JP2011121513A - 車両用採光断熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量をさほど増加させることなく、充分な採光効果と、日射熱取得率の低減とを両立し得る車両用採光断熱装置を提供する。
【解決手段】可視光線透過率が15%〜90%の範囲にあり日射熱取得率が31%〜90%の範囲にあるガラス板4の内面4a側に採光断熱材6が積層されており、上記採光断熱材6が、底板部7a、側壁部7b及び固定部7cを有する固定部材7に収納されており、該固定部材7の固定部7cがガラス板4の内面4aに固定されており、採光断熱材6が、複数のエアギャップ層を有する複数枚の合成樹脂シート8a〜8gの積層体からなり、車両用採光断熱装置全体の可視光線透過率が7%以上、Ttsが30%以下である、車両用採光断熱装置3。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車などの車両の開口部に設けられており、採光及び断熱機能を果たす車両用採光断熱装置に関し、より詳細には、ガラスに断熱材が積層されている構造を有する車両用採光断熱装置に関する。
自動車や電車などの車両の窓は、省エネルギーを果たすために断熱効果に優れていることが求められている。そのため、2枚のガラス板を間隔を隔てて配置してなる二重窓や、窓ガラスに熱線遮蔽効果を有するフィルムを積層した構造などが種々提案されている。
他方、近年、米国カリフォルニア州におけるCARV規制のように、冷房による負担を軽減し燃費を向上させるために、自動車の窓ガラスを通した日射熱取得率を低めることが求められてきている。
従来、日射熱取得率を低減するために、可視光線透過率が低い、いわゆるより濃い色のガラスを用いたり、該ガラスの厚肉化を図ったりする方法が用いられている。しかしながら、例えば自動車のサンルーフに濃色のガラスを用いた場合、可視光線透過率が低くなり、サンルーフの目的である採光機能が損なわれるという問題がある。
他方、下記の特許文献1には、窓ガラスに積層される熱線反射フィルムが開示されている。熱線反射フィルムは、合成樹脂フィルムにITO、LaB6、Cs系化合物、銀、銅などの金属粒子を混練することにより、また、Cr等の金属あるいは金属酸化物を真空蒸着、スパッタリング等により形成されている。あるいは、このような遮熱粒子を含む組成物をガラス表面にコーティングする方法も提案されている。
特願平2−164533号公報
厚みの大きな濃色ガラスを用いた場合には、日射熱取得率を低めることはできるものの、可視光線透過率が低くなる。加えて、重量が増大する。従って、燃費が悪くなり、省エネルギー化に逆行することとなる。
他方、透明な遮熱粒子を用いた熱線反射フィルムや熱線反射コーティング層をガラスに積層した構造では、日射熱取得率を充分に低めることはできなかった。
本発明の目的は、重量をさほど増大させることなく、可視光線透過率を充分高くすることができかつ日射熱取得率を充分に低くすることができる、車両用採光断熱装置を提供することにある。
本発明は、車両の開口部に設けられる車両用採光断熱装置である。本発明の車両用採光断熱装置は、可視光線透過率が15%〜90%の範囲にあり、かつ日射熱取得率が31%〜90%の範囲にあるガラス板と、前記ガラス板の前記車両の内面側に積層された採光断熱材と、固定部材とを備える。固定部材は、前記ガラス板の前記車両の内面と隔てて配置されている底板部と、前記底板部の外周縁から前記ガラス板の前記内面側に向かって延びる側壁部と、前記側壁部の前記ガラス板の前記内面側の端部から前記ガラス板の内面に沿うように、延ばされた固定部とを有し、かつ透明な合成樹脂からなる。前記固定部材の前記底板部と前記側壁部とで囲まれた空間に前記採光断熱材が収納されている。前記固定部材は、前記固定部において前記ガラス板の前記内面に固定されている。また、上記採光断熱材は、複数枚の透明な合成樹脂シートと、複数枚の合成樹脂シートにおいて隣り合う合成樹脂シートの主面同士を接合するように設けられた複数本のロッドとを備え、隣り合う合成樹脂シート間にエアギャップ層が設けられている積層体からなる。本発明に係る車両用採光断熱装置では、可視光線透過率は7%以上であり、日射熱取得率は30%以下である。
