一般に、図面原稿等の大きなサイズの原稿を複写する複写機においては、A0、A1、A2等の大きなサイズの複写シート上に複写する場合が多々ある。これらの大きなサイズの複写シートをそのまま保管したり、あるいは大きなサイズのままで取り扱ったのでは、保管スペースが大きくなったり、あるいはその取扱いが不便であるため、通常は折畳んで収納される。
しかしながら、この大きなサイズの複写シートの折畳みを人の手により行った場合には、一般的にはかなりの時間を必要とし、シートの折畳みに要する時間が複写に要する時間の数倍にもなる場合がある。このようなことから複写機の排出路に、例えばA0サイズの複写シートをA4サイズの大きさに折畳む機能を有するシート折り機を配置し使用している。
このようなシート折り機は、例えば、用紙を折り曲げる2つの折りローラ対と、いずれかのローラ対に用紙を給送する搬送ローラ対と、前記いずれかの折りローラに対して用紙を折り曲げる方向を切り替える偏向手段とを有し、シート対する折り曲げ方向を交互に切り替え、連続して複数回折ることが可能となっている。
図13はこのような折り方式を採用した従来のシート折り装置の概略構成を示す図である。同図において、シート折り装置6は搬送ローラ対1(1a,1b)と、その下部左右に対向配置されている第1の折りローラ対3及び第2の折りローラ対4と、搬送ローラ対1から搬送されるシート8を各折りローラ対方向へ選択的に案内するシートガイド部材2と、シートの下面をガイドするシート下面ガイド5とから構成されている。
シート8は前段の搬送ローラ対7a,7bから搬送ローラ対1によりシートガイド部材2に送り込まれ、このシートガイド部材2の揺動動作により第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4へ選択的に案内される。そして、第1の折りローラ対3と第2の折りローラ対4の正転逆転の繰り返しに合わせ、シートガイド部材2を左右に揺動させることにより、シート8はシート下面ガイド5の上面を滑りながら第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4間へ送り込まれるという動作を繰り返す。この動作の繰り返しにより所定回数折畳まれる。
このシート折り装置では、折りローラ3対を構成する加圧ローラ3aと折りローラ3bとの間に一定のニップ圧が得られるように加圧ローラ3aは図示しない加圧機構により折りローラ3b側に押し付けられている。従って、加圧ローラ3aと折りローラ3bとの間にはシート8を折込んだときの折り厚さに応じて隙間が変化する。折りローラ対4についても加圧ローラ4aと折りローラ4bとの間で同様に変化する。
しかしながら、このシート折り装置では、図14に示すように第2の折りローラ対4のニップからシート8が送り出されたとき、シート8の端面8aが前進方向先端側にして第1の折りローラ対3を通過するような状態となった場合、シート8の端面8aが第1の折りローラ対3のニップに向かわず、加圧ローラ3aの外周面に当たることにより第1の折りローラ対3を通過後シート8の先端部に捲れ、破れ等が発生する。
このようなことから、特許文献1(特開平6−227741号公報)において、図15に示すように折りローラ対の一端に一定の間隔を形成可能な構造(図15(a)−側面図)とすることより、用紙端面を前にした状態で通過しても(図15(a)−正面図)用紙の先端が捲れたり、破れたりしないシート折り装置が提案されている。すなわち、この特許文献1には、各々駆動ローラとこの駆動ローラに従動するアイドラローラとからなる第1及び第2の折りローラ対と、前記第1の折りローラ対又は第2の折りローラ対に対して用紙を選択的に案内する用紙ガイド手段とを有し、前記第2の折りローラ対から折り後の用紙を排出する折り手段と、少なくとも第2の折りローラ対の駆動ローラとアイドラローラとの間のニップ圧を用紙の折り状態に応じて変化させるニップ圧制御手段と、このニップ圧制御手段が設けられた前記アイドラローラに前記ニップ圧に実質的に影響を与えない程度の大きさの付勢力を付与し、前記アイドラローラの一端と前記駆動ローラとの間に一定の間隙を形成する間隙形成手段とを備えたシート折り装置が記載されている。
なお、この種の装置の概略構成は特許文献2(特開2007−15785号公報)にも開示されている。この発明は、用紙を折る折りローラ対と、前記折りローラ対に用紙を給送する搬送ローラ対と、前記折りローラ対によって用紙を折り曲げる方向を切り替え、用紙を折り込ませる偏向手段と、前記折りローラ対と前記搬送ローラ対間で折り込まれる用紙に張力を与える張力付与手段を備えたものである。
