JPH07206640A - 高滑沢性撥水性粉体および化粧料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 化粧料用粉体を含有する化粧料に関して、塗
布時の伸び、塗布時の滑り、肌上での平滑感、肌への密
着性、撥水性、感触等の化粧性能の改善をすること。 【構成】 板状のＮ−ラウロイル−Ｌ−リジシンで表面
処理された、平均粒子直径が１〜５０μｍの球状シリカ
を化粧料に配合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高滑沢性撥水性粉体お
よび該粉体を含有する化粧料に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】化粧料用粉体を含有する化粧料として
は、ファンデーション、白粉、ほほ紅、アイシャドー、
アイブローなどのメイクアップ化粧品、ボディーパウダ
ー、ベビーパウダーなどのボディー化粧品、さらには、
スキンクリーム、ヘアートリートメント、ブラッシング
ローション、プレシェーブローション等が市販されてい
る。これらの化粧料用粉体を含有する化粧料において
は、(a) 塗布時の伸び、(b)塗布時の滑り、(c) 肌上で
の平滑感、(d) 肌への密着性、(e) 汗崩れ、化粧崩れな
どを防止する撥水性、および(f) 感触等の化粧性能が問
題とされる。これらの化粧性能中、滑沢性に関係するの
は主に (a)、 (b)、 (c)および(f) である。

【０００３】従来より塗布時の伸びや、肌上での平滑感
を向上させるために、タルクやセリサイトのような板状
の鉱物粉体を化粧料に配合することが行われている。し
かしながら、これらの板状の鉱物粉体を配合した化粧料
は、塗布時の伸びや、肌上での平滑性は向上するもの
の、塗布時の滑りや感触については満足できるものでは
なかった。

【０００４】また、球状のシリカを配合した化粧料（例
えば、特開平４−８３７１２参照）は、塗布時の滑りや
感触は優れるものの、肌への密着性が不十分であった。

【０００５】さらに、これらの板状の鉱物粉体やシリカ
は水とのなじみが良く、これらを配合した化粧料は、肌
につけたとき、水や汗になじんでしまい汗崩れ、化粧崩
れなどを起こすという問題があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、伸び、滑
り、平滑感、密着性、撥水性および感触に優れた粉体、
ならびに該粉体を含有せしめた、塗布時の伸び、塗布時
の滑り、肌上での平滑感、肌への密着性が良く、撥水性
延いては耐水性が良好で化粧崩れなどの防止効果に優
れ、感触のよい化粧料を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究の結果、平均粒子直径が１〜５０μ
ｍの球状シリカを板状のＮ−ラウロイル−Ｌ−リジンで
表面処理したもので前記目的の達成されることを知見
し、この知見に基いて本発明を完成した。

【０００８】すなわち、本発明は、第一に、板状のＮ−
ラウロイルＬ−リジンで表面処理された平均粒子直径が
１〜５０μｍの球状シリカからなることを特徴とする高
滑沢性撥水性粉体に関する。

【０００９】まず、球状シリカについて説明する。

【００１０】本発明で使用される球状シリカの粒子径に
ついては、、平均粒子直径が１〜５０μｍである。平均
粒子直径が１μｍ未満の場合は、伸び性および滑り性が
不足するので不適当である。平均粒子直径が５０μｍを
超えると、ざらついた感触を与えるので不適当である。
上記の平均粒子直径の範囲中、２〜２０μｍである場合
は、塗布時の滑り性の見地からさらに好ましい。このよ
うな平均粒子直径の球状シリカの粒子直径は、通常０．
１〜２００μｍの範囲に分布する。

【００１１】シリカの形状は真球状に近い場合は、化粧
料にした場合の滑りやすさが向上するので望ましいが、
本発明の目的を達成する限りは多少いびつな球状であっ
ても良い。また、一部分に不定形の粒子や球状粒子の破
砕物が混入していても、同じく本発明の目的が達成され
る限りはさしつかえない。

【００１２】球状のシリカの製造方法には特別の制限は
なく、種々の方法で製造したシリカを使用することがで
きる。例えば、界面活性剤を含む非極性有機溶媒中で珪
酸塩の微粒子状の液滴を形成した後、炭酸ガスでゲル化
し、洗浄、乾燥することにより球状のシリカが得られ、
また、この方法によれば粒径の揃ったかつ用途に応じ
た、例えば平均粒径１〜１０μ程度の粒状体が容易に製
造することができる（特公平２−２０５６３）。また、
溶剤中でケイ酸エステルの微粒子の液滴を形成した後、
アンモニア等でゲル化することによっても得られる。さ
らに、シリカゾルをスプレードライで乾燥することによ
っても球状のシリカが得られる。

