JP2011146162A - 分散型無機el素子およびその製造方法 - Google Patents

分散型無機el素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光素子用として充分に高い輝度を有する分散型無機EL蛍光素子を提供すること。
【解決手段】電極間に発光層を含んでなる分散型無機EL素子(例えば、透明電極、発光層、場合によって採用される誘電層、および背面電極を含んでなる分散型無機EL素子)であって、該発光層中の蛍光体粉末の70%以上の粒子が該粒子の長軸と発光層主面の法線のなす角度が45度以内となるように該粒子が配向していることを特徴とする分散型無機EL素子を提供する。発光層を形成する際に蛍光体粉末の粒子を電場力および/または磁場力によって配向させることを特徴とするその分散型無機EL素子の製造方法、およびその方法により得られる分散型無機EL素子も提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、硫化亜鉛を母体とし発光の中心となる付活剤および共付活剤を含有する蛍光体を用いた分散型無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、特に、高輝度で長寿命の分散型無機EL素子およびその製造方法に関する。
分散型無機EL素子は、少なくとも一方が光透過性を有する透明導電膜電極と対を成す背面電極間に、フッ素系樹脂あるいはシアノ基を有する樹脂等の高誘電性樹脂中に蛍光体粉末を含む発光層が設置された素子である。さらに絶縁破壊を防ぐ為に高誘電性樹脂中にチタン酸バリウムのような強誘電体の粉末を含む誘電層が設置されるのが通常の形態である。
分散型無機EL素子は、素子構成時に高温プロセスを用いないため、プラスチックなどのフレキシブルな材料構成が可能であること、真空装置を使用しなくても比較的簡便な工程で、高表面積の素子を低コストで製造が可能であることなどの特長を有し、バックライト、表示素子へ応用されている。
分散型無機EL素子に用いる蛍光体粉末としては、硫化亜鉛を母体として、銅等の付活剤および塩素等の共付活剤が添加されたものが広く知られている。しかし、この蛍光体粉末を用いて作成された発光素子は、LEDなどの発光素子に較べて発光輝度が低く、また発光寿命が短いという欠点があり、このため従来から種々の改良が試みられてきた。
EL用蛍光体粉末の発光輝度を向上させる方法として、粒子を配向させて、輝度を向上させる方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、蛍光体の調製方法として、特許文献2に示されるような液相方法によって得られた前駆体を焼成する方法、特許文献3に示されるような硫化亜鉛粉末に発光中心を固体混合して焼成する方法、などが知られている。
特開2004−131583号公報 特開2005−132947号公報 特開2004−2867号公報
特許文献1では、軸比(長軸長/短軸長)が3以上の粒子を電極面に平行な方向に配向させることで輝度向上に繋がったとしているが、粒子成長抑制に使用した金属酸化物の除去が煩雑で、粒子の精製が容易に行えないという問題がある。更に、性能の向上が十分でなく、より高い輝度の素子が求められている。
上記従来技術の問題点を考慮して、本発明は、発光素子用として充分に高い輝度を有する分散型無機EL蛍光素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ね、分散型無機EL素子を作成するにあたって、外場力をかけて粒子を配向させることにより、安定的に、高輝度な分散型無機EL素子が形成されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
[1] 電極間に発光層を含んでなる分散型無機EL素子(例えば、透明電極、発光層、場合によって採用される誘電層、および背面電極を含んでなる分散型無機EL素子)であって、該発光層中の蛍光体粉末の70%以上の粒子の長軸と発光層主面の法線とのなす角度が45度以内となるように該粒子が配向していることを特徴とする分散型無機EL素子。
