリーニング装置8はクリーニング部材としてチップタイプのクリーニングブレード9を用いたブレードクリーニング装置である。このクリーニングブレード9により感光ドラム表面が摺擦されることで感光ドラム表面から残留物が掻き取られる。掻き取られた残留物は回収トナー収容部10に収容される。
[帯電ローラ]
図2により、本実施の形態に係る帯電部材2の一例の概略構成について説明する。
図中の帯電部材2は、一般的にローラ状であり、その軸体11と、その外周に形成される導電性弾性体層12と、その外周に軟化剤移行防止層13さらにその外周に形成される抵抗調整層(あるいは誘電層)14、及び保護層15とから構成されている。
軸体11としては、特に限定するものではなく、例えば金属製の円柱体からなる芯金や内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体が用いられる。その金属材料としては、ステンレス、アルミニウム、銅、鉄にメッキを施したもの等が挙げられる。
軸体11の外周に形成される導電性弾性体層12は、特に限定するものではなく、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上併せて用いられる。特に好ましくは、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール成分およびイソシアネート成分がよい。上記ポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオール,ポリエステルポリオール,ポリマーポリオール等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上併せて用いられる。上記イソシアネート成分としては、2官能以上のポリイソシアネートであれば特に限定はなく、例えば、2,4−(または2,6−)トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上併せて用いられる。
なお、上記導電性弾性体層12用材料には、上記ゴムに加えて、発泡剤、導電剤、架橋剤、架橋促進剤、オイル等を必要に応じて配合してもよい。
上記発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤、有機系発泡剤等が挙げられ、単独でまたは2種以上併せて用いられる。
上記導電剤としては、イオン系導電剤がよく、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウニウム塩の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等)等の第四級アンモニウム塩のような陽イオン性界面活性剤;脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤;高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤;LiCFSO、NaClO、LiAsF
LiBF、NaSCN、KSCN及びNaCl等のLi、Na及びK等の周期律表第1族の金属塩あるいは第四級アンモニウム塩等の電解質、また、Ca(ClO等のCa 及びBa 等の周期律表第2族の金属塩及びこれらの帯電防止剤が、少なくとも1個の水酸基、カルボキシル基、一級ないし二級アミン基等のイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったものが挙げられる。更に、前記したもの等と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールとその誘導体等との錯体、またはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体が挙げられ、これらの中から選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、その他公知のイオン導電剤等も用いることができ、前記の材料に限定されない。
また、別の導電剤としては一般的な電子導電剤でもよい。例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンブラック;SAF,ISAF,HAF,FEF,GPF,SRF,FT,MT等のゴム用カーボンブラック;酸化カーボンブラック等のインク用カーボンブラック;熱分解カーボンブラック;グラファイト;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅等の金属;カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカーなどが挙げられる。
上記架橋剤としては、例えば、硫黄、過酸化物等が挙げられる。
このような導電性弾性体層は、通常、その導電性が10‐1〜10‐4Ω程度に設定され抵抗調整層よりはかなり低く設定される。その厚みは、通常、1〜10mm、好適には2〜4mm程度に設定される。
次に、上記導電性弾性体層12の外周に形成される軟化剤移行防止層13はとして、上記導電性弾性体層中に含有されるオイル等のような軟化剤の滲み出しの遮断防止のために、N−メトキシメチル化ナイロンを主体とする層が構成をとることが特に好ましい。この明細書において「主体とする」とは、全体が主体のみからなる場合も含める趣旨である。軟化剤移行防止層13の厚みは、一般に3〜20μmに設定され、好適には4〜10μmに設定される。この軟化剤移行防止層の電気抵抗は、10−2Ω程度に設定される。
上記N−メトキシメチル化ナイロン(8−ナイロン)は、特に限定するものではなく、従来公知のものが用いられる。また、軟化剤移行防止層13にも導電剤として、ケッチェンブラック等のカーボンブラックが含有されている。
更に、上記軟化剤移行防止層13の外周に形成される抵抗調整層14は、エピクロルヒドリンゴム(CHR)およびアクリルゴム(ACM)の片方または双方と、導電剤を主体とする組成物を用いて形成されるものである。その厚みは、本発明に係る部分であり、通常、50〜400μm、特に好ましくは、200〜350μmに設定される必要がある。50μmより小さくなると、抵抗調整層14の影響が少なく、帯電ローラとして機能し難くなる。また、400μmより大きくなると、抵抗調整層14の影響が大きくなりすぎて、電圧をかなり高い状態で使用しなければならないため、電子写真装置の電源の使用が一般的なものを使用し難くなる。なお、ここで、上記エピクロルヒドリンゴムとは、共重合成分としてのエチレンオキシドを含有しない単独重合体または共重合体のことである。
このように、上記CHRとACMの片方または双方と導電剤は、前記軟化剤移行防止層13を含めた形で使用し、帯電ムラの原因にもなるが、帯電の特性を生かすためには欠かせないものである。この抵抗調整層14の電気抵抗は10〜10Ωの範囲のものが用いられる。
上記導電剤としては、上記抵抗調整層14で用いたイオン系導電剤と電子導電系導電剤でよい。
上記導電剤の配合量は、CHRおよびACMからなるゴム成分100重量部(以下「部」と略す)に対して0.5〜5部に設定することが好ましい。すなわち、導電剤の配合量が0.5部未満ではムラには非常によいが、電気抵抗が調整できず、これも過剰に電圧をかけなければならなくなる。また、5部を超えると逆に導電剤ムラが抵抗ムラにつながり本発明の範囲では、画像ムラが発生しやすくなる。
上記抵抗調整層14の形成材料には、上記導電剤以外に、加硫剤,充填剤等が適宜に配合される。上記加硫剤としては、特に限定するものではなく、従来公知のもの、例えばチオウレア,トリアジン,イオウ等が挙げられる。また、上記充填材としては、シリカ,タルク,クレー,酸化チタン等の絶縁性の充填剤が挙げられ、単独でまたは併せて用いられる。なお、カーボンブラック等の導電性充填剤は高電圧下での使用においては絶縁破壊を招き易いため、ゴム成分に対して10容量%以下の使用量にとどめるべきである。
