JP2011146909A - 電子キーシステムのアンテナ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば電子キーシステムの往路通信と復路通信とを、同じ帯域の周波数に設定することができる電子キーシステムのアンテナ構造を提供する。
【解決手段】車両1には、車両1からの問い合せに対して電子キー2が応答してIDコードを送信し、このIDコードによりID照合を行うキー操作フリーシステム3が搭載される。車両1に漏洩同軸ケーブル17を配線し、この漏洩同軸ケーブル17を車両1の送信アンテナとして使用する。漏洩同軸ケーブル17は、UHF帯の電波を狭域で送信するため、車両1の近傍にのみ送信エリアを形成する。よって、車両周囲にUHF帯の電波が均一に送信され、LFアンテナを使用した場合と同等の送信エリアがUHF帯の電波で形成される。このため、キー操作フリーシステム3の往路通信と復路通信とで電波をUHF帯に統一することが可能となる。
【選択図】図2
【解決手段】車両1には、車両1からの問い合せに対して電子キー2が応答してIDコードを送信し、このIDコードによりID照合を行うキー操作フリーシステム3が搭載される。車両1に漏洩同軸ケーブル17を配線し、この漏洩同軸ケーブル17を車両1の送信アンテナとして使用する。漏洩同軸ケーブル17は、UHF帯の電波を狭域で送信するため、車両1の近傍にのみ送信エリアを形成する。よって、車両周囲にUHF帯の電波が均一に送信され、LFアンテナを使用した場合と同等の送信エリアがUHF帯の電波で形成される。このため、キー操作フリーシステム3の往路通信と復路通信とで電波をUHF帯に統一することが可能となる。
【選択図】図2
Description
本発明は、電子キーから無線により送信されるIDコードによりID照合を行う電子キーシステムのアンテナ構造に関する。
従来から周知のように、車両のキーシステムとしては、利便性等の面から、車両キーとしての電子キーからキーコードとしてIDコードを無線通信により車両に送信して、車両にID照合を実行させる電子キーシステム(特許文献1等参照)が広く使用されている。この種の電子キーシステムには、車両からのリクエストに応答してIDコードを車両に自動送信して車両にID照合を実行させるキー操作フリーシステムがある。同システムには、車外でID照合が成立すれば実際のキー操作無しにドアロックが施解錠されるスマートエントリーシステムや、車内でID照合が成立すればエンジンスイッチの単なる押し操作のみでエンジンがかかるスマートエンジンスタートシステムがある。
この種のキー操作フリーシステムは、リクエストをLF(Low Frequency)帯の電波で送信し、電子キーから車両に返すIDコードをUHF(Ultra High Frequency)帯の電波で送信する。リクエストをLF帯の電波で送信するのは、車両の極近傍に電子キー(ユーザ)が近づいたときにのみ通信できるように通信エリアの範囲を決めなくてはならず、このエリアの設定がし易いからである。電子キーから車両に送る電波をUHF帯の電波としているのは、電子キー操作によりドアロックの施解錠を行う、いわゆるリモートキーレスエントリー操作を、10m程度のやや遠方から実行できるようにするためである。
ところで、従来の電子キーシステムは、車両から電子キーへの通信(往路通信)にLF帯が使用され、電子キーから車両への通信(復路通信)にUHF帯が使用されるので、往路通信と復路通信とで、帯域が大きくかけ離れた2つの周波数を使用しなければならない。このように、一通信の往路と復路とで周波数が異なると、アンテナ搭載位置や部品サイズの面から種々の制限が生じるので、往路通信と復路通信とをともに同じ周波数としたいニーズがあった。
例えば、LFアンテナの課題として、1つのLFアンテナで車両周囲全域に通信エリアを形成するのは困難であるので、これまでは車両に複数のLFアンテナを取り付けて、車両周囲全域に通信エリアを形成する必要があった。このため、限られた車両搭載位置の中で細かな配置位置設定が必要となり、通信エリアの形成が面倒である問題があった。また、電子キーにLF帯及びUHF帯の2つの通信機能、つまりLF受信機とUHF送信機という異なる周波数の通信機を搭載せねばならず、その分だけ電子キーの小型化に支障を来す問題もあった。
本発明の目的は、例えば電子キーシステムの往路通信と復路通信とを、同じ帯域の周波数に設定することができる電子キーシステムのアンテナ構造を提供することにある。
前記問題点を解決するために、本発明では、通信マスタからの無線による問い合せに対して、電子キーがIDコードを前記通信マスタに送信してID照合を実行する電子キーシステムのアンテナ構造において、前記通信マスタの送信アンテナ及び受信アンテナの少なくとも一方を漏洩同軸ケーブルとしたことを要旨とする。
この構成によれば、例えば通信マスタを車両とした場合、車両の受信アンテナには一般的にUHFアンテナが使用されるので、例えば車両の送信アンテナとして漏洩同軸ケーブルを使用すれば、車両の送信アンテナと受信アンテナとを、ともにUHFアンテナとすることが可能となる。よって、車両から電子キーに問い合せて電子キーからIDコードを受信してID照合する電子キーシステムにおいて、車両から電子キーの通信経路(往路通信)と、電子キーから車両への通信経路(復路通信)とを、ともに同じUHF帯に統一することが可能となる。
また、漏洩同軸ケーブルは、電波の通過口となるスロットの長さや間隔等を変えれば、簡単に通信エリアを切り換えられる利点がある。よって、本構成のように、車両のアンテナとして漏洩同軸ケーブルを使用すれば、漏洩同軸ケーブルに切るスロットの位置や間隔等を変えるという簡単な作業によって、車両の通信エリアを適宜設定することが可能となる。さらに、往路通信と復路通信とで通信周波数をUHF帯に統一することができれば、電子キーに搭載する通信機がUHF帯のもので済む。よって、電子キーに通信機を周波数ごとに複数搭載せずに済むので、電子キーの小型化も可能となる。
本発明では、前記漏洩同軸ケーブルは、前記通信マスタの送信アンテナであることを要旨とする。
この場合、前述した作用効果を同様に得ることが可能となる。
この場合、前述した作用効果を同様に得ることが可能となる。
本発明では、前記漏洩同軸ケーブルが1本以上設けられ、当該漏洩同軸ケーブルのそれぞれで通信エリアを区分けすることにより、該通信エリアが細分化されていることを要旨とする。
この構成によれば、漏洩同軸ケーブルを1本以上設けて、これらケーブル単位で通信エリアを細分化するので、ID照合の際に電子キーの位置をより細かく把握することが可能となる。
本発明では、前記漏洩同軸ケーブルは、前記通信マスタの送受信アンテナとなっていることを要旨とする。
この構成によれば、漏洩同軸ケーブルを通信マスタの送受信アンテナとするので、送信アンテナと受信アンテナとでそれぞれ別々にアンテナを用意せずに済む。よって、アンテナに必要となる部品点数を少なく抑えることが可能となり、ひいては部品コストも低く抑えることが可能となる。
この構成によれば、漏洩同軸ケーブルを通信マスタの送受信アンテナとするので、送信アンテナと受信アンテナとでそれぞれ別々にアンテナを用意せずに済む。よって、アンテナに必要となる部品点数を少なく抑えることが可能となり、ひいては部品コストも低く抑えることが可能となる。
本発明では、前記漏洩同軸ケーブルは、前記通信マスタの送信アンテナとして使用され、前記通信マスタの受信アンテナは、前記漏洩同軸ケーブル以外の他アンテナにより形成されていることを要旨とする。
この構成によれば、漏洩同軸ケーブル以外に別アンテナとして他アンテナを通信マスタに設け、この他アンテナを通信マスタの受信アンテナとする。ところで、漏洩同軸ケーブルを受信アンテナとして使用する場合、受信エリアを広くとるには、漏洩同軸ケーブルには利得があまり無いため、電子キーの送信出力を高くするなどの対応が必要となる。しかし、電子キーの送信出力を上げようとすると、今度は電子キーの電池が浪費されてしまう問題に繋がり、実際のところ採用できない。そこで、例えば通信マスタの受信アンテナを例えばホイップアンテナ等の無指向性アンテナとすれば、通信マスタの受信エリアを問題なく広くとることが可能となる。よって、例えば電子キーによる遠隔操作によって通信マスタを動作させるに際して、電子キーが通信マスタから遠くに位置していても、電子キーからの送信電波を通信マスタにより確実に届かせることが可能となる。
本発明では、前記アンテナは、前記漏洩同時ケーブル以外のアンテナとして前記通信マスタに設けられた他アンテナと、前記漏洩同軸ケーブル及び前記他アンテナを各々単独のアンテナ、又は両アンテナを繋げた直列のアンテナとして動作させるアンテナ選択手段とを備えたことを要旨とする。
この構成によれば、漏洩同軸ケーブルでは電波が届かないエリアを、他アンテナで補完するようにすれば、ヌルエリアを解消することが可能となる。よって、高い通信成立性を確保することが可能となる。
本発明では、複数の周波数により通信を実行可能な複数帯域通信手段と、電波の通過口として前記漏洩同軸ケーブルに複数のスロット長さで形成されたスロットとを備え、前記複数帯域通信手段は、前記スロット長さの異なる前記スロットに、それぞれの周波数を割り当てて通信を行うことにより、前記漏洩同軸ケーブルの通信エリアを細分化することを要旨とする。
