JP2996356B2 - 不定形薄片状キトサン粉末並びにその製造方法及びそれを配合した仕上げ化粧品 - Google Patents
不定形薄片状キトサン粉末並びにその製造方法及びそれを配合した仕上げ化粧品Info
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Description
【産業上の利用分野】本発明は、不定形薄片状キトサン
粉末並びにその製造法及びそれを配合した仕上げ化粧品
に関するものである。近時、キトサンは、様々な機能を
発現することから注目され、多くの用途が開発されつつ
あるが、そのほとんどがまだ研究段階にあり、製造され
たキトサンの約90%が水処理用凝集剤として消費され
ているのが現状である。このことは、キトサンを効率良
く微小粒度にまで粉体化することが困難であったことに
も起因していると考えられる。本発明の方法により得ら
れるキトサン粉末は粒度範囲が0.02〜90μmで平
均粒度20μm以下であり、なお且つ形状が不定形薄片
状であるが故に、隠蔽力(被覆力),成型性,高充填
性,分散性,滑り,延び,付着力等において良好な特性
を有しており、化粧料,塗料改質剤,各種樹脂改質剤,
医薬除放性担体,医薬材,種子前処理剤,固定化担体,
金属吸着剤等の用途において有用である。
粉末並びにその製造法及びそれを配合した仕上げ化粧品
に関するものである。近時、キトサンは、様々な機能を
発現することから注目され、多くの用途が開発されつつ
あるが、そのほとんどがまだ研究段階にあり、製造され
たキトサンの約90%が水処理用凝集剤として消費され
ているのが現状である。このことは、キトサンを効率良
く微小粒度にまで粉体化することが困難であったことに
も起因していると考えられる。本発明の方法により得ら
れるキトサン粉末は粒度範囲が0.02〜90μmで平
均粒度20μm以下であり、なお且つ形状が不定形薄片
状であるが故に、隠蔽力(被覆力),成型性,高充填
性,分散性,滑り,延び,付着力等において良好な特性
を有しており、化粧料,塗料改質剤,各種樹脂改質剤,
医薬除放性担体,医薬材,種子前処理剤,固定化担体,
金属吸着剤等の用途において有用である。
【従来の技術】従来、キトサンの粉末化は、一般には直
接機械的に粉砕する方法、即ち、衝撃式,圧縮式,剪断
式,エァージェット式等の各種粉砕機により行う方法、
またはギ酸,酢酸,乳酸,クエン酸等の有機酸の水溶液
もしくは塩酸,硝酸等の無機酸の水溶液に溶解させた
後、アンモニア等のアルカリ溶液に分散して再生させる
若しくはスプレードライにより噴霧乾燥して再生させる
方法等により行なわれていた。また、種々の特性を要求
される仕上げ化粧品は、その特性の更なる向上が望まれ
ている。
接機械的に粉砕する方法、即ち、衝撃式,圧縮式,剪断
式,エァージェット式等の各種粉砕機により行う方法、
またはギ酸,酢酸,乳酸,クエン酸等の有機酸の水溶液
もしくは塩酸,硝酸等の無機酸の水溶液に溶解させた
後、アンモニア等のアルカリ溶液に分散して再生させる
若しくはスプレードライにより噴霧乾燥して再生させる
方法等により行なわれていた。また、種々の特性を要求
される仕上げ化粧品は、その特性の更なる向上が望まれ
ている。
【発明が解決しようとする問題点】前記のような従来の
キトサン粉末の製法に於いて、直接機械的粉砕する方法
は、キトサンが半繊維質の強靭質で粉砕能が低いことに
より、粉砕は困難であり、粉砕化率は低下し、微小粉体
を得ることが出来なかった。また、このような方法によ
り得られる最小のキトサンは、平均粒度50μm程度で
粒状であった。更に、粉砕過程で発熱を伴い、発色,発
臭等の問題により品質的にも劣っていた。再生法による
製造は、微小粉体を得ることは出来るが、キトサンを一
度溶解し再生させる過程で表面張力が働き、得られた粉
体は全て球状を呈する。いずれの方法により得られるキ
トサン粉末もなお各種の用途に使用した場合に、隠蔽力
(被覆力),成型性,高充填性,分散性,滑り,延び,
付着力等の特性が充分に良好とはいい難く、更なる改善
が求められている。このような背景下に、本発明は、従
来技術にみられるような形状,粒度,発色,発臭の問題
を解消したかつ諸特性の顕著に改善された新規な不定形
薄片形状を有する微小粒度のキトサン粉末及びそのよう
なキトサン粉末の製造法を提供することを目的とする。
本発明は、また、このようなキトサン粉末のシリコン処
理物を提供すること及びシリコン非処理及び/又はシリ
コン処理キトサン粉末を配合した仕上げ化粧品を提供す
ることを目的とする。
キトサン粉末の製法に於いて、直接機械的粉砕する方法
は、キトサンが半繊維質の強靭質で粉砕能が低いことに
より、粉砕は困難であり、粉砕化率は低下し、微小粉体
を得ることが出来なかった。また、このような方法によ
り得られる最小のキトサンは、平均粒度50μm程度で
粒状であった。更に、粉砕過程で発熱を伴い、発色,発
臭等の問題により品質的にも劣っていた。再生法による
製造は、微小粉体を得ることは出来るが、キトサンを一
度溶解し再生させる過程で表面張力が働き、得られた粉
体は全て球状を呈する。いずれの方法により得られるキ
トサン粉末もなお各種の用途に使用した場合に、隠蔽力
(被覆力),成型性,高充填性,分散性,滑り,延び,
付着力等の特性が充分に良好とはいい難く、更なる改善
が求められている。このような背景下に、本発明は、従
来技術にみられるような形状,粒度,発色,発臭の問題
を解消したかつ諸特性の顕著に改善された新規な不定形
薄片形状を有する微小粒度のキトサン粉末及びそのよう
なキトサン粉末の製造法を提供することを目的とする。
本発明は、また、このようなキトサン粉末のシリコン処
理物を提供すること及びシリコン非処理及び/又はシリ
コン処理キトサン粉末を配合した仕上げ化粧品を提供す
ることを目的とする。
【問題点を解決するための手段】先ず、本発明に係わる
新規な不定形薄片状キトサン粉末及びその製造法につい
て説明する。本発明者は、上記の目的を達成するために
鋭意研究した結果、機械的粉砕により例えば平均粒度約
4mmの木片状キトサンを平均粒度0.1〜1mmに一
次粉砕した後、このキトサンを液体空気中で機械的湿式
低温粉砕処理に付することにより、従来の技術では得ら
れなかったような平均粒度5〜20μmを有する無色,
無臭の不定形薄片状キトサン粉末が得られることを見出
し、本発明をなすに至ったものであるが、これを補足説
明すると次の通りである。キトサンが機械的粉砕過程に
おいて、発色,発臭するのは、主に熱の作用によるもの
で、キトサンが熱分解されると3−アセトアミドフラ
ン,3−アセトアミド−5−アセチルフラン,アセトア
ミドアセトアルデヒド,3−アセトアミド−5−メチル
フラン,アセトアミド−2,3−ピロン,ヒドロキシジ
ヒドロピラン−4−オン等が生成するためである。キト
サンは、その化学構造がセルロースと類似しており、セ
ルロース同様に強靭で難粉砕性であり、直接機械的粉砕
を行なった場合には発熱する。一方、キトサンはセルロ
ースよりも熱分解されやすく、従って、平均粒度20μ
m以下のような微小粉体を効率良く製造することは不可
能である。また、キトサンを溶液として後再生する方法
では、球状の微小粉体を得ることは可能であるが、キト
サンの実用化のためにはその諸特性において更なる改善
を要し、諸特性が顕著に改善された本発明の不定形薄片
状の微小キトサン粉末を得ることは出来ない。本発明者
は、発色,発臭を生じさせるような熱がかからない条件
下で強靭なキトサンの物理的強度を低下させ、なおかつ
薄片状のキトサンを得る見地から層状剥離崩壊を伴う粉
砕法により微小キトサン粉末を製造する方法を検討した
結果、かかる目的は、機械的粉砕により例えば平均粒度
約4mmの木片状キトサンを平均粒度0.1〜1mmに
一次粉砕した後、このキトサンを液体空気中で機械的湿
式低温粉砕することにより達成出来ることを見出した。
即ち、これを詳述すると、乾式粉砕でキトサンをある粒
度以下に細かくできなくなる限界(粉砕限界)は、粉砕
機の壁面や媒体ミルなどのボール媒体にキトサン微粒子
が付着し被覆層を形成し始めること、いわゆるクッショ
ニング現象を起こして、エネルギー効率を低下させるこ
とによって生じる。一方、発熱を生じるのは、キトサン
が強靭であり、粉砕時の摩擦熱を蓄積するためである。
湿式粉砕、即ち、キトサンに液態媒体を加えて泥漿状に
して粉砕する場合には、粒子が分散し被覆を生じないの
とレーバインダー効果(粉体粒子の表面が液に濡れるこ
とによって二次粒子の強度が低下する)とにより細かい