[2] 前記蛍光体粉末の60%以上の粒子の長軸長と短軸長との比が1.1以上であることを特徴とする[1]に記載の分散型無機EL素子。
[3] 該発光層中の蛍光体粉末の25%以上の粒子の長軸と前記発光層主面の法線とのなす角度が15度以内となるように該粒子が配向していることを特徴とする[1]〜[2]のいずれかに記載の分散型無機EL素子。
[4] 前記蛍光体粉末が硫化亜鉛を母体とし付活剤および共付活剤を含有する蛍光体粉末であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の分散型無機EL素子。
[5] 前記付活剤が銅、銀、金および希土類元素から選択された少なくとも一種のイオンである[4]に記載の分散型無機EL素子。
[6] 前記共付活剤が塩素、臭素、ヨウ素、およびアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンである[4]〜[5]のいずれかに記載の分散型無機EL素子。
[7] 前記付活剤が銅イオンであり、前記共付活剤が塩素イオンである[4]に記載の分散型無機EL素子。
[8] 発光層を形成する際に蛍光体粉末の粒子を電場力および/または磁場力によって配向させることを特徴とする分散型無機EL素子の製造方法。
[9] [8]の方法により製造された分散型無機EL素子。
本発明の分散型無機EL素子は、発光素子用として高い輝度を有する。また該分散型無機EL蛍光素子は本発明の製造方法によって、効率的に製造できる。
(発光層)
本発明の分散型無機EL素子を構成する発光層には蛍光体粉末が含まれる。該蛍光体粉末に用いる蛍光体は、特に限定しないが、硫化亜鉛や硫化カルシウム(CaS)、硫化ストロンチウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウムなどであり、特に、化学的安定性から、硫化亜鉛の使用が好ましい。
蛍光体の調製方法としては、特に限定されるものではなく、特許文献5に示されるような液相方法によって得られた前駆体を焼成する方法、特許文献6に示されるような硫化亜鉛粉末に発光中心を固体混合して焼成する方法などの方法によって調製されたものを用いることができる。
本発明に使用する蛍光体の付活剤としては、特に限定されるものではなく、銅、マンガン、銀、金などの遷移金属、セリウム、ユーロピウム、テルビウムなどの希土類金属を使用することができる。外場力による配向性の観点から、銅、金、希土類の使用が好ましい。
付活剤の量としては、特に限定されるものではなく、所望する発光色に依存することは言うまでもないが、通常、重量基準で、100から50000ppmの範囲、より好ましくは、120から30000ppmの範囲で添加される。
該蛍光体で用いることができる共付活剤としては、特に限定されるものではなく、塩素、臭素、沃素などのハロゲン、アルミニウム、ガリウムなどの金属を使用することができる。使用される量としては、特に限定されることはなく、通常付活剤に対して、0.2から10重量倍、より好ましくは、0.3から5重量倍の範囲で使用される。
本発明の分散型無機EL素子を構成する発光層に含まれる蛍光体粉末の粒子は、長軸長と短軸長との比(長軸長/短軸長)が1.1以上であることが好ましい。外場力で配向させるためには、例えば粒子内で分極構造が必要となるため、電荷の偏りが明確になるだけの大きさが必要である。一方で、この比が大きすぎると、配向に必要な外場力が大きく必要であり、実質上外場力での配向が難しくなるため、3.0以下であることが好ましい。すなわち、本発明に用いる蛍光体粒子としては、長軸長と短軸長との比が1.1以上3.0以下であることが好ましい。本発明において、配向による分散型無機EL素子の発光特性を高めるためには、少なくとも60%以上の粒子の長軸長と短軸長との比(長軸長/短軸長)が1.1以上3.0以下であることが好ましく、さらに該粒子の80%以上が該比の範囲にあることが、より好ましい。
(透明電極)