この構成によれば、長さがそれぞれ異なるスロットを複数設け、漏洩同軸ケーブルに複数周波数を割り当てる。このため、通信動作時の使用周波数を切り換えれば、漏洩同軸ケーブルの通信エリアをその都度切り換えることが可能となるので、通信エリアを複数種類設定することが可能となる。
本発明では、前記アンテナとして前記通信マスタに複数搭載された受信アンテナを使用し、スペースダイバーシティ方式により受信動作を実行する受信制御手段と、前記問い合せを送信した送信エリアと、前記ダイバーシティで特定した前記電子キーの受信エリアとが一致するか否かを確認し、一致しない場合には、前記送信エリアのレベルを変えて通信を再度実行するリトライ手段とを備えたことを要旨とする。
この構成によれば、問い合せの送信エリアと、その応答であるIDコードの受信エリアとが不一致の際には、送信エリアの範囲、即ち電波送信のレベルを切り換えて、ID照合を再実行する。このため、送信エリアと受信エリアとが一致して初めてID照合が成立とみなされるので、通信成立の精度を高いものとすることが可能となる。
本発明では、前記漏洩同軸ケーブルは、前記通信マスタとしての車両に搭載されたタイヤ空気圧監視システムの受信アンテナとしても使用されていることを要旨とする。
この構成によれば、漏洩同軸ケーブルが電子キーシステムのアンテナのみならず、タイヤ空気圧監視システムの車両側の受信アンテナとしても共用される。ところで、車両にタイヤ空気圧監視システムが搭載される場合、車両の各タイヤには、タイヤ空気圧を無線により送信するセンサユニットが取り付けられるが、漏洩同軸ケーブルは車体縁に配置されるので、タイヤの各センサユニットと非常に近い位置状態をとる。よって、漏洩同軸ケーブルをタイヤ空気圧監視システムの受信アンテナとすれば、センサユニットからのタイヤヤ空気圧をより確実に届かせることが可能となる。
この構成によれば、漏洩同軸ケーブルが電子キーシステムのアンテナのみならず、タイヤ空気圧監視システムの車両側の受信アンテナとしても共用される。ところで、車両にタイヤ空気圧監視システムが搭載される場合、車両の各タイヤには、タイヤ空気圧を無線により送信するセンサユニットが取り付けられるが、漏洩同軸ケーブルは車体縁に配置されるので、タイヤの各センサユニットと非常に近い位置状態をとる。よって、漏洩同軸ケーブルをタイヤ空気圧監視システムの受信アンテナとすれば、センサユニットからのタイヤヤ空気圧をより確実に届かせることが可能となる。
本発明では、前記漏洩同軸ケーブルには、電波の通過口としてスロットが複数形成され、隣同士のスロット間隔を異ならせることにより、前記漏洩同軸ケーブルの通信エリアが設定されていることを要旨とする。
この構成によれば、スロットの隣同士の間隔を切り換えて漏洩同軸ケーブルの通信エリアを設定するので、ヌルエリアの少ない好適な通信エリアを形成することが可能となる。
本発明では、複数の前記漏洩同軸ケーブルを直列接続し、その接続箇所に設けたスイッチ部のオンオフを切り換えることにより、前記漏洩同軸ケーブルの通信エリアが細分化されることを要旨とする。
本発明では、複数の前記漏洩同軸ケーブルを直列接続し、その接続箇所に設けたスイッチ部のオンオフを切り換えることにより、前記漏洩同軸ケーブルの通信エリアが細分化されることを要旨とする。
この構成によれば、スイッチ部のオンオフを切り換えることにより、アンテナとして機能させる漏洩同軸ケーブルの本数を切り換えることが可能となる。よって、この漏洩同軸ケーブルの本数に応じて通信エリアを逐次変更することが可能となるので、通信エリアの細分化が可能となる。
本発明によれば、例えば電子キーシステムの往路通信と復路通信とを、同じ帯域の周波数に設定することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した電子キーシステムのアンテナ構造の第1実施形態を図1〜図7に従って説明する。
以下、本発明を具体化した電子キーシステムのアンテナ構造の第1実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、車両からから電子キー2に無線による問い合せ(リクエスト信号Srq)を送信して、この問い合せに対する電子キー2の応答(ID信号Sid)によりID照合を行うキー操作フリーシステム3が搭載されている。キー操作フリーシステム3には、単なる車外ドアハンドルノブの操作のみでドアロックが施解錠されるスマートエントリーシステムや、車内に設置されたプッシュ式のエンジンスイッチを押し操作するのみでエンジンが始動(電源遷移も含む)するスマートエンジンスタートシステムがある。なお、車両1が通信マスタに相当し、キー操作フリーシステム3が電子キーシステムに相当する。
この場合、車両1には、電子キー2と双方向の無線通信によりID照合を行うキー照合装置4と、ドアロック施解錠を管理するドアロック装置5と、エンジンの始動停止を管理するエンジン始動装置6とが設けられるとともに、これら装置4〜6が車内バス1aを介して接続されている。キー照合装置4には、ID照合を管理する照合ECU7が設けられている。照合ECU7には、車外にUHF帯の電波を送受信可能な車外通信機8と、車内に同様のUHF帯の電波を送受信可能な車内通信機9とが接続されている。
また、電子キー2には、電子キー2の各種動作を統括制御する通信制御部10が設けられている。この通信制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11やメモリ12等の各種デバイスを持ち、電子キー2の固有IDとしてIDコードがメモリ12に登録されている。通信制御部10には、LF帯の電波を送受信可能なキー送受信機13が設けられている。通信制御部10は、キー送受信機13でどの種の信号を受け付けたのかを逐次確認するとともに、キー送受信機13からの電波送信動作を管理する。
照合ECU7は、車外通信機8からリクエスト信号Srqを送信した際、このリクエスト信号Srqに応答して電子キー2が返してきたID信号Sidを車外通信機8で受信(車外通信が成立)すると、このID信号Sidに含まれるIDコードと、自身のメモリ15に登録されたIDコードとを照らし合わせてID照合(スマート照合)、つまり車外照合を実行する。照合ECU7は、この車外照合が成立したことを確認すると、ドアロック装置5によるドアロック施解錠動作を許可又は実行する。
照合ECU7は、例えばカーテシスイッチ(図示略)により運転者の車内への乗車を確認すると、今度は車内通信機9からリクエスト信号Srqを送信する。照合ECU7は、車内通信機9からリクエスト信号Srqを送信した際、このリクエスト信号Srqに応答して車内の電子キー2が返してきたID信号Sidを車内通信機9で受信(車内通信が成立)すると、このID信号Sidに含まれるIDコードでID照合(スマート照合)、つまり車内照合を実行する。照合ECU7は、この車内照合が成立したことを確認すると、エンジン始動装置6によるエンジン始動操作や電源遷移操作を許可する。
図2に示すように、車外通信機8及び車内通信機9には、アンテナとして漏洩同軸ケーブル(LCX:Leaky Coaxial Cable)17が使用されている。本例の漏洩同軸ケーブル17は、車両1の送信アンテナ及び受信アンテナの両アンテナ(送受信アンテナ)として機能する。なお、本例の場合、車外通信機8の漏洩同軸ケーブル17を17aとし、車内通信機9の漏洩同軸ケーブル17を17bと記す。
漏洩同軸ケーブル17a,17bは、図3に示すように、通信信号を通す中心導体(ケーブル)18の外周に、絶縁体19、外部導体20及び外被21が多層に形成された同軸ケーブルの一種であって、自由な折り曲げが可能となっている。漏洩同軸ケーブル17a,17bは、外部導体20に複数のスロット(溝)22,22…が形成されたスロットアレイアンテナとも言え、中心導体18を伝送される通信信号がこれらスロット22,22…から電波として漏れ出すことにより、ケーブル17a,17bの周囲に通信エリアを形成する。
漏洩同軸ケーブル17a,17bの通信エリアは、1つひとつのスロット22の切り込み長さ(スロット長さL)や、隣同士のスロット22の間の間隔(以降、スロット間隔Wと記す)や、スロット22の単位面積当たりの個数(スロット密度)などによって設定される。スロット22は溝が大きく或いは数が多いほど電波が多量に放射されるので、スロット22が多めにとってある箇所は通信エリアが大きく形成され、これとは逆にスロット22が少なめにとってある箇所は通信エリアが小さく形成される。なお、漏洩同軸ケーブル17a,17bの先端は、図示しない終端抵抗で受端してある。
図2に示すように、車外通信機8は、車両周囲全体に通信エリアを形成できるように、運転席と助手席とにそれぞれ設けられている。なお、本例の場合、運転席側のものを運転席側車外通信機8aとし、助手席側のものを助手席側車外通信機8bとする。また、運転席側車外通信機8aの漏洩同軸ケーブル17aを運転席側車外漏洩同軸ケーブル17aaとし、助手席側車外通信機8bの漏洩同軸ケーブル17aを助手席側車外漏洩同軸ケーブル17abとする。運転席側車外漏洩同軸ケーブル17aaは、運転席側の車体縁に沿って取り付けられ、運転席側車外に略円弧状の通信エリアを形成する。また、助手席側車外漏洩同軸ケーブル17abは、助手席側の車体縁に沿って取り付けられ、助手席側車外に略円弧状の通信エリアを形成する。車内通信機9の漏洩同軸ケーブル17b、即ち車内漏洩同軸ケーブル17bは、車内中心において床面に埋設され、車内全域に通信エリアを形成可能となっている。
