JP3560651B2 - 導電ペーストと透光性導電膜およびそれらを用いた分散型エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

導電ペーストと透光性導電膜およびそれらを用いた分散型エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エレクトロルミネッセンス素子等の透光性電極の形成に用いる導電ペーストおよび透光性導電膜と、これらを用いたエレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエレクトロルミネッセンス(以下「EL」と略称する)発光素子等の透光性電極の形成に用いる導電ペーストとしては、導電性フィラーとしてインジウムー錫酸化物(以下「ITO」と略称する)超微粉末を、樹脂を溶解した溶剤中に分散させたものや、リン片状のITO粉末を、樹脂を溶解した溶剤中に分散させたものがある。
【0003】
有機分散型EL素子では、基板に発光層である硫化亜鉛(ZnS)層をスクリーン印刷やブレードコートで形成し、その上に導電ペーストをスクリーン印刷等で塗布して透光性導電膜が形成される。
【0004】
ITO超微粉を導電性フィラーとして用いる導電ペーストでは、導電性を得るために、樹脂に対して多量の導電性フィラーを用いる必要がある。この透光性導電膜は、光線透過性を得るために膜厚を2〜3μm程度の薄さとするのが好ましいとされている。
【0005】
発光層である硫化亜鉛層は、硫化亜鉛粒子が数十μmの大きさであるため、印刷表面に凹凸が生じ、導電ペーストを塗布した場合、硫化亜鉛層表面の凹凸により導電ペーストの膜厚が不均一となり、1μm以下の部分や5μm以上の部分が生じ、全面に2〜3μmの導電膜を均一に形成できず、例えば薄い部分に亀裂が生じ、抵抗が増加するという問題があった。
【0006】
リン片状のITO粉末を、樹脂を溶解した溶剤中に分散させた導電ペーストでは、樹脂に対して少量の導電性フィラーを用いることにより導電性が得られるため、5μm以上の厚さに対しても十分な光線透過性が得られ、硫化亜鉛層表面の凹凸はさほど問題とはならないが、膜の抵抗は十分とは言い得ない問題があった。
【0007】
そこで、本発明者は、長径5μm以上で短径に対する長径の比が5以上の針状ITO粉末を、樹脂を溶解した溶剤中に分散させた導電ペーストおよびそれを用いた透光性導電膜を先に提案した(特願平5−120518)。
【0008】
この先願発明は、針状のITO粉末を導電性フィラーとして用いることにより、透光性に優れた非常に低抵抗の膜を得ることが可能となり、EL素子に用いる場合、低消費電力、大面積化に有用であるという効果を奏する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、先に提案した上記導電ペーストおよびそれを用いた透光性導電膜には、以下に記載する問題点が生じた。
分散型EL素子は、蛍光体粒子と金属電極および透光性電極で挟み込み、両電極に交流電圧を印加し、蛍光体粒子に高電界をかけて発光させる仕組みである。この分散型EL素子の透光性電極に針状ITO粒子を用いた場合、透光性電極面においては、針状ITOフィラーにより網状の導電パスが形成される。したがって、長径の大きい針状ITO粒子を用いると、網目の大きな導電パスが形成され、一方長径の小さい針状ITO粒子を用いると、網目の小さい導電パスが形成される。
【0010】
一方、前記した通り、発光層の硫化亜鉛粒子は数十μmの大きさであるため、例えば長径30μm以上の比較的大きな針状ITO粒子からなる透光性導電膜を用いると、導電パスの網目が大きすぎて、発光層の硫化亜鉛粒子の一部は電界が印加されなかったり、または印加されても弱いため、結果的にELの発光輝度が低くなるという問題が生ずる。
【0011】
そこで、蛍光体粒子の大きさに比べて長径の小さい、例えば5〜30μmの針状ITO粒子を用いれば、前記問題は生じないが、導電膜の抵抗を低下させるためには、長径の大きな針状ITO粒子を用いる方が有利であり、また針状ITO粉末の製造においても長径の大きなITO粉末の方が製造工程での固液分離等において取扱いも容易である。
【0012】
以上の理由から、長径が30μm以上の大きな針状ITO粒子を用いても、高い発光輝度が得られる透光性導電膜およびそれを用いたEL素子の開発が望まれていた。