粒径にまで粉砕することが出来る。更には、湿式粉砕の
液態媒体として液体空気を使用することにより、常温で
可塑性を有するキトサンに低温脆化を与え、強靭なキト
サンを効率良く微小粉体にまで粉砕することが出来る。
従って、湿式粉砕によるキトサンの分散懸濁効果とレー
バインダー効果、更には湿式粉砕の液態媒体に液体空気
を使用することによるキトサンの低温脆化効果の三者の
相乗効果により、発熱を伴うことなく強靭なキトサンを
効率良く層状剥離崩壊させることができる。そして、こ
のようにして得られるキトサン粉末は従来に無い、新規
な不定形薄片状の微小キトサン粉末で、顕著に改善され
た諸特性を有する。本発明は以上に説明したような本発
明者の知見に基いて完成されたものである。即ち、本発
明は、粒度範囲が0.02〜90μmでかつ平均粒度が
20μm以下で、粒子の短径に対して1/2以下の厚み
を有している不定形薄片状キトサン粉末及びキトサンを
冷却能を有する液態冷媒中において機械的湿式低温粉砕
することによるそのようなキトサン粉末の製造法に関す
る。以下、本発明に係わる新規な不定形薄片状キトサン
粉末及びその製造法について詳述する。キトサンはキチ
ンを原料として調製され、この原料キチンは、菌界,植
物界,動物界にわたって広く存在していることは当業者
に周知の事実である。本発明で使用するキトサンは、何
れの生物のキチンから調製したキトサンでも使用するこ
とが可能で、その出所は特に問わない。キトサンは、キ
チンを例えば濃水酸化ナトリウム溶液中で脱アセチル化
処理することにより得られ、脱アセチル化処理時の反応
時間,反応温度,水酸化ナトリウム濃度により異なった
脱アセチル化度のものが得られることも周知である。本
発明方法における原料キトサンとしては、脱アセチル化
度には格別の制限はなく何れの脱アセチル化度のキトサ
ンでも使用することが可能であるが通常脱アセチル化度
80%程度以上のものがポリカチオンとして見込まれる
機能性、品質安定性の見地から望ましく、また、何れの
分子量を有するキトサンでも使用することが出来る。
尚、化粧品或いは医用材等へ使用する場合には、非結合
共存物質として含まれている無機塩,タンパク質,色素
を含む脂質等を完全に除去したキトサンを用いるのが好
ましい。粗キトサンの精製方法も公知である。本発明の
方法により加工されるべき原料キトサンは市販のもので
よく、これらは平均粒度は通常1〜4mmである(例え
ば、共和油脂工業(株)製キトサン「フローナック」
(登録商標)系(「フローナックN」,「フローナック
#250」及び「フローナックC」では粒度3.5mm
以下)。さて、用途に応じて必要な程度に不純物を除去
し、例えば平均粒度約4mmの木片状で供給されたキト
サンは、まず、機械的一次粉砕により、0.1〜1mm
より好ましくは0.1〜0.5mmの範囲の粒度に整え
る。この処理は、次の二次粉砕を円滑なものにするため
に行なうものである。機械的粉砕には、一般に衝撃式と
呼ばれる粉砕機、例えばジョークラッシャー,ロールク
ラッシャー,ドッジクラッシャー,コーンクラッシャ
ー,ハンマーミル,パルベライザー,ピンミル等、何れ
の粉砕機でも使用出来る。粉砕処理の時間、回転数等は
装置によって異なるが、例えばピンミルを使用した場合
は、回転数2,000〜10,000rpmで、5〜6
0secの粉砕処理時間となる。上のような一次粉砕処
理を経たキトサンは、次に本発明方法の特徴の1つであ
る機械的湿式低温粉砕処理にかける。このような処理に
使用される装置として、粉砕室内部に液態冷媒を密封す
ることが可能な回分式で、かつキトサンの層状剥離崩壊
を促進する効果の高い、摩擦作用と衝撃作用とを併せ持
った粉砕機、例えば媒体撹拌ミル,振動ボールミル等で
あれば、何れの装置でも使用することができる。キトサ
ンの粉砕時に生ずる熱を除去するために冷却能を有する
液態冷媒を使用する。この液態冷媒は当然のことながら
キトサンに対し不活性なものであって、例えば液体空
気、液体窒素等を挙げることができる。この液態冷媒、
例えば液体空気に対するキトサン充填量は、5〜30v
ol%、より好ましくは10〜20vol%である。粉
砕媒体はステンレス、アルミナ、ジルコニア等の液態媒
体に安定な性質を有する材質のものが使用可能で、媒体
充填量は粉砕室容量に対して50〜90vol%、より
好ましくは60〜80vol%である。湿式低温粉砕処
理の時間としては、装置等によっても異なるが、例えば
1〜6時間、より好ましくは2〜4時間である。なお、
液態冷媒が操作条件において気化性の場合は、例えば液
体空気の場合は、粉砕室はジャケット式とし、液体空気
を冷却しながら循環させるなどの方法により粉砕室内の
液態冷媒の気化を防ぐ必要がある。このような条件で行
なう機械的湿式低温粉砕により原料の粗大キトサンは、
粒度範囲が0.02〜90μmでかつ平均粒度が20μ
m以下で粒子の短径に対して1/2以下の厚みを有する
不定形薄片状粉末となる。生成した不定形薄片状キトサ
ン粉末を液態媒体及び粉砕媒体から分離するには常法に
よることができ、例えば減圧気化分離する。このように
して得られる本発明の不定形薄片状キトサン粉末は、前
述のように、粒度範囲が0.02〜90μmで平均粒度
が20μm以下例えば5〜20μmの、厚みが粒子の短
径に対して1/2以下の、発色、発臭を伴わない又化学
的変性のない、隠蔽力(被覆力),成型性,高充填性,
分散性,滑り,伸び,付着力等において良好な特性を有
しており、化粧料,塗料改質剤,各種樹脂改質剤,医薬
除放性担体,医用材料,種子前処理剤,固定化担体,金
属吸着剤等の用途において有用である。次に、本発明に
係わるシリコン処理不定形薄片状キトサン粉末について
説明する。本発明者は、前述の本発明に係わるシリコン
未処理の不定形薄片状キトサン粉末は、用途によっては
シリコン処理剤によってコーティング処理を行なうと、
揆水性の向上等更なる作用を有することを見出し、この
ような知見に基きシリコン未処理不定形薄片状キトサン
粉末をシリコンで表面コーティング処理して得られるシ
リコン処理不定形薄片状キトサン粉末の発明をなすに至
った。このようなシリコン処理不定形薄片状キトサン粉
末は、例えば次のようにして製造することができる。 (1) 不定形薄片状キトサンに溶媒として水を0.0
1〜20%又は有機溶媒、例えば、アルコール、アセト
ン、フッ素系溶剤、ベンゼン又はキシレンを0.01〜
20%加え、撹拌機、例えばヘンシルミキサー又はらい
かい機を用い1〜80分間低速混合する。溶媒を使用す
る理由は、キトサンへの表面処理剤の付着を均一にする
ためである。 (2) 得られた混合物にシリコン表面処理剤、例え
ば、ハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロ
キサン、フェニルメチルポリシロキサンを徐々に添加
し、同様の撹拌機を用い1〜80分間低速混合する。低
速混合する理由は、混合時に粉がまい散ることを防止す
るためである。 (3) その後、ヘンシル又は容器外壁に付着した混合
物をかきとり、容器内混合物に加え、更に、同様の撹拌
機を用い1〜80分間高速混合する。高速混合する理由
は、混合を均一にし、キトサン粒子の表面に表面処理剤
を均一に付着させるためである。 (4) 容器から、混合物をとりだし、10mmメュシ
ュ以下のふるいを通過する程度に、アトマイザーで粉砕
する。この目的は、(3)までの工程で混合物が凝集を
起しているので、微粉化するためである。 (5) (4)で生成した微粉混合物を、例えばパレッ
ト上に、1〜200mmの厚みに展ばす。この目的は、
次の工程(6)における乾燥を早めるためである。 (6) (5)のある程度の厚みに展ばされた微粉混合
物を、45〜120℃の温度で、2〜24時間乾燥させ
る。この工程の目的は、キトサンを変質させない温度、
時間で、溶媒をすみやかに揮散させるためである。 (7) このようにして不定形薄片状キトサンに、例え
ば、ハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロ
キサン、フェニルメチルポリシロキサンが表面処理され
た物質を得る。 最後に、本発明に係わるシリコン非処理不定形薄片状キ
トサン粉末及び/又はシリコン処理不定形薄片状キトサ
ン粉末を配合した仕上げ化粧品について説明する。本発
明者は、シリコン非処理又はシリコン処理不定形薄片状
キトサン粉末を仕上げ化粧品に配合すると仕上げ化粧品
に要求される特性が顕著に向上することを見出し、この
ような知見に基き、シリコン非処理不定形薄片状キトサ