漏洩同軸ケーブル17a,17bは、送信動作をとる際、これを弱い送信パワーによって実行する。このため、図4に示すように、リクエスト信号Srqの通信エリアは、車両1の周辺極近傍(例えば車両1から1.5mの範囲)にのみ形成される。また、漏洩同軸ケーブル17a,17bは、受信動作をとる際、電子キー2からは強い電波が送出されるため、結果として広い受信エリアをとる状態となる。よって、漏洩同軸ケーブル17a,17bの受信エリアは、リクエスト信号Srqを送信するときの送信エリアよりも、見かけ上、広く形成される。
図5に示すように、車外通信機8a,8bには、送信回路23(送信機能)及び受信回路24(受信機能)の両方を持つ通信回路25(以降、車外通信回路25a,25aと記す)が各々設けられている。車外通信回路25aは、送信回路23及び受信回路24の一方によって選択的に動作したり、又はサーキュレータによって送受同時に動作したりする。例えば、選択的に動作した場合は、送信回路23が選択されると車外漏洩同軸ケーブル17aを送信アンテナとし、受信回路24が選択されると車外漏洩同軸ケーブル17aを受信アンテナとして動作する。送信回路23は、送信データを変調、増幅等して、これを漏洩同軸ケーブル17aから送信電波として送信させる回路である。また、受信回路24は、受信電波を復調等して、これを受信データとして照合ECU7に供給する回路である。また、車内通信機9にも、車外通信回路25aと同様の機能を持つ車内通信回路25bが設けられている。
照合ECU7には、通信動作時に各種データの処理動作を実行する通信主制御部26が設けられている。通信主制御部26は、漏洩同軸ケーブル17a,17bに送信データを送ったり、或いは漏洩同軸ケーブル17a,17bから受信データを受け付けて同データを基に車両1を動作させたりする。また、照合ECU7には、通信機8,9の動作設定を管理する送受信動作制御部27が設けられている。送受信動作制御部27は、車両1の時々の動作態様に応じて、通信回路25(25a,25b)を送信及び受信のうちどちらで動作させるのかを設定する。
次に、本例のキー操作フリーシステム3の動作を図6及び図7に従って説明する。
図6に示すように、車両駐車時、車外漏洩同軸ケーブル17aは送信強度の弱い送信アンテナとして動作し、リクエスト信号Srqを車両周囲に繰り返し送信する。このとき、運転席側車外漏洩同軸ケーブル17aa及び助手席車外漏洩同軸ケーブル17abは、交互にリクエスト信号Srqを送信する。送受信動作制御部27は、車外漏洩同軸ケーブル17aからリクエスト信号Srqが送信された後、同信号Srqに対する電子キー2からの応答有無を見るために車外漏洩同軸ケーブル17aを受信アンテナに切り換え、リクエスト送信の度にこの動作を繰り返す。
図6に示すように、車両駐車時、車外漏洩同軸ケーブル17aは送信強度の弱い送信アンテナとして動作し、リクエスト信号Srqを車両周囲に繰り返し送信する。このとき、運転席側車外漏洩同軸ケーブル17aa及び助手席車外漏洩同軸ケーブル17abは、交互にリクエスト信号Srqを送信する。送受信動作制御部27は、車外漏洩同軸ケーブル17aからリクエスト信号Srqが送信された後、同信号Srqに対する電子キー2からの応答有無を見るために車外漏洩同軸ケーブル17aを受信アンテナに切り換え、リクエスト送信の度にこの動作を繰り返す。
電子キー2は、車外漏洩同軸ケーブル17aからのリクエスト信号Srqを受信すると、車両1にID信号Sidを返信する。照合ECU7は、車外漏洩同軸ケーブル17aを受信アンテナとして動作させるタイミングでID信号Sidを受信する。そして、照合ECU7は、受信したID信号Sidで車外照合が成立することを確認すると、ドアロック解錠を許可する。これにより、車外ドアハンドルノブ28(図1参照)がタッチ操作されたことをノブ内蔵のタッチセンサ28aにより検出すると、ドアロックが解錠される。リクエスト信号Srqの送信動作は、ドアロックが解錠となった時点で停止される。
一方、ドアロックが解錠下で、車外ドアハンドルノブ28のロックボタン28bが押し操作されたとする。このとき、照合ECU7は、解錠のときと同様の方式で車外漏洩同軸ケーブル17aからリクエスト信号Srqを送信させる。そして、照合ECU7は、このリクエスト信号Srqに電子キー2が応答して返してきたID信号Sidで車外照合が成立することを確認すると、解錠状態にあるドアロックを施錠する。
ドアロック解錠後にユーザが車内に乗車した際、ドアの開閉を例えばカーテシスイッチ(図示略)により検出すると、図7に示すように、続いて照合ECU7は車内漏洩同軸ケーブル17bからリクエスト信号Srqを送信させる。そして、照合ECU7は、このリクエスト信号Srqに応答して電子キー2が返信してきたID信号Sidで車内照合が成立すると、エンジン始動を許可する。これにより、車内のエンジンスイッチが操作された際には、エンジンが始動する。
さて、本例においては、キー操作フリーシステム3の車両1側の送受信アンテナとして漏洩同軸ケーブル17を使用し、漏洩同軸ケーブル17を送信アンテナとして使用する際には、弱い送信強度で電波を送信させる。このため、車両1から例えば数10cm〜1m数十cm程度の距離にUHF帯の電波がほぼ均一に届き、LFアンテナを使用したときと、ほぼ同等の送信エリアを形成することが可能となる。また、漏洩同軸ケーブル17を受信アンテナとして使用する際には、送信電力が強ければ、受信エリアの広いアンテナとなるので、従来から使用していた例えばホイップアンテナ等と同様の受信エリアも確保することが可能である。
また、本例のように、車両1の送受信アンテナとして漏洩同軸ケーブル17(17a,17b)を採用すれば、キー操作フリーシステム3の相互通信において、車両1から電子キー2への往路通信と、電子キー2から車両1への復路通信とを、ともにUHF帯に統一することが可能となる。よって、往路通信と復路通信とで異なる周波数の電波を使用せずに済むので、背景技術でも述べたように搭載位置の設定に困難性を伴うLFアンテナを車両1の送信アンテナとして使用せず済むという利点も得られる。
さらに、この種の漏洩同軸ケーブル17には、スロット長さLやスロット間隔Wやスロット密度を変えるだけで、簡単に通信エリアを変更することができる利点がある。よって、本例のように車両アンテナとして漏洩同軸ケーブル17を使用すれば、車両1の電波送信エリアや電波受信エリアの範囲を、簡単に設定することが可能となる。このため、LFアンテナを使用したときのように複数のアンテナを車両1に設置することなく、車両周囲全体に略円弧状の通信エリアを、困難性を伴う作業を必要とすることなく適宜設けることが可能となる。
また、往路通信と復路通信とで周波数を統一することができれば、電子キー2には、UHF帯の通信機のみを載せればよいことになる。このため、従来は電子キー2にLF受信機とUHF送信機の2種類の帯域の通信機(アンテナ及び通信回路)を載せる必要があったが、本例の場合は、UHFという一種類の通信機のみ搭載すればよい。よって、電子キー2に搭載する通信機が少なく済むので、その分だけ電子キー2を小型化することも可能となる。
ところで、図1や図2に示すように、例えば車両1に、タイヤの空気圧を走行しながらチェックするタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)29が搭載されている場合、漏洩同軸ケーブル17をTPMS29の受信アンテナとして使用することも可能である。TPMS29は、各タイヤに取り付けられたセンサユニット29aからタイヤ空気圧信号Stpを車体に送信し、タイヤ空気圧に異常があった場合、そのタイヤを運転者に通知するシステムである。これらセンサユニット29a…は、それぞれが個別に独立して動き、タイヤ空気圧信号StpをUHF帯の電波によって自発的に送信する。
この場合、車両1には、TPMS29のコントロールユニットとしてタイヤ空気圧監視ECU30が設けられている。タイヤ空気圧監視ECU30は、TPMS29の受信チューナとしても共用されている漏洩同軸ケーブル17(車外通信機8及び車内通信機9)に接続されている。タイヤ空気圧監視ECU30は、漏洩同軸ケーブル17でタイヤ空気圧信号Stpを受信すると、タイヤ空気圧信号Stpを基に各タイヤの空気圧を把握する。タイヤ空気圧監視ECU30は、タイヤ空気圧の監視結果から、空気圧異常が発生しているタイヤがあることを認識すると、例えば車内メータにそのタイヤを表示して運転者に通知する。
ところで、漏洩同軸ケーブル17は、車体縁に這わせて配置されるので、各タイヤに設けたセンサユニット29a…と非常に接近した位置状態をとる。よって、漏洩同軸ケーブル17をTPMS29の車両チューナとして使用すれば、センサユニット29a…からのタイヤ空気圧信号Stpを、より確実に車両1に受け取らせることが可能となる。従って、この場合は、スマート通信の通信周波数のUHF統一化と、TPMS29の通信成立性確保とを両立することができる。
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)キー操作フリーシステム3の車両1の送受信アンテナとして漏洩同軸ケーブル17を使用したので、キー操作フリーシステム3の往路通信と復路通信とを、ともにUHF帯の電波に統一することができる。よって、車両1の送信アンテナとしてLFアンテナを使用せずに済むので、アンテナ設置に困難性を要さずアンテナ配置を行うことができる。また、電子キー2にはUHF帯の通信機のみ搭載すればよいので、その分だけ電子キー2を小型化することもできる。
