JP2011125344A - 切り餅 - Google Patents

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Abstract

【課題】餅体の上面と下面に餅体の体積を減少させる肉盗み凹部と、焦げ面を分割する筋目を設けて、焼き上がり形状が美しく食べやすい切り餅の提供を図る。
【解決手段】長方形の平板方形体で形成される小片フィルムパック包装の切り餅1において、該長方形の平板方形体を形成する上面20と下面21の中央部に、餅体の体積を20〜30%減少させる肉盗み凹部30を設け、該肉盗み凹部の形状は長辺23方向ならびに短辺24方向に対して其々対称形である手段と、前記長方形の平板方形体を形成する上面と下面に、長辺を等分割すると共に短辺に対して平行である筋目31を、切り込み深さ1mm以下において少なくても二以上設けた手段を採る。
【選択図】図2

Description

餅体の上面と下面に餅体の体積を減少させる肉盗み凹部と、焦げ面を分割する筋目を設けて、焼き上がり形状が美しく食べやすい切り餅に関する。
従来、切り餅の焼成過程において餅体内に水蒸気または気泡が偏在することで、餅体の形状が不特定な状態で膨れ上がり、餅体内の膨化部位が外部に大きく噴き出す現象が起きることは良く知られているが、その餅体内に発生する膨化現象による膨張部位の噴き出しを餅体の表面にスリット(切り込み)を入れて防止し、焼き上がり形状を美しく見せようとする手段が提案されている。
例えば、輪郭形状が方形の小片餅体の側周表面に複数のスリット部または溝部を設けた「餅」(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。
また、切り餅の上面と下面に十字状のスリットを入れ、さらに周側面にスリットを入れた「切り餅」(特許文献2参照)が提案され、公知技術となっている。
しかしながら、上記の「餅」(特許文献1参照)ならびに「切り餅」(特許文献2参照)の提案は、餅体内に発生する膨張部位の噴き出し現象を、餅体の側面に設けたスリットに誘導することによって焼き上がり形状を美しく見せようとするものであるが、切り餅の焼成段階において、そのスリットに沿って発生する焼割れ口が、餅体内の膨張現象によって早い段階で開口することによって、餅体内部が密封状態で充分に時間をかけて焼成されないことが原因で発生する膨張部位の噴き出し現象を誘発し、さらにその焼割れ口が、焼成時間の経過と共に不特定に開口と密封を繰り返すことで、餅体の焼き上がり形状を著しく変形させてしまう現象を発生させるもので、またさらに餅体内部の水蒸気または気泡の偏在や、餅体自体の形状寸法の不揃いなどの要因も加わって、餅体の焼き上がり時の美しい形状を安定的に得ることができないものであった。(詳細説明は段落〔0058〕を参照)
さらに、「切り餅」(特許文献2参照)においては、餅体の上面と下面に設けられる十字状のスリットは調理前の分割する目的で設けられるものであるが、その十字状スリットは、餅体内の膨張現象が焼成時間の経過と共に増大することによって餅体の上面と下面がその膨張圧力に耐え切れなくなって発生する焼割れを誘発するもので、不特定な箇所に発生する焼割れ口によって餅体内の膨張部位が餅体の外部に噴き出す現象を助長する役割を果たす場合もあることは本出願人の焼成実験結果より実証されるものである。また、その十字状スリットは、調理後に食べ易くする目的も併せて設けられているものでもあるが、そのスリットの形状と方向ならびに間隔は、焼き上がり時の一口サイズの食べ易さを追求したものではなかった。
一方、焼き上がり形状が美しいと報告される上記切り餅の焼成実験結果も85%程度の良品率に留まり、一般家庭での焼き上がり状況はそれ以下の実態を示すもので、その効果も安定的に得られるものではなかった。
本出願人は、切り餅の表面と内部が別々に焼成するステップと、餅体の側面に発生する焼割れ口が焼成時間の経過と共に不特定に開口と密封を繰り返す現象に着目し、餅体の上面と下面に肉盗み凹部を形成して、餅体の表面と内部の焼き上がりの時間差を解消し、さらに焼割れ口が不特定に開口と密封を繰り返す現象を回避することによって、焼割れ口を誘導するスリットを設けることなく焼き上がり形状を美しくする切り餅の焼成ステップを確立し、本発明の切り餅の提案に至るものである。
特開2006-174851号公報 特開2005-34079号公報
本発明は、餅体の上面と下面に餅体の体積を減少させる肉盗み凹部と、焦げ面を分割する筋目を設けて、焼き上がり形状が美しく食べやすい切り餅の提供を図る。
本発明は、長方形の平板方形体で形成される小片フィルムパック包装の切り餅において、該長方形の平板方形体を形成する上面と下面の中央部に、餅体の体積を20〜30%減少させる肉盗み凹部を設け、該肉盗み凹部の形状は、長辺方向ならびに短辺方向に対して其々対称形である手段を採る。
また本発明は、前記長方形の平板方形体を形成する上面と下面に、長辺を等分割すると共に短辺に対して平行である筋目を、切り込み深さ1mm以下において少なくても二以上設けた手段を採る。
また本発明は、前記切り餅の外形形状が、動物やキャラクターなどの模様形状や、四角形、円形、星形などの図形形状で形成され、さらに前記肉盗み凹部の形状が、長辺方向ならびに短辺方向に対して其々対称形または、外形形状に対してオフセット形状を有して形成される手段を採ることもできる。
また本発明は、前記肉盗み凹部が、長方形の平板方形体を形成する上面と下面のいずれか一方に設けた切り餅とすることもできる。
本発明の切り餅によれば、餅体の上面と下面の中央部に、餅体の体積を20〜30%減少させる肉盗み凹部を設け、該肉盗み凹部の形状は長辺方向ならびに短辺方向に対して其々対称形に形成して餅体内部の体積を肉盗みすることによって餅体の表面と内部を限りなく近い焼成時間で焼き上げるもので、その結果、焼割れ口から餅体の内部の膨張部位が噴き出ることなく、焼き上がり形状が美しい切り餅の提供ができる優れた効果を奏する。
