JP2011111914A - 洗剤供給用ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】強アルカリ性の洗剤に耐え、吐出量を一定に制御できるダイヤフラム式の洗剤供給用ポンプを提供する
【解決手段】洗剤供給用ポンプ1は、ダイヤフラム式であり、モータ5の回転によりダイヤフラム61を往復振動させる偏心駆動機構7と、ダイヤフラム61が臨むポンプ室6内の圧力によって開閉される吸入弁8aと吐出弁8b、及びこれらの弁8が着座される弁座81とが内装されたポンプケース62と、を備える。ダイヤフラム61及び弁座81は、耐強アルカリ性で低温(略0℃)での硬化が常温(略20℃)での硬度より10(デュロメータA)以上硬化しないゴム、例えばブチルゴムから成る。これにより、洗剤供給用ポンプ1は、強アルカリ性の洗剤に耐え、ダイヤフラム式としたので吐出量を一定に制御することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、強アルカリ性の洗剤を洗浄機に供給するための洗剤供給用ポンプに関する。
従来から、例えば、業務用の食器洗浄機に液体洗剤を供給するポンプとしてチュービングポンプが用いられてきた。業務用の洗剤には、高い洗浄力を得るため、pHが13程度の強アルカリ性のものが使われる。チュービングポンプは、弾力性を有するチューブをローラで押し潰すことによってチューブ内の洗剤を押し流すポンプであり、洗剤の流れがチューブ内に限定されるので、強アルカリ性の洗剤の供給に適している。
しかし、チュービングポンプは、その吐出量が、チューブの押し潰しによって閉塞されるチューブ内容積に依るため、チューブ径のばらつきと経時変化により、吐出量の精度が低下する。また、チューブは、押し潰しによる疲労劣化と強アルカリによる劣化が進行し、弾力性が低下する。このため、チュービングポンプの吐出量が減少して食器洗浄機に洗浄不足が生じる。チューブは、寿命が通常半年程度と短く、短期間の使用で交換する必要があるため、洗剤供給用のチュービングポンプのメンテナンスが高コストとなっていた。
ところで、GaAsウエハの研磨装置に研磨液を供給するポンプとして、チュービングポンプに替えてダイヤフラム式のポンプを用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ダイヤフラムポンプは、吐出量の精度が高く、また、ポンプ室がダイヤフラムによって密封されて液漏れが防止される。研磨液供給用ダイヤフラムポンプでは、研磨液に対する耐食性を高めるため、ダイヤフラム、弁、ポンプケース等の研磨液に接触する部分をステンレス製としている。
そこで、このステンレスを強アルカリに耐えるオーステナイト系ステンレスとすることによって、強アルカリ性の洗剤に耐えるダイヤフラムポンプを作ることが考えられる。しかし、ステンレスは硬いので、ステンレス製のダイヤフラムは、振動ストロークが極めて小さくなり、小径のダイヤフラムでは食器洗浄機に洗剤を供給するために必要な吐出量を確保できない。振動ストロークを大きくしようとしてダイヤフラムに印加する力を強くすると、ダイヤフラムが金属疲労して寿命が短くなる。また、ダイヤフラムの径を大きくして吐出量を増やそうとすると、ポンプ室が大きくなり、圧縮率が低下して、洗剤を搬送する揚程に対して能力不足となると共に小型にできなくなり、コスト高となる。
また、従来のダイヤフラムポンプには、図10に示されるような帽子型弁108が用いられている。帽子型弁108は、略円錐台形状の小径部分と略円柱形状の大径部分とを有する弁体であり、小径部分にコイルバネ182が嵌合され、コイルバネ182と共に弁ホルダー185に収容される。帽子型弁108の大径部分は、コイルバネ182によって弁座181に付勢される。この帽子型弁108を、強アルカリに耐えるようにステンレス製としたり、弁の開閉動作を早くさせるためにコイルバネ182の押圧を強くしたりすると、開弁圧が高くなって、モーターにかかる負荷が増大し、回転数が低下して吐出量が少なくなる。吐出量を多くするためにダイヤフラムの振動ストロークを大きくすると、ダイヤフラムが疲労して寿命が短くなる。
この帽子型弁108の弁ホルダー185は、コイルバネ182を収容するため、内部スペースが大きい。この内部スペースの容積が、ポンプ室の容積に加算されるため、ポンプは、ダイヤフラムの振動ストロークが同じであっても、圧縮率が下がって、弁を押し開ける力である吐出圧が低下し、帽子型弁108は、洗剤で固着した場合に開弁できない。また、帽子型弁108は、その周囲の弁ホルダー185との間に空間があるため、弁座181への着座位置が一定にならず、開弁圧が変化し、着座位置の変化による吐出量変動が発生する。