(1)キー操作フリーシステム3の車両1の送受信アンテナとして漏洩同軸ケーブル17を使用したので、キー操作フリーシステム3の往路通信と復路通信とを、ともにUHF帯の電波に統一することができる。よって、車両1の送信アンテナとしてLFアンテナを使用せずに済むので、アンテナ設置に困難性を要さずアンテナ配置を行うことができる。また、電子キー2にはUHF帯の通信機のみ搭載すればよいので、その分だけ電子キー2を小型化することもできる。
(2)漏洩同軸ケーブル17を車外(運転席側、助手席側)及び車内のそれぞれに設けて、これらケーブル単位で通信エリアを切り分けるので、ID照合時の電子キー2の位置確認を車外及び車外で細分化することができる。よって、本例のように車外照合が成立すればドアロック施解錠を許可し、車内照合が成立すればエンジン始動を許可する許可するというような制御も、問題なく実行することができる。
(3)漏洩同軸ケーブル17を送信及び受信の両方が可能な送受信アンテナとするので、車両1に送信アンテナと受信アンテナとでそれぞれ別々に用意せずに済む。よって、車両1のアンテナに必要となる部品点数を少なく抑えることができ、ひいては部品コストも低く抑えることができる。
(4)漏洩同軸ケーブル17をTPMS29の受信アンテナとして使用した場合、漏洩同軸ケーブル17は車体縁に這わせて配置されるので、各タイヤに設けたセンサユニット29aと非常に近い位置関係をとる。このため、センサユニット29aから送信されたタイヤ空気圧信号Stpを強い電波で受けることが可能となるので、より確実にタイヤ空気圧信号Stpを受信することができる。
(第2実施形態)
次に、本例の第2実施形態を図8及び図9に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態の車両アンテナ構造を他の構造に変更した実施形態であって、他の基本的な構成は同じである。よって、同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
次に、本例の第2実施形態を図8及び図9に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態の車両アンテナ構造を他の構造に変更した実施形態であって、他の基本的な構成は同じである。よって、同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
図8に示すように、車両1には、車外周辺にリクエスト信号Srqの通信エリアを形成する車外送信機31と、車内全域にリクエスト信号Srqの通信エリアを形成する車内送信機32とが設けられている。車外送信機31は、運転席側車外送信機31aと、助手席側車外送信機31bとからなる。運転席側車外送信機31aは、第1実施形態のような車外漏洩同軸ケーブル17a(17aa)を備え、送信回路23を介して照合ECU7に接続されている。また、助手席側車外送信機31bも、第1実施形態のような車外漏洩同軸ケーブル17a(17ab)を備え、送信回路23を介して照合ECU7に接続されている。更に、車内送信機32は、第1実施形態のような車内漏洩同軸ケーブル17bを備え、送信回路23を介して照合ECU7に接続されている。
照合ECU7には、漏洩同軸ケーブル17a,17bの電波送信動作を管理する送信動作制御部33が設けられている。送信動作制御部33は、これら漏洩同軸ケーブル17a,17bのどのケーブルから、どのような送信電波を送信させるのかを動作管理する。
また、車両1には、電子キー2からのUHF帯の電波を受信可能な車両チューナ34が設けられている。車両チューナ34は、モノポールアンテナの一種であるホイップアンテナ35からなるとともに、受信回路36を介して照合ECU7に接続されている。ホイップアンテナは、1本の針金で形成されるアンテナであって、感度に特定方向を持たない無指向性アンテナであり、どの方向に対しても均等な受信感度を有する。
さて、車両1が駐車状態の際、照合ECU7は、車外漏洩同軸ケーブル17aa,17abからリクエスト信号SrqをUHF帯の電波によって送信させる。漏洩同軸ケーブル17aa,17abの電波送信は、送信動作制御部33によって管理される。このとき、リクエスト信号Srqは、運転席側車外漏洩同軸ケーブル17aa→助手席側車外漏洩同軸ケーブル17abの順で繰り返し送信される。電子キー2は、リクエスト信号Srqを受信すると、ID信号SidをUHF帯の電波により返信する。照合ECU7は、リクエスト信号Srqの送信後にID信号Sidを車両チューナ34で受信して車外通信が成立すると、車両チューナ34で受信したID信号SidでID照合を行い、ID照合が成立すればドアロック施解錠を許可又は実行する。
送信動作制御部33は、ユーザが車内に乗車したことを確認すると、今度は車内送信機32、つまり車内漏洩同軸ケーブル17bからリクエスト信号Srqを送信して車内通信を実行する。このリクエスト信号Srqは、定期的に繰り返し車内送信機32から送信される。照合ECU7は、車内の電子キー2がリクエスト信号Srqに応答して返信したID信号Sidを車両チューナ34で受信すると、車内照合を実行する。そして、照合ECU7は、車内照合が成立したことを確認すると、エンジンスイッチによる電源遷移操作を許可する。
従って、本例のように、車両1の受信アンテナをホイップアンテナ35とし、車両1の送信アンテナであるLFアンテナのみを漏洩同軸ケーブル17とすることも可能となる。こうすれば、ホイップアンテナ35を車両1の受信アンテナとして使用することが可能となる。
また、送信機31,32が漏洩同軸ケーブル17からなり、車両チューナ34がホイップアンテナ35からなることに限らず、図9に示すように、これらのアンテナ構造を送受で入れ換えてもよい。即ち、車外送信機31及び車内送信機32がホイップアンテナ35からなるとともに、車両チューナ34が漏洩同軸ケーブル17からなるものでもよい。この場合、照合ECU7には、漏洩同軸ケーブル17による受信動作を管理する受信動作制御部37が設けられ、この受信動作制御部37によって漏洩同軸ケーブル17の受信動作が制御される。
よって、この場合は、車両1の受信アンテナを漏洩同軸ケーブル17により形成したので、漏洩同軸ケーブル17に切るスロット22の長さや間隔や密度等を適宜設定することによって、簡単に車両1の受信エリアを取り決めることが可能となる。このため、受信エリアの設定に際して、例えば受信機を複数用意したり或いは受信機の配置位置を細かく設定したりする必要がなくなるので、簡単な作業によって好適な受信エリアを形成することが可能となる。
本実施形態の構成によれば、第1実施形態の(1),(2),(4)に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(5)ホイップアンテナ35には、漏洩同軸ケーブル17よりもアンテナ利得が高いという利点があるので、本例のようにホイップアンテナ35を車両1の受信アンテナとして使用すれば、車両1の受信エリアを広くとることができ、電子キー2からの電波をより確実に車両1に届かせることができる。ところで、漏洩同軸ケーブル17を車両1の受信アンテナとした場合、漏洩同軸ケーブル17にはアンテナとしての利得があまり無いため、広い通信エリアを確保するには、例えば電子キー2の送信出力を高くするなどの対応が必要となる。しかし、電子キー2の送信出力を上げようとすると、電子キー2の電池を極度に消費したり、或いは電波法に抵触したりするなどの問題があり、実際のところ電子キー2の送信出力を上げることはできない現状がある。よって、本例のように車両1の受信アンテナとしてホイップアンテナ35を使用するということは、前述した問題に触れることなく通信エリアを確保できるという点からしてみて、非常に効果が高いと言える。即ち、第1実施形態の場合には送信電力が強くなくてはならない場合もあるが、本例ではこの点を改善することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図10〜図15に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態の車両アンテナ構造を他の構造に変更したのみの実施形態であるので、本例も変更部分についてのみ詳述する。なお、本例の場合は、説明簡略のために、車外通信機8と車内通信機9とを1つにまとめて説明し、車外漏洩同軸ケーブル17a及び車内漏洩同軸ケーブル17bも、まとめて1つの漏洩同軸ケーブル17として表記する。