【００１３】なおまた、上記の諸方法で得られるシリカ
は多孔質であるが、無孔質のシリカも好適に使用でき
る。そして、例えば、球状または不定形の多孔質シリカ
を高温の気流中で焼成することによりそのような無孔質
の球状のシリカが得られる（前掲特開平４−８３７１
２）。

【００１４】次に、板状のＮ−ラウロイル−Ｌ−リジン
について説明する。

【００１５】板状のＮ−ラウロイル−Ｌ−リジンは、例
えば、塩基性アミノ酸であるＬ−リジンと長鎖の脂肪酸
であるラウリン酸を加熱脱水することによって生成した
ものを、ｐＨ２以下またはｐＨ１１以上の水性溶媒に溶
解させた後中和し、晶析することで製造することがで
き、この方法によれば、均一の粒度のそろった、例えば
１〜３０μｍ程度の粒度（ここに、板状晶の粒度は平面
部の対角線の長さを意味する）の板状のＮ−ラウロイル
−Ｌ−リジンを容易に製造することが出来る（特公平３
−２５４１３）。

【００１６】最後に、そのような球状シリカの板状のＮ
−ラウロイルＬ−リジンによる表面処理方法について説
明する。

【００１７】Ｎ−ラウロイル−Ｌ−リジンで微細な球状
シリカ（一般に広く粉体）を表面処理する方法として
は、例えば、乾式法及び湿式法があるが、いずれの方法
であっても用いることができる。上記乾式法は、簡便か
つ効果的な方法であって、ヘンシェルミキサー、振動式
ボールミル、回転式ボールミル、スーパーミキサー等の
混合撹拌装置を用いる。該方法によれば、例えば、Ｎ−
ラウロイル−Ｌ−リジンの粉末と粉体とを撹拌混合する
か、またはＮ−ラウロイル−Ｌ−リジンと粉体とを混合
した後、共粉砕することによって、粉体の表面を容易に
処理することができる。また、上記湿式法による場合
は、例えば、Ｎ−ラウロイル−Ｌ−リジンが中性付近の
水及び通常の油に殆ど溶解しないため、塩化カルシウム
を可溶化剤として用いてＮ−ラウロイル−Ｌ−リジンを
有機溶剤に溶解した後、粉体と接触させ、更に該粉体を
水洗し、塩化カルシウムを除去して乾燥することによ
り、粉体の表面を処理できる。また、上記乾式法及び湿
式法のほか、例えば、酸性またはアルカリ性の水または
水性溶媒中に、Ｎ−ラウロイル−Ｌ−リジンを溶解して
粉体と接触させた後、中性付近まで中和して粉体表面に
Ｎ−ラウロイル−Ｌ−リジンを析出付着させ、中和によ
って生じた塩を水洗により除去し、乾燥する方法によっ
ての同様の表面処理ができる。

【００１８】球状シリカの表面処理に使用するＮ−ラウ
ロイル−Ｌ−リジンの使用量は、球状シリカに対して好
ましくは０．０５〜５０重量％（上乗せ）、より好まし
くは０．５〜２０重量％である。０．０５重量％未満で
は表面処理効果が十分でなく、また５０重量％を超えて
も処理効果はそれほど向上しないため経済性の面から利
するところがない。

【００１９】本発明は、第二に、上に説明した本発明の
第一に係わる高滑沢性撥水性粉体を含有せしめてあるこ
とを特徴とする、先に言及した種々の化粧料に関する。

【００２０】このような化粧料を調製するにも特別の制
限はなく、本発明の、先に説明した高滑沢性粉体を高滑
沢性撥水性を付与する原材料の一部または全部として使
用することを除いては、公知の調製法を適宜採用するこ
とで行なうことができるので、これ以上の説明は不要で
あろう。なお、後掲実施例をも参照されたい。

【００２１】

【作用】本発明の球状のシリカの表面が板状のＮ−ラウ
ロイル−Ｌ−リジンで処理された粉体は、球状のシリカ
の持つ、特に塗布時の滑り性と、板状のＮ−ラウロイル
−Ｌ−リジンの持つ、特に塗布時の伸びおよび肌上での
平滑感との相乗効果で、従来の粉体にない滑り性と肌へ
のなじみとに優れ、かつ撥水性を有するので、化粧料に
配合されときにその使用感が向上し、化粧崩れを防止す
ることができる。

【００２２】

【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。

【００２３】実施例１（球状シリカの表面処理） （ａ）平均粒子径１２μｍの球状シリカ８５重量部に、
Ｎ−ラウロイル−Ｌ−リジン１５重量部を加え、ヘンシ
ェルミキサーにて２０分間撹拌混合を行うことによって
高滑沢性撥水粉体を調製した。

【００２４】（ｂ）平均粒子径５μｍの球状シリカ８０
重量部に、Ｎ−ラウロイル−Ｌ−リジン２０重量部を加
え、ヘンシェルミキサーにて２０分間撹拌混合を行うこ
とによって高滑沢性撥水粉体を調製した。