本発明に係る車両用採光断熱装置のある特定の局面では、前記採光断熱材が3層〜15層のエアギャップ層を有するように、前記複数枚の合成樹脂シートとして、4枚〜16枚の合成樹脂シートを有する。このエアギャップ層の存在により、断熱効果を高めることができる。また、多層積層構造を有するため、放射熱抑制効果により、日射熱取得率を確実に30%以下とすることができる。
本発明に係る車両用採光断熱装置の他の特定の局面では、前記採光断熱材が、いずれかの前記合成樹脂シートに積層された熱線反射層をさらに備えられている。この場合には、日射熱取得率をよりいっそう小さくすることができる。
本発明に係る車両用採光断熱装置のさらに他の特定の局面では、前記熱線反射層が、前記採光断熱材の前記複数枚の合成樹脂シートのうち、前記ガラス板の前記内面側に位置している合成樹脂シートに積層されている。この場合には、採光断熱材の外側表面に熱線反射層が設けられているため、Ttsを効果的に小さくすることができる。
もっとも、熱線反射層は、前記採光断熱材の、前記ガラス板の内面とは反対側の面に位置している合成樹脂シートに積層されていてもよい。この場合には、冬季において、車両内部の熱が外部に放散することをより一層抑制することができる。
本発明に係る車両用採光断熱装置のさらに別の特定の局面では、前記熱線反射層が、前記固定部材の前記底板部の内面上に設けられており、それによって前記ガラス板の前記内面とは反対側に位置している前記合成樹脂シートに積層されている。上記熱線反射層を固定部材の底板部の内面上に設けた構造では、あらかじめ固定部材の底板部の内面に熱線反射フィルムを積層したり、熱線反射性材料をコーティングすることにより、熱線反射層を容易に形成することができる。
本発明に係る車両用採光断熱装置のさらに他の特定の局面では、上記熱線反射層が熱線反射フィルムであり、その場合には、フィルム上の部材であるため、熱線反射層を合成樹脂シートに容易に積層することができる。
本発明に係る車両用採光断熱装置のさらに他の特定の局面では、前記車両の採光部が自動車の天井部であって、サンルーフを構成している。この場合には、採光機能及び断熱効果に優れたサンルーフを提供することができる。
本発明に係る車両用採光断熱装置では、上記特定のガラス板に採光断熱材が積層されており、該採光断熱材が上記複数のエアギャップ層を有する積層体からなるため、ガラス板自体を厚くせずとも、充分な断熱効果を得ることができ、従って日射熱取得率を30%以下と低めることができる。
他方、上記ガラス板の可視光線透過率が15%以上であり、上記採光断熱材及び固定部材が透明部材からなるため、車両用採光断熱装置全体の可視光線透過率を7%以上と高くすることが可能とされている。
よって、本発明の車両用採光断熱装置では、重量の増加をさほど招くことなく、可視光線透過率の向上と、Ttsの低減とを両立することが可能となる。
(a)は本発明の一実施形態に係る車両用採光断熱装置が設けられている自動車を示す斜視図であり、(b)は、該車両用採光断熱装置の断面図であり、(c)は採光断熱材を説明するための斜視図である。 (a)は本発明の一実施形態における採光断熱材を製造する方法を説明するための斜視図であり、1層の合成樹脂シート上に複数本のロッドが配置されている状態を示す斜視図であり、(b)は本発明の一実施形態で用いられている採光断熱材の正面図である。 (a)は本発明の一実施形態で用いられている固定部材を示す正面図であり、(b)はその斜視図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る車両用採光断熱装置が設けられている自動車を示す斜視図であり、(b)は、該車両用採光断熱装置の断面図であり、(c)は採光断熱材を説明するための斜視図である。
