JP2008115682A - 採光断熱材 - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱性に優れ、透明性が高く、軽量であって、熱割れ可能性が小さい採光断熱材及び採光断熱板を提供する。
【解決手段】複数の基材フィルム1a,1b,1cが、厚さが100μm〜3mmのガス層2を挟んで各々対向した構造を有する採光断熱材であって、可視光線透過率が20%以上であり、前記ガス層2のうち、少なくとも1層は、空気よりも低い熱伝導率を有する低熱伝導性ガスが封入され、その周辺部が封止された低熱伝導性ガス層である採光断熱材。
【選択図】図3a

Description

本発明は、断熱性に優れ、透明性が高く、軽量であって、熱割れ可能性が小さい採光断熱材及び採光断熱板に関する。
近年の建築物では、省エネルギーの観点から、外界との高い断熱効果を達成し冷暖房の効率を極限にまで高める試みがなされている。このような目的のために断熱性の高い壁材等が種々提案されている。
建築物の住環境等を考える場合に、採光は極めて重要である。現在の建築物においては、採光部にはガラス窓を設置するのが一般的であるが、壁材等に比べて高い断熱効果を発揮させるのは難しかった。「省エネルギー技術戦略報告書」(平成14年6月12日、経済産業省)によれば、全消費エネルギーの45%が窓等の開口部から損失しているといわれている。
断熱性の高いガラスとしては、いわゆるペアガラスが提案されている(例えば、特許文献1等)。ペアガラスは、2枚のガラス間に隙間を設け、ガラス間を真空としたり、アルゴン等の不活性ガスを吹き込んだりしたものであり、ガラス間の空間の存在により、高い断熱効果を発揮しようとするものである。しかしながら、ペアガラスは通常のガラスに比べて重くて嵩張るという問題があった。また、ガラス間に生じる結露を防止するため、特殊な乾燥剤が必要とされていた。また、コスト面でも数万〜十数万円/mかかり、通常の住宅へ応用するのは困難であった。更に、長期間使用する間に空気が侵入して真空状態が破れたり、ガス抜けが起こったりして、性能が低下してしまうことがあるという問題もあった。そこで、断熱性に優れ、透明性が高くかつ軽量である採光断熱材が求められていた。
一方、建築物の開口部、採光部等としてガラス板を用いる場合には、ガラス板に対して、サッシ、カーテンウオール等を取り付けたり、熱線反射フィルム等を貼付したりすることが一般に行われている。しかしながら、こうした場合には、日射の照射部と周辺部との温度差が大きくなることから、ガラス板の熱割れを誘引する可能性が高いという問題があった。
このような問題に対しては、サッシ等を取り付ける場合には、ガラス板とサッシ等とのクリアランスを充分にとる必要があり、ガラス板のエッジには直接接触することによる熱伝導を防ぐために弾性シーリング等を使用することによって充分に断熱する必要があった。また、熱線反射性フィルムを貼付する場合には、貼付するガラス板の強度や、ガラス板が取り付けられる建築物の場所(方位、周囲の建築物、樹木等の影の状況等)によっては、熱線反射性フィルムを使用することができないことがあった。
特開2003−026453号公報
本発明は、上記現状に鑑み、断熱性に優れ、透明性が高く、軽量であって、熱割れ可能性が小さい採光断熱材及び採光断熱板を提供することを目的とする。
本発明1は、複数の基材フィルムが、厚さが100μm〜3mmのガス層を挟んで各々対向した構造を有する採光断熱材であって、
可視光線透過率が20%以上であり、前記ガス層のうち、少なくとも1層は、空気よりも低い熱伝導率を有する低熱伝導性ガスが封入され、その周辺部が封止された低熱伝導性ガス層である採光断熱材である。
本発明2は、複数の基材フィルムが、厚さが100μm〜3mmのガス層を挟んで各々対向した構造を有する採光断熱材であって、
可視光線透過率が20%以上であり、前記ガス層のうち、少なくとも1層は、空気よりも低い熱伝導性を有する低熱伝導性固体が充填された低熱伝導性固体充填層である採光断熱材である。
本発明3は、複数の基材フィルムが、厚さが100μm〜3mmのガス層を挟んで各々対向した構造を有する採光断熱材であって、
可視光線透過率が20%以上であり、前記基材フィルムのうち、少なくとも1枚は、熱線遮蔽機能を有するフィルムである採光断熱材である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の採光断熱材は、複数の基材フィルムが、所定のガス層を挟んで各々対向した構造を有する。
本発明の採光断熱材は、2枚の基材フィルムの間にガス層が挟持された構成のもの(図1a)であってもよいが、後述する可視光線透過率を満たす限りにおいて、3以上の複数の基材フィルムの間にガス層が挟持された構成のものが好ましい(図1b)。複数のガス層を有する本発明の採光断熱材は、高い断熱効果を発揮することができる。また、基材フィルム間の温度差が小さく、結露の発生が抑制されることから、従来必要であった乾燥剤の量を減じることができ、使用しないですむ場合もある。
本発明の採光断熱材において、上記ガス層を構成するガスとしては特に限定されず、例えば、空気、二酸化炭素等が挙げられる。
また、上記ガスとして、芳香効果のあるガス、煙等を用いて着色したガス等を充填することができる。このようなガスを充填することによって、本発明の採光断熱材に諸機能を付与することができる。
上記ガス層には、意匠性を付与するための液体が挿入されてもよい。
上記液体としては特に限定されないが、例えば、色水等が好ましい。色水等を用いることによって、本発明の採光断熱材に意匠性を付与することができる。
なお、上記液体を上記ガス層に挿入する場合には、上記液体を挿入したガス層のシール封止を充分に行う必要がある。
上記ガス層に上記液体を挿入する場合は、上記液体が上記ガス層の全空間を充填するように挿入してもよく、上記ガス層の一部、例えば、上記ガス層における上記セルの一部のみに挿入することもできる。
上記ガス層には、意匠性を付与するための固体が挿入されてもよい。
上記固体としては特に限定されず、例えば、カラービーズ、人形、ぬいぐるみ、布・衣料類、紙製のモール、ドライフラワー、湿度調整剤を付与した生花等のデイスプレイに使用される材料、絵、書等の居住空間のインテリア性を向上させる材料、ライト、ランプ等の発光体等が挙げられる。
上記ガス層に上記固体を挿入する場合は、上記固体が上記ガス層の全空間を充填するように挿入してもよく、上記ガス層の一部、例えば、上記ガス層における上記セルの一部のみに挿入することもできる。上記固体を上記ガス層に挿入する場合は、ワイヤー、ピアノ線、ガラスファイバー等を用いる方法又は貼付する方法によって上記固体の一部を固定してもよい。