特開2007−220936号公報
本発明は、上記問題を解決するものであり、強アルカリ性の洗剤に耐え、長寿命であり、また吐出量を一定に制御できるダイヤフラム式の洗剤供給用ポンプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、強アルカリ性の洗剤が貯液されたタンクから該洗剤を吸入し、洗浄機内に吐出するダイヤフラム式の洗剤供給用ポンプにおいて、モータの回転によりダイヤフラムを往復振動させる偏心駆動機構と、前記ダイヤフラムが臨むポンプ室内の圧力によって開閉される吸入弁と吐出弁、及びこれらの弁が着座される弁座とが内装されたポンプケースと、を備え、前記ダイヤフラム及び弁座が、耐強アルカリ性で低温(略0℃)での硬化が常温(略20℃)での硬度より10(デュロメータA)以上硬化しないゴムから成るものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の洗剤供給用ポンプにおいて、前記ダイヤフラム及び弁座は、ブチルゴムから成るものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の洗剤供給用ポンプにおいて、前記各々の弁は、該弁と一体に形成された平面視渦巻状の板バネによって前記弁座に付勢される板バネ弁であるものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の洗剤供給用ポンプにおいて、前記偏心駆動機構は、前記モータの回転数と同じ振動数で前記ダイヤフラムを往復振動させるものである。
請求項1の発明によれば、ダイヤフラム及び弁座は、耐強アルカリ性及び耐低温性が良いので、洗剤供給用ポンプは、強アルカリ性の洗剤に耐え、温度が低下しても吐出量が殆ど減少しない。また、この洗剤供給用ポンプは、ダイヤフラム式としたので、吐出量の精度が高く、吐出量を一定に制御することができる。
請求項2の発明によれば、ブチルゴムは、耐強アルカリ性及び耐低温性が良いので、洗剤供給用ポンプは、請求項1と同じ効果を得ることができる。
請求項3の発明によれば、板バネ弁は、薄く軽量にできるので、高い振動数で開閉することができる。このため、ダイヤフラムの振動数を高くして、ダイヤフラムの振動ストロークを小さくすることができ、したがって、ダイヤフラムが長寿命になって、洗剤供給用ポンプが長寿命になる。また、板バネ弁は、弁座への着座位置が一定となり、着座位置の変化による吐出量変動が発生しない。
請求項4の発明によれば、モータの回転数を減速するための減速ギアが不要となり、洗剤供給用ポンプが小型化されると共に、低コストとなる。
本発明の一実施形態に係る洗剤供給用ポンプの取り付け例を示す斜視図。 同ポンプの平面図。 同ポンプにおけるユニットケースの変形例の平面図。 図2のA−A線断面図。 図4のB−B線断面図。 高機能フッ素ゴムの硬度及びダイヤフラムと弁座を高機能フッ素ゴム製としたポンプの吐出量の温度依存を示す図。 ブチルゴムの硬度及びダイヤフラムと弁座をブチルゴム製としたポンプの吐出量の温度依存を示す図。 本発明の一実施形態に係る洗剤供給用ポンプにおける弁の断面図。 同弁における板バネ弁の平面図。 従来のダイヤフラムポンプにおける弁の断面図。
本発明の一実施形態に係る洗剤供給用ポンプを図1乃至図5を参照して説明する。図1に示されるように、本実施形態の洗剤供給用ポンプ1(以下、ポンプという)は、食器洗浄機92(以下、洗浄機という)に強アルカリ性の洗剤を供給するものである。洗浄機92には、水を温水に加熱する温水用ブースター93が設けられている。タンク91とポンプ1間は管路94により、ポンプ1と洗浄機92間は管路95により接続される。ポンプ1は、ダイヤフラム式であり、洗剤が貯液されたタンク91から洗剤を吸入し、洗浄機92内の洗浄液貯水槽に吐出する。吐出された洗剤は、温水用ブースター93から供給される温水と混合されて、ノズル96から洗浄機庫内に噴射される。
このポンプ1は、制御電源2によってオン・オフ制御される。制御電源2は、定電圧回路を有し、ポンプ1への出力電圧は、制御電源2への入力電圧が変動しても一定に保たれる。ポンプ1と制御電源2は、別体として構成され、制御電源2は洗浄機92内に取り付けられ、ポンプ1は洗浄機92外壁面等に取り付けられ、リード線21によって電気的に相互接続される。通常の業務用の洗浄機92に広く対応するため、ポンプ1は、タンク91からポンプ1までの距離Dが最大3m、ポンプ1が洗剤を吐出する高さH1が最大1m、ポンプ1が取り付けられる高さH2が最大1.5mとして設計される。