上記抵抗調整層14の外周に最外層として形成される保護層15は、帯電ローラ表面で用いられる公知のものでよい。具体的には、先に述べたN−メトキシメチル化ナイロンを主体とするものや、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等従来公知のものをそのまま使用することができるものや、イソシアネート化合物を主成分として含有するものであればよいが、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーと、導電性付与剤との少なくとも一方を添加するようにしてもよい。この保護層にカーボンブラックのような導電剤を混合分散させると、低温低湿時の導電性が良好となり低温低湿環境下でも良好な性能が発揮されるようになる。このような保護層15は、通常、1〜25μmの厚みに設定されるのが好ましく、特に好適な範囲は3〜20μmである。また、この保護層15の電気抵抗値は10〜1011Ωcmに設定される。なお、上記導電剤としては、カーボンブラックに限定されるものではなく、従来公知の導電剤を上記カーボンブラックに代えて使用することができる。
ここで、イソシアネート化合物としては、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)及び3,3−ジメチルジフェニル−4,4'−ジイソシアネート(TODI)および前記記載の多量体および変性体などを挙げることもできる。
また、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーは、所定の溶剤に可溶でイソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものである。アクリルフッ素系ポリマーは、例えば、水酸基、アルキル基、又はカルボキシル基を有する溶剤可溶性のフッ素系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸フッ化アルキルのブロックコポリマーやその誘導体等を挙げることができる。また、アクリルシリコーン系ポリマーは、溶剤可溶性のシリコーン系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸シロキサンエステルのブロックコポリマーやその誘導体等を挙げることができる。
この保護層15にも前記記載のカーボンブラックのような導電剤を混合分散させると、低温低湿時の導電性を含む環境特性が良好となり、低温低湿環境下でも良好な性能が発揮されるようになる。このような保護層15は、通常、5〜30μmの厚みに設定されるのが好ましく、特に好適な範囲は7〜23μmである。また、この保護層の電気抵抗は、10〜10Ωに設定される。なお、上記導電剤としては、カーボンブラックに限定されるものではなく、従来公知の導電剤を上記カーボンブラックに代えて使用することができる。
この発明の帯電ローラ2は、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、芯金11の外周面に、接着剤を塗布し、先に述べたゴム組成物を用い金型加硫を利用して、導電性弾性体層12を形成する。次に、予めN−メトキシメチル化ナイロンと導電剤とを混合した混合樹脂液を作製し、これを上記導電性弾性体層12の表面を必要に応じて研磨して、そのうえにスプレー,ディッピング等でコーティングして乾燥し、必要な場合には熱処理して架橋させ軟化剤移行防止層化する。このようにして形成された導電剤含有の軟化剤移行防止層13の上に抵抗調整層14を形成する。この抵抗調整層14の形成は、CHRとACMの片方または双方とイオン導電剤に、補強剤,加工助剤,加硫剤,充填剤等を、通常のゴム加工方法(バンバリーミキサー,ロール等)により混練して未加硫ゴム組成物化し、この未加硫ゴム組成物を適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等)に溶解し、前記導電性弾性体層の外周面に塗工したのち乾燥し、ついで加熱加硫することによって形成することができる。上記塗工に際してはディップ方式によることが好適である。ディップ方式とは、溶液などのジャブ漬けし、引き抜き速度で膜厚を管理しつつ、乾燥させる方式である。次に、導電性弾性体層12が形成されたロールをディップ方式で、繰り返し浸漬することにより、導電性弾性体層12の外周面に導電剤を主体とするゴム膜を形成させる。このときのディップ溶液粘度,昇降速度,昇降回数,乾燥時間等の条件は、上記導電剤を主体とする溶液の液膜が乾燥時に50〜400μmの範囲になるような条件に設定することが好ましい。このような液膜が形成されたものについて25〜80℃の温度で0.5〜4時間乾燥を施して溶剤を除去し、続いて150〜200℃の温度で10分〜2時間加熱することにより導電剤成分を主体とするゴム膜を加硫し抵抗調整層化させる。次に、上記のように抵抗調整層14を形成したのち、その上にフッ素樹脂からなる樹脂液、場合によってはそれに導電剤等を混合した樹脂液をスプレー,ディッピング等でコーティングして乾燥し、必要な場合には熱処理して架橋させ保護層化させる。このようにして、図2に示すような層構成が可能となる。なお、この層構成においては、好ましい構成であり、途中、塗工乾燥を繰り返し、4層構成以上を形成してもよい。また、最外層の保護層と抵抗調整層を一同に構成する3層、更に軟化剤移行防止層も一同に構成する2層についても適応可能である。また、導電性弾性体層12と抵抗調整層14と軟化剤移行防止層13を一体にして、保護層15のみで覆うタイプの2層についても適応可能である。
このようにして得られる帯電ローラ2は、ローラ全体の電気抵抗が10〜10Ω程度に設定される。前述で示したように、電気抵抗の大半は抵抗調整層14と保護層15の導電剤の量で決まる。更に膜厚から考えると基本的には抵抗調整層14がほとんどであるがこの限りではない。
ちなみに、本発明に関する帯電ローラの抵抗値は、抵抗値算出手段により、次のように測定する。画像形成装置の感光ドラムをアルミニウム製のドラムと入れ替える。その後、アルミニウム製ドラムと帯電ローラ2の芯金11との間に100Vの電圧を加える。このときに流れる電流値を測定することにより、帯電ローラ2の抵抗値を算出する。
[感光体]
次に、本発明の係る画像担持体(感光体)1の一般的なことについて、以下に説明する。ただ、この感光体については、長寿命を意識したもので、これに限るものではなく、表面保護層56が無くてもよい。
まずは、本実施の形態に係る感光体の長寿命を意識した、表面保護層の特徴(一例)について簡単に説明する。表面保護層56のHU(ユニバーサル硬さ値)、及び弾性変形率は、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読し連続的硬さを求められる微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した。圧子は対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用した。荷重の条件は最終荷重6mNまで段階的に(各点0.1sの保持時間で273点)測定した。
図3は、フィシャースコープH100V(H.Fishere社製)の出力の概略を示したグラフである。このグラフの縦軸は荷重(mN)を表し、横軸は押し込み深さh(μm)を表し、段階的に荷重を増加させ6mNまで荷重をかけ、その後同様に段階的に荷重を減少させた結果を示している。HU(ユニバーサル硬さ値:以下HUと呼ぶ)は、6mNで押し込んだ時の同荷重下での押し込み深さから下記式(1)によって規定される。