上記ガス層には、上記液体と固体とを組み合わせて挿入してもよく、上記ガス層において上記液体に上記固体を浮遊させたり、上記液体に上記固体を沈めたりしてもよい。
上記ガス層に上記液体又は固体を挿入する場合、上記基材フィルムは、自重に耐えることができる強度を有するものであることが好ましい。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ガス層の厚さを特定の範囲としたときに、特に高い断熱効果を発揮できることを見出した。熱貫通率はガス層の厚さに関係するが、ガス層の厚さが0のときには基材フィルム自身の熱貫通率に等しく、ガス層が充分に厚くなるとガス自身の熱貫通率(理論値)に近くなる。ところが、本発明者らが詳細に検討したところ、熱貫通率は、一定のガス層厚のときに極小値を示すことが判った。即ち、本発明の採光断熱材において、ガス層の厚さの下限を100μm、上限を3mmとした場合に、特に高い断熱効果が得られることが判った。より好ましい下限は200μm、より好ましい上限は2mmである。
また、このことは、厚いガス層をただ一つだけ有するものよりも、一定の厚さのガス層を複数有するものの方が断熱効果が高いことを意味している。
上記ガス層は、周辺部を封止することにより「動かないガスの層」を形成してもよい。このような構造を有することによって、高い断熱効果を発揮するものである。
また、上記ガス層は、他のガス層と上記基材フィルムを介して通じていてもよく、ガスがガス層間を移動することができる構造を有するものであってもよい。
上記ガス層は、複数のセルに分割されていることが好ましい。ガス層が複数のセルに分割されることにより、本発明の採光断熱材全体の強度を高めることができる。また、個々のセルの独立性、気密性が高まることにより、より高い断熱性能を発揮することができる。ガス層の各セルの大きさの好ましい下限は4cm、好ましい上限は1800cmである。4cm未満であると、得られる採光断熱材の可視光線透過率が劣ることがあり、1800cmを超えると得られる採光断熱材の強度が劣ることがある。好ましい下限は25cmであり、好ましい上限は600cmである。
本発明の採光断熱材において、上記基材フィルムとしては、透明性に優れるものであれば特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが好ましい。
上記樹脂フィルムとしては、透明性に優れるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、アクリル、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、トリ酢酸セルロース等からなるものが挙げられる。
なかでも、自消性であって建築材として適合性がよいことから、ポリカーボネート、塩化ビニルが好適である。また、樹脂フィルムの耐傷性を向上させる目的で、ハードコートを施した樹脂フィルムを用いることが好ましい。このようなハードコートとしては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂からなるものが挙げられる。このようなハードコートを施した樹脂フィルムとしては、例えば、ポリカーボネートフィルム等の表面にアクリル樹脂層が形成された2層構造を有する樹脂フィルムを好適に使用することができる。更に、他の基材フィルムへ樹脂フィルムを積層する場合には、例えば、ポリブチレンテレフタレートを好適に使用することができる。
本発明の採光断熱材において、上記基材フィルムは全て同じものであってもよいし、各々異なっていてもよい。図2に、各基材フィルムが異なる場合における、本発明1の採光断熱材の一例の断面を示す模式図を示した。
図2に示した採光断熱材は、2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムと、2枚のポリカーボネートフィルムとを、各々の樹脂フィルム間にガス層を挟んでポリカーボネートフィルムが最外層となるように積層した構造を有する。ポリカーボネートフィルムは、強度と耐候性とに優れることから、これ最外層とすることにより防犯性や耐候性を発揮させることができる。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度に優れる。
本発明の採光断熱材は、更に、上記基材フィルムとして意匠性付与を目的とする意匠性フィルム、視認性調整を目的とする光学調整フィルム等、諸機能付与を目的とするフィルムを有してもよい。
本発明の採光断熱材が上記意匠性フィルムを有する場合には、意匠性付与の観点から、これと組み合わせて、上記ガス層にライト、ランプ等の発光体を挿入することが効果的である。
上記発光体を上記ガス層内に挿入した場合、配線が存在する場合には、適宜必要部を切り欠き、その部分をシールすることが必要である。
上記発光体は、上記ガス層内に挿入してもよいが、上記発光体を室内に配置し、室内側から室外を照射しても同様の意匠性付与効果が得られる。
本発明の採光断熱材は、上記意匠性フィルムを複数枚有してもよい。上記意匠性フィルムを複数枚有することによって、グラデーション等の視覚的効果を生み出すことができ、奥行きを持たせ、立体的な視覚効果を生み出すことが可能となる。
本発明の採光断熱材は、目的に応じて、上記基材フィルムに、宣伝用のロゴや部分貼りのシール等を貼付してもよい。
上記基材フィルムの厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は300μmである。10μm未満であると、得られる採光断熱材の強度が劣ることがあり、300μmを超えると、同じ断熱効果を得るのに必要以上に採光断熱材が厚くなることがある。より好ましい下限は20μm、より好ましい上限は200μmである。本発明の採光断熱材において、表面のみの強度が必要とされる場合は、表面層にのみ厚い基材フィルムを使用してもよい。
本発明の採光断熱材は、基材フィルム間にスペーサを有することが好ましい。該スペーサは、上記ガス層の維持(基材フィルム間隔の維持)、ガス層の周辺部の封止、ガス層の分割等に用いられるものである。
上記スペーサとしては特に限定されないが、採光断熱材の可視光線透過率を確保するために透明であることが好ましく、また、採光断熱材の断熱性能を阻害しないために断熱性が高いものであることが好ましい。このようなスペーサとしては特に限定されないが、例えば、中空体(発泡体を含む)、FRP、自己粘着性を有するアクリル樹脂等が好適である。
上記スペーサの形状としては特に限定されず、粒子状、線状等であってもよい。また、上記スペーサの形状により、得られる採光断熱材に意匠性を付与してもよい。なお、上記ガス層が複数ある場合には、各々のガス層を規定するスペーサは同一の形状であってもよいし、異なった形状であってもよい。例えば、隣接するガス層を規定するスペーサが直交するようにして、全体としてスペーサが格子状となっていてもよい。