【0013】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、長径が30μm以上の大きな針状ITO粒子を用いて高い発光輝度が得られる透光性導電膜およびそれを用いたEL素子を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決する手段として、樹脂およびその溶剤中に、長径30μm以上で短径に対する長径の比が5以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と、長径30μm未満の針状インジウムー錫酸化物粉末または粒径30μm以下のりん片状インジウムー錫酸化物粉末または粒径1μm以下の粒状導電性酸化物粉末のうちの少なくとも1つである透明導電性粉末を含有し、かつ前記長径30μm以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と前記透明導電性粉末の重量比が95:5〜60:40である導電ペーストを用い、金属電極、誘電体粒子層、蛍光体粒子層の順に積層された基板上に、長径30μm以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と粒径の小さい透明導電性粉末および樹脂とからなる透光性導電膜を形成するか、または前記基板上に、粒径の小さい透明導電性粉末と樹脂とからなる透光性導電膜と、長径30μm以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と樹脂とからなる透光性導電膜を相互に積層して構成したことを要旨とするものである。
【0015】
【作用】
本発明で用いる針状ITO粉末は、例えばインジウムメタルを硝酸に溶解した溶液に四塩化錫含水塩を加え、撹拌しながら加熱濃縮し、液温130〜150℃まで濃縮して濃厚なスラリーを生成せしめ、このスラリーに多量の水を加えて濾過し、濾過にって得た針状粉末を洗浄、乾燥し、1200℃程度で30程度仮焼して得られる。
【0016】
この針状ITO粉末は、長径5μm以上、アスペクト比5以上で、添加する錫化合物、濃縮条件によりアスペクト比が30程度のものまで得られる。この粉末を100kgf/cmの圧力を加えてペレット状にした時の比抵抗(以下「圧粉抵抗」という)は0.03Ω・cm程度である。
【0017】
本発明において、針状ITO粉末のアスペクト比を5以上とするのは、樹脂への少量の使用で導電性が得られるようにするためである。アスペクト比は高い方がよく、好ましくは10以上がよい。
【0018】
上記方法より得られる針状ITO粉末の大きさは、濃縮条件等により長径5μm程度から長径200μm程度のものまで得られるが、長径30μm以上の針状ITO粉末だけを導電性フィラーとして用い、導電膜を形成すると、その膜中の導電パスは比較的大きく、そのような導電膜を用いた分散型EL素子の断面は、例えば図4のように示される。図中、1は金属電極、2は誘電体層、3は蛍光体粒子、4は長径30μm以上の針状ITO粉末である。すなわち、長径30μm以上の針状ITO粉末だけを導電性フィラーとして用いた導電膜の場合は、すべての蛍光体に均一に電界が印加されないため、ELの輝度が十分に得られない。例えば輝度が1割程度低下する。勿論、長径の小さい(30μm以下)針状ITO粉末を用いれば、上記欠点は補えるが、導電膜の抵抗の面では長径の大きい方が有利である。
【0019】
本発明は、長径の大きな針状ITO粉末を用いることで導電膜の抵抗を低下し、併せて粒径の小さい透明導電性粉末を用いることによって、導電膜面内の抵抗の均一化をはかったものである。したがって、本発明では低抵抗の透光性導電膜で、かつ電界が蛍光体に均一に印加されるため、電極抵抗の低い高輝度のEL素子が得られる。
【0020】
本発明における粒径の小さい透明導電性粉末の大きさは、前記の針状ITO粒子の数μm〜数十μmの網目状の導電パスの大きさから決定される。粒状の透明導電性粉末であれば、1μm以下の粒径が好ましい。粒状の粉末を用いる場合、粒径が1μm以上荷なると、それに伴って膜厚も増加するため好ましくない。それに対し、針状やりん片状粉末は例えば粒径10μm程度でも膜厚は2〜3μm以内にすることができ、この点で粒状粉末と異なる。
【0021】
粒径の小さい透明導電性粉末材料としては、ITO、錫ーアンチモン酸化物(ATO)、亜鉛ーアルミニウム酸化物等が上げられるが、透光性と導電性を併せもつ材質であればよく、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明の導電ペーストに用いる樹脂は、従来の透光性導電膜に使用されている樹脂と同様の、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等が用いられる。
【0023】
