JP2011144415A - 転炉精錬方法 - Google Patents

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【課題】同一の転炉で脱りん精錬と脱炭精錬を行うことによるメリットを享受しつつ、P規格の特に厳しい極低りん鋼についても安定的に溶製することのできる転炉精錬方法を提供する。
【解決手段】上底吹き転炉を用いて鋼を精錬するに際し、第1工程で溶銑を転炉に装入し、第2工程でフラックスを用いた転炉上底吹き精錬により溶銑脱りんを行い、第3工程で転炉を傾動して第2工程で生成したスラグの一部又は全部を排出し、第4工程でフラックスを追加して転炉上底吹き精錬により溶銑脱りんを行い、第5工程で転炉を傾動して第4工程で生成したスラグの一部又は全部を排出し、第6工程で転炉上底吹き精錬により脱炭を行う。最初の脱りん精錬とその後のスラグ除去の後、フラックスを追加して第2の脱りん精錬とスラグ除去を行い、さらにその後に脱炭精錬を行うので、脱炭精錬終了後の溶鋼中P濃度を十分に極低P鋼レベルまで低減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、上底吹き転炉を用いて鋼を精錬する転炉精錬方法に関するものである。
転炉を用いて溶銑を精錬するに際し、精錬で除去すべき溶銑中不純物のうち、Sのみを溶銑予備脱硫で精錬除去し、Si、P、Cについては転炉内での1回の精錬で除去されていた。
その後、溶銑予備脱りん方法が開発され、溶銑中のSi、Pについても、トーピードカーあるいは溶銑鍋を用いた予備処理で除去され、転炉においては脱炭精錬のみが行われるようになった。また、2基の転炉を用い、第1の転炉で脱りん精錬を行い、その後第2の転炉にて脱炭精錬を行う方法も採用された。
しかしながら、トーピードカーや溶銑鍋等の溶銑搬送容器を用いた予備精錬では、容器容量が小さく強攪拌精錬を行うことが困難で、特に脱りん反応は平衡から遠く、目標の脱りん量を達成するためには必要以上のフラックスを使用しなければならず、かつ精錬に長時間を要するという欠点がある。脱りん精錬に転炉型容器を用いればこの欠点は改善されるものの、脱炭を含めて2基の転炉を必要とするため、設備費が高く、かつ放散熱ロスが増して、鉄鉱石やスクラップの溶解能力が低下する。
そこで、上底吹き転炉を用い、同一の転炉で、まず脱りん精錬を行い、次いで脱りん精錬で生成したスラグを除去し、その後脱炭精錬を行う方法が開発された。特許文献1に記載のように、最初の脱りん精錬において、底吹き攪拌動力を適切に付与することにより、溶銑とフラックスとの間でほぼ平衡まで脱りん反応が進行するため、処理後温度1200〜1450℃の範囲では、温度に応じて処理後のスラグ中CaO/SiO2が0.6〜2.5で十分に目標の脱りん量に達する。また、脱りん精錬後にスラグを除去するに際しては、スラグがフォーミング状態での排出が好ましく、そのため底吹きガスを継続的に吹き込み、炉前防滓板でスラグの飛散を防ぎつつ短時間でのスラグ排出を行うことができる。
特許文献2〜4においては、同じく同一の転炉で脱りん精錬、スラグ除去、脱炭精錬を行うに際し、脱炭精錬で生成したスラグを転炉内に残したまま出鋼して次のヒートの精錬に移り、前のヒートの脱炭スラグを次のヒートの脱りん精錬フラックスとして用いる方法が開示されている。また、炉底のみならず炉腹部にもガス吹き込み口を設け、脱りん精錬後に転炉を傾動してスラグを排出するに際し、炉腹部からのガス吹き込みによってスラグ中に気泡を吹き込んでスラグをフォーミングさせ、鉄ロスを最小限に抑えつつ円滑な流動排滓を行うことが記載されている。
特許第3239197号公報 特開平4−72007号公報 特許第2607328号公報 特許第2582692号公報