図1(a)に示すように、自動車1のルーフ2にサンルーフとして本実施形態の車両用採光断熱装置3が取り付けられている。ルーフ2には、開口部が形成されており、該開口部に車両用採光断熱装置3が取り付けられている。
図1(b)に示すように、車両用採光断熱装置3は、ガラス板4と、熱線反射フィルム5と、採光断熱材6と、固定部材7とを有する。
ガラス板4は、ルーフ2の開口部を閉成するように取り付けられている。上記ガラス板4は、可視光線透過率が15%〜90%の範囲にあり、かつ日射熱取得率が31%〜90%の範囲にある。
可視光線透過率は、JIS R3211(1998)に準拠して測定した光線透過率の値とする。具体的には、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3211(1998)に準拠して、波長380〜780nmにおける上記可視光線透過率を測定した値である。また、日射熱取得率は、クールカー規制で規定されている測定法に準じて測定された値である。具体的には、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、上記Tts及び上記Tdsを測定した値である。
可視光線透過率が15%未満の場合には、車両用採光断熱装置全体の可視光線透過率を7%以上とすることが難しく、充分な量の光を車両内に導くことができなくなる。他方、日射熱取得率が90%を超えると、車両用採光断熱装置全体のTtsを30%以下とすることができなくなる。
上記ガラス板としては、上記可視光線透過率及び日射熱取得率が上記特定の範囲にある限り、適宜のガラス板を用いることができる。すなわち、可視光線透過率及び日射熱取得率を上記特定の範囲内とするには、一般的に、グレー、グリーン、ブルー、ブロンズなどの適宜の色に着色されているガラス板を用いることができる。ガラス板4の厚みは、特に限定されるわけではないが、好ましくは、6mm以下であることが望ましい。好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である。6mmを超えると、重量が増加し、燃費が悪化する。また、厚くなりすぎると、可視光線透過率を充分高くすることができなくなる。もっとも、ガラス板4が薄くなりすぎると、機械的強度が低下する。従って、ガラス板4の厚みは1.5mm以上であることが望ましい。好ましくは2mm以上、より好ましくは2.5mm以上である。
上記ガラス板4の内面4a側に、熱線反射フィルム5及び採光断熱材6が配置されている。熱線反射フィルム5は、本実施形態では、採光断熱材6の後述の複数枚の合成樹脂シートのうち、ガラス板4の内面4a側に位置している合成樹脂シートに積層されている。
熱線反射フィルム5としては、透明な合成樹脂フィルムに遮熱粒子を混合してなるフィルム、透明な合成樹脂フィルム表面に遮熱粒子をコーティングしてなるフィルムなどを用いることができる。熱線反射フィルム5を構成する合成樹脂フィルムとしては、透明性に優れたアクリル系樹脂フィルムや、ポリカーボネートフィルム、塩ビフィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、あるいはポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルムを用いることができる。車両に搭載するためには、80℃をこえる耐熱性が要求されるため、アクリル樹脂、ポリカーボネート、PETフィルム等が好ましい。
熱線反射フィルム5の厚みは特に限定されないが、20μm〜300μm程度であることが望ましい。この範囲内の厚みとすることにより、車両用採光断熱装置の厚みをさほど厚くせずに薄型化することができ、かつ充分な熱線反射機能を実現することができる。