しかしながら、特許文献1記載のシート折り装置では、図16に示すように第1の折りローラ対3と第2の折りローラ対4の正転及び逆転によりシートを折畳むに従いシート束の厚みが増し、シートガイド部材2との距離が小さくなる。そのため、シート8の端面8aを前にシートガイド部材2を通過するような状態となった場合、シートガイド部材2により端面8aを捲ることによりダメージを与えるという問題がある。
また、図15に示すように折りローラ対の一端のみに一定の間隔を形成しているので、端面8aのニップ進入時シートの幅方向の位置でニップへの進入性が異なる。これによりシート8にシワが発生するという問題がある。すなわち、第1の折りローラ対3において間隔を形成している側の進入性はよいが、間隔が形成されていない側の進入性は改善前と同様で、同様の問題は残る。
同様に、図17に示すように折り実施時に関してもシート厚みが増すことにより第1の折りローラ対3のニップとシート8の折り実施部のループ8bの位置が変化する。その結果、折り実施部のループ8bのニップへの進入性が変化し、折り位置がズレ、また、シワが発生するという問題が生じる。
すなわち、図15及び図18に示したように折りローラ対の一端に一定の間隔を形成したとしても、折り幅のズレやシワの発生をなくすことはできない。
なお、特許文献2記載の発明は、厚手の用紙、薄手の用紙による折り位置のばらつき、1枚折り、多重折りでの折り位置のばらつきをより小さくし、折り精度が高く安定した折り機能を発揮することができるようにすることを目的としており、前記問題の解決までには至っていなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、シートのサイズ、折り方、厚みに拘わらず、折り上がったシートの先端部の捲れ、破れ等を発生させることなく、シート折り厚みが厚くなった場合でも、折り幅のズレ及びシワの発生を防止し、高精度の折り処理を可能とすることにある。
前記課題を解決するため、第1の手段は、シート状部材を折る第1及び第2の折りローラ対と、前記折りローラ対に前記シート状部材を給送する搬送ローラ対と、前記搬送ローラ対によって搬送されてくる前記シート状部材の折り曲げる方向を切り換える偏向手段と、前記偏向手段によって導かれた前記シート状部材を前記第1又は第2の折りローラ対に導く案内手段と、を有するシート折り装置であって、前記第1又は第2の折りローラ対の間隔、及び前記折りローラ対への前記シートの進入位置を前記案内手段の高さを変更することにより調整する調整手段を備えていることを特徴とする。
第2の手段は、第1の手段において、前記第1及び第2の折りローラ対は、固定側の折りローラと可動側の加圧ローラを備え、前記調整手段は前記案内手段の位置を前記第1又は第2の折りローラ対の前記加圧ローラと一体に調整することを特徴とする。
第3の手段は、第2の手段において、前記加圧ローラが前記案内手段に連結されていることを特徴とする。
第4の手段は、第3の手段において、前記加圧ローラは前記案内手段に対して相対的に上下方向に可動に連結されていることを特徴とする。
第5の手段は、第4の手段において、前記加圧ローラを常時折りローラ方向に弾性付勢する弾性付勢手段を備えていることを特徴とする。
第6の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記調整手段がシート折畳み回数に応じて前記第1又は第2の折りローラ対の間隔、及び前記案内手段の高さを調整することを特徴とする。
第7の手段は、第6の手段において、前記調整手段がシート挟持時の前記折りローラ対の加圧ローラ位置に応じて前記1又は第2の折りローラ対の間隔及び前記案内手段の高さを調整することを特徴とする。
第8の手段は、第6の手段において、シート挟持時の前記折りローラ対の間隔に基づいて前記折りローラ対の非挟持時のシート厚みを算出するシート厚み算出手段をさらに備え、前記調整手段は前記シート厚み算出手段により算出された前記非挟持時のシート厚みに応じて前記案内手段の高さ及び折りローラ対間隔を調整することを特徴とする。
第9の手段は、第1ないし第8のいずれかの手段において、シート折り終了後にシート最終部の端面を搬送方向の先端側として排出する際、前記調整手段が前記シート端面のシート状態に応じて前記案内手段の高さ及び折りローラ対間隔を調整することを特徴とする。
第10の手段は、第1ないし第8のいずれかの手段おいて、前記第1及び第2の折りローラ対のそれぞれの加圧ローラ及び折りローラを回転駆動する駆動手段を備えていることを特徴とする。
第11の手段は、第1ないし第10のいずれかの手段において、前記調整手段は、第1の折りローラ対の加圧ローラ及び第2の折りローラ対の加圧ローラの高さをそれぞれ独立して変更することを特徴とする。
