JP2011127124A - 粉体化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】油性成分の配合量を多くしても、粉体成分が凝集を起こすことなく、また、プレスした場合であっても表面の粉体成分がケーキングを起こすことのない粉体化粧料を提供する。
【解決手段】粉体化粧料は、平均粒径が1〜100μm、平均厚さが0.01〜5μmおよび扁平度が20〜200であることを特徴とする扁平セルロース粒子と油性成分とを含有する特徴とする。扁平セルロース粒子は、セルロース系物質に対して、水、脂肪酸類、合成高分子および有機溶剤からなる群から選ばれる粉砕助剤の少なくとも1種とN−アシルアミノ酸を混合した混合物を機械的に粉砕処理して得られたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、粉体化粧料に関し、更に詳細には、従来の粉体化粧料よりも多量に油性成分を配合することのできる粉体化粧料に関する。
パウダーファンデーション、アイシャドー等の粉体成分を含有する粉体化粧料は、化粧品の分野での一つの大きなジャンルである。
これら粉体化粧料は、体質顔料、顔料等の粉体成分とバインダーとしての油性成分を均一に混合分散させて粉体の混合物を得、更に、この混合物を金皿に盛り、プレス充填して成型することにより得られる。
上記粉体化粧料に使用される粉体成分のうち、体質顔料としては、皮膚の上での伸びやつきがよいために天然物由来で薄板状の雲母片、セリサイト、タルク等やその表面処理物が使用されてきた。また、体質顔料の皮膚上での滑りの良さや感触の改良剤として有機粉体である真球状ナイロン粉末が上記体質顔料と共に使用されてきた。更に、顔料としては、二酸化チタン等の白色顔料、ベンガラ等の着色顔料、雲母チタン等の光沢顔料が使用されてきた。
上記粉体成分を用いて粉体化粧料を調製する場合、その化粧料に配合される油性成分の合計量は、粉体成分の種類によって多少の差は認められるものの、概ね15質量%以下の範囲に限定されていた。その理由は、粉体化粧料中の油性成分の量を多くしていくとウェット感がでて、肌へのフィット感も増すというよい傾向があるが、上記した量範囲をこえて油性成分の量が多くなると、粉体同士の凝集が生じて粉体化粧料とは言い難くなり、また充填物の表面がケーキング(表面が硬くなって、パフ(スポンジ)で取れにくくなる現象)を生じて、使用が困難になるという問題が生じるためである。
上記のように、油性成分を多くするとウェット感や肌へのフィット感が増加するため、油性成分の配合量を多くすることが求められており、油性成分を多くしても凝集が起こりにくい化粧料用粉体成分を見出すこと、およびこのような化粧料粉体を利用した、油性成分を多く含みながら、プレスした場合であっても表面の粉体成分のケーキングが起こりにくい粉体化粧料が求められており、本発明はそのような化粧料の提供をその課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、より多くの油成分を含有することが可能な化粧料用粉体成分について、広く有機化合物、無機化合物の中から探索を行った。そしてその結果、平板状の扁平セルロース粒子を粉体成分として化粧料に配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は扁平セルロース粒子と油性成分とを含有することを特徴とする粉体化粧料である。
本発明の粉体化粧料は、油性成分の配合量が多くても、粉体の凝集を起こさず、粉体自体のサラサラ感等の特性も維持され、また、粉体をプレスしてもケーキングを起こしにくいという特性を有する優れたものである。しかも、この粉体化粧料は、スポンジへの取れ方が良好であり、また、肌に塗布した際には、肌と自然に馴染み、ムラ、ヨレ、色のくすみ、浮きなどの無い、化粧持ちのよいものとなる。
また、本発明の粉体化粧料は、油性成分の配合量だけでなく、二酸化チタンの配合量を多くしても、上記特性は維持されたままであり、しかも、塗布時に白さや厚さに不自然さが残らない。
従って、本発明の粉体化粧料は、パウダーファンデーション、アイシャドー、粉白粉等の粉体化粧料として好適に用いることができる。
参考例1で製造した扁平セルロース粒子の電子顕微鏡写真(1000倍)である。 参考例3で製造した扁平セルロース粒子の電子顕微鏡写真(500倍)である。
本発明の粉体化粧料に用いられる扁平セルロース粒子としては、扁平な形状のセルロース粒子であれば特に制限されず、例えば、平均粒径が1〜100μm、好ましくは1〜50μm、平均厚さが0.1〜10μm、好ましくは1〜3μmの平板状のセルロース粒子が利用できる。更に、本発明の粉体化粧料に用いられる扁平セルロース粒子としては、上記粒子の中でも、扁平度が3〜20、特に5〜15のものが好ましい。
なお、後記するように、扁平セルロース粒子を製造する際に、粉砕助剤と、疎水化処理剤としてN−アシルアミノ酸を組み合わせて用いた場合には、扁平セルロース粒子に疎水性等が付与されるとともに、平均粒子径は変わらないものの、平均厚さが薄くなり、扁平度が高くなる。この場合に得られる扁平セルロース粒子は、平均粒径が1〜100μm、好ましくは1〜50μm、平均厚さが0.01〜5μm、好ましくは0.01〜2μm、扁平度が20〜200、好ましくは50〜200である。この扁平セルロース粒子は、本発明の粉体化粧料に好適に用いることができる。また、この大きさの扁平セルロース粒子は新規物質であり、粉体化粧料以外の通常の化粧料にも使用できる。この大きさの扁平セルロース粒子を通常の化粧料に使用する場合には、従来の体質顔料やセルロース系物質に代えるだけでよい。