(5)ホイップアンテナ35には、漏洩同軸ケーブル17よりもアンテナ利得が高いという利点があるので、本例のようにホイップアンテナ35を車両1の受信アンテナとして使用すれば、車両1の受信エリアを広くとることができ、電子キー2からの電波をより確実に車両1に届かせることができる。ところで、漏洩同軸ケーブル17を車両1の受信アンテナとした場合、漏洩同軸ケーブル17にはアンテナとしての利得があまり無いため、広い通信エリアを確保するには、例えば電子キー2の送信出力を高くするなどの対応が必要となる。しかし、電子キー2の送信出力を上げようとすると、電子キー2の電池を極度に消費したり、或いは電波法に抵触したりするなどの問題があり、実際のところ電子キー2の送信出力を上げることはできない現状がある。よって、本例のように車両1の受信アンテナとしてホイップアンテナ35を使用するということは、前述した問題に触れることなく通信エリアを確保できるという点からしてみて、非常に効果が高いと言える。即ち、第1実施形態の場合には送信電力が強くなくてはならない場合もあるが、本例ではこの点を改善することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図10〜図15に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態の車両アンテナ構造を他の構造に変更したのみの実施形態であるので、本例も変更部分についてのみ詳述する。なお、本例の場合は、説明簡略のために、車外通信機8と車内通信機9とを1つにまとめて説明し、車外漏洩同軸ケーブル17a及び車内漏洩同軸ケーブル17bも、まとめて1つの漏洩同軸ケーブル17として表記する。
図10及び図11に示すように、送信回路23には、漏洩同軸ケーブル17が接続され、この漏洩同軸ケーブル17には、例えばa接点からなる第1切換スイッチ41aを介してホイップアンテナ35が接続されている。第1切換スイッチ41aは、漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35を直列接続するためのものであって、切り換えが送受信動作制御部27によって管理されている。また、ホイップアンテナ35は、例えばa接点からなる第2切換スイッチ41bを介して受信回路24に接続されている。第2切換スイッチ41bは、ホイップアンテナ35を受信回路24に接続するか否かを決めるためのもので、切り換えが送受信動作制御部27によって管理されている。
図10(a)に示すように、送受信動作制御部27は、送信動作の際、第1切換スイッチ41aをオンしつつ、第2切換スイッチ41bをオフして、漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35を直列のアンテナとして電波送信を実行する。このとき、ホイップアンテナ35が利いて、電波が遠方まで送信される。また、図10(b)に示すように、送受信動作制御部27は、送信動作の際、第1切換スイッチ41a及び第2切換スイッチ41bの両方をオフして、漏洩同軸ケーブル17のみを車両送信アンテナとして使用することも可能である。このとき、漏洩同軸ケーブル17から狭い範囲でのみ電波が送信される。
図11に示すように、送受信動作制御部27は、受信動作の際、第1切換スイッチ41aをオフし、第2切換スイッチ41bをオンすることで、ホイップアンテナ35を車両受信アンテナとして使用する。ホイップアンテナ35には、通信領域を広くとることができる特性があるので、この場合、受信エリアを広くとれる。送受信動作制御部27は、ID照合の送受の各タイミングで、車両1の通信状態を送信状態又は受信状態の一方に切り換える。なお、ホイップアンテナ35が他アンテナに相当し、送受信動作制御部27及び切換スイッチ41a,41bがアンテナ選択手段を構成する。
さて、図12に示すように、車両1が駐車状態をとる際、照合ECU7は、スマート通信における最初の送信動作として、車両周囲にウェイク信号42を断続的に送信してウェイク信号42の通信エリアを形成し、車両周囲に電子キー2が存在するか否かを確認する。ウェイク信号42は、待機状態(スリープ状態)にある電子キー2を電源オン状態に切り換えるための信号である。
このとき、送受信動作制御部27は、図10(a)に示すように、第1切換スイッチ41aをオンし、第2切換スイッチ41bをオフし、ホイップアンテナ35を利かせて、ウェイク信号42を送信させる。ここで、ホイップアンテナ35には、電波が遠くまで飛ぶという特性がある。よって、この場合の送信アンテナにはホイップアンテナ35が含まれるアンテナ構造をとるので、図13に示すように、ウェイク信号42の通信エリアが広域エリアで形成される。このため、電子キー2が車両1の遠くに位置していても、その地点から車外照合を開始することが可能となる。
ウェイク信号42の通信エリアに電子キー2が進入してウェイク信号42を受信すると、電子キー2はウェイク信号42に含まれるウェイクコードを照合する。電子キー2は、このウェイクコード照合が成立することを確認すると、通信制御部10を電源オン状態に切り換え、アック信号43をキー送受信機13からUHF帯の電波により送信する。
送受信動作制御部27は、ウェイク信号42を送信した後、図10(b)に示すように、今度は第1切換スイッチ41aをオフし、第2切換スイッチ41bをオンして、ホイップアンテナ35を受信アンテナに切り換え、電子キー2からの応答有無を確認する。このとき、電子キー2がアック信号43を返信していれば、この受信タイミングでアック信号43を受信する。なお、この受信動作は、以降の通信において、電子キー2が電波を送信してくるであろうタイミングで逐次実行される。
送受信動作制御部27は、ウェイク信号42に対するアック返信を受信すると、車両送信エリアを大→小に切り換えるために、図10(b)に示すように、第1切換スイッチ41aをオフして、漏洩同軸ケーブル17のみを送信アンテナとする。よって、以降は、漏洩同軸ケーブル17で車両送信エリアが形成されるので、車両送信エリアが車両1の極近傍位置にのみ形成される。このため、電子キー2は、ウェイク状態をとっているものの、車両1に極接近して漏洩同軸ケーブル17の通信エリアに侵入しないと、照合が継続されない。
照合ECU7は、ウェイク信号42を送信した後の所定時間内に、電子キー2からアック信号43を受信すると、車両ドア周囲に電子キー2が存在すると認識する。そして、照合ECU7は、続いて車両固有のIDとしビークルID44の送信動作に入る。
ところで、車両1がウェイク信号42を送信した際、電子キー2からのアック応答を車両1が受信すると、車両1の送信エリアが狭域エリアに切り換えられるので、ビークルID44の通信エリアは、図13に示すように、車両1の近傍のみにのみ形成される。つまり、ウェイク信号42の通信エリアは広域エリアで形成されるものの、ビークルID44の通信エリアは車両1の極近傍、即ち狭域エリアで形成される。このため、広域送信されるウェイク信号42によって電子キー2をより確実に起動させてから、ビークルID44以降の照合が実行される。ビークルID44は、電子キー2が直ぐにビークルID44の通信エリアに進入しないことも考慮に入れて、例えば複数回送信される。
電子キー2は、狭域エリアからなるビークルID44の通信エリアに進入してビークルID44を受信すると、このビークルID44が正しいか否かを見る確認としてビークルID照合を実行する。このように、ビークルID照合を実行するのは、特定のキーのみ動作させるためである。そして、電子キー2は、ビークルID照合が成立したことを確認すると、これを車両1に通知すべくアック信号45をUHF帯の電波により送信する。
照合ECU7は、ビークルID44を送信した後の所定時間内にアック信号45を受信すると、ビークルID照合が成立したことを認識し、続いてチャレンジ46を送信する。チャレンジ46には、キー番号とチャレンジコードとが含まれている。チャレンジ46の通信エリアは、ビークルID44と同様に、車両1の極近傍の狭域エリアによって形成される。なお、チャレンジコードは、送信の度に値が毎回変わる乱数コードである。また、キー番号は、電子キー2がマスターキーやどのサブキーかを見分けるための情報である。
電子キー2は、このチャレンジ46を受信すると、まずはこのチャレンジ46の中のキー番号の正否を見る番号照合を実行し、自身がこのときのスマート通信の通信対象であるか否かを判断する。そして、この番号照合が成立すると、電子キー2は、同じチャレンジ46の中に含まれるチャレンジコードを、自身の暗号鍵によって演算することにより、レスポンスコードを生成する。電子キー2は、レスポンスコードの生成作業が終了すると、自身のメモリ12に登録されたIDコードとこのレスポンスコードとを含んだデータ群を、レスポンス47としてUHF帯の電波により送信する。
照合ECU7は、チャレンジ46を送信する際、自身もレスポンスコードを演算する。そして、照合ECU7は、レスポンス47を受信すると、まずはレスポンス47内のIDコードを照合し、続いてレスポンス内のレスポンスコードを照合する。照合ECU7は、これら両方の照合が成立することを確認すると、スマート照合が成立したと認識し、車両ドアのドアロックの解錠を許可又は実行する。
なお、電子キー2で車両1のドアロックを施錠する場合にも、車両1及び電子キー2の間で無線によるID照合が実行されるが、この照合時に実行される動作も解錠時と基本的に同様であるので、説明は省略する。また、車内照合時に実行されるID照合も、この場合は車両送信アンテナが車外のものから車内のものに代わるだけで、基本的な動作態様はドア解錠時と同様であるので、この場合の説明についても省略する。