HU=試験加重(N)/試験加重でのビッカース圧子の表面積(mm2
=0.006/26.43h2 (N/mm2) ...(1)
h:試験加重下での押し込み深さ(mm)
弾性変形率は圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めたものであり、下記の式からその値は求まる。全仕事量Wt(nW)は図3中のA−B−D−Aで囲まれる面積で表され、弾性変形の仕事量We(nW)はC−B−D−Cで囲まれる面積で表される。
弾性変形率=We/Wt×100(%)
前述の如く、有機電子写真感光体に求められる性能として機械的劣化に対する耐久性の向上が挙げられる。一般的に膜の硬度は外部応力に対する変形量が小さいほど高く、電子写真感光体も当然の如く鉛筆硬度やビッカース硬度が高いものが機械的劣化に対する耐久性が向上すると考えられている。しかしながら、これらの測定により得られる硬度が高いものが必ずしも耐久性の向上を望めたわけではなかった。
本発明者らは鋭意検討の末、HUと弾性変形率の値が、ある範囲の場合に感光体表面層の機械的劣化が起り難くなることを見出した。すなわち、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大荷重6mNで押し込んだ時のHUが150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ、弾性変形率が40%以上65%以下である電子写真感光体を用いることによって飛躍的に向上した。また、更なる特性の向上にはHU値が160N/mm2以上200N/mm2以下であることがより好ましい。
HUと弾性変形率を切り離してとらえることはできないが例えばHUが220N/mm2を超えるものであるとき、弾性変形率が40%未満であるとクリーニングブレードや帯電ローラに挟まれた紙粉やトナーが感光体の弾性力が不足しているが故に、弾性変形率が65%より大きいと弾性変形率は高くても弾性変形量は小さくなってしまう。それ故に、結果として局部的に大きな圧力がかかり深い傷が発生してしまう。よって、HUが高いものが必ずしも感光体として最適ではないと考えられる。
また、HUが150N/mm2未満で弾性変形率が65%を超えるものの場合、たとえ弾性変形率が高くても塑性変形量も大きくなってしまいクリーニングブレードや帯電ローラに挟まれた紙粉やトナーが擦られることで削れたり細かい傷が発生したりしてしまう。
本発明において用いられる感光ドラム1で、長寿命化を考えると、少なくとも表面層が重合または架橋して硬化された化合物を含有した電子写真感光体からなる。なお、この硬化手段としては、熱、可視光や紫外線などの光、更に放射線を用いることができる。
したがって、本実施の形態において、感光体の表面層を形成する方法としては、表面層用として用いられる、重合または架橋により硬化可能な化合物を、融解または含有している塗布溶液を用い、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティングなどにより塗布した後、この塗布された化合物を硬化手段により硬化する方法が採用される。
これらのうち、感光体を効率よく大量生産する方法としては、浸漬コーティング法がもっとも好ましく、本実施の形態においても浸漬塗布法を採用することが可能である。この表面保護層については、長寿命を意識したものであってこの限りではない。
ここで、図4により、本実施の形態に係る感光体ドラムの概略構成を説明する。外径がたとえば30mmの導電性支持体51に、電荷発生物質と電荷輸送物質の双方を同一の層53に含有する層構成の単層型(図4(a))か、電荷発生物質を含有する電荷発生層54と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層55を、順次または逆順に積層した構成の積層型(図4(b))のいずれかである。さらに、感光層上に表面保護層56を形成することも可能である。
また、本実施の形態においては、電子輸送層の膜厚を最適化させるために、膜厚の幅を持たせる意味で、表面保護層56を用いることがよい。少なくとも感光体の表面層が、熱や可視光、紫外線などの光、さらに放射線により重合または架橋し硬化させることができる化合物を含有していればよい。好ましくは、感光体としての特性、特に残留電位などの電気的特性および耐久性の観点から、電荷発生層および電荷輸送層を順次積層した機能分離型の感光体構成、または、この機能分離型の感光体構成で積層された感光層上に、さらに表面保護層を形成した構成とするのが好ましい(図4(b))。
本実施の形態においては、表面層における、重合または架橋における化合物の硬化方法としては、感光体特性の劣化が少なく、残留電位の上昇が発生せず、十分な硬度を示すことができることから、好適には、放射線が用いられる。
この重合または架橋を発生させる際に使用する放射線としては、電子線またはガンマ線が望ましい。これらのうちの電子線を使用する場合、加速器として、スキャニング型、エレクトロンカーテン型、ブロードビーム型、パルス型およびラミナー型などのあらゆる形式を使用することが可能である。
また、電子線を照射する場合においては、本実施の形態による感光体における電気特性および耐久性能を発現するために、照射条件としては、加速電圧を250kV以下とするのが好ましく、150kV以下がより好ましい。また、照射線量を、10kJ/kg以上1000kJ/kg以下の範囲内にするのが好ましく、15kJ/kg以上500kJ/kg以下の範囲内とするのがより好ましい。
加速電圧が上述の範囲の上限より大きいと、感光体特性に対する電子線照射による損傷、いわゆるダメージが増加する傾向にある。また、照射線量が上述の範囲の下限より少ないと、硬化が不十分となりやすい。また、線量が多い場合には感光体特性の劣化が生じやすいため、この観点から、線量は、上述の範囲内から選択するのが望ましい。
また、重合または架橋が生じて硬化可能な表面層用の化合物としては、反応性の高さ、反応速度の速さ、および硬化後に達成される硬度の高さの観点から、分子内に不飽和重合性官能基を含むものが好ましい。
さらに、不飽和重合性官能基を分子内に有する分子の中でも、特に、アクリル基、メタクリル基およびスチレン基を有する化合物が好ましい。
また、本実施の形態による不飽和重合性官能基を有する化合物とは、その構成単位の繰り返しの状態により、モノマーとオリゴマーとに大別される。モノマーとは、不飽和重合性官能基を有する構造単位の繰り返しがなく、比較的分子量の小さいものを示す。他方、オリゴマーとは、不飽和重合性官能基を有する構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体である。また、ポリマーまたはオリゴマーの末端のみに不飽和重合性官能基が結合した、いわゆるマクロノマーを、この実施の形態による表層用の硬化性化合物として使用することも可能である。
また、本実施の形態による不飽和重合性官能基を有する化合物は、表面層として必要とされる電荷輸送機能を満足させるために、化合物が電荷輸送化合物を採用することが、より好ましい。この電荷輸送化合物の中でも、正孔輸送機能を持った不飽和重合性化合物であることがさらに好ましい。
次に、本実施の形態による感光ドラム1の感光層について説明する。
感光ドラム1の支持体51としては、導電性を有するものであればよく、具体的には、たとえばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属や、これらの合金を、ドラムまたはシート状に形成したもの、アルミニウムおよび銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウムおよび酸化錫などをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独または結着樹脂とともに塗布することにより導電層を設けた金属、または、プラスチックフィルムや紙などを挙げることができる。
