JP2011102211A - コンクリート用収縮低減剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で、硬化物の強度低下を抑制し、優れた収縮低減機能によりコンクリート硬化体のひび割れ発生を抑制し、減水剤との相溶性が良好であることから優れた減水機能を付与し、さらに、連行空気の質を容易に改良できることから優れた耐凍結融解性を付与し、コンクリート硬化体の耐久性を向上させることができる、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤を提供する。
【解決手段】本発明のコンクリート用収縮低減剤は、一般式(1)で表される分岐化合物(A−1)を主成分とする。
−[O−(AO)−R (1)
(一般式(1)中、RはR−[OH]で表される多価アルコール由来のRを表し、nは3または4であり、AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、Rは水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、mはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表し、mは1〜500であり、n=3のとき水酸基価が10〜60であり、n=4のとき水酸基価が5〜200である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリート用収縮低減剤に関する。より詳細には、優れた収縮低減機能を有するコンクリート用収縮低減剤に関する。
フレッシュコンクリート(生コンクリート)は、硬化してコンクリートとなった後に、外気温や湿度条件等により、内部に残った未反応水分の散逸を起こす。このため、乾燥収縮が進行し、硬化物中にひび割れが生じ、強度や耐久性が低下するという問題がある。土木・建築構造物の強度や耐久性等が低下すると、安全性の低下や修復コストの増大など、重大な問題が生じる。
このような問題に対し、法規制が強化されてきている。1999年6月に成立した住宅の品質確保の促進に関する法律では、コンクリートのひび割れも瑕疵保証の対象となっている。2009年2月に改訂された、鉄筋コンクリート造に関する建築工事標準仕様書(JASS 5(日本建築学会))では、耐用年数が長期(100年以上)にわたるコンクリートにおける26週での収縮ひずみが800×10−6以下に規制されることとなった。
最近、コンクリート硬化物の乾燥収縮を低減させる方法として、収縮低減剤が重要視されている。上記JASS 5の改訂と同時に、収縮低減剤に関する建築学会基準が制定された。
収縮低減剤として、炭素原子数1〜4のアルコールのアルキレンオキシド付加物(特許文献1参照)、2〜8価の多価アルコールのエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共付加物(特許文献2参照)、低級アルキルアミンのアルキレンオキシド付加物(特許文献3参照)、オリゴマー領域のポリプロピレングリコール(特許文献4参照)、低分子アルコール類(特許文献5参照)、2−エチルヘキサノールのアルキレンオキシド付加物(特許文献6参照)が報告されている。しかしながら、これらの収縮低減剤は、コンクリートに使用した場合に強度が低下するという問題や、コンクリート中に連行する空気の質を悪くして耐凍結融解性が低下するという問題がある。このため、強度を保つためにセメントペースト分の割合を高くする必要があり、コンクリートコストが高くなるという問題や、耐凍結融解性が低下することから寒冷地ではこれら収縮低減剤の使用が制限されるという問題が生じる。
特公昭56−51148号公報 特公平1−53214号公報 特公平1−53215号公報 特開昭59−152253号公報 特公平6−6500号公報 特許第2825855号公報
本発明の目的は、安価で、硬化物の強度低下を抑制し、優れた収縮低減機能によりコンクリート硬化体のひび割れ発生を抑制し、減水剤との相溶性が良好であることから優れた減水機能を付与し、さらに、連行空気の質を容易に改良できることから優れた耐凍結融解性を付与し、コンクリート硬化体の耐久性を向上させることができる、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤を提供することにある。
本発明のコンクリート用収縮低減剤は、
一般式(1)で表される分岐化合物(A−1)を主成分とする。
−[O−(AO)−R (1)
(一般式(1)中、RはR−[OH]で表される多価アルコール由来のRを表し、nは3または4であり、AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、Rは水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、mはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表し、mは1〜500であり、n=3のとき水酸基価が10〜60であり、n=4のとき水酸基価が5〜200である。)
好ましい実施形態においては、本発明のコンクリート用収縮低減剤は、一般式(2)で表される化合物(A−2)を含む。
HO−(AO)−H (2)
(一般式(2)中、AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、pはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表し、pは1〜500である。)
好ましい実施形態においては、上記化合物(A−2)を表す一般式(2)中、AOで表されるオキシアルキレン基の95モル%以上がオキシエチレン基である。
好ましい実施形態においては、上記分岐化合物(A−1)と上記化合物(A−2)とが、固形分換算で、(A−1)/(A−2)=99.9/0.1〜50/50の重量比で含まれる。
好ましい実施形態においては、上記分岐化合物(A−1)を表す一般式(1)中、n=3のときmが30〜150であり、n=4のときmが5〜200である。
好ましい実施形態においては、上記分岐化合物(A−1)を表す一般式(1)中、AOで表されるオキシアルキレン基の50モル%以上がオキシエチレン基である。
好ましい実施形態においては、上記分岐化合物(A−1)が、トリメチロールアルカンのアルキレンオキシド付加物およびペンタトリオールのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種である。
本発明によれば、安価で、硬化物の強度低下を抑制し、優れた収縮低減機能によりコンクリート硬化体のひび割れ発生を抑制し、さらに、連行空気の質を容易に改良できることから優れた耐凍結融解性を付与し、コンクリート硬化体の耐久性を向上させることができる、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤を提供することができる。