また本発明の切り餅によれば、餅体の側周面にスリットが設けられていないため、焼割れ口が早い段階で開口しない密封された状態で焼成を進行させることによって餅体内部が充分に蒸されて焼き上げられることから、表面と内部が解離することなく、もっちりとした食感に焼き上げることができる優れた効果を奏する。
また本発明の切り餅によれば、従来の切り餅の焼き上がり状態の確認は、何度かの焼割れによる噴き上がりを繰り返す状態を見守りながら焼き上げなければならなかったが、本発明の切り餅は「パリっと割れたら焼き上がり!」という判断基準で簡単に焼き上がり状態を確認(図4(a)参照)することができる優れた効果を奏する。
また本発明の切り餅によれば、餅体の上面と下面に肉盗み凹部によるへこみが設けられるが、そのへこみは焼成段階で膨れ上がって消滅するため、焼き上がり後の外形美観を損なうことがない優れた効果を奏する。
また本発明の切り餅によれば、餅体の上面と下面の固くなった焦げ目に極めて浅い筋目が入ることで一口サイズの分割された食べ易い形状になるもので、その筋目に沿って歯形を当てることにより老人や子供、女性が容易に噛み切ることができる優れた効果を奏する。
また本発明の切り餅によれば、餅体の外形形状が動物やキャラクターなどの模様形状や、四角形、円形、星形などの図形形状で形成される色々な形状のバラエティーパックとすることによって子供が興味を持つ食材とすることや、一口サイズの食べ易い形状にすることによって調理時間の短縮が図れ、今まで利用されてこなかった西洋料理、中華料理、日本料理の食材として利用できる優れた効果を奏する。
また本発明の切り餅によれば、従来の餅体の製造工程における精米工程、洗米工程、水分浸漬・吸収工程、蒸し上げ工程、餅搗き工程、圧延工程、冷却工程、切断工程において、餅体の上面と下面に設けられる肉盗み凹部と筋目の加工手段は、従来の製造工程における圧延工程ならびに切断工程に組み入れることができるため、大幅な設備投資を必要としない優れた効果を奏する。
本発明の切り餅における請求項1記載の実施形態を示す説明図である。(実施例1) 本発明の切り餅における請求項2記載の実施形態を示す説明図である。(実施例2) 本発明の切り餅における請求項2記載の焼成状態を示す説明図である。(実施例3) 本発明の切り餅における焼成ステップを示すチャート図である。(実施例4) 本発明の切り餅における肉盗み凹部の体積減少比率による焼成実験を示す説明図である。(実施例5) 本発明の切り餅におけるその他の実施形態を示す説明図である。(実施例6) 従来のスリットを設けない切り餅における焼成状態を示す説明図である。(実施例7) 先行技術の切り餅(特許文献1)における焼成状態を示す説明図である。(実施例8) 先行技術の切り餅(特許文献2)における焼成状態を示す説明図である。(実施例9)
本発明は、長方形の平板方形体で形成される小片フィルムパック包装の切り餅において、該長方形の平板方形体を形成する上面と下面の中央部に、餅体の体積を20〜30%減少させる肉盗み凹部を設け、該肉盗み凹部の形状は長辺方向ならびに短辺方向に対して其々対称形としたことを最大の特徴とするものである。
以下、図1〜図6においては、本発明の切り餅の実施形態を図面と一部写真を基に説明し、図7〜図9においては、従来の切り餅の焼成状態を図面と写真を基に説明する。
以下、焼成実験を行う上において共通する設定条件を下記に記載し、異なる設定条件がある場合には、各実験毎に其々その内容を記載する。
<設定条件>
切り餅の形状は、長方形の平板方形体で形成される原材料水稲もち米100%の切り餅を試験品として使用し、焼成器具は、サンヨー電機製1000wの両面焼きオーブントースターをドア開放状態で使用した。実験室内温度8℃、湿度58%の条件下で実験を行った。
尚、下記の文中で記述される本発明の切り餅の第一次焼割れ口が発生した時点とは、図4(a)に示すように第一次焼割れ口が発生するまで焼き上げを続けた場合を意味するもので、通常は第一次焼割れ口が発生した時点で焼き上げが完了されていることを理想としている。言い換えれば、本発明の切り餅の焼成手段は、不確かな性質を持つ第一次焼割れ口が発生する前にいかに早く美しく焼き上げるかという方法に対し、従来の切り餅の焼成手段は、不確かな性質を持つ第一次焼割れ口を利用していかに美しく焼き上げるかという方法とは全く異なった焼成ステップを展開するものである。
図1は、本発明の切り餅における請求項1記載の実施形態を示す説明図である。
図(a)は、本発明の切り餅の全体斜視図を示すものである。
本発明の切り餅1は、長方形の平板方形体で形成される小片フィルムパック包装の切り餅において、該長方形の平板方形体を形成する上面20と下面21の中央部に、餅体の体積を20〜30%減少させる肉盗み凹部30を設け、該肉盗み凹部30の形状を長辺23方向ならびに短辺24方向に対して其々対称形に形成され、全体を切断加工又は型抜き加工などにおいて製造される。
切り餅1の具体的な形状は、長方形の平板方形体の上面、下面、両側面、前後面の六面体で形成され、長さ62mm×幅40mm×厚み17mm、肉盗み凹部の体積減少比率25%で形成される。
肉盗み凹部30は、長方形の平板方形体を形成する上面20と下面21の中央部に、長辺方向ならびに短辺方向に対して其々対称形に形成された角型鍋底状のくぼみを形成して成り、肉盗み凹部30の中央厚み30aは、餅体10の厚みの三分の一程度で形成され、餅体10の焼成表面積を大きくすると共に、餅体体積を20〜30%減少させることによって、餅体の表面と内部の焼成時間の差をなくす目的で形成される。また、肉盗み凹部30が、長辺23方向ならびに短辺24方向に対して其々対称形に形成されることによって、餅体10の外形形状に対して均等に焼成が進行して餅体10内部の膨張の均一化が図られるため、焼き上がり形状が安定した切り餅が得られるものである。