また、本実施の形態においては、導電性支持体51の表面上には、バリアー機能と接着機能とを有する下引き層52を設けることができる。
下引き層52は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、または感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される層である。
この下引き層52の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、ニカワおよびゼラチンなどを使用することができる。これらの材料は、それぞれに適合した溶剤に溶解されて支持体表面に塗布される。この下引き層の膜厚は、好適には、0.1〜2μmである。
本発明の感光体が機能分離型の感光体である場合は電荷発生層54および電荷輸送層55を積層する。電荷発生層54に用いる電荷発生物質としては、セレン−テルル(Se−Te)、ピリピウム、チアピリリウム系染料、または、各種の中心金属および結晶系、具体的には、たとえばα、β、γ、ε、およびX型などの結晶型を有するフタロシアニン系化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、クナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニンおよびアモルファスシリコンなどを挙げることができる。
また、機能分離型感光体の場合、電荷発生層54は、電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂および溶剤とともに、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライターおよびロールミルなどの手段によって良好に分散し、分散液を塗布し、乾燥させて形成されるか、または電荷発生物質の蒸着膜など、単独組成の膜として形成される。ここで、この電荷発生層54の膜圧は、典型的には、5μm以下であり、好適には、0.1〜2μmである。
また、結着樹脂を用いる場合の例は、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、などのビニル化合物の重合体および共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
本実施の形態による不飽和重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、上述した電荷発生層54上に電荷輸送層55として用いることができる。または、電荷発生層54上に、電荷輸送層55と結着樹脂とからなる電荷輸送層55を形成した後に、表面保護層56として用いることもできる。
正孔輸送性化合物を表面保護層56として用いた場合、その下層にあたる電荷輸送層は適当な電荷輸送物質、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチルアントラセンなどの複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサドール、トリアゾール、またはカルバゾールなどの複素環化合物、トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体、フェニレジンアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体などの低分子化合物などを、上述の電荷発生層用樹脂から選択可能で適当な結着樹脂とともに溶剤に分散または溶解した溶液を、上述の公知の方法によって塗布し、乾燥させて形成することができる。
この場合の電荷輸送物質と結着樹脂との比率は、両者の全重量を100とした場合に、電荷輸送物質の重量が30〜100の範囲内にあることが望ましく、更には50〜100の範囲で適宜選択するのが好ましい。
電荷輸送層55における電荷輸送物質の重量が、これらの範囲より小さいと、電荷輸送能が低下し、感度低下や残留電位の上昇などの問題点が発生する。この場合に本発明に係る電荷輸送層55の厚みは、10〜30μmの範囲である。
いずれの場合も、表面層の形成方法は、正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合または硬化反応させるのが一般的である。なお、あらかじめ正孔輸送性化合物を含む溶液を反応させることにより硬化物を得た後、再度溶剤中に分散または溶解させたものなどを用いて、表面層を形成することも可能である。
また、上述の溶液を塗布する方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、およびスピンコーティングなどが知られている。効率性/生産性の観点から、溶液を塗布する方法としては、浸漬コーティング法が望ましい。なお、蒸着やプラズマ処理などの、その他公知の製膜方法を適宜選択することが可能である。
また、本実施の形態による表面保護層56中に導電性粒子を混入させることも可能である。この導電性粒子としては、金属、金属酸化物およびカーボンブラックなどを挙げることができる。
これらの導電性粒子としての金属は、具体的には、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、ステンレスおよび銀を挙げることができ、さらに、導電性粒子としては、これらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したものなどを挙げることができる。
また、導電性粒子としての金属酸化物は、具体的には、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズおよびアンチモンをドープした酸化ジルコニウムなどを挙げることができる。
また、これらの金属酸化物は、それぞれ単独で用いたり、2種類以上を組み合わせて用いたりすることが可能である。なお、2種以上を組み合わせる場合には、単に混合することも可能であり、固溶体や融着を施すことも可能である。
また、本実施の形態において用いられる導電性粒子の平均粒径は、保護層56の透明性の観点から、0.3μm以下にすることが好ましく、より好適には、0.1μm以下にすることが望ましい。さらに、本実施の形態においては、上述した導電性粒子の材料において、透明性などの観点から金属酸化物を用いることが特に好ましい。
表面保護層56中における導電性金属酸化物粒子の割合は、直接的に表面保護層の抵抗を決定する要因の1つである。したがって、保護層の比抵抗は、10〜1013Ωm(1010〜1015Ωcm)の範囲にすることが望ましい。
また、本実施の形態においては、表面層中にはフッ素原子含有樹脂粒子を含有することも可能である。このフッ素原子含有樹脂粒子としては、4フッ化チレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂および、これらの共重合体の中から少なくとも1種類以上を適宜選択するのが好ましい。なお、樹脂粒子の分子量や粒径は、適宜選択することが可能であり、必ずしも上述の分子量や粒径に限定されるものではない。
表面層中におけるフッ素原子含有樹脂の割合は、表面層の全質量に対して、典型的には、5〜40重量%であり、好適には、10〜30重量%である。これは、フッ素原子含有樹脂粒子の割合が、40重量%より多いと表面層の機械的強度が低下し易くなり、5重量%より少ないと表面層の表面の離型性、表面層の耐磨耗性や耐傷性が不十分になる可能性があるためである。