本発明のコンクリート用収縮低減剤は、一般式(1)で表される分岐化合物(A−1)を主成分とする。
本発明のコンクリート用収縮低減剤は、一般式(1)で表される分岐化合物(A−1)を、好ましくは50〜100重量%含み、より好ましくは50〜99.99重量%含み、さらに好ましくは50〜99.9重量%含み、特に好ましくは60〜99重量%含む。本発明のコンクリート用収縮低減剤中の分岐化合物(A−1)の含有割合が50重量%未満の場合、優れた収縮低減機能が発現できないおそれがある。
−[O−(AO)−R (1)
一般式(1)中、RはR−[OH]で表される多価アルコール由来のRを表す。
一般式(1)中、nは3または4である。すなわち、n=3のとき、R−[OH]で表される多価アルコールは3価の多価アルコール(3価アルコール:R−[OH])であり、n=4のとき、R−[OH]で表される多価アルコールは4価の多価アルコール(4価アルコール:R−[OH])である。
上記3価アルコールとしては、具体的には、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等のトリメチロールアルカン、1,3,5−ペンタトリオールが挙げられる。好ましくはトリメチロールアルカン、より好ましくはトリメチロールプロパンである。
上記4価アルコールとしては、具体的には、例えば、エリスリトール、ペンタエリスリトールが挙げられる。上記4価アルコールとしては、好ましくは、ペンタエリスリトールである。
一般式(1)中、AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。AOは、炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基が好ましい。具体的には、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。AOの炭素原子数が大きすぎると、本発明のコンクリート用収縮低減剤の水への溶解性が低下するおそれがある。
一般式(1)中、AOは1種のみのオキシアルキレン基からなっていても良いし、2種以上のオキシアルキレン基からなっていても良い。AOが2種以上のオキシアルキレン基からなっている場合には、それらはランダム付加体となっていても良いし、ブロック付加体となっていても良いし、交互付加体となっていても良い。
一般式(1)中、AOの50モル%以上が炭素原子数2および3のオキシアルキレン基であることが好ましく、AOの60〜100モル%が炭素原子数2および3のオキシアルキレン基であることがより好ましく、AOの80〜100モル%が炭素原子数2および3のオキシアルキレン基であることがさらに好ましく、AOの90〜100モル%が炭素原子数2および3のオキシアルキレン基であることが特に好ましい。より好ましい実施形態として、一般式(1)中、AOの50モル%以上が炭素原子数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であることが好ましく、AOの60〜100モル%が炭素原子数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であることがより好ましく、AOの80〜100モル%が炭素原子数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であることがさらに好ましく、AOの90〜100モル%が炭素原子数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であることが特に好ましい。
一般式(1)中、mはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表す。mは1〜500である。
n=3のとき、好ましくはm=30〜150、より好ましくはm=30〜120、さらに好ましくはm=30〜90である。mを上記範囲内に制御することにより、本発明のコンクリート用収縮低減剤は、硬化物の強度低下を抑制し得るとともに、優れた収縮低減機能を発現し得る。
n=4のとき、好ましくはm=5〜200、より好ましくはm=5〜100、さらに好ましくはm=10〜50である。mを上記範囲内に制御することにより、本発明のコンクリート用収縮低減剤は、硬化物の強度低下を抑制し得るとともに、優れた収縮低減機能を発現し得る。
一般式(1)中、Rは水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。Rは、より好ましくは水素原子または炭素原子数1〜15の炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、特に好ましくは水素原子または炭素原子数1〜6の炭化水素基である。
分岐化合物(A−1)は、一般式(1)において、n=3のとき水酸基価が10〜60であり、n=4のとき水酸基価が5〜200である。n=3のときの水酸基価は、好ましくは10〜50、より好ましくは10〜40、さらに好ましくは10〜30、特に好ましくは15〜30である。n=4のときの水酸基価は、好ましくは10〜150、より好ましくは20〜140、さらに好ましくは30〜130、特に好ましくは40〜120である。n=3またはn=4のときに、水酸基価が上記範囲にあることにより、硬化物の強度低下が一層抑制され、優れた収縮低減機能によりコンクリート硬化体のひび割れ発生が一層抑制され、さらに、連行空気の質を容易に改良できることから一層優れた耐凍結融解性が付与され、コンクリート硬化体の耐久性を一層向上させることができる、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤を提供することができる。
分岐化合物(A−1)としては、具体的には、例えば、トリメチロールアルカンのアルキレンオキシド付加物およびペンタトリオールのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。本発明の効果を十分に発現できるからである。
本発明のコンクリート用収縮低減剤は、好ましくは、一般式(2)で表される化合物(A−2)を含む。
HO−(AO)−H (2)
一般式(2)中、AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。AOは、炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基が好ましい。具体的には、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。AOの炭素原子数が大きすぎると、本発明のコンクリート用収縮低減剤の水への溶解性が低下するおそれがある。
