しかしながら、従来の第1の記録パワー決定方法および従来の第2の記録パワー決定方法のいずれによっても、適切な記録パワーを決定できない。
記録パワー決定部708が、従来の第1の記録パワー決定方法に従って記録パワーを決定する場合、例えば、光ディスク601と光ヘッド702との間に相対的にチルトが発生
していると、適切な記録パワーを決定できない。以下、図23を参照して、チルトが発生している場合の記録パワーについて説明する。
図23は、記録パワーと変調度との関係を示すグラフである。図23のグラフにおいて、記録時および記録されたデータを読み出した時の両方でチルトが発生していなかった場合の結果を実線1101で示し、記録時にチルトが発生していたが、読み出し時にチルトが発生していなかった場合の結果を実線1102で示し、記録時および読み出し時の両方でチルトが発生していた場合の結果を実線1103で示している。チルトが発生していた場合の変調度は、チルトが発生していなかった場合の変調度よりも小さくなっている。読み出し時にチルトが発生していなかったが、記録時にチルトが発生していた場合、8つの記録パワーのうち最も記録パワーの低い記録パワーHの変調度は測定不能である。同様に、記録時および読み出し時の両方でチルトが発生していた場合も、記録パワーHの変調度は測定不能である。
テストデータの記録およびテストデータの読み出しは、ユーザデータを記録する前に行われ、テストデータを記録した後すぐに記録されたテストデータは読み出される。したがって、相対的なチルトが発生した状態でテストデータを記録し、テストデータを読み出すと、図23において実線1103で示すような結果が得られる。従来の第1の記録パワー決定方法に従って記録パワーを決定する場合、記録パワー決定部708は、変調度M0に対応する記録パワーP1103を選択する。この結果には、テストデータ記録時におけるチルトの影響に加えて、テストデータを読み出した時(以下、テストデータ読み出し時と称する)におけるチルトの影響も加わっている。
しかしながら、テストデータ記録時にチルトが発生している場合は、ユーザデータを記録する時にもチルトが発生すると考えられるが、このユーザデータを読み出すときにチルトが発生しているとは限らない。ユーザデータは、記録した後、すぐに読み出されることはほとんどなく、多くの場合、ユーザデータは、別の光ディスク装置または光ディスクが再装填された光ディスク装置において読み出され、ユーザデータを読み出すときにはチルトは発生していない。したがって、記録パワーを決定する際には、テストデータ読み出し時のチルトの影響を考慮することなく、テストデータ記録時のチルトの影響のみを考慮すればよい。したがって、相対的なチルトが発生しているときに選択されるべき記録パワーは、記録パワーP1103ではなく、図23に示された記録パワーP1102である。従来の第1の記録パワー決定方法に従って記録パワーを決定する場合、記録パワー決定部708は、記録パワーP1102よりも大きな記録パワーP1103を選択するため、光ヘッド702は、不必要に大きな記録パワーでデータを記録する。したがって、従来の第1の記録パワー決定方法では、記録を繰り返すことによって光ディスク601は早く劣化することになる。
また、記録パワー決定部708が、従来の第2の記録パワー決定方法に従って記録パワーを決定する場合、図24に示すように、8つのテスト記録パワーのうちテスト記録パワーの大きい4つのテスト記録パワーを選択し、この4つのテスト記録パワーについて、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーとの積)との相関関係を示す近似直線を作成すると、近似直線において積が0となる記録パワーは、記録パワーPthr1となる。一方、8つのテスト記録パワーのうちテスト記録パワーの小さい4つのテスト記録パワーを選択し、この4つのテスト記録パワーについて、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーとの積)との相関関係を示す近似直線を作成すると、近似直線において積が0となる記録パワーは、記録パワーPthr2となる。
図24から明らかであるように、テスト記録パワーに応じて、近似直線において積が0となる記録パワーは大きく異なる。すなわち、従来の第2の記録パワー決定方法に従って記録パワーを決定する場合、どのテスト記録パワーでテストデータを記録するか、および、どのテスト記録パワーの結果を用いて記録パワーを決定するかに応じて、決定される記録パワーが大きく異なることになる。したがって、従来の第2の記録パワー決定方法に従う場合、記録パワー決定部708は適切な記録パワーを一義的に決定することができない。また、記録パワー決定部708が適切な記録パワーよりも大きな記録パワーを決定する場合、光ディスクは早く劣化することになり、一方、記録パワー決定部708が適切な記録パワーよりも小さな記録パワーを決定する場合、光ディスクにデータを適切に記録することができない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、適切な記録パワーを決定する記録パワー決定方法および記録パワー決定装置を提供することを目的とする。
情報記録媒体にデータを記録する際の光ビームの記録パワーを決定する本発明の記録パワー決定方法は、複数のテスト記録パワーで前記情報記録媒体にテストデータをそれぞれ記録する工程と、各テスト記録パワーで記録されたテストデータをそれぞれ読み出して、信号を生成し、各テスト記録パワーに対応する前記信号の変調度をそれぞれ測定する工程と、各テスト記録パワーのn乗(べき指数nは1以外の実数)と、対応する変調度との積を、各テスト記録パワーについてそれぞれ計算することによって、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得る工程と、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係に基づいて第1の記録パワーを計算する工程と、前記第1の記録パワーに基づいて前記記録パワーを計算する工程とを包含する。
ある実施形態において、前記第1の記録パワーを計算する工程は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算する工程を含む。
ある実施形態において、前記複数の積を得る工程において、前記べき指数nの値は2である。
ある実施形態において、前記記録パワー決定方法は、前記情報記録媒体に記録された値を読み出す工程をさらに包含し、前記情報記録媒体には、Pindの値とρの値とκの値とが記録されており、前記読み出す工程は、前記Pindの値と前記ρの値と前記κの値とを読み出す工程を含み、前記記録する工程は、前記複数のテスト記録パワーの範囲を前記Pindの値の0.9倍から1.1倍に設定する工程を含み、前記第1の記録パワーを計算する工程は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算する工程を含み、前記記録パワーを計算する工程は、前記第1の記録パワーと(−1/(κの値)+2)と(ρの値)との積を計算する工程を含む。
ある実施形態において、前記記録パワー決定方法は、前記情報記録媒体に記録された値を読み出す工程をさらに包含し、前記情報記録媒体には、前記べき指数nの値が記録されており、前記情報記録媒体に記録された値を読み出す工程は、前記べき指数nの値を読み出す工程を含み、前記複数の積を得る工程は、前記読み出したべき指数nの値を用いる工程を含む。
ある実施形態において、前記テストデータを記録する工程は、前記変調度を測定する工程において生成される前記信号が、複数の単一周期の信号を含むように前記テストデータを記録する工程を含む。
ある実施形態において、前記情報記録媒体には、変調された光ビームによって、複数のマークと複数のスペースとが形成され、前記テストデータを記録する工程は、前記変調度を測定する工程において生成される前記信号の振幅が、前記情報記録媒体に形成されるマークうちの最も長いマークの振幅とほぼ同じになるように複数のマークを形成する工程を含む。
ある実施形態において、前記情報記録媒体には、複数のトラックが同心円状またはスパイラル状に形成されている。
ある実施形態において、前記複数の積を得る工程は、前記べき指数nが複数の値であり、前記複数の値のそれぞれについて、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得る工程を含み、前記記録パワー決定方法は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係の直線性を、複数の値のそれぞれについて計算することによって、前記複数の値に対応する複数の直線性を計算し、前記複数の値のうち直線性の最も高い値を決定する工程をさらに包含し、前記第1の記録パワーを計算する工程は、前記複数の値のうち直線性の最も高い値についての前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を用いて、前記第1の記録パワーを計算する工程を含む。
ある実施形態において、前記複数の値は、第1の値と第2の値とを含み、前記第1の値は2であり、前記第2の値は3である。
ある実施形態において、前記記録パワー決定方法は、前記情報記録媒体に記録された値を読み出す工程をさらに包含し、前記情報記録媒体には、Pindの値とρの値とκの値とが記録されており、前記読み出す工程は、前記Pindの値と前記ρの値と前記κの値とを読み出す工程を含み、前記記録する工程は、前記複数のテスト記録パワーの範囲を前記Pindの値の0.9倍から1.1倍に設定する工程を含み、前記第1の記録パワーを計算する工程は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算する工程を含む。
ある実施形態において、前記記録パワーを計算する工程は、前記べき指数nの値が2の場合の直線性が前記べき指数nの値が3の場合の直線性よりも高い場合、前記第1の記録パワーと(−1/(κの値)+2)と(ρの値)との積を計算し、前記べき指数nの値が3の場合の直線性が前記べき指数nの値が2の場合の直線性よりも高い場合、前記第1の記録パワーと(3×(κの値)−2)/(2×(κの値)−1)と(ρの値)との積を計算する工程を含む。
ある実施形態において、前記複数の値は、第1の値と第2の値とを含み、前記複数の値のうち直線性の最も高い値を決定する工程は、前記第1の値について、前記複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、前記選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第1のテスト記録パワー群を設定する工程と、前記第1のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、前記第1のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第1の直線を作成し、前記第1の直線の第1の傾きを計算する工程と、前記第1の値について、前記第1のテスト記録パワー群のテスト記録パワーと完全に同一にならないように、前記複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、前記選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第2のテスト記録パワー群を設定する工程と、前記第2のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、前記第2のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第2の直線を作成し、前記第2の直線の第2の傾きを計算する工程と、前記第1の傾きおよび前記第2の傾きに基づいて、前記第1の値に対応する第1の比を得る工程と、前記第2の値について、前記複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、前記選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第3のテスト記録パワー群を設定する工程と、前記第3のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、前記第3のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第3の直線を作成し、前記第3の直線の第3の傾きを計算する工程と、前記第2の値について、前記第3のテスト記録パワー群のテスト記録パワーと完全に同一にならないように、前記複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、前記選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第4のテスト記録パワー群を設定する工程と、前記第4のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、前記第4のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第4の直線を作成し、前記第4の直線の第4の傾きを計算する工程と、前記第3の傾きおよび前記第4の傾きに基づいて、前記第2の値に対応する第2の比を得る工程と、前記第1の比と前記第2の比とを比較する工程とを含む。
ある実施形態において、前記第1のテスト記録パワー群を設定する工程は、前記複数のテスト記録パワーのうち最も大きい2つの記録パワーを選択する工程を含み、前記第2のテスト記録パワー群を設定する工程は、前記複数のテスト記録パワーのうち最も小さい2つの記録パワーを選択する工程を含み、前記第3のテスト記録パワー群を設定する工程は、前記複数のテスト記録パワーのうち最も大きい2つの記録パワーを選択する工程を含み、前記第4のテスト記録パワー群を設定する工程は、前記複数のテスト記録パワーのうち最も小さい2つの記録パワーを選択する工程を含む。