ン粉末及び/又はシリコン処理不定形薄片状キトサン粉
末を配合した仕上げ化粧品の発明をなすに至った。仕上
げ化粧品としては、例えば、粉白粉、固形白粉、油性フ
ァンデーション、乳化型ファンデーション、ケーキ型フ
ァンデーション、口紅、ほほ紅、アイライナー、マスカ
ラ、アイシャドー及びアイブロウ(まゆずみ)が例示で
きる(垣原高志著「化粧品の実際知識(第2版)」(東
洋経済新報社昭和62年発行)及び日本化粧品技術者会
編「最新化粧品科学(改訂増補)」(株)薬事日報社昭
和63年発行)参照)。これらの仕上げ化粧品に要求さ
れる特性を化粧品毎に挙げると、次の通りである。な
お、本発明に係わるシリコン非処理不定形薄片状キトサ
ン粉末の配合により向上する特性を要求特性の後に併記
する。 (1) 粉白粉及び固形白粉;被覆力、滑り、付着性、
汗・油吸収性、ブルーミング:付着力・被覆力向上(皮
膚の凹凸の隅々まで)。 (2) 油性ファンデーション;被覆力、付着力、耐水
性、化粧くずれ・皮膚の乾燥防止:付着力強化、塗布が
スムーズで感触がソフト。 (3) 乳化型ファンデーション;のび、付着力、油っ
ぽさがない、安定性、顔料の分散性、流動性:皮膚への
付着性向上、均一性がでてくる。 (4) ケーキ型ファンデーション;被覆力、滑り、耐
水性:被覆力が高く、均一性がある、パフに取り易い、
ケーキへの成形性が向上。 (5) 口紅;色調、滑り、均一性、安定性、つき、の
び、付着性:油っぽさが減り、ギラツキがなくなる、唇
への塗布時の感触がソフト。 (6) ほほ紅;塗布が容易、均一性、付着性、被覆
力:被覆力向上、ソフトな感触がでてくる。 (7) アイライナー;描き易さ、乾燥速度、つや、皮
膜柔軟性、耐水性、化粧落しが容易:さらっとした感触
でスムースに描け、感触がソフト。 (8) マスカラ;塗り易さ、均一性、耐水性:まつげ
に軽いタッチで容易に塗布できる。 (9) アイシャドー;塗布が容易、ギラツキが無い、
耐汗・水性:被覆力が向上、塗布がスムースで軽い。 (10) アイブロウ;塗り易さ、描き易さ:塗布がス
ムースで軽い。 本発明に係わるシリコン処理不定形薄片状キトサン粉末
は、これを仕上げ化粧品に配合すると、仕上げ化粧品
は、揆水性及び滑りが向上し、塗布がソフトで軽くな
り、のび易くなり、皮膚の凹凸の隅々まで付着するよう
になる。シリコン非処理又はシリコン処理不定形薄片状
キトサン粉末の仕上げ化粧品への配合量は、そのような
不定形薄片状キトサン粉末の配合の効果の奏される量で
あってかつ配合前の組成によって付与されていた仕上げ
化粧品の特性が損われない量である。このような配合量
は、仕上げ化粧品の全重量中に占める割合が0.1〜3
0%で、好ましくは0.1〜20%である。
新規な不定形薄片状キトサン粉末及びその製造法につい
て説明する。本発明者は、上記の目的を達成するために
鋭意研究した結果、機械的粉砕により例えば平均粒度約
4mmの木片状キトサンを平均粒度0.1〜1mmに一
次粉砕した後、このキトサンを液体空気中で機械的湿式
低温粉砕処理に付することにより、従来の技術では得ら
れなかったような平均粒度5〜20μmを有する無色,
無臭の不定形薄片状キトサン粉末が得られることを見出
し、本発明をなすに至ったものであるが、これを補足説
明すると次の通りである。キトサンが機械的粉砕過程に
おいて、発色,発臭するのは、主に熱の作用によるもの
で、キトサンが熱分解されると3−アセトアミドフラ
ン,3−アセトアミド−5−アセチルフラン,アセトア
ミドアセトアルデヒド,3−アセトアミド−5−メチル
フラン,アセトアミド−2,3−ピロン,ヒドロキシジ
ヒドロピラン−4−オン等が生成するためである。キト
サンは、その化学構造がセルロースと類似しており、セ
ルロース同様に強靭で難粉砕性であり、直接機械的粉砕
を行なった場合には発熱する。一方、キトサンはセルロ
ースよりも熱分解されやすく、従って、平均粒度20μ
m以下のような微小粉体を効率良く製造することは不可
能である。また、キトサンを溶液として後再生する方法
では、球状の微小粉体を得ることは可能であるが、キト
サンの実用化のためにはその諸特性において更なる改善
を要し、諸特性が顕著に改善された本発明の不定形薄片
状の微小キトサン粉末を得ることは出来ない。本発明者
は、発色,発臭を生じさせるような熱がかからない条件
下で強靭なキトサンの物理的強度を低下させ、なおかつ
薄片状のキトサンを得る見地から層状剥離崩壊を伴う粉
砕法により微小キトサン粉末を製造する方法を検討した
結果、かかる目的は、機械的粉砕により例えば平均粒度
約4mmの木片状キトサンを平均粒度0.1〜1mmに
一次粉砕した後、このキトサンを液体空気中で機械的湿
式低温粉砕することにより達成出来ることを見出した。
即ち、これを詳述すると、乾式粉砕でキトサンをある粒
度以下に細かくできなくなる限界(粉砕限界)は、粉砕
機の壁面や媒体ミルなどのボール媒体にキトサン微粒子
が付着し被覆層を形成し始めること、いわゆるクッショ
ニング現象を起こして、エネルギー効率を低下させるこ
とによって生じる。一方、発熱を生じるのは、キトサン
が強靭であり、粉砕時の摩擦熱を蓄積するためである。
湿式粉砕、即ち、キトサンに液態媒体を加えて泥漿状に
して粉砕する場合には、粒子が分散し被覆を生じないの
とレーバインダー効果(粉体粒子の表面が液に濡れるこ
とによって二次粒子の強度が低下する)とにより細かい
粒径にまで粉砕することが出来る。更には、湿式粉砕の
液態媒体として液体空気を使用することにより、常温で
可塑性を有するキトサンに低温脆化を与え、強靭なキト
サンを効率良く微小粉体にまで粉砕することが出来る。
従って、湿式粉砕によるキトサンの分散懸濁効果とレー
バインダー効果、更には湿式粉砕の液態媒体に液体空気
を使用することによるキトサンの低温脆化効果の三者の
相乗効果により、発熱を伴うことなく強靭なキトサンを
効率良く層状剥離崩壊させることができる。そして、こ
のようにして得られるキトサン粉末は従来に無い、新規
な不定形薄片状の微小キトサン粉末で、顕著に改善され
た諸特性を有する。本発明は以上に説明したような本発
明者の知見に基いて完成されたものである。即ち、本発
明は、粒度範囲が0.02〜90μmでかつ平均粒度が
20μm以下で、粒子の短径に対して1/2以下の厚み
を有している不定形薄片状キトサン粉末及びキトサンを
冷却能を有する液態冷媒中において機械的湿式低温粉砕
することによるそのようなキトサン粉末の製造法に関す
る。以下、本発明に係わる新規な不定形薄片状キトサン
粉末及びその製造法について詳述する。キトサンはキチ
ンを原料として調製され、この原料キチンは、菌界,植
物界,動物界にわたって広く存在していることは当業者
に周知の事実である。本発明で使用するキトサンは、何
れの生物のキチンから調製したキトサンでも使用するこ
とが可能で、その出所は特に問わない。キトサンは、キ
チンを例えば濃水酸化ナトリウム溶液中で脱アセチル化
処理することにより得られ、脱アセチル化処理時の反応
時間,反応温度,水酸化ナトリウム濃度により異なった
脱アセチル化度のものが得られることも周知である。本
発明方法における原料キトサンとしては、脱アセチル化
度には格別の制限はなく何れの脱アセチル化度のキトサ
ンでも使用することが可能であるが通常脱アセチル化度
80%程度以上のものがポリカチオンとして見込まれる
機能性、品質安定性の見地から望ましく、また、何れの
分子量を有するキトサンでも使用することが出来る。
尚、化粧品或いは医用材等へ使用する場合には、非結合
共存物質として含まれている無機塩,タンパク質,色素
を含む脂質等を完全に除去したキトサンを用いるのが好
ましい。粗キトサンの精製方法も公知である。本発明の
方法により加工されるべき原料キトサンは市販のもので
よく、これらは平均粒度は通常1〜4mmである(例え
ば、共和油脂工業(株)製キトサン「フローナック」
(登録商標)系(「フローナックN」,「フローナック
#250」及び「フローナックC」では粒度3.5mm
以下)。さて、用途に応じて必要な程度に不純物を除去
し、例えば平均粒度約4mmの木片状で供給されたキト
サンは、まず、機械的一次粉砕により、0.1〜1mm
より好ましくは0.1〜0.5mmの範囲の粒度に整え
る。この処理は、次の二次粉砕を円滑なものにするため
に行なうものである。機械的粉砕には、一般に衝撃式と
呼ばれる粉砕機、例えばジョークラッシャー,ロールク
ラッシャー,ドッジクラッシャー,コーンクラッシャ
ー,ハンマーミル,パルベライザー,ピンミル等、何れ