上記遮熱粒子としては、特に限定されず、ITO、LaB6、Cs系化合物、銀または銅などからなる金属粒子を用いることができる。
図1(c)に示すように、採光断熱材6は、本実施形態では、7枚の合成樹脂シート8a〜8gをエアギャップ層Xを隔てて配置した構造を有する。エアギャップ層Xでは、複数本のロッド9が互いに隔てられて配置されている。合成樹脂シート8a〜8gは、透明性を有する適宜の合成樹脂により形成することができる。このような合成樹脂としては、ポリカーボネート、硬質塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィンまたはポリエチレンテフタレートなどを挙げることができる。難燃性を高めることができるので、自己消火性を有するポリカーボネートや硬質塩化ビニル樹脂が好ましい。
図2(a)は、最下層の合成樹脂シート8gと、合成樹脂シート8g上に配置されているロッド9を示す斜視図である。図2(a)に示すように、複数本のロッド9は、長尺状の棒状部材である。本実施形態では、ロッド9の横断面形状は円形であるが、長方形等の他の横断面形状を有していてもよい。
ロッド9は、透明な合成樹脂からなり、隣り合う合成樹脂シート、例えば合成樹脂シート8fと合成樹脂シート8gとの主面間を接合している。この接合は、溶着や接着等の適宜の方法により行い得る。
例えば、合成樹脂シート8gを押し出し成形により成形し、固化に至る前に主面上に複数本のロッド9を配置することにより、合成樹脂シート8gにロッド9を溶着してもよい。あるいは合成樹脂シート8g上に、ロッド9を構成する合成樹脂材料を溶融押し出し、ロッド9を合成樹脂シート8gに溶着してもよい。また、合成樹脂シート8g及びロッド9の双方が固化に至る前に両者を接触させて溶着してもよい。しかる後、押出機よりシート状物を押し出し、固化に至る前にロッド9の上方から当接させて合成樹脂シート8fを成形すればよい。このような工程を繰り返すことにより、採光断熱材6を得ることができる。
採光断熱材6では、上記ロッド9の高さ方向寸法により、エアギャップ層Xの厚み方向寸法が決定される。従って、目的とするエアギャップ層Xの厚み方向寸法に応じて、ロッド9の直径を選択すればよい。
採光断熱材6では、7枚の合成樹脂シート8a〜8g間に、6層の均一な厚みのエアギャップ層Xが形成されている。このエアギャップ層Xでは、ロッド9間に空間が形成されているため、優れた断熱作用を発現する。また、上記エアギャップ層Xを有するものであるため、採光断熱材6の重量は比較的小さい。よって、軽量化を妨げることなく、車両用採光断熱装置3を形成することができる。
上記採光断熱材6においては,長尺状のロッド9の両端部においてエアギャップ層Xが露出をしている。このエアギャップ層Xへの水分等の侵入を防止するために、好ましくは、上記エアギャップ層が露出している端部を封止樹脂等により封止することが望ましい。
上記採光断熱材6の複数枚の合成樹脂シート8a〜8gのうち、ガラス板4の内面4a側に位置している合成樹脂シート8aとして図1(b)に示した前述の熱線反射フィルム5を用いてもよい。粘着剤を塗工した熱線反射フィルム5を、ガラス板4の内面4aに直接貼付し、結果として合成樹脂シート8aの表面に積層してもよい。
図3(a)及び(b)は、固定部材7を示す正面断面図及び斜視図である。
固定部材7は、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートのような透明性を有する硬質の合成樹脂からなる。サンルーフとしては120℃程度の高温に耐え得る耐熱性に優れていること及び耐磨耗性に優れていることが求められる。そのため、上記固定部材7は、アクリル樹脂またはハードコート処理されているポリカーボネート板からなることが望ましい。特にFMVSSなどのような難燃性の基準を満たすには、ポリカーボネート板が好ましい。