ある実施形態において、前記第1の値について、前記複数のテスト記録パワーの全ての平均を示す第1の平均パワーを計算する工程と、前記第2の値について、前記複数のテスト記録パワーの全ての平均を示す第2の平均パワーを計算する工程とをさらに含み、前記第1のテスト記録パワー群を設定する工程は、前記第1のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーの平均が、前記第1の平均パワーよりも大きくなるように、前記複数のテスト記録パワーのうちから前記第1のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーを選択する工程を含み、前記第2のテスト記録パワー群を設定する工程は、前記第2のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーの平均が、前記第1の平均パワーよりも小さくなるように、前記複数のテスト記録パワーのうちから前記第2のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーを選択する工程を含み、前記第3のテスト記録パワー群を設定する工程は、前記第3のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーの平均が、前記第2の平均パワーよりも大きくなるように、前記複数のテスト記録パワーのうちから前記第3のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーを選択する工程を含み、前記第4のテスト記録パワー群を設定する工程は、前記第4のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーの平均が、前記第2の平均パワーよりも小さくなるように、前記複数のテスト記録パワーのうちから前記第4のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーを選択する工程を含む。
ある実施形態において、前記複数の値のうち前記直線性の最も高い値を前記情報記録媒体に記録する工程をさらに包含する。
ある実施形態において、前記情報記録媒体には、前記情報記録媒体を識別するための識別情報が記録されており、前記記録パワー決定方法は、前記識別情報と、前記識別情報に対応する前記複数の値のうち直線性の最も高い値とを識別情報格納部に格納する工程をさらに包含する。
ある実施形態において、前記記録パワー決定方法は、前記情報記録媒体に記録された識別情報を読み出す工程をさらに包含し、前記複数の積を得る工程は、前記読み出した識別情報が前記識別情報格納部に格納された識別情報と同一か否かを判定し、前記読み出した識別情報が前記識別情報格納部に格納された識別情報と同一と判定された場合、前記識別情報格納部に格納された前記識別情報に対応する値を用いる工程を含む。
ある実施形態において、前記識別情報は、前記情報記録媒体の製造業者またはロットを示すデータを含む。
本発明のプログラムは、上記の記録パワー決定方法の各工程を情報記録装置に実行させる。
記録部が情報記録媒体にデータを記録する際の光ビームの記録パワーを決定する本発明の記録パワー決定装置は、複数のテスト記録パワーに対応する複数の変調度を示す信号が入力される入力部と、各テスト記録パワーのn乗(べき指数nは1以外の実数)と、対応する変調度との積を、各テスト記録パワーについてそれぞれ計算することによって、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得て、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係に基づいて第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーに基づいて前記記録パワーを計算する計算部と、前記計算部によって計算された記録パワーを示す信号を前記記録部に出力する出力部とを備える。
ある実施形態において、前記計算部は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算する。
ある実施形態において、前記べき指数nの値は2である。
ある実施形態において、前記入力部には、Pindの値と、ρの値と、κの値とを示す信号が入力され、前記出力部は、前記Pindの値の0.9倍から1.1倍の範囲内のテスト記録パワーを示す信号を前記記録部に出力し、前記計算部は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと(−1/(κの値)+2)と(ρの値)との積を計算することによって、前記記録パワーを計算する。
ある実施形態において、前記入力部には、前記べき指数nの値を示す信号が入力され、前記計算部は、前記べき指数nの値を用いる。
ある実施形態において、前記計算部は、前記べき指数nが複数の値であり、前記複数の値のそれぞれについて、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得て、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係の直線性を、複数の値のそれぞれについて計算することによって、前記複数の値に対応する複数の直線性を計算し、前記複数の値のうち直線性の最も高い値を決定し、前記複数の直線性のうち最も高い直線性に対応する値についての前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を用いて、前記第1の記録パワーを計算する。
ある実施形態において、前記複数の値は、第1の値と第2の値とを含み、前記第1の値は2であり、前記第2の値は3である。
ある実施形態において、前記入力部には、Pindの値とρの値とκの値とを示す信号が入力され、前記出力部は、前記Pindの値の0.9倍から1.1倍の範囲内のテスト記録パワーを示す信号を前記記録部に出力し、前記計算部は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係に基づいて近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算する。
ある実施形態において、前記計算部は、前記べき指数nの値が2の場合の直線性が前記べき指数nの値が3の場合の直線性よりも高い場合、前記第1の記録パワーと(−1/(κの値)+2)と(ρの値)との積を計算し、前記べき指数nの値が3の場合の直線性が前記べき指数nの値が2の場合の直線性よりも高い場合、前記第1の記録パワーと(3×(κの値)−2)/(2×(κの値)−1)と(ρの値)との積を計算する。
ある実施形態において、前記複数の値は、第1の値と第2の値とを含み、前記計算部は、前記第1の値について、前記複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、前記選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第1のテスト記録パワー群を設定し、前記第1のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、前記第1のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第1の直線を作成し、前記第1の直線の第1の傾きを計算し、前記第1の値について、前記第1のテスト記録パワー群のテスト記録パワーと完全に同一にならないように、前記複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、前記選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第2のテスト記録パワー群を設定し、前記第2のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、前記第2のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第2の直線を作成し、前記第2の直線の第2の傾きを計算し、前記第1の傾きおよび前記第2の傾きに基づいて、前記第1の値に対応する第1の比を得て、前記第2の値について、前記複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、前記選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第3のテスト記録パワー群を設定し、前記第3のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、前記第3のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第3の直線を作成し、前記第3の直線の第3の傾きを計算し、前記第2の値について、前記第3のテスト記録パワー群のテスト記録パワーと完全に同一にならないように、前記複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、前記選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第4のテスト記録パワー群を設定し、前記第4のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、前記第4のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第4の直線を作成し、前記第4の直線の第4の傾きを計算し、前記第3の傾きおよび前記第4の傾きに基づいて、前記第2の値に対応する第2の比を得て、前記第1の比と前記第2の比とを比較することによって、前記第1の値および前記第2の値のうち直線性の高い値を決定する。
ある実施形態において、前記計算部は、前記第1のテスト記録パワー群を設定するときに、前記複数のテスト記録パワーのうち最も大きい2つの記録パワーを選択し、前記第2のテスト記録パワー群を設定するときに、前記複数のテスト記録パワーのうち最も小さい2つの記録パワーを選択し、前記第3のテスト記録パワー群を設定するときに、前記複数のテスト記録パワーのうち最も大きい2つの記録パワーを選択し、前記第4のテスト記録パワー群を設定するときに、前記複数のテスト記録パワーのうち最も小さい2つの記録パワーを選択する。
ある実施形態において、前記計算部は、前記第1の値について、前記複数のテスト記録パワーの全ての平均を示す第1の平均パワーを計算し、前記第2の値について、前記複数のテスト記録パワーの全ての平均を示す第2の平均パワーを計算し、前記第1のテスト記録パワー群を設定するときに、前記第1のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーの平均が、前記第1の平均パワーよりも大きくなるように、前記複数のテスト記録パワーのうちから前記第1のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーを選択し、前記第2のテスト記録パワー群を設定するときに、前記第2のテスト記録パワー群に属するテスト
記録パワーの平均が、前記第1の平均パワーよりも小さくなるように、前記複数のテスト記録パワーのうちから前記第2のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーを選択し、前記第3のテスト記録パワー群を設定するときに、前記第3のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーの平均が、前記第2の平均パワーよりも大きくなるように、前記複数のテスト記録パワーのうちから前記第3のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーを選択し、前記第4のテスト記録パワー群を設定するときに、前記第4のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーの平均が、前記第2の平均パワーよりも小さくなるように、前記複数のテスト記録パワーのうちから前記第4のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーを選択する。
ある実施形態において、前記出力部は、前記記録部が前記複数の値のうち前記直線性の最も高い値を前記情報記録媒体に記録するように前記記録部に信号を出力する。
本発明の情報記録装置は、光ビームを用いて情報記録媒体にデータを記録する記録部と、前記情報記録媒体に記録されたデータを読み出す読み出し部と、前記記録部が前記情報記録媒体にデータを記録する際の前記光ビームの記録パワーを決定する記録パワー決定装置とを備え、前記記録部は、複数のテスト記録パワーで前記情報記録媒体にテストデータを記録し、前記読み出し部は、各テスト記録パワーで前記情報記録媒体に記録されたテストデータをそれぞれ読み出して、信号を生成し、各テスト記録パワーに対応する前記信号の変調度をそれぞれ測定し、前記記録パワー決定装置は、各テスト記録パワーのn乗(べき指数nは1以外の実数)と、対応する変調度との積を、各テスト記録パワーについてそれぞれ計算することによって、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得て、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係に基づいて第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーに基づいて前記記録パワーを計算する。
ある実施形態において、前記べき指数nの値は2であり、前記情報記録媒体には、Pindの値とρの値とκの値とが記録されており、前記読み出し部は、前記Pindの値と前記ρの値と前記κの値とを読み出し、前記記録パワー決定装置は、前記複数のテスト記録パワーの範囲を前記Pindの値の0.9倍から1.1倍に決定し、前記記録パワー決定装置は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと(−1/(κの値)+2)と(ρの値)との積を計算する。