この導電ペースト中の、長径30μm以上の針状ITO粉末と樹脂の重量比は、針状ITO粉末:樹脂=50:50〜80:20が好ましい。その理由は、50:50より樹脂が多いと透光性導電膜の抵抗が高くなりすぎ、他方80:20より樹脂が少ないと透光性導電膜の強度が低下すると同時に抵抗も高くなるためである。
【0024】
また、この導電ペーストにおいて、長径30μm以上の針状ITO粉末と粒径の小さい透明導電性粉末の重量比は、95:5〜60:40が好ましい。その理由は、95:5より粒径の小さい透明導電性粉末が少ないと、膜抵抗の均一化の効果が得られず、他方60:40より多いと、膜抵抗が上昇するため好ましくない。なお、より好ましくは90:10〜70:30である。
【0025】
上記導電ペーストに用いる溶剤は、一般の塗料・ペーストに用いられる有機溶剤または水を用いることができる。例えば、有機溶剤としては、シクロヘキサノン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ターピネオール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、N、Nージメチルホルムアミド等が上げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明の導電ペーストは、スクリーン印刷、ブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング等の方法で基板に塗布した後、ペーストの種類により乾燥硬化、熱硬化、紫外線硬化により成膜される。
【0027】
【実施例】
図1は本発明のEL素子の断面を示す模式図であり、5は粒径の小さい透明導電性粉末、6は粒径の小さい透明導電性粉末層である。
【0028】
すなわち、図1(a)は長径30μm以上の針状ITO粉末4と粒径の小さい透明導電性粉末5を同一膜内で用いたEL素子、(b)、(c)は長径30μm以上の針状ITO粉末4と粒径の小さい透明導電性粉末層6をそれぞれ別々の膜に用い、膜の低抵抗化と抵抗の均一化を別々の膜で行うEL素子である。
【0029】
抵抗の均一化は、長径の大きい針状ITO粉末4が形成する数μm〜数十μmの網目状の導電パス内で行われればよいため、用いる粒径の小さい透明導電性粉末5の導電性はそれほど高くなくてもよい。比抵抗では、数百Ω・cm以下、好ましくは数Ω・cm以下が好ましい。
【0030】
また、図1(b)、(c)の場合、粒径の小さい透明導電性粉末層6の表面抵抗としては、数百kΩ/□程度でも十分効果があるため、層厚が例えば1μm以下と薄くても透光性導電膜全体の光線透過率にほとんど影響をおよぼさない。この透明導電性粉末層6は、導電ペーストと同様に、樹脂を溶解した溶液中に粒径の小さい透明導電性粉末を分散させたペーストを塗布した後、乾燥硬化、熱硬化、紫外線硬化するすることにより得られる。
【0031】
実施例1
インジウムメタルを硝酸に溶解した溶液に四塩化錫含水塩を加え、撹拌しながら加熱濃縮し、液温130〜150℃まで濃縮して濃厚なスラリーを生成せしめ、このスラリーに多量の水を加えて濾過し、濾過によって得た針状粉末を洗浄、乾燥し、1200℃程度で30分間仮焼して得られた、長径の平均値が42μmで、アスペクト比が5以上、圧粉抵抗0.01Ω・cm、錫含有量2.6重量%のITO粉末(その結晶構造を電子顕微鏡写真で図2として示す)と、平均粒径0.04μm、圧粉抵抗0.28Ω・cm、錫含有量4.4重量%の粒状ITO粉末を表1のペースト1の組成に配合して混合、撹拌した後、200メッシュステンレス金網で濾過し、得られた導電ペーストを厚さ100μmのPETフィルム(東レ株式会社製のルミラーTタイプ)上に150メッシュのスクリーン版で、4×5cmの大きさにスクリーン印刷し、120℃で20分間乾燥して透光性導電膜を得た。得られた導電膜の表面抵抗、全光線透過率(380〜780mm)、ヘーズ値を表2にそれぞれ示す。表面抵抗は、三菱油化社製のローレスタMCPーT400(商品名)により測定した。全光線透過率、ヘーズ値は、基板のPETフィルムと一緒にスガ試験機械社製の直読ヘーズコンピュータHGMーZDP(商品名)により測定した。
【0032】
本実施例で得られた導電ペーストを用い、有機分散型ELを試作した。まず、片面にアルミニウムを蒸着した厚さ100μm、面積4×5cm、0.95Ω/□のポリエステルフィルムのアルミニウム蒸着面に、絶縁層(誘電層)を形成した。絶縁層は、シアノエチルセルロース樹脂溶液中にチタン酸バリウム粒子を分散させたチタン酸バリウムペーストを200メッシュスクリーンを用いて4×5cmの大きさに印刷し乾燥して得た。
【0033】