本実施の形態においては、分散性、結着性および対候性をより向上させるために、表面層中に、ラジカル補足剤や酸化防止剤などの添加物を加えることも可能である。また、この実施の形態において表面保護層の膜厚は、好適には、0.2〜10μmの範囲であり、より好適には、0.5〜6μmの範囲である。
[放電電流量]
図5を用いて、本発明に係る放電電流量について説明する。電子写真装置においては、帯電の均一性、画像ムラ防止などの目的で直流電圧および交流電圧を帯電ローラに印加するのが一般的である。本発明での「放電電流量」とは、主に帯電ローラにかける交流電圧(Vpp)における電流量曲線による放電特性に係り、その放電時の電流量のことをいう。通常、帯電ローラに印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp(グラフの横軸)を増加させていき、感光体の支持体側で交流電流量(Iac)を測定すると、図5に示したようなVppとIacの関係が得られる。このグラフから分かるように、Vppが小さい間はVppの増加に対してIacが線形的に増加していくが、Vppが所定の閾値Vthとなる有るポイントA1(放電開始点)に達した時点から電圧と電流の関係が変化する。すなわち、ポイントA1を越えると電流量Iacが線形関係よりも増加するこの増加分A4は放電電流に起因するものと考えられる。
したがって、放電開始点A1未満での点をプロットして得た正比例直線A2(破線)と、実際の流れた電流曲線A3(実線)と乖離する放電領域においてあるVpp(A5)での電流の差分A4を放電電流量という。
[放電電流制御]
放電電流制御とは、上記、放電電流量を求めるために近似直線から所定の放電電流量が得られるVppの値を求める方式である。具体的には図6に示すように、帯電ローラ2に未放電領域111である交流電圧のVpp値V1、V2、V3の3点の電圧を、順次印加し、ついで、放電領域112であるVpp値V4、V5、V6の3点の電圧を順次印加する。
それぞれの交流電圧のVpp値に対して流れる総電流量Iacの値P1、P2、P3、P4、P5、P6のうち、未放電領域の3点P1、P2、P3で最小二乗法を用いて近似直線を引いた式を次式(2)とし、
未放電領域の近似直線 :Y=βX+B ・・・(2)
放電領域での3点P4、P5、P6で最小二乗法を用いて近似直線を引いた式を次式(3)とする。
放電領域の近似直線 :Y=αX+A ・・・(3)
放電電流量ΔACは式3と式2の差分から、得られる。
具体的には、式(3)の放電領域の近似直線と式(2)の未放電領域の近似直線との差分に基づいて、放電電流量がDとなるピーク間電圧Vxを次式によって決定する。すなわち、Vxに対する式(2)のY値をYβ、式(3)のY値をYαとし、これらの値を式(2)(3)に代入すると次の式(2)'(3)'が得られる。
Yβ=βVx+B ・・・(2)'
Yα=αVx+A ・・・(3)'
これらの式(2)'(3)'から次式のようにVxが求められる。
Vx=(D−A+B)/(α−β) ・・・(4)
(ここにD=Yα−Yβである。)
帯電ローラ2に印加する電圧はピーク間電圧Vppで規定する。ピーク間電圧Vppを上記の式(4)で求めたVxに切り替え、印字工程へと移行する。
今、必要な放電電流量D(ΔAC)が与えられれば、狙い(すなわち目的)のVpp値=V7を見つけることができる。この狙いのVpp値をエンジン制御部にフィードバックして帯電制御を行う。このときのV7はV1<V2<V3<V7<V4<V5<V6という関係を満足しなければならない。さもないと、実際の放電電流量A4と必要放電電流量ΔACの差が大きくなり誤差がでてしまう。
この場合、図7に示すように放電電流曲線A3は、低温環境では放電がしづらく曲線A3´のようにずれ、高温環境に比べて放電開始点A1´もずれる。その結果、放電電流制御の電圧値V4´、V5´、V6´も高い部分でかけなければならない。
また、後で詳述するが、電圧値V4,V5,V6の相互の関係については、V4<V5<V6の関係で、放電特性および放電電流量の観点から、1.934<(V4+V6)/V5<1.993という条件が満足されなければならないことが実験的に確認された。1.993≦(V4+V6)/V5になると傾きが大きくなりすぎ、放電過多になり画像不良が発生する。また、(V4+V6)/V5≦1.934となると、実際の放電電流量に対する誤差が大きくなりすぎ、実際より少なく見積られて帯電不良が発生する。
[定電圧制御]
ここでの定電圧制御とは、帯電制御において帯電電圧を所望の電圧値に安定的に制御する方法である。この動作は、エンジン制御部がPWM値を固定して電圧を印加する場合には、抵抗を介して出力電圧をモニタして、モニタした電圧を電圧設定回路部にフィードバックして、設定されるPWM信号の設定値に応じた出力電圧値になるように制御する動作である。
[環境センサ]
環境検知手段を構成する環境センサは、温度、湿度、特定のガス濃度等の設置環境を検出するセンサの総称であり、本実施の形態では、湿度センサや温度センサが該当する。温度センサとしては、空気中の温度を計測するサーミスタが一般的である。湿度センサについては静電容量の変化から空気中の湿度を検知するものが一般的であり、それぞれの出力は電気信号として出力される。(環境センサは各社様々な製品が販売されているが、本例における環境センサは、北陸電気工業株式会社製HSU−01F1V2−Nである。)
以下、実施例および比較例を示して、本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
〔導電性弾性体層形成材料の調製〕導電性弾性体層形成材料として、下記に示す各成分を用いてゴム組成物を準備した。
ポリノルボーネンゴム 100部
ケッチェンブラック 50部
ナフテン系オイル 400部
〔軟化剤移行防止層形成材料の調製〕軟化剤移行防止層形成材料として、下記に示す各成分を用いてカーボンブラック分散樹脂液を調製した。
N−メトキシメチル化ナイロン 100部
カーボンブラック 15部
〔抵抗調整層形成材料の調製〕抵抗調整層形成材料として、は下記記載の内容で調製した。
CHR 100部
第4級アンモニウム塩 1部
〔保護層形成材料の調製〕保護層形成材料として、下記に示す各成分を用いて樹脂液を調製した。
N−メトキシメチル化ナイロン 100部
カーボンブラック 8部
次に、直径8mmの金属製シャフトからなる芯金の外周に接着剤を塗布した後、その外周に、上記導電性弾性体層形成材料のゴム組成物を用い、金型加硫を利用し全体の外径が15mmになるように導電性弾性体層を形成した。ついで、その導電性弾性体層の外周に、上記軟化剤移行防止層形成材料用のカーボンブラック分散樹脂液をスプレーコーティングした後、乾燥し厚み6〜10μmの軟化剤移行防止層を形成した。一方、上記抵抗調整層形成用のゴム組成物をロール混練した後、メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン=3/1(重量比)の溶剤に溶解し、粘度を500センチポイズに調製してディップ液を作製した。この液中に、上記のようにして軟化剤移行防止層が形成された芯金を浸漬してコーティングした後、引き上げて乾燥させ、ついで加熱処理して架橋させた。そのときの、抵抗調整層の厚みについては、乾燥時、200μmになるようにした。ついで、その表面に保護層形成用の樹脂液をスプレーコーティングした後、乾燥して保護層を形成した。その結果、目的とする導電性ロールが得られた。このときの帯電ローラの外径は16mmであり、全体の抵抗は1×10Ωとなった(印加電圧100V)。