ある実施形態において、前記記録部は、前記読み出し部によって生成される前記信号が、複数の単一周期の信号を含むように前記テストデータを記録する。
ある実施形態において、前記記録部は、変調された光ビームによって、前記情報記録媒体に複数のマークと複数のスペースとを形成し、前記記録部は、前記読み出し部によって生成される前記信号の振幅が、前記情報記録媒体に形成されるマークうちの最も長いマークの振幅とほぼ同じになるように複数のマークを形成する。
ある実施形態において、前記記録パワー決定装置は、前記べき指数nが複数の値であり、前記複数の値のそれぞれについて、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得て、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係の直線性を、複数の値のそれぞれについて計算することによって、前記複数の値に対応する複数の直線性を計算し、前記複数の値のうち直線性の最も高い値を決定し、前記記録部は、前記複数の値のうち、前記直線性の最も高い値を前記情報記録媒体に記録する。
ある実施形態において、前記記録パワー決定装置は、直線性の最も高い値を記憶するメモリを含む。
ある実施形態において、前記情報記録媒体には、前記情報記録媒体を識別するための識別情報が記録されており、前記読み出し部は、前記識別情報を読み出し、前記メモリには、前記識別情報と、前記識別情報に対応する前記複数の値のうち直線性の最も高い値とを識別情報格納部に格納するための識別情報格納部が設けられ、前記識別情報と、前記識別情報に対応する前記複数の値のうち直線性の最も高い値とが、識別情報格納部に格納され、前記記録パワー決定装置は、前記情報記録媒体に記録された識別情報を読み出し、前記読み出した識別情報が前記識別情報格納部に格納された識別情報と同一か否かを判定し、前記読み出した識別情報が前記識別情報格納部に格納された識別情報と同一と判定された場合、前記識別情報格納部に格納された前記識別情報に対応する値を用いる。
ある実施形態において、前記識別情報は、前記情報記録媒体の製造業者またはロットを示すデータを含む。
本発明の情報記録媒体は、複数のテスト記録パワーのうちの各テスト記録パワーのn乗(べき指数nは1以外の実数)と、対応する変調度との積を、各テスト記録パワーについてそれぞれ計算することによって、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得て、前記複数のテスト記録パワーと前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積とに基づいて、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係の直線性を、べき指数nの複数の値について得て、前記複数の直線性のうち最も高い直線性に対応するべき指数nの値を格納するための領域を有する。
情報記録媒体にデータを記録する際の光ビームの記録パワーを決定する本発明の記録パワー決定方法は、前記情報記録媒体には、Mindの値とρの値とが記録されており、前記情報記録媒体に記録された値を読み出す工程であって、前記Mindの値および前記ρの値を読み出す工程を含む、工程と、複数のテスト記録パワーで前記情報記録媒体にテストデータを記録した後、各テスト記録パワーで記録されたテストデータをそれぞれ読み出して、信号を生成し、各テスト記録パワーに対応する前記信号の複数の変調度のそれぞれを測定して、前記複数の変調度のうち最も大きい変調度が前記Mindの値よりも大きく、前記複数の変調度のうち最も小さい変調度が前記Mindの値よりも小さいことを確認する工程と、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の変調度とに基づいて第1の記録パワーを計算する工程と、前記第1の記録パワーと前記ρの値とに基づいて前記記録パワーを計算する工程とを包含する。
ある実施形態において、前記確認する工程は、前記複数の変調度のうち最も大きい変調度が前記Mindの値よりも小さいか否かを判定し、前記複数の変調度のうち最も大きい変調度が前記Mindの値よりも小さいと判定された場合、前記Mindの値よりも大きな変調度が測定されるまで、より大きな複数のテスト記録パワーで記録を繰り返す工程と、前記複数の変調度のうち最も小さい変調度が前記Mindの値よりも大きいか否かを判定し、前記複数の変調度のうち最も小さい変調度が前記Mindの値よりも大きいと判定された場合、前記Mindの値よりも小さな変調度が測定されるまで、より小さな複数のテスト記録パワーで記録を繰り返す工程と、を含む。
ある実施形態において、前記第1の記録パワーを計算する工程は、各テスト記録パワーのn乗(べき指数nは実数)と、対応する変調度との積を、各テスト記録パワーについてそれぞれ計算することによって、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得る工程と、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係に基づいて第1の記録パワーを計算する工程とを含む。
ある実施形態において、前記第1の記録パワーを計算する工程は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算する工程を含む。
ある実施形態において、前記べき指数nの値は1である。
ある実施形態において、前記情報記録媒体には、Pindの値およびκの値が記録されており、前記読み出す工程は、前記Pindの値および前記κの値を読み出す工程を含み、前記確認する工程は、前記複数のテスト記録パワーの範囲を前記Pindの値の0.9倍から1.1倍に設定する工程を含み、前記第1の記録パワーを計算する工程は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算する工程を含み、前記記録パワーを計算する工程は、前記第1の記録パワーと(κの値)と(ρの値)との積を計算する工程を含む。
ある実施形態において、前記べき指数nの値は2である。
ある実施形態において、前記情報記録媒体には、Pindの値およびκの値が記録されており、前記読み出す工程は、前記Pindの値および前記κの値を読み出す工程を含み、前記確認する工程は、前記複数のテスト記録パワーの範囲を前記Pindの値の0.9倍から1.1倍に設定する工程を含み、前記第1の記録パワーを計算する工程は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算する工程を含み、前記記録パワーを計算する工程は、前記第1の記録パワーと(−1/(κの値)+2)と(ρの値)との積を計算する工程を含む。
ある実施形態において、前記確認する工程は、前記変調度が前記Mindの値となる所定の記録パワーを計算する工程と、前記複数のテスト記録パワーのうち最も小さいテスト記録パワーが前記所定の記録パワーの0.9倍よりも大きくなるように前記複数のテスト記録パワーの範囲を設定する工程とを含む。
ある実施形態において、前記確認する工程は、前記変調度が前記Mindの値となる所定の記録パワーを計算する工程と、前記複数のテスト記録パワーのうち最も大きいテスト記録パワーが前記所定の記録パワーの1.1倍よりも小さくなるように前記複数のテスト記録パワーの範囲を設定する工程とを含む。
ある実施形態において、前記確認する工程は、前記生成する信号が複数の単一周期の信号を含むように前記テストデータを記録する工程を含む。
ある実施形態において、前記情報記録媒体には、変調された光ビームによって、複数のマークと複数のスペースとが形成され、前記確認する工程は、前記生成する信号の振幅が、前記情報記録媒体に形成されるマークうちの最も長いマークの振幅とほぼ同じになるように複数のマークを形成する工程を含む。
ある実施形態において、前記情報記録媒体には、複数のトラックが同心円状あるいはスパイラル状に形成されている。
本発明のプログラムは、上記の記録パワー決定方法の各工程を情報記録装置に実行させる。
記録部が情報記録媒体にデータを記録する際の光ビームの記録パワーを決定する本発明の記録パワー決定装置は、複数のテスト記録パワーに対応する複数の変調度と、Mindの値と、ρの値とを示す信号が入力される入力部と、前記複数の変調度のうち最も大きい変調度が前記Mindの値よりも大きく、前記複数の変調度のうち最も小さい変調度が前記Mindの値よりも小さいことを確認し、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の変調度とに基づいて第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと前記ρの値とに基づいて前記記録パワーを計算する計算部と、前記計算部によって計算された記録パワーを示す信号を記録部に出力する出力部とを備える。
ある実施形態において、前記計算部は、各テスト記録パワーのn乗(べき指数nは実数)と、対応する変調度との積を、各テスト記録パワーについてそれぞれ計算することによって、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得て、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係に基づいて第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと前記ρの値との積を計算する。
ある実施形態において、前記計算部は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算する。
ある実施形態において、前記べき指数nの値は1であり、前記入力部に、Pindの値と、κの値とが入力され、前記出力部は、前記Pindの値の0.9倍から1.1倍の範囲内のテスト記録パワーを示す信号を前記記録部に出力し、前記計算部は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと(κの値)と(ρの値)との積を計算する。
ある実施形態において、前記べき指数nの値は2であり、前記入力部に、Pindの値およびκの値が入力され、前記出力部は、前記Pindの値の0.9倍から1.1倍の範囲内のテスト記録パワーを示す信号を前記記録部に出力し、前記計算部は、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと(−1/(κの値)+2)と(ρの値)との積を計算する。
ある実施形態において、前記計算部は、前記変調度が前記Mindの値となる所定の記録パワーを計算し、前記複数のテスト記録パワーの最小値が前記所定の記録パワーの0.9倍よりも大きくなるように前記複数のテスト記録パワーを設定し、前記出力部は、前記設定された複数のテスト記録パワー示す信号を前記記録部に出力する。
ある実施形態において、前記計算部は、前記変調度が前記Mindの値となる所定の記録パワーを計算し、前記複数のテスト記録パワーの最大値が前記所定の記録パワーの1.1倍よりも小さくなるように前記複数のテスト記録パワーを設定し、前記出力部は、前記設定された複数のテスト記録パワーを示す信号を前記記録部に出力する。
本発明の情報記録装置は、光ビームを用いて情報記録媒体にデータを記録する記録部と、前記情報記録媒体に記録されたデータを読み出す読み出し部と、前記記録部が前記情報記録媒体にデータを記録する際の前記光ビームの記録パワーを決定する記録パワー決定装置とを備え、前記情報記録媒体には、Mindの値とρの値とが記録されており、前記読み出し部は、前記Mindの値および前記ρの値を読み出し、前記記録部は、複数のテスト記録パワーで前記情報記録媒体にテストデータを記録し、前記読み出し部は、各テスト記録パワーで前記情報記録媒体に記録されたテストデータをそれぞれ読み出して、信号を生成し、前記複数のテスト記録パワーのそれぞれに対応する前記信号の複数の変調度を測定し、前記記録パワー決定装置は、前記複数の変調度のうち最も大きい変調度が前記Mindの値よりも大きく、前記複数の変調度のうち最も小さい変調度が前記Mindの値よりも小さいことを確認し、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の変調度とに基づいて第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと前記ρの値とに基づいて前記記録パワーを計算する。
ある実施形態において、前記記録パワー決定装置は、前記複数の変調度のうち最も大きい変調度が前記Mindの値よりも小さいか否かを判定し、前記記録パワー決定装置が前記複数の変調度のうち最も大きい変調度が前記Mindの値よりも小さいと判定した場合、前記読み出し部が前記Mindの値よりも大きな変調度を測定するまで、前記記録パワー決定装置は、より大きな複数のテスト記録パワーを決定し、前記記録パワー決定装置は、前記複数の変調度のうち最も小さい変調度が前記Mindの値よりも大きいか否かを判定し、前記記録パワー決定装置が、前記複数の変調度のうち最も小さい変調度が前記Mindの値よりも大きいと判定した場合、前記読み出し部が前記Mindの値よりも小さな変調度を測定するまで、前記記録パワー決定装置は、より小さな複数のテスト記録パワーを決定する。
ある実施形態において、前記記録パワー決定装置は、各テスト記録パワーのn乗(べき指数nは実数)と、対応する変調度との積を、各テスト記録パワー対してそれぞれ計算することによって、前記複数のテスト記録パワーに対応する複数の積を得て、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係に基づいて第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと前記ρの値との積を計算する。