ここで平均粒径とは、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置等の粒度分布測定装置を用い、水中分散状態で測定された扁平セルロース粒子の幅と長さの装置上の平均値(積算体積50%の粒径値)をいう。また、平均厚さとは、走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡にて前記で求められた平均粒径と同等の大きさの粒子を複数選択し、その厚さを測定し、それらを平均した値をいう。更に、扁平度は、前記のようにして求められた平均粒径/平均厚さである。
なお、上記扁平セルロース粒子は、公知の方法、例えば、特許第2560235号公報、特許第3787598号公報等に記載の方法や、その方法を改変した方法により得ることができる。
具体的に扁平セルロース粒子は、次の方法(a)または(b)により得ることができる。
(a)セルロース系物質に対して、水、脂肪酸類、合成高分子および有機溶剤からなる群から選ばれる粉砕助剤の少なくとも1種を混合した混合物を機械的に粉砕処理する方法
(b)セルロース系物質を低温凍結させた後、機械的に粉砕処理する方法
上記方法のうち、方法(a)は、基本的に、特許第2560235号公報の[0005]〜[0009]および特許第3787598号公報の[0020]〜[0041]に記載の方法に従って行うことができる。
具体的に、上記方法(a)で出発原料として用いられるセルロース系物質としては、特に制限されないが、例えば、木材を起源とする繊維状または粉末状の木粉または木材パルプ、綿花を起源とする繊維状または粉末状の木綿またはリンター繊維、それらを精製した繊維状または粉末状のセルロース系物質を用いることが好ましく、特に酸加水分解によって得られた精製セルロース系物質を用いることが好ましい。また、素材そのものの生理活性を活かすことを考えて、木粉や竹粉等を出発原料に用いてもよい。なお、このセルロース系物質は風乾状態で吸着水分を5〜10質量%(以下、単に「%」という)程度有しており、これを更に粉砕処理する前に熱風乾燥、真空乾燥、減圧乾燥等により吸着水分量を変化させることにより、粉砕処理後に得られる扁平セルロース粒子の大きさを多少制御することもできる。
また、方法(a)で用いられる粉砕助剤としては、水、脂肪酸類、合成高分子および有機溶剤が挙げられ、これらは少なくとも1種用いればよく、複数種を混合して用いてもよい。
上記粉砕助剤に用いられる水としては、蒸留水、イオン交換水、逆浸透処理水等が挙げられる。これら水はセルロース系物質に対して、1〜20%程度、好ましくは2〜9%添加すればよい。
脂肪酸類としては、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、これらの亜鉛塩等の飽和脂肪酸の誘導体、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、これらのナトリウム塩等の不飽和脂肪酸の誘導体等が挙げられる。これら脂肪酸類の中でも、飽和脂肪酸が好ましく、特にステアリン酸が好ましい。また、これら脂肪酸類はセルロース系物質に対して、0.1〜100%程度、好ましくは1〜20%添加すればよい。
合成高分子としては、ポリビニルアルコール等のポリアルコール、ポリエチレングリコール等のポリエーテル、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド等が挙げられる。これら合成高分子の中でも、ポリエチレングリコールが好ましい。また、これら合成高分子はセルロース系物質に対して、0.1〜100%程度、好ましくは5〜30%添加すればよい。
有機溶剤としては、ヘキサン等のアルカン、エタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、テトラヒドロフラン等のエーテル、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。また、これら有機溶剤はセルロース系物質に対して、1〜100%程度、好ましくは20〜50%添加すればよい。
更に、上記した粉砕助剤と共に、N−アシルアミノ酸および反応性シリコーンからなる群から選ばれる疎水化処理剤を添加すれば扁平セルロース粒子に疎水性や使用する油剤との親和性を付与することができる。これら疎水化処理剤は少なくとも1種用いればよく、複数種を混合して用いてもよい。
疎水化処理剤として用いられるN−アシルアミノ酸としては、Nε−ラウロイルリジン、Nα−ヘキサノイルリジン、Nα−オレイルイルリジン、Nα−ラウロイルリジン、Nα−ミリストノイルリジン、Nα−パルミトイルリジン、Nα−ステアノイルリジン、Nε−ヘキサノイルリジン、Nε−オレイルイルリジン、Nε−ミリストノイルリジン、Nε−パルミトイルリジン、Nε−ステアノイルリジン等が挙げられる。これらのN−アシルアミノ酸の中でもNε−ラウロイルリジンが好ましく、特にNε−ラウロイル−Lリジンが好ましい。