一般式(2)中、AOは1種のみのオキシアルキレン基からなっていても良いし、2種以上のオキシアルキレン基からなっていても良い。AOが2種以上のオキシアルキレン基からなっている場合には、それらはランダム付加体となっていても良いし、ブロック付加体となっていても良いし、交互付加体となっていても良い。
一般式(2)中、AOの95モル%以上が炭素原子数2および3のオキシアルキレン基であることが好ましく、AOの95〜100モル%が炭素原子数2および3のオキシアルキレン基であることがより好ましく、AOの97〜100モル%が炭素原子数2および3のオキシアルキレン基であることがさらに好ましく、AOの99〜100モル%が炭素原子数2および3のオキシアルキレン基であることが特に好ましい。より好ましい実施形態として、一般式(2)中、AOの95モル%以上が炭素原子数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であることが好ましく、AOの95〜100モル%が炭素原子数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であることがより好ましく、AOの97〜100モル%が炭素原子数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であることがさらに好ましく、AOの99〜100モル%が炭素原子数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であることが特に好ましい。
一般式(2)中、pはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表す。pは1〜500である。
化合物(A−2)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算での重量平均分子量(Mw)が、好ましくは500〜200000、より好ましくは500〜150000、さらに好ましくは1000〜100000、特に好ましくは1000〜50000である。重量平均分子量(Mw)が500未満であると、本発明のコンクリート用収縮低減剤の収縮低減性能が低下するおそれがある。重量平均分子量(Mw)が200000を超えると、本発明のコンクリート用収縮低減剤の収縮低減性能が低下するおそれがある。なお、本明細書中、重量平均分子量は、下記GPC測定条件により測定される値である。
〔GPC分子量測定条件〕
使用カラム:東ソー社製TSKguardcolumn SWXL+TSKge1 G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整した溶離液溶液を用いる。
打込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470。
検量線次数:三次式
検出器:日本Waters社製 410 示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.3.21
本発明のコンクリート用収縮低減剤が化合物(A−2)を含む場合、分岐化合物(A−1)と化合物(A−2)とは、固形分換算で、(A−1)/(A−2)=99.9/0.1〜50/50の重量比で含まれることが好ましく、(A−1)/(A−2)=99.8/0.2〜50/50の重量比で含まれることがより好ましく、(A−1)/(A−2)=99.5/0.5〜50/50の重量比で含まれることがさらに好ましい。分岐化合物(A−1)と化合物(A−2)との重量比が上記範囲にあることにより、硬化物の強度低下が一層抑制され、優れた収縮低減機能によりコンクリート硬化体のひび割れ発生が一層抑制され、さらに、連行空気の質を容易に改良できることから一層優れた耐凍結融解性が付与され、コンクリート硬化体の耐久性を一層向上させることができる、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤を提供することができる。
本発明のコンクリート用収縮低減剤は、AE剤(C)や消泡剤(D)を併用しても良い。AE剤(C)や消泡剤(D)は、それぞれ、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明のコンクリート用収縮低減剤がAE剤(C)を含む場合、AE剤(C)の好適な含有割合は、固形分換算で、分岐化合物(A−1)と化合物(A−2)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.005〜10重量部、さらに好ましくは0.01〜5重量部である。分岐化合物(A−1)と化合物(A−2)との合計量に対するAE剤(C)の含有割合が上記範囲にあることにより、連行空気の質を容易に改良できることから一層優れた耐凍結融解性が付与され、コンクリート硬化体の耐久性を一層向上させることができる、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤を提供することができる。
本発明のコンクリート用収縮低減剤が消泡剤(D)を含む場合、消泡剤(D)の好適な含有割合は、固形分換算で、分岐化合物(A−1)と化合物(A−2)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.05〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。分岐化合物(A−1)と化合物(A−2)との合計量に対する消泡剤(D)の含有割合が上記範囲にあることにより、分岐化合物(A−1)と化合物(A−2)由来の連行空気量を調整することができ、硬化物の強度低下が一層抑制され、優れた収縮低減機能によりコンクリート硬化体のひび割れ発生が一層抑制され、さらに、連行空気の質を容易に改良できることから一層優れた耐凍結融解性が付与され、コンクリート硬化体の耐久性を一層向上させることができる、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤を提供することができる。
本発明のコンクリート用収縮低減剤がAE剤(C)と消泡剤(D)を同時に含む場合、AE剤(C)と消泡剤(D)の重量含有比(AE剤(C)/消泡剤(D))は、固形分換算で、好ましくは90/10〜1/99、より好ましくは80/20〜1/99、さらに好ましくは70/30〜5/95である。
上記AE剤(C)としては、任意の適切なAE剤を採用し得る。例えば、樹脂石鹸、飽和または不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステルまたはその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネートが挙げられる。