【００２５】（ｃ）Ｎ−ラウロイル−Ｌ−リジン１５ｇ
をｐＨ１３に調整した水酸化ナトリウム水溶液５００ｍ
ｌに溶解し、次に平均粒子径３μｍの球状シリカ８５ｇ
を加え、十分に分散させた。撹拌しながら１規定の塩酸
を滴下することによって中和し、球状シリカ表面にＮ−
ラウロイル−Ｌ−リジンを析出させた。中和によって生
成した塩を洗浄し、取り上げることによって高滑沢性撥
水粉体を調製した。

【００２６】検査例１ 実施例１の（ａ）〜（ｃ）で調製した粉体の性能を、撥
水性は接触角、そして滑沢性は動摩擦係数で評価した。
接触角は、粉体をペレット状にし、マイクロシリンジに
て水滴を滴下することにより測定した。動摩擦係数の測
定は、カトーテック社製摩擦感テスターで行った。

【００２７】結果を下記第１表に示す。

【００２８】

【表１】

【００２９】Ｎ−ラウロイル−Ｌ−リジンで処理するこ
とにより、球状シリカの撥水性と滑沢性が飛躍的に増し
た。

【００３０】実施例２（パウダーファンデーション） 下記第２表に示す粉体成分（１）〜（６）を混合粉砕
し、これをヘンシェルミキサーに移した後、残余の成分
（７）〜（９）を加え均一となるように混合した。ふる
いにかけて粒度を揃えた後、これを金皿にプレス成形し
て適度な付着性と滑らかさのあるプレス状パウダーファ
ンデーションを製造した。

【００３１】

【表２】

【００３２】実施例３（プレストパウダー） 下記第３表に示す組成の適度な付着性と滑らかさのあ
る、軽い感触のパウダーファンデーションを実施例２と
同様にして得た。

【００３３】

【表３】

【００３４】実施例４（アイシャドウ） 下記第４表に示す全成分を高速ミキサーで撹拌混合し、
ふるいで粒径を整えた後、プレス成形し、滑らかな感触
で付着力のあるアイシャドウを製造した。

【００３５】

【表４】

【００３６】実施例５（頬紅） 下記第５表に示す全成分を高速ミキサーで撹拌混合し、
ふるいで粒径を整えた後、プレス成形し、滑らかな感触
で付着力のある頬紅を製造した。

【００３７】

【表５】

【００３８】実施例６（スキンクリーム） 下記第６表に示す油相成分（１）〜（12）と水相成分
（13）〜（17）をそれぞれ別個に加熱混合し、ついで油
相成分に水相成分を加えた。その混合物をホモミキサー
で撹拌しながら徐冷し、肌への伸びが良好なスキンクリ
ームを製造した。

【００３９】

【表６】

【００４０】実施例７（ヘアートリートメント） 下記第７表に示す油相成分（１）〜（６）と水相成分
（７）〜（９）をそれぞれ別個に加熱混合し、ついで油
相成分に水相成分を加えた。その混合物をホモミキサー
で乳化した。４５℃までパドル撹拌しながら徐冷し、ヘ
アートリートメントを製造した。香料（10）は５０〜４
５℃で添加した。

【００４１】

【表７】

【００４２】実施例８（ブラッシングローション） 下記第８表に示す油相成分（１）〜（６）を撹拌混合し
たものに、成分（７）を加え、実施例１（ａ）の処理粉
体が均一に分散するように撹拌した。精製水（９）を所
定量加え、成分（８）を添加し、櫛通りまたはブラシ通
りを著しく滑らかにし、静電気の発生を抑制するブラッ
シングローションを製造した。

【００４３】

【表８】

【００４４】実施例９（プレシェーブローション） 下記第９表に示す組成でプレシェーブローションを製造
した。このローションは、電気剃刀が肌上を滑らかに動
き、剃刀負けを防止でき、また保湿性に優れたＰＣＡ・
Ｎａの使用により、適度なしっとり感の得られるもので
あった。

【００４５】

【表９】

【００４６】

【発明の効果】本発明の高滑沢性撥水性粉体は、従来の
球状シリカや板状の鉱物粉体と比較して、優れた伸び、
滑り、平滑感、密着性を有し、かつ撥水性にも優れてい
る。また、該粉体を配合した化粧料は、塗布時の伸び、
滑り、肌上での平滑感、肌への密着性が良く、耐水性が
良好で化粧崩れの防止効果に優れている。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】板状のＮ−ラウロイルＬ−リジンで表面処
   理された平均粒子直径が１〜５０μｍの球状シリカから
   なることを特徴とする高滑沢性撥水性粉体。
2. 【請求項２】請求項１記載の高滑沢性撥水性粉体を含有
   せしめてあることを特徴とする化粧料。