上底吹き転炉を用い、同一の転炉で脱りん精錬、スラグ除去、脱炭精錬を行う転炉精錬により、全体の精錬時間を短縮し、脱りんに必要とするフラックス量を低減し、精錬での熱ロスを低減することが可能となった。しかしこの方法では、精錬を終わった溶鋼中のP濃度を極端に低減することが困難であり、P規格の特に厳しい極低りん鋼、例えばP≦0.010%の鋼を安定的に溶製することが困難であるという問題を有していた。
本発明は、同一の転炉で脱りん精錬と脱炭精錬を行うことによる上記メリットを享受しつつ、P規格の特に厳しい極低りん鋼についても安定的に溶製することのできる転炉精錬方法を提供することを目的とする。
上底吹き転炉を用い、同一の転炉で脱りん精錬、スラグ除去、脱炭精錬を行う従来の転炉精錬方法においては、脱りん精錬後のスラグ除去において、転炉内に存在するすべてのスラグを除去することができず、P25を多く含んだスラグの一部が残存したまま次の脱炭精錬を開始することとなる。脱炭精錬で溶湯温度が上昇するとともにスラグから溶湯への復りんが起こり、脱炭精錬終了後の溶鋼中P濃度を押し上げる要因になっていることがわかった。
脱りん精錬後のスラグを完全に除去して脱炭精錬を行うためには、脱りん精錬後にスラグを転炉内に残して溶湯を炉外に出湯し、その後にスラグを排出した転炉に再度溶湯を装入することが必要であるが、同一転炉で脱りんと脱炭を行う場合には精錬に長時間を要し、脱りんと脱炭を別の転炉で行う場合には設備費がかかることになる。また、途中に出湯を行うために熱ロスが増すことになる。
これに対し、最初の脱りん精錬とその後のスラグ除去を行った後、脱炭精錬を行う前に、フラックスを追加して第2の脱りん精錬を行い、その後にスラグ除去を行い、さらにその後に脱炭精錬を行うことにより、脱炭精錬終了後の溶鋼中P濃度を十分に極低P鋼レベルまで低減できることがわかった。第2の脱りん精錬によって溶湯中Pレベルを一層低減できるとともに、第2の脱りん精錬後のスラグ中P25レベルは第1の脱りん精錬後のスラグ中P25レベルよりも低いので、スラグ除去後に転炉内にスラグが残留しても、脱炭精錬時の復りんを低く抑えることができるからである。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)上底吹き転炉を用いて鋼を精錬するに際し、第1工程で溶銑を転炉に装入し、第2工程でフラックスを用いた転炉上底吹き精錬により溶銑脱りんを行い、第3工程で転炉を傾動して第2工程で生成したスラグの一部又は全部を排出し、第4工程でフラックスを追加して転炉上底吹き精錬により溶銑脱りんを行い、第5工程で転炉を傾動して第4工程で生成したスラグの一部又は全部を排出し、第6工程で転炉上底吹き精錬により脱炭を行うことを特徴とする転炉精錬方法。
(2)第2工程で用いるフラックスとして、第2工程開始時に転炉に添加するフラックス、第1工程前の前ヒートにおける第6工程で生成したフラックスであって一部又は全部を転炉内に残置したもの、の一方又は両方を用いることを特徴とする上記(1)に記載の転炉精錬方法。
(3)第4工程で追加するフラックスとして、CaO含有フラックス及びSiO2含有フラックスを用い、第4工程終了時のスラグCaO/SiO2(質量比)を1.5〜2.0とし、第4工程終了時の溶湯温度を1400℃以下とすることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の転炉精錬方法。
(4)前記第6工程終了後、第7工程において転炉を傾動してスラグを残したまま溶鋼を出鋼し、転炉内スラグの推定P25成分と次ヒートの鋼P成分目標値の一方又は両方に基づいて、第8工程として、転炉内のスラグを全量残置し、一部のみを残置してその他を排滓し、あるいは全量を排滓する処理のいずれかを選択し、その後に次ヒートの第1工程に移行することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の転炉精錬方法。
本発明は、上底吹き転炉を用いて鋼を精錬するに際し、最初の脱りん精錬とその後のスラグ除去を行った後、フラックスを追加して第2の脱りん精錬を行い、その後にスラグ除去を行い、さらにその後に脱炭精錬を行うので、脱炭精錬終了後の溶鋼中P濃度を十分に極低P鋼レベルまで低減できる。