上記消泡剤(D)としては、任意の適切な消泡剤を採用し得る。例えば、
(1)燈油、流動パラフィン等の鉱油系消泡剤:
(2)動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等の油脂系消泡剤:
(3)オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等の脂肪酸系消泡剤:
(4)グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等の脂肪酸エステル系消泡剤:
(5)(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド;等のオキシアルキレン系消泡剤:
(6)オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等のアルコール系消泡剤:
(7)アクリレートポリアミン等のアミド系消泡剤:
(8)リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等のリン酸エステル系消泡剤:
(9)アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等の金属石鹸系消泡剤:
(10)ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等のシリコーン系消泡剤:
が挙げられる。
本発明のコンクリート用収縮低減剤は、本発明の作用効果を奏する限り、必要に応じて、その他の成分を併用しても良い。その他の成分としては、例えば、水溶性高分子物質、高分子エマルジョン、遅延剤、早強剤、促進剤、界面活性剤、防水剤、防腐剤、硬化促進剤、凝結遅延剤、防錆剤、ひび割れ低減剤、膨張材、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、他の乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、着色剤、防カビ剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石微粉末、石膏、鉱物質微粉末が挙げられる。これらは1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明のコンクリート用収縮低減剤の製造方法については、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、分岐化合物(A−1)については、上述したR−[OH]で表される多価アルコールに、アルカリ成分(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下で、炭素原子数2〜18のアルキレンオキサイドを付加反応させる方法が挙げられる。
本発明のコンクリート用収縮低減剤は、優れた収縮低減機能とともに優れた水溶性および減水剤との相溶性を有する。本発明のコンクリート用収縮低減剤は、水、減水剤と任意の割合で溶解させることが可能であることから、水/セメント比の適用範囲が広く、水/セメント比(重量比)で、好ましくは60%〜15%のコンクリートまで製造が可能である。従って、汎用性が高く、種々の用途のセメント組成物に添加して用いることが可能である。
本発明のコンクリート用収縮低減剤は、減水剤(B)を併用しても良い。減水剤(B)は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。減水剤(B)としては、任意の適切な減水剤を採用し得る。例えば、リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系(特開平1−113419号公報参照)等のスルホン酸塩、およびポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体、例えば、3−メチル−3−ブテン−1−オール等の特定の不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、これらの単量体と共重合可能な単量体から得られる共重合体またはその塩(特開昭62−68808号公報、特開平10−236858号公報、特開2001−220417号公報参照);(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステルあるいはポリエチレン(プロピレン)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、からなる共重合体(特開昭62−216950号公報参照);(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、からなる共重合体(特開平1−226757号公報参照);ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体(特開平4−149056号公報参照);ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アリルスルホン酸(塩)あるいはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、からなる共重合体(特開平6−191918号公報参照);アルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体あるいはその加水分解物またはその塩(特開平5−43288号公報参照);ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、これらの単量体と共重合可能な単量体、からなる共重合体(特公昭59−18338号公報参照);スルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび必要に応じてこれと共重合可能な単量体からなる共重合体またはその塩(特公昭62−119147号公報参照);アルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物(特開平6−298555号公報参照);ポリアルキレングリコールモノエステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体および(メタ)アリルスルホン酸系単量体の中から選ばれる1種以上の単量体との、共重合体(特開平7−223852号公報参照);スチレンスルホン酸、スルホアルキル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノリン酸エステルから選ばれる1種以上の単量