このように、ポンプ1と制御電源2を別体として構成することにより、ポンプ1が小型化されると共に、ポンプ1の取り付け位置の柔軟性が向上し、既存の洗浄機におけるチュービングポンプからダイヤフラム式のポンプ1への変更が容易になる。また、ポンプ1又は制御電源2の故障時に、故障対応がいずれかの交換によって可能であり、故障対応が低コストとなる。
図2に示されるように、ポンプ1は、ユニットケース3に収納される。ユニットケース3は、その内部からリード線21が延出され、洗剤を吸入するための吸入管4aと、吐出するための吐出管4bが突出される。このユニットケース3は、面ファスナーによって洗浄機92近傍の壁面等に着脱自在に取り付けられる。また、図3に示されるように、ユニットケース3は、ネジ穴311を有する板状の取付用部材31が底部から突出するように形成し、洗浄機92外壁面にネジ止めされるようにしてもよい。
図4及び図5に示されるように、ポンプ1は、モータ5の回転によりダイヤフラム61を往復振動させる偏心駆動機構7と、ダイヤフラム61が臨むポンプ室6内の圧力によって開閉される吸入弁8aと吐出弁8b、及びこれらの弁8(8a、8b)が着座される弁座81(81a、81b)とが内装されたポンプケース62が、ユニットケース3内に設けられる。ダイヤフラム61と弁座81は、耐強アルカリ性および耐低温硬化性のゴム、例えばブチルゴムを成形したものである。なお、図5は、ユニットケース3の図示を省略している。
ユニットケース3は、例えばポリプロピレン(PP)を成形したものであり、ユニットケース本体32と、それに嵌合されるユニットケース蓋33とで構成される。ユニットケース蓋33は、パッキン34を有し、ユニットケース本体32を密封する。また、ユニットケース本体32と、吸入管4a、吐出管4b、リード線21の各々との隙間もパッキンによって密封される。このような密封により、外部から水等がかかっても浸入が防止され、モータ5が故障しない構成としている。また、万一、ユニットケース3内で洗剤が漏液しても、ユニットケース3外への漏液が防止される。
モータ5は、直流モータであり、ユニットケース本体32内に固定される。偏心駆動機構7は、偏心軸71と、ベアリング72と、シャフト73とから構成される。偏心軸71は、モータの回転軸51に偏心して直結される。シャフト73は、偏心軸71にベアリング72を介して取り付けられる。この偏心駆動機構7は、モータ5の回転をシャフト73の軸方向の振動に変換する。
ダイヤフラム61とポンプケース62によってポンプ室6が形成される。ポンプケース62は、例えばポリプロピレン(PP)を成形したものであり、耐強アルカリ性を有し、ステンレスを加工したものよりも低コストである。このポンプケース62は、断面L字形状のモータ取付金具64によってモータ5に固定される。
ダイヤフラム61は、平面視で略円形のゴム膜を有する。ダイヤフラム61のポンプ室6に臨まない面の中心部は、ダイヤフラム止め輪63によってシャフト73に結合される。シャフト73は、モータ取付金具64の開口641に挿通される。ダイヤフラム61の周縁部は、円筒状の押えリング65の一端とポンプケース62とによって挟持される。押えリング65の他端は、モータ取付金具64の開口641の周縁によって位置決め保持される。
上記のように構成されたポンプ1は、モータ5が起動されると、ダイヤフラム61が偏心駆動機構7によって往復振動され、ポンプ室6の容積が変化する。ポンプ室6の容積が拡大する時、ポンプ室6内の圧力が低下し、吐出弁8bが閉じると共に吸入弁8aが開き、洗剤が吸入管4aからポンプ室6に流入する。ポンプ室6の容積が縮小する時、ポンプ室6内の圧力が上昇し、吸入弁8aが閉じると共に吐出弁8bが開き、洗剤がポンプ室6から吐出管4bに流出する。このようなポンプ作用により、洗剤がタンクから吸入管4aに吸入され、吐出管4bから洗浄機内に供給される。
ポンプ1は、ダイヤフラム式としたので、洗剤の吐出量の精度が高く、その精度が経時低下しない。このため、ポンプ1は、例えば、洗浄機92内に吐出する時間を0.5秒程度の短時間に設定しても吐出量が十分な精度となる。したがって、ポンプ1は、吐出時間の設定により、吐出量を一定に制御することができる。なお、従来の洗剤供給用チュービングポンプは、吐出量の精度が低く、吐出時間を1秒以下に設定することが困難であった。