反応性シリコーンとしては、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン等が挙げられる。これらの反応性シリコーンの中でもトリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコンが好ましい。
これら疎水化処理剤はセルロース系物質に対して0.1〜10%、好ましくは0.5〜3%添加すればよい。
更に、方法(a)で行われる機械的な粉砕処理は、粉砕による圧力や剪断力が一定時間連続して印可する必要がある。そのため、粉砕処理にはカッターミル、ウイレーミル等の試料の切断機構を主とする粉砕装置を用いるよりも、振動ボールミル、回転ボールミル、遊星型ボールミル、ロールミル、ディスクミル、高速回転羽根による高速ミキサー、ホモミキサー等の粉砕装置を用いることが好ましく、特に遊星型ボールミルが好ましい。なお、粉砕処理を行う場合に印可する粉砕エネルギーは3〜20G、好ましくは5〜15Gが適している。
上記した方法(a)で扁平セルロース粒子を得るための好ましい態様を以下に示す。
精製した木材パルプ由来のセルロース粉末を30〜50℃で減圧乾燥を行い、吸着水分を0.1%以下まで十分に除去する。このセルロース粉末を、密閉可能なジルコニア製粉砕容器に、ジルコニア製粉砕ボールとともに投入し、更に、以下の方法(i)〜(iii)の何れかで粉砕助剤および必要により疎水化処理剤を添加する。その後、上記粉砕容器を遊星型ボールミルに設置し、5〜15分間回転粉砕−5〜15分間休止を1サイクルとし、連続して12〜72サイクル繰り返して粉砕を行う。この際の回転数は100〜250rpmとする。
(粉砕助剤等とその添加方法)
(i)ステアリン酸をセルロース粉末に対して1〜20%になるように添加する
(ii)Nε−ラウロイルリジンをセルロース粉末に対して0.5〜3%および水をセルロース粉末に対して2〜9%となるように添加する
(iii)トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコンをセルロース粉末に対して0.5〜3%およびステアリン酸をセルロース粉末に対して1〜20%となるように添加する
一方、上記方法のうち、方法(b)は、公知の凍結粉砕処理法に従って特に制限無く行うことができる。すなわち、方法(b)は、上記方法(a)で用いられるセルロース系物質を用い、−5℃以下、好ましくは−10〜−30℃で凍結させ、それを上記方法(a)と同様の破砕装置を用いて行うことができる。
また、上記の方法で得られる扁平セルロース粒子は、そのまま本発明の粉体化粧料に用いてもよいし、更に、風乾、熱風乾燥、真空乾燥、減圧乾燥等の公知の乾燥手段により粉砕助剤を除去させたものを用いてもよい。
斯くして得られる上記の扁平セルロース粒子は、従来の体質顔料のタルク、セリサイトに比べ、薄い板状で、透明感、ソフト感、伸び、自然な光沢などに優れた特性を持っている。
特に、粉砕助剤と疎水化処理剤を用いて得られる扁平セルロース粒子は、上記の特性に加えて疎水性や使用する油剤との親和性が向上される。
本発明の粉体化粧料における扁平セルロース粒子の配合量は5〜90%、好ましくは10〜90%、特に好ましくは15〜70%である。
一方、本発明の粉体化粧料に用いられる油性成分としては、特に制約はないが、例えば、室温で液体の流動パラフィン等の炭化水素、KF99−1(信越化学工業製)等のシリコーン油、オレイン酸オクチルドデシル(OOD:進栄化学製)等のエステル油、油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール等や、室温でペースト状のワセリン、室温で固体のセタノール等が好ましいものとして挙げられる。これら油性成分は、複数を組み合わせて使用してもよく、特に本発明の粉体化粧料においては、油性成分として、室温で液状のものとペースト状および/または固体のものとを組み合わせて使用すると、粉体化粧料が少し固めに締まるため、スポンジで取るときに表面から遊離する粉が少なめになり、非常に使用感のよいものとなるので好ましい。本発明の粉体化粧料における油性成分の配合量は、5〜40%、好ましくは5〜35%である。
本発明の粉体化粧料は扁平セルロース粒子と油性成分とを必須成分とする以外は、従来の化粧料と同様にして製造することができる。具体的には、従来の粉体成分と油性成分とを含有する化粧料の製造方法において、従来の粉体の一部または全部に換えて扁平セルロース粒子を使用すればよい。
また、本発明の粉体化粧料には上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない程度に、通常の化粧料に用いられる、マイカ、タルク、セリサイト等の無機粉体、シルクパウダー等の有機粉体およびその表面処理物、二酸化チタン等の白色顔料、ベンガラ等の着色顔料、雲母チタン等の光沢顔料等の粉体成分、界面活性成分、保湿成分、紫外線吸収成分、防腐成分、美容成分、香料等を適宜配合することができる。
