JP2010105829A - セメント混和剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
現場で作業しやすくなるよう粘性が低減され且つ材料分離を引き起こさない均一性の高いセメント組成物を形成することができ、しかも減水性とスランプ保持性にも優れたセメント混和剤を提供する。
【解決手段】
ポリグリセリンまたはポリグリセリンにオキシアルキレン基を付加したアルキレンオキシド付加物とポリカルボン酸系共重合体とを含んでなり、ポリグリセリンが平均重合度10以上である、または、該付加物が平均重合度5以上のポリグリセリンにオキシアルキレン基を平均付加モル数が5以上となる割合で付加したアルキレンオキシド付加物である、ことを特徴とするセメント混和剤に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セメント混和剤に関する。より詳しくは、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に好適に用いることができるセメント混和剤に関する。
セメント混和剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に減水剤等として広く用いられており、セメント組成物から土木・建築構造物を構築するために欠かすことのできないものとなっている。
セメント混和剤は、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、土木・建築構造物の強度や耐久性を向上させる作用を有することになる。このようなセメント混和剤の中でも、ポリカルボン酸系重合体を含む減水剤は、従来のナフタレン系等の減水剤に比べて高い減水性能を発揮するため、高性能AE減水剤として多くの実績がある。
近年、セメント混和剤として、セメント組成物に対する減水性能に加えて、取り扱う現場での作業性改善に向けてセメント組成物の粘性を低減できるものや、ポンプ圧送性の低下や充填不良等による強度低下の防止に向けてセメント組成物の材料分離を引き起こさないものが、土木・建築構造物の製造現場において求められている。このように、セメント混和剤がセメント組成物の粘性を低減させる効果や材料分離に対する優れた抵抗性能を発揮すると、土木・建築構造物を構築する際の作業効率や当該構造物の耐久性が更に改善されることとなる。
セメント組成物の粘性低減効果を奏する無機粉体用分散剤として、オキシプロピレン基及び/又はオキシブチレン基とオキシエチレン基とのランダム重合鎖を導入した水溶性重合体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリアルキレンポリアミンにアルキレンオキサイドを付加したポリオキシアルキレン系化合物がセメント分散に優れた補助効果を示し、この化合物とポリカルボン酸系高性能AE減水剤とを配合したセメント組成物が優れた減水効果を奏することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、セメント組成物に対して優れた減水性と粘性低減効果を奏するものとして、多価アルコールアルキレンオキシド付加物とポリカルボン酸系重合体とを含んでなるセメント混和剤が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、これら従来のセメント混和剤は、減水性や粘性低減効果では一定の性能を示すものの、コンクリート等のセメント組成物を更に作業しやすい状態に改善し、土木・建築構造物の構築現場での作業効率を高めるには不十分であった。特に、コンクリートが材料分離を引き起こさず、ポンプ圧送性や充填性を改善するためには、改良の余地があった。
特開平9−248438号公報 特開2000−109357号公報 特開2004−2175号公報
本発明は、従来技術の上記現状に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、高い減水性と現場での作業がしやすくなる好適な粘性をセメント組成物に付与すると共に、材料分離を引き起こさず均一性の高いセメント組成物を与える、セメント混和剤を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、土木・建築構造物の構築現場で求められている、粘性が低く且つ材料分離を引き起こさないセメント組成物等を形成することができるセメント混和剤を見出した。
すなわち、第一の本発明は、ポリグリセリンとポリカルボン酸系共重合体とを含んでなり、ポリグリセリンの平均重合度が10以上であることを特徴とするセメント混和剤である。
また、第二の本発明は、ポリグリセリンにオキシアルキレン基を付加したアルキレンオキシド付加物(以下、PGL/AO付加物と呼ぶことがある)とポリカルボン酸系共重合体とを含んでなり、PGL/AO付加物が、平均重合度5以上のポリグリセリンにオキシアルキレン基を平均付加モル数が5以上となる割合で付加したアルキレンオキシド付加物であることを特徴とするセメント混和剤である。
本発明のセメント混和剤は、コンクリート等のセメント組成物に高い減水性を付与すると共に、好適な粘性を付与してセメント組成物の状態を顕著に改善する効果を有する。したがって、本発明のセメント混和剤を用いれば、コンクリート等のセメント組成物を取り扱う現場での作業効率が著しく向上し、しかも、材料分離を引き起こさないポンプ圧送性や充填性の改善されたセメント組成物を調製することが可能となる。
さらに、第二の本発明においては、セメント組成物の粘性や材料分離を改善するだけでなく、減水性やスランプ保持性の更なる向上効果が発現し、PGL/AO付加物とポリカルボン酸系共重合体とを組み合わせて用いた時の相乗効果が顕著である。
本発明のセメント混和剤は、上記の通り、ポリグリセリンまたはポリグリセリンにオキシアルキレン基を付加したアルキレンオキシド付加物(以下、PGL/AO付加物と呼ぶことがある)と、ポリカルボン酸系共重合体とを配合したものである。