本発明の工程の流れを示す概念図である。 本発明例と比較例について転炉処理後P濃度の分布を示す図である。
本発明の鋼精錬は、上底吹き転炉を用いて行う。上吹き酸素によって溶湯を攪拌しつつ酸化精錬を進行させ、底吹きガスによって精錬中の溶湯の攪拌を増強する。また、転炉を傾動してのスラグ除去時には、底吹きガスを継続的に吹き込むことによってスラグをフォーミングさせ、溶湯を転炉内に残したままで速やかにスラグを炉口から排出することができる。
次に、図1を参照して本発明を工程に従って詳細に説明する。
第1工程で溶銑鍋2を用いて溶銑を上底吹き転炉1に装入し、第2工程でフラックスを用いた転炉上底吹き精錬により溶銑脱りんを行う。上吹き精錬は上吹きランス7により行う。装入主原料として溶銑とともにスクラップを用いる場合、第1工程では溶銑装入に先立ってスクラップ装入をも行う。第2工程で用いるフラックスは、溶銑装入後にフラックス原料を炉内に添加する、前ヒートの脱炭精錬後のスラグを転炉内に残置してフラックスとする、あるいは前ヒートの残置スラグにさらにフラックス原料を追加してフラックスとする方法の中から選択することができる。
第1工程で転炉に装入する溶銑は、不純物としてP、Cを含有するほか、通常はSiを含有している。そのため、第2工程での脱りん精錬においては、酸素ガスによる酸化精錬でまずは溶銑中Siが燃焼して脱珪が進行し、次いで脱りん反応が進行することとなる。第2工程のフラックス原料として生石灰や焼成ドロマイトなどのCaO含有フラックスを添加すると、これがスラグ中のCaO源となる。溶銑の脱珪反応で生成したSiO2が、スラグ中のSiO2源となる。前ヒートの脱炭スラグを残置してフラックスとして用いる場合には、脱炭スラグ中にCaOとSiO2がともに含まれている。
第2工程の溶銑脱りんにおいて脱りん反応を迅速に進行させるため、第2工程の処理後温度を1200〜1450℃の範囲に調整する。さらに温度に応じて、処理後スラグ中CaO/SiO2質量比を0.6〜2.5の範囲に調整する。温度が低いほど、低いCaO/SiO2比において脱りん反応を進行させることができる。また、スラグ中T.Fe濃度が低すぎると酸素ポテンシャルの不足によって脱りんが妨げられ、高すぎるとスラグ中塩基性成分濃度が希釈されるためにやはり脱りんが妨げられるが、処理後スラグ中T.Fe濃度が10〜30質量%の範囲であれば良好な脱りん精錬を行うことができる。さらに上底吹き転炉を用いることによって底吹きガスで溶湯を十分に攪拌することにより、脱りん反応を迅速に進行させることができる。
第3工程で転炉1を傾動して第2工程で生成したスラグの一部又は全部を排出する。スラグ9はスラグパン台車6上のスラグパン4に排出される。次工程以降での復りんを防止するためには、第3工程でできるだけ多くのスラグを排出することが好ましい。そのため、スラグ排出中も底吹きガスを継続的に吹き込み、底吹きガスによってスラグをフォーミング状態にしてスラグ排出を促進させる。ここにおいて、第2工程終了時の溶湯温度が1200℃未満ではスラグの滓化が不十分なため、第3工程での排滓が進行せず、排滓率が60%に到達しない。一方第2工程終了時の溶湯温度が1450℃を超えるとやはり排滓率が60%に到達しない。1200〜1450℃の範囲であれば、第2工程で良好に脱りん反応を行うことができるとともに、第3工程でのスラグ排出を良好に行うことができる。
本発明においては、第2工程の脱りん精錬と第3工程のスラグ排出が完了した後、直ちに脱炭精錬に移行するのではなく、第4工程としてさらに脱りん精錬、第5工程としてスラグ排出を行い、その後に第6工程として脱炭精錬を行うことを特徴とする。
従来の、第2工程の脱りん精錬と第3工程のスラグ除去の後、直ちに脱炭精錬を行う転炉精錬方法においては、脱りん精錬後のスラグ除去において、転炉内に存在するすべてのスラグを除去することができず、P25を多く含んだスラグの一部が残存したまま次の脱炭精錬を開始することとなる。脱炭精錬で溶湯温度が上昇するとともにスラグから溶湯への復りんが起こり、脱炭精錬終了後の溶鋼中P濃度を押し上げる要因になっていた。