また肉盗み凹部30は、長方形の平板方形体を形成する上面20と下面21に設けられているが、上面20と下面21のいずれか一方であっても良い。しかしながら、体積減少比率を片方の面のみで達成しようとすると二倍の体積を必要とするため、外観上の見栄えが悪いことと、消費者が調理する時に、肉盗み凹部30が設けられている面をどちらを上にしていいか迷うものであり、製造コスト以外の問題から上面20と下面21に設けられるものである。
図(b)は、本発明の切り餅の側断面図を示すものである。
肉盗み凹部30の形状は特に限定されるものではないが、図示されるような角型鍋底状のくぼみの他に、楕円球体または円球体の一部、かまぼこの半円弧体の一部、すり鉢状、模様形状40、図形形状41などのくぼみが考えられる。またその加工手段は、肉盗み凹部30と反対形状の型体を転圧または押圧する方法、あるいは円弧状のカッターで切り取る方法などが考えられる。
図(c)は、本発明の切り餅の焼き上がり形状を示すものである。
長方形の平板方形体の原形を留め、餅体10の上面20に均等な焦げ目Kを形成して焼き上げられるもので、焼成前の肉盗み凹部30のへこみは、餅体10の焼成段階の膨張によって解消され、通常の切り餅の焼き上がり状態と変わりなく焼き上げることができる。また、第一次焼成割れが発生した時点で焼き上がりがほぼ完了するため、餅体10の焼き上がりが「パリっと割れたら焼き上がり!」という判断基準で簡単に焼き上がり状態を確認(図4(a)参照)することができる。また、焼割れ口32が開口しない密封された状態で焼成が進行することによって、餅体内部が充分に蒸されて焼き上げられ、表面と内部が解離することなく、もっちりとした食感に焼き上げることができる。
焼割れ口32は、焼成時に餅体10の長辺23付近の側周面22に自然発生し、焼成時間の経過と共に不特定に開口と密封を繰り返すもので、その開口口は粘性を有していることから噴き出しを繰り返す度に、くっ付いたり、離れたりして不確かな状況を繰り返す性質を持つものである。また、従来の切り餅は、この焼割れ口32が発生してからさらに焼成を進行させなければ餅体10の中身が充分に焼成されないため、焼き上がり形状はどうしても不確定な形状になりがちであった。
図2は、本発明の切り餅における請求項2記載の実施形態を示す説明図である。
図(a)は、本発明の切り餅の全体斜視図を示すものである。
本発明の切り餅1は、長方形の平板方形体で形成される小片フィルムパック包装の切り餅であって、該長方形の平板方形体を形成する上面20と下面21の中央部に肉盗み凹部30を設け、さらにその上に長辺23を等分割する筋目31を短辺24に対して平行に入れて、全体を切断加工又は型抜き加工などにおいて製造される。
切り餅1の具体的な形状は、長方形の平板方形体の上面、下面、両側面、前後面の六面体で形成され、長さ62mm×幅40mm×厚み17mm、肉盗み凹部の体積減少比率25%、筋目は二本、その深さは0.2〜0.5mmで入れられる。
図(b)は、本発明の切り餅の側断面図を示すものである。
筋目31は、長方形の平板方形体を形成する上面20と下面21の中央部に設けられる肉盗み凹部30の上方に、長辺23を等分割すると共に短辺24に対して平行である筋目31を、切り込み深さ0.2〜0.5mmにおいて少なくても二以上設けられるもので、餅体10の焼き上がりの焦げ面Kの表面の筋目31に歯形を当てて老人や子供、女性が容易に一口サイズに噛み切ることができることを目的として設けられるものである。その筋目31の深さは、0.2〜0.5mmで極めて浅く幅狭に設けられ、表面からの深さを均等且つ、可能な限り浅く入れられることが好ましい。1mm以上の深さで入れた場合は、焼成段階において発生する焼割れ口32に影響を及ぼして早期に餅体10内に発生する膨張部位Bの噴き出し現象の要因と成り得る可能性を含むもので、従来の「切り餅」(特許文献2)に設けられる十字状のスリットSとは、大きく形態を異にするものである。また、筋目31を入れる手段は、円盤状のカッターまたは押し切り用のカッターまたはウエイト付のカッターで餅体10の表面を準える加工方法が取られる。
図(c)は、本発明の切り餅の焼き上がり形状を示すものである。
長方形の平板方形体の原形を留め、焼成が進行して餅体10の側周面22に第一次焼割れが発生した時点で餅体10の表面は完全に焼き上がり、餅体10の内部はほぼ焼き上りに近い状態になっている。さらに焦げ目Kが程良く付けられて焼き上がり、形状が美しい安定した切り餅が焼き上げられる。その理由としては、餅体10の側周面22にスリットSが設けられていないため、餅体10の側周面22に第一次焼割れが発生する時期が遅くなることで一気に焼き上げられ、さらに餅体10内部が密封された状態で充分に蒸されて焼き上げられため、餅体10の表面と内部が解離することなく、もっちりとした食感に焼き上げることができるものである。
図3は、本発明の切り餅における請求項2記載の焼成状態を示す説明図である。
図(a)は、長方形の平板方形体の切り餅を示す説明図である。
切り餅1は、長方形の平板方形体で形成される小片フィルムパック包装の切り餅1であって、該長方形の平板方形体を形成する上面20と下面21の中央部に角型鍋底状を形成する肉盗み凹部30を設け、さらに長辺23を等分割すると共に短辺24に対して平行である筋目31を、切り込み深さ0.2〜0.5mmにおいて少なくても二以上設けて、全体を切断加工又は型抜き加工などにおいて製造される。
図(b)は、餅体が焼き上げられる焼成ステップを示す説明図である。
下記の焼成ステップにおける説明は、上面20が焼成される状況をもって説明しているが、下面21においても同様な焼成ステップが進行するものである。また文中の( )番号と図面の( )番号は一致している。