の粉砕機でも使用出来る。粉砕処理の時間、回転数等は
装置によって異なるが、例えばピンミルを使用した場合
は、回転数2,000〜10,000rpmで、5〜6
0secの粉砕処理時間となる。上のような一次粉砕処
理を経たキトサンは、次に本発明方法の特徴の1つであ
る機械的湿式低温粉砕処理にかける。このような処理に
使用される装置として、粉砕室内部に液態冷媒を密封す
ることが可能な回分式で、かつキトサンの層状剥離崩壊
を促進する効果の高い、摩擦作用と衝撃作用とを併せ持
った粉砕機、例えば媒体撹拌ミル,振動ボールミル等で
あれば、何れの装置でも使用することができる。キトサ
ンの粉砕時に生ずる熱を除去するために冷却能を有する
液態冷媒を使用する。この液態冷媒は当然のことながら
キトサンに対し不活性なものであって、例えば液体空
気、液体窒素等を挙げることができる。この液態冷媒、
例えば液体空気に対するキトサン充填量は、5〜30v
ol%、より好ましくは10〜20vol%である。粉
砕媒体はステンレス、アルミナ、ジルコニア等の液態媒
体に安定な性質を有する材質のものが使用可能で、媒体
充填量は粉砕室容量に対して50〜90vol%、より
好ましくは60〜80vol%である。湿式低温粉砕処
理の時間としては、装置等によっても異なるが、例えば
1〜6時間、より好ましくは2〜4時間である。なお、
液態冷媒が操作条件において気化性の場合は、例えば液
体空気の場合は、粉砕室はジャケット式とし、液体空気
を冷却しながら循環させるなどの方法により粉砕室内の
液態冷媒の気化を防ぐ必要がある。このような条件で行
なう機械的湿式低温粉砕により原料の粗大キトサンは、
粒度範囲が0.02〜90μmでかつ平均粒度が20μ
m以下で粒子の短径に対して1/2以下の厚みを有する
不定形薄片状粉末となる。生成した不定形薄片状キトサ
ン粉末を液態媒体及び粉砕媒体から分離するには常法に
よることができ、例えば減圧気化分離する。このように
して得られる本発明の不定形薄片状キトサン粉末は、前
述のように、粒度範囲が0.02〜90μmで平均粒度
が20μm以下例えば5〜20μmの、厚みが粒子の短
径に対して1/2以下の、発色、発臭を伴わない又化学
的変性のない、隠蔽力(被覆力),成型性,高充填性,
分散性,滑り,伸び,付着力等において良好な特性を有
しており、化粧料,塗料改質剤,各種樹脂改質剤,医薬
除放性担体,医用材料,種子前処理剤,固定化担体,金
属吸着剤等の用途において有用である。次に、本発明に
係わるシリコン処理不定形薄片状キトサン粉末について
説明する。本発明者は、前述の本発明に係わるシリコン
未処理の不定形薄片状キトサン粉末は、用途によっては
シリコン処理剤によってコーティング処理を行なうと、
揆水性の向上等更なる作用を有することを見出し、この
ような知見に基きシリコン未処理不定形薄片状キトサン
粉末をシリコンで表面コーティング処理して得られるシ
リコン処理不定形薄片状キトサン粉末の発明をなすに至
った。このようなシリコン処理不定形薄片状キトサン粉
末は、例えば次のようにして製造することができる。 (1) 不定形薄片状キトサンに溶媒として水を0.0
1〜20%又は有機溶媒、例えば、アルコール、アセト
ン、フッ素系溶剤、ベンゼン又はキシレンを0.01〜
20%加え、撹拌機、例えばヘンシルミキサー又はらい
かい機を用い1〜80分間低速混合する。溶媒を使用す
る理由は、キトサンへの表面処理剤の付着を均一にする
ためである。 (2) 得られた混合物にシリコン表面処理剤、例え
ば、ハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロ
キサン、フェニルメチルポリシロキサンを徐々に添加
し、同様の撹拌機を用い1〜80分間低速混合する。低
速混合する理由は、混合時に粉がまい散ることを防止す
るためである。 (3) その後、ヘンシル又は容器外壁に付着した混合
物をかきとり、容器内混合物に加え、更に、同様の撹拌
機を用い1〜80分間高速混合する。高速混合する理由
は、混合を均一にし、キトサン粒子の表面に表面処理剤
を均一に付着させるためである。 (4) 容器から、混合物をとりだし、10mmメュシ
ュ以下のふるいを通過する程度に、アトマイザーで粉砕
する。この目的は、(3)までの工程で混合物が凝集を
起しているので、微粉化するためである。 (5) (4)で生成した微粉混合物を、例えばパレッ
ト上に、1〜200mmの厚みに展ばす。この目的は、
次の工程(6)における乾燥を早めるためである。 (6) (5)のある程度の厚みに展ばされた微粉混合
物を、45〜120℃の温度で、2〜24時間乾燥させ
る。この工程の目的は、キトサンを変質させない温度、
時間で、溶媒をすみやかに揮散させるためである。 (7) このようにして不定形薄片状キトサンに、例え
ば、ハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロ
キサン、フェニルメチルポリシロキサンが表面処理され
た物質を得る。 最後に、本発明に係わるシリコン非処理不定形薄片状キ
トサン粉末及び/又はシリコン処理不定形薄片状キトサ
ン粉末を配合した仕上げ化粧品について説明する。本発
明者は、シリコン非処理又はシリコン処理不定形薄片状
キトサン粉末を仕上げ化粧品に配合すると仕上げ化粧品
に要求される特性が顕著に向上することを見出し、この
ような知見に基き、シリコン非処理不定形薄片状キトサ
ン粉末及び/又はシリコン処理不定形薄片状キトサン粉
末を配合した仕上げ化粧品の発明をなすに至った。仕上
げ化粧品としては、例えば、粉白粉、固形白粉、油性フ
ァンデーション、乳化型ファンデーション、ケーキ型フ
ァンデーション、口紅、ほほ紅、アイライナー、マスカ
ラ、アイシャドー及びアイブロウ(まゆずみ)が例示で
きる(垣原高志著「化粧品の実際知識(第2版)」(東
洋経済新報社昭和62年発行)及び日本化粧品技術者会
編「最新化粧品科学(改訂増補)」(株)薬事日報社昭
和63年発行)参照)。これらの仕上げ化粧品に要求さ
れる特性を化粧品毎に挙げると、次の通りである。な
お、本発明に係わるシリコン非処理不定形薄片状キトサ
ン粉末の配合により向上する特性を要求特性の後に併記
する。 (1) 粉白粉及び固形白粉;被覆力、滑り、付着性、
汗・油吸収性、ブルーミング:付着力・被覆力向上(皮
膚の凹凸の隅々まで)。 (2) 油性ファンデーション;被覆力、付着力、耐水
性、化粧くずれ・皮膚の乾燥防止:付着力強化、塗布が
スムーズで感触がソフト。 (3) 乳化型ファンデーション;のび、付着力、油っ
ぽさがない、安定性、顔料の分散性、流動性:皮膚への
付着性向上、均一性がでてくる。 (4) ケーキ型ファンデーション;被覆力、滑り、耐
水性:被覆力が高く、均一性がある、パフに取り易い、
ケーキへの成形性が向上。 (5) 口紅;色調、滑り、均一性、安定性、つき、の
び、付着性:油っぽさが減り、ギラツキがなくなる、唇
への塗布時の感触がソフト。 (6) ほほ紅;塗布が容易、均一性、付着性、被覆
力:被覆力向上、ソフトな感触がでてくる。 (7) アイライナー;描き易さ、乾燥速度、つや、皮
膜柔軟性、耐水性、化粧落しが容易:さらっとした感触
でスムースに描け、感触がソフト。 (8) マスカラ;塗り易さ、均一性、耐水性:まつげ
に軽いタッチで容易に塗布できる。 (9) アイシャドー;塗布が容易、ギラツキが無い、
耐汗・水性:被覆力が向上、塗布がスムースで軽い。 (10) アイブロウ;塗り易さ、描き易さ:塗布がス
ムースで軽い。 本発明に係わるシリコン処理不定形薄片状キトサン粉末
は、これを仕上げ化粧品に配合すると、仕上げ化粧品
は、揆水性及び滑りが向上し、塗布がソフトで軽くな
り、のび易くなり、皮膚の凹凸の隅々まで付着するよう
になる。シリコン非処理又はシリコン処理不定形薄片状
キトサン粉末の仕上げ化粧品への配合量は、そのような
不定形薄片状キトサン粉末の配合の効果の奏される量で
あってかつ配合前の組成によって付与されていた仕上げ
化粧品の特性が損われない量である。このような配合量
は、仕上げ化粧品の全重量中に占める割合が0.1〜3
0%で、好ましくは0.1〜20%である。
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。しかしながら、本発明の範囲は、これらの実施例
により限定されるものではない。 実施例1(シリコン非処理キトサン粉末(その1)) 脱アセチル化度72%の平均粒度4mm木片状キトサン
(分子量15万)を、ピンミル(アルビネ社製)を使用