固定部材7は、底板部7aと、側壁部7bの外周縁から図1(b)に示したガラス板4の内面4a側に向かって延びる角環状の側壁部7bと、側壁部7bの先端から外側かつガラス板4の内面4aに沿う方向に延ばされている固定部7cとを有する。固定部材7は、上記底板部7a及び側壁部7bで囲まれた収納空間を有する。この収納空間内に上記採光断熱材6が収納される。すなわち、固定部材7は、採光断熱材6を収納した構造をガラス板4に固定するために設けられている。固定部材の成形方法は特に限定されることはない。たとえば、射出成形による方法や、平板を真空プレス成形する方法等が挙げられる。
従って、底板部7aの平面形状は、収納される採光断熱材6の平面形状に適合されている。本実施形態では、採光断熱材6の平面形状が矩形であるため、底板部7aの平面形状も矩形とされている。もっとも、採光断熱材6の平面形状が楕円形等であれば、底板部7aの平面形状もそれに応じて楕円形等とすればよい。
上記側壁部7bの高さは、収納される採光断熱材6の厚みに応じて決定すればよい。好ましくは、採光断熱材6及び熱線反射フィルム5が設けられている場合、熱線反射フィルム5と採光断熱材6との積層体の厚みと側壁部7bの高さとを一致させるか、該積層体の厚みよりも側壁部7bの高さを若干低くすることが望ましい。それによって、固定部材7により採光断熱材6をガラス板4に取り付けた際に、採光断熱材6の上面とガラス板4の内面とを密着させることができる。よって、無駄な空間を無くすことができる。
固定部7cは、上記側壁部7bの全周にわたり設けられているが、外周縁の一部にのみ設けられていてもよい。もっとも、固定部材7により採光断熱材6をガラス板4に確実に固定するには、外周縁の全周にわたり固定部7cが設けられていることが望ましい。
固定部7cの上面がガラス板4の内面4aに固定されている。この固定は、例えば両面粘着テープや接着剤、または金属のかしめ等を用いて行うことができ、固定方法は特に限定されるものではない。
本実施形態では、7枚の合成樹脂シート8a〜8gを用い、6層のエアギャップ層Xが形成されているが、この合成樹脂シートの枚数は、形成すべきエアギャップ層の数に応じて決定される。例えば、5層のエアギャップ層を形成したい場合には、6枚の合成樹脂シートをロッド9を介して積層すればよい。
もっとも、エアギャップ層Xの積層数は、車両用採光断熱装置3全体の可視光線透過率が7%以上であり、日射熱取得率が30%以下であるように選択される。
本実施形態の車両用採光断熱装置3では、上記特定のガラス板4に上記採光断熱材6及び熱線反射フィルム5が積層されているため、外部からの光を車両内に効果的に導くことができるとともに、断熱効果に優れているのでTtsを低めることができる。ここで、車両用採光断熱装置3全体としての可視光線透過率は7%以上であり、日射熱取得率は30%以下である。従って、車内の明るさと、断熱効果とを両立したサンルーフを構成することができる。
可視光線透過率が10%未満では、車内への採光効果が充分でなく、日射熱取得率が30%を超えると昼間あるいは夏季において車内の温度が高くなり、冷房負担が大きくなる。
前述したように、米国カリフォルニア州におけるCARV規制では、冷房による負担を軽減し、燃費を向上させるために、日射熱取得率は30%以下であることが求められている。本実施形態によれば、日射熱取得率を30%以下とすることができ、この基準を満たしたサンルーフを構成することができる。
なお、本実施形態では、熱線反射フィルム5が設けられているが、熱線反射フィルム5は必ずしも設けられずともよい。
夏季においては、冷房負担を軽減することが強く求められる。従って、上記のように、光の入り口側がある合成樹脂シート8aに熱線反射フィルム5が積層されていることが望ましい。それによって、冷房の負担を効果的に軽減することができる。