ある実施形態において、前記べき指数nの値は1であり、前記情報記録媒体には、Pindの値およびκの値が記録されており、前記読み出し部は、前記Pindの値および前記κの値を読み出し、前記記録パワー決定装置は、前記複数のテスト記録パワーの範囲を前記Pindの値の0.9倍から1.1倍に決定し、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと(κの値)と(ρの値)との積を計算する。
ある実施形態において、前記べき指数nの値は2であり、前記情報記録媒体には、Pindの値およびκの値が記録されており、前記読み出し部は、前記Pindの値と前記κの値とを読み出し、前記記録パワー決定装置は、前記複数のテスト記録パワーの範囲を前記Pindの値の0.9倍から1.1倍に決定し、前記複数のテスト記録パワーと前記複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、前記近似直線において前記積が0となる前記第1の記録パワーを計算し、前記第1の記録パワーと(−1/(κの値)+2)と(ρの値)との積を計算する。
ある実施形態において、前記記録パワー決定装置は、前記変調度が前記Mindの値となる所定の記録パワーを計算し、前記複数のテスト記録パワーのうち最も小さいテスト記録パワーが前記所定の記録パワーの0.9倍よりも大きくなるように前記複数のテスト記録パワーの範囲を決定する。
ある実施形態において、前記記録パワー決定装置は、前記変調度が前記Mindの値となる所定の記録パワーを計算し、前記複数のテスト記録パワーのうち最も大きいテスト記録パワーが前記所定の記録パワーの1.1倍よりも小さくなるように前記複数のテスト記録パワーの範囲を決定する。
ある実施形態において、前記記録部は、前記読み出し部によって生成される前記信号が、複数の単一周期の信号を含むように前記テストデータを記録する。
ある実施形態において、前記記録部は、変調された光ビームによって、前記情報記録媒体に複数のマークと複数のスペースとを形成し、前記記録部は、前記読み出し部によって生成される前記信号の振幅が、前記情報記録媒体に形成されるマークうちの最も長いマークの振幅とほぼ同じになるように複数のマークを形成する。
本発明の記録パワー決定方法および記録パワー決定装置によれば、適切な記録パワーを決定することができ、それにより、データを適切に記録することができる。また、情報記録媒体が早く劣化することを防ぐことができる。
また、本発明のプログラムによれば、適切な記録パワーを決定することができ、それにより、データを適切に記録することができる。また、情報記録媒体が早く劣化することを防ぐことができる。
また、本発明の情報記録装置によれば、適切な記録パワーを決定することができ、それにより、データを適切に記録することができる。また、情報記録媒体が早く劣化することを防ぐことができる。
また、本発明の情報記録媒体によれば、情報記録媒体に記録されたべき指数の複数の値のうち直線性の最も高い値を読み出し、その値を用いることによって、直線性の比較を行うことなく、適切な記録パワーを速やかに決定することができる。
(実施形態1)
以下に、図1〜図11を参照して、本発明による記録パワー決定方法および記録パワー決定装置の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態における光ディスク101を示す模式図である。光ディスク101にはトラック301がスパイラル状に形成されており、記録パワーが変調された光ビームがトラック301に照射されることにより、トラック301に複数のマークおよび複数のスペースが形成され、これにより、データの記録が行われる。光ディスク101には、ユーザがデータを記録するときに用いられるユーザデータ領域と、光ビームの記録パワーを決定するときに用いられる記録パワー決定領域とが設けられている。記録パワー決定領域は、ユーザデータ領域以外の領域(具体的には、光ディスク101の最内周領域または最外周領域)に設けられている。
図2は、本実施形態の記録パワー決定装置108を備えた光ディスク装置100を示す模式図である。光ディスク装置100は、光ビームを用いて光ディスク101にデータを記録する記録部210と、光ディスク101に記録されたデータを読み出す読み出し部220と、記録部210が光ディスク101にデータを記録する際の光ビームの記録パワーを決定する記録パワー決定装置108と、復調・ECC(Error Corecting Code)回路106とを備える。記録部210は、光ヘッド102と、記録パワー設定部110と、レーザ駆動回路112と、記録データ生成部114とを備える。読み出し部220は、光ヘッド102と、再生部104とを備える。
光ディスク101が光ディスク装置100に装填されると、光ディスク101のタイプ
が識別され、光ディスク101は回転される。光ヘッド102は半導体レーザ(図示せず)を有しており、光ディスク101が回転しているとき、光ヘッド102の半導体レーザから出射される光ビームによって、光ディスク101は照射される。
光ディスク101にデータを記録するとき、光ヘッド102は所定の記録パワーを有する光ビームで光ディスク101を照射して、光ディスク101にマークを形成する。ここでは、Run Length Limited(1,7)変調方式のデータをマークエッジ記録方式で記録する。この場合、光ディスク101には、最短の2Tから最長の8Tまでの基準周期T毎に7種類のマークおよびスペースが形成される。
また、光ディスク101からデータを読み出すとき、光ヘッド102は、記録パワーよりもパワーの小さい再生パワーの光ビームで光ディスク101を照射し、光ディスク101によって反射された光を受け取る。光ヘッド102は、受け取った光を光電変換することによって、光ディスク101に記録されたデータを示す信号を生成する。
図3は、二値化信号波形とマークを形成するためのパルス波形との関係を説明するための模式図である。図3には、2Tマークに対応する二値化信号波形および2Tマークを形成するためのパルス波形、3Tマークに対応する二値化信号波形および3Tマークを形成するためのパルス波形、ならびに、4Tマークに対応する二値化信号波形および4Tマークを形成するためのパルス波形を示している。
記録パワーのパラメータは、ピークパワー(Pp)、バイアスパワー(Pe)およびボトムパワー(Pbw)である。本実施形態では、ピークパワー、バイアスパワー、ボトムパワーの比は一定である。図3に示すように、Ppを示すパルスは、2Tマークに1つ、3Tマークに2つであり、マーク長がT長くなる毎に1つずつ増えている。
パルス波形の時間的なパラメータは、Ttop、dTtop、TmpおよびdTeである。図3において、Ttopは一番目のパルスがPpを示している時間を意味し、dTtopは二値化信号波形における立ち上がり時刻の1T後から、一番目のパルスの立ち上がり時刻までの時間を意味し、Tmpは一番目以外のパルスがPpを示している時間を意味し、dTeは二値化信号波形における立ち下がり時刻から、最後のパルスがPbwからPeに立ち上がる時刻までの時間を意味する。
本実施形態では、ピークパワー(Pp)、バイアスパワー(Pe)、ボトムパワー(Pbw)は全マーク(2T〜8T)に共通して同じである。また、Tmpも全マークに共通して同じである。Ttop、dTtop、dTeは、2T、3T、4T以上の3つに分類されて設定されている。
再び図2を参照する。図2に示した光ディスク装置100の再生部104は、光ヘッド102によって生成された信号の変調度を測定するとともに、光ヘッド102によって生成された信号をデジタル化する。復調・ECC回路106は、再生部104によってデジタル化された信号を復調し、エラー訂正する。記録パワー決定装置108は、再生部104によって測定された変調度に基づいてデータを記録する際の記録パワーを決定する。記録パワー設定部110は、記録パワー決定装置108によって決定された記録パワーをレーザ駆動回路112に設定する。記録データ生成部114は、光ディスク101に記録すべきデータを生成する。レーザ駆動回路112は、光ヘッド102が記録データ生成部114において生成されたデータを記録パワー設定部110によって設定された記録パワーで光ディスク101に記録するように、光ヘッド102を駆動する。
図4は、本実施形態の光ディスク装置100における再生部104を示す模式図である。図4に示すように、再生部104は、プリアンプ201と、サンプルホールド回路202と、AD変換器203と、演算器204と、二値化データ生成部205とを備える。
二値化データ生成部205は、光ヘッド102によって生成された信号をデジタル化して、デジタル化されたデータ(二値化データ)を生成し、二値化データを示す信号105を復調・ECC回路106および記録パワー決定部108に出力する。
プリアンプ201は、光ヘッド102によって生成された信号を増幅する。サンプルホールド回路202は、プリアンプ201によって増幅された信号をサンプリングして、信号のピーク値およびボトム値をホールドする。AD変換器203は、サンプルホールド回路202によってホールドされたピーク値およびボトム値をデジタル化する。演算器204は、デジタル化されたピーク値およびボトム値を演算して変調度を得て、変調度を示す信号107を記録パワー決定装置108に出力する。
図5は、本実施形態の記録パワー決定装置108を示す模式図である。図5に示すように、記録パワー決定装置108は、変調度を示す信号107が入力される入力部401と、記録部210が光ディスク101にデータを記録する際の光ビームの記録パワーを計算する計算部402と、記録部210の記録パワー設定部110に出力する出力部403と、メモリ404とを備える。
以下に、図6を参照して、本実施形態の記録パワー決定方法を説明する。
光ディスク101には、記録パワーの決定に用いられる定数パラメータが記録されている。図6のS12に示すように、光ヘッド102は、光ディスク101から読み出した定数パラメータ(以下、所定の値と称する)を示す信号103を生成し、信号103を再生部104に出力する。再生部104の二値化データ生成部205は、所定の値を示す信号103を二値化した信号105を生成し、信号105を記録パワー決定装置108に出力する。
図6のS14に示すように、複数のテスト記録パワーで光ディスク101にテストデータを記録する。このとき、記録パワー決定装置108は、予め決定された8つの異なるテスト記録パワーA〜Hを示す信号109を記録パワー設定部110に出力し、記録パワー設定部110は、テスト記録パワーA〜Hをレーザ駆動回路112に設定する。ここでは、テスト記録パワーAが最もテスト記録パワーが大きく、テスト記録パワーB〜Hの順にテスト記録パワーが小さくなっている。
記録データ生成部114は、テストデータを生成し、生成したテストデータを示す信号115をレーザ駆動回路112に出力する。レーザ駆動回路112は、光ヘッド102が光ディスク101の記録パワー決定領域において所定の位置からトラックのほぼ1周にわたって連続してテストデータを記録するように、光ヘッド102を駆動する。記録データ生成部114は、光ヘッド102によって光ディスク101に8Tマークおよび8Tスペースが連続して形成されるように、テストデータを生成している。光ディスク101には、光ディスク101のほぼ1周にわたって、テスト記録パワーA〜Hで繰り返し記録される。図7には、光ディスク101において、テスト記録パワーA〜Hに対応する領域をA〜Hで示している。このように、光ディスク101のほぼ1周にわたって記録を複数回繰り返していることにより、光ディスク101の周方向にチルトがばらつく影響を取り除くことができる。
再び図6を参照する。テストデータの記録が終了すると、図6のS16に示すように、光ヘッド102は、再生パワーで光ビームを光ディスク101に照射する。これにより、光ディスク101のトラックに記録されているテストデータが読み出され、信号が生成される。光ヘッド102によって生成された信号の振幅は、光ディスク101上にマークが形成されているか否かに応じて変化する。光ヘッド102によって生成された信号103は再生部104に入力される。
図3に示したように、再生部104において、プリアンプ201は信号103を増幅する。サンプルホールド回路202は、プリアンプ201によって増幅された信号のピーク値およびボトム値をホールドする。AD変換器203は、サンプルホールド回路202によってホールドされた信号のピーク値とボトム値をデジタル化する。演算器204は、デジタル化されたピーク値とボトム値とを演算して、信号の変調度を得る。テスト記録パワーA〜Hに応じて信号703の振幅は異なるので、テスト記録パワーA〜Hに応じて変調度は異なる。演算器204は、信号の変調度を示す信号107を生成し、信号107を記録パワー決定装置108に出力する。
図5に示したように、記録パワー決定装置108の入力部401には、テスト記録パワーA〜Hに対応する変調度を示す信号107が、再生部104の演算器204から入力される。
図6のS18に示すように、記録パワー決定装置108の計算部402は、テスト記録パワーAに対応する変調度とテスト記録パワーAの2乗との積を計算する。また、計算部402は、テスト記録パワーB〜Hのそれぞれに対して、テスト記録パワーに対応する変調度とテスト記録パワーの2乗との積を計算する。このようにして、計算部402は、テスト記録パワーA〜Hに対応する複数の積を得る。
次いで、図6のS20に示すように、計算部402は、複数のテスト記録パワーA〜Hと複数の積との相関関係に基づいて第1の記録パワーを計算する。具体的には、計算部402は、複数のテスト記録パワーと複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、近似直線において積が0となる記録パワーを上述した第1の記録パワーとする。以下に、図8を参照してこの詳細を説明する。