して、回転数4000rpmで粗砕し、平均粒度0.5
〜1mmの粒体に調製した。得られたキサン100gを
液体空気(約−200℃)1000mlに対して10v
ol%になるようにバイブレーションミル(中央化工機
社製、粉砕室容量3.58l、粉砕媒体アルミナ(6k
g))に充填し、2時間湿式低温粉砕処理して、本発明
の不定形薄片状キトサン粉末を80g得た。この不定形
薄片状キトサン粉末の一部をとり、これをレーザー回折
式の粒度分布測定器により分析した結果、粒度範囲は1
〜88.6μmで平均粒度は18μmであった。又、他
の一部をとり、電子顕微鏡で測定した結果、粒子は全て
厚みが短径の1/2以下であった。因みに、本発明の粒
度範囲が0.02〜90μmで且つ平均粒度20μm以
下で、粒子の短径に対して1/2以下の厚みを有してい
る不定形薄片状キトサン粉末のような粉末の各粒子の厚
みを測定する方法は種々考えられるが、ここでは走査形
電子顕微鏡により粒子の三軸径(1個の粒子がちょうど
納まるような箱を考え、この箱の長さ(長径)1、幅
(短径)W、高さまたは厚みtをもってこの粒子の寸法
と定義する方法)を測定する方法を用いた。換言すれ
ば、本発明のキトサン粉末の厚みとは、このような測定
法によって得られる厚みである。この測定方法について
詳細に説明すると、先ず測定対象試料を走査形電子顕微
鏡用観察ステージに固定する。即ち、ステージに両面テ
ープを接着し、その上から適当量のキトサン粉末を散布
し、過剰の試料は吹いて飛散させる。次にイオンスパッ
タリンにより表面コーティングを実施し、走査形電子顕
微鏡試料とする。コーティングのターゲットとしては、
一般に導電性付与の目的でイオンスパッタリングに用い
られているものであれば何れの材質のものでも使用可能
であるが、ここではAu−Pbターゲットを用いたメタ
ルコーティングを採用し、100〜200オングストロ
ームの薄膜に調整した。同試料を走査形電子顕微鏡に装
着し、加速電圧5〜10KV、倍率2000〜8000
で粒子の三軸径の測定を実施した。粒子の三軸径の測定
は、先ず対象試料の真上から短径を測定し、次に測定ス
テージを垂直方向に45〜90゜回転した後、水平方向
に360゜回転させながら厚みを測定する方法により実
施した。 実施例2〜3(シリコン非処理キトサン粉末(その
2)) 実施例1におけるキトサン及び湿式低温粉砕処理時間を
表1記載のものに換え、他の条件は実施例1と同様にし
て本発明の不定形薄片状キトサン粉末を得た。得られた
キトサン粉末の粒度範囲及び平均粒度も表1に併記し
た。
する。しかしながら、本発明の範囲は、これらの実施例
により限定されるものではない。 実施例1(シリコン非処理キトサン粉末(その1)) 脱アセチル化度72%の平均粒度4mm木片状キトサン
(分子量15万)を、ピンミル(アルビネ社製)を使用
して、回転数4000rpmで粗砕し、平均粒度0.5
〜1mmの粒体に調製した。得られたキサン100gを
液体空気(約−200℃)1000mlに対して10v
ol%になるようにバイブレーションミル(中央化工機
社製、粉砕室容量3.58l、粉砕媒体アルミナ(6k
g))に充填し、2時間湿式低温粉砕処理して、本発明
の不定形薄片状キトサン粉末を80g得た。この不定形
薄片状キトサン粉末の一部をとり、これをレーザー回折
式の粒度分布測定器により分析した結果、粒度範囲は1
〜88.6μmで平均粒度は18μmであった。又、他
の一部をとり、電子顕微鏡で測定した結果、粒子は全て
厚みが短径の1/2以下であった。因みに、本発明の粒
度範囲が0.02〜90μmで且つ平均粒度20μm以
下で、粒子の短径に対して1/2以下の厚みを有してい
る不定形薄片状キトサン粉末のような粉末の各粒子の厚
みを測定する方法は種々考えられるが、ここでは走査形
電子顕微鏡により粒子の三軸径(1個の粒子がちょうど
納まるような箱を考え、この箱の長さ(長径)1、幅
(短径)W、高さまたは厚みtをもってこの粒子の寸法
と定義する方法)を測定する方法を用いた。換言すれ
ば、本発明のキトサン粉末の厚みとは、このような測定
法によって得られる厚みである。この測定方法について
詳細に説明すると、先ず測定対象試料を走査形電子顕微
鏡用観察ステージに固定する。即ち、ステージに両面テ
ープを接着し、その上から適当量のキトサン粉末を散布
し、過剰の試料は吹いて飛散させる。次にイオンスパッ
タリンにより表面コーティングを実施し、走査形電子顕
微鏡試料とする。コーティングのターゲットとしては、
一般に導電性付与の目的でイオンスパッタリングに用い
られているものであれば何れの材質のものでも使用可能
であるが、ここではAu−Pbターゲットを用いたメタ
ルコーティングを採用し、100〜200オングストロ
ームの薄膜に調整した。同試料を走査形電子顕微鏡に装
着し、加速電圧5〜10KV、倍率2000〜8000
で粒子の三軸径の測定を実施した。粒子の三軸径の測定
は、先ず対象試料の真上から短径を測定し、次に測定ス
テージを垂直方向に45〜90゜回転した後、水平方向
に360゜回転させながら厚みを測定する方法により実
施した。 実施例2〜3(シリコン非処理キトサン粉末(その
2)) 実施例1におけるキトサン及び湿式低温粉砕処理時間を
表1記載のものに換え、他の条件は実施例1と同様にし
て本発明の不定形薄片状キトサン粉末を得た。得られた
キトサン粉末の粒度範囲及び平均粒度も表1に併記し
た。
【表1】 比較例1 実施例1における湿式低温粉砕処理を乾式常温粉砕処理
として、他の条件は実施例1と同様にして処理を行っ
た。ここに、乾式常温粉砕処理は、次のようにして行っ
た。即ち、脱アセチル化度72%の平均粒度4mmの木
片状キトサン(分子量15万)を、ピンミル(アルビネ
社製)を使用して、回転数4000rpmで粗砕し、平
均粒度0.5〜1mmの粒体に調製した。得られたキト
サン100gをバイブレーションミル(中央化工機社
製、粉砕室容量3.58l、粉砕媒体アルミナ(6k
g))に充填し、ジャケット部に常温水を通水しながら
2時間乾燥式常温粉砕処理を実施した。得られたキトサ
ンは、平均粒度が63μmでかつ粒状であった。 比較例2 実施例3における湿式低温粉砕処理の媒体に液体空気の
代りに水を用いる湿式常温粉砕処理として、他の条件は
実施例3と同様にして処理を行った。得られたキトサン
は、平均粒度が46μmでかつ粒状であった。 実施例4(シリコン処理キトサン粉末) ヘンシルミキサーに実施例3の方法で得られたシリコン
未処理キトサン粉末を100g投入し、更に2重量%
(対キトサン)の純水を徐々に添加し、5分間低速混合
した。得られた混合物に4重量%(対キトサン)のハイ
ドロジェンポリシロキサンを徐々に添加し、5分間低速
混合した。ヘンシル外壁に付着した混合物をかき取って
容器内混合物に加え、3分間高速回転した。容器から混
合物を取り出し、アトマイザー(φ2mmスクリーン)
を通し、パレットに30mm程度の厚みに展ばし、90
℃で8時間乾燥して表面シリコン処理不定形薄片状キト
サン粉末を得た。 実施例5(粉白粉) 表2に示す処方により粉白粉を製造した。すなわち、タ
ルクに残りの原料を加えよく混合した後、これを粉砕機
に通して粉砕した後、ふるいを通して製品とした(コン
トロール製品)。
として、他の条件は実施例1と同様にして処理を行っ
た。ここに、乾式常温粉砕処理は、次のようにして行っ
た。即ち、脱アセチル化度72%の平均粒度4mmの木
片状キトサン(分子量15万)を、ピンミル(アルビネ
社製)を使用して、回転数4000rpmで粗砕し、平
均粒度0.5〜1mmの粒体に調製した。得られたキト
サン100gをバイブレーションミル(中央化工機社
製、粉砕室容量3.58l、粉砕媒体アルミナ(6k
g))に充填し、ジャケット部に常温水を通水しながら
2時間乾燥式常温粉砕処理を実施した。得られたキトサ
ンは、平均粒度が63μmでかつ粒状であった。 比較例2 実施例3における湿式低温粉砕処理の媒体に液体空気の
代りに水を用いる湿式常温粉砕処理として、他の条件は
実施例3と同様にして処理を行った。得られたキトサン
は、平均粒度が46μmでかつ粒状であった。 実施例4(シリコン処理キトサン粉末) ヘンシルミキサーに実施例3の方法で得られたシリコン
未処理キトサン粉末を100g投入し、更に2重量%
(対キトサン)の純水を徐々に添加し、5分間低速混合
した。得られた混合物に4重量%(対キトサン)のハイ
ドロジェンポリシロキサンを徐々に添加し、5分間低速
混合した。ヘンシル外壁に付着した混合物をかき取って
容器内混合物に加え、3分間高速回転した。容器から混