なお、ポリグリセリンおよびPGL/AO付加物をポリカルボン酸系共重合体と併用する形態も、本発明のセメント混和剤の好ましい実施形態である。
本発明のセメント混和剤において、ポリカルボン酸系共重合体、ポリグリセリンおよびPGL/AO付加物のそれぞれは、1種または2種以上を適宜配合して用いることができる。例えば、ポリカルボン酸系共重合体を構成する構造単位の種類や組成が異なったり、ポリカルボン酸系共重合体の平均分子量等の特性が異なったりするものを、2種以上組み合わせて使用することもできる。また、平均重合度等の特性が異なるポリグリセリンを2種類以上用いてもよく、オキシアルキレン基の種類や平均付加モル数が異なるPGL/AO付加物を2種類以上用いてもよい。
以下、本発明を詳細に説明する。
第一の本発明に用いられるポリグリセリンとしては、市販のポリグリセリンから特定の平均重合度のものを選択して使用する。ポリグリセリンは、製法によって、植物油由来のグリセリンを脱水縮合して製造されるもの、グリシドール由来のもの、と大きく2つに区分されるが、グリシドール由来のものが好適に用いられる。
第一の本発明では、ポリグリセリンを構成する単位であるグリセリンあるいはグリシドールの平均重合度が10以上のポリグリセリンが用いられる。中でも、平均重合度が10〜500のものが好適に用いられ、好ましくは10〜400であり、更に好ましくは10〜300であり、最も好ましくは15〜200である。平均重合度とはポリグリセリンを構成する単位であるグリセリンあるいはグリシドールのモル(量体)数で表現されることもある。例えば、平均重合度が10とは、10モル(量体)と同じ意味を表す。ポリグリセリンの平均重合度が10未満の場合には、セメント組成物の粘性や材料分離を改善する効果が不充分となり、ポリカルボン酸系共重合体と組み合わせて用いた際の作業効率の改善が充分に発揮されなくなる。
また、第一の本発明に用いられるポリグリセリンの重量平均分子量としては、1000を超え50000未満のものが好適に用いられ、好ましくは1500〜20000である。
第二の本発明では、ポリグリセリンにオキシアルキレン基を付加したアルキレンオキシド付加物が用いられる。このPGL/AO付加物を構成するポリグリセリンには、上記のような各種由来のポリグリセリンを適用することができるが、平均重合度は5以上のポリグリセリンである。中でも、平均重合度が5〜500のものが好適に用いられ、好ましくは7〜400であり、更に好ましくは10〜300であり、最も好ましくは15〜200である。第二の本発明において、PGL/AO付加物を構成するポリグリセリンが平均重合度5未満のものである場合には、セメント組成物の粘性や材料分離を改善する効果が不充分となり、ポリカルボン酸系共重合体と組み合わせて用いた際の作業効率の改善は充分に発揮されなくなる。
また、PGL/AO付加物におけるポリグリセリンの重量平均分子量としては、500〜50000のものが好適に用いられ、好ましくは700〜40000であり、更に好ましくは1000〜30000であり、最も好ましくは1500〜20000である。
第二の本発明に用いられるPGL/AO付加物におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数は、5〜300である。この平均付加モル数が5未満であると、ポリカルボン酸系共重合体と組み合わせて用いた際の減水性向上の助剤効果が発現されず、またスランプ保持性を高めることもできなくなる。また、この平均付加モル数が300を超えると、PGL/AO付加物を製造する工程数が多くなりすぎて、経済性が著しく低下するなどの弊害が生まれる恐れがある。PGL/AO付加物におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数としては、好ましくは10〜200であり、更に好ましくは15〜150であり、特に好ましくは20〜120である。
なお、平均付加モル数とはポリグリセリン中の活性水素1個当たりに付加させるオキシアルキレン基の平均付加モル数を意味する。また、ポリグリセリン中の活性水素の数は平均重合度と同じであるものとする。例えば、平均重合度=20であるポリグリセリン中の活性水素の数は20となる。
さらに、PGL/AO付加物におけるオキシアルキレン基としては、炭素数2〜5のオキシアルキレン基が好適であり、水溶性の観点から炭素数2のオキシエチレン基が主成分であることが好ましい。具体的には、オキシアルキレン基中、オキシエチレン基の割合が、70モル%以上が好適であるが、好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%であり、特に好ましくは100モル%である。炭素数3〜5のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基が好適であるが、特に好ましくはオキシプロピレン基である。2種類以上のオキシアルキレン基が含まれる場合、それらオキシアルキレン基は、ブロック構造で付加していても良く、ランダム構造で付加していても良い。
第一および第二の本発明におけるポリカルボン酸系共重合体としては、従来から高性能AE減水剤としてセメント混和剤の業界で流通している市販のポリカルボン酸系共重合体を用いることができる。
このようなポリカルボン酸系共重合体としては、たとえば、一般式(1)
Figure 2010105829

(一般式(1)中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数2〜5のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表す。2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。xは0〜2、yは0又は1、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3〜300の数である。)
で表されるポリアルキレングリコール系不飽和単量体に由来の構造単位、及び、一般式(2)