従って、本例の場合、ウェイク信号42の送信の際には、漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35を直列のアンテナとして電波送信するので、ホイップアンテナ35によってウェイク信号42が広域に送信される。よって、ID照合を開始する前に、電子キー2をより確実に起動しておくことが可能となる。また、ウェイク信号42が広域に送信されるということは、電子キー2がどの位置に存在していても、ウェイク信号42が電子キー2に届くことになるので、通信の成立性確保という点からも非常に効果が高い。
また、車両1のアンテナは、図14に示すように、ホイップアンテナ35のみを車両1の送信アンテナとし、漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35の直列のアンテナを車両1の受信アンテナとして使用してもよい。この場合、第1切換スイッチ41aは、送信回路23とホイップアンテナ35との間に接続されている。また、受信回路24には、漏洩同軸ケーブル17が接続され、この漏洩同軸ケーブル17が第2切換スイッチ41bを介してホイップアンテナ35に接続されている。
ところで、漏洩同軸ケーブル17は、車体縁という取り付け位置の関係上、各種車載機器の直近に配置されるので、これら車載機器からノイズを拾い易いという現状がある。しかし、図14に示すように、漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35の直列のアンテナを車両1の受信アンテナとすれば、位置的にノイズを拾い難いホイップアンテナ35がアンテナの構成部品となるので、車両1の受信アンテナをノイズに対して耐性の高いものとすることが可能となる。
また、図15に示すように、車両1の送信アンテナ及び受信アンテナを、ともに漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35からなる直列のアンテナとしてもよい。この場合、車両1の送信アンテナを直列のアンテナとした際に得られる通信成立性向上という効果と、車両1の受信アンテナを直列のアンテナとした際に得られる耐ノイズ性向上という効果とを、1つのキー操作フリーシステム3で両方得ることが可能となる。
本実施形態の構成によれば、前記実施形態の(1)〜(5)に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(6)車両1のアンテナを漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35の直列のアンテナとして使用するので、アンテナの要素に通信強度が強いホイップアンテナ35を持つ分だけ、通信エリアを広くとることができる。よって、電子キー2が車両1から遠い位置や、又は車内の隅に位置していたとしても、問題なく通信を成立させることができる。
(6)車両1のアンテナを漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35の直列のアンテナとして使用するので、アンテナの要素に通信強度が強いホイップアンテナ35を持つ分だけ、通信エリアを広くとることができる。よって、電子キー2が車両1から遠い位置や、又は車内の隅に位置していたとしても、問題なく通信を成立させることができる。
(7)スマート通信の際、まずは最初にホイップアンテナ35によって広いエリアでウェイク信号42の通信エリアを形成することにより、通信の際に電子キー2をより確実に起動させ、電子キー2が車両近傍に近づいた否かを確認するために漏洩同軸ケーブル17を使用する通信手順をとる。このため、スマート通信時にホイップアンテナ35で電子キー2との距離を確認してから、漏洩同軸ケーブル17により車両近傍でスマート通信の実通信に移行することになるので、スマート通信の通信成立の確実性という点から見て非常に効果が高いと言える。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を図16〜図18に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態に記載の漏洩同軸ケーブル17を他の構造(形状)に変更したのみの実施形態であるので、本例も変更部分についてのみ詳述する。
次に、第4実施形態を図16〜図18に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態に記載の漏洩同軸ケーブル17を他の構造(形状)に変更したのみの実施形態であるので、本例も変更部分についてのみ詳述する。
図16に示すように、スロット22は、スロット長さLの異なるものが複数形成されている。本例の場合、スロット長さLの長い大スロット22aと、スロット長さLが短い小スロット22bとの2種類が形成されている。ところで、スロット22は、スロット長さLが長いと周波数の低い電波を通すことが可能で、スロット長さLが短いと周波数の高い電波を通すことが可能である。よって、図17に示すように、大スロット22aからは低い周波数f1の電波が放射可能で、小スロット22bからは高い周波数f2の電波が放射可能となっている。
ところで、数百MHz帯域の電波は、例えば100MHzの単位で周波数を変えても、通信エリアはさほど変化しない現状がある。よって、周波数ごとに送信出力を個別に設定した場合には、スロット22に応じた周波数が、送信出力に応じたエリアで漏れるため、周波数ごと(スロット22ごと)に通信エリアの大きさを変えることが可能である。本例の場合、図17に示すように、スロット22として大スロット22a及び小スロット22bの2種類を設け、大スロット22aから低い周波数f1の電波を放射させ、小スロット22bから高い周波数f2の電波を放射させることで、漏洩同軸ケーブル17の通信エリアを細分可能となっている。
本例の場合、小スロット22bは、大スロット22aの放射電波の周波数に対して、疎の周波数の電波を放射可能である。例えば、大スロット22aからf1として300MHzの電波が出力可能あれば、小スロット22bからは例えば300MHzの疎の周波数、つまりf2として450MHzの電波が放射可能である。よって、f1の送信電力がf2の送信電力より小さければ、大スロット22aの周囲には周波数が300MHzの狭い通信エリアが形成され、小スロット22bの周囲には周波数が450MHzという別の通信エリアが形成される。
また、同一の1つのスロット22からは、電波の波長の関係上、逓倍波の周波数の電波が放射可能である。例えば、300MHzの周波数を放射可能な大スロット22aからは、300MHzの逓倍波(n×300MHz(n=2,3…))の電波が放射される。また、450MHzの周波数を放射可能な小スロット22bからは、450MHzの逓倍波(n×450MHz(n=2,3…))の電波が放射される。このように、1つのスロット22から、複数の周波数電波を送信することも可能で、放射電波の周波数を逓倍波で切り換えることにより通信エリアを変更することも可能である。
送受信動作制御部27は、図17に示すように、1つの送信データを複数周波数(300MHz、450MHz)により漏洩同軸ケーブル17に同時に流して同ケーブル17を送信させる、いわゆるFDMA(Frequency Division Multiple Access)方式によって、大スロット22a及び小スロット22bの両方に、それぞれ異なる通信エリアを同時形成可能である。これにより、車両1の周囲にリクエスト信号Srqを大きめの通信エリアで形成することが可能となる。
また、送受信動作制御部27は、図18に示すように、1つの送信データを異なる周波数(300MHz、450MHz)により漏洩同軸ケーブル17に順に流して同ケーブル17を送信させる、いわゆるTDMA(Time Division Multiple Access)方式によって、大スロット22a及び小スロット22bのそれぞれに、順にリクエスト信号Srqの通信エリアを形成可能である。これにより、車両1の通信エリアを細分化して形成することが可能である。また、図17及び図18の方式を使い分けて通信エリアを形成すれば、通信エリアを更に細かく細分することが可能となる。なお、送受信動作制御部27が複数帯域通信手段に相当する。
さて、本例の場合は、漏洩同軸ケーブル17にスロット長さLが互いに異なるスロット22、即ち大スロット22a及び小スロット22bを設け、漏洩同軸ケーブル17を複数周波数により送信可能とした。このため、送信周波数の違いによって、それぞれ異なる通信エリア(送信エリア)を車両周囲に形成することが可能となるので、車両1の通信エリアの更なる細分化が可能となる。なお、この技術は、車両周囲に送信エリアを形成する際に用いられることに限らず、受信エリアを形成するときにも同様に応用可能である。
本実施形態の構成によれば、前記実施形態の(1)〜(7)に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(8)漏洩同軸ケーブル17に長さLがそれぞれ異なるスロット22、即ち大スロット22a及び小スロット22bの2種類を設け、漏洩同軸ケーブル17に複数周波数を割り当てる。このため、通信動作時の使用周波数を切り換えれば、漏洩同軸ケーブル17の通信エリアを使用周波数に応じて切り換えることが可能となるので、漏洩同軸ケーブル17の通信エリアをより細かく細分化することができる。
