JP2011139664A - 焼酎の製造方法 - Google Patents

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【課題】里芋を用いることにより新しい風味の焼酎を得ることができる焼酎の製造方法を提供する。
【解決手段】原料として、蒸した里芋と、焙煎した里芋と、米と、米麹とを用いて、焼酎を製造する。焙煎した里芋は、一片が3cm以下となるように裁断した生の里芋を熱風で乾燥したのち、焙煎したものである。乾燥は、里芋の質量が乾燥前の生の里芋の質量の40質量%以上60質量%以下となるようにすることが好ましい。原料における蒸した里芋と焙煎した里芋の割合を36質量%以下とすることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、里芋を原料とした焼酎の製造方法に関する。
一般に、里芋の親芋は固いので食用には適しておらず、肥料としても使い難い。そのため、多くはそのまま放置され、廃棄されている。そこで、親芋の新たな利用方法が考えられており、その一つに焼酎の原料として用いることが検討されている。なお、里芋を原料に用いた焼酎としては、例えば、一次仕込において、麹と水と酵母から酒母を造り、二次仕込において、この酒母に水、主原料とともに蒸煮した里芋を加えてアルコール発酵させたものがある(特許文献1参照)。
特開昭61−19480号公報
しかしながら、特許文献1に記載の焼酎は、主原料として米を用いた場合、里芋を加えても、里芋を加えていない米焼酎とそれ程違いがなく、里芋の特徴を出すことができないという問題があった。そこで、里芋の特徴を生かした新しい風味の焼酎の開発が望まれていた。
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、里芋を用いることにより新しい風味の焼酎を得ることができる焼酎の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の焼酎の製造方法は、原料として、蒸した里芋と、焙煎した里芋と、米と、米麹とを用い、焙煎した里芋は、一片が3cm以下となるように裁断した生の里芋を熱風で乾燥したのち、焙煎したものであることを特徴とするものである。
本発明の焼酎の製造方法によれば、一片が3cm以下となるように裁断した生の里芋を熱風で乾燥したのち、焙煎したものを用いるようにしたので、里芋の甘みと香りが添加された新しい風味の焼酎を得ることができる。
特に、乾燥後の里芋の質量を生の里芋の質量の40質量%以上60質量%以下とするようにすれば、又は、焙煎後の里芋の質量を生の里芋の質量の30質量%以下とするようにすれば、風味をより向上させることができる。
本発明の一実施の形態に係る焼酎の製造方法を表す流れ図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る焼酎の製造方法の工程を表すものである。この焼酎の製造方法では、まず、例えば、生の里芋の皮を剥き、一片が3cm以下、例えば一辺が3cm以下となるように裁断し、熱風で乾燥させたのち、焙煎する(焙煎工程;ステップ101)。焙煎した里芋を用いることにより、焼酎に甘みと香りを加えることができるからである。その際、生の里芋を裁断するのは、里芋の大きさが大きいと風味を向上させることができないからである。裁断後の里芋の大きさは、一片が2cm以下、例えば一辺が2cm以下となるようにすればより好ましい。また、裁断後の里芋の形状は、例えば、略六面体状とすれば好ましく、略八面体状とすればより好ましい。
また、乾燥するのは、生の里芋は水分量が多く、そのまま焙煎しても風味を向上させることができないからである。乾燥後の里芋の質量は、例えば、乾燥前の生の里芋の質量の40質量%以上60質量%以下とすることが好ましい。水分含有量が多いと風味を向上させる効果が小さく、水分含有量が少なくなると甘みが苦味に変わり、風味を十分に向上させることができないからである。なお、生の里芋の水分含有量は一般に75質量%程度である。乾燥は、例えば、100℃以上200℃以下の熱風、より好ましくは140℃以上180℃以下の熱風で行うことが好ましい。天日干しなどでは乾燥させている間に腐ってしまうからである。乾燥時間は、温度及び風量などに応じて適宜決定する。
焙煎は、例えば、乾燥させた里芋を鍋、釜又はフライパンなどの焙煎容器に入れて火にかけて乾煎りする。焙煎は、里芋の表面が黒っぽくなるまで行うことが好ましく、焙煎後の里芋の質量は、例えば、焙煎及び乾燥前の生の里芋の質量の30質量%以下とすることが好ましい。風味をより向上させることができるからである。
次いで、例えば、米麹を用意し、米麹に汲水と酵母を加えて発酵させ、一次もろみを製造する(一次発酵工程;ステップS102)。
続いて、例えば、蒸した里芋と、焙煎工程(ステップS101)において焙煎した里芋と、米とを用意し、これらを一次もろみに加えて発酵させ、二次もろみを製造する(二次発酵工程;ステップS103)。蒸した里芋は、潰して加えることが好ましい。十分に発酵させることができるからである。
原料における蒸した里芋と焙煎した里芋の割合は、36質量%以下とすることが好ましい。蒸した里芋と焙煎した里芋とを合計した割合がこれよりも多くなると、繊維質などの廃棄物が増え、原料に対するアルコールの収量が少なくなってしまうからである。また、原料における蒸した里芋と焙煎した里芋の割合は、30質量%以上とすればより好ましい。里芋の風味を生かすことができるからである。なお、原料は、麹と掛原料とを合わせたものであり、具体的には、米麹、蒸した里芋、焙煎した里芋、及び米である。焙煎した里芋の質量は焙煎後の質量であり、蒸した里芋の質量は蒸す前の生の里芋の質量である。また、掛原料における蒸した里芋と焙煎した里芋の割合は、50質量%以上とすることが好ましい。里芋の風味を生かすことができるからである。更に、蒸した里芋と焙煎した里芋と合計に対する焙煎した里芋の割合は、20質量%以上55質量%以下とすることが好ましい。焙煎した里芋の割合が低いと風味を十分に向上させることができず、割合が高いと癖が強くなり手間も大きくなるからである。