第12の手段は、第1ないし第11のいずれかの手段に係るシート折り装置と、シートに可視画像を形成する画像形成装置と、を備えた画像形成システムを特徴とする。
なお、後述の実施形態では、第1の折りローラ対は符号3に、第2の折りローラ対は符号4に、搬送ローラ対は符号1に、偏向手段はシートガイド部材2に、案内手段はシート下面ガイド5に、調整手段は高さ調整機構10に、折りローラは符号3b,4bに、加圧ローラは符号3a,4aに、弾性付勢手段は弾性部材15に、シート厚み算出手段はシート厚み算出部38に、シート折り装置は符号100に、画像形成装置は符号200に、それぞれ対応する。
本発明によれば、前述のように構成されているので、シートのサイズ、折り方、厚みに拘わらず、折り上がったシートの先端部の捲れ、破れ等を発生させることなく、シート折り厚みが厚くなった場合でも、折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止し、高精度の折り処理が可能となる。
本発明は、用紙を折り曲げる2つの折りローラ対と、いずれかのローラ対に用紙を給送する搬送ローラ対と、前記いずれかの折りローラに対して用紙を折り曲げる方向を切り替える偏向手段とを有し、折り曲げ方向を交互に切り替え連続して複数回折る際、シートのサイズ、折り方、厚みに拘わらず、折り上がったシートの先端部の捲れ、破れ等を発生させることなく、シート折り厚みが厚くなった場合でも、折り幅のズレ及び折り部のシワが発生することなく折り処理が行えるようにしたことを特徴としている。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、前述の従来例と同等な各部には同一の参照符号を付し、従来例との対比が明確になるようにしている。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置としての複写機に紙折り装置を連結した画像形成システムの概略構成を示す断面図である。図1において、本実施形態に係る画像形成システムは複写機装置本体200と、シート折り装置100とから主に構成されている。シートの端面を折り、また、シートをジャバラ状に折る折り装置100は複写機装置本体200の背面に連結されている。シート折り装置100は、図示しない本体との連結部、シート先端の端面を折る端面折り部120、シートを搬送方向にジャバラ状に折る複数折り部130、及び折られたシートを排出しスタックするトレイ140からなっている。
複写機装置本体200には画像読取装置205が配置されていると共に、その下部に手差し給紙台208が配置されている。この手差し給紙台208にセットされたシートもしくは下部の給紙部から給紙されたシートは、レジストロール207により一旦停止され、タイミングをとって作像ユニット206に供給される。作像ユニット206は、図示しない感光体に画像データに対応した潜像が形成され、この潜像がトナーにより現像され、このトナーがシートに転写され、定着装置210により定着されるようにしてある。定着装置210でトナーが定着された記録済シートは記録済シート排出ロール211により、折りを行う場合はシート折り装置100へ排出される。また、折りを行わない場合は、図示されていない切替爪により上排紙ローラ209により本体胴内へ排出される。
用紙を折る場合は記録済シート排出ロール211よりシートはシート折り装置100に送られ、入り口搬送ローラ対106,107によってシートが送られ、シート端面を折る場合は端面折り部120により用紙先端の端面が折られる。端面折り部120により用紙先端の端面を折られた後、シートは複数折り部130により搬送方向にジャバラ状に折られ、折られた用紙はトレイ140にスタックされる。
なお、図1においては、画像形成装置として電子写真方式の画像形成装置を例示しているが、液滴吐出方式の画像形成装置、その他、公知の画像形成エンジンを搭載した画像形成装置であればよく、画像形成装置の画像形成方式を限定するものではない。
以下、各実施例ごとに、シート折り装置100の複数折り部130の詳細について説明する。
図2は本実施形態の実施例1に係るシート折り装置の紙折り部を正面側から見た概略構成を示す図である。
図2において、複数折り部130は、複写機本体200側から搬入されるシートを搬送する搬送ローラ対1と、搬送ローラ対1の下部の図において左右に対向配置されている第1の折りローラ対3及び第2の折りローラ対4と、搬送ローラ対1から搬送されるシート8を第1又は第2のいずれかの折りローラ対3,4方向へ選択的に案内するシートガイド部材2と、シートの下面をガイドするシート下面ガイド5とを備えている。