本発明の採光断熱材は、可視光線透過率の下限が20%である。20%未満であると、充分な採光を得ることができない。好ましい下限は30%、より好ましい下限は40%である。
本発明の採光断熱材は、単独で、又は、通常のガラスと併用して建築物の採光部に設置することにより高い断熱性能を発揮することができる。本発明の採光断熱材の設置態様としては特に限定されないが、例えば、通常のガラスによる出窓状の採光部において、該ガラスの内側に該ガラスから離して設置することが考えられる。本発明の採光断熱材を着脱可能なように設置することにより、季節や目的に合わせて本発明の採光断熱材を用いることができる。また、本発明の採光断熱材を、開閉可能な形としてもよい。
本発明の採光断熱材は、また、例えばビニールハウス等の農業用フィルムとしても好適である。
本発明1の採光断熱材において、上記ガス層のうち、少なくとも1層は、空気よりも低い熱伝導率を有する低熱伝導性ガスが封入され、その周辺部が封止された低熱伝導性ガス層である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ガス層のうち、少なくとも1層は、空気よりも低い熱伝導性を有する低熱伝導性ガス層を封入し、その周辺部を封止することによって、高い断熱性能を発揮することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記低熱伝導性ガス充填層は、低熱伝導性ガスが空気により置換されることによって断熱性が低下することを防止し、長期間安定的に低熱伝導性ガスを保持するため、低熱伝導性ガス充填層の周辺部はコーキング剤、枠材等を用いることによって、又は、これらを組み合わせることによって封止されていることが好ましい。
上記低熱伝導性ガス充填層以外のガス層は、封止されていなくてもよいが、物理的な塵ゴミ等の侵入を防御し、熱の出入りを最小限に抑えるために、テープシール、ウレタンフォーム等の断熱材を用いることによって封止されていてもよい。
上記低熱伝導性ガスとしては特に限定されず、例えば、アルゴン、クリプトン、二酸化炭素等を用いることができる。なかでも、二酸化炭素が好適である。二酸化炭素は、大気中に約0.03%の濃度で存在し、温室効果を有するガスと考えられているため、これを有効に活用することによって、省エネルギー化を図ることができる。また、二酸化炭素は取扱性に優れるため、通常の使用によりガス層から二酸化炭素が漏れ出し、断熱性が低下した場合であっても、再び容易に二酸化炭素を封入することができる。
本発明1の採光断熱材は、上記ガス層にガスを注入するためのガス注入口、及び、ガスを排出するためのガス排出口を有することが好ましい。このようにガス注入口及びガス排出口を有することによって、使用により低熱伝導性ガスが漏れ出した場合であっても、再び低熱伝導性ガスを封入することができるため、高い断熱性能を維持することが可能となる。
また、低熱伝導性ガスとして二酸化炭素を用いる場合、二酸化炭素は汎用性があり、取扱性に優れることから、メーカー側ではなくユーザー側で、容易に二酸化炭素を封入することが可能である。
図3は、ガス注入口及びガス排出口を有する採光断熱材の一例を示す模式図である。
図3aは、ガス注入口及びガス排出口を有する採光断熱材の一例を示す正面図、図3bは図3aのA−A断面図、図3cは図3aのB−B断面図である。
上記ガス注入口及びガス排出口を有する採光断熱材の構造としては、ガスを充填することができる構造を有していれば特に限定されないが、図3に示すように、線状スペーサが一方向に並んだ構造を有することが好ましい。このような構造を有することによって、ガスを容易に充填することが可能となる。
上記ガス注入口及びガス排出口を有する採光断熱材の構造としては、図3に示すように、各線状スペーサの長さを互い違いに短くしたり、全体的に短くしたりすることによって、各ガス層が通じていることがより好ましい。このような構造を有することによって、ガスをより容易に充填することが可能となる。ガス層がスペーサによって完全に区切られ、独立したセルが形成されると、ガス注入口又はガス注入口に用いる配管部材の形状が複雑になったり、ガスを注入する回数が増加したりすることがある。
上記ガス注入口又は上記ガス排出口としては特に限定されないが、金属からなるものでないことが好ましく、低い熱伝導率を有する樹脂からなることが好ましい。
上記低い熱伝導率を有する樹脂としては特に限定されず、例えば、テフロン(登録商標)、ポリカーボネート、シリコーン等が挙げられる。
上記ガス注入口又は上記ガス排出口の形状としては特に限定されず、一般的に使用されている形状を用いることができ、浮き輪、車輪等に使用されている逆止弁構造等を用いることができる。
上記ガス注入口又は上記ガス排出口の係合部の構造としては特に限定されず、ねじ式、差し込み式等が挙げられる。
上記ガス注入口又はガス排出口は、補強用面材を貼り付けることによって、ガス注入口又はガス排出口の界面が補強されていることが好ましい。
上記補強用面材を構成する材料としては特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ハードコートを施したポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ハードコートを施したポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
上記ガス注入口又はガス排出口の設置態様としては特に限定されず、例えば、ガス注入口とガス排出口とを採光断熱材の上部に設置する態様、ガス注入口とガス排出口とを採光断熱材の上部と下部とに分けて設置する態様、ガス注入口とガス排出口とを採光断熱材の対角線上に設置する態様等が挙げられる。
本発明1の採光断熱材において、更に、上記ガス層のうち、少なくとも1層は、後述の本発明2における空気よりも低い熱伝導性を有する低熱伝導性固体が充填された低熱伝導性固体充填層であってもよい。本発明1の採光断熱材において、更に、上記基材フィルムのうち、少なくとも1枚は、後述の本発明3における熱線遮蔽機能を有するフィルムであってもよい。このような構成を有することによって、本発明1の採光断熱材は、更に高い断熱性能を発揮することが可能となる。
本発明2の採光断熱材において、上記ガス層のうち、少なくとも1層は、空気よりも低い熱伝導性を有する低熱伝導性固体が充填された低熱伝導性固体充填層である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ガス層のうち、少なくとも1層は、空気よりも低い熱伝導性を有する低熱伝導性固体が充填することによって、ガス層のみを有する構造に比べて、高い断熱性能を発揮することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、低熱伝導性固体は、ガス層から漏れ出す恐れがないことから、低熱伝導性固体充填層のシール性を高くする必要がなく、長期間安定的に高い断熱性を保持することが可能となる。