なお、本発明の粉体化粧料において、粉体成分の一部または全部として扁平セルロース粒子を用いた場合には、従来の粉体化粧料に比べて油性成分をより多量に配合することができる。本明細書においては油性成分を15%〜40%、好ましくは15〜35%配合された粉体化粧料を特に豊油型化粧料と称する。
上記した、油性成分を多量に配合する粉体化粧料(豊油型化粧料)を製造するには、例えば、特公平7−55892号公報の記載に従い、成型後の化粧料に更に油性成分を添加して油性成分量を高める方法等を用いてもよい。
具体的に、成型後の化粧料に油性成分を添加して油性成分量を高めるには、まず、油性成分を5〜20%程度含有する粉体化粧料を金型でプレス成型し、その後、粉体化粧料の表面に、表面を荒らさないよう、所望の量の油性成分を滴下または噴霧し、油性成分を粉体化粧料に吸収させればよい。
斯くして得られる本発明の粉体化粧料は、従来の化粧料よりも油性成分を多量に配合することができるので、基材となる油性成分の他に、特に肌へ有益な油性成分、例えば、スクワランも配合することもできる。また、それのみに限られず、従来の粉体化粧料に配合されるのと同量の油成分を配合した場合であっても、より油性感の少ない、さらさらした使用感の化粧料とすることができる。
また、本発明の粉体化粧料は、従来の化粧料よりも油性成分を多量に配合することができるだけでなく、二酸化チタンを15〜30%、好ましくは16〜24%含有させることができる。通常の粉体化粧料にこの量で二酸化チタンを含有させた場合には、塗布時に白さや厚さに不自然さが残るが、本発明の粉体化粧料ではそれがない優れたものとなる。
上記した本発明の粉体化粧料の効果が発現しやすい化粧料としては、パウダーファンデーション、アイシャドー、ほほ紅、粉白粉等の粉体成分と油性成分とを含有する化粧料を挙げることができ、これらの中でもプレス充填された化粧料が好ましく、特にパウダーファンデーションおよびアイシャドーが好ましい。本発明の粉体化粧料をパウダーファンデーションおよびアイシャドーとした場合には、粉っぽさが無く、ウェット感、肌への付着力がよく、その結果、肌と自然に馴染み、ムラ、ヨレ、色のくすみ、浮きなどの無い、化粧持ちのよいものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
参 考 例 1
扁平セルロース粒子の調製(1):
精製した木材パルプ由来のセルロース粉末(日本製紙ケミカル社:KCフロックW−400(風乾状態の水分量7%))を40℃で減圧乾燥を行い、吸着水分を0.1%以下まで十分に除去した。このセルロース粉末の49gを、密閉可能なジルコニア製粉砕容器(容積500ml)に、ジルコニア製粉砕ボール(直径20mm)とともに投入し、更に、ステアリン酸をセルロース粉末に対して2%になるように添加した。
その後、上記粉砕容器を遊星型ボールミル(ドイツ・フリッチュ社:P−5型)に設置し、10分間回転粉砕−10分間休止を1サイクルとし、連続して72サイクル繰り返して粉砕を行った。この際の回転数は200rpmであった(約10G(重力加速度)の粉砕エネルギー)。粉砕物は粉体として得られた。
この粉体をフローセルにて水中分散状態とし、そこでの平均粒径(幅と長さの装置上の平均値)を、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(セイシン社:LMS−24型)を用いて求めた。ここでの平均粒径としては積算体積50%の粒径値を用いた。
実際の粒度分布測定は、得られた粉体の50mgを蒸留水10mlに分散させた懸濁液を、粒度分布測定装置の水を媒体とする試料循環槽に滴下し、適切な濃度になった後に行われた。その結果、粉体の平均粒径は16μmであった。
また、得られた粉体の平均厚さを、粉体中の粒子を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社:S−3400N)にて直接観察し、前記で求めた平均粒径と同等の大きさの粒子を複数選択し、厚さを測定し、それらを平均することにより求めた。
走査型電子顕微鏡による観察は、次のようにして行われた。まず、得られた粉体の極少量を走査型電子顕微鏡の試料台に載せ、減圧にて乾燥後、金あるいは白金等の金属を蒸着して検鏡試料とした。この検鏡試料を加速電圧20〜25kVで拡大率500〜10,000倍にて観察して得た画像から、前記で測定した平均粒径と同等の大きさの粒子を複数選択し、厚さを測定し、それらから平均厚さを求めた。その結果、平均厚さは3μmであった。
このようにして得られた粉体は、平均粒径が16μmで、平均厚さが3μm、扁平度(平均粒径/平均厚さ)が5.3の扁平セルロース粒子であった。
また、比較として、扁平セルロース粒子の原料である精製した木材パルプ由来のセルロース粉末(日本製紙ケミカル社:KCフロックW−400(以下、単に「セルロース粉末」という))および麻セルロース粉末(トスコ社:トスコ麻セルロースパウダー)の平均粒径、平均厚さを測定し、扁平度(平均粒径/平均厚さ)を求めようとした。セルロース粉末の形状は薪状であり、扁平状ではなかったが、一応測定を行うと、平均粒径は28μm、平均厚さは10μmであり、扁平度は2.8と求められた。一方、麻セルロース粉末は扁平状でも薪状でもなく粒状であったが、一応測定を行うと、平均粒径は7.7μmと測定されたものの、平均厚さと扁平度は求められなかった。