体、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、および不飽和カルボン酸系単量体からなる共重合体またはその塩(特開平11−79811号公報参照);(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、および(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレートとの共重合体(特開2004−307590号公報参照);(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、リン酸モノエステル系単量体、およびリン酸ジエステル系単量体からなる共重合体またはその塩(特開2006−52381号公報参照);不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体と不飽和モノカルボン酸系単量体との共重合体(特開2002−121055号公報、特開2002−121056号公報参照);などが挙げられる。これらの中でも、リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;3−メチル−3−ブテン−1−オール等の特定の不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、これらの単量体と共重合可能な単量体から得られる共重合体またはその塩(特開昭62−68808号公報、特開平10−236858号公報、特開2001−220417号公報参照);ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体(特開平4−149056号公報参照);アルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体あるいはその加水分解物またはその塩(特開平5−43288号公報参照);ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、これらの単量体と共重合可能な単量体、からなる共重合体(特公昭59−18338号公報参照);ポリアルキレングリコールモノエステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体および(メタ)アリルスルホン酸系単量体の中から選ばれる1種以上の単量体との、共重合体(特開平7−223852号公報参照);(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、および(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレートとの共重合体(特開2004−307590号公報参照);(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、リン酸モノエステル系単量体、およびリン酸ジエステル系単量体からなる共重合体またはその塩(特開2006−52381号公報参照);不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体と不飽和モノカルボン酸系単量体との共重合体(特開2002−121055号公報、特開2002−121056号公報参照);が好ましい。
本発明のコンクリート用収縮低減剤が分岐化合物(A−1)、化合物(A−2)、AE剤(C)、消泡剤(D)、および減水剤(B)を含む場合、これらの好適な含有割合は、固形分換算で、(分岐化合物(A−1)+化合物(A−2))/(AE剤(C)+消泡剤(D)+減水剤(B))が、好ましくは99.9/0.1〜50/50、より好ましくは99.9/0.1〜55/45、さらに好ましくは99.5/0.5〜60/40である。
本発明のコンクリート用収縮低減剤を用いたセメント組成物とは、好ましくは、セメント、細骨材、および水から成るモルタル、さらに粗骨材から成るコンクリート等のセメント組成物に、本発明のコンクリート用収縮低減剤を所定の割合で添加したものである。
セメント組成物の製造に用いるセメントとしては、例えば、普通、低熱、中庸熱、早強、超早強、耐硫酸塩等のポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメント、シリカヒュームセメントが挙げられる。また、セメント組成物中の粉体として、例えば、シリカヒューム、フライアッシュ、石灰石微粉末、高炉スラグ微粉末、膨張材、その他の鉱物質微粉末等が挙げられる。細骨材としては、例えば、川砂、山砂、海砂、砕砂、重量骨材、軽量骨材、スラグ骨材、再生骨材が挙げられる。粗骨材としては、例えば、川砂利、砕石、重量骨材、軽量骨材、スラグ骨材、再生骨材が挙げられる。水としては、例えば、JIS A 5308付属書9に示される上水道水、上水道水以外の水(河川水、湖沼水、井戸水など)、回収水が挙げられる。
セメント組成物中には、任意の適切な添加剤を加えても良い。例えば、硬化促進剤、凝結遅延剤、防錆剤、防水剤、防腐剤が挙げられる。
セメント組成物の製造方法、運搬方法、打設方法、養生方法、管理方法などについては、任意の適切な方法を採用し得る。
セメント組成物における、本発明のコンクリート用収縮低減剤の添加量は、目的に応じて任意の適切な量を採用し得る。例えば、セメント100重量部に対し、0.5〜10.0重量%とすることが好ましい。また、セメント組成物100容量部当たりのセメント容量が14容量%を超える場合は、好ましくはセメント100重量部に対して0.5〜10.0重量%、より好ましくは0.5〜6.0重量%とすることが好ましい。
上記セメント組成物は、そのままコンクリート(フレッシュコンクリート)として用い得る。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量基準である。
〔コンクリート配合に用いる各成分の固形分測定〕
コンクリート物性評価に用いる各成分の固形分測定は下記のように行った。
1.アルミ皿を精秤した。
2.精秤したアルミ皿上に固形分を測定する成分を載せて精秤した。
3.窒素雰囲気下、130℃に調温した乾燥機内に、上記2で精秤した成分を1時間入れた。
4.1時間後、上記成分を乾燥機から取り出し、デシケーター内で15分間放冷した。
5.15分後、乾燥後の上記成分をデシケーターから取り出し、アルミ皿と乾燥後の上記成分を精秤した。
6.下記式により、固形分を算出した。
固形分(%)={〔(上記5の精秤で得られた重量)−(上記1の精秤で得られた重量)〕/〔(上記2の精秤で得られた重量)−(上記1の精秤で得られた重量)〕}×100
〔水酸基価の測定方法〕
≪フタル化試薬の調製≫
無水フタル酸35gをピリジン(試薬)200mlに溶解して、フタル化試薬の調製を行った。