シート8は搬送ローラ対1によりシートガイド部材2に送り込まれ、このシートガイド部材2の揺動により第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4のニップへ選択的に案内され、第1の折りローラ対3と第2の折りローラ対4の正転と逆転の繰り返しに合わせ、シートガイド部材2を左右に揺動させることによりシート8はシート下面ガイド5の上面を滑りながら第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4のニップへ送り込まれ、所定回数折畳まれる。第1の折りローラ対3と第2の折りローラ対4の正転と逆転の繰り返しは、シート先端検知センサ9によりシート先端検知後、一定距離搬送後、搬送方向を切り替えることにより行い、シート先端検知後の搬送距離は指定されたシート折りサイズにより異なる。
シート下面ガイド5、第1の折りローラ対3の加圧ローラ3a、第2の折りローラ対4の加圧ローラ4aは連結部材13 により連結され、高さ調整機構10により連結部材13の高さを上下に設定できるようになっている。この高さ調整機構10は、ラックギヤ12とこのラックギヤ12に噛合するギヤ11 により構成され、ギヤ11は図示しない駆動装置により回転駆動され、このギヤ11の回転によりラックギヤ12を上下に移動させ、連結部材13の高さ、言い換えればシート下面ガイド5、第1の折りローラ対3の加圧ローラ3a、第2の折りローラ対4の加圧ローラ4aの折りローラ3b,4bに対する高さを調整する。
図3はシートの厚みが大きいときのシートの第1及び第2の折りローラ対への進入性を示す図である。シート下面ガイド5、第1の折りローラ対3の加圧ローラ3a、第2の折りローラ対4の加圧ローラ4aは連結部材13により連結され、高さ調整機構10により、図2のシートの厚みが小さいときのシートの第1及び第2の折りローラ対3,4への進入性と同等の進入性が得られる高さに調整されている状態を表している。
また、第1及び第2の折りローラ対3,4のローラの一方が駆動ローラで他方が従動ローラである。本実施例1では、折りローラ3b,4b側が図示しない駆動源から駆動力を得て駆動される駆動ローラ側に設定され、加圧ローラ3a,4a側が従動ローラ側に設定されている。
このシート折り装置100の制御部は図4に表すように、CPU(中央処理装置) 30 により構成され、折りサイズ指定部33、折り方指定部31により折りサイズ、折り方の指示がCPU(中央処理装置) 30に対し行われる。CPU30はこれらの情報を受け シートガイド部材2の揺動方向、第1の折りローラ対3と第2の折りローラ対4の回転方向、シート先端検知センサ9によるシート先端検知後の搬送距離等を決定し、モータ、ソレノイド等を駆動制御する電装部品制御部34に対し指示を行い、電装部品制御部34は指示に従い電装部品の制御を行う。同時にCPU(中央処理装置) 30 はシートの状態に合わせ第1の折りローラ対3と第2の折りローラ対4へのシート進入状態を調整するようにシート進入状態調整手段32を制御し、前記高さ調整機構10の高さを調整する。折りサイズ指定部33、折り方指定部31は図示しない操作パネルからの折りサイズ指定、折り方指定の各入力によってCPU30に折りサイズあるいは折り方を指定する。
なお、CPU30は図示しないROM及びRAMを含み、ROMにはCPU30が実行するプログラムコードが記憶され、CPU30はROMから読み出したプログラムコードをRAMに展開し、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながらプログラムコードで定義された制御を実行する。
このように本実施例1では、シートの厚さに応じてシート下面ガイド5、第1の折りローラ対3の加圧ローラ3a、第2の折りローラ対4の加圧ローラ4aの折りローラ3b,4bに対する高さを調整することにより、第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4のニップへ設計意図通り正しくシート8を進入させることが可能となる。その結果、折り上がったシート8の折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止することができる。
また、シート下面ガイド5、第1の折りローラ対3の加圧ローラ3a、第2の折りローラ対4の加圧ローラ4aは連結部材13により連結され、高さ調整機構10により連結部材13の高さを下側から上下に設定できるようになっているので、シート進入時の第1及び第2の折りローラ3,4、シート8、シート下面ガイド5がシートの厚み、折り回数に影響されことなく所定の位置関係が維持される。これにより、第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4のニップへ設計意図通り正しくシート8を進入させることが可能となる。その結果、折り上がったシート8の折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止することができる。