それに対し本願発明は、第2工程の脱りん精錬と第3工程のスラグ除去を行った後、脱炭精錬を行う前に、第4工程としてフラックスを追加して2回目の脱りん精錬を行い、その後に第5工程のスラグ除去を行い、さらにその後に第6工程として脱炭精錬を行うことにより、脱炭精錬終了後の溶鋼中P濃度を十分に極低P鋼レベルまで低減できることがわかった。第4工程の脱りん精錬によって溶湯中Pレベルを一層低減できるとともに、第4工程の脱りん精錬後のスラグ中P25レベルは第2工程の脱りん精錬後のスラグ中P25レベルよりも低いので、スラグ除去後に転炉内にスラグが残留しても、脱炭精錬時の復りんを低く抑えることができるからである。
また、脱りん精錬を第2工程と第4工程の2段階精錬とするため、第6工程の脱炭精錬前の溶湯中P濃度を、従来の1段階脱りん精錬に比較してより低い値とすることができる。そのため、本発明の第6工程の脱炭精錬については、従来の1段階脱りん精錬の場合に比較して脱炭精錬時に添加する復P防止用フラックス原単位を軽減することが可能となる。また、本発明の第4工程の脱りん精錬については軽脱りんで足りるので、脱りん用フラックス原単位が少なくて済む。結果として、本発明は脱りん精錬を2段階にわけて実施するにもかかわらず、トータルで使用するフラックス原単位は、従来の1段階脱りん精錬で使用するフラックス原単位と同等程度に抑えることが可能であることがわかった。
第4工程の溶銑脱りんにおいて脱りん反応を迅速に進行させるため、第4工程の処理後温度を1200〜1450℃の範囲に調整する。第4工程の処理後温度が低いほど、脱りん精錬には有利である。第4工程の処理後温度を1400℃以下とすると好ましい。さらに温度に応じて、処理後スラグ中CaO/SiO2質量比を0.6〜2.5の範囲に調整する。第2工程で溶銑の脱珪反応は終了しているので、第4工程でスラグ中CaO/SiO2質量比を好適範囲に調整するためには、フラックスとしてCaO源を添加すると共に、通常はSiO2源をも添加する必要がある。温度が低いほど、低いCaO/SiO2比において脱りん反応を進行させることができる。また、スラグ中T.Fe濃度が低すぎると酸素ポテンシャルの不足によって脱りんが妨げられ、高すぎるとスラグ中塩基性成分濃度が希釈されるためにやはり脱りんが妨げられるが、処理後スラグ中T.Fe濃度が10〜30質量%の範囲であれば良好な脱りん精錬を行うことができる。さらに上底吹き転炉を用いることによって底吹きガスで溶湯を十分に攪拌することにより、脱りん反応を迅速に進行させることができる。
第1工程で転炉に装入する溶銑中のP濃度が0.100質量%程度であって、転炉精錬終了後の溶鋼中P濃度を0.010質量%以下まで低減する場合、第2工程の脱りん精錬終了後の溶湯P濃度を0.030〜0.040質量%程度とし、第4工程の脱りん精錬終了後の溶湯P濃度を0.020〜0.025質量%程度とすると好ましい。この場合、第2工程と第4工程のスラグ中CaO/SiO2質量比、スラグ中T.Fe濃度、底吹き攪拌動力を上記好適範囲とし、第2工程終了時の溶湯温度を1300〜1350℃程度、第4工程終了時の溶湯温度を1340〜1400℃程度としたとき、第2工程、第4工程のフラックス原単位を最小化し、良好な脱りん精錬を行うことができる。
即ち、第4工程で追加するフラックスとして、CaO含有フラックス及びSiO2含有フラックスを用い、第4工程終了時のスラグCaO/SiO2(質量比)を1.5〜2.0とし、第4工程終了時の溶湯温度を1400℃以下とすると好ましい。
このとき、第2工程のフラックス原単位はCaO源としてCaO換算で0〜20kg/トン程度、第4工程のフラックス原単位はCaO源としてCaO換算で5〜10kg/トン程度となる。第4工程ではSiO2源としてSiO2換算で2〜5kg/トン程度をも添加する。フラックスとして添加するCaO源としては、生石灰、石灰石、焼成ドロマイト等を用いることができる。またフラックスとして添加するSiO2源として、軟珪石、かんらん石、Fe−Siを用いることができる。