(8)漏洩同軸ケーブル17に長さLがそれぞれ異なるスロット22、即ち大スロット22a及び小スロット22bの2種類を設け、漏洩同軸ケーブル17に複数周波数を割り当てる。このため、通信動作時の使用周波数を切り換えれば、漏洩同軸ケーブル17の通信エリアを使用周波数に応じて切り換えることが可能となるので、漏洩同軸ケーブル17の通信エリアをより細かく細分化することができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態を図19〜図22に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態に記載の通信処理を変更したのみの実施形態であるので、本例も変更部分についてのみ詳述する。
次に、第5実施形態を図19〜図22に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態に記載の通信処理を変更したのみの実施形態であるので、本例も変更部分についてのみ詳述する。
図19に示すように、車両1には、漏洩同軸ケーブル17が複数(本例は2つ)設けられるとともに、ホイップアンテナ35も設けられている。これら漏洩同軸ケーブル17,17及びホイップアンテナ35は、電波送信及び電波受信の両方が可能な送受信アンテナとなっている。このため、車外通信機8及び車内通信機9は、2つの漏洩同軸ケーブル17,17及び1つのホイップアンテナ35という計3つのアンテナを持つ通信機として形成されている。
照合ECU7には、これら通信機8,9に受信動作としてスペースダイバーシティ方式を実行させるダイバーシティ実行部51が設けられている。スペースダイバーシティ方式とは、複数アンテナで同時に受信動作を行い、複数の受信アンテナのうち、たとえ一方の受信電波が低くなっても、別の受信アンテナの受信電波で補助することにより、互いに助け合いながら受信電波のレベル変動を少なく抑える受信技術である。受信動作としてスペースダイバーシティ方式を採用すれば、もし仮に通信環境下において受信電波が激しく変動する場合であっても、電波受信が可能となる。なお、ダイバーシティ実行部51が受信制御手段に相当する。
また、照合ECU7には、ダイバーシティ実行部51の処理結果を基に、通信のリトライを実行するリトライ実行部52が設けられている。リトライ実行部52は、ダイバーシティ実行部51による受信結果を基に、電子キー2がリクエスト信号Srqを受信したことにより分かる送信エリアと、電子キー2がリクエスト信号Srqに応答して返信してくるID信号Sidを受信した際に分かる受信エリアとが一致するか否かを確認する。そして、リトライ実行部52は、これらエリアが不一致となる場合に、送信エリアのレベルを切り換えて、ID照合を再実行する。なお、リトライ実行部52がリトライ手段に相当する。
さて、本例の場合、このスペースダイバーシティ方式を利用して受信強度の違いを確認することにより、電子キー2のエリア、即ち現在位置を特定する。このとき、まず通信主制御部26は、漏洩同軸ケーブル17,17及びホイップアンテナ35から順にリクエスト信号Srqを選択的に送信して、どのアンテナで通信が確立するかを見ることにより、電子キー2のエリアを特定する。なお、リクエスト信号Srqは、電子キー2をより確実に起動させておくために、図20や図21に示すように広めのエリアで送信される。このとき、例えば電子キー2が漏洩同軸ケーブル17の送信エリア内にあれば、漏洩同軸ケーブル17が送信したリクエスト信号Srqに電子キー2が応答して通信が確立するので、漏洩同軸ケーブル17の送信エリアに電子キー2が位置していることが確認される。
車両1がID信号Sidを受信すると、ダイバーシティ実行部51はこのID信号Sid、即ち受信電波の受信強度RSSI(Receive Signal Strength Indication)を算出し、電子キー2のエリア、即ち現在位置を特定する。このとき、例えば図20に示すように、リクエスト信号Srqを送信した漏洩同軸ケーブル17xの受信エリアに電子キー2が位置していれば、送信と受信とのエリアが一致する。このため、リトライ実行部52は、このときの通信を成立として処理し、例えばドアロック施解錠を許可する。
一方、図21に示すように、電子キー2が隣の漏洩同軸ケーブル17yの受信エリアに位置する場合には、電子キー2からの応答であるID信号Sidは、距離が近い隣の漏洩同軸ケーブル17yで受信される。このため、送信と受信のエリアが不一致となる。よって、リトライ実行部52は、このときの通信を不成立として処理し、漏洩同軸ケーブル17,17及びホイップアンテナ35から出すリクエスト信号Srqのレベルを切り換えて、つまりリクエスト信号Srqの送信範囲を狭めて、通信成立の確認を再挑戦する。このため、本例の場合は、送信及び受信のエリアが一致して初めて通信成立とするので、通信成立の精度を高いものとすることが可能となる。
次に、第5実施形態の通信動作を図22のフローチャートに従って説明する。なお、このフローチャートは、照合ECU7によって定期的に繰り返し実行される。
ステップ100では、2本の漏洩同軸ケーブル17とホイップアンテナ35から順にリクエスト信号Srqを送信する。
ステップ100では、2本の漏洩同軸ケーブル17とホイップアンテナ35から順にリクエスト信号Srqを送信する。
ステップ101では、リクエスト信号Srqに応答して電子キー2が返信してきたID信号Sidを受信したか否かを確認する。ID信号Sidを受信すれば、ステップ102に移行し、ID信号Sidを受信しなければ、このフローチャートを終了する。なお、ID信号Sidを受信した際、このときに送信したリクエスト信号Srqのエリアを、電子キー2の位置判定に使用する送信エリアとして取り込む。
ステップ102では、ID信号Sidを受信したときのRSSIをスペースダイバーシティ方式により確認する。即ち、ID信号Sidの受信エリアを確認する。
ステップ103では、リクエスト信号Srqの送信エリアと、ID信号Sidの受信エリアとが一致するか否かを確認する。これらエリアが一致すれば、ステップ104に移行し、これらエリアが一致しなければ、ステップ105に移行する。
ステップ103では、リクエスト信号Srqの送信エリアと、ID信号Sidの受信エリアとが一致するか否かを確認する。これらエリアが一致すれば、ステップ104に移行し、これらエリアが一致しなければ、ステップ105に移行する。
ステップ104では、ID照合を実行する。即ち、電子キー2から受信したID信号SidによりIDコードを照合する。
ステップ105では、スマート通信をリトライする。即ち、漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35から出す電波を低レベルに切り換えて、スマート通信を再実行する。これにより、電子キー2の位置確認を精度よく実行することが可能となる。
ステップ105では、スマート通信をリトライする。即ち、漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35から出す電波を低レベルに切り換えて、スマート通信を再実行する。これにより、電子キー2の位置確認を精度よく実行することが可能となる。
ステップ106では、リトライの実行回数が制限回数内か否かを確認する。リトライ回数が制限回数内であれば、ステップ100に戻って、スマート通信を低い電波レベルで再実行し、リトライ回数が制限回数を超える場合には、フローチャートを終了する。
本実施形態の構成によれば、前記実施形態の(1)〜(8)に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(9)リクエスト信号Srqの送信エリアと、リクエスト信号Srqの応答であるID信号Sidの受信エリアとが不一致の際には、リクエスト信号Srqの通信エリア、即ち電波送信のレベルを切り換えて、ID照合を再実行する。このため、送信エリアと受信エリアとが一致して初めてID照合が成立とみなされるので、高い精度で通信を成立として処理することができる。
(9)リクエスト信号Srqの送信エリアと、リクエスト信号Srqの応答であるID信号Sidの受信エリアとが不一致の際には、リクエスト信号Srqの通信エリア、即ち電波送信のレベルを切り換えて、ID照合を再実行する。このため、送信エリアと受信エリアとが一致して初めてID照合が成立とみなされるので、高い精度で通信を成立として処理することができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・第1〜第3実施形態をまとめると、図23に示す表となる。このように、本発明の技術思想は、種々の形式に応用可能である。
・第1〜第3実施形態をまとめると、図23に示す表となる。このように、本発明の技術思想は、種々の形式に応用可能である。
・第1〜第5実施形態において、図24に示すように、スロット間隔Wを適宜変更して、漏洩同軸ケーブル17の通信エリアを切り換えることも可能である。
・第1〜第5実施形態において、図25に示すように、複数の漏洩同軸ケーブル17,17…をカスケード接続(直列接続)するとともに、この接続箇所にスイッチ部61を設け、このスイッチ部61のオンオフを切り換えることにより、漏洩同軸ケーブル17の通信エリアの更なる細分化を可能としてもよい。なお、スイッチ部61は、マイクロスイッチやトランジスタ等が採用可能である。