(1)餅体10の表面焼成の進行状態は、上面20を形成する長辺23と短辺24の稜線部Rの図で示される範囲から焼成が始まる。
(2)焼成部33が餅体10の中心部に向かって除々に進行し、餅体10の上面20に設けられる肉盗み凹部30の全体に広がって行く。
(3)餅体10の稜線部R付近の側周面22に第一次焼割れが発生し、その時点では餅体10の内部は既に膨化されてほぼ焼き上がりに近い状態になっている。
(4)餅体10の表面と内部と焦げ目Kが殆ど同時期に短時間で焼き上がるため、第一次焼割れが発生した時点が焼き上がり完了の目安となる。さらに餅体10の表面に焦げ目Kを付けるには、好みに合わせて焼成時間を延長する。
(5)図cの状態に焼き上がる。
長方形の平板方形体の原形を留め、餅体10の上面20に均等な焦げ目Kを形成して焼き上げられるもので、焼成前の肉盗み凹部30のへこみは、餅体10の焼成段階の膨張によって解消され、通常の切り餅の焼き上がり状態と変わりなく焼き上がっている。また、第一次焼成割れが発生した時点で焼き上がりがほぼ完了しているため、餅体10の焼き上がり状況が「パリっと割れたら焼き上がり!」という判断基準で簡単に焼き上がり状態を確認(図4(a)参照)することができるものである。さらに餅体10の上面20と下面21に筋目31が入れられることにより、餅体10の上面20と下面21の固くなった焦げ目Kに筋目31が入ることでその筋目31に歯形を当てることで一口サイズの食べ易い形状になり、老人や子供、女性が容易に噛み切ることができるものである。
尚、写真の切り餅1の焼き上がり状態は、焼割れ口32が発生する直前の状態を示すものである。
上記の焼成ステップから下記の焼成メカニズムが確認された。
(1)餅体10の上面20を形成する長辺23の稜線部R付近に第一次焼割れ口32が発生する時点では、餅体10の内部がほぼ焼き上がりに近い状態にあることで餅体10の外形形状の変化に影響を及ぼさないことが確認された。
(2)餅体10の上面20と下面21に設けられる肉盗み凹部30の形状を制御することにより、餅体10の内部の焼き上がり状態と餅体10の上面20の焦げ目Kの状態が調整できることが確認された。
(3)以上の検証結果から、焼成が進行して餅体10の側周面22に第一次焼割れが発生した時点では、餅体10の表面は完全に焼き上がり、餅体10の内部はほぼ焼き上りに近い状態になっている。さらに焦げ目Kが程良く付けられて焼き上がり、形状が美しい安定した切り餅が焼き上げられる。その理由としては、餅体10の側周面22にスリットSが設けられていないため、餅体10の側周面22に第一次焼割れが発生する時期が遅くなることで一気に焼き上げられ、さらに餅体10内部が密封された状態で充分に蒸されて焼き上げられため、餅体10の表面と内部が解離することなく、もっちりとした食感に焼き上がるものである。また、餅体10の表面と内部と焦げ目Kが殆ど同時期に焼き上がるため、第一次焼割れが発生した時点が焼き上がり完了の目安となるため、餅体10を潰して焼き上がり具合を確認することなく、目視による焼き上がりが容易に確認することができるものである。つまり、「パリっと割れたら焼き上がり!」という判断基準で簡単に焼き上がり状態を確認(図4(a)参照)することができるものである。
図4は、本発明の切り餅における焼成ステップを示すチャート図である。
本発明の切り餅の不確かな性質を持つ第一次焼割れ口が発生する前にいかに早く美しく焼き上げるかという焼成ステップに対し、従来の切り餅の不確かな性質を持つ第一次焼割れ口を利用していかに美しく焼き上げるかという焼成ステップを下記に説明する。
図(a)は、本発明の切り餅における焼成ステップをチャート図を基に説明する。
(1)餅体10の表面焼成の進行状態は、上面20を形成する長辺23と短辺24の稜線部R付近から焼成が始まり、焼成部33が餅体10の中心部に向かって除々に進行し、餅体10の上面20に設けられる肉盗み凹部30の全体に広がって行く。その広がって行く段階において餅体10の内部も上面20同様に焼成して行く。
(2)餅体10の稜線部R付近の側周面22に第一次焼割れが発生し、その時点では餅体10の内部は既に膨化されてほぼ焼き上がりに近い状態になっている。
(3)さらに餅体10の表面に焦げ目Kを付けるため、好みに合わせて焼成時間を延長するとその焦げ目Kは、第一次焼割れが発生する以前から徐々に付き始めているため短い焼成時間で好みの焦げ具合に調整することができる。
(4)以上のように餅体10の表面と内部と焦げ目Kが殆ど同時期に焼き上がるため、第一次焼割れが発生した時点が焼き上がり完了の目安となるものである。
(5)焼き上がり状況
従来の切り餅と比較して焼成時間の短縮が図られ、餅体10の表面ならびに内部の焼成状態のバラツキも少なく均一に焼き上げることができる。また、本発明の切り餅1は、焼割れ口32が開口しない密封された状態で焼成が進行するため、餅体10の内部が密封された状態で充分に蒸されて焼き上げられ、第一次焼成割れが発生した時点で焼き上がりがほぼ完了しているため、餅体10の焼き上がりが「パリっと割れたら焼き上がり!」という判断基準で簡単に焼き上がり状態を確認(図4(a)参照)することができることから餅体10の表面と内部が解離することなく、もっちりとした食感に焼き上げることができるものである。
図(b)は、従来の切り餅における焼成ステップをチャート図を基に説明する。
(1)餅体10の表面焼成の進行状態は、上面20を形成する長辺23と短辺24の稜線部R付近から焼成が始まり、焼成部33が餅体10の中心部に向かって除々に進行して行き焼成される。
(2)餅体10の稜線部R付近の側周面22に第一次焼割れが発生し、その時点では餅体10の内部は半生状態で充分に焼き上がっていない。