図8(a)は、テスト記録パワーとテスト記録パワーに対応する変調度との関係を示すグラフであり、図8(b)は、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)との関係を示すグラフである。図8(a)および図8(b)から明らかなように、テスト記録パワーと変調度との相関関係の直線性は低いのに対して、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)との相関関係の直線性は高く、図8(b)のグラフにおいて、テスト記録パワーA〜Hに対応する8つの点はほぼ直線状に並んでいる。
計算部402は、図8(b)のグラフに示された近似直線において変調度とテスト記録パワーの2乗との積が0となる記録パワーP500を計算する。
次いで、図6のS22に示すように、計算部402は、記録パワーP500に基づいて記録パワーを計算する。具体的には、計算部402は、記録パワーP500と光ディスク101に記録された所定の値とを演算することによって、記録パワーを計算する。
出力部403は、計算部402によって計算された記録パワーを示す信号109を記録パワー設定部110に出力する。
なお、プログラムを用いて、CPU(図示せず)が光ディスク装置100の各部を上述した手順で制御するように実行させてもよく、また、そのプログラムは、図示しないEEPROMやROM、RAM、ハードディスク、磁気記録媒体などのコンピータ読み取りが可能な記録媒体に記録しておいてもよい。
次に、図9を参照して、光ディスク101と光ヘッド102との間に相対的にチルトが発生している場合の記録パワーと変調度との関係を説明する。
図9(a)は、記録パワーと記録パワーに対応する変調度との関係を示すグラフであり、図23のグラフと同様のグラフである。図9(a)のグラフにおいて、記録時および記録されたデータを読み出した時の両方でチルトが発生していなかった場合の結果を実線1201Aで示し、記録時にチルトが発生していたが、読み出し時にチルトが発生していなかった場合の結果を実線1202Aで示し、記録時および読み出し時の両方でチルトが発生していた場合の結果を実線1203Aで示している。チルトが発生していた場合の変調度は、チルトが発生していなかった場合の変調度よりも小さくなっている。読み出し時にチルトが発生していなかったが、記録時にチルトが発生していた場合、8つの記録パワーのうち最も記録パワーの低いテスト記録パワーHの変調度は測定不能である。同様に、記録時および読み出し時の両方でチルトが発生していた場合も、テスト記録パワーHの変調度は測定不能である。
図9(b)は、図9(a)に示した記録パワーおよび変調度において、記録パワーと(変調度と記録パワーの2乗との積)との関係を示すグラフである。図9(b)のグラフにおいて、記録時および読み出し時の両方でチルトが発生していなかった場合の結果を実線1201Bで示し、記録時にチルトが発生していたが、読み出し時にチルトが発生していなかった場合の結果を実線1202Bで示し、記録時および読み出し時の両方でチルトが発生していた場合の結果を実線1203Bで示している。
上述したように、テストデータの記録およびテストデータの読み出しは、ユーザデータを記録する前に行われ、テストデータを記録した後すぐにテストデータは読み出される。したがって、相対的なチルトが発生した状態でテストデータを記録し、テストデータを読み出すと、実線1203Aおよび実線1203Bに示すような結果が得られる。
本実施形態によれば、記録パワー決定装置108は、図9(b)のグラフに示されるように、(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)が0となる記録パワーP1203を計算し、記録パワーP1203と光ディスク101に記録されている所定の値とに基づいて記録パワーを計算し、計算された記録パワーを示す信号109を記録パワー設定部110に出力する。
このとき、実線1203Bに示された結果には、記録時におけるチルトの影響に加えて、読み出し時におけるチルトの影響も加わっている。上述したように、記録パワーを決定する際には記録時におけるチルトの影響のみを考慮すればよいので、このときに選択されるべき記録パワーは本質的には記録パワーP1202であるが、図9(b)に示すように、本実施形態の記録パワー決定方法に従って選択された記録パワーP1203は、本来選択されるべき記録パワーP1202と実験的にほぼ等しいことが確認されている。
すなわち、(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)が0となる記録パワーは、光ディスク101にマークを形成するために必要な臨界的な記録パワーであり、この記録パワーより大きな記録パワーで記録する場合は、読み出し時におけるチルトの発生の有無にかかわらず、0でない変調度が測定されるので、(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)が0となる記録パワーは、読み出し時におけるチルトの発生にかかわらず、等しくなると考えられる。
以上のように、本実施形態によれば、光ディスクと光ヘッドとの間に相対的にチルトが発生している場合でも、適切な記録パワーを決定することができ、それにより、データを適切に記録することができる。また、本実施形態によれば、繰り返し記録を行ったときに光ディスクが早く劣化することを防ぐことができる。
さらに、本実施形態によれば、チルトに限定されず、記録時における変調度の劣化および再生時における変調度の劣化といった両方の劣化が生じるようなストレスに対して、適切な記録パワーを決定することができる。
また、本実施形態は、高密度に記録するために、より高精度に記録パワーを制御することが要求されるBD(Blu−ray Disc)規格に準拠した光ディスク装置において特に有効である。
BD規格に準拠した光ディスクを製造するディスクメーカーは、光ディスクを出荷する前に、光ディスクにデータを記録するときに推奨する記録パワーPwoを予め決定している。理想的な光ディスク装置が、この記録パワーPwoで理想的な光ディスクにデータを記録した後、データを読み出すと適切な変調度が測定されるようにこの記録パワーPwoは決められているが、光ディスクおよび光ディスク装置には個体差があるため、光ディスク装置が記録パワーPwoでデータを記録しても、読み出した際に適切な変調度が測定されないことがある。
したがって、光ディスク装置は、光ディスクにデータを記録する際に、複数のテスト記録パワーと変調度との関係を調べて、適切な記録パワーを決定する。ディスクメーカーは、適切な記録パワーを決定するときに用いられる定数パラメータを光ディスクに予め記録している。この定数パラメータは、Pind、ρ、κ、Mindである。詳細は後述するが、光ディスクにデータを記録するための適切な記録パワーは、記録パワーPwoよりも小さい記録パワーPindおよび記録パワーPindと変調度Mindとの関係を用いて決定される。記録パワーPwoを直接的に決定しようとすると、(1)記録パワーPwoの近傍では変調度が飽和してしまうので、図9を参照したようにチルトなどの外乱に伴う最適な記録パワーの変化を検出しにくい、(2)記録パワーの決定を繰り返すと、光ディスク101が劣化してしまうからである。
以下に、図10および図11を参照して、ディスクメーカーが推奨する記録パワーPwoと、Pind、ρ、κ、Mindとの関係について説明する。
ディスクメーカーは、記録パワーPwoを決定した後、続いて記録パワーPindを決定し、ρ=(記録パワーPwo)/(記録パワーPind)の関係から、ρを決定する。
ディスクメーカーは、図10に示すように、8Tマークを形成するように記録パワーPindで記録されたデータを読み出して、そのデータに対応する信号の変調度を、変調度Mindとする。
また、ディスクメーカーは、図11に示すように、8Tマークを形成するように、記録パワーPindの0.9倍から1.1倍の範囲内にある複数のテスト記録パワーで記録されたテストデータを読み出して、信号を生成し、信号の複数の変調度を測定する。複数の変調度は、複数のテスト記録パワーにそれぞれ対応している。
ディスクメーカーは、変調度とテスト記録パワーとの積を各テスト記録パワーについてそれぞれ計算して、複数のテスト記録パワーと複数の積との相関関係に基づいて記録パワーPthrを計算する。具体的には、複数のテスト記録パワーと複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、近似直線において積が0となる記録パワーを記録パワーPthrとする。次いで、κ=(記録パワーPind)/(記録パワーPthr)の関係から、κを決定する。
ディスクメーカーは、Pindの値と、ρの値と、κの値と、Mindの値とを光ディスク101に予め記録している。
本実施形態では、テスト記録パワーと変調度との関係から変調度が0になる記録パワーPthrに相当する値を計算し、記録パワーPthrとκの値とから記録パワー(すなわち、Pindに相当する値)を計算し、その記録パワーとρの値とから記録パワーPwを計算する。
以下に、光ディスクがBD規格に準拠する場合における本実施形態の光パワー決定方法を説明する。
再生部104は、光ディスク101に記録されたκの値とρの値とを読み出し、再生部104は、κの値とρの値とを示す信号105を記録パワー決定装置108に出力する。
光ディスク装置100の記録部210がテスト記録パワーA〜Hでテストデータを記録した後、再生部104は、複数のテスト記録パワーに対応する複数の変調度を測定する。再生部104は、複数のテスト記録パワーに対応する複数の変調度を示す信号107を記録パワー決定装置108に出力する。
テストデータを読み出して、図8(a)に示すような結果が得られたとき、記録パワー決定装置108は、図8(b)に示すように、変調度とテスト記録パワーの2乗との積が0となる記録パワーP500を計算し、以下に示す(式1)に従って、データを記録するための記録パワーPw1を計算する。
Pw1=P500×(−1/κ+2)×ρ ・・・(式1)
記録パワー決定装置108は、計算された記録パワーPw1を示す信号109を記録パワー設定部110に出力する。
以上のように、本実施形態によれば、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)との相関関係の直線性が高いので、テスト記録パワーの範囲に依存することなく、適切な記録パワーを決定することができる。
なお、上述した説明では、(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)を用いて、すなわち、テスト記録パワーのべき指数nの値が2の場合の積を用いて、第1の記録パワー(P500)を計算したが、本発明はこれに限定されない。光ディスクの構造または記録膜の特性の違いに起因して、べき指数nの値が2以外の値のときに、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーのn乗との積)との相関関係の直線性が高くなることがある。したがって、べき指数nの値は2に限定されない。
ただし、上述したように、図22を参照して説明したように、べき指数の値が1の場合、すなわち、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーとの積)との相関関係の直線性は低く、すなわち、図22のグラフでは、プロットされた点が直線から外れている。
したがって、べき指数nの値は、1以外の実数であればよい。べき指数nの値について、既存のいくつかの光ディスクで対して実験したところ、例えば、べき指数nの値が1.5〜2.5のとき、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーのn乗との積)との相関関係の直線性が高くなった。しかし、べき指数nの値はこれに限定されず、べき指数nの値は例えば0.5であってもよいし、0や−1であってもよい。
本実施形態によれば、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーのn乗との積)との相関関係の直線性が高くすることができるので、テスト記録パワーによらず、変調度とテスト記録パワーのn乗との積が0となる記録パワーを計算することができる。
また、図7に示すように、8つのテスト記録パワーA〜Hで記録をしなくても、例えば、4つのテスト記録パワーA〜Dで記録しても、4つのテスト記録パワーE〜Hで記録しても、あるいは、4つのテスト記録パワーC〜Fで記録しても、適切に記録パワーP500を得ることができる。所定の広さの領域を用いて記録パワーを決定する場合、テスト記録パワーの数を減らすことによって、繰り返し回数を多くすることができ、決定する記録パワーの精度を向上させることができる。
また、光ディスク101にべき指数nの値が記録されていることが好ましい。べき指数nの値が光ディスク101に記録されていることにより、光ディスク101の構造や、光ディスク101内の記録膜の設計の自由度を広げることができる。
本実施形態の記録パワー決定方法は、BD規格に準拠する光ディスク装置のように、高密度に記録するために、より高精度に記録パワーを制御することが要求される光ディスク装置において特に有効である。
(実施形態2)
以下に、図12を参照して、本発明の記録パワー決定方法および記録パワー決定装置の第2の実施形態について説明する。
本実施形態の記録パワー決定装置108は、図5を参照して実施形態1において説明した記録パワー決定装置と同様の構成を備えており、本実施形態の記録パワー決定装置108を備えた光ディスク装置100も図2を参照して実施形態1において説明した光ディスク装置と同様の構成を備えている。したがって、冗長さを避けるために、本実施形態の記録パワー決定装置108および光ディスク装置100の記載のうち実施形態1の記載と重複する部分を省略する。
本実施形態の記録パワー決定装置108は、べき指数nの複数の値のそれぞれについて変調度とテスト記録パワーのn乗との積を計算し、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーのn乗との積)との相関関係の直線性を計算し、複数の値のうち直線性の最も高い値を用いて記録パワーを決定する点で、実施形態1において説明した記録パワー決定装置とは異なる。