合物を取り出し、アトマイザー(φ2mmスクリーン)
を通し、パレットに30mm程度の厚みに展ばし、90
℃で8時間乾燥して表面シリコン処理不定形薄片状キト
サン粉末を得た。 実施例5(粉白粉) 表2に示す処方により粉白粉を製造した。すなわち、タ
ルクに残りの原料を加えよく混合した後、これを粉砕機
に通して粉砕した後、ふるいを通して製品とした(コン
トロール製品)。
【表2】 表2の処方に上乗せ重量で5%の実施例3で得られたキ
トサン粉末を加えた処方で、同様にして粉白粉を製造し
た(製品(1))。更に、表2の処方に上乗せ重量で5
%の実施例4で得られたシリコン処理キトサン粉末を加
えた処方で、同様にして粉白粉を製造した(製品(1
A))。20才代の女性10名からなるパネルによる官
能評価試験に付したところ、コントロール製品に対し製
品(1)は付着力において顕著に優れ、製品(1A)は
耐汗性において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例6(固形白粉) 表3に示す処方により固形白粉を製造した。すなわち、
ブレンダーで顔料を混合し、これに結合剤を加え、さら
に均一に混合し、これを粉砕機で粉砕し、ふるいを通し
て数日間静置した後、金皿の中に圧縮成型して製品とし
た(コントロール製品)。
トサン粉末を加えた処方で、同様にして粉白粉を製造し
た(製品(1))。更に、表2の処方に上乗せ重量で5
%の実施例4で得られたシリコン処理キトサン粉末を加
えた処方で、同様にして粉白粉を製造した(製品(1
A))。20才代の女性10名からなるパネルによる官
能評価試験に付したところ、コントロール製品に対し製
品(1)は付着力において顕著に優れ、製品(1A)は
耐汗性において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例6(固形白粉) 表3に示す処方により固形白粉を製造した。すなわち、
ブレンダーで顔料を混合し、これに結合剤を加え、さら
に均一に混合し、これを粉砕機で粉砕し、ふるいを通し
て数日間静置した後、金皿の中に圧縮成型して製品とし
た(コントロール製品)。
【表3】 表3の処方に上乗せ重量で4%の実施例3で得られたキ
トサン粉末を加えた処方で、同様にして固形白粉を製造
した(製品(2))。更に、表3の処方に上乗せ重量で
4%の実施例4で得られたシリコン処理キトサン粉末を
加えた処方で、同様にして固形白粉を製造した(製品
(2A))。実施例5におけると同じパネルによる官能
評価試験に付したところ、コントロール製品に対し製品
(2)は付着力において顕著に優れ、製品(2A)は耐
汗性において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例7(油性ファンデーション) 表4に示す処方により油性軟膏型ファンデーションを製
造した。すなわち、顔料を混合し、別に基剤成分を混合
し、加熱融解して均一にし、とけた基剤に顔料を加え、
混合物をロールミルで練り、練ったものを再融解し、撹
拌して泡を浮上させ、撹拌を続けながら冷却し、容器に
流しこみ放冷して固めて製品とした(コントロール製
品)。
トサン粉末を加えた処方で、同様にして固形白粉を製造
した(製品(2))。更に、表3の処方に上乗せ重量で
4%の実施例4で得られたシリコン処理キトサン粉末を
加えた処方で、同様にして固形白粉を製造した(製品
(2A))。実施例5におけると同じパネルによる官能
評価試験に付したところ、コントロール製品に対し製品
(2)は付着力において顕著に優れ、製品(2A)は耐
汗性において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例7(油性ファンデーション) 表4に示す処方により油性軟膏型ファンデーションを製
造した。すなわち、顔料を混合し、別に基剤成分を混合
し、加熱融解して均一にし、とけた基剤に顔料を加え、
混合物をロールミルで練り、練ったものを再融解し、撹
拌して泡を浮上させ、撹拌を続けながら冷却し、容器に
流しこみ放冷して固めて製品とした(コントロール製
品)。
【表4】 表4の処方に上乗せ重量で4%の実施例3で得られたキ
トサン粉末を加えた処方で、同様にして油性ファンデー
ションを製造した(製品(3))。更に、表4の処方に
上乗せ重量で4%の実施例4で得られたシリコン処理キ
トサン粉末を加えた処方で、同様にして油性ファンデー
ションを製造した(製品(3A))。実施例5における
と同じパネルによる官能評価試験に付したところ、コン
トロール製品に対し製品(3)は付着力において顕著に
優れ、製品(3A)は塗布がスムースで、感触がソフト
である点において顕著に優れているとの評価結果を得
た。 実施例8(乳化型ファンデーション) 表5に示す処方によりクリーム状ファンデーションを製
造した。すなわち、顔料を混合し粉砕した。水相を調製
し、これに混合した顔料を加え分散させた後75℃に加
熱した。油相を調製し、80℃に加熱した。油相を水相
に撹拌しながら加え、乳化した後、撹拌しながら冷却
し、室温まで冷却して製品とした(コントロール製
品)。
トサン粉末を加えた処方で、同様にして油性ファンデー
ションを製造した(製品(3))。更に、表4の処方に
上乗せ重量で4%の実施例4で得られたシリコン処理キ
トサン粉末を加えた処方で、同様にして油性ファンデー
ションを製造した(製品(3A))。実施例5における
と同じパネルによる官能評価試験に付したところ、コン
トロール製品に対し製品(3)は付着力において顕著に
優れ、製品(3A)は塗布がスムースで、感触がソフト
である点において顕著に優れているとの評価結果を得
た。 実施例8(乳化型ファンデーション) 表5に示す処方によりクリーム状ファンデーションを製
造した。すなわち、顔料を混合し粉砕した。水相を調製
し、これに混合した顔料を加え分散させた後75℃に加
熱した。油相を調製し、80℃に加熱した。油相を水相
に撹拌しながら加え、乳化した後、撹拌しながら冷却
し、室温まで冷却して製品とした(コントロール製
品)。
【表5】 表5の処方に上乗せ重量で5%の実施例3で得られたキ
トサン粉末を加えた処方で、同様にしてクリーム状ファ
ンデーションを製造した(製品(4))。更に、表5の
処方に上乗せ重量で5%の実施例4で得られたシリコン
処理キトサン粉末を加えた処方で、同様にしてクリーム
状ファンデーションを製造した(製品(4A))。実施
例5におけると同じパネルによる官能評価試験に付した
ところ、コントロール製品に対し製品(4)は付着性に
おいて顕著に優れ、製品(4A)は皮膚への均一な付着
性において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例9(ケーキ型ファンダーション) 表6に示す処方によりパウダーファンデーションを製造
した。すなわち、顔料を混合し、粉砕機を通して粉砕し
た。これを高速ブレンダーに移し、結合剤を混合し、顔
料に加えて均一に混合した。これを粉砕機で処理し、ふ
るいを通し粒度をそろえた後、金皿に圧縮成型して製品
とした(コントロール製品)。
トサン粉末を加えた処方で、同様にしてクリーム状ファ
ンデーションを製造した(製品(4))。更に、表5の
処方に上乗せ重量で5%の実施例4で得られたシリコン
処理キトサン粉末を加えた処方で、同様にしてクリーム
状ファンデーションを製造した(製品(4A))。実施
例5におけると同じパネルによる官能評価試験に付した
ところ、コントロール製品に対し製品(4)は付着性に
おいて顕著に優れ、製品(4A)は皮膚への均一な付着
性において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例9(ケーキ型ファンダーション) 表6に示す処方によりパウダーファンデーションを製造
した。すなわち、顔料を混合し、粉砕機を通して粉砕し
た。これを高速ブレンダーに移し、結合剤を混合し、顔
料に加えて均一に混合した。これを粉砕機で処理し、ふ
るいを通し粒度をそろえた後、金皿に圧縮成型して製品
とした(コントロール製品)。
【表6】 表6の処方に上乗せ重量で5%の実施例3で得られたキ
トサン粉末を加えた処方で、同様にしてパウダーファン
デーションを製造した(製品(5))。更に、表6の処
方に上乗せ重量で5%の実施例4で得られたシリコン処
理キトサン粉末を加えた処方で、同様にしてパウダーフ
ァンデーションを製造した(製品(5A))。実施例5
におけると同じパネルによる官能評価試験に付したとこ