本発明2の採光断熱材において、上記空気よりも低い熱伝導性を有する低熱伝導性固体としては特に限定されないが、アエロジェル粒子であることが好ましい。アエロジェル粒子を用いることによって、透光性を保持しながら、高い断熱性能を発揮することが可能となる。
なお、本明細書において、アエロジェルとは、多孔質な構造を有する微細な固体材料をいう。
上記アエロジェルとしては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、ハフニウム、カーバイド、各種ポリマー等からなるものを用いることができる。なかでも、透光性が高いことから、シリカからなるアエロジェルが好適である。
上記アエロジェル粒子は、粒子表面が疎水化処理されていることが好ましい。アエロジェル粒子の表面を疎水化処理することによって、アエロジェル粒子がガス層中で吸湿することを防止することができる。
上記アエロジェル粒子の表面を疎水化処理する方法としては特に限定されず、例えば、シラン、シロキサン等により化学的に処理する方法等を用いることができる。
上記アエロジェル粒子の平均粒径としては、アエロジェル粒子を充填するガス層の厚さを超えなければ特に限定されないが、好ましい下限は0.1mm、好ましい上限は3mmである。0.1mm未満であると、透光性が不充分となることに加え、非常に軽量となることから、充填時に飛散することがあり、取り扱いが困難となることがある。3mmを超えると、最密充填するのが困難となり、粒子間の空隙が大きくなることから、断熱性が不充分となることがある。また、上記ガス層の厚さの好ましい上限が3mmであることから、アスペクト比の大きいアエロジェルであっても、充填時の効率が大きく低下することがある。
本発明2の採光断熱材において、上記低熱伝導性固体充填層の端部に沿って乾燥剤を充填することが好ましい。乾燥剤を充填することにより、長期間安定的に高い断熱性を保持することが可能となる。
本発明2の採光断熱材は、低熱伝導性固体が充填されている低熱伝導性固体充填層を最外層に有することが好ましい。このような構造を有することによって、より高い断熱性能を発揮することができる。
本発明2の採光断熱材では、上記低熱伝導性固体充填層において、上記スペーサが線状又は対角線状に形成されていることがより好ましい。このようにスペーサが形成されていることによって、上記低熱伝導性固体の自重に起因する上記樹脂フィルムの撓みや変形を防止することができる。
本発明2の採光断熱材において、低熱伝導性固体充填層を挟持する基材フィルムの厚さは、好ましい下限が150μm、好ましい上限が300μmである。150μm未満であると、充填される低熱伝導性固体の自重を保持することができず、基材フィルムに撓みや変形が発生することがある。300μmを超えると、同じ断熱効果を得るのに必要以上に採光断熱材が厚くなることがある。
本発明2の採光断熱材において、更に、上記ガス層のうち、少なくとも1層は、上述の本発明1における空気よりも低い熱伝導率を有する低熱伝導性ガスが封入された低熱伝導性ガス層であってもよい。本発明2の採光断熱材において、更に、上記基材フィルムのうち、少なくとも1枚は、後述の本発明3における熱線遮蔽機能を有するフィルムであってもよい。このような構成を有することによって、本発明2の採光断熱材は、更に高い断熱性能を発揮することが可能となる。
本発明3の採光断熱材において、上記基材フィルムのうち、少なくとも1枚は、熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、基材フィルムのうち、少なくとも1枚は、熱線遮蔽機能を有する熱線遮蔽性フィルム又は熱線反射機能を有する熱線反射性フィルムとすることによって、樹脂フィルムのみを有する構造に比べて、高い断熱性能を発揮することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、このような熱線遮蔽性フィルム又は熱線反射性フィルムを有することによって、JIS R 3106に準拠した方法により測定した日射透過率、吸収率、反射率等からJIS R 3106に準拠した方法により算出される日射取得率を80%以下とすることが可能となる。熱線反射性フィルムを有する場合には、更に、断熱性も向上する。
上記熱線遮蔽性フィルムとしては特に限定されず、例えば、樹脂フィルムと熱線遮蔽性粒子とからなり、樹脂フィルムに熱線遮蔽性粒子を含有させたもの、又は、樹脂フィルムと熱線遮蔽性粒子とからなり、樹脂フィルム表面に熱線遮蔽性粒子をコーティングしたもの、等を使用することができる。
上記熱線反射性フィルムとしては特に限定されず、市販されているものを使用することができ、例えば、レフテルZC06T、レフテルZC05G(以上、NI帝人商事社製)等が挙げられる。上記市販の熱線反射性フィルムが粘着層を有している場合には、他の基材フィルムに貼り合わせることによって、熱線反射機能を付与することが可能である。
上記市販の熱線反射性フィルムが粘着層を有していない場合には、基材フィルムとして単独で用いることも可能である。
上記熱線遮蔽性粒子としては、熱線遮蔽機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ITO、6ホウ化物等からなる粒子を用いることができる。なかでも、安価であることに加え、少量で高い遮蔽性を発揮することができることから、6ホウ化物が好ましい。
上記6ホウ化物としては特に限定されず、例えば、6ホウ化ランタン(LaB)、6ホウ化セリウム(CeB)、6ホウ化プラセオジム(PrB)、6ホウ化ネオジム(NdB)、6ホウ化ガドリニウム(GdB)、又は、これらの混合物等を用いることができる。なかでも、6ホウ化ランタン(LaB)が好ましい。
上記熱線遮蔽性粒子の平均粒径の好ましい下限は1nm、好ましい上限は50nmである。1nm未満であると、凝集等が生じるため、均一な分散が困難となることがあり、50nmを超えると、透光性が損なわれることがある。
上記熱線遮蔽性フィルムにおいて、上記熱線遮蔽性粒子の含有量は、上記樹脂フィルム100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が0.5重量部である。0.01重量部未満であると、充分な断熱性能を発揮することができないことがある。0.5重量部を超えると、着色が大きく、意匠性や透光性が損なわれることがある。