・第1〜第5実施形態において、図25に示すように、複数の漏洩同軸ケーブル17,17…をカスケード接続(直列接続)するとともに、この接続箇所にスイッチ部61を設け、このスイッチ部61のオンオフを切り換えることにより、漏洩同軸ケーブル17の通信エリアの更なる細分化を可能としてもよい。なお、スイッチ部61は、マイクロスイッチやトランジスタ等が採用可能である。
・第1〜第5実施形態において、スロット22は、溝が縦向きをとることに限らず、例えば横向きや斜め向きをとっていてもよい。また、スロット22は、溝が縦向きのもの、横向きのもの、斜め向きのものを、適宜併用可能である。
・第1〜第5実施形態において、通信エリアの区分けは、運転席側車外、助手席側車外、車内の3つに限定されない。例えば、車外を右前方、左前方、右後方、左後方、トランクの5つとしてもよいし、また車内を複数のエリアに細分してもよい。
・第1〜第5実施形態において、車両1の送信エリアと受信エリアとは、互いにエリアが異なることに限らず、例えば同一エリアをとってもよい。
・第1〜第5実施形態において、漏洩同軸ケーブル17を直列繋ぎする場合、その本数は2本に限定されず、3本以上であってもよい。
・第1〜第5実施形態において、漏洩同軸ケーブル17を直列繋ぎする場合、その本数は2本に限定されず、3本以上であってもよい。
・第1〜第5実施形態において、電子キー2のアンテナ回路は、1つのキー送受信機13から構成されることに限らず、送信と受信とでそれぞれ別々に形成されていてもよい。
・第1〜第5実施形態において、漏洩同軸ケーブル17の配置位置は、車体縁や車内床に限定されず、屋根やピラーなど他の箇所も採用可能である。
・第1〜第5実施形態において、漏洩同軸ケーブル17の配置位置は、車体縁や車内床に限定されず、屋根やピラーなど他の箇所も採用可能である。
・第1実施形態において、運転席側車外通信機8aと助手席側車外通信機8bとを同時に電波送信させてもよい。
・第2〜第5実施形態において、無指向性アンテナは、ホイップアンテナ35に限らず、例えばダイポールアンテナ等を使用してもよい。
・第2〜第5実施形態において、無指向性アンテナは、ホイップアンテナ35に限らず、例えばダイポールアンテナ等を使用してもよい。
・第3実施形態において、確実にウェイクさせておく処理は、必ずしも必要ではない。即ち、漏洩同軸ケーブル17及びホイップアンテナ35は、常時接続されているものでもよい。
・第3実施形態において、切換スイッチ41a,41bは、マイクロスイッチに限らず、例えばトランジスタを用いてもよい。
・第1〜第5実施形態において、送信回路23と受信回路24は、1つの通信回路25として形成されることに限らず、それぞれが別々の部品として構成されていてもよい。
・第1〜第5実施形態において、送信回路23と受信回路24は、1つの通信回路25として形成されることに限らず、それぞれが別々の部品として構成されていてもよい。
・第1〜第5実施形態において、電子キーシステムは、キー操作フリーシステム3に限定されず、電子キー2でのボタン操作によってIDコード及び機能コードを送信するワイヤレスキーシステムとしてもよい。また、電子キー2に埋め込んだIDタグによって照合を行うイモビライザーシステムとしてもよい。
・第1〜第5実施形態において、キー操作フリーシステムは、車両1に近づくと自動でドアロックが解錠し、車両1から離れると自動でドアロックが施錠するものでもよい。
・第1〜第5実施形態において、スマート照合は、例えばビークルID、キー番号、チャレンジコードが一度の通信の際に同時に電子キー2に送信される形式のものでもよい。
・第1〜第5実施形態において、スマート照合は、例えばビークルID、キー番号、チャレンジコードが一度の通信の際に同時に電子キー2に送信される形式のものでもよい。
・第1〜第5実施形態において、キー操作フリーシステム3は、往復通信でともに同じ周波数の電波を使用することに限らず、往路と復路とで周波数が異なっていてもよい。
・第1〜第5実施形態において、キー操作フリーシステム3の採用対象は、車両1に限定されず、無線によってID照合を行うものであれば、どのような種のものでもよい。
・第1〜第5実施形態において、キー操作フリーシステム3の採用対象は、車両1に限定されず、無線によってID照合を行うものであれば、どのような種のものでもよい。
・第1〜第5実施形態において、これら実施形態の構成を互いに主旨を逸脱することなく組み合わせることも可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)電子キーが通信マスタにIDコードを無線により送信してID照合を実行する電子キーシステムのアンテナ構造において、前記通信マスタの受信アンテナを漏洩同軸ケーブルとしたことを特徴とする電子キーシステムのアンテナ構造。
(ロ)請求項1〜9のいずれかにおいて、前記通信マスタの送信アンテナ及び受信アンテナは、一方が前記漏洩同軸ケーブルにより形成され、他方が前記漏洩同軸ケーブル以外のアンテナにより形成されている。
1…通信相手としての車両、2…電子キー、3…電子キーシステムとしてのキー操作フリーシステム、17(17a,17aa,17ab,17b,17x,17y)…漏洩同軸ケーブル、22(22a,22b)…スロット、27…アンテナ選択手段及び複数帯域通信手段を構成する送受信動作制御部、35…他アンテナとしてのホイップアンテナ、41a…アンテナ選択手段を構成する第1切換スイッチ、41b…アンテナ選択手段を構成する第2切換スイッチ、51…受信制御手段としてのダイバーシティ実行部、52…リトライ手段としてのリトライ実行部、61…スイッチ部、Sid…応答としてのID信号、Srq…問い合せとしてのリクエスト信号、L…スロット長さ、W…スロット間隔。
Claims (11)
- 通信マスタからの無線による問い合せに対して、電子キーがIDコードを前記通信マスタに送信してID照合を実行する電子キーシステムのアンテナ構造において、
前記通信マスタの送信アンテナ及び受信アンテナの少なくとも一方を漏洩同軸ケーブルとしたことを特徴とする電子キーシステムのアンテナ構造。 - 前記漏洩同軸ケーブルは、前記通信マスタの送信アンテナであることを特徴とする請求項1に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。
- 前記漏洩同軸ケーブルが1本以上設けられ、当該漏洩同軸ケーブルのそれぞれで通信エリアを区分けすることにより、該通信エリアが細分化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。
- 前記漏洩同軸ケーブルは、前記通信マスタの送受信アンテナとなっていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。
- 前記漏洩同軸ケーブルは、前記通信マスタの送信アンテナとして使用され、前記通信マスタの受信アンテナは、前記漏洩同軸ケーブル以外の他アンテナにより形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。
- 前記漏洩同時ケーブル以外のアンテナとして前記通信マスタに設けられた他アンテナと、
前記漏洩同軸ケーブル及び前記他アンテナを各々単独のアンテナ、又は両アンテナを繋げた直列のアンテナとして動作させるアンテナ選択手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。 - 複数の周波数により通信を実行可能な複数帯域通信手段と、
電波の通過口として前記漏洩同軸ケーブルに複数のスロット長さで形成されたスロットとを備え、
前記複数帯域通信手段は、前記スロット長さの異なる前記スロットに、それぞれの周波数を割り当てて通信を行うことにより、前記漏洩同軸ケーブルの通信エリアを細分化する
ことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。 - 前記アンテナとして前記通信マスタに複数搭載された受信アンテナを使用し、スペースダイバーシティ方式により受信動作を実行する受信制御手段と、
前記問い合せを送信した送信エリアと、前記ダイバーシティで特定した前記電子キーの受信エリアとが一致するか否かを確認し、一致しない場合には、前記送信エリアのレベルを変えて通信を再度実行するリトライ手段と
を備えたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。 - 前記漏洩同軸ケーブルは、前記通信マスタとしての車両に搭載されたタイヤ空気圧監視システムの受信アンテナとしても使用されていることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。
- 前記漏洩同軸ケーブルには、電波の通過口としてスロットが複数形成され、隣同士のスロット間隔を異ならせることにより、前記漏洩同軸ケーブルの通信エリアが設定されていることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。
- 複数の前記漏洩同軸ケーブルを直列接続し、その接続箇所に設けたスイッチ部のオンオフを切り換えることにより、前記漏洩同軸ケーブルの通信エリアが細分化されることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムのアンテナ構造。
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