ろ、コントロール製品に対し製品(5)はケーキへの成
型性において顕著に優れ、製品(5A)はパフでの取り
易さにおいて顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例10(口紅) 表7に示す処方により合成オイル主体のスチック型口紅
を製造した。すなわち、基剤原料を加熱融解し均一に混
ぜた。これに色材を加え、ロールミルで練り均一に分散
させた後、脱泡してから型に流しこみ、急冷して固め
た。固まったものを型からとり出し、容器に装填した。
次にスチックの外観を整えてから炎の中を通し(フレー
ミング)、表面を均一にして製品とした(コントロール
製品)。
トサン粉末を加えた処方で、同様にしてパウダーファン
デーションを製造した(製品(5))。更に、表6の処
方に上乗せ重量で5%の実施例4で得られたシリコン処
理キトサン粉末を加えた処方で、同様にしてパウダーフ
ァンデーションを製造した(製品(5A))。実施例5
におけると同じパネルによる官能評価試験に付したとこ
ろ、コントロール製品に対し製品(5)はケーキへの成
型性において顕著に優れ、製品(5A)はパフでの取り
易さにおいて顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例10(口紅) 表7に示す処方により合成オイル主体のスチック型口紅
を製造した。すなわち、基剤原料を加熱融解し均一に混
ぜた。これに色材を加え、ロールミルで練り均一に分散
させた後、脱泡してから型に流しこみ、急冷して固め
た。固まったものを型からとり出し、容器に装填した。
次にスチックの外観を整えてから炎の中を通し(フレー
ミング)、表面を均一にして製品とした(コントロール
製品)。
【表7】 表7の処方に上乗せ重量で0.3%の実施例3で得られ
たキトサン粉末を加えた処方で、同様にしてスチック型
口紅を製造した(製品(6))。更に、表7の処方に上
乗せ重量で0.3%の実施例4で得られたシリコン処理
キトサン粉末を加えた処方で、同様にしてスチック型口
紅を製造した(製品(6A))。実施例5におけると同
じパネルによる官能評価試験に付したところ、コントロ
ール製品に対し製品(6)は油っぽさが少なくなり、ギ
ラツキがなくなる点において顕著に優れ、製品(6A)
はギラツキがなくなる上に唇への感触がスムースである
点において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例10(ほほ紅) 表8に示す処方により固型ほほ紅を製造した。すなわ
ち、粉体部分をよく混合した。次に混合機の中で結合剤
を加え、均一に混合し、ふるいを通した後プレス機を使
って金皿の中に圧縮し固めて製品とした(コントロール
製品)。
たキトサン粉末を加えた処方で、同様にしてスチック型
口紅を製造した(製品(6))。更に、表7の処方に上
乗せ重量で0.3%の実施例4で得られたシリコン処理
キトサン粉末を加えた処方で、同様にしてスチック型口
紅を製造した(製品(6A))。実施例5におけると同
じパネルによる官能評価試験に付したところ、コントロ
ール製品に対し製品(6)は油っぽさが少なくなり、ギ
ラツキがなくなる点において顕著に優れ、製品(6A)
はギラツキがなくなる上に唇への感触がスムースである
点において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例10(ほほ紅) 表8に示す処方により固型ほほ紅を製造した。すなわ
ち、粉体部分をよく混合した。次に混合機の中で結合剤
を加え、均一に混合し、ふるいを通した後プレス機を使
って金皿の中に圧縮し固めて製品とした(コントロール
製品)。
【表8】 表8の処方に上乗せ重量で5%の実施例3で得られたキ
トサン粉末を加えた処方で、同様にして固型ほほ紅を製
造した(製品(7))。更に、表8の処方に上乗せ重量
で5%の実施例4で得られたシリコン処理キトサン粉末
を加えた処方で、同様にして固型ほほ紅を製造した(製
品(7A))。実施例5におけると同じパネルによる官
能評価試験に付したところ、コントロール製品に対し製
品(7)は被覆力において顕著に優れ、製品(7A)は
感触がソフトである点において顕著に優れているとの評
価結果を得た。 実施例11(アイライナー) 表9に示す処方でケーキ型アイライナーをケーキ型ファ
ンデーション(実施例9)に準じて製造した。
トサン粉末を加えた処方で、同様にして固型ほほ紅を製
造した(製品(7))。更に、表8の処方に上乗せ重量
で5%の実施例4で得られたシリコン処理キトサン粉末
を加えた処方で、同様にして固型ほほ紅を製造した(製
品(7A))。実施例5におけると同じパネルによる官
能評価試験に付したところ、コントロール製品に対し製
品(7)は被覆力において顕著に優れ、製品(7A)は
感触がソフトである点において顕著に優れているとの評
価結果を得た。 実施例11(アイライナー) 表9に示す処方でケーキ型アイライナーをケーキ型ファ
ンデーション(実施例9)に準じて製造した。
【表9】 表9の処方に上乗せ重量で3%の実施例3で得られたキ
トサン粉末を加えた処方で、同様にしてケーキ型アイラ
イナーを製造した(製品(8))。更に、表9の処方に
上乗せ重量で3%の実施例4で得られたシリコン処理キ
トサン粉末を加えた処方で、同様にしてケーキ型アイラ
イナーを製造した(製品(8A))。実施例5における
と同じパネルによる官能評価試験に付したところ、コン
トロール製品に対し製品(8)はさらっとした感触にな
る点において顕著に優れ、製品(8A)はスムースに描
ける点において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例12(マスカラ) 表10の処方で固形マスカラを製造した。すなわち、顔
料を除く成分を混合してとかし、これに顔料を加えた。
これを加温したロールミルに通した後、再融解し、型の
中に流しこんで放冷して製品とした(コントロール製
品)。
トサン粉末を加えた処方で、同様にしてケーキ型アイラ
イナーを製造した(製品(8))。更に、表9の処方に
上乗せ重量で3%の実施例4で得られたシリコン処理キ
トサン粉末を加えた処方で、同様にしてケーキ型アイラ
イナーを製造した(製品(8A))。実施例5における
と同じパネルによる官能評価試験に付したところ、コン
トロール製品に対し製品(8)はさらっとした感触にな
る点において顕著に優れ、製品(8A)はスムースに描
ける点において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例12(マスカラ) 表10の処方で固形マスカラを製造した。すなわち、顔
料を除く成分を混合してとかし、これに顔料を加えた。
これを加温したロールミルに通した後、再融解し、型の
中に流しこんで放冷して製品とした(コントロール製
品)。
【表10】 表10の処方に上乗せ重量で3%の実施例3で得られた
キトサン粉末を加えた処方で、同様にして固形マスカラ
を製造した(製品(9))。更に、表10の処方に上乗
せ重量で3%の実施例4で得られたシリコン処理キトサ
ン粉末を加えた処方で、同様にして固形マスカラを製造
した(製品(9A))。実施例5におけると同じパネル
による官能評価試験に付したところ、コントロール製品
に対し製品(9)はまつ毛への塗布がスムースである点
において顕著に優れ、製品(9A)はまつ毛への塗布が
ソフトである点において顕著に優れているとの評価結果
を得た。 実施例13(アイシャドー) 表11の処方で軟膏型アイシャドーを製造した。すなわ
ち、基剤成分を混合、加熱して融解し均一にした。これ
にあらかじめ混合した顔料を加え、ロールミルで練っ
た。次に再融解してから容器に流し込み放冷して固めて
製品とした(コントロール製品)。
キトサン粉末を加えた処方で、同様にして固形マスカラ
を製造した(製品(9))。更に、表10の処方に上乗
せ重量で3%の実施例4で得られたシリコン処理キトサ
ン粉末を加えた処方で、同様にして固形マスカラを製造
した(製品(9A))。実施例5におけると同じパネル
による官能評価試験に付したところ、コントロール製品
に対し製品(9)はまつ毛への塗布がスムースである点
において顕著に優れ、製品(9A)はまつ毛への塗布が
ソフトである点において顕著に優れているとの評価結果
を得た。 実施例13(アイシャドー) 表11の処方で軟膏型アイシャドーを製造した。すなわ
ち、基剤成分を混合、加熱して融解し均一にした。これ
にあらかじめ混合した顔料を加え、ロールミルで練っ