本発明の分散型無機EL素子を構成する透明電極は一般的に用いられている任意の透明電極材料が用いられる。例えば、錫ドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛などの酸化物およびそれらの微粒子と有機バインダーからなる導電性ペースト、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどのπ共役系高分子などが挙げられる。
透明電極の表面抵抗率は、1000Ω/□以下であることが好ましく、0.1Ω/□〜800Ω/□が更に好ましい。特に0.2Ω/□〜500Ω/□が好ましい。透明電極の表面抵抗率は、JIS K6911に記載の方法に準じて測定することができる。
透明電極の調製法はスパッター、真空蒸着等の気相法であっても良い。ペースト状のITOや酸化錫を塗布やスクリーン印刷で作成したり、膜全体を加熱したりレーザーにて加熱して成膜しても良い。
(背面電極)
本発明の分散型無機EL素子を構成する光を取り出さない側の背面電極は、導電性の有る材料であれば特に限定されるものではなく任意の材料が使用出来る。金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなどの中から、作成する素子の形態、作成工程の温度等により適時選択される。
(誘電層)
本発明の分散型無機EL素子の誘電層を構成する誘電体物質は、薄膜結晶層であっても粒子形状であってもよい。これらは単独で使用しても、複合して使用しても構わない。該誘電層は、発光層の片側に設けてもよく、両側に設けることもできる。エネルギー効率を考慮すると両側に設けることが好ましい。誘電層は、誘電率と絶縁性が高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する材料であれば、特に限定されるものではなく、金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO,BaTiO,SrTiO,PbTiO,KNbO3,PbNbO,Ta,BaTa26,LiTaO3,Y,Al,ZrO,AlON,ZnSなどが用いられる。これらは、単独で使用しても、複合して使用してもよく、均一な膜として設置されても良いし、また粒子構造を有する膜として用いても良い。
薄膜結晶層の場合は、基板にCVD、スパッタリング等の気相法で形成した薄膜であっても、BaやSrなどのアルコキサイド等より形成されたゾルゲル膜であっても良い。
誘電体物質が粒子形状である場合は、蛍光体粉末の大きさに対し十分に小さいことが好ましい。蛍光体粉末の巻き込み、光の反射などを考慮して、蛍光体粉末サイズの1/3〜1/1000の大きさが好ましい。
本発明の分散型無機EL素子は、発光層を、少なくとも一方が透明電極で、対向する一対の背面電極で挟持した構成からなる。発光層は、蛍光体粉末をバインダーに分散したものを用いる。バインダーとしては、発光する光を吸収率が充分低ければ特に限定されるものではなく、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデン、アクリル系樹脂などの樹脂を用いることができる。これらは、光硬化性、熱硬化性等の特性を有していても構わないが、発光時の発熱、通電による発熱により、性状が変化しないために、これらの樹脂のガラス転移温度が、40℃よりも充分高いことが必要である。これらの樹脂に、BaTiOやSrTiOなどの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調製することもできる。分散方法としては、ホモジナイザー、遊星型混練機、ロール混練機、超音波分散機、遠心脱泡機などを用いることができる。
発光層と誘電層は、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、あるいはスプレー塗布法などを用いて塗布することができる。特に、スクリーン印刷法のような印刷面を選ばない方法やスライドコート法のような連続塗布が可能な方法を用いることが好ましい。例えば、スクリーン印刷法は、蛍光体や誘電体の微粒子を高誘電率のポリマー溶液に分散した分散液を、スクリーンメッシュを通して塗布する。メッシュの厚さ、開口率、塗布回数を選択することにより膜厚を制御できる。分散液を換えることで、発光層や誘電層のみならず、背面電極層なども形成でき、さらにスクリーンの大きさを変えることで大面積化が容易である。