本発明3の採光断熱材において、更に、上記ガス層のうち、少なくとも1層は、上述の本発明1における空気よりも低い熱伝導率を有する低熱伝導性ガスが封入された低熱伝導性ガス層であってもよい。本発明3の採光断熱材において、更に、上記ガス層のうち、少なくとも1層は、上述の本発明2における空気よりも低い熱伝導性を有する低熱伝導性固体が充填された低熱伝導性固体充填層であってもよい。このような構成を有することによって、本発明3の採光断熱材は、更に高い断熱性能を発揮することが可能となる。
本発明の採光断熱材を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、図4に記載した態様の製造装置を用いる方法が挙げられる。
図4に記載した製造装置9は、ロール状に巻き取った基材フィルムのロールから基材フィルムを送り出す基材フィルム送り出し部10、ロール状に巻き取ったロールからスペーサを送り出すスペーサ送り出し部11、基材フィルムとスペーサとを積層する貼り合せ部12とからなる。また、図4に記載した製造装置は、更に、スペーサ送り出し部11から送り出したスペーサの両面にホットメルト接着剤を塗布する接着剤加工部13を有する。
図4に記載した製造装置を用いて本発明の採光断熱材を製造する方法では、まず、スペーサ送り出し部11からスペーサを送り出す。送り出されたスペーサは、接着剤加工部13において両面にホットメルト接着剤が塗布される。次いで、スペーサの送り出しに合わせて、基材フィルムを送り出し部10から基材フィルムを送り出す。基材フィルムとスペーサとは、貼り合わせ部12においてエアブロー等により積層され、加熱されて接着される。上記エアブローは、積層の直前まで基材フィルムやスペーサが合着するのを防ぐとともに、積層後には熱風により接着するのにも用いられる。
なお、基材フィルムとスペーサとは、積層する前に、50〜130℃程度の予熱を行うことが好ましい。予熱により基材フィルムやスペーサの歪をとることができ、積層後に収縮等が発生するのを防止することができる。
本発明の採光断熱材は、また、基材フィルム上に、発泡剤を含有する硬化性樹脂組成物(例えば、エポキシ系等熱硬化型硬化性樹脂組成物やウレタン系等反応型硬化性樹脂組成物等)や熱可塑性樹脂組成物を塗工した後、発泡剤を発泡させる方法によっても製造することができる。
本発明1の採光断熱材の製造方法は、更に、上記低熱伝導性ガスを封入する工程を有する。上記低熱伝導性ガスを封入する方法としては特に限定されず、例えば、上記ガス封入口を用いて低熱伝導性ガスを封入する方法等が挙げられる。
本発明2の採光断熱材の製造方法は、更に、上記低熱伝導性固体を充填する工程を有する。上記低熱伝導性固体を充填する方法としては特に限定されず、例えば、得られた採光断熱材の原反のスペーサと垂直な面のうち一方のみを開口しておき、開口した面を上側に採光断熱材を垂直に立てた状態で、低熱伝導性固体を開口した面から挿入して、当該面を、気体透過性を有し低熱伝導性固体が通過しないガーゼ等で被覆する。次いで、挿入した低熱伝導性固体をコンプレッサー等により採光断熱材の下部へ圧送する方法、又は、挿入した低熱伝導性固体をバイブレーター等の振動により、採光断熱材の下部へ送る方法等が挙げられる。また、基材フィルム上に線上にスペーサを形成し、基材フィルムが水平の状態で低熱伝導性固体を基材フィルム面上に分散させ、薄くならした後に、基材フィルムを積層する方法が挙げられる。
本発明3の採光断熱材の製造方法においては、上記送り出し部5から送り出す基材フィルムとして、上記熱線遮蔽性フィルムもしくは、熱線反射フィルムを用いる。
本発明の採光断熱材は、建築物の開口部又は採光部を構成するガラス板等と組み合わせて使用することによって、採光断熱板として用いることができる。
通常、建築物の開口部等において、日射を透過しない材料、例えば、ダンボール等のボード等をガラス板の背後(室内側)に設置すると、ボードでの吸収熱量がガラスに再放熱することによって、ガラス板の温度が高まり、ガラス板の端部との温度差が大きくなるため、熱割れが発生する可能性が高くなる。これに対して、本発明の採光断熱材は、所定の範囲の日射透過率が及び日射吸収率を有し、上記ボード等よりも熱を透過しやすく、再放熱量が少ないことから、本発明の採光断熱材と、上記ガラス板とを組み合わせて用いても、ガラスの温度を高めることなく、熱割れ発生を抑制することが可能となる。
上記採光断熱板において、上記ガラス板に対して、本発明の採光断熱材を設置する態様としては特に限定されず、例えば、上記ガラス板から2mm以上離れた状態で設置する態様、上記ガラス板と本発明の採光断熱材とを上記自己接着性を有するスペーサを構成する材料を用いて線状又は点状に貼付固定する態様、上記ガラス板と本発明の採光断熱材とを接触させた状態で周辺固定する態様、上記ガラス板と本発明の採光断熱材とを従来公知の接着剤を用いて全面固定する態様等が挙げられる。なかでも、上記ガラス板から2mm以上離れた状態で設置する態様、又は、上記ガラス板との接触点を小さくするように設置固定する態様が好ましい。このような態様で設置することによって、熱割れの可能性をより低減することができる。
特に、上記ガラス板が熱線反射性ガラスである場合、及び、上記ガラス板表面に熱線反射性フィルムが貼付している場合を除いて、上記ガラス板と本発明の採光断熱材とを2mm以上離して設置することがより好ましい。このような態様で設置することよって、上記ガラス板における熱割れ可能性をより低減することができる。2mm未満であると、上記ガラス板において熱割れが発生する可能性が高まる。
上記採光断熱板において、上記ガラス板と本発明の採光断熱材とを貼付する場合、上記ガラス板と本発明の採光断熱材とを貼付する態様としては特に限定されず、例えば、開口部としての上記ガラス板の全面に貼付する態様、下半分、真ん中、上半分等の一部分のみに貼付する態様等が挙げられる。なかでも、開口部としての上記ガラス板の全面に貼付する態様は、熱割れが発生する可能性をより低減することができることから好ましい。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材が上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムを有する場合、上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムは、上記ガラス板と対峙する最表層以外の基材フィルムとして設置されること、又は、上記ガラス板と対峙する最表層以外の基材フィルムに貼付して設置されることが好ましい。上記採光断熱板において、上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムが上記ガラス板と対峙する最表層に設置されると、上記ガラス板に対して、接触させて設置した場合でも、一定間隔離して設置した場合でも、上記ガラス板と本発明の採光断熱材の表面との間で蓄熱され、結果的にガラス板の表面の温度が上昇することがある。