以下に、図2および図5を参照して、べき指数nの値が2および3である場合の記録パワー決定方法を説明する。
再生部104は、複数のテスト記録パワーに対応する複数の変調度を示す信号107を記録パワー決定装置108に出力する。記録パワー決定装置108において、入力部401には、テスト記録パワーA〜Hに対応する変調度を示す信号107が、再生部104の演算器204から入力される。
計算部402は、テスト記録パワーAに対応する変調度とテスト記録パワーAの2乗との積を計算する。また、計算部402は、テスト記録パワーB〜Hのそれぞれに対して、テスト記録パワーに対応する変調度とテスト記録パワーの2乗との積を計算する。このようにして、計算部402は、べき指数nが2の場合についてのテスト記録パワーA〜Hに対応する複数の積を得る。
計算部402は、また、テスト記録パワーAに対応する変調度とテスト記録パワーAの3乗との積を計算する。同様に、計算部402は、テスト記録パワーB〜Hのそれぞれに対して、テスト記録パワーに対応する変調度とテスト記録パワーの3乗との積を計算する。このようにして、計算部402は、べき指数nが3の場合についてのテスト記録パワーA〜Hに対応する複数の積を得る。
図12(a)は、テスト記録パワーとテスト記録パワーに対応する変調度との関係を示すグラフであり、図12(b)は、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)との関係を示すグラフであり、図12(c)は、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの3乗との積)との関係を示すグラフである。
計算部402は、べき指数nの値が2の場合の直線性とべき指数nの値が3の場合の直線性を比較して、値2および値3のうち直線性が高い値を決定する。直線性の比較については後述する。ここでは、例えば、値2の直線性が値3の直線性よりも高いとすると、計算部402は、先に計算した、べき指数nが2の場合についてのテスト記録パワーA〜Hに対応する複数の積を用いて、複数のテスト記録パワーA〜Hと複数の積との相関関係に基づいて記録パワーP500を計算する。具体的には、計算部402は、複数のテスト記録パワーと複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、近似直線において積が0となる記録パワーP500を計算し、計算部402は、記録パワーP500と光ディスク101から読み出された所定の値とを演算することによって、記録パワーを計算する。出力部403は、計算された記録パワーを示す信号109を記録パワー設定部110に出力し、記録パワー設定部110は、レーザ駆動回路112に記録パワーを設定する。
ここで、図12(b)および図12(c)を参照して直線性の比較について説明する。
計算部402は、べき指数の値が2の場合において、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)との相関関係の直線性を計算する。計算部402は、例えば、テスト記録パワーA〜Hのうち最も大きい2つ(テスト記録パワーAとテスト記録パワーB)およびテスト記録パワーA〜Hのうち最も小さい2つ(テスト記録パワーGとテスト記録パワーH)を選択する。計算部402は、図12(b)のグラフにおいてテスト記録パワーAに対応する点とテスト記録パワーBに対応する点を結ぶ直線(以下、第1の直線と称する)を作成し、第1の直線の傾き(以下、第1の傾きと称する)を計算する。計算部402は、また、図12(b)のグラフにおいてテスト記録パワーGに対応する点とテスト記録パワーHに対応する点を結ぶ直線(以下、第2の直線と称する)を作成し、第2の直線の傾き(以下、第2の傾きと称する)を計算する。計算部402は、第1の傾きと第2の傾きとの比(以下、第1の比と称する)を計算する。
計算部402は、べき指数の値が3の場合においても、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの3乗との積)との相関関係の直線性を計算する。計算部402は、例えば、テスト記録パワーA〜Hのうち最も大きい2つ(テスト記録パワーAとテスト記録パワーB)およびテスト記録パワーA〜Hのうち最も小さい2つ(テスト記録パワーGとテスト記録パワーH)を選択する。計算部402は、図12(c)のグラフにおいてテスト記録パワーAに対応する点とテスト記録パワーBに対応する点を結ぶ直線(以下、第3の直線と称する)を作成し、第3の直線の傾き(以下、第3の傾きと称する)を計算する。計算部402は、また、図12(c)のグラフにおいてテスト記録パワーGに対応する点とテスト記録パワーHに対応する点を結ぶ直線(以下、第4の直線と称する)を作成し、第4の直線の傾き(以下、第4の傾きと称する)を計算する。計算部402は、第3の傾きと第4の傾きとの比(以下、第2の比と称する)を計算する。
次いで、計算部402は、第1の比と第2の比とを比較して、第1の比と第2の比のうち比1に近い方に対応する値の直線性が高いと判定し、計算部402は、上述したように、直線性が高い値に対応する相関関係に基づいて、記録パワーを計算する。このように、計算部402は、より直線性の高い相関関係に基づいて記録パワーを決定するので、より適切な記録パワーを決定することができる。
ただし、直線性の比較方法は、これに限定されない。上述した説明では、計算部402は、複数のテスト記録パワーの最大値付近の傾きと最小値付近の傾きを比較しているが、計算部402は、別の方法で、複数のテスト記録パワーの最大値付近の傾きと、最小値付近の傾きとを比較してもよい。
計算部402は、べき指数nが2の場合について、複数のテスト記録パワーの全ての平均を示す第1の平均パワーを計算する。次いで、計算部402は、複数のテスト記録パワーのうちのある組(以下、第1のテスト記録パワー群と称する)に属するテスト記録パワーの平均が、第1の平均パワーよりも大きくなるように、複数のテスト記録パワーのうちから第1のテスト記録パワー群に属する少なくとも2つのテスト記録パワーを選択し、第1のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーおよびこれらのテスト記録パワーに対応する積との相関関係を示す第1の直線を作成し、第1の直線の第1の傾きを計算する。計算部402は、また、複数のテスト記録パワーのうちの別の組(以下、第2のテスト記録パワー群と称する)に属するテスト記録パワーの平均が、第1の平均パワーよりも小さくなるように、複数のテスト記録パワーのうちから第2のテスト記録パワー群に属する少なくとも2つのテスト記録パワーを選択し、第2のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーおよびこれらのテスト記録パワーに対応する積との相関関係を示す第2の直線を作成し、第2の直線の第2の傾きを計算する。次いで、計算部402は、第1の傾きと第2の傾きとから第1の比を計算する。
計算部402は、べき指数nが3の場合についても、同様に、複数のテスト記録パワーの全ての平均を示す第2の平均パワーを計算する。次いで、計算部402は、複数のテスト記録パワーのうちのある組(以下、前記3のテスト記録パワー群と称する)に属するテスト記録パワーの平均が、第2の平均パワーよりも大きくなるように、複数のテスト記録パワーのうちから第3のテスト記録パワー群に属する少なくとも2つのテスト記録パワーを選択し、第3のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーおよびこれらのテスト記録パワーに対応する積との相関関係を示す第3の直線を作成し、第3の直線の第3の傾きを計算する。また、計算部402は、複数のテスト記録パワーのうちの別の組(以下、第4のテスト記録パワー群と称する)に属するテスト記録パワーの平均が、第2の平均パワーよりも小さくなるように、複数のテスト記録パワーのうちから第4のテスト記録パワー群に属する少なくとも2つのテスト記録パワーを選択し、第4のテスト記録パワー群に属するテスト記録パワーおよびこれらのテスト記録パワーに対応する積との相関関係を示す第4の直線を作成し、第4の直線の第4の傾きを計算する。次いで、計算部402は、第3の傾きと第4の傾きとから第2の比を計算する。
次いで、計算部402は、第1の比と第2の比のうち比1に近い方に対応する値の直線性が高いと判定する。
以上のように、べき指数nの値のうち直線性の高い値を選択してもよい。
また、本実施形態における直線性の比較方法は、これらに限定されない。計算部402
は、複数の値のそれぞれについて、複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーからなる、あるテスト記録パワー群を設定し、前記あるテスト記録パワー群のテスト記録パワーと完全に同一にならないように、複数のテスト記録パワーから選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる、別のテスト記録パワー群を設定して、異なるテスト記録パワー群ごとに直線を形成し、直線の傾きを計算して、直線性を比較してもよい。
より詳細には、計算部402は、値2について、複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第1のテスト記録パワー群を設定し、第1のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、第1のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第1の直線を作成し、第1の直線の第1の傾きを計算する。また、計算部402は、値2について、第1のテスト記録パワー群のテスト記録パワーと完全に同一にならないように、複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第2のテスト記録パワー群を設定し、第2のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、第2のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第2の直線を作成し、第2の直線の第2の傾きを計算する。次いで、計算部402は、第1の傾きおよび第2の傾きに基づいて、第1の比を計算する。
計算部402は、値3についても同様に、複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第3のテスト記録パワー群を設定し、第3のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、第3のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第3の直線を作成し、第3の直線の第3の傾きを計算する。また、計算部402は、値3について、第3のテスト記録パワー群のテスト記録パワーと完全に同一にならないように、複数のテスト記録パワーのうち少なくとも2つのテスト記録パワーを選択して、選択された少なくとも2つのテスト記録パワーからなる第4のテスト記録パワー群を設定し、第4のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーと、第4のテスト記録パワー群の全てのテスト記録パワーに対応する積とに基づいて第4の直線を作成し、第4の直線の第4の傾きを計算する。次いで、計算部402は、第3の傾きおよび第4の傾きに基づいて、第2の比を計算する。
計算部402は、第1の比と第2の比とを比較することによって、第1の値および第2の値のうち直線性が高い値を決定する。
複数の比較方法を上述したが、いずれの比較方法においても、計算部402は、一方の比が1以上、他方の比が1以下となる場合には、1以上となった比の逆数を計算して、いずれの比も1以下にした状態で比が1に近いほうを選択してもよい。あるいは、計算部402は、一方の比が1以上、他方の比が1以下となる場合には、1以下となった比の逆数を計算して、いずれの比も1以上にした状態で比が1に近い方を選択してもよい。
また、上述した複数の比較方法は、直線性の比較方法の例示にすぎず、相関関係の直線性を比較できるのであれば、任意の方法を用いてもよい。
また、実施形態1において説明したのと同様に、べき指数nの値が3の場合も、(変調度とテスト記録パワーの3乗との積)が0となる記録パワーは、光ディスク101にマークを形成するために必要な臨界的な記録パワーであり、この記録パワーより大きな記録パワーで記録する場合は、読み出し時におけるチルトの発生の有無にかかわらず、変調度が測定されるので、(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)が0となる記録パワーは、読み出し時におけるチルトの発生にかかわらず、等しくなると考えられる。
また、近年、複数の記録膜を有する光ディスクが開発されているが、本実施形態によれば、1枚の光ディスクの複数の記録膜ごとに、べき指数nの値を適切に決定することができる。
また、本実施形態の記録パワー決定装置108において、出力部402は、べき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値を光ディスク101に記録するように、記録部210に信号を出力し、記録部210は、べき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値を光ディスク101に記録する。光ディスク101には、べき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値を記録するための領域が予め設けられていてもよいし、あるいは、べき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値は、光ディスク101のユーザデータ領域に記録されてもよい。このように、光ディスク101の所定の領域にべき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値が記録されている場合、その光ディスク101を装填された光ディスク装置100は、記録パワーを決定するときに、光ディスク101に記録されたべき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値を読み出し、その値を用いることによって、直線性の比較を行うことなく、適切な記録パワーを速やかに決定することができる。