試 験 例 1
吸油量の比較:
(1)吸油量の測定
参考例1で得られた扁平セルロース粒子の吸油量を、JIS K 5101吸油量の測定法に基づき測定した。また、比較として、セルロース粉末の吸油量を同様にして測定した。
参考例1で得られた扁平セルロース粒子の吸油量は100g当たり120mlであり、セルロース粉末の吸油量は167.5mlであった。
実 施 例 1
油剤との固形物の比較(1):
表1の処方に従い、参考例1で調製した扁平セルロース粒子、セルロース粉末、麻セルロース粉末(トスコ社:トスコ麻セルロースパウダー)、タルクまたはセリサイトと、油性成分(スクワラン)とを均一に混合し、金型でプレス充填して固形物を作製した。この固形物の表面の状態を目視にて評価し、また、スポンジへの取れ方を以下の評価基準により評価した。これらの結果を表1に示した。
<スポンジへの取れ方評価基準>
(評価) (内容)
○ : よく取れる(繰り返しスポンジで取ってもケーキングを起こさない)
× : 取れない(3−4回スポンジで表面をこするだけでケーキングを起こし、
取れなくなる)
△ : 取りにくい(タルクの場合ほど取れにくくはないが、硬めで取りにくい)
□ : 取れすぎ(ボソボソで取れすぎになる)
<結果>
扁平セルロースを油剤で固めた固形物は油剤が5%や7%配合した場合でも表面の状態はパウダー状であり、スポンジでの取れ方も良好であった(実施品1および3)。また、油剤を18%や20%配合した場合であっても表面の状態はパウダー状であり、スポンジでの取れ方も良好であった(実施品3および4)。
一方、タルクを油剤で固めた固形物は、油剤が5%の場合はパウダー状でスポンジでの取れ方も良好であったが、7%になると表面の状態は硬めであり、スポンジではまったく取れなかった(比較品1および4)。また、油剤を20%配合した場合は表面の状態はツルツルカチカチで石のようであり、スポンジではまったく取れないものであった(比較品8)。
また、セリサイトを油剤で固めた固形物は 油剤を7%しか配合しなかった場合でも表面の状態は硬めであり、スポンジではまったく取れないものであった(比較品5)。また、油剤を20%配合した場合には、表面の状態はツルツルカチカチで石のようであり、スポンジではまったく取れないものであった(比較品9)。
更に、セルロース粉末を油剤で固めた固形物は、油剤を7%しか混合しなかった場合はボソボソであり、スポンジで取ると取れすぎてしまうものであった(比較品2)。また、油剤を20%配合しても表面の状態は依然としてボソボソであり、スポンジでは少し硬めになるも取れすぎてしまった(比較品6)。
また更に、麻セルロースを油剤で固めた固形物は、油剤を7%配合した場合、表面の状態やスポンジでの取れ方に問題はなかった(比較品3)。しかし、油剤を20%まで配合した場合は表面の状態は硬く、スポンジでは取りにくいものであった(比較品7)。
このように扁平セルロース粒子を用いたパウダーファンデーションだけが油性成分の添加量が広い範囲で、表面の状態やスポンジへの取れ方にもなんら障害が生じない優れたものであった。
実 施 例 2
パウダーファンデーションの調製(1):
表2の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションの表面の状態およびスポンジへの取れ方を実施例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表2に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(8)を均一に混合分散する。
B:成分(9)〜(10)を室温にて均一に混合する。
C:BをAに混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
<結果>
扁平セルロース粒子と油性成分(エステル油、シリコーン油)を用いたパウダーファンデーションは、表面の状態はパウダー状であり、これをスポンジでとってもまったくケーキングは起こさなかった(実施品5)。一方、同じ比率でタルクと油性成分を用いたパウダーファンデーションは、表面の状態はツルツルカチカチとなり、スポンジではまったく取れなかった(比較品10)。
また、扁平セルロース粒子を含有するパウダーファンデーションは、油性成分が13〜22%であっても性質に問題がなかった(実施品5〜7)。
一方、タルクを含有するパウダーファンデーションは、油性成分が10%(比較品11)では問題ないが、油性成分量が12%(比較品12)になるとケーキングを起こした。
更に、セリサイトを含有するパウダーファンデーションは、油性成分が13%(比較品13)では問題ないが、油性成分が14%(比較品14)となるとケーキングを起こしてしまった。
なお、タルクと扁平セルロース粒子とを組み合わせることにより、タルクのみの場合と比べて配合できる油性成分の量を増加させることが可能であった(実施品6および7)。
実 施 例 3
パウダーファンデーションの調製(2):
(1)パウダーファンデーションの調製