(分散型無機EL素子の製造方法)
本発明の分散型無機EL素子の製造方法では、外場力によって蛍光体粉末の粒子を配向させる。用いる外場力としては、電場、磁場などの力を利用する。これらは単独で利用しても、複合して利用しても構わない。粒子の導電性特性を利用して、電界発光時のキャリア注入効果を高めるためには、電場、磁場の使用が好ましい。
粒子を配向させる方法としては、特に限定されるものではなく、分散素子を形成する時点で、一方の極に高い電界をかけ、成膜時に配向させる方法、高磁場中で成膜し、磁場配向させる方法、成膜したのちに両極に電位差をかけ、配向させる方法、静電気を用いて粒子を配向吸着する方法などを用いることができる。特に、成膜時に配向させるためには、蛍光体粉末を水或いは有機溶媒に溶解したバインダー中に分散し、該分散物液を塗布して配向させることが好ましい。
蛍光体粉末を配向させる上で電界をかける場合の方法としては、特に制限されるものではなく、直流印加、交流印加何れの方式も使用することが出来る。また、印加電場の強さとしても、特に限定されるものではなく、直流印加電界は0.001〜5V/μmの範囲、交流印加電界は0.01〜50V/μmの範囲であり、交流電圧の周波数は10Hz〜100KHzの範囲であればよい。
蛍光体粉末を配向させる上で磁場を使用する場合に印加される磁場は、永久磁石、電磁石、超伝導磁石等により、対象物体の集合体の外から印加することができるものであれば特に限定されるものではない。本発明に使用される磁場の大きさは、好ましくは変動の最大値が0.05T(テスラ)以上であって10T以下、さらに好ましくは0.5T以上であって10T以下の磁場が使用される。また、時間的な変動は、周期的あるいは非周期的でも構わない。周期的な場合には、回転速度ωが被懸濁体の磁化容易軸が静磁場下で配向する時間τの逆数以上(ωτ>1)であって、好ましくはωτ>5、さらに好ましくはωτ>10の範囲で使用される。τは対象物体の磁化率、形状、懸濁媒体の粘度、印加磁場強度により決まる値である。
蛍光体粉末を配向させる上で静電場を使用する場合に極間に印加される電圧としても、特に限定されるものではなく、静電吸着できる範囲にあればよく、通常500Vから500kVの範囲、より好ましくは、1kVから100kVの範囲で印加される。
本発明の分散型無機EL素子を製造する場合においては、溶媒/バインダー比(重量比)が0.5以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上にする。更に、バインダー溶液中の蛍光体濃度としては、0.1重量%以上90重量%以下、塗工性、配向性を考慮して、0.2重量%から80重量%の範囲で調整することが好ましい。
上記の分散型無機EL蛍光素子の製造方法によれば、外場力を利用して、蛍光体粉末の粒子の長軸と発光層主面の法線のなす角度が45度以内となるように粒子を配向することができる。45度以内に配向することにより、効果的に発光させることができ、輝度向上に繋がり、この角度が小さければより輝度向上に繋がる。蛍光体粉末の長軸と発光層主面の法線のなす角度が、45度から0度の範囲、好ましくは、30度から0度の範囲、より好ましくは15度から0度の範囲で配向させる。
本発明の分散型無機EL蛍光素子の蛍光体粉末の粒子は、70%以上の、好ましくは80%以上の、該粒子の長軸と発光層主面の法線のなす角度が45度以内となるように粒子が配向している。また、25%以上の該粒子の長軸と発光層主面の法線のなす角度が15度以内に配向していることが好ましく、30%以上が15度以内に配向していることがより好ましい。これらの蛍光体粉末の配向状態は、ミクロトーム、クロスセクションポリッシャー、イオンポリッシャーなどの切断機を用いて調製した分散型無機EL素子の断面の超薄切片をSEM(二次電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)、またはマイクロスコープなどで観察することにより容易に認識することができる。