そのため、上記ガラス板において熱割れが発生する可能性が高くなり、使用するガラス板の種類が許容応力の高いものに限定されることがある。これに対して、上記採光断熱板において、上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムが上記ガラス板と対峙する最表層以外の層に設置されることによって、放射断熱効果により、上記ガラス板と本発明の採光断熱材との間で生じる蓄熱が小さくなるため、熱割れが発生する可能性を極めて低減することができる。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材が上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムを有する場合、上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムは、上記ガラス板と対峙する最表層から数えて2枚目の基材フィルムとして設置されること、又は、上記ガラス板と対峙する最表層から数えて2枚目の基材フィルムに貼付して設置されることによって、熱割れの発生を抑制するとともに、日射取得率を低減することができる。こうして、特に夏場の断熱性の効果を向上させることができる。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材が上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムを有する場合、上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムは、上記ガラス板と反対側(以下、室内側ともいう)の最表層の基材フィルムとして設置されること、又は、上記ガラス板と反対側の最表層の基材フィルムに貼付して設置されることがより好ましい。このような態様で設置することによって、熱貫流率を向上させることができる。こうして、特に冬場の断熱性の効果を向上させることができる。
このような本発明の採光断熱材と、ガラス板とからなる採光断熱板であって、前記採光断熱材において、熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムが、前記ガラス板と対峙する最表層から数えて2枚目に設置されること、及び/又は、前記ガラス板とは反対側の最表層に設置される採光断熱板もまた、本発明の一つである。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材が複数枚の上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムを有する場合、上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムが、上記ガラス板と対峙する最表層以外の基材フィルムとして設置されること、又は、上記ガラス板と対峙する最表層以外の基材フィルムに貼付して設置されることが好ましい。なかでも、上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムが、上記ガラス板と対峙する最表層の基材フィルムから数えて2枚目の基材フィルム及び該2枚目の基材フィルムに近接する基材フィルムとして設置されること、又は、上記ガラス板と対峙する最表層から数えて2枚目の基材フィルム及び該2枚目の基材フィルムに近接する基材フィルムに貼付して設置されることがより好ましい。このような態様で設置されることによって、特に夏場の断熱性を向上させることができる。
また、上記採光断熱板において、上記熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムが、上記ガラス板と反対側の最表層の基材フィルム及び該最表層の基材フィルムに近接する基材フィルムとして設置されること、又は、上記ガラス板と反対側の最表層の基材フィルム及び該最表層の基材フィルムに近接する基材フィルムに貼付して設置されることがより好ましい。このような態様で設置されることによって、特に冬場の断熱性を向上させることができる。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材が上記諸機能付与を目的とするフィルムを有する場合、上記諸機能付与を目的とするフィルムを設置することによって、上記ガラス板、又は、そのエッジに影を生じるような場合には、上記諸機能付与を目的とするフィルムは、上記ガラス板と対峙する最表層以外の基材フィルムとして設置されることが好ましい。このような態様で設置されることによって、熱割れが発生する可能性が小さくすることができる。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材が上記意匠性フィルムを複数枚有する場合、上記意匠性フィルムが上記ガラス板と対峙する最表層以外の基材フィルムとして設置されることが好ましい。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材の基材フィルムに、上記宣伝用のロゴや部分貼りのシール等を貼付する場合、上記ガラス板と対峙する最表層以外の基材フィルムに貼付されることが好ましい。このように貼付されることによって、熱割れの発生を抑制することができる。上記宣伝用のロゴや部分貼りのシール等を上記ガラス板に直接貼付したり、上記ガラス板と対峙する最表層の基材フィルムに貼付したりすると、熱割れが発生することがある。
このように上記採光断熱板は、夏場及び冬場に断熱性を付与することができることに加え、開口部としてのガラス板の熱割れを防止し、安全に意匠性を付与することができる。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材のガス層に、上記固体又は液体が挿入される場合、上記固体又は液体は、上記ガラス板と対峙する最表層の基材フィルムと、該最表層の基材フィルムから数えて2枚目の基材フィルムとの間のガス層以外のガス層に挿入されることが好ましい。このように挿入されることによって、効果的に熱割れを防止することができる。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材のガス層に、上記気体が挿入される場合、上記気体は、上記ガラス板と対峙する最表層の基材フィルムと、該最表層の基材フィルムから数えて2枚目の基材フィルムとの間のガス層に挿入されること、又は、上記ガラス層とは反対側の最表層の基材フィルムと、該最表層の基材フィルムから数えて2枚目の基材フィルムとの間のガス層に挿入されることが好ましい。このように挿入されることによって、効果的に熱割れを防止することができる。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材のガス層に、上記固体、液体又は気体が挿入される場合、上記固体、液体又はガスを挿入するガス層を、室内側に設置することが好ましい。このような態様で設置されることによって、季節の変化等の必要に応じて、季節の変わり目等の短期間のうちに、上記固体、液体又はガスを充填する層のみを取り外したり、上記固体、液体又はガスを充填する層を交換したりすることができる。