ダイヤフラム61と弁座81にブチルゴムを用いることは、評価試験を実施して見出した。その評価試験の評価対象と評価結果を表1に示す。
Figure 2011111914
この評価試験において、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム(商品名バイトン、DuPont社製)、フルオロシリコーンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム(商品名ネオプレン、DuPont社製)、高機能フッ素ゴム(商品名アフラス、AGC社製)、超高機能フッ素ゴム(商品名カルレッツ、DuPont社製)、及びブチルゴムを評価対象とし、耐強アルカリ性、耐低温性、引張り強度について試験し、価格についても評価した。
表中の評価結果に示されるように、強アルカリに耐えるゴム材料は、高機能フッ素ゴム、超高機能フッ素ゴム、及びブチルゴムであった。これらのゴム材料のうち、超高機能フッ素ゴムは、非常に高価であるので採用が難しい。また、高機能フッ素ゴムと超高機能フッ素ゴムは、耐低温性が良くなかった。ブチルゴムは、耐強アルカリ性と耐低温性が共に良いことが分かった。
材料の耐低温性及びそのポンプへの影響について図6及び図7を参照して説明する。図6は、比較例として、高機能フッ素ゴム(FEPM)の硬度の温度依存と、ダイヤフラム及び弁座を高機能フッ素ゴム製にしたポンプの吐出量(mL/min)の温度依存を示す。このポンプは、ダイヤフラム及び弁座の材料以外は、本実施形態のポンプ1と同じである。ゴムの硬度は、タイプAのデュロメータで測定した。なお、1mL/minは、国際単位系(SI)では、約1.7×10−5/sである。図中の実線で示されるように、10℃以下の低温において、高機能フッ素ゴムは、硬度上昇が大きく、破線で示されるように、ポンプの吐出量が大幅に減少する。この吐出量の減少は、ダイヤフラムが低温で硬化し、モータの負荷が増大して回転数が低下するためである。また、低温で弁座の柔軟性が低下し、弁のシール機能が低下することも吐出量減少の一因である。
これに対し、図7は、実施例として、ブチルゴム(IIR)の硬度の温度依存と、ブチルゴムから成るダイヤフラム61及び弁座81を有するポンプ1の吐出量の温度依存を示す。温度が10℃以下に低下しても、ブチルゴムは、硬度上昇が小さく、低温(略0℃)での硬化が常温(略20℃)での硬度より10(デュロメータA)以上硬化しない。また、ポンプ1は、温度が10℃以下に低下しても、吐出量が殆ど低下しない。これは、低温で、ダイヤフラム61が殆ど硬化せず、弁座81の柔軟性が保たれるからである。
この評価結果によれば、ダイヤフラム61及び弁座81の材料は、ブチルゴムが好適である。ブチルゴムから成るダイヤフラム61及び弁座81は、耐強アルカリ性及び耐低温性が良いので、ブチルゴムから成るダイヤフラム61及び弁座81を有するポンプ1は、強アルカリ性の洗剤に耐え、洗剤供給用ポンプとしての要求仕様である5℃〜40℃の温度範囲内で温度が低下しても吐出量が殆ど減少しない。また、ブチルゴムから成るダイヤフラム61及び弁座81は、低コストである。
しかしながら、ブチルゴムは、一般的には、振動しない配管の材料や振動振幅が小さい防振ゴム等に用いられており、ポンプのダイヤフラムは、振動ストロークすなわち振動振幅が大きいので、ブチルゴムは、ポンプのダイヤフラムに適した材料とは考えられていない。表1に示されるように、ブチルゴムは、引張り強度が8MPaと低く、高機能フッ素ゴムの引張り強度の半分以下である。このため、ポンプ1のダイヤフラム61をブチルゴム製にするだけでは、ポンプ1を長寿命にすることは困難である。本発明では、ダイヤフラム61の振動ストロークを適度に小さくすることによって、引張り強度の低いブチルゴムから成るダイヤフラム61を長寿命にし、振動ストロークを小さくしたことによる吐出量の減少を、ダイヤフラム61の振動数を高くすることによって補償している。この評価試験の結果ではブチルゴムを選定したが、耐強アルカリ性、耐低温性、低コストの条件が満足すれば、ブチルゴム以外のゴムでも差し支えない。