熱線反射フィルム5は、採光断熱材6の合成樹脂シート8aではなく、ガラス板4とは反対側に位置している最下層の合成樹脂シート8gに積層されていてもよい。
寒冷地で用いる場合には、内部の熱の外部への放散を抑制することが望ましい。その場合には、合成樹脂シート8gに熱線反射フィルム5を積層することが望ましい。この場合、合成樹脂シート8gに直接熱線反射フィルム5を積層し、固定部材7に採光断熱材6を収納してもよい。あるいは、あらかじめ固定部材7の底板部7aに熱線反射フィルム5を積層し、しかる後、採光断熱材6を上記収納空間に収納することにより、結果として採光断熱材6の合成樹脂シート8gに熱線反射フィルムを積層してもよい。
また、本発明においては、上記熱線反射フィルムは、複数枚の合成樹脂シート8b〜8fの少なくとも一層に設けられていてもよい。
また、本実施形態では、熱線反射フィルム5を用いたが、熱線反射フィルム5に代えて、熱線反射性材料をガラス板4の内面4a、合成樹脂シート8a〜8gの主面または固定部材7の底板部7aにコーティングすることにより、熱線反射層を形成してもよい。
上記熱線反射性材料としては、前述した遮熱粒子を含む適宜の組成物を用いることができる。
次に、具体的な実施例及び比較例を説明する。
以下の実施例及び比較例においては、下記の材料を用意した。
(1)ガラス板
1)グレー着色ガラス:厚み4mm。灰色を露呈している。可視光線透過率は20%。
2)グリーン着色ガラス:厚み4mm。可視光線透過率は73.6%。
(2)採光断熱材 6−0.125*5=5.375/5=1.
A)エアギャップ5層採光断熱材:エアギャップ層が5層、6枚の合成樹脂シートの積層体。エアギャップの大きさは1.07mm、採光断熱材全体の厚みは6mm。合成樹脂シートの厚みは0.125mm。合成樹脂シートはPETフィルム及びロッドの材料は粘着性を有するアクリル系樹脂を使用した。
B)エアギャップ9層採光断熱材:エアギャップ層が9層、10枚の合成樹脂シートの積層体。エアギャップの大きさは0.53mm、採光断熱材全体の厚みは6mm。合成樹脂シートの厚みは0.125mm。合成樹脂シート及びロッドの材料はPETフィルム及びロッドの材料は粘着性を有するアクリル系樹脂を使用した。
C)エアギャップ12層採光断熱材:エアギャップ層が12層、13枚の合成樹脂シートの積層体。エアギャップの大きさは0.53mm、採光断熱材全体の厚みは8mm。合成樹脂シートの厚みは0.125mm。合成樹脂シート及びロッドの材料はPETフィルム及びロッドの材料は粘着性を有するアクリル系樹脂を使用した。
D)エアギャップ5層採光断熱材:エアギャップ層が5層、6枚の合成樹脂シートの積層体。エアギャップの大きさは1.05mm、採光断熱材全体の厚みは6mm。合成樹脂シートの厚みは0.125mm。合成樹脂シート及びロッドの材料はPETフィルム及びロッドの材料は粘着性を有するアクリル系樹脂を使用した。
(3)熱線反射フィルム
熱線反射フィルムa:ハニタ社製、品番:ハニタ50M、PETフィルムに、金属蒸着したフィルム。厚みは0.05mm。
(4)固定部材:ポリカーボネート系樹脂(三菱ガス化学社製、品番:IMR05)からなり、底板部の厚みが1mm、底板部の平面形状は315mm×770mmの略矩形形状。側壁部の高さは4.0mm、固定部の外周縁は略矩形の平面形状であり、その寸法は435mm×891mm。固定部の肉厚は均一であり、1mmとした。
(実施例1)
上記エアギャップ層5層採光断熱材Aの合成樹脂シートの一方面に上記熱線反射フィルムaを積層してなる構造を上記固定部材に収納し、グレー着色ガラスの一方面に固定部材7の固定部7cを発泡基材つき両面テープにより貼り付け、車両用採光断熱装置を形成した。
(実施例2,3)
使用したガラス板または採光断熱材を下記の表1に示すように変更したこと、あるいは熱線反射フィルムを用いなかったことを除いては上記実施例1と同様にして車両用採光断熱装置を作製した。