(3)さらに焼成時間を進行させて行くと、小規模な噴き出し現象が何回か発生して大きな噴き出し焼割れが発生する時点で、餅体10の内部は一部に若干の半生状態が残っている状態で充分に焼き上がっていない。(その何回か発生する小規模な噴き出しによる焼割れ口32が粘性によって開口しない場合は、半生状態の内部が焼割れ口32から噴き出して外形形状を大きく変形させる要因となる。)
(4)さらに焼成を進行させて表面に焦げ目Kを付けるため焼成時間を延長すると、餅体10の内部の焼成がさらに進んで膨張するため、餅体10の外形形状を大きく変形させる要因となる。また、餅体10の内部が膨張している状態の時間が短いため、好みの焦げ具合の調整が付きにくいものである。
(5)以上のように餅体10の表面と内部と焦げ目Kは、夫々の焼成ステップが終了してから次の焼成ステップに進行して行くためトータルの焼成時間の短縮は困難なものがある。
(6)焼き上がり状況
餅体10の表面と内部が焼割れ口32が発生して分離されて焼成されることによって、餅体10の内部が外気の流入を許して焼成されることから、もっちりさの低下がみられる。また、餅体10の側面の焼割れ口32の影響で手前側周面22の片側から膨張部位Bが飛び出しそうになっている。さらに上面20が片方に偏って膨張することから、外形形状が変形し、それに伴って焦げ目Kのバラツキがみられる。
図5は、本発明の切り餅における肉盗み凹部の体積減少比率による焼成実験を示す説明図である。
試験品は長さ62mm×幅40mm×厚み17mmの長方形の平板方形体で形成される切り餅を使用し、設定条件は基本設定条件と同様とする。
餅体10の体積に対する肉盗み凹部30の体積(へこみ)減少比率の変化に対して焼き上がり状態を目視で判定する焼成実験を行った。
<焼成実験結果>
(1)体積減少比率10%以下では、焼割れが発生し、外観が美しく焼き上がらない。餅体に肉盗み凹部が形成されない〔図7〕に示す状態と変わらない結果となった。
(2)体積減少比率15%では、稀に焼き割れが発生しないで焼き上がるがその確率は低い。
(3)体積減少比率20%では、焼き割れが発生しないで美しく焼き上がるが、その確率は65〜75%である。
(4)体積減少比率25%では、焼き上がり形状が美しくもっちりとした中身の食感の切り餅が得られた。
(5)体積減少比率30%では、外観形状は美しく焼き上がるが、もっちりとした中身のボリューム感にやや欠ける。
(6)体積減少比率35%以上では、外観形状は美しく焼き上がるが、中身が肉薄のスカスカの状態でもっちりとした中身のボリューム感がなく、餅の食感がない。
以上の焼成実験結果から、肉盗み凹部30は、長方形の平板方形体を形成する上面20と下面21の中央部に、餅体10の体積を20〜30%減少させる凹部を設け、該肉盗み凹部30の形状は、長辺方向ならびに短辺方向に対して其々対称形であることが最適と判断されるものである。
図6は、本発明の切り餅におけるその他の実施形態を示す説明図である。
図(a)、図(b)は模様形状40と模様形状41の切り餅1を示す説明図である。
本発明の切り餅1は、外形形状が、動物やキャラクターなどの模様形状40や、四角形、円形、星形などの図形形状41で形成され、さらに肉盗み凹部30の形状が、長辺23方向ならびに短辺24方向に対して其々対称形または、外形形状に対してオフセット形状42を有して形成され、型抜き、型押し、射出加工などにおいて製造される。
外形形状が模様形状40や、図形形状41で形成され、中央部に肉盗み凹部30が設けられるもので、図示されるようにその肉盗み凹部30の形状は球体の一部の円形であったり、外観形状をそのまま縮小したオフセット形状42であったり、その組み合わせでもあっても良い。
本発明の模様形状40や、図形形状41で形成される切り餅1は、焼成段階で発生する焼割れ口32が発生しないことで外形形状が最後まで維持されることから、図6に示される色々な形状のバラエティーパックとすることによって子供が興味を持つ形状の食材とすることができることや、一口サイズの食べ易い多種多様な形状にすることによって、今まで利用されてこなかった西洋料理、中華料理、日本料理の食材として利用できるものである。
図7は、従来のスリットを設けない切り餅における焼成状態を示す説明図である。
図(a)は、従来のスリットを設けない切り餅1を示す説明図である。
切り餅1の形状は、長方形の平板方形体の上面、下面、両側面、前後面の六面体で形成され、長さ65mm×幅40mm×厚み17mm、重さ52gで形成される。
図(b)は、餅体が焼き上げられる焼成ステップを示す説明図である。
下記における説明は、上面20が焼成される状況をもって説明しているが、下面21においても同様な焼成が進行するものである。また文中の( )番号と図面の( )番号は一致している。
(1)上面20を形成する長辺23と短辺24の稜線部Rの図で示される範囲から焼成が始まる。
(2)餅体10の上面20を形成する長辺23と短辺24の稜線部Rの焼成部33から餅体10の中心部に向かって焼成が進行し、餅体10の上面20全体に焼成が広がる。
(3)餅体10の上面20を形成する長辺23の稜線部R付近の側周面22に第一焼割れが発生する。
(4)餅体10の上面20の焼成部33が餅体10の内部の中心に向かって焼成が進行することで、餅体10の内部が膨化されて焼成される。
(5)図cの状態に焼き上がる。
餅体10の表面と内部が焼割れ口32が発生して分離されて焼成されることによって、餅体10の内部が外気の流入を許して焼成されることから、もっちりさの低下がみられる。また、餅体10の側周面22周辺に発生する焼割れ口32の影響で手前の側周面22の片側から膨張部位Bが飛び出しそうになっている。さらに上面20が片方に偏って膨張することから、外形形状が大きく変形し、それに伴って焦げ目Kのバラツキがみられる。
上記の焼成ステップから下記の焼成メカニズムが確認された。