この絶縁層の上に、蛍光体である硫化亜鉛粒子をシアノエチルセルロース樹脂溶液中に分散させた硫化亜鉛ペーストを200メッシュスクリーンを用いて4×5cmの大きさに2回刷りして乾燥した。さらに、その上に表1のペースト1の組成の導電ペーストを150メッシュスクリーンにより3×4cmの大きさに印刷し、120℃、10分間乾燥し透光性導電膜を形成した。
【0034】
この透光性導電膜の一端に電圧印加用リード線を、他端に抵抗測定用リード線をそれぞれ接続し、ポリエステルフィルムのアルミニウム蒸着面の一端に電圧印加用リード線を接続した。そして、これら積層体の両面に4×5cmの捕水フィルムを重ね、さらにその両側から前記のリード線の端部を外部に露出せしめて5×6cmのフッ素フィルムで包み防湿ラミネート加工を施してEL素子を作製した。
【0035】
このEL素子の透光性導電膜の両端に接続した電圧印加用リード線と抵抗測定用リード線との間の抵抗を測定して、透光性導電膜の表面抵抗を測定し、透光性導電膜の一端に接続した電圧印加用リード線と、ポリエステルフィルムの蒸着面の一端に接続した電圧印加用リード線との間に106V、800Hzの疑似台形波の電圧を印加し、EL素子を発光させ、その輝度を測定した。輝度測定は、輝度計(トプコン社製 商品名:BMー8)で測定した。その結果を表2に示す。
【0036】
実施例2
粒径の小さい透明導電性粉末として、平均粒径4μm、圧粉抵抗26Ω・cm、錫含有量4.1重量%のりん片状ITO粉末を用い、表1のペースト2の組成を用いた以外は実施例1と同様にして透光性導電膜、EL素子を得た。得られた透光性導電膜、EL素子に対し実施例1と同様の測定を行った結果を同じく表2に示す。
【0037】
実施例3
粒径の小さい透明導電性粉末として、長径の平均値20μm、圧粉抵抗0.05Ω・cm、錫含有量2.6重量%の針状ITO粉末(その結晶構造を電子顕微鏡写真により図3として示す)を用い、表1のペースト3の組成を用いた以外は、実施例1と同様にして透光性導電膜、EL素子を得た。そして、実施例1と同様の測定を行った結果を同じく表2に示す。
【0038】
実施例4
実施例1で用いた粒状ITO粉末を、表1のペースト5の組成となるように作成したペーストを厚さ100μmのPETフィルム(東レ株式会社製のルミラーTタイプ)上に、200メッシュのスクリーン版で4×5cmの大きさにスクリーン印刷し、120℃で20分間乾燥し、膜厚0.8μm、表面抵抗113kΩ/□の導電膜を得た。次いで、この導電膜の上に実施例1で用いた針状ITO粉末を表1のペースト4の組成となるように作成したペーストを150メッシュのスクリーン版で4×5cmの大きさにスクリーン印刷し、120℃で20分間乾燥して透光性導電膜を得るともに、実施例1と同様にしてEL素子を得た。得られた透光性導電膜、EL素子について実施例1と同様の測定を行った結果を同じく表2に示す。
【0039】
実施例5
実施例2で用いたりん片状ITO粉末を表1のペースト6の組成となるように作成したペーストを厚さ100μmのPETフィルム(東レ株式会社製のルミラーTタイプ)上に、200メッシュのスクリーン版で4×5cmの大きさにスクリーン印刷し、120℃で20分間乾燥し、膜厚0.8μm、表面抵抗135kΩ/□の導電膜を得た。次いで、この導電膜の上に実施例1で用いた針状ITO粉末を表1のペースト4の組成となるように作成したペーストを150メッシュのスクリーン版で4×5cmの大きさにスクリーン印刷し、120℃で20分間乾燥して透光性導電膜を得るともに、実施例1と同様にしてEL素子を得た。得られた透光性導電膜、EL素子について実施例1と同様の測定を行った結果を同じく表2に示す。
【0040】
実施例6
実施例4において、粒状ITO粉末を含む表1のペースト5と、針状ITO粉末を含む表1のペースト4のPETフィルム及びEL基板に対する成膜を、逆の順番に行った以外は、実施例4と同様にして得た透光性導電膜、EL素子の、実施例1と同様の測定結果を同じく表2に示す。
【0041】
比較例1
実施例1で用いた針状ITO粉末を表1のペースト4の組成となるように作成した導電ペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして得た透光性導電膜およびEL素子の、実施例1と同様の測定結果を同じく表2に示す。
【0042】
比較例2
実施例3で用いた長径の平均値20μm、圧粉抵抗0.05Ω・cm、錫含有量2.6重量%の針状ITO粉末を用い、表1のペースト7の組成となるように作成した導電ペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして得た透光性導電膜およびEL素子の、実施例1と同様の測定結果を同じく表2に示す。
【0043】