(比較例1)
上記グレー着色ガラスのみを用いた。
(比較例2)
熱線反射フィルムaを用いなかったことを除いては、実施例1と同様にして車両用採光断熱装置を作製した。すなわち、上記エアギャップ5層採光断熱材Dを用いた。
(比較例3)
上記グリーン着色ガラスのみを用いた。
(実施例及び比較例の評価)
上記のようにして得られた各車両用採光断熱装置全体の可視光線透過率を日立製作所製分光光度計により測定した。また、該車両用採光断熱装置の日射熱取得率を分光光度計により測定した。結果を下記の表1に併せて示す。
また、上記熱線反射フィルムaと、熱線反射フィルムaが積層されたエアギャップ5層採光断熱材A)と、エアギャップ5層採光断熱材D)と、エアギャップ9層採光断熱材B)と、エアギャップ12層採光断熱材C)の可視光線透過率及びTtsを下記の表2にあわせて示す。
Figure 2011121513
Figure 2011121513
1…自動車
2…ルーフ
3…車両用採光断熱装置
4…ガラス板
4a…内面
5…熱線反射フィルム
6…採光断熱材
7…固定部材
7a…底板部
7b…側壁部
7c…固定部
8a〜8g…合成樹脂シート
9…ロッド
X……エアギャップ層

Claims (8)

  1. 車両の開口部に設けられる車両用採光断熱装置であって、
    可視光線透過率が15%〜90%の範囲にあり、かつ日射熱取得率が31%〜90%の範囲にあるガラス板と、
    前記ガラス板の前記車両の内面側に積層された採光断熱材と、
    前記ガラス板の前記車両の内面と隔てて配置されている底板部と、前記底板部の外周縁から前記ガラス板の前記内面側に向かって延びる側壁部と、
    前記側壁部の前記ガラス板の前記内面側端部から前記ガラス板の内面に沿うように、外側に向かって延ばされた固定部とを備え、透明な合成樹脂からなる固定部材とを備え、
    前記固定部材の前記底板部と前記側壁部とで囲まれた空間に前記採光断熱材が収納されており、前記固定部材の前記固定部において前記ガラス板の前記内面に固定されており、
    前記採光断熱材が、複数枚の透明な合成樹脂シートと、複数枚の合成樹脂シートにおいて隣り合う合成樹脂シートの主面同士を接合するように設けられた複数本のロッドとを備え、隣り合う合成樹脂シート間にエアギャップ層が設けられている積層体からなり、
    前記車両用採光断熱装置における可視光線透過率が7%以上であり、日射熱取得率が30%以下である、車両用採光断熱装置。
  2. 前記採光断熱材が3層〜15層のエアギャップ層を有するように、前記複数枚の合成樹脂シートとして、4枚〜16枚の合成樹脂シートを有する、請求項1に記載の車両用採光断熱装置。
  3. 前記採光断熱材が、いずれかの前記合成樹脂シートに積層された熱線反射層をさらに備える、請求項1または2に記載の車両用採光断熱装置。
  4. 前記熱線反射層が、前記採光断熱材の前記複数枚の合成樹脂シートのうち、前記ガラス板の前記内面側に位置している合成樹脂シートに積層されている、請求項3に記載の車両用採光断熱装置。
  5. 前記熱線反射層が、前記採光断熱材の、前記ガラス板の内面とは反対側の面に位置している合成樹脂シートとして使用されている、請求項3に記載の車両用採光断熱装置。
  6. 前記熱線反射層が、前記固定部材の前記底板部の内面上に設けられている、請求項2に記載の車両用採光断熱装置。
  7. 前記熱線反射層が、熱線反射フィルムである、請求項3〜6のいずれか1項に記載の車両用採光断熱装置。
  8. 前記車両の採光部が自動車の天井部であって、サンルーフを構成している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用採光断熱装置。
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