Figure 2010105829

(一般式(2)中、R、Rは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Mは水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基(有機アンモニウム基)を表す。)
で表される不飽和モノカルボン酸系単量体に由来の構造単位を、必須の構成単位として含有するものを挙げることができる。
本発明のセメント混和剤に用いられるポリカルボン酸系共重合体は、必須の構成単位として、オキシアルキレン基を含有する単位を有していることが好ましい。このようなオキシアルキレン基含有構成単位は、上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール系不飽和単量体に由来するものが好適である。
このポリアルキレングリコール系不飽和単量体を表す上記一般式(1)中の−(R3O)n−構造を示すオキシアルキレン基の平均付加モル数mは、3〜300の数である。mが3未満であると、疎水性が強くなりすぎて、均一な重合を行うことができず、セメント混和剤としての機能を充分に発揮できなくなる恐れがある。またmが300を超えると、重合性が大きく低下してしまい、セメント混和剤の使用量が多量に必要となる。mとしては、好ましくは3〜200であり、更に好ましくは3〜150であり、特に好ましくは4〜120である。
また、このポリアルキレングリコール系不飽和単量体において、−(R3O)n−で表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜5のオキシアルキレン基であることが好適であり、水溶性の観点から炭素数2のオキシエチレン基が主成分であることが好ましい。具体的には、オキシアルキレン基中のオキシエチレン基の割合が、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%、特に好ましくは100モル%である。炭素数3〜5のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基が好適であるが、特に好ましくはオキシプロピレン基である。2種類以上のオキシアルキレン基からなる場合、それらオキシアルキレン基は、ブロック構造で付加していても良く、ランダム構造で付加していても良い。
ポリアルキレングリコール系不飽和単量体における末端基(R4)は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基が好適に用いられるが、水溶性の観点から、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基が特に好ましく、更に好ましくは水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。
上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール系不飽和単量体としては、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する単量体が好適に用いられる。例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、ヒドロキシブチルビニルエーテル、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のアルケニルアルコールにアルキレンオキシドを付加して得られる付加体、あるいは、アルケニル基とハロゲンを有する化合物と末端アルキルポリアルキレングリコールとのエーテル化反応物、例えば、アリルクロライドとメトキシポリエチレングリコールのエーテル化反応物が好適であり、これらは2種以上併用されてもよい。中でも3−メチル−3−ブテン−1−オール等のアルケニルアルコールにアルキレンオキシドを付加して得られる付加体が特に好適である。また、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体も好適に用いられる。中でも不飽和カルボン酸ポリアルキレングリコールエステル系化合物が好適であり、これらは2種以上を併用されてもよい。中でも、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルが特に好適である。
オキシアルキレン基含有構成単位との組み合わせで、本発明のセメント混和剤として用いられるポリカルボン酸系共重合体を構成するもう一方の必須構成単位は、カルボン酸基を含有する単位である。
このようなカルボン酸基含有構成単位としては、構成単位中に1個または2個以上のカルボン酸基を含有するものであれば特に限定されない。中でも、上記一般式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体に由来するものが好適である。
このような不飽和モノカルボン酸系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;これらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩や有機アンモニウム塩が好適である。これらの中でも、セメント分散性能の向上の面から、アクリル酸、メタクリル酸;それらの一価金属塩が特に好適である。