次に、感光ドラム1としては、以下のようにして作成した。30φのアルミニウムシリンダー(スラスト長360mm)に導電層用の塗料を以下の手順で調整した。10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部(重量部、以下同様)、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調整した。この塗料をシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分乾燥して、膜厚20μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調整した。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥して、0.6μmの中間層を形成した。
次に、CuKαのX線回折におけるブラック角2θ±0.2度が9.0度、14.2度、23.9度及び27.1度に強いピ−クを有するオキシチタニウムフタロシアニンを3部、ポリビニルブチラ−ル(商品名エスレックBM2、積水化学(株)製)3部及びシクロヘキサノン35部をφ1mmガラスビ−ズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、その後に酢酸エチル60部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。この塗料を前記の中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して50℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
電荷発生層を形成した後、下記構造式(5)のスチリル化合物を10部

および下記構造式(6)の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂10部を

モノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調整した。この塗布液を前記の電荷発生層上に浸漬コーティングし、120℃で一時間乾燥することによって膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
次いで、構造式(7)の正孔輸送性化合物60部をモノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン50部の混合溶媒中に溶解し保護層用塗料を調整した。この保護層用塗料には、フッ素原子含有樹脂粒子として4フッ化エチレン樹脂を保護層の全重量に対して30重量%を含有させた。
この塗布液を前記の電荷輸送層上にコーティングしたあと、酸素濃度10ppmの雰囲気下で加速電圧150KV、照射線量50KGyの条件で電子線を照射した。引き続いて、同雰囲気下で感光体の温度が100℃になる条件で10分加熱処理をおこない、膜厚5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。
これらの帯電ローラ及び、感光体をキヤノン製の複写機iR2270に組み込み、次に図8に示すような制御方法で、画像出力を行った。図8は画像形成装置の処理例を示すフローチャートである。この処理はエンジン制御部17(図1)を構成するCPUがメモリ(例えば後述する記憶部20)内に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
まず、画像形成装置の電源が投入(ON)されたとき、または、画像形成装置がプリント指示された後(S11)、画像形成装置のイニシャライズ(初期化)動作が開始される(S12)。このイニシャライズ動作では感光体の空回転動作(前回転動作)が実行され、感光体が回転駆動される。その際、温度センサにて雰囲気(環境)の温度Tを確認する(S13)。この温度が所定値(この例では15℃)未満になると(S14,No)、定電圧制御が選択される。本例では、この時点の雰囲気の温度に応じて定電圧制御の狙い値が決定される(S15)。この決定された狙い値に基づいて定電圧制御が行われる(S16)。例えば、後述するように、10℃環境であるならば、定電圧制御Bの狙い値で制御される。その後、この定電圧制御による帯電制御でプリントを開始する(S21)。
ステップS14において、雰囲気の温度Tが所定値(15℃)以上と判定されたとき、湿度センサにて雰囲気湿度を検出する(S17)。その時点の温度および湿度から絶対水分量(空気中の水分量であり、単位体積当たりの水分の質量g/m)を算出し(S18)、これに基づいて放電電流制御の狙い値(所定の放電電流量)を決定する(S19)。ついで、放電電流制御を行って、この決定された狙い値に対応するVppの値を決定する(S20)。その後、この決定された電圧値のVppを用いた帯電制御により、プリントを開始する(S21)。
図9に本実施例の処理に基づく環境テーブルの一例を示す。この環境テーブル900は、雰囲気の温度および湿度に応じて、その環境にふさわしい帯電制御の種類を定めたものである。
温度が15℃未満の領域をさらに複数の範囲に分けて、電圧値を異ならせた定電圧制御A,B,Cを切り替えるようにしてもよい。この場合、0〜5℃の範囲で定電圧制御A、5〜10℃の範囲で定電圧制御B、10〜15℃の範囲で定電圧制御Cを採用する。定電圧制御A,B,Cで用いる定電圧Vppはこの順に小さくなるように帯電手段に印加すべき電圧の値を記憶部(図15参照)内の帯電制御テーブルの電圧値の中から決定する。
また、空気中の絶対水分量が多い環境にて過剰に放電すると画像不良が発生することから15℃以上の領域を、さらに、温度と湿度の組み合わせにより複数の範囲に分けて、放電電流制御の種類を切り替えるようにしてもよい。図9の例では、比較的高温高湿の範囲で放電電流制御A、中位の温度および湿度の範囲で放電電流制御B、比較的低温低湿の範囲で放電電流制御Cを採用する。放電電流制御A,B,Cで用いる必要放電電流量ΔACはこの順に大きくなるように設定する。この例では、上記絶対水分量を算出する代わりに、温度および湿度の組み合わせがどの範囲に属するかによって、放電電流制御の種類(すなわち所定の放電電流量の値)を決定することができる。
なお、この処理は、画像形成装置の電源投入後の最初の画像担持体回転時の他、所定の枚数を印刷する毎に、次の印刷動作における画像担持体回転時に、実行することもできる。
以上、実施例1の構成によれば、放電電流制御と定電圧制御とを適正に選択することにより、低温環境での放電電流制御により必要以上に大きなVppをかけることなしに実施でき、電気出力を小さくできる。その結果、低コストの電気回路が使用でき、過度の高圧付加による画像不良の問題もなかった。その状態で耐久確認を行ったが、感光体の傷や削れムラなどによる大きな問題は発生しなかった。放電電流制御におけるVppの値V4、V5、V6はそれぞれ1200、1350、1450Vppとした。この場合、(V4+V6)/V5=1.963となり、上記条件が満たされていることが分かる。
[実施例2]
実施例1と同様の帯電ローラと感光体を用いて、図10に示すようなフローチャートの処理に従い画像出力を行った。図10において、図8と同様の処理ステップには同じ参照番号を付して、重複した説明は省略する。
図10の処理では、ステップS17において雰囲気の湿度を検出した後、検出された湿度HをチェックするステップS30を追加した点が図8の処理と異なる。ステップS30では、検出された湿度Hが所定値(この例では20%)以上であれば、ステップS18へ移行し、そうでなければステップS15へ移行するようにした。これにより、温度が所定値以上であっても、湿度が比較的低い場合には、過剰放電による画像不良が発生しないため、定電圧制御を選択するようにしたものである。
図11に本実施例の処理が基づく環境テーブルの別の例を示す。この環境テーブル1100は、雰囲気の温度および湿度に応じて、その環境にふさわしい帯電制御の種類を定めたものである。この環境テーブル1100が図9の環境テーブル900と異なる点は、温度が15℃以上であっても、湿度が比較的低い(この例では20%未満)であれば、定電圧制御Dがふさわしい制御であると規定していることである。湿度が比較的低い環境においては過剰な放電による画像不良が発生しないため、定電圧制御Dは15℃未満の定電圧制御と同じであってもよい。