表2の結果より明らかなごとく、本発明の透光性導電膜およびEL素子は、すべて従来とほぼ同等の低抵抗を示し、かつ従来より優れた輝度が得られた。
【0044】
【表1】
Figure 0003560651
【0045】
【表2】
Figure 0003560651
【0046】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明の透光性導電膜およびEL素子は、長径が30μm以上の大きな針状ITO粉末を用いているので低抵抗の導電膜が得られ、併せて粒径の小さい透明導電性粉末を用いているので、導電膜面内の抵抗の均一化がはかられ、かつ従来よりも高い輝度が得られるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEL素子の断面を示す模式図であり、(a)は長径30μm以上の針状ITO粉末と粒径の小さい透明導電性粉末を同一膜内で用いたEL素子、(b)、(c)は長径30μm以上の針状ITO粉末と粒径の小さい透明導電性粉末層をそれぞれ別々の膜に用い、膜の低抵抗化と抵抗の均一化を別々の膜で行うEL素子である。
【図2】この発明の実施例1における針状ITO粉末の結晶構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図3】同上実施例3における針状ITO粉末の結晶構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】長径30μm以上の針状ITO粉末だけを導電性フィラーとして用いて形成した導電膜を使用した分散型EL素子の断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1 金属電極
2 誘電体層
3 蛍光体粒子
4 長径30μm以上の針状ITO粉末
5 粒径の小さい透明導電性粉末
6 粒径の小さい透明導電性粉末層

Claims (5)

  1. 樹脂およびその溶剤中に、長径30μm以上で短径に対する長径の比が5以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と、長径30μm未満の針状インジウムー錫酸化物粉末または粒径30μm以下のりん片状インジウムー錫酸化物粉末または粒径1μm以下の粒状導電性酸化物粉末のうちの少なくとも1つである透明導電性粉末を含有し、かつ前記長径30μm以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と前記透明導電性粉末の重量比が95:5〜60:40である導電ペースト。
  2. 長径30μm以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と、長径30μm未満の針状インジウムー錫酸化物粉末または粒径30μm以下のりん片状インジウムー錫酸化物粉末または粒径1μm以下の粒状導電性酸化物粉末のうちの少なくとも1つである透明導電性粉末および樹脂とからなる透光性導電膜。
  3. 長径30μm未満の針状インジウムー錫酸化物粉末または粒径30μm以下のりん片状インジウムー錫酸化物粉末または粒径1μm以下の粒状導電性酸化物粉末のうちの少なくとも1つである透明導電性粉末と樹脂とからなる透光性導電膜と、長径30μm以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と樹脂とからなる透光性導電膜とからなり、前記2種の透光性導電膜が相互に積層された透光性導電膜。
  4. 金属電極、誘電体粒子層、蛍光体粒子層の順に積層された基板上に、長径30μm以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と、長径30μm未満の針状インジウムー錫酸化物粉末または粒径30μm以下のりん片状インジウムー錫酸化物粉末または粒径1μm以下の粒状導電性酸化物粉末のうちの少なくとも1つである透明導電性粉末および樹脂とからなる透光性導電膜が形成された分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 金属電極、誘電体粒子層、蛍光体粒子層の順に積層された基板上に、長径30μm未満の針状インジウムー錫酸化物粉末または粒径30μm以下のりん片状インジウムー錫酸化物粉末または粒径1μm以下の粒状導電性酸化物粉末のうちの少なくとも1つである透明導電性粉末と樹脂とからなる透光性導電膜と、長径30μm以上の針状インジウムー錫酸化物粉末と樹脂とからなる透光性導電膜が、相互に積層された分散型エレクトロルミネッセンス素子。
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