本発明の分散型無機EL蛍光素子の製造方法の具体例を挙げると、例えば、
(a)透明電極を支持体としてその一方の面上に蛍光体粉末の粒子を含むバインダー混合物を塗布する、
(b)該塗布層に外場力を印加して蛍光体粉末の粒子を配向させながら、バインダー混合物をUV光を照射又は溶媒を除去することによって硬化して粒子の配向を固定した発光層を形成する、
(c)該発光層の上面に絶縁層(誘電層)を形成する、
(d)該絶縁層(誘電層)の上面に背面電極を形成する、
工程を含んでなる方法が挙げられる。
上記具体例において、(c)絶縁層(誘電層)の形成工程は行わなくともEL素子を形成することができる。また、工程(c)を複数回行って、絶縁層を発光層を挟んで複数形成してもよい。さらに各層の形成工程を複数回行って、一つの層を複数の薄い層の積層体としてもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的されない。
(試験例1)蛍光体粉末の調製
高純度硫化亜鉛粉末・RAK−N(堺化学工業(株)社製商品名)150gに2.0gの酢酸銅水和物 (Cu(CHCO・HO)を加え、さらに、融剤として30gの塩化マグネシウム(MgCl) 、20gの塩化ナトリウム(NaCl) および10gの塩化カリウム(KCl)を混合したものを、遊星型攪拌脱泡機(シンキー社製、AR−250)に装入し、10分間よく混合した。次いで、この原料粉体を磁製ルツボに封入し、1050℃で3時間焼成した後、イオン交換水3リットルで10回洗浄し・濾過を繰り返して融剤を完全に洗い流し、乾燥して中間蛍光体粉末(平均粒径22μm )を得た。次に、この中間蛍光体粉末120gをイオン交換水600gに分散し、超音波振動器(BRANSON製、Degital Sonifier)にて、出力60%で5分間連続照射、5分間停止のサイクルを3回行って超音波振動を加えた。衝撃力を加えた後、脱水、熱風乾燥機で80℃12時間乾燥した。中間蛍光体粉末乾燥物100gに、硫酸銅5水和物2.5g、硫酸亜鉛7水和物25gを混合し、遊星型攪拌脱泡機(シンキー社製、AR−250)に装入し、10分間よく混合した。次いで、この原料粉体を磁製ルツボに封入し、窒素雰囲気下700℃で3時間再焼成し、室温に冷却した。焼成物を5%塩酸水溶液中1200gで30分間撹拌して、残留した塩の洗浄および表面エッチング処理を行ない、イオン交換水洗後、さらに1%KCN水溶液500gで洗浄して、粒子表面の硫化銅を除去した。その後、イオン交換水2リットルで2回水洗し、80℃で熱風乾燥を12時間乾燥して蛍光体粉末80gを得た。得られた蛍光体粉末を構成する蛍光体粉末をSEM(二次電子顕微鏡、装置名:HITACHI社製 TM−100 MINISCOPE)で撮影し、200個の粒子についてその軸比(長軸長/短軸長)を測定したところそれら200個の粒子の75%の粒子の軸比が1.1〜1.5の範囲であった。
(実施例1)
光硬化性モノマー・FR21(日本化薬株式会社社製商品名)40gに試験例1で得られた蛍光体60gを遊星型攪拌脱泡機(シンキー社製、AR−250)にて混合して蛍光体ペーストを作成した。
この蛍光体ペーストを透明導電膜付ガラス(製品名:(株)倉元製作所社製 5Ω/□以下、以下の例で同じ製品を使用)上に60μmの厚さで塗布した。その塗布層上に目開き30μmのステンレス網を配置し、透明電極とステンレス鋼に電圧を供給するためのリード線を付設した後、50V、1kHzの交流電圧を塗布層に印加し、同時にUV光(装置名:SAN-EI ELECTRIC社製 SUPERCURE-351S、照射条件:3.5J/cm2、比較例1において同じ)を2分間照射することで光硬化性モノマーを硬化させ膜厚50μmの蛍光体膜を調製した。