さらに、第1及び第2の折りローラ3,4の加圧ローラ3a,4aはシート下面ガイド5と連結された状態で上下動するので、シート進入時のシート下面位置と第1及び第2の折りローラ3,4のニップ位置がシートの厚み及び折り回数に影響されことなく安定している。これにより、第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4のニップ位置へ設計意図通り正しくシート8を進入させることが可能となる。その結果、折り上がったシート8の折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止することができる。
本実施例2は、実施例1におけるシート下面ガイド5を第1及び第2の折りローラ対3,4の加圧ローラ3a,4aの移動方向に移動可能(揺動可能)としたもので、その他の各部は実施例1と同等である。そこで、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図5及び図6は実施例2に係るシート折り装置100の紙折り部の要部を示す図である。本実施例では、折り装置100自体の概略は図2と同一であるが、図5及び図6に示すように第1及び第2の折りローラ対3,4の加圧ローラ3a,4aをそれぞれ折りローラ3b,4b側に弾性部材15、ここでは加圧スプリングによって常時弾性付勢している。一方、連結部材13の加圧ローラ3a,4aの支持部には、加圧ローラ3a,4aのローラ軸3c,4cを図において相対的な上下方向の移動を許容する長孔3d,4dが形成され、加圧ローラ3a,4aの折りローラ3b,4bに対する離間距離を調整することが可能となっている。すなわち、シート下面ガイド5、第1及び第2の折りローラ対3,4の加圧ローラ3a,4aの連結部材13に対する連結構造が、連結部材13に対し加圧ローラ3aが折りローラ3b方向、加圧ローラ4aが折りローラ4b方向に移動可能となるよう構成されている。
図6は本実施例におけるシート折り装置でのシート進入時の動作を示す図である。同図(a)はシート進入前、同図(b)はシート進入後の状態をそれぞれ示している。これらの図では、シート進入前の加圧ローラ4aの加圧ローラ軸4cは連結部材13の長孔4dの上端にあり、シート進入により加圧ローラ4aが押し下げられ、加圧ローラ軸4cは連結部材13長孔4dの中央部へ移動している。この動作によりシートに必要な加圧力が弾性部材15から付与される。
なお、実施例1では、第1及び第2の折りローラ対3,4の駆動側を折りローラ側3b,4b側に設定しているが、加圧ローラ3a,4a側にも図示しない駆動源からの駆動力を付与し、両者で挟持して折り処理を行うようにすることもできる。
その他、特に説明しない各部は前述の実施形態の概要及び実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例2によれば、加圧ローラ3a,4aとシート下面ガイド5が加圧ローラ加圧方向に可動に連結されているので、シート進入時の折りローラ対3,4、シート8、シート下面ガイド5がシートの厚み、折り回数に影響されことなく所定の位置関係を維持し、さらに、シート搬送時及びシート折り実施時の加圧力も安定しているので、第1及び第2の折りローラ対3,4のニップへ設計意図通り正しくシート8を進入させ、所望の加圧処理を行うことができる。その結果、折り上がったシート8の折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止すること、並びに折り厚みを押さえること可能となる。
また、第1及び第2の折りローラ対3,4において、折りローラ3b,4bに加え、加圧ローラ3a,4aにも駆動力を付与し、各ローラ対3,4のそれぞれのローラ3a,3b及び4a,4bを回転駆動すれば、折りローラ対3,4の加圧ローラ3a,4aと折りローラ3b,4bのそれぞれの間に隙間ができた状態でも加圧ローラ3a,4a及び折りローラ3b,4bが共に回転駆動されるので、シート搬送及びシート折り動作が精度よく確実に行われ、折り上がったシートの折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止することができる。