あるいは、べき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値は、光ディスク装置100に記録されてもよい。
本実施形態において、光ディスク101には、光ディスク101を識別するための識別情報が記録されている。識別情報は、例えば、光ディスク101を製造したディスクメーカーに関する情報であり、あるいは、光ディスク101のロットに関する情報である。
再生部104は、光ディスク101に記録された識別情報を読み出し、再生部104は、識別情報を示す信号105を記録パワー決定装置108に出力する。
記録パワー決定装置108の入力部401には、識別情報を示す信号105が入力される。記録パワー決定装置108のメモリ404には、識別情報格納部が設けられている。計算部402は、光ディスク101の識別情報に対応するべき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値を決定した後、光ディスク101の識別情報と、その識別情報に対応するべき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値とをメモリ404の識別情報格納部に格納する。
メモリ404には、光ディスク101の識別情報と、その識別情報に対応するべき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値とが格納されているため、光ディスク101が光ディスク装置100に装填されると、再生部104は、装填された光ディスク101の識別情報を読み出し、記録パワー決定装置108の計算部402は、読み出した識別情報が識別情報格納部に格納された識別情報と同一か否かを判定する。計算部402が、読み出した識別情報が識別情報格納部に格納された識別情報と同一であると判定する場合、計算部402は、メモリ404に格納されたべき指数nの複数の値のうち直線性の最も高い値を読み出し、その値を用いることによって、複数の値について直線性の比較を行うことなく、適切な記録パワーを速やかに決定することができる。
なお、本実施形態も、実施形態1と同様に、BD規格に準拠した光ディスク装置において特に有効である。
実施形態1でも説明したように、BD規格に準拠した光ディスクには、Pindの値とρの値とκの値とMindの値とが予め記録されており、再生部104は、ρの値とκの値とを読み出す。
計算部402が、べき指数nの値が2の場合の直線性が高いと判定する場合、計算部402は、図12(b)に示した記録パワーP500を計算し、以下に示す(式1)にしたがって記録パワーPw1を計算する。
Pw1=P500×(−1/κ+2)×ρ ・・・(式1)
一方、計算部402が、べき指数nの値が3の場合の直線性が高いと判定する場合、計算部402は、図12(c)に示した記録パワーP600を計算し、以下に示す(式2)にしたがって記録パワーPw1を計算する。
Pw1=P600×(3κ−2)/(2κ−1)×ρ ・・・(式2)
出力部403は、記録パワーPw1を示す信号109を記録パワー設定部110に出力する。
なお、上述した説明では、べき指数nの値は2および3であったが、光ディスクの構造や光ディスクの記録膜の特性の違いにより、2および3以外の値のときに、直線性が高くなる場合がある。本実施形態において、べき指数nの値は2および3に限定されず、べき指数の値は1以外の実数であれば、任意の値であってもよい。記録パワーを計算するとき、κおよびρに関する係数はべき指数nの値に応じて変化する。例えば、べき指数nの値が0の場合、計算部402は、以下に示す(式2')にしたがって記録パワーPw1を計算する。
Pw1=P700×(1/(2−κ))×ρ ・・・(式2')
ここで、P700は、べき指数nが0の場合に複数のテスト記録パワーと複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、近似直線において積が0となる記録パワーを計算したものである。
参考のために、べき指数nの値が1の場合、図22を参照して説明したように、記録パワーPw1は、以下に示す式にしたがって計算されている。
Pw1=Pthr×κ×ρ
ここで、Pthrは、べき指数nが1の場合に複数のテスト記録パワーと複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、近似直線において積が0となる記録パワーを計算したものである。
また、上述した説明では、2つの値に対して直線性を比較したが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態は、3つ以上の値に対して直線性を比較してもよく、例えば、べき指数の値は、2、2.5、3の3つの値から直線性の高い値を決定してもよい。
本実施形態によれば、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーのn乗(nは1以外の実数)との積)との相関関係に基づいて、べき指数nの少なくとも2つの値のうち直線性の高い値を計算することで、テスト記録パワーの範囲に依存することなく、適切な記録パワーを決定することができる。
(実施形態3)
以下に、図14を参照して、本発明の記録パワー決定方法および記録パワー決定装置の第3の実施形態について説明する。
本実施形態の記録パワー決定装置108も、図5を参照して実施形態1において説明した記録パワー決定装置と同様の構成を備えており、本実施形態の記録パワー決定装置108を備えた光ディスク装置100も図2を参照して実施形態1において説明した光ディスク装置と同様の構成を備えている。したがって、冗長さを避けるために、本実施形態の記録パワー決定装置108および光ディスク装置100の記載のうち実施形態1の記載と重複する部分を省略する。
以下に、図13を参照して、本実施形態の記録パワー決定方法を説明する。
上述したように、BD規格に準拠した光ディスク101の所定の領域には、Pindの値、ρの値、κの値、Mindの値が記録されており、図13のS32に示すように、再生部104は、光ディスク101からPindの値、ρの値、κの値、Mindの値を読み出す。再生部104は、Pindの値、ρの値、κの値、Mindの値を示す信号105を記録パワー決定装置108に出力する。
図13のS34に示すように、複数の変調度のうち最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きく、複数の変調度のうち最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さいことを確認する。
このとき、記録パワー決定部108は、テストデータを記録するときに、隣接するテスト記録パワーの差がPindの値の少なくとも10%以下となるようにテスト記録パワーA〜Hを決定する。
テスト記録パワーA〜Hでテストデータを記録した後、再生部104は、複数のテスト記録パワーに対応する複数の変調度を測定する。再生部104は、複数のテスト記録パワーに対応する複数の変調度を示す信号107を記録パワー決定装置108に出力する。
記録パワー決定装置108の計算部402は、複数の変調度のうち最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きく、複数の変調度のうち最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さいことを確認する。具体的には、計算部402は、最も大きい変調度が(Mindの値)よりも小さいか否かを判定する。最も大きい変調度が(Mindの値)よりも小さいと計算部402が判定した場合、計算部402は、前のテスト記録パワーよりも大きなテスト記録パワーを設定し、出力部403は、新たに設定されたテスト記録パワーを示す信号109を記録部210に出力する。記録部210は、新たに設定されたテスト記録パワーでテストデータを記録する。再生部104は、新たに記録されたテストデータを読み出し、計算部402は、再び、最も大きい変調度が(Mindの値)よりも小さいか否かを判定する。計算部402は、再生部104がMindの値よりも大きな変調度を測定するまで、より大きな複数のテスト記録パワーを設定する。
また、計算部402は、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも大きいか否かを判定する。計算部402が、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも大きいと判定した場合、計算部402は、前のテスト記録パワーよりも小さなテスト記録パワーを設定する。出力部403は、新たに設定されたテスト記録パワーを示す信号109を記録部210に出力する。記録部210は、新たに設定されたテスト記録パワーでテストデータを記録する。再生部104は、新たに記録されたテストデータを読み出し、計算部402は、再び、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも大きいか否かを判定する。計算部402は、再生部104がMindの値よりも小さな変調度を測定するまで、より小さな複数のテスト記録パワーを設定する。
このようにして、計算部402は、最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きく、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さいことを確認する。
図14(a)はテスト記録パワーと変調度との関係を示すグラフである。計算部402は、図14(a)に示すように、最も小さいテスト記録パワーHの変調度がMind以下であり、最も大きいテスト記録パワーAの変調度が(Mindの値)よりも大きいことを確認する。
次いで、計算部402は、最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きく、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さいことを確認した後、複数のテスト記録パワーに対応する複数の変調度と複数のテスト記録パワーの2乗との積を計算する。
図14(b)はテスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)との関係を示すグラフである。
次いで、図13のS36において、計算部402は、図14(b)に示すように、複数のテスト記録パワーと複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、近似直線において積が0となる記録パワーP500を計算する。
次いで、図13のS38に示すように、計算部402は、記録パワーP500に基づいて、以下に示す(式1)に従って、ユーザデータを記録するための記録パワーPw1を計算する。
Pw1=P500×(−1/κ+2)×ρ ・・・(式1)
出力部403は、記録パワーPw1を示す信号109を記録パワー設定部110に出力する。
本実施形態によれば、変調度と(Mindの値)との関係を確認し、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さく、最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きいことを確認することにより、ディスクメーカーがPindを決定する際に用いたテスト記録パワーの範囲に近いテスト記録パワーの範囲で記録を行うことになり、ディスクメーカーの推奨する記録パワーをより適切に求めることができる。
なお、上述した説明では、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さく、最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きいことを確認しているが、複数のテスト記録パワーのうち最も小さいテスト記録パワーは、変調度が略Mindとなる記録パワーの0.9倍以上であるという条件をさらに追加することにより、ディスクメーカーがPindを決定するときに用いたテスト記録パワーの範囲により近い範囲で記録することになり、ディスクメーカーの推奨する記録パワーをさらに正確に求めることができる。
また、複数のテスト記録パワーのうち最も大きいテスト記録パワーは、変調度が略Mindとなる記録パワーの1.1倍以内であるという条件をさらに追加することにより、ディスクメーカーがPindを決定するときに用いたテスト記録パワーの範囲により近いテスト記録パワーの範囲で記録することになり、ディスクメーカーの推奨する記録パワーをさらに正確に求めることができる。
また、最も小さいテスト記録パワーが、変調度が略Mindとなる記録パワーの0.9
倍以上であり、かつ、最も大きいテスト記録パワーが、変調度が略Mindとなる記録パワーの1.1倍以下であることにより、ディスクメーカーの推奨する記録パワーをさらに正確に求めることができる。
また、ディスクメーカーがPindを決定する際に用いたテスト記録パワーの範囲に近い範囲のテスト記録パワーで記録するのであれば、変調度がMindとなる記録パワーに対する前後のマージンは10%でなくてもよい。
また、図14(a)のグラフから推察されるように、記録パワーが大きくなるにつれて光ディスク101に形成されるマークの幅が太くなり、結果として変調度が増加するが、記録パワーがある程度以上大きくなると、トラックの幅による制限の影響が大きくなって、マークの幅は飽和し、それに伴い、変調度も飽和する。記録パワーと変調度との関係では、記録パワーの大きさを3つの範囲に分類することができる。1つめの範囲は、トラックの影響を全く受けずに変調度が増加する範囲(テスト記録パワーHよりも小さい範囲)であり、2つめの範囲は、トラックの影響を受けながら変調度が増加する範囲(テスト記録パワーHからテスト記録パワーAの範囲)であり、3つ目の範囲は、トラックの影響を受けて変調度が飽和する範囲(テスト記録パワーAよりも大きい範囲)である。