上記蛍光体膜上のステンレス鋼を取り外し、蛍光体膜上に絶縁層としてチタン酸バリウムペースト(デュポン製8153)を100メッシュスクリーンを用いてスクリーン印刷し、120℃、30分間乾燥した(絶縁層厚さ20μm)。その絶縁層上に背面電極として銀ペースト(製品名:ヘンケル株式会社製 ELECTRODAG461S、以下の例で同じ製品を使用)を印刷し、透明電極と背面電極に電圧を供給するためのリード線を付設した後、全体を封止フィルムで封止して分散型無機EL素子を得た。
上記のように作製された分散型無機EL素子の透明電極一端に接続した電圧印加用リード線と、背面電極の一端に接続した電圧印加用リード線との間に200V、1kHzの交流電圧を印加し、分散型無機EL素子を発光させ、その輝度を色彩輝度計(トプコン社製 BM7)にて測定したところ、その発光輝度は256cd/cmであった。
上記分散型無機EL素子の破断面をマイクロスコープ撮影(装置名:ナカデン社製 デジタルマイクロスコープ MX-1200II、以下の例で同じ装置を使用)し、発光層中の蛍光体粉末100個の長軸と発光層主面の法線のなす角度を調べたところ、83.3%の蛍光体粉末が45度以内に配向していた。また、67.7%の蛍光体粉末が30度以内に配向していた。さらに33.3%の蛍光体粉末が15度以内に配向していた。
(実施例2)
フッカビニリデン樹脂・Kynar9301(アトケム社製商品名)40gをジオキサン65gに溶解し、それに試験例1で得られた蛍光体60gを遊星型攪拌脱泡機(シンキー社製、AR−250)にて混合して蛍光体ペーストを作成した。
この蛍光体ペーストを透明導電膜付ガラス上に100μmの厚さで塗布した。その塗布層上に目開き30μmのステンレス網を配置し、透明電極とステンレス鋼に電圧を供給するためのリード線を付設した後、50V、1kHzの交流電場を塗布層に印加し、同時に110℃で30分間加熱することでジオキサン溶媒を揮発乾燥させ、膜厚45μmの蛍光体膜を調製した。
上記蛍光体膜を用いた以外は実施例1と同様にして分散型無機EL素子を作製し、発光させたところ、その発光輝度は360cd/cmであった。
上記分散型無機EL素子の破断面をマイクロスコープ撮影し、発光層中の蛍光体粉末100個の長軸と発光層主面の法線のなす角度を調べたところ、81.0%の蛍光体粉末が45度以内に配向していた。また、62.2%の蛍光体粉末が30度以内に配向していた。さらに30.1%の蛍光体粉末が15度以内に配向していた。
(実施例3)
シアノエチルプルラン・CR-Sタイプ(信越化学工業(株)製商品名)40gをγブチロラクトン110gに溶解し、それに試験例1で得られた蛍光体60gを遊星型攪拌脱泡機(シンキー社製、AR−250)にて混合して蛍光体ペーストを作成した。
上記蛍光体ペーストを用いた以外は実施例2と同様にして分散型無機EL素子を作製し、発光させたところ、その発光輝度は468cd/cmであった。
上記分散型無機EL素子の破断面をマイクロスコープ撮影し、発光層中の蛍光体粉末100個の長軸と発光層主面の法線のなす角度を調べたところ、80.5%の蛍光体粉末が45度以内に配向していた。また、60.2%の蛍光体粉末が30度以内に配向していた。さらに30.3%の蛍光体粉末が15度以内に配向していた。
(比較例1)
光硬化性モノマー・FR21(日本化薬株式会社社製商品名)40gに試験例1で得られた蛍光体60gを遊星型攪拌脱泡機(シンキー社製、AR−250)にて混合して蛍光体ペーストを作成した。
この蛍光体ペーストを透明導電膜付ガラス上に60μmの厚さで塗布し、UV光を2分間照射することで光硬化性モノマーを硬化させ、膜厚50μmの蛍光体膜を調製した。
上記蛍光体膜上に絶縁層としてチタン酸バリウムペースト(デュポン製8153)を100メッシュスクリーンを用いてスクリーン印刷し、120℃、30分間乾燥した(絶縁層厚さ20μm)。その絶縁層上に背面電極として銀ペーストを印刷し、透明電極と背面電極に電圧を供給するためのリード線を付設した後、全体を封止フィルムで封止して分散型無機EL素子を得た。