そののち、二次もろみを通常の方法により蒸留する(蒸留工程;ステップ104)。これにより、焼酎が得られる。
このように、本実施の形態によれば、一片が3cm以下となるように裁断した生の里芋を熱風で乾燥したのち、焙煎したものを用いるようにしたので、里芋の甘みと香りが添加された新しい風味の焼酎を得ることができる。
特に、乾燥後の里芋の質量を生の里芋の質量の40質量%以上60質量%以下とするようにすれば、又は、焙煎後の里芋の質量を生の里芋の質量の30質量%以下とするようにすれば、風味をより向上させることができる。
[実施例1]
(焙煎里芋の作製)
まず、皮を剥いた生の里芋440kgを用意し、約1.5cm角の大きさになるように裁断した。続いて、裁断した里芋に160℃の熱風を100分間当てて乾燥した。乾燥した里芋の質量は、約220kg(生の里芋の約50質量%)であった。次いで、乾燥した里芋を回転釜またはフライパンの中に入れて表面全体が黒っぽくなるまで焙煎した。焙煎した里芋の質量は、約110kg(生の里芋の約25質量%)であった。なお、里芋には親芋を用いた。
(焼酎の製造)
まず、米麹に汲水および酵母を加えて一次発酵を行った。次いで、皮を剥いた生の里芋440kgを蒸したのち潰してペースト状としたものと、焙煎した里芋110kgと、米とを加えて二次発酵を行った。その際、米麹と、米と、里芋との質量比は、32:32:34とした。なお、里芋は、蒸した里芋と焙煎した里芋の合計である。続いて、蒸留することにより、焼酎を製造した。
[実施例2]
蒸して用いる里芋を275kgとし、焙煎した里芋を275kgとしたことを除き、他は実施例1と同様にして焼酎を作製した。
[比較例1]
焙煎した里芋に代えて、蒸した里芋を用いたことを除き、すなわち、焙煎した里芋を用いなかったことを除き、他は実施例1と同様にして焼酎を製造した。
[比較例2]
焙煎した里芋に代えて、オーブンで焼いた里芋を用いたことを除き、他は実施例1と同様にして焼酎を製造した。なお、皮を剥いて裁断していない里芋をオーブンで焼いた。
[比較例3]
皮を剥いた生の里芋を、半分に切断し、約5cm角に該当する程度の大きさになるように裁断して、乾燥させずに焙煎した焙煎里芋を用いたことを除き、他は実施例1と同様にして焼酎を製造した。
[比較例4]
皮を剥いた生の里芋を、細かく裁断して天日干しをしたところ、表面は乾燥したものの、中が腐っており、焼酎を製造することはできなかった。なお、天日干しをした里芋の質量は、生の里芋の約90質量%であった。
[実施例3]
蒸した里芋と焙煎した里芋と米と米麹における蒸した里芋と焙煎した里芋の割合[(蒸した里芋+焙煎した里芋)/(蒸した里芋+焙煎した里芋+米+米麹)]を、36質量%超としたことを除き、他は実施例1と同様にして焼酎を製造した。実施例1よりもアルコール度数の高い焼酎が得られたが、原料に対するアルコールの収量が少なくなった。
(焼酎の評価)
製造した実施例1,実施例2および比較例1〜比較例3の焼酎について、目隠しをした50人のパネラーにより試飲を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2011139664
焙煎した里芋を用いた実施例1および実施例2の焼酎について、パネラーの全員が甘みがあり、香ばしい香りを感じたと答えた。また、蒸した里芋のみを用いた比較例1の焼酎、オーブンで焼いた里芋を用いた比較例2の焼酎、及び一片が3cmを超えた里芋を焙煎して用いた比較例3の焼酎については、甘みも、香ばしい香りも感じなかったと答えた。更に、焙煎した里芋の用いた量が多い実施例2の焼酎の方が、実施例1の焼酎よりも、より香ばしく、くせがあると答えたパネラーが多かった。すなわち、原料として、蒸した里芋と、米と、米麹と、一片が3cm以下となるように裁断した生の里芋を熱風で乾燥したのち焙煎した里芋とを用いるようにすれば、甘みと香りが添加された新しい風味の焼酎を製造できることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。
焼酎の製造分野において利用することができる。

Claims (4)

  1. 原料として、蒸した里芋と、焙煎した里芋と、米と、米麹とを用い、
    前記焙煎した里芋は、一片が3cm以下となるように裁断した生の里芋を熱風で乾燥したのち、焙煎したものである
    ことを特徴とする焼酎の製造方法。
  2. 前記乾燥により、乾燥後の里芋の質量を生の里芋の質量の40質量%以上60質量%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の焼酎の製造方法。
  3. 前記焙煎により、焙煎後の里芋の質量を生の里芋の質量の30質量%以下とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼酎の製造方法。
  4. 原料における前記蒸した里芋と前記焙煎した里芋の割合は、36質量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の焼酎の製造方法。
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