≪水酸基価の測定≫
下記式から算出したサンプル採取量を参考に、各評価サンプルを水酸基価測定用の容器に計量した。
サンプル採取量(g)=(120×分子量)/(56110×価数)
分子量:構造から算出した分子量
価数:一分子中にある水酸基の数
先に調製したフタル化試薬10mlをピペットで量り、上記水酸基価測定用の容器に入れ、撹拌し、サンプルを溶解した。また、空の容器にもフタル化試薬10mlをピペットで量り、ブランクとした。
120℃に設定したホットプレート上に上記容器を置き、1時間加熱して反応させた。
ホットプレートから容器を外し、水を30〜50ml加えて冷却した。
冷却後、自動滴定装置(電位差自動滴定装置、平沼産業、COM−1600型)を使用し、0.5Nの水酸化カリウム水溶液(和光純薬製試薬)で滴定した。
下記式によって水酸基価(OHV)を算出した。
OHV=〔(Bt−St)×0.5×f×56.11〕/Ws
Bt:ブランクの滴定量(ml)
St:サンプルの滴定量(ml)
f:0.5N水酸化カリウム水溶液の力価(試薬ラベルに表示の値(Factor)を使用)
Ws:サンプル採取量(g)
〔モルタル物性評価〕
≪モルタルの混練≫
所定量の試験液を秤量して水で希釈したもの225g、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)450g、セメント強さ試験用標準砂(JIS R5201−1997附属書2の5.1.3に規定:セメント協会)1350gを、ホバート型モルタルミキサー(ホバート社製、型番:N−50)を用い、JIS R5201−1997の方法に従い、モルタルの混練を行った。
また、モルタル空気量が試験液を添加しないモルタル(基準モルタル)の空気量に対して±3vol%以内となるように、必要に応じて消泡剤(ポリアルキレングリコール誘導体)を使用して調整した。
≪モルタル空気量の測定≫
モルタル空気量の測定は、500mlメスシリンダーを用い、JIS A1174(まだ固まらないポリマーセメントモルタルの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量方法))に準拠して実施した。
≪乾燥収縮低減性の評価≫
モルタルの混練を上記1と同様に実施した。次に、乾燥収縮低減性評価用のモルタル供試体(4×4×16cm)の作成を、JIS A1129に従って実施した。型枠には予めシリコングリースを塗布して止水すると共に容易に脱型できるようにした。また、供試体の両端にはゲージプラグを装着した。混練して得られたモルタルを流し込んだ型枠を容器に入れ、密閉し、20℃で保管し、初期養生を行った。1日後に脱型し、供試体に付着したシリコングリースを、たわしを用いて水で洗浄し、続いて、20℃の静水中で6日間養生(水中養生)した。JIS A1129に従い、ダイヤルゲージ((株)西日本試験機製)を使用し、静水中で6日間養生した供試体の表面の水を紙タオルで拭き取った後、直ちに測長し、この時点の長さを基準とした。その後、温度20℃、湿度60%に設定した恒温恒湿室内に保存し、収縮ひずみ量を測定した。
〔コンクリート物性評価〕
≪スランプ値、空気量の評価≫
取り出したコンクリート(フレッシュコンクリート)について、スランプ値、空気量を以下の方法により評価した。
スランプ値:JIS A 1101−1998
空気量 :JIS A 1128−1998
≪気泡間隔係数の測定≫
AE剤および消泡剤を用いて所定の空気量のコンクリートを混練した後、6mm以上の骨材を取り除いたモルタルについてエアボイドアナライザー(AVA;商品名、ジャーマンインストゥルメンツ社製)にて耐凍結融解性の指標となる気泡間隔係数の測定を行った。
まず、20℃に調温したAVA測定用溶液250mlと水約2000mlを測定した。次に、測定用カラムに充填した後、モルタル20mlを採取し、カラムの底部に注入した。注入後、モルタルを30秒間攪拌し液中にモルタルの連行空気を十分に液中に放出させた。放出された気泡を経時測定することにより、気泡間隔係数の計算を行った。気泡間隔係数の計算に際して、コンクリート全体積より6mm以上の骨材の占める体積を除いた値(モルタル容積率)を64.3%とした。
〔製造例1〕:共重合体(1)、(2)の合成
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管および還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水200.2gを仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)225.2g、メタクリル酸44.8g、水450gおよび連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2.2gを混合したモノマー水溶液を4時間、並びに5.2%過硫酸アンモニウム水溶液60gを5時間かけて反応容器に滴下し、5.2%過硫酸アンモニウム水溶液滴下終了後、さらに1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量22600の共重合体水溶液(共重合体(1))を得た。
一方、温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管および還流冷却装置を備えた別のガラス製反応装置に水200.2gを仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)239.9g、メタクリル酸20.1g、水450gおよび連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2.2gを混合したモノマー水溶液を4時間、並びに5.2%過硫酸アンモニウム水溶液60gを5時間かけて反応容器に滴下し、5.2%過硫酸アンモニウム水溶液滴下終了後、さらに1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量35600の共重合体水溶液(共重合体(2))を得た。
〔製造例2〕:ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体PC−1の合成
製造例1で得られた共重合体(1)および共重合体(2)を、固形分換算の重量比で、共重合体(1)/共重合体(2)=30/70の割合で混合し、ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(B)に相当する共重合体水溶液PC−1を得た。
〔製造例3〕:分岐化合物(1)の製造