表3の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションの表面の状態およびスポンジへの取れ方を実施例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表3に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(6)を均一に混合分散する。
B:成分(7)〜(8)を室温にて均一に混合する。
C:BをAに混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填して8gのパウダーファンデーションを得た。
<結果>
上記で調製されたパウダーファンデーションは表面の状態はパウダー状で、スポンジへの取れ方にもまったく問題が無かった。
(2)油性成分量を増加させたパウダーファンデーションの調製
上記(1)で調製した8gのパウダーファンデーションに、特公平7−55892号公報の記載に準じた下記方法で、油性成分量を20重量部(25%)から40重量部(40%)に増加させたパウダーファンデーションを調製した(実施品9)。
<油性成分増加方法>
E:パウダーファンデーション上に2gの油性成分(成分(7)〜(8)の1:1の混合物)を、パウダーファンデーションの表面を荒らさないように添加し、粉体中に吸収させた。
<結果>
上記で調製された油性成分を増加させたパウダーファンデーションの表面の状態は油性成分添加前と変化なく、且つ油性成分がにじみ出ることも無かった。また、スポンジへの取れ方にも問題が無く、表面がケーキングを起こすことも無かった。
なお、特公平7−55892号公報に記載の方法では、粉体が吸収しきれない油性成分を逃がすために金皿に穴を開ける必要があった。これに対し、本発明のパウダーファンデーションは、扁平セルロース粒子を使用しているため油性成分の吸収力が極めて高く、金皿に穴を開ける必要が無いことがわかった。
実 施 例 4
アイシャドーの調製:
以下の表4の処方のアイシャドーを下記製造方法で製造した。これらのアイシャドーのスポンジへの取れ方を実施例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表4に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(6)を均一に混合分散する。
B:成分(7)〜(8)を室温にて均一に混合する。
C:BをAに混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してアイシャドーを得た。
<結果>
扁平セルロース粒子と油性成分を用いたアイシャドーは油性成分が25%および30%でもスポンジへの取れ方は問題なかった(実施品10および11)。
一方、マイカおよびタルクと油性成分を用いたアイシャドーは油性成分を16%配合した場合にはスポンジへの取れ方に問題は無かったが(比較品15)、20%配合するとスポンジへの取れ方に問題が生じた(比較品16)。
参 考 例 2
扁平セルロース粒子の調製(2):
精製した木材パルプ由来のセルロース粉末(日本製紙ケミカル社:KC−フロックW−400(風乾状態の水分量7%))を40℃で減圧乾燥を行い、吸着水分を0.1%以下までに除去した。このセルロース粉末49gを密閉可能なジルコニア製粉砕容器(容積500ml)にジルコニア製粉砕ボール(直径20mm)と共に投入し、更に、ステアリン酸をセルロース粉末に対して2%、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン(信越化学工業株会社)を1%となるように添加した。
その後、上記粉砕容器を遊星型ボールミル(ドイツフリッチェ社:P−5型)に設置して、10分間回転粉砕−10分間休止を1サイクルとし、連続して72サイクル繰り返して粉砕を行った。この際の回転数は200rpmであった(約10G(重力加速度)の粉砕エネルギーに相当)。得られた粉砕物は粉体であった。また、参考例1と同様にしてこの粉体の平均粒径、平均厚さおよび扁平度を測定したところ、平均粒径16μm、平均厚さ2μm、扁平度8であった。
参 考 例 3
扁平セルロース粒子の調製(3):
精製した木材パルプ由来のセルロース粉末(日本製紙ケミカル社:KC−フロックW−400(風乾状態の水分量7%))を40℃で減圧乾燥を行い、吸着水分を0.1%以下までに除去した。このセルロース粉末49gを密閉可能なジルコニア製粉砕容器(容積500ml)にジルコニア製粉砕ボール(直径20mm)と共に投入し、更に、純水をセルロース粉末に対して3%、Nε−ラウロイル−Lリジン(アミホープ(登録商標)LL:味の素株式会社)を2%となるように添加した。
その後、上記粉砕容器を遊星型ボールミル(ドイツフリッチェ社:P−5型)に設置して、10分間回転粉砕−10分間休止を1サイクルとし、連続して72サイクル繰り返して粉砕を行った。この際の回転数は200rpmであった(約10G(重力加速度)の粉砕エネルギーに相当)。得られた粉砕物は粉体であった。また、参考例1と同様にしてこの粉体の平均粒径、平均厚さおよび扁平度を測定したところ、平均粒径21μ、平均厚さ0.3μm、扁平度70であった。この粉体は参考例1および参考例2で調製したものよりも平均厚さが薄くなり、扁平度が高くなっていた。
試 験 例 2
疎水性および吸油量の比較:
(1)扁平セルロース粒子の疎水性
50mlの水を入れたガラス容器に、参考例1〜3で得られた各扁平セルロース粒子を0.1g程度入れ、ガラス棒で50回程度攪拌した。攪拌後の状態を目視して各扁平セルロース粒子の疎水性を判断した。
参考例1で得られた扁平セルロース粒子は水中に分散し、水が白濁したので疎水性がなかった。一方、参考例2および3で得られた扁平セルロース粒子は水面上に浮遊し、水中に分散しなかったので疎水性があった。
(2)混合物の疎水性
油剤(スクワラン)2gと参考例1〜3で得られた各扁平セルロース粒子8gをミキサーで15秒程度攪拌し、均一に混合して混合物1〜3を調製した。これらの混合物を0.1g程度入れ、ガラス棒で50回程度攪拌した。攪拌後の状態を目視して粉体の疎水性を判断した。
参考例1で得られた扁平セルロース粒子を含有する混合物1は水中に分散し、水が白濁したので疎水性がなかった。一方、参考例2および3で得られた扁平セルロース粒子を含有する混合物2〜3は1昼夜放置しても水面上に浮遊していたので疎水性があった。
(3)接触角の測定
上記(2)で調製した各混合物を、金ざらに載せ、プレス機で押して表面を平にした。この表面に水滴を垂らし、粉体上の水滴の写真を取り、分度器で接触角を測定した。
参考例1で得られた扁平セルロース粒子を含有する混合物1の接触角は64度、参考例2で得られた扁平セルロース粒子を含有する混合物2の接触角は105度、参考例3で得られた扁平セルロース粒子を含有する混合物3の接触角は117度であった。
(4)吸油量の測定
参考例1〜3で得られた各扁平セルロース粒子の吸油量をJIS K 5101吸油量の測定法に基づき測定した。
参考例1で得られた扁平セルロース粒子の吸油量は100g当たり134ml、参考例2で得られた扁平セルロース粒子の吸油量は100g当たり123ml、参考例3で得られた扁平セルロース粒子の吸油量は100g当たり139mlであった。この結果から疎水化処理剤で扁平セルロース粒子を処理しても、扁平セルロース粒子と油剤が混合するという性質には変化がないことがわかった。
実 施 例 5
油剤との固形物の比較(2):
参考例1〜3で調製した扁平セルロース粒子を用いて表5に記載の処方と、実施例1と同様の製造方法で固形物を作製した。この固形物の表面の状態を目視にて評価し、また、スポンジへの取れ方および肌の上での伸びを自由評価した。また、比較として扁平セルロース粒子の原料であるセルロース粉末についても同様に固形物を作製し、同様の評価をした。それらの結果を表5に示した。
<結果>
参考例1で調製した扁平セルロース粒子を油剤で固めた固形物は、表面はパウダー状で、スポンジに取れる量は実施品12〜14の中では二番目に多く、肌の上での伸びも良好であった(実施品12)。
また、参考例2で調製した扁平セルロース粒子を油剤で固めた固形物は、表面は少し硬めに締まっているが、ケーキングを起こすことはなく、肌の上での伸びもスムースだった(実施品13)。
更に、参考例3で調製した扁平セルロース粒子を油剤で固めた固形物は、表面はしっかりとしていて、かつスポンジに取れる量は3種類の中で一番多いにもかかわらず、肌の上でムラなく伸びた(実施品14)。
一方、粉末セルロース粒子を油剤で固めた固形物は、ブロック状に取れてしまい、肌の上での伸びは悪かった(比較品17)。
実 施 例 6
パウダーファンデーションの調製(3):
表6の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションについて化粧品専門パネル9名が使用し、スポンジへの取れ方、取った後のケーキ表面の状態、肌への付き方(伸び、キメ、感触)、化粧持ち(耐水性)の各項目について下記評点基準によって評点をつけ、それらの平均点を下記評価基準によって評価した。それらの結果も表6に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(10)を均一に混合分散する。
B:成分(11)〜(17)を70℃にて均一に加熱混合する。
C:Bを50℃に保ち、成分(18)を均一に混合する。
D:AにCを均一に混合分散する。
E:Dを金皿にプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
<評点基準>
(評点) (内容)
5 : 評価項目が非常に良好
4 : 評価項目が良好
3 : 評価項目が普通
2 : 評価項目がやや不満
1 : 評価項目が不満
<総合評価>
(評価) (評点の平均点)
◎ : 5点以下〜4点以上
○ : 4点未満〜3点以上
△ : 3点未満〜2点以上
× : 2点未満〜1点以上
<結果>
この評価により、粉末セルロースは体質顔料として使うには感触(キメやボソボソ感など)に問題があることがわかった。
一方、参考例で調製した3種の扁平セルロースは使用感、化粧膜などの評価が高く、優れた体質顔料として使えることがわかった。
実 施 例 7
パウダーファンデーションの調製(4):
表7の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションについて 化粧品専門のパネル9名が使用して化粧膜の性状を自由評価した。それらの結果も表7に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(9)を均一に混合分散する。