本実施例3は、実施例1におけるシート進入状態調整手段を、シート折畳み回数に応じてシート下面ガイド高さ及び折りローラ対間隔を調整する機構としたもので、その他の各部は実施例2と同等である。そこで、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
本実施例3に係るシート折り装置100の装置構成は実施例1における図2と同一であるが、第1及び第2の折りローラ対3,4の正転と逆転の繰り返しを制御するためのセンサとしてシート先端検知センサ9を用い、シートの折畳み回数をカウントすることによりシート厚みを算出し、高さ調整機構10 によりシート下面ガイド5及び加圧ローラ 3a,4aの高さ調整を行う点が実施例1と異なる。
シート厚みとシート折り回数の関係はシート特性、第1及び第2の折りローラ対3,4のローラの加圧力等により異なるため、予め実験により前記関係を求めておき、シート折り回数からシートの厚みを求めることも可能である。なお、実施例2のように加圧ローラ3a,4aに弾性部材15を設け、連結部材13を移動可能に支持する長孔3d,4dを設けてもよいことは言うまでもない。
図7は、本実施例3におけるシート折り装置100の制御部の構成を示すブロック図である。この制御部は図4に示した実施例1における制御部に折畳みカウント部36 、シート厚み算出部38を追加したものである。この制御部では、折畳みカウント部36でカウントされた折畳回数情報がシート厚み算出部38に送られ、シート厚みを算出し、算出されたシート厚み情報がCPU30 に送られる。CPU30ではこの情報に基づいてシート進入状態調整手段32を制御し、シート下面ガイド5の高さをシート厚みに対応した高さに調整する。
その他、特に説明しない各部は前述の実施形態の概要及び実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例3によれば、実施例1におけるシート進入状態調整手段32が、シート折畳回数に応じて実施例2における高さ調整機構10を制御し、折りローラ対3,4の加圧ローラ3a,4aとシート下面ガイド5の高さを変更し、第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ4対へのシート進入状態を調整することより、シートの折畳み回数に関わらず常に第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4のニップへ設計意図通り正しくシートを進入させることができる。その結果、折り上がったシートの折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止することが可能となる。
本実施例4は、実施例1におけるシート進入状態調整手段を、シート挟持時の折りローラ対の加圧ローラ位置に応じてシート下面ガイド高さ及び折りローラ対間隔を調整する機構としたもので、その他の各部は実施例1と同等である。そこで、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
本実施例4に係るシート折り装置100の装置構成は実施例1における装置構成である図2と同一であるが、図8に示すように加圧ローラ4aの折りローラ軸4cの位置の変化量を測定する折りローラ位置変化量測定部14を装置内に設けたものである。折りローラ位置変化量測定部14は、折りローラ位置変化量Aを測定し、後述の折りローラ対間隔測定部39で、前記変化量Aに基づいて折りローラ対4の間隔Bを算出する。そして、算出されたローラ対4の間隔Bに基づいてCPU30の指示に応じ、高さ調整機構10によりシート下面ガイド5、加圧ローラ3a,4aの高さ調整を行う。また、図示していないが、第1の折りローラ対3にも第2の折りローラ対4と同様に折りローラ位置変化量測定部14を設け、前述のようにして高さ調整機構 10 によりシート下面ガイド5、加圧ローラ3a,4aの高さ調整を行う。
図9は本実施例4におけるシート折り装置100の制御部の構成を示すブロック図である。この制御部は図4に示した実施例1における制御部に折りローラ間隔測定部39を追加したものである。折りローラ間隔測定部39は図8に示した折りローラ位置変化量測定部14で測定された折りローラ3a,4aの位置変化量から折りローラ対3,4のそれぞれの間隔を算出する。算出された間隔Bの情報がCPU30に送られ、CPU30ではこの間隔情報に基づいてシート進入状態調整手段32を制御し、第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4へのシート進入状態を調整する。