実施例2の放電電流制御におけるVppの値V4、V5、V6は実施例1と同じであり、同様の効果が得られた。
[実施例3]
実施例1と同様の帯電ローラと感光体を用いて、図12に示すようなフローチャートの処理に従い画像出力を行った。図12において、図10に示したと同様の処理ステップには同じ参照番号を付して、重複した説明は省略する。
図12の処理では、前回の帯電制御における情報、すなわち、雰囲気の温度および湿度、ならびにそれらに対応する帯電制御の種類を不揮発性メモリ(図示せず)に記憶しておき、画像形成装置の設置されている環境が、前回の環境判断結果に対して変化した時のみ、印刷動作における画像担持体回転時に帯電制御方法の判定を行うものである。
具体的には、ステップS13で雰囲気の温度を検出した後、この検出された温度が今回検出された温度が前回と同じ温度ゾーンに属するかどうかをチェックする(S40)。そうであれば、雰囲気の湿度を検出し(S41)、この検出された湿度が前回と同じ湿度ゾーンに属するかをチェックする(S42)。同じ湿度ゾーンに属すれば、そのままプリント開始へ移行する(S21)。同じ湿度ゾーンに属しなければ、ステップS30へ移行し、湿度が20%以上かどうかをチェックする。20%未満である場合、ステップS15における定電圧制御の狙い値と異なる狙い値を決定し(S43)、この狙い値に基づく定電圧制御を実行する(S44)。
実施例3の放電電流制御におけるVppの値V4、V5、V6は実施例1と同じであり、同様の効果が得られた。
[実施例4]
実施例1において帯電ローラを下記の材料を用いること以外、実施例1と同様の検討を行った。
エピクロルヒドリンゴム・・100部
液状ポリクロロプレン・・・・・6部
チアウレア化合物・・・・・・・2部
硫黄・・・・・・・・・・・0.3部
次に、直径8mmの金属製シャフトからなる芯金(回転軸)11の外周に接着剤を塗布した後、ローラ成形用金型に上記芯金11をセットし、70℃に保持した。この金型に上記のゴム組成物を注入して、約10分間反応硬化させて、帯電ローラ2のベースとなる導電性弾性体層22を得た。これを脱型し、室温で約24時間熟成した。このときの直径は15mmとなっている。このローラを研磨機で表面研摩して、直径を14mmまで研磨した。この帯電ローラを用いて実施例1と同様の検討結果を得た。
実施例4の放電電流制御におけるVppの値V4、V5、V6は実施例1と同じであり、同様の効果が得られた。
[実施例5]
実施例1と同様の検討するにあたって、実施例1の放電電流制御のVppの変更を行った。そのときのVppの値V4、V5、V6はそれぞれ1200、1369、1450Vppとした。この場合、(V4+V6)/V5=1.936となり、上記条件が満たされていることが分かる。これも実施例1と同様の評価を行った。以上、実施例5の構成によれば、放電電流制御と定電圧制御を適正に切り替えることで低温及び、低湿環境で無駄に大きなVppをかけることなしに、低コストの電気回路が使用でき、過度の高圧付加による画像不良の問題もなかった。その状態で耐久確認を行ったが、感光体の傷や削れムラなどによる大きな問題は発生しなかった。
[実施例6]
実施例1と同様の検討するにあたって、実施例1の放電電流制御のVppの変更を行った。そのときのVppの値V4、V5、V6はそれぞれ1100、1330、1550Vppとし、(V4+V6)/V5=1.992となった。これも実施例1と同様の評価を行った。以上、実施例6の構成によれば、放電電流制御と定電圧制御を適正に切り替えることで低温及び低湿環境で無駄に大きなVppをかけることなしに、低コストの電気回路が使用でき、また、過度の高圧付加による画像不良の問題もなかった。その状態で耐久確認を行ったが、感光体の傷や削れムラなどによる大きな問題は発生しなかった。
[ハードウェア構成]
図15は、本実施の形態の画像形成装置の帯電制御に関する電圧印加装置の概略のハードウェア構成例を示している。制御部30はCPUにより構成され、本発明の第1,第2の印加電圧決定部31および帯電ローラ抵抗算出部32を実現している。図1に示したエンジン制御部17も制御部30で実現することができる。制御部30には記憶部20、環境検知部40および電源部50が接続されている。記憶部20は、帯電制御テーブル21、印刷枚数(耐久枚数)、および後述する前回環境情報等の情報を格納している。さらに、上述したような制御プログラムを格納することもできる。帯電制御テーブル21は、図9,図11および後述の図13,図14に示したようなテーブル情報、および各定電圧制御の電圧値、ならびに各放電電流制御の必要放電電流量ΔACを含んでいる。環境検知部40は、図1に示した環境センサ18等に相当する。電源部50は、帯電ローラ2に印加する高圧を発生する高圧電源部16、および交流電流検知回路52を含んでいる。交流電流検知回路52は上述したような、帯電ローラに流れる電流を測定する手段である。
尚、本発明の特徴である、図9、図11に示す環境テーブルの低温領域は、帯電ローラの抵抗値に基づいて、定電圧制御A,B,Cを選択する温度範囲を図13に示されているような温度範囲に変更しても良い。図13の環境テーブル1300は図9に示した環境テーブルと基本的には同じであるが、15℃未満において、帯電ローラの抵抗値の複数(この例では3)の範囲に基づいて定電圧制御A,B,Cを選択するようにしている。
帯電ローラは耐久によりその抵抗値が変動する。特に特定の温度(例えば15℃)以下の低温環境においては、放電現象の不活性化や帯電ローラの温度特性の影響により、帯電ムラによる画像不良が発生しやすい。そのため耐久により帯電ローラの抵抗値が変動した時に、図9の環境テーブルを図13のように変更することで帯電ローラの抵抗値変動により発生する画像不良を軽減することで、帯電ローラの抵抗値が、変動してもそのまま継続して使用できるので、帯電装置の長寿命化を実現することができる。
また、上記帯電ローラの抵抗値を測定(算出)する方法は、図1の帯電ローラ2に印加される電圧を帯電ローラに流れた電流で除算することである。
具体的には、上述したような方法で、帯電ローラの抵抗Rは、図15に示した高圧電源部16により帯電ローラ2に印加された電圧Vと、図15に示した交流電流検知回路52により検出される帯電ローラ2に流れた電流値Iから、図15に示した制御部30に備えられた抵抗値算出手段である帯電ローラ抵抗値算出部32により算出される。そのための計算式はR=V/Iである。
更に、本発明の特徴である、図9、図11に示す環境テーブルの低温領域は、図15に示した記憶部20内に印刷枚数22として記憶されている、これから行う印刷より前に印刷された印刷枚数(耐久枚数)に基づいて、定電圧制御A,B,Cを選択する温度範囲を図14に記載されているような温度範囲に変更しても良い。図14の環境テーブル1400は図9に示した環境テーブルと基本的には同じであるが、15℃未満において、耐久枚数の複数(この例では3)の範囲に基づいて定電圧制御A,B,Cを選択するようにしている。
帯電ローラは耐久使用によりその外周面に紙粉やトナーが付着することで、その抵抗値が変動する。特に15℃以下の低温環境においては、放電現象の不活性化や帯電ローラの温度特性の影響により、帯電ムラによる画像不良が発生しやすい。そのため耐久使用による汚れのため帯電ローラの抵抗値が変動した時に、図9の環境テーブルを図14のように変更することで、耐久使用による帯電ローラの抵抗変動により発生する画像不良を軽減しながら、帯電装置の長寿命化を実現することができる。