上記採光断熱板において、本発明の採光断熱材のガス層に、上記固体、液体又は気体が挿入される場合、上記固体、液体又は気体を挿入するガス層を構成する基材フィルム間のスペーサとしては特に限定されないが、上記自己接着性を有するスペーサであることが好ましい。自己接着性を有するスペーサを用いることによって、上記固体、液体又は気体を挿入するガス層を容易に脱着可能となるため、季節の変化等の必要に応じて、季節の変わり目等の短期間のうちに、固体、液体又はガスを挿入する層のみを取り外したり、交換したりすることが可能となる。
本発明によれば、断熱性に優れ、透明性が高く、軽量であって、熱割れ可能性が小さい採光断熱材及び採光断熱板を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
外径0.9mm、長さ1180mmのFRPからなる透明チューブをスペーサとして用いた。幅300mm×高さ1200mmの大きさで、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム2枚と、幅300mm×高さ1180mmの大きさで、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム9枚とを基材フィルムとして使用した。上述のスペーサを50mm間隔で、上述の各ポリエチレンテレフタレートフィルム上に設置し、このスペーサを各々挟持するようにして、上述した2枚の幅300mm×高さ1200mmの大きさのポリエチレンテレフタレートフィルムが、それぞれ最表面を構成するように、11枚のポリエチレンテレフタレートフィルムをアクリル系粘接着剤を用いて貼り合わせた。
次いで、全層を二酸化炭素で置換し、周囲をシーラント(スーパーシール、セメダイン株式会社製)により封止して、採光断熱材を作製した。得られた採光断熱材の総厚さは約10mmであった。
図5は得られた採光断熱材の正面図、図6は図4のA−A断面図である。
図6において、14はFRPからなるスペーサ、15はポリエチレンテレフタレートフィルム、16はアクリル系粘着剤、17は低熱伝導性ガス層である。
(実施例2)
11枚の厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた代わりに、21枚の厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、外径0.9mmのFRPを用いた代わりに、外径0.45mmのFRPを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、採光断熱材を作製した。得られた採光断熱材の総厚さは約10mmであった。
(実施例3)
外径1.9mm、長さ1200mmのFRPからなる透明チューブをスペーサとして用いた。全て幅300mm×高さ1200mmの大きさのフィルムを使用し、上述のスペーサを50mm間隔で配置し、このスペーサを各々挟持するようにして6枚の厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをアクリル系粘接着剤を用いて貼り合わせた。
次いで、最外層にアエロジェル粒子(ナノジェル「TLD301」、CABOT社製)を充填し、周囲を通常の接着剤で封止して、採光断熱材を作製した。得られた採光断熱材の総厚さは約10mmであった。
(実施例4)
11枚の厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた代わりに、10枚の厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、熱線遮蔽剤としてLaB(KHマスターバッチ使用、住友金属鉱山社製)0.2重量%(LaB換算での濃度)を配合したポリブチレンテレフタレートからなる厚さ30μmのフィルムとを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、各フィルムを貼り合わせた。更に、後述する評価においてヒーターにより加熱される面側に、熱線反射性フィルム(レフテルZC06T、NI帝人商事社製)を、その粘着面を利用して貼り付け、採光断熱材を作製した。得られた採光断熱材の総厚さは約10mmであった。
(比較例1)
全層に二酸化炭素を充填しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、採光断熱材を作製した。得られた採光断熱材の総厚さは約10mmであった。
(比較例2)
全層に二酸化炭素を充填しなかった以外は、実施例2と同様の方法により、採光断熱材を作製した。得られた採光断熱材の総厚さは約10mmであった。
(比較例3)
最外層にアエロジェル粒子を充填しなかった以外は、実施例3と同様の方法により、採光断熱材を作製した。得られた採光断熱材の総厚さは約10mmであった。
(実験例1)
外径0.9mm、長さ1180mmのFRPからなる透明チューブをスペーサとして用いた代わりに、外径2mmのFRPからなる透明チューブをスペーサとして用いたこと、及び、11枚の厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた代わりに、10枚の厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、熱線遮蔽剤としてLaB(KHマスターバッチ使用、住友金属鉱山社製)0.2重量%(LaB換算での濃度)を配合したポリブチレンテレフタレートからなる厚さ30μmのフィルムとを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、各フィルムを貼り合わせた。更に、最表層に熱線反射性フィルム(レフテルZC06T、NI帝人商事社製)を、その粘着面を利用して貼り付け、採光断熱材を作製した。
得られた採光断熱材の熱線反射性フィルムを貼付した側が、フロートガラス板に対して反対側の最表層に設置されるように、得られた採光断熱材の熱線反射性フィルムと厚さ8mmのフロートガラス板とを2mm幅の両面テープを用いて貼付することによって、採光断熱板を作製した。