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、市販のトリメチロールプロパン190gおよび水酸化ナトリウム4.12gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた後、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド1871.4gを添加し、トリメチロールプロパンの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ10モルずつ付加された中間体(1)を得た。
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、中間体(1)340gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた。次に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド1234.6gを添加し、トリメチロールプロパンの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ50モルずつ付加された分岐化合物(1)を得た。分岐化合物(1)の水酸基価は26.0であった。
〔製造例4〕:分岐化合物(2)の製造
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、製造例1で得られた中間体(1)340gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた。次に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド2006.3gを添加し、トリメチロールプロパンの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ75モルずつ付加された分岐化合物(2)を得た。分岐化合物(2)の水酸基価は17.3であった。
〔製造例5〕:分岐化合物(3)の製造
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、市販のペンタエリスリトール500gおよび水酸化ナトリウム1.15gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた後、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド647.1gを添加し、ペンタエリスリトールの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ1モルずつ付加された中間体(2)を得た。
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、中間体(2)350gおよび水酸化ナトリウム1.67gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた。次に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド1743.2gを添加し、ペンタエリスリトールの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ10モルずつ付加された分岐化合物(3)を得た。分岐化合物(3)の水酸基価は117.1であった。
〔製造例6〕:分岐化合物(4)の製造
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、製造例3で得られた分岐化合物(3)400gおよび水酸化ナトリウム0.15gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた。次に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド370.1gを添加し、ペンタエリスリトールの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ20モルずつ付加された分岐化合物(4)を得た。分岐化合物(4)の水酸基価は62.0であった。
〔製造例7〕:分岐化合物(5)の製造
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、製造例6で得られた分岐化合物(4)464gおよび水酸化ナトリウム0.15gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた。次に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド223gを添加し、ペンタエリスリトールの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ30モルずつ付加された分岐化合物(5)を得た。分岐化合物(5)の水酸基価は41.8であった。
〔製造例8〕:比較用分岐化合物(1)の製造
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、市販のトリメチロールプロパン150gおよび水酸化ナトリウム2.48gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた後、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド2462.4gを添加し、トリメチロールプロパンの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ16.7モルずつ付加された比較用分岐化合物(1)を得た。比較用分岐化合物(1)の水酸基価は72.9であった。
〔製造例9〕:比較用分岐化合物(2)の製造
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、製造例1で得られた中間体(1)200gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた。次に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド2632.7gを添加し、トリメチロールプロパンの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ155モルずつ付加された比較用分岐化合物(2)を得た。比較用分岐化合物(2)の水酸基価は8.0であった。
〔製造例10〕:比較用分岐化合物(3)の製造