(1)上記(3)の餅体10の上面20を形成する長辺23の稜線部R付近の側周面22に第一焼割れが発生する段階では、餅体10の表面は完全に焼成しているが、餅体10の内部は半生状態で充分に焼き上がっていないことが確認された。
(2)上記(3)の餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が、焼成時間の経過と共に粘性を伴って再び閉じられることによって餅体10の内部が再膨張して餅体10の外形形状を変形させる要因になることが確認された。
(3)上記(3)の餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が閉じられることなく開いた状態で焼成が進行する場合は、その焼割れ口32から餅体10の内部の膨張圧力が適度に抜けて餅体10の外形形状の変形に影響を及ぼさないことが確認された。
(4)図cの状態は、餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が、焼成時間が進行することで再び粘性によって閉じられ、さらに焼成時間が進行することで再び開口する時に餅体10の内部の半生状態の膨張部位Bが焼割れ口32から噴き出す現象が確認された。
(5)以上の検証結果から、焼成が進行して餅体10の側周面22に第一次焼割れが発生した時点では、餅体10の表面は完全に焼き上がり、餅体10の内部は半生状態で充分に焼き上がっていない。またその時点では焦げ目Kは付いていなく、形状が偏りした切り餅が焼き上げられる。その理由としては、餅体10の側周面22のスリットSに誘導されて第一次焼割れが不確定な箇所に不確定な形状で発生することで、餅体10の表面と内部が解離し、表面は硬くパリパリの状態で、内部は半生状態に近く、さらに内部空間がぽっかり空いた焼成状態となるもので、その状態を回避するためさらに焼成を進めると、餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が、再び粘性によって閉じられ、さらに焼成が進むことで再び開口する時に餅体10の内部の膨張部位Bが焼割れ口32から噴き出す現象が発生するもので、それもこれも第一次焼割れ発生時の焼割れ口32の開閉次第という運任せの不確定要素に左右されるものであった。また焼き上がり具合を確認しようとすると、本発明の切り餅の「パリっと割れたら焼き上がり!」という単純な判断基準とは異なり、餅体10を潰して確認しなければならないため、餅体10の原形を留めた状態で焼き上がり具合を確認することができないものであった。
図8は、先行技術の餅(特許文献1)における焼成状態を示す説明図である。
図(a)は、先行技術(特許文献1)の餅を示す説明図である。
切り餅1の形状は、長さ65mm×幅40mm×厚み16mm、重さ50gで形成され、周側面22に連続する深さ6mmのスリットSが重複して入っている製造メーカー実物品の切り餅を使用した。
図(b)は、餅体が焼き上げられる焼成ステップを示す説明図である。
下記における説明は、上面20が焼成される状況をもって説明しているが、下面21においても同様な焼成が進行するものである。また文中の( )番号と図面の( )番号は一致している。
(1)上面20を形成する長辺23と短辺24の稜線部Rの図で示される範囲から焼成が始まる。
(2)餅体10の上面20を形成する長辺23と短辺24の稜線Rの焼成部33から、餅体10の中心部に向かって焼成が進行し、餅体10の上面20全体に焼成が広がる。
(3)餅体10の側周面22に設けられる長辺23付近のスリットSに誘導されて第一焼割れが発生する。
(4)餅体10の上面20の焼成部33が、餅体10内部の中心に向かって焼成が進行することで、餅体10の内部が膨化されて焼成される。
(5)図cの状態に焼き上がる。
餅体10の表面と内部が焼割れ口32が発生して分離されて焼成されることによって、餅体10の内部が外気の流入を許して焼成されることから、もっちりさの低下がみられる。また、餅体10の側周面22周辺に発生する焼割れ口32の影響で側周面22の片側から膨張部位Bが飛び出ている。さらに上面20が片方に偏って膨張することから、外形形状が大きく変形し、それに伴って焦げ目Kのバラツキがみられる。
上記の焼成ステップから下記の焼成メカニズムが確認された。
(1)上記(3)の餅体10の上面20を形成する長辺23の稜線部R付近の側周面22のスリットSに誘導されて第一焼割れが発生する段階では、餅体10の表面は完全に焼成しているが、餅体10の内部は半生状態で充分に焼き上がっていないことが確認された。
(2)上記(3)の餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が、焼成時間の経過と共に粘性によって再び閉じられることによって、餅体10の内部が再び膨張して餅体10の形状を変形させる要因になることが確認された。
(3)上記(3)の餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が閉じられることなく開いた状態で焼成が進行する場合は、その焼割れ口32から餅体10の内部の膨張圧力が適度に抜けて餅体10の外形形状の変形に影響を及ぼさないことが確認された。
(4)図cの状態は、餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が、焼成時間が進行することで再び粘性によって閉じられ、さらに焼成時間が進行することで再び開口する時に餅体10の内部の半生状態の膨張部位Bが焼割れ口32から噴き出す現象が確認された。