た。次に再融解してから容器に流し込み放冷して固めて
製品とした(コントロール製品)。
【表11】 表11の処方に上乗せ重量で2%の実施例3で得られた
キトサン粉末を加えた処方で、同様にして軟膏型アイシ
ャドーを製造した(製品(10))。更に、表10の処
方に上乗せ重量で2%の実施例4で得られたシリコン処
理キトサン粉末を加えた処方で、同様にして軟膏型アイ
シャドーを製造した(製品(10A))。実施例5にお
けると同じパネルによる官能評価試験に付したところ、
コントロール製品に対し製品(10)は被覆力において
顕著に優れ、製品(10A)は塗布がスムースで軽い点
において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例14(アイブロウ) 表12の処方で鉛筆型アイブロウを製造した。すなわ
ち、顔料以外の原料を融解し、これに顔料を加えてよく
撹拌して分散し、加熱したロールミルで数回練り合わせ
を繰り返した。これを室温まで冷却し、圧搾射出機によ
って内径2〜5mmのノズルから芯を押し出して成型し
た。つぎに芯を芯型の溝を有する木部に圧着した。すな
わち、木部の接合部に接着剤を塗り、木部で芯を抱合し
て圧着した。これを切削して外形を鉛筆型に成型して製
品とした(コントロール製品)。
キトサン粉末を加えた処方で、同様にして軟膏型アイシ
ャドーを製造した(製品(10))。更に、表10の処
方に上乗せ重量で2%の実施例4で得られたシリコン処
理キトサン粉末を加えた処方で、同様にして軟膏型アイ
シャドーを製造した(製品(10A))。実施例5にお
けると同じパネルによる官能評価試験に付したところ、
コントロール製品に対し製品(10)は被覆力において
顕著に優れ、製品(10A)は塗布がスムースで軽い点
において顕著に優れているとの評価結果を得た。 実施例14(アイブロウ) 表12の処方で鉛筆型アイブロウを製造した。すなわ
ち、顔料以外の原料を融解し、これに顔料を加えてよく
撹拌して分散し、加熱したロールミルで数回練り合わせ
を繰り返した。これを室温まで冷却し、圧搾射出機によ
って内径2〜5mmのノズルから芯を押し出して成型し
た。つぎに芯を芯型の溝を有する木部に圧着した。すな
わち、木部の接合部に接着剤を塗り、木部で芯を抱合し
て圧着した。これを切削して外形を鉛筆型に成型して製
品とした(コントロール製品)。
【表12】 表12の処方に上乗せ重量で3%の実施例3で得られた
キトサン粉末を加えた処方で、同様にして鉛筆型アイブ
ロウを製造した(製品(11))。更に、表10の処方
に上乗せ重量で3%の実施例4で得られたシリコン処理
キトサン粉末を加えた処方で、同様にして鉛筆型アイブ
ロウを製造した(製品(11A))。実施例5における
と同じパネルによる官能評価試験に付したところ、コン
トロール製品に対し製品(11)は塗布がスムースであ
る点において顕著に優れ、製品(11A)は塗布がソフ
トでスムースである点において顕著に優れているとの評
価結果を得た。
キトサン粉末を加えた処方で、同様にして鉛筆型アイブ
ロウを製造した(製品(11))。更に、表10の処方
に上乗せ重量で3%の実施例4で得られたシリコン処理
キトサン粉末を加えた処方で、同様にして鉛筆型アイブ
ロウを製造した(製品(11A))。実施例5における
と同じパネルによる官能評価試験に付したところ、コン
トロール製品に対し製品(11)は塗布がスムースであ
る点において顕著に優れ、製品(11A)は塗布がソフ
トでスムースである点において顕著に優れているとの評
価結果を得た。
【発明の効果】本発明のキトサン粉末は、形状が不定形
薄片状であって、隠蔽力(被覆力),成型性,高充填
性,分散性,滑り,伸び,付着力等において良好な特性
を有しており、化粧料,塗料改質剤,各種樹脂改質剤,
医薬除放性担体,医用材,種子前処理剤,固定化担体,
金属吸着剤等の用途において有用である。また、本発明
の方法によれば、本発明のキトサン粉末を効率よく得る
ことができる。なお、また、本発明のシリコン非処理又
はシリコン処理不定形薄片状キトサン粉末は、仕上げ化
粧品に配合するとその特性を顕著に向上させる。
薄片状であって、隠蔽力(被覆力),成型性,高充填
性,分散性,滑り,伸び,付着力等において良好な特性
を有しており、化粧料,塗料改質剤,各種樹脂改質剤,
医薬除放性担体,医用材,種子前処理剤,固定化担体,
金属吸着剤等の用途において有用である。また、本発明
の方法によれば、本発明のキトサン粉末を効率よく得る
ことができる。なお、また、本発明のシリコン非処理又
はシリコン処理不定形薄片状キトサン粉末は、仕上げ化
粧品に配合するとその特性を顕著に向上させる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 久一朗 広島県三原市中之町4156−2 (72)発明者 藤井 正子 広島県三原市中之町4156−1 (72)発明者 松本 雅彦 東京都葛飾区青戸5−14−5 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08B 37/08 A61K 7/02
Claims (4)
- 【請求項1】 粒度範囲が0.02〜90μmで且つ平
均粒度が20μm以下で、粒子の短径に対して1/2以
下の厚みを有している不定形薄片状キトサン粉末。 - 【請求項2】 キトサンを冷却能を有する液態冷媒中に
おいて機械的湿式低温粉砕することを特徴とする請求項
1記載のキトサン粉末の製造法。 - 【請求項3】 表面がシリコンコーティング処理された
請求項1記載の不定形薄片状キトサン粉末。 - 【請求項4】 請求項1記載のシリコン非処理不定形薄
片状キトサン粉末及び/又は請求項3記載のシリコン処
理不定形薄片状キトサン粉末を配合した仕上げ化粧品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2418360A JP2996356B2 (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | 不定形薄片状キトサン粉末並びにその製造方法及びそれを配合した仕上げ化粧品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2418360A JP2996356B2 (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | 不定形薄片状キトサン粉末並びにその製造方法及びそれを配合した仕上げ化粧品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0586102A JPH0586102A (ja) | 1993-04-06 |
JP2996356B2 true JP2996356B2 (ja) | 1999-12-27 |
Family
ID=18526213
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2418360A Expired - Fee Related JP2996356B2 (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | 不定形薄片状キトサン粉末並びにその製造方法及びそれを配合した仕上げ化粧品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2996356B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1248679C (zh) * | 2000-07-18 | 2006-04-05 | 株式会社艾贝克斯 | 水溶性含空隙微薄片和其制备方法 |
KR100553667B1 (ko) * | 2002-05-08 | 2006-02-24 | 메디칸(주) | 주사제로 인체주입이 가능한 고체 키토산분말 제조방법 |
JP4932166B2 (ja) * | 2005-02-28 | 2012-05-16 | 焼津水産化学工業株式会社 | 微粒子キトサンの製造方法 |
-
1990
- 1990-12-26 JP JP2418360A patent/JP2996356B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0586102A (ja) | 1993-04-06 |
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