その他、特に説明しない各部は前述の実施形態の概要及び実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例4によれば、シート進入状態調整手段32が、折りローラ位置変化量測定部14によって測定され、折りローラ対間隔測定部39によって算出された間隔、すなわち、シート挟持時の折りローラ対3,4の折りローラ位置から折りローラ対により挟持している状態において算出されたシート厚みに基づいて、折りローラ対3,4の加圧ローラ3a,4aとシート下面ガイド5の高さを変更し、第1及び/又は第2の折りローラ対3,4へのシート進入状態を調整するようにした。これにより、簡単な構成で正確にシート厚みを測定することが可能となり、折畳み回数、シート厚み、コシ、カール状態、使用環境に拘らず、常に第1及び/又は第2の折りローラ対3,4のニップへ設計意図通り正しくシートを進入させることができる。その結果、折り上がったシートの折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止することが可能となる。
本実施例5は、実施例1におけるシート進入状態調整手段を、シート挟持時の折りローラ対の間隔からローラ非挟持時のシート厚みを算出するシート厚み算出部により算出されたローラ非挟持時のシート厚みに応じて、シート下面ガイド高さ及び折りローラ対間隔を調整する機構としたもので、その他の各部は実施例1と同等である。そこで、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施例5に係るシート折り装置100の装置構成は実施例1における装置構成である図2と同一であるが、図8に示した実施例4と同様に、加圧ローラ4aの折りローラ軸4cの位置の変化量を測定する折りローラ位置変化量測定部14を装置内に設けたものである。折りローラ位置変化量測定部14は、折りローラ位置変化量Aを測定し、後述の折りローラ対間隔測定部39で、前記変化量Aに基づいて折りローラ対4の間隔Bを算出する。次いで、算出されたローラ対4の間隔Bに基づいて、測定時点では折りローラ対4に挟持されていないが次の動作にて第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4のニップへ入るべき部分のシート厚みCを算出し、この算出値から高さ調整機構10によりシート下面ガイド5、加圧ローラ3a,4aの高さ調整を行う。また、実施例4と同様に、第1の折りローラ対3にも第2の折りローラ対4と同様に折りローラ位置変化量測定部14を設け、前述のようにして高さ調整機構 10 によりシート下面ガイド5、加圧ローラ3a,4aの高さ調整を行う。
また、折りローラ対4の間隔Bと折りローラ対4に挟持されていないが次の動作で第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4のニップへ入るべき部分のシート厚みCの関係は、シート特性、第1の折りローラ対3と第2の折りローラ対4のローラ加圧力等により異なるので、実験によりこれらの関係を求め、第2のローラ対4の間隔Bと第2のローラ対4に挟持されていない部分のシート厚みCを求めることもできる。
図10は実施例5におけるシート折り装置100の制御部の構成を示すブロック図である。この制御部は図4に示した実施例1における制御部に折りローラ間隔測定部39及びローラ非挟持部シート厚み算出部40を追加したものである。本実施例5では、折りローラ位置変化量測定部14で測定された折りローラ位置変化量から折りローラ対間隔測定部39で算出された折りローラ対間隔の算出値情報がローラ非挟持部シート厚み算出部 40に送られ、ローラ非挟持部シート厚み算出部 40でローラ非挟持部シート厚みが算出される。この算出値情報がCPU30 に送られ、CPU30ではこの情報に基づいてシート進入状態調整手段32を制御し、第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4へのシート進入状態を調整する。
その他、特に説明しない各部は前述の実施形態の概要及び実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例5によれば、シート進入状態調整手段32が、折りローラ対に挟持されていないが次の動作で折りローラ対のニップへ入るべき部分のシート厚みを算出し、その厚みに応じて折りローラ対3,4の加圧ローラ3a,4aとシート下面ガイド5の高さを変更し、第1及び/又は第2の折りローラ対3,4へのシート進入状態を調整することができる。これにより、折り上がったシートの折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止することが可能となる。