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、市販のペンタエリスリトール300gおよび水酸化ナトリウム1.13gを仕込んだ。次いで、反応系を150℃まで昇温させた後、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド1943.4gを添加し、ペンタエリスリトールの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ5モルずつ付加された比較用分岐化合物(3)を得た。比較用分岐化合物(3)の水酸基価は220.5であった。
〔実施例1〜9〕
表1に示すように、分岐化合物(A−1)として分岐化合物(1)〜(5)、化合物(A−2)として化合物(1)〜(2)、消泡剤(D)を用い、表2に示すように配合し、モルタル評価を行った。結果を表4に示した。
〔比較例1〜2〕
表1に示す比較用分岐化合物(2)、化合物(2)、消泡剤(D)を用い、表2に示すように配合し、モルタル評価を行った。結果を表4に示した。
〔実施例10〜17、比較例3〜4〕
≪コンクリート配合≫
以下に示すコンクリート配合割合により、練り混ぜ量が30Lとなるようにそれぞれの材料を計量し、強制2軸練りミキサーを使用して材料の混錬を実施した。なお、セメントは太平洋セメント社、住友大阪セメント社、および宇部三菱セメント社製普通ポルトランドセメント(比重3.16)を均等に混合して使用した。この際、細骨材には掛川産陸砂および君津産陸砂、粗骨材には青梅硬質砂岩をそれぞれ使用した。また、減水剤(B)(PC−1:表1参照)および空気量調整剤(AE剤(C)および消泡剤(D):表1参照)を使用してコンクリートのスランプ値=18±2cm、空気量=5±1%となるように調整した。
<コンクリート配合割合>
単位セメント量:350kg/m
単位水量 :175kg/m
単位細骨材量 :840kg/m
単位粗骨材量 :905kg/m
(水セメント比(W/C):50%、細骨材率(s/a):49.0%)
≪材料の練り混ぜ≫
粗骨材および使用する半量の細骨材をミキサーに投入し5秒間空練り後、回転を止めセメントおよび残りの細骨材を投入し、さらに5秒間空練りを行った後再び回転を止めて、分岐化合物(A−1)、必要により化合物(A−2)、AE剤(C)、および消泡剤(D)を含む水を加え、90秒間混錬した後、ミキサーからコンクリートを取り出した。
≪評価≫
表1に示すような、分岐化合物(A−1)として分岐化合物(1)〜(4)、比較用分岐化合物(1)、(3)、化合物(A−2)として化合物(1)〜(2)、AE剤(C)、消泡剤(D)、減水剤(B)を用い、表3に示すように配合し、コンクリート評価を行った。結果を表5に示した。
Figure 2011102211
Figure 2011102211
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Figure 2011102211
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本発明にいう分岐化合物(A−1)を配合した実施例1〜9の場合、無配合の比較例1〜2に比べて、収縮ひずみが小さくなっていることから、本発明にいう分岐化合物(A−1)を配合することにより、優れた収縮低減機能によりコンクリート硬化体のひび割れ発生を抑制できることが判る。
気泡間隔係数の値が小さいほど、コンクリート中に連行された気泡が細かく密に分散している(良質の気泡をコンクリート中に連行している)ことを示し、耐凍結融解性に優れていることを示す。本発明にいう所定の水酸基価を有する分岐化合物(A−1)を配合した実施例10〜17の場合、所定範囲から外れた水酸基価を有する比較用分岐化合物を(A−1)成分として配合した比較例3〜4に比べて、気泡間隔係数が小さくなっていることから、本発明にいう分岐化合物(A−1)を配合することにより、コンクリート中に連行される空気の質が改善されていることが判る。
本発明によれば、安価で、硬化物の強度低下を抑制し、優れた収縮低減機能によりコンクリート硬化体のひび割れ発生を抑制し、減水剤との相溶性が良好であることから優れた減水機能を付与し、さらに、連行空気の質を容易に改良できることから優れた耐凍結融解性を付与し、コンクリート硬化体の耐久性を向上させることができる、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤を提供することができるので、これらはコンクリート用の添加剤として有用である。

Claims (7)

  1. 一般式(1)で表される分岐化合物(A−1)を主成分とするコンクリート用収縮低減剤。
    −[O−(AO)−R (1)
    (一般式(1)中、RはR−[OH]で表される多価アルコール由来のRを表し、nは3または4であり、AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、Rは水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、mはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表し、mは1〜500であり、n=3のとき水酸基価が10〜60であり、n=4のとき水酸基価が5〜200である。)
  2. 一般式(2)で表される化合物(A−2)を含む、請求項1に記載のコンクリート用収縮低減剤。
    HO−(AO)−H (2)
    (一般式(2)中、AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、pはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表し、pは1〜500である。)
  3. 前記化合物(A−2)を表す一般式(2)中、AOで表されるオキシアルキレン基の95モル%以上がオキシエチレン基である、請求項2に記載のコンクリート用収縮低減剤。
  4. 前記分岐化合物(A−1)と前記化合物(A−2)とが、固形分換算で、(A−1)/(A−2)=99.9/0.1〜50/50の重量比で含まれる、請求項2または3に記載のコンクリート用収縮低減剤。
  5. 前記分岐化合物(A−1)を表す一般式(1)中、n=3のときmが30〜150であり、n=4のときmが5〜200である、請求項1から4までのいずれかに記載のコンクリート用収縮低減剤。
  6. 前記分岐化合物(A−1)を表す一般式(1)中、AOで表されるオキシアルキレン基の50モル%以上がオキシエチレン基である、請求項1から5までのいずれかに記載のコンクリート用収縮低減剤。
  7. 前記分岐化合物(A−1)が、トリメチロールアルカンのアルキレンオキシド付加物およびペンタトリオールのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1から6までのいずれかに記載のコンクリート用収縮低減剤。



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