上記のようにして作製した分散型無機EL素子の透明電極一端に接続した電圧印加用リード線と、背面電極の一端に接続した電圧印加用リード線との間に200V、1kHzの交流電圧を印加し、分散型無機EL素子を発光させ、その輝度を色彩輝度計(トプコン社製 BM7)にて測定したところ、その発光輝度は153cd/cmであった。
上記分散型無機EL素子の破断面をマイクロスコープ撮影し、発光層中の蛍光体粉末100個の長軸と発光層主面の法線のなす角度を調べたところ、全粒子の48.2%が45度以内に配向していた。また、20.7%の蛍光体粉末が30度以内に配向していた。さらに3.5%の蛍光体粉末が15度以内に配向していた。
(比較例2)
フッカビニリデン樹脂・Kynar9301(アトケム社製商品名)40gをジオキサン65gに溶解し、それに試験例1で得られた蛍光体60gを遊星型攪拌脱泡機(シンキー社製、AR−250)にて混合して蛍光体ペーストを作成した。
この蛍光体ペーストを透明導電膜付ガラス上に100μmの厚さで塗布し、110℃で30分間加熱することでジオキサン溶媒を揮発乾燥させ、膜厚45μmの蛍光体膜を調製した。
上記蛍光体膜を用いた以外は比較例1と同様にして分散型無機EL素子を作製し、発光させたところ、その発光輝度は210cd/cmであった。
上記分散型無機EL素子の破断面をマイクロスコープ撮影し、発光層中の蛍光体粉末100個の長軸と発光層主面の法線のなす角度を調べたところ、全粒子の40.5%が45度以内に配向していた。また、18.8%の蛍光体粉末が30度以内に配向していた。さらに3.1%の蛍光体粉末が15度以内に配向していた。
(比較例3)
シアノエチルプルラン・CR-Sタイプ(信越化学工業(株)製商品名)40gをγブチロラクトン110gに溶解し、それに試験例1で得られた蛍光体60gを遊星型攪拌脱泡機(シンキー社製、AR−250)にて混合して蛍光体ペーストを作成した。
上記蛍光体ペーストを用いた以外は比較例2と同様にして分散型無機EL素子を作製し、発光させたところ、その発光輝度は280cd/cmであった。
上記分散型無機EL素子の破断面をマイクロスコープ撮影し、発光層中の蛍光体粉末100個の長軸と発光層主面の法線のなす角度を調べたところ、全粒子の45.5%が45度以内に配向していた。また、17.7%の蛍光体粉末が30度以内に配向していた。さらに3.2%の蛍光体粉末が15度以内に配向していた。

Claims (9)

  1. 電極間に発光層を含んでなる分散型無機EL素子であって、該発光層中の蛍光体粉末の70%以上の粒子の長軸と発光層主面の法線とのなす角度が45度以内となるように該粒子が配向していることを特徴とする分散型無機EL素子。
  2. 前記蛍光体粉末の60%以上の粒子の長軸長と短軸長との比が1.1以上であることを特徴とする請求項1に記載の分散型無機EL素子。
  3. 該発光層中の蛍光体粉末の25%以上の粒子の長軸と前記発光層主面の法線方向とのなす角度が15度以内となるように該粒子が配向していることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の分散型無機EL素子。
  4. 前記蛍光体粉末が硫化亜鉛を母体とし付活剤および共付活剤を含有する蛍光体粉末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散型無機EL素子。
  5. 前記付活剤が銅、銀、金および希土類元素から選択された少なくとも一種のイオンである請求項4に記載の分散型無機EL素子。
  6. 前記共付活剤が塩素、臭素、ヨウ素、およびアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンである請求項4〜5のいずれか1項に記載の分散型無機EL素子。
  7. 前記付活剤が銅イオンであり、前記共付活剤が塩素イオンである請求項4に記載の分散型無機EL素子。
  8. 発光層を形成する際に蛍光体粉末の粒子を電場力および/または磁場力によって配向させることを特徴とする分散型無機EL素子の製造方法。
  9. 請求項8の方法により製造された分散型無機EL素子。
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