B:成分(10)〜(16)を70℃にて均一に加熱混合する。
C:Bを50℃に保ち、成分(17)を均一に混合する。
D:AにCを均一に混合分散する。
E:Dを金皿にプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
<結果>
この結果、二酸化チタンの含有量が12%のレベルまでは3種類の素材(タルク、セリサイト、扁平セルロース)では化粧効果に大きな差はないが、18%まで増やすと明らかにタルクセリサイトでは不自然な仕上がりになるのに対し、扁平セルロースでは適度な化粧効果と自然な化粧膜を保つことが出来た。
実 施 例 8
パウダーファンデーションの調製(5):
表8の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションについて化粧品専門のパネル9名が使用して化粧膜の性状を自由評価した。それらの結果も表8に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(7)を均一に混合分散する。
B:成分(8)〜(14)を70℃にて均一に加熱混合する。
C:Bを50℃に保ち、成分(15)を均一に混合する。
D:AにCを均一に混合分散する。
E:Dを金皿にプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
<結果>
扁平セルロース、とりわけ参考例3で得られた扁平セルロース(粉砕助剤:水、疎水化処理剤:Nε−ラウロイル−Lリジン)は扁平度が極めて大きく、従来の体質顔料では達成できないことが出来ることがこの実験でわかった。通常のタルク、セリサイトをベースにするパウダーファンデーンでは添加できる二酸化チタンの比率は12%前後である。この線を超えると不自然な仕上がりになり、かつ皮膚の上での伸びも重くなる傾向がある。一方、ラウロイルリジン処理扁平セルロースは薄く素材自体が極めて透明であることの為に二酸化チタンを24%まで混ぜても不自然な白さにならず、かつ皮膚の上での伸びにも問題がなく、逆に量が増えて、隠ぺい力が増し、きれいな化粧膜になった。
従来のタルク、セリサイトを体質顔料として用いた粉体化粧料に添加できる油性成分は、最大で15%程度が限界であり、これ以上加えるとケーキングを起こして、スポンジへの取れ方が悪くなり、実用に適するものではなかった。これに対し、扁平セルロース粒子を体質顔料として用いた粉体化粧料では、製品のサラサラ感を犠牲にせずに油性成分を大幅に加えることができる。
また、従来の粉体化粧料では塗布時に白さや厚さに不自然さが残るため、配合できる二酸化チタンの量も限られていた。これに対し、扁平セルロース粒子を体質顔料として用いた粉体化粧料では、二酸化チタンを大幅に加えたとしても塗布時に白さや厚さに不自然さが残らない。
従って、本発明によれば、粉体の組み合わせにもよるが、油性成分や二酸化チタンの配合量を高めた粉体化粧料を作ることが可能となる。

Claims (12)

  1. 平均粒径が1〜100μm、平均厚さが0.01〜5μmおよび扁平度が20〜200であることを特徴とする扁平セルロース粒子。
  2. セルロース系物質に対して、水、脂肪酸類、合成高分子および有機溶剤からなる群から選ばれる粉砕助剤の少なくとも1種とN−アシルアミノ酸を混合した混合物を機械的に粉砕処理して得られたものである請求項1記載の扁平セルロース粒子。
  3. セルロース系物質が、木材を起源とする繊維状または粉末状の木粉または木材パルプ、綿花を起源とする繊維状または粉末状の木綿またはリンター繊維、それらを精製した繊維状または粉末状のものである請求項1または2に記載の扁平セルロース粒子。
  4. 請求項1ないし3の何れかに記載の扁平セルロース粒子を含有することを特徴とする化粧料(ただし、油性成分を15〜40質量%含有する粉体化粧料を除く)。
  5. 扁平セルロース粒子を5〜90質量%含有するものである請求項4記載の化粧料。
  6. 請求項1ないし3の何れかに記載の扁平セルロース粒子と油性成分とを含有することを特徴とする粉体化粧料(ただし、油性成分を15〜40質量%含有する粉体化粧料を除く)。
  7. 扁平セルロース粒子を5〜90質量%含有するものである請求項6記載の粉体化粧料。
  8. 更に、二酸化チタンを15〜30質量%含有するものである請求項6または7の何れかに記載の粉体化粧料。
  9. パウダーファンデーションである請求項6ないし8の何れかに記載の粉体化粧料。
  10. アイシャドーである請求項6ないし8の何れかに記載の粉体化粧料。
  11. 粉白粉である請求項6ないし8の何れかに記載の粉体化粧料。
  12. セルロース系物質に対して、水、脂肪酸類、合成高分子および有機溶剤からなる群から選ばれる粉砕助剤の少なくとも1種とN−アシルアミノ酸を混合した混合物を機械的に粉砕処理することを特徴とする平均粒径が1〜100μm、平均厚さが0.01〜5μmおよび扁平度が20〜200である扁平セルロース粒子の製造方法。
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