(5)以上の検証結果から、焼成が進行して餅体10の側周面22に第一次焼割れが発生した時点では、餅体10の表面は完全に焼き上がり、餅体10の内部は半生状態で充分に焼き上がっていない。またその時点では焦げ目Kは付いていなく、形状が偏りした切り餅が焼き上げられる。その理由としては、餅体10の側周面22のスリットSに誘導されて第一次焼割れが早期に発生することで餅体10の表面と内部が解離し、表面は硬くパリパリの状態で、内部は半生状態に近く、さらに内部空間がぽっかり空いた焼成状態となるもので、その状態を回避するためさらに焼成を進めると、餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が、再び粘性によって閉じられ、さらに焼成が進むことで再び開口する時に餅体10の内部の膨張部位Bが焼割れ口32から噴き出す現象が発生するもので、それもこれも第一次焼割れ発生時の焼割れ口32の開閉次第という運任せの不確定要素に左右されるものであった。本発明の切り餅の「パリっと割れたら焼き上がり!」という単純な判断基準とは異なり、餅体10を潰して確認しなければならないため、餅体10の原形を留めた状態で焼き上がり具合を確認することができないものであった。
図9は、先行技術の切り餅(特許文献2)における焼成状態を示す説明図である。
図(a)は、先行技術(特許文献2)の切り餅を示す説明図である。
切り餅1の形状は、長さ65mm×幅40mm×厚み17mm、重さ52gで形成され、上面20と下面21を二等分する直角に交差する深さ6mmのスリットSと側面には深さ4mmの直線状のスリットSが入っている製造メーカー実物品の切り餅を使用した。
図(b)は、餅体10が焼き上げられる焼成ステップを示す説明図である。
下記における説明は、上面20が焼成される状況をもって説明しているが、下面21においても同様な焼成が進行するものである。
また文中の( )番号と図面の( )番号は一致している。
(1)上面20を形成する長辺23と短辺24の稜線部Rの図で示される範囲から焼成が始まる。
(2)餅体10の上面20を形成する長辺23と短辺24の稜線部Rの焼成部33から、餅体10の中心部に向かって焼成が進行し、餅体10の上面20全体に焼成が広がる。
(3)餅体10の側周面22に設けられる長辺23付近の重複する二本のスリットSの上部位置に誘導されて第一焼割れが発生する。
(4)餅体10の上面20の焼成部33が餅体10内部の中心に向かって焼成が進行することで、餅体10の内部が膨化されて焼成される。
(5)図cの状態に焼き上がる。
餅体10の表面と内部が焼割れ口32が発生して分離されて焼成されることによって、餅体10の内部が外気の流入を許して焼成されることから、もっちりさの低下がみられる。また、餅体10の側周面22周辺に発生する焼割れ口32の影響で側周面22の片側が膨らんでいる。さらに上面20が片方に偏って膨張することからそれに伴って焦げ目Kのバラツキがややみられる。
上記の焼成ステップから下記の焼成メカニズムが確認された。
(1)上記(3)の餅体10の上面20を形成する長辺23の稜線部R付近の側周面22のスリットSに誘導されて第一焼割れが発生する段階では、餅体10の表面は完全に焼成しているが、餅体10の内部は半生状態で充分に焼き上がっていないことが確認された。
(2)上記(3)の餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が、焼成時間の経過と共に粘性によって再び閉じられることによって餅体10の内部が膨張して餅体10の形状を変形させる要因になることが確認された。
(3)上記(3)の餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が閉じられることなく開いた状態で焼成が進行する場合は、その焼割れ口32から餅体10の内部の膨張圧力が適度に抜けて餅体10の外形形状の変形に影響を及ぼさないことが確認された。
(4)図cの状態は、餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が、焼成時間が進行することで再び粘性によって閉じられ、さらに焼成時間が進行することで再び開口する時に餅体10の内部の半生状態の膨張部位Bが焼割れ口32から噴き出す現象が確認された。
(5)上面20と下面21を二等分する直角に交差するスリットSは、焼成時間が進行して餅体10自体が膨張して餅体10の上面20が変形することによって焼割れが発生するもので、膨張部位Bが焼割れ口32から噴き出す現象とは関係がないことが確認された。
(6)以上の検証結果から、焼成が進行して餅体10の側周面22に第一次焼割れが発生した時点では、餅体10の表面は完全に焼き上がり、餅体10の内部は半生状態で充分に焼き上がっていない。またその時点では焦げ目Kは付いていなく、形状が偏りした切り餅が焼き上げられる。その理由としては、餅体10の側周面22にスリットSが設けられていることから、餅体10の側周面22に設けられるスリットSに誘導されて第一次焼割れが早期に発生することで、餅体10の表面と内部が解離し、表面は硬くパリパリの状態で、内部は半生状態に近く、さらに内部空間がぽっかり空いた焼成状態となるもので、その状態を回避するためさらに焼成を進めると、餅体10の側周面22に発生した焼割れ口32が、再び粘性によって閉じられ、さらに焼成が進むことで再び開口する時に餅体10の内部の膨張部位Bが焼割れ口32から噴き出す現象が発生するもので、それもこれも第一次焼割れ発生時の焼割れ口32の開閉次第という運任せの不確定要素に左右されるものであった。本発明の切り餅の「パリっと割れたら焼き上がり!」という単純な判断基準とは異なり、餅体10を潰して確認しなければならないため、餅体10の原形を留めた状態で焼き上がり具合を確認することができないものであった。
以上焼成実験結果から本発明の切り餅と従来の切り餅の違いを下記に述べる。
(1)スリットに関して
本発明の切り餅は、餅体の上面と下面に肉盗み凹部と筋目を設けているが、焼割れを誘導するスリットは設けていない。それに対して従来の切り餅は、餅体の側面と上面と下面に焼割れを誘導するスリットを設けている。
(2)焼き上がりに関して