図8及び図9に示されるように、吸入弁8aと吐出弁8bの各々の弁8は、弁8と一体に形成された平面視渦巻状の板バネ82によって弁座81に付勢される板バネ弁である。弁8は、略円形であり、3つの板バネ82の各々の一端によって均等間隔で保持される。板バネ82の他端は、板バネ82と同心の円環状の保持部材83に保持される。弁8、板バネ82及び保持部材83は、一体の回転対称形状(3回対称)を成し、耐強アルカリ性のステンレスSUS316の薄板からエッチング加工または打ち抜き加工によって作られる。弁座81は、弁穴84を有し、ブチルゴムを略円筒形に成形したものである。保持部材83は、弁座81と弁ホルダー85によって挟持される。弁8は、板バネ82の弾性力によって弁座81に当接される。
板バネ弁である弁8は、薄く軽量にできるので、高い振動数で開閉することができる。このため、ダイヤフラム61の振動数を高くして、ダイヤフラム61の振動ストロークを小さくすることができ、したがって、引張り強度の低いブチルゴムから成るダイヤフラム61が長寿命になって、ポンプ1が長寿命になる。
また、弁8は、板バネ弁であるので、ポンプ室の容積に加算されるスペースがないため、この弁8を用いたポンプ1は、ポンプ室の圧縮率が比較的高くなり、粘性の高い洗剤を用いた時に管路抵抗により液送負荷が増大しても、弁8を押し開けるに足る圧力が得られる。また、弁8は、弁座81への着座位置が一定となり、開弁圧が変化せず、着座位置の変化による吐出量変動が発生しない。
再び図5を参照して説明する。偏心駆動機構7は、モータ5の回転数と同じ振動数でダイヤフラム61を往復振動させる。ダイヤフラム61の振動数を高くしたことによって、モータ5の回転軸51を偏心軸71に直結する構成が可能となった。このため、モータの回転数を減速するための減速ギアが不要となり、ポンプ1が小型化されると共に、低コストとなる。モータの回転数は、モータ5に印加する駆動電圧、すなわち制御電源の出力電圧の設定により調節される。
ダイヤフラム61の有効径を直径7.6mm、ダイヤフラム61の振動ストロークを1.2mmとしてポンプ1を製作した。ダイヤフラム61の1ストロークにおけるポンプ室6の容積変化(ΔV)は、54.41mmとなり、ポンプ室6の最大容積(Vmax)は、63.63mmとなった。振動ストロークが1.2mmと小さいにも拘わらず、圧縮比(ΔV/Vmax)は0.86の高い値が得られた。ポンプ1のポンプ作用に適するモータ5の回転数は、2000rpm以下であり、最適な回転数は約1500rpmであり、この回転数により、洗剤の供給に必要な吐出量が得られた。このポンプ1の寿命は、3000時間以上であった。この寿命は、洗浄機の通常の使用において、10年以上に相当し、ポンプ1は、実質的にメンテナンスフリーとなった。
(比較例)
ポンプ1の吸入弁と吐出弁を従来の帽子型弁108(図10参照)にしたものは、ポンプ室と弁ホルダーの合計容積が最大149.49mmに増え、圧縮比が0.36になり、ポンプの安定動作には不十分な圧縮比となった。
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、ポンプ1が用いられる洗浄機は、食器洗浄機に限られず、例えば、機械部品や電子部品等を洗浄する洗浄機であってもよい。
1 洗剤供給用ポンプ
5 モータ
6 ポンプ室
61 ダイヤフラム
62 ポンプケース
7 偏心駆動機構
8 弁
8a 吸入弁
8b 吐出弁
81 弁座
82 板バネ

Claims (4)

  1. 強アルカリ性の洗剤が貯液されたタンクから該洗剤を吸入し、洗浄機内に吐出するダイヤフラム式の洗剤供給用ポンプにおいて、
    モータの回転によりダイヤフラムを往復振動させる偏心駆動機構と、
    前記ダイヤフラムが臨むポンプ室内の圧力によって開閉される吸入弁と吐出弁、及びこれらの弁が着座される弁座とが内装されたポンプケースと、を備え、
    前記ダイヤフラム及び弁座が、耐強アルカリ性で低温(略0℃)での硬化が常温(略20℃)での硬度より10(デュロメータA)以上硬化しないゴムから成ることを特徴とする洗剤供給用ポンプ。
  2. 前記ダイヤフラム及び弁座は、ブチルゴムから成ることを特徴とする請求項1に記載の洗剤供給用ポンプ。
  3. 前記各々の弁は、該弁と一体に形成された平面視渦巻状の板バネによって前記弁座に付勢される板バネ弁であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の洗剤供給用ポンプ。
  4. 前記偏心駆動機構は、前記モータの回転数と同じ振動数で前記ダイヤフラムを往復振動させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の洗剤供給用ポンプ。
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