第5工程で転炉を傾動して第4工程で生成したスラグの一部又は全部を排出する。第5工程におけるスラグ排出は、前記第3工程におけるスラグ排出と同様にして行うことができる。
第5工程のスラグ排出後、転炉を直立し、第6工程で転炉上底吹き精錬により脱炭精錬を行う。第5工程における排滓率や炉体溶損状況、目標P濃度に応じた必要最小限の生石灰や軽焼ドロマイト等のフラックスを追加投入し、目標終点C濃度まで脱炭吹錬を行う。脱炭精錬で添加するフラックスにより、第6工程の脱炭精錬においても通常は脱りん反応が進行する。前述のとおり、従来の1段階脱りん精錬に比較し、脱炭精錬前の溶湯中P濃度が低い値となっており、また脱炭精錬前に転炉に残存した第4工程生成スラグ中のP25濃度が、本発明は従来に比較して低くなっているので、本発明においては第6工程で添加するフラックス原単位を低減することが可能となる。
第4工程の脱りん精錬では、脱りん反応を進行させるため、精錬終了時の溶湯温度を1400℃以下と低く抑える。一方、第6工程の脱炭精錬終了後において、溶鋼温度は1650〜1730℃程度にまで昇温する必要がある。そのため、第6工程での昇温のため、第4工程の脱りん精錬では溶湯中のCを極力燃焼せずに保持することが必要である。第4工程終了時の溶湯中C濃度を3.0質量%以上とすれば好ましい。また、第4工程の脱りん酸化精錬において不可避的に溶湯中炭素が燃焼するので、第2工程の脱りん精錬終了時の溶湯中C濃度を3.5質量%以上とすれば好ましい。第6工程の脱炭精錬において熱源が不足する場合には、炉内に炭素源を添加して熱源とすることができる。Fe−Siなどの金属シリコン源、アルミ合金などの金属アルミニウム源を添加しても良い。
第6工程の脱炭精錬を終了した後、転炉を傾動してスラグを残したまま転炉内の溶鋼を取鍋に出鋼する。溶鋼8は取鍋台車5上の取鍋3に収容される。この工程を第7工程と呼ぶ。
出鋼が完了すると、転炉内にはスラグが残存する。第8工程においてこの残存スラグの処理を行う。転炉を傾動し、転炉内のスラグ9を全量、スラグパン4に排出しても良い。あるいは、転炉内のスラグ9を全量転炉1に残置し、その後に次ヒートの第1工程に移行しても良い。さらには、転炉内のスラグの一部のみを残置してその他を排滓し、一部のスラグを残置したまま、その後に次ヒートの第1工程に移行してもよい。転炉内スラグの推定P25成分と次ヒートの鋼P成分目標値の一方又は両方に基づいて、転炉内のスラグを全量残置するか、一部のみを残置してその他を排滓するか、あるいは全量を排滓するか、のいずれかを選択することができる。次ヒートの鋼P成分目標値が低い場合には、転炉内のスラグ残置量を増大することができる。また、転炉内スラグの推定P25成分が低い場合にも、転炉内のスラグ残置量を増大することができる。
前ヒートの第8工程において、転炉内のスラグを全量排出した場合には、今回ヒートの第2工程で用いるフラックスとして、第2工程開始時に転炉に添加するフラックスを用いることになる。また、前ヒートの第8工程において、スラグの一部又は全部を転炉内に残置した場合には、第2工程で用いるフラックスとして、第1工程前の前ヒートにおける第6工程で生成したフラックスであって一部又は全部を転炉内に残置したものを用いることになる。
溶湯量320トンの上底吹き転炉を用い、成品目標P濃度が0.010質量%以下である品種を製造するに際して本発明を適用した。本発明の工程は図1に示すとおりである。比較例として、図1の第4工程、第5工程を省略した工程を用いた。本発明例、比較例とも、第8工程としては、転炉内にスラグを残置する場合と残置せずに全量排滓する場合の両方を実施した。上吹き送酸速度は1.5〜4.5Nm3/t/minとした。
(実施例1)