本発明の切り餅は、餅体の側周面にスリットが設けられていないことから焼割れ口が焼成途中の段階で早期に開口することなく一気に焼き上げられるため、餅体内部が密封状態で充分に蒸されて焼き上げられ、その結果、表面と内部が解離することなくもっちりとした食感に焼き上げられる。それに対して従来の切り餅は、側周面に焼割れを誘導するスリットが設けられているため、その誘導するスリットに沿って焼割れ口が焼成途中の早い段階で開口(破裂)してしまう。その結果、餅体内部に外気が流入して焼成温度が一旦低下することによって、餅体表面はパリパリの状態で、餅体内部は半生状態で解離する場合がある。その状態でさらに焼成を進めると焼割れ口から半生状態の餅体内部(膨張部位)が噴き出し、餅体形状を大きく変形させる場合がある。それもこれも餅体の側周面に発生する焼割れ口が焼成時間の経過と共に不特定に開口と密封を繰り返す現象が起因していることから起こるもので、その結果、もっちりとした食感に焼き上げることができないものである。
(3) 焼き上がり形状に関して
本発明の切り餅は、餅体の上面と下面に肉盗み凹部によるへこみが形成されるが、そのへこみは焼成段階で膨れ上がって消滅するため焼き上がり後の外形美観を損なうことがない。それに対して従来の切り餅は、側面と上面と下面に焼割れを誘導するスリットが設けられていて、特に上面と下面のスリットは、餅体表面が膨張した時に稀に焼割れが入って餅体の形状を大きく崩す場合がある。
(4) 焼き上がり状態の確認に関して
本発明の切り餅は、第一次焼割れ口発生時期まで一気に餅体を焼き上げるため、焼き上がりが「パリっと割れたら焼き上がり!」という判断基準で簡単に焼き上がり状態を確認(図4(a)参照)することができる。それに対して従来の切り餅は、焼成段階で発生する焼割れ口が不特定に開口と密封を繰り返すことによって、どの時点で焼き上がりが完了しているか判断できないことから、噴き上がり状態を常に監視していなければならない上、餅体を潰して焼き上がり状態を最終確認しなければならないため、餅体の原形を維持した状態で焼き上がり具合を確認することができなかった。
(5)焦げ目に関して
本発明の切り餅は、焼成段階で早期に焼割れ口が開口しないため、餅体全体が密封状態で膨張することで体積が大きくなり、その結果、餅体表面が加熱源に近くなることで早い段階で焦げ目が入り、餅体上面の焦げ目の付け具合を焼成時間によって調整することができる。それに対して従来の切り餅は、不確定な形状で餅体全体が膨張することで、餅体表面が加熱源に均等に接近しないため、餅体表面には均等な焦げ目が付かないものである。
(6)焼き上がりの良品率に関して
本発明の切り餅は、焼割れ口が餅体の側周面に発生する時点で焼き上がりがほぼ完了していることによって、焼割れ口の不特定の開口と密封を繰り返す現象の影響を受けないため、95%以上の極めて高い良品率で焼き上げることができる。それに対して従来の切り餅は、焼成段階において焼割れ口の不特定の開口と密封を繰り返す現象の影響を受けるため、良品率が85%程度に留まるものである。
(7)食べ易さに関して
本発明の切り餅は、長辺を等分割すると共に短辺に対して平行な筋目を、切り込み深さ1mm以下において少なくても二以上設けて、焦げ面の表面の筋目に歯形を当てて子供や老人、女性が一口サイズの大きさに噛み切れるようになっている。それに対して従来の切り餅の上面と下面に設けられているスリットは、調理前に分割易くする目的と調理後に食べ易くする目的で入れられているものであるが、そのスリットの形状と方向と間隔は、一口サイズの食べ易さを追求したものではなかった。
(8)焼成時間に関して
本発明の切り餅は、餅体表面に肉盗み凹部が形成されて餅体の内部の体積が減少していることから、焼割れ口の発生の影響を受けることなく第一次焼割れ口発生時期まで一気に餅体を焼き上げることによって焼成時間の短縮が図れると共に、タイマーなどを使用して一定時間で焼き上げることができるものである。それに対して従来の切り餅は、焼成段階で発生する焼割れ口が開口して外気が餅体内部に流入して餅体内部の温度を一旦下げる現象が生まれることから、常に噴き上げ状態を監視していなければならず、焼成時間の短縮ならびにタイマーなどによって一定時間で焼き上げることができないものである。
以上のように、本発明の切り餅と従来の切り餅は、その構造と、焼成ステップと、焼き上がり効果において大きな違いがあるものである。
本発明の切り餅の外形形状が動物やキャラクターなどの模様形状や、四角形、円形、星形などの図形形状で形成されるバラエティーパックなどにすることによって子供が興味を持つ食材とすることや、一口サイズの食べ易い形状にすることによって、調理時間の短縮が図れ、今まで利用されてこなかった西洋料理、中華料理、日本料理の食材として利用できることから、本発明の切り餅の産業上の利用可能性は極みて高いものと解する。
1 切り餅
10 餅体
20 上面
21 下面
22 側面
23 長辺
24 短辺
30 肉盗み凹部
30a中央厚み
31 筋目
32 焼割れ口
33 焼成部
40 模様形状
41 図形形状
42 オフセット形状
B 膨張部位
K 焦げ目
R 稜線部
S スリット

Claims (2)

  1. 長方形の平板方形体で形成される小片フィルムパック包装の切り餅において、
    該長方形の平板方形体を形成する上面と下面の中央部に、餅体の体積を20〜30%減少させる肉盗み凹部を設け、該肉盗み凹部の形状は、長辺方向ならびに短辺方向に対して其々対称形であることを特徴とする切り餅。
  2. 前記長方形の平板方形体を形成する上面と下面に、長辺を等分割すると共に短辺に対して平行である筋目を、切り込み深さ1mm以下において少なくても二以上設けたことを特徴とする請求項1記載の切り餅。
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