(実験例2)
熱線反射性フィルム(レフテルZC06T、NI帝人商事社製)を最表層に貼付した代わりに、最表層のポリエチレンテレフタレートフィルムから数えて2枚目のポリエチレンテレフタレートフィルムに熱線反射フィルムを貼付したこと以外は、実施例4と同様の方法により、採光断熱材を作製した。
次いで、厚さ8mmのフロートガラスと対峙する最表層のポリエチレンテレフタレートフィルムから数えて2枚目のポリエチレンテレフタレートフィルムに熱線反射フィルムが設置されるように、得られた採光断熱材と厚さ8mmのフロートガラスとを貼付して、採光断熱板を作製した。
(実験例3)
採光断熱材の熱線反射性フィルム側がフロートガラス側に配置されるように、実施例4において作製した採光断熱材と厚さ8mmのフロートガラス板とを、10mm幅の両面テープを用いて、周囲を封止することによって、採光断熱板を作製した。
(評価)
実施例、比較例及び実験例で得られた採光断熱材及び採光断熱板について、以下の評価を行った。結果を表1又は表2に示した。
(1)熱貫流率
発泡ポリスチレンからなり、幅300×高さ1200mmの開口部を有する簡易断熱箱を作製し、開口部と対峙する箱内部の面に、面状ヒーターを設置した。開口部に開口面積と同じサイズを有する得られた採光断熱材又は採光断熱板をセットし、簡易断熱箱を20℃に設定した恒温室に設置した。箱内温度を箱外温度よりも20℃高くなるように、面状ヒーターの加熱を行い、採光断熱材表面に50×50mmサイズの熱流板(英弘精機社製)を設置し、通過した熱量を、定常状態で測定した。箱内の空気温度と箱外の空気温度との差、及び、通過した熱量から、熱貫流率(W/m・K)を算出した。
なお、実験例1〜3において作製した採光断熱板については、採光断熱材側をヒーター方向に向けて、評価を行った。
(2)可視光線透過率
U−4100型分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、JIS R 3106に準拠した方法により、可視光線透過率(%)を測定した。
(3)日射取得率
U−4100型分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、JIS R 3106に準拠した方法により、日射透過率、吸収率、反射率を算出し、JIS R 3106に準拠した方法により日射取得率(%)を求めた。
(4)熱割れ可能性
実験例1〜3において得られた採光断熱板について、旭硝子株式会社「旭硝子板ガラス建材総合カタログ(4−6−1〜4−6−6)」に準拠した方法により、以下の前提条件の下、単板8mm厚のフロートガラスを想定し、熱割れの可能性について次の指標にて評価を行った。
危険発生度(%)=(発生応力/許容応力)×100
各組合せにおいて、危険発生度が全て50%を超えないものを○、危険発生度が50%を超えるものが一つでもあれば×と評価した。
<前提条件>
検討地域:関東南部、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州
検討方位:8方位
検討季節:夏期、冬期
サッシパターン:PC部材に打込まれた直付けサッシ
エッジ温度係数:0.80
シャープシャドウ(影係数:1.7)
Figure 2008115682
Figure 2008115682
本発明によれば、断熱性に優れ、透明性が高く、軽量であって、熱割れ可能性が小さい採光断熱材及び採光断熱板を提供することができる。
本発明の採光断熱材の断面を示す模式図である。 各樹脂フィルムが異なる場合における、本発明の採光断熱材の一例の断面を示す模式図である。 ガス注入口及びガス排出口を有する本発明1の採光断熱材の一例を示す模式図である。 図3aのA−A断面を示す模式図である。 図3aのB−B断面を示す模式図である。 本発明の採光断熱材を製造する製造装置を示す模式図である。 実施例1で製造した採光断熱材の正面を示す模式図である。 図5のA−A断面を示す模式図である。
符号の説明
1a 樹脂フィルム
1a’ ポリカーボネートフィルム
1b 樹脂フィルム
1b’ ポリエチレンテレフタレートフィルム
1c 樹脂フィルム
1c’ ポリエチレンテレフタレートフィルム
1d’ ポリカーボネートフィルム
2 ガス層
3 封止部
4 シール材
5 枠材
6 ガス注入口
6’ ガス排出口
61 補強用面材
7 スペーサ
8 樹脂フィルム
9 製造装置
10 樹脂フィルム送り出し部
11 スペーサ送り出し部
12 貼り合せ部
13 接着剤加工部
14 FRPからなるスペーサ
15 ポリエチレンテレフタレートフィルム
16 アクリル系粘着剤
17 低熱伝導性ガス層

Claims (7)

  1. 複数の基材フィルムが、厚さが100μm〜3mmのガス層を挟んで各々対向した構造を有する採光断熱材であって、
    可視光線透過率が20%以上であり、
    前記ガス層のうち、少なくとも1層は、空気よりも低い熱伝導率を有する低熱伝導性ガスが封入され、その周辺部が封止された低熱伝導性ガス層である
    ことを特徴とする採光断熱材。
  2. 低熱伝導性ガスが二酸化炭素であることを特徴とする請求項1記載の採光断熱材。
  3. 複数の基材フィルムが、厚さが100μm〜3mmのガス層を挟んで各々対向した構造を有する採光断熱材であって、
    可視光線透過率が20%以上であり、
    前記ガス層のうち、少なくとも1層は、空気よりも低い熱伝導性を有する低熱伝導性固体が充填された低熱伝導性固体充填層である
    ことを特徴とする採光断熱材。
  4. 低熱伝導性固体がアエロジェルであることを特徴とする請求項3記載の採光断熱材。
  5. 複数の基材フィルムが、厚さが100μm〜3mmのガス層を挟んで各々対向した構造を有する採光断熱材であって、
    可視光線透過率が20%以上であり、
    前記基材フィルムのうち、少なくとも1枚は、熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムであることを特徴とする採光断熱材。
  6. 熱線遮蔽機能を有するフィルムは、6ホウ化ランタンを0.01〜0.5重量%含有することを特徴とする請求項5記載の採光断熱材。
  7. 請求項5又は6記載の採光断熱材と、ガラス板とからなる採光断熱板であって、
    前記採光断熱材において、熱線遮蔽機能又は熱線反射機能を有するフィルムが、前記ガラス板と対峙する最表層から数えて2枚目の基材フィルムとして設置されること、及び/又は、前記ガラス板とは反対側の最表層の基材フィルムとして設置されることを特徴とする採光断熱板。
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