本発明例、比較例について、装入溶銑の温度と主要成分、第2工程後、第4工程後、4第6工程後それぞれの溶湯温度、溶湯成分、スラグ成分を表1に示す。表1のスラグ成分中、CaO/SiO2の単位は質量%ではなく無単位である。また、本発明例、比較例について、主原料量、第2工程、第4工程、第6工程のフラックス添加量、合計のフラックス添加量、スラグ量を表2に示す。表2のフラックス添加量において、添加したフラックス中の全CaO換算添加量をT.CaO、全SiO2換算添加量をT.SiO2としている。
Figure 2011144415
Figure 2011144415
表1、表2において、No.1〜7のヒートが比較例、No.8〜14のヒートが本発明例であり、それぞれ当該7ヒートの平均値も示している。
本発明例、比較例とも、装入主原料の80〜90%が溶銑であり、残りはスクラップである。また、CaO源としてのフラックスとしては生石灰、石灰石、軽焼ドロマイトを用い、SiO2源としてのフラックスとしてはFe−Si、かんらん石、軟珪石を用いている。
表1の第6工程後の溶湯P濃度から明らかなように、本発明例No.8〜14はいずれもP濃度が0.010質量%以下であって目標を達成し、7ヒートの平均P濃度が0.009質量%であったのに対し、比較例については、7ヒート中4ヒートにおいて目標P濃度を達成することができず、7ヒートの平均P濃度も0.011質量%であった。
また、表2の合計欄の記述から明らかなように、本発明は第4工程を付加してフラックス添加精錬回数が増えているにもかかわらず、合計のT.CaOは比較例よりも本発明例の方が低くなる結果を得ることができた。精錬全体の鉄ロスを示す溶鋼歩留りについても、本発明例と比較例との間で差異は見られなかった。
(実施例2)
上記実施例1の本発明例及び比較例と同様の条件を用い、成品目標P濃度が0.010質量%以下である品種を製造した。結果を図2に示す。図2から明らかなように、本発明例は比較例に比較してP濃度が大幅に低減していることが明らかである。
1 上底吹き転炉
2 溶銑鍋
3 取鍋
4 スラグパン
5 取鍋台車
6 スラグパン台車
7 上吹きランス
8 溶湯(溶銑、溶鋼)
9 スラグ

Claims (4)

  1. 上底吹き転炉を用いて鋼を精錬するに際し、第1工程で溶銑を転炉に装入し、第2工程でフラックスを用いた転炉上底吹き精錬により溶銑脱りんを行い、第3工程で転炉を傾動して第2工程で生成したスラグの一部又は全部を排出し、第4工程でフラックスを追加して転炉上底吹き精錬により溶銑脱りんを行い、第5工程で転炉を傾動して第4工程で生成したスラグの一部又は全部を排出し、第6工程で転炉上底吹き精錬により脱炭を行うことを特徴とする転炉精錬方法。
  2. 第2工程で用いるフラックスとして、第2工程開始時に転炉に添加するフラックス、第1工程前の前ヒートにおける第6工程で生成したフラックスであって一部又は全部を転炉内に残置したもの、の一方又は両方を用いることを特徴とする請求項1に記載の転炉精錬方法。
  3. 第4工程で追加するフラックスとして、CaO含有フラックス及びSiO2含有フラックスを用い、第4工程終了時のスラグCaO/SiO2(質量比)を1.5〜2.0とし、第4工程終了時の溶湯温度を1400℃以下とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の転炉精錬方法。
  4. 前記第6工程終了後、第7工程において転炉を傾動してスラグを残したまま溶鋼を出鋼し、転炉内スラグの推定P25成分と次ヒートの鋼P成分目標値の一方又は両方に基づいて、第8工程として、転炉内のスラグを全量残置し、一部のみを残置してその他を排滓し、あるいは全量を排滓する処理のいずれかを選択し、その後に次ヒートの第1工程に移行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の転炉精錬方法。
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