本実施例6は、実施例1におけるシート進入状態調整手段を、シート折り終了後に排出する際、シート端面を搬送方向先端側とした場合のシート端面状態に応じて折りローラ対の加圧ローラとシート下面ガイド板高さを変更し、第1の折りローラ対又は第2の折りローラ対へのシート進入状態を調整する構成としたもので、その他の各部は実施例1と同等である。そこで、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施例6に係るシート折り装置100の装置構成は実施例1における装置構成である図2と同一であるが、図11に示すようにシート折り終了後にシートを排出する際、シート8のシート端面8aを搬送方向の先端側(折りローラ対へのニップ進入側)とした場合のシート搬送状態に応じて、高さ調整機構10によりシート下面ガイド5、及び加圧ローラ3a,4aの高さ調整を行う。
この場合、シート折り装置100の制御部は図4に示す実施例1の制御部と同様であるが、CPU30はシート折り終了後の排出がシート端面8を前側とした場合にシート端面8が折りや曲げを生じることなく折りローラ対3a,3bのニップに進入できるようにシート端面状態に合わせてシート進入状態調整手段32を制御する。このときの折りローラ対3a,3bの間隔は、例えば、シート厚さとシートの折枚数に応じて予め設定された間隔、シート折り終了直前の折りローラ対3a,3bの間隔に対して予め最終部の撓み量(予め実験室などでデータを取り、統計的に処理された撓み量)を設定し、その設定された撓み量に基づいて決定される。そして、このようにして決定された第1の折りローラ対3又は第2の折りローラ対4へのシート進入時のニップの状態を調整する。
その他、特に説明しない各部は前述の実施形態の概要及び実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例6によれば、排出時のシート端面の状態(高さ位置)に応じて折りローラ対の加圧ローラとシート下面ガイド板高さを変更し、第1の折りローラ対又は第2の折りローラ対へのシート端面のシート進入状態を調整するようにしたので、折りローラ対3,4のニップの状態に拘わらず折り上がったシートの折り幅のズレ、シワの発生を防止することができる。
本実施例7は、実施例1におけるシート進入状態調整手段の第1の折りローラ対の加圧ローラ、第2の折りローラ対の加圧ローラの高さをそれぞれ独立して変更できるようにしたもので、その他の各部は実施例1と同等である。そこで、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図12は本実施例7における高さ調整機構を示す図である。本実施例7に係るシート折り装置130の装置構成は図2に示した実施例1における装置構成の高さ調整機構10を図12に示した高さ調整機構10に置換したものである。
図12に示した高さ調整機構10は、第1の折りローラ対3の加圧ローラ3aに対して第1の高さ調整機構10aを、第2の折りローラ対4の加圧ローラ4aに対して第2の高さ調整機構10bをそれぞれ独立して調整可能に設けたものである。第1の高さ調整機構10aは、第1折りローラ対高さ調整用ラックギヤ12a、第1折りローラ対高さ調整用ギヤ11aにより構成され、第2折りローラ対高さ調整機構10bは第2折りローラ対高さ調整用ラックギヤ12b、第2折りローラ対高さ調整用ギヤ 11bにより構成され、第1折りローラ対高さ調整用ギヤ11a、第2折りローラ対高さ調整用ギヤ11bはそれぞれ独立した図示されない駆動装置により回転駆動され、この回転により第1折りローラ対高さ調整用ラックギヤ12a及び第2折りローラ対高さ調整用ラックギヤ12bそれぞれ上下させることにより、加圧ローラ3a,4aの高さをそれぞれ独立して調整することができる。
その他、特に説明しない各部は前述の実施形態の概要及び実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例7によれば、高さ調整機構10の第1の折りローラ対3の加圧ローラ3a、第2の折りローラ対4の加圧ローラ4aの高さを独立して変更することができるので、シート進入状態調整手段32は、シート挟持側の折りローラ対ではシート搬送及びシート折りに必要な加圧力、シート非挟持側の折りローラ対では適正なシート進入状態と、互いに対向する折りローラ対に必要な条件に影響されることなく、第1及び第2の折りローラ対3,4の対向するローラ3a,3b、4a,4bの間隔を設定することが可能となる。ことより、折り上がったシートの折り幅のズレ及び折り部のシワの発生を防止することができ、また、折り厚みを押さえること可能となる。
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。