また、耐久枚数は、累積した印刷枚数であり、印刷枚数22として、画像形成装置内に設けられた記憶部20に更新されて記憶される。帯電ローラ抵抗値または印刷枚数の代わりに、帯電手段としての帯電ローラの使用時間を更新記憶して用いてもよい。帯電ローラの使用時間も耐久を表すパラメータの一種と考えられるからである。
[比較例1]
実施例5の比較例として、実施例1の放電電流制御のVppの変更を行った。そのときのVppの値V4、V5、V6はそれぞれ1250、1422、1500Vppとし、(V4+V6)/V5=1.934となった。これも実施例1と同様の評価を行ったところ、空気中の絶対水分量が比較的多い環境においては帯電出力値が過剰になることで過剰放電による画像不良が発生した。以上、比較例1の構成によれば、放電電流制御の精度が悪化することで画像不良が発生することが分かる。
[比較例2]
実施例5の比較例として、実施例1の放電電流制御のVppの変更を行った。そのときのVppの値V4、V5、V6はそれぞれ1050、1279、1500Vppとし、(V4+V6)/V5=1.993となった。これも実施例1と同様の評価を行ったところ、帯電出力値が不足することによる帯電ムラ画像不良が発生した。以上、比較例1の構成によれば、放電電流制御の精度が悪化することで画像不良が発生することが分かる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。例えば、本実施形態では、画像形成装置本体に環境情報を検知する環境検知手段を備え、これにより環境情報を得ている。この代わりに、環境検知手段を備えること無く、画像形成装置を使用するユーザー等が画像形成装置の操作部(図16参照)等から使用される環境を入力する(あるいは操作部等の表示から選択する)ことで、環境情報を入手することができる。操作部60は、表示部(表示パネル)61と、テンキー、スタートキー、ストップキーや各種の操作キーを含むキー群62を含む。
1…電子写真感光体(感光ドラム:画像担持体)
2…帯電ローラ(帯電手段)
3…像露光手段
4…現像装置
5…現像スリーブ
6…ホッパー部
7…転写ローラ
8…クリーニング装置
9…クリーニングブレード
10…回収トナー収容部
16…高圧電源部
17…エンジン制御部(制御手段)
18…環境センサ(環境検知手段)
20…記憶部
21…帯電制御テーブル
22…印刷枚数
23…前回環境情報
30…制御部(CPU:制御手段))
31…印加電圧決定部
32…帯電ローラ抵抗算出部
40…環境検知部
50…電源部
52…交流電流検知回路
60…操作部
61…表示部(表示パネル)
62…キー群
111…未放電領域
112…放電領域

Claims (16)

  1. 画像を担持する画像担持体と、
    前記画像担持体を帯電する帯電手段と、
    前記帯電手段に対する印加電圧と放電電流量との関係を求め、所定の放電電流量に対応
    する印加電圧の電圧値を決定する第1の印加電圧決定手段と、
    前記帯電手段に印加すべき電圧の電圧値を予め記憶された記憶部内の電圧値の中から決定する第2の印加電圧決定手段と、
    前記第1の印加電圧決定手段及び前記第2の印加電圧決定手段のいずれか一方により決定された電圧値に基づいて、前記帯電手段を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 環境情報を検知する環境検知手段を備え、前記制御手段は、前記帯電手段に印加する電圧の電圧値を決定する手段として、前記第1および第2の印加電圧決定手段のいずれかを用いるかを前記環境検知手段から入力される環境情報に基づいて選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記環境情報を入力する操作部を備え、前記制御手段は、前記帯電手段に印加する電圧の電圧値を決定する手段として、前記第1および第2の印加電圧決定手段のいずれかを用いるかを前記操作部から入力される環境情報に基づいて選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、前記環境情報が示す温度が所定値以上であるとき、前記第1の印加電圧決定手段により決定された電圧値を選択し、前記温度が所定値未満であるとき、前記第2の印加電圧決定手段により決定された電圧値を選択する請求項2または3に記載の画像形成装置。
  5. 前記帯電手段の抵抗値を算出する抵抗値算出手段を備え、
    前記制御手段は、前記第2の印加電圧決定手段を選択したときは、前記抵抗値算出手段が算出した抵抗値に基づいて前記帯電手段に印加する電圧の電圧値を選択することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 印刷枚数を記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、前記第2の印加電圧決定手段を選択したときは、前記記憶手段が記憶した前記印刷枚数に基づいて前記帯電手段に印加する電圧の電圧値を選択することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  7. 前記帯電手段の使用時間を記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、前記第2の印加電圧決定手段を選択したときは、前記記憶手段が記憶した前記使用時間に基づいて前記帯電手段に印加する電圧の電圧値を選択することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  8. 前記帯電手段に印加する電圧は交流電圧を含み、前記電圧値は交流電圧のピーク間電圧で規定される請求項1に記載の画像形成装置。
  9. 前記環境検知手段は環境情報として温度および湿度を検知するセンサである請求項2に記載の画像形成装置。
  10. 前記制御手段は、前記環境情報が示す温度が所定値以上であるとき、前記第1の印加電圧決定手段により決定された電圧値を選択し、前記検知された温度が所定値未満であるとき、前記第2の印加電圧決定手段により決定された電圧値を選択する請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記制御手段は、前記環境情報が示す温度および湿度に基づいて絶対水分量を算出し、この水分量に基づいて前記第1の印加電圧決定手段における所定の放電電流量を決定する請求項9に記載の画像形成装置。
  12. 前記検知された温度が所定値以上であっても、検知された湿度が所定値未満であれば、前記第1の印加電圧決定手段により決定された電圧値を選択する請求項9に記載の画像形成装置。
  13. 画像形成装置の電源投入後の最初の前記画像担持体回転時に、前記第1および第2の印加電圧決定手段のいずれかを選択する請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 所定の枚数を印刷する毎に、次の印刷動作における画像担持体回転時に、前記第1および第2の印加電圧決定手段のいずれかを選択する請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
  15. 画像形成装置の設置されている環境が、前回の環境判断結果に対して変化した時のみ、印刷動作における画像担持体回転時に、前記第1および第2の印加電圧決定手段のいずれかを選択する請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
  16. 前記第1の印加電圧決定手段において、前記帯電手段に対する印加電圧と放電電流量との関係を求める際、放電領域の3点の電圧値(V4,V5,V6)の印加電圧の相互の関係が次式を満足する請求項1〜15のいずれかに記載の画像形成装置。
    1.934<(V4+V6)/V5<1.993
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