図14(b)に示すように、テスト記録パワーA〜Hの範囲では、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)との相関関係は、高い直線性を示すが、テスト記録パワーAよりも大きい記録パワーおよびテスト記録パワーHよりも小さい記録パワーでは、マークの幅を決定する要因が異なるため、高い直線性を示すとは限らない。
さらに、マークが形成される臨界的な記録パワーからテスト記録パワーHまでの記録パワーの範囲は非常に狭い。また、テスト記録パワーAよりも大きい記録パワーでは変調度は飽和しているので、外乱に伴う最適な記録パワーの変化を検出することが難しい。したがって、記録パワーを決定するときに用いる変調度の範囲は、トラックの影響を受けながら変調度が増加する範囲であることが妥当である。
記録パワーがトラックの影響を全く受けずに変調度が増加する範囲になるケースとしては、光ディスク101や光ヘッド102に埃が付着したケース、光ディスク101と光ヘッド102の間に相対的なチルトやデフォーカス等の外乱が生じているケースや、あるいは、光ヘッド102の温度変化によって、光ヘッド102から出射される光ビームの強度が減少しているケースがあり、また、記録パワーがトラックの影響を受けて変調度が飽和する範囲になるケースとしては、光ヘッド102の温度変化に応じて、光ヘッド102から出射される光ビームの強度が増加しているケースがある。
上述した説明では、テスト記録パワーHの変調度がMindの値よりも大きい場合には、前のテスト記録パワーよりも小さいテスト記録パワーを再設定して、再度テストデータを記録し、同様に、テスト記録パワーAの変調度がMindの値よりも小さい場合には、前のテスト記録パワーよりも大きいテスト記録パワーを再設定して再度テストデータを記録しているが、本実施形態はこれに限定されない。テスト記録パワーの範囲を広くして、所定の変調度の範囲のみを用いて、記録パワーを決定してもよい。
しかしながら、テスト記録パワーの範囲を広くするためには、隣接する記録パワーの差を大きくするか、記録パワーを決定するために用いる領域を広くするかのいずれかを行う必要があるが、前者は精度が悪くなり、後者は記録パワーを決定するまでの時間が増加するという問題、あるいは、記録パワーを決定するために用いる領域の消耗を早めるという問題が生じる。特に、追加型の光ディスクには上書きができないため、記録パワーを決定するために用いる領域を広くすることは好ましくない。したがって、隣接するテスト記録パワーの差をPindの値の10%以下にし、1トラック以下の記録領域で、8Tマークを形成するようにテストデータを記録し、所定の変調度の範囲に入らなかった場合にのみ再度テスト記録パワーの範囲を設定してテストデータを記録することが好ましい。これにより、短時間で精度の高い記録パワーを決定することができる。
以上のように、本実施形態の記録パワー決定方法および記録パワー決定装置によれば、適切な記録パワーを決定することができる。
(実施形態4)
以下に、図15を参照して、本発明の記録パワー決定方法および記録パワー決定装置の第4の実施形態について説明する。
実施形態3では、複数のテスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーの2乗との積)との関係に基づいて第1の記録パワーを計算したが、本発明は、これに限定されない。
本実施形態では、べき指数が1の場合について説明する。
本実施形態の記録パワー決定装置108も、図5を参照して実施形態1において説明した記録パワー決定装置と同様の構成を備えており、本実施形態の記録パワー決定装置108を備えた光ディスク装置100も図2を参照して実施形態1において説明した光ディスク装置と同様の構成を備えている。したがって、冗長さを避けるために、本実施形態の記録パワー決定装置108および光ディスク装置100の記載のうち実施形態1の記載と重複する部分を省略する。
上述したように、BD規格に準拠した光ディスク101の所定の領域には、Pindの値、ρの値、κの値、Mindの値が記録されている。本実施形態の記録パワー決定装置108は、最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きく、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さいことを確認することは、実施形態3において説明した記録パワー決定装置と同様であるので、本実施形態の記録パワー決定装置108のうち実施形態3の記載と重複する部分を省略する。
図15(a)は、テスト記録パワーとテスト記録パワーに対応する変調度との関係を示すグラフである。記録パワー決定装置108の計算部402は、図15(a)に示すように、最も小さいテスト記録パワーHの変調度が(Mindの値)よりも小さく、最も大きいテスト記録パワーAの変調度が(Mindの値)よりも大きいことを確認する。
次いで、計算部402は、最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きく、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さいことを確認した後、複数の変調度と複数のテスト記録パワーとの積を計算する。
図15(b)は、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーとの積)との関係を示すグラフである。
計算部402は、図15(b)に示すように、複数のテスト記録パワーと複数の積との相関関係を示す近似直線を作成し、近似直線において積が0となる記録パワーP1500を計算する。次いで、計算部402は、以下に示す(式3)に従って、データを記録するための記録パワーPw1を計算する。
Pw1=P1500×κ×ρ ・・・(式3)
本実施形態によれば、変調度と(Mindの値)との関係を確認し、変調度のうち最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さく、変調度のうち最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きいことを確認することにより、ディスクメーカーがPindを決定するときに用いたテスト記録パワーの範囲に近い範囲のテスト記録パワーで記録することができ、ディスクメーカーの推奨する記録パワーをより正確に求めることができる。
なお、上述した説明では、最も小さい変調度が(Mindの値)よりも小さく、最も大きい変調度が(Mindの値)よりも大きいことを確認しているが、最も小さいテスト記録パワーは、変調度が略Mindとなる記録パワーの0.9倍以上であるという条件を追加することにより、ディスクメーカーがPindを決定するときに用いたテスト記録パワーの範囲により近い範囲のテスト記録パワーで記録することができ、ディスクメーカーの推奨する記録パワーをさらに正確に求めることができる。
同様に、最も大きいテスト記録パワーは、変調度が略Mindとなる記録パワーの1.1倍以下であるという条件を追加することにより、ディスクメーカーがPindを決定するときに用いたテスト記録パワーの範囲により近い範囲のテスト記録パワーで記録することができ、ディスクメーカーの推奨する記録パワーをさらに正確に求めることができる。
また、最も小さいテスト記録パワーは、変調度が略Mindとなる記録パワーの0.9倍以上であり、かつ、最も大きいテスト記録パワーは、変調度が略Mindとなる記録パワーの1.1倍以下であることにより、ディスクメーカーの推奨する記録パワーをさらに正確に求めることができる。
また、ディスクメーカーがPindを決定するときに用いたテスト記録パワーの範囲に近いテスト記録パワーの範囲で記録すれば、変調度がMindとなる記録パワーに対する前後のマージンは10%でなくてもよい。
べき指数の値が1の場合には、図15(b)に示すように、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーとの積)の相関関係の直線性が、べき指数の値が2であるときの相関関係の直線性ほどにはよくない場合があり、設定するテスト記録パワーの範囲の違いに応じて、積が0となる記録パワーPthrの値がやや変動する場合があるので、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーとの積)の相関関係の直線性が高い第3の実施形態よりも、ディスクメーカーがPindを決定するときに用いたテスト記録パワーの範囲に近い範囲のテスト記録パワーで記録することが好ましい。
なお、上述した説明では、テスト記録パワーHの変調度が(Mindの値)よりも大きい場合には、前のテスト記録パワーよりも低いテスト記録パワーを再設定して再度テストデータを記録し、同様に、記録パワーAの変調度がMindの値よりも小さい場合には、前に記録したときのテスト記録パワーよりも大きいテスト記録パワーを再設定して再度テストデータを記録しているが、テスト記録パワーの範囲を広くして、所定の変調度の範囲のみを用いて記録パワーを決定してもよい。
しかしながら、テスト記録パワーの範囲を広くするためには、隣接するテスト記録パワーの差を大きくするか、記録パワーを決定するために用いる領域を広くするかのいずれかを行う必要があるが、前者は精度が悪くなり、後者は記録パワーを決定するまでの時間が増加するという問題がある。第3の実施形態と同様に、テスト記録パワーの差をPindの値の10%以下にし、1トラック以下の記録領域でテストデータを記録し、記録パワーを決定できない場合にのみ再度テスト記録パワーの範囲を設定してテストデータを記録することが好ましい。これにより、短時間で精度の高い記録パワーを決定することができる。
なお、上述した実施形態3〜4では、べき指数の値が1の場合と2の場合について説明したが、べき指数は、実数であれば、任意の値であってもよい。また、実施形態3〜4においても、実施形態2において説明したように、テスト記録パワーと(変調度とテスト記録パワーのn乗との積)との相関関係の直線性が高くなるようにべき指数nの値を選択してもよい。この場合、べき指数nの値に対応する相関関係の直線性が高いので、テスト記録パワーの範囲が広くても、積が0となる記録パワーがほぼ一義的に決定されるので、より短時間で適切な記録パワーを決定することができる。また、この場合も選択されたべき指数nの値を光ディスクに記録することが好ましい。べき指数nの値を光ディスクに記録することにより、ディスクメーカーが記録膜を設計する自由度を拡大することができる。
以上のように、実施形態3〜4によれば、(Mindの値)を光ディスク101から読み出し、Mindの値を参照して、変調度と記録パワーのn乗との積を計算することにより、データを記録する際の記録パワーを適切に決定することができる。
なお、上述した実施形態1〜4の光ディスク装置は、光ディスクにデータを記録し、光ディスクに記録されたデータを再生したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、データを記録する前に複数のテスト記録パワーで記録する情報記録装置に適用可能である。
また、上述した実施形態1〜4は、情報記録媒体として光ディスクを用いたが本発明はこれに限定されない。本発明は、記録パワーを決定する任意の情報記録媒体に適用することができる。
また、上述した実施形態1〜4では、Run Length Limited(1,7)変調方式でデータを記録したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、他の記録方式を用いてもよい。Run Length Limited(1,7)変調方式以外の変調方式を用いる場合には、その方式における最長マークと最長スペースが連続した信号を多く含む信号に対応するテストデータを記録することが好ましい。また、本発明は、任意の単一周期の信号を用いてもよい。任意の単一周期の信号を用いる場合、信号の振幅が、最長マークと最長スペースの信号の振幅と同程度であることが好ましい。
また、上述した実施形態1〜4では、ピークパワー(Pp)、バイアスパワー(Pe)、ボトムパワー(Pbw)は全マーク共通であり、Tmpは全マーク共通であるとしたが、本発明はこれに限定されない。記録パワーを決定するためのパラメータとして、別のパラメータを用いてもよい。
また、上述した実施形態1〜4では、Ttop、dTtop、dTeは2T、3T、4T以上の3つに分類して設定したが、本発明はこれに限定されない。分類は、別の分類方法を用いてもよい。
また、上述した実施形態1〜4では、本実施形態ではピークパワー、バイアスパワー、ボトムパワーの比は一定としたが、本発明はこれに限定されない。ピークパワーやバイアスパワーやボトムパワーをそれぞれ独立に決定してもよい。例えば、ピークパワーを決定する際には、バイアスパワー、ボトムパワーを固定にするというように、それぞれのパワーを個別に決定してもよい。
また、上述した実施形態1〜4では、8つのテスト記録パワーでテストデータを記録したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、複数のテスト記録パワーで記録する場合に適用することができる。
なお、上述した実施形態1〜4では、記録パワー決定装置108はテスト記録パワーA〜Hを予め決定していたが、本発明はこれに限定されない。記録パワー決定装置108がテスト記録パワーA〜Hを予め決定していなくてもよく、記録パワー設定部110は、レーザ駆動回路112に設定したテスト記録パワーA〜Hを示す信号を記録パワー決定装置108に出力してもよい。
また、上述した実施形態1〜4では、記録パワー決定装置108が記録パワーを決定したが、記録パワー決定装置および周辺の構成要素がICに組み込まれている場合でも同様の効果を有する。