また、本発明のセメント混和剤として用いられるポリカルボン酸系共重合体は、上記一般式で表されるポリアルキレングリコール系不飽和単量体および不飽和モノカルボン酸系単量体以外の単量体に由来する構造単位を有していてもよい。他の構造単位を形成するために、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体および不飽和モノカルボン酸系単量体と共重合することのできる単量体としては、たとえば、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体、メタリルスルホン酸等の不飽和スルホン酸系単量体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート等の(水酸基を含んでいてもよい)不飽和モノカルボン酸エステル系単量体、スチレン、アクリルアミドなどを挙げることができ、これらは2種以上を併用してもよい。中でも、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有不飽和モノカルボン酸エステル系単量体が特に好適である。
本発明におけるポリカルボン酸系共重合体の使用形態としては、
(i)主としてセメント分散性への作用を期待して、後述のパラメータ値Y/Zを有するポリカルボン酸系共重合体(A−1)を単独で使用する形態と、
(ii)ポリカルボン酸系共重合体(A−1)に併せ、主としてスランプ保持性への作用を期待して、後述のパラメータ値Y/Zを有するポリカルボン酸系共重合体(A−2)を併用する形態等が挙げられる。
本発明においては、該共重合体(A−1)と該共重合体(A−2)とを併用することにより、セメント分散性とスランプ保持性とをバランスよく発現できるので、上記(ii)の形態が好ましい。
本発明におけるポリカルボン酸系共重合体を構成する単量体成分の中で、カルボキシル基(又はその金属塩)を含有する単量体の合計モル数をYとし、また、カルボキシル基(又はその金属塩)を含有しない単量体の合計モル数をZとした時に、
ポリカルボン酸系共重合体(A−1)は下記式(I)
10>Y/Z≧1.6 (I)
を満たすものであり、
ポリカルボン酸系共重合体(A−2)は下記式(II)
0.1<Y/Z<1.6 (II)
を満たすものである。
なお、カルボキシル基(又はその金属塩)を含有する単量体とは、前述の不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体において酸またはその金属塩の形態のものを指し、カルボキシル基(又はその金属塩)を含有しない単量体とは、前述のポリアルキレングリコール系不飽和単量体や不飽和モノカルボン酸エステル系単量体のような、酸またはその金属塩の形態でない単量体を指す。
上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール系不飽和単量体が、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する単量体(a−1)の場合において、該共重合体(A−1)を構成させるためには、上記一般式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体と該単量体(a−1)との合計質量に対して、不飽和モノカルボン酸系単量体の使用量を4〜40質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは5〜30質量%であり、更に好ましくは6〜20質量%であり、特に好ましくは7〜16質量%である。
また、上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール系不飽和単量体が、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体(a−2)である場合において、該共重合体(A−1)を構成させるためには、上記一般式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体と単量体(a−2)との合計質量に対して、不飽和モノカルボン酸系単量体の使用量を5〜40質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは10〜35質量%であり、更に好ましくは15〜30質量%であり、特に好ましくは18〜25質量%である。
上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール系不飽和単量体が、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する単量体(a−1)の場合において、該共重合体(A−2)を構成させるためには、上記一般式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体と単量体(a−1)との合計質量に対して、不飽和モノカルボン酸系単量体の使用量を3〜16質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは3〜12質量%であり、更に好ましくは3〜8質量%であり、特に好ましくは4〜7質量%である。
また、上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール系不飽和単量体が、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体(a−2)である場合において、該共重合体(A−2)を構成させるためには、上記一般式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体と単量体(a−2)との合計質量に対して、不飽和モノカルボン酸系単量体の使用量を3〜18質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは5〜16質量%であり、更に好ましくは7〜14質量%であり、特に好ましくは8〜12質量%である。
さらに、他の単量体として水酸基含有不飽和モノカルボン酸エステル系単量体を使用する場合、該共重合体(A−2)を構成させるためには、不飽和モノカルボン酸系単量体と水酸基含有不飽和モノカルボン酸エステル系単量体との合計質量に対して、水酸基含有不飽和モノカルボン酸エステル系単量体の使用量を30〜90質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは40〜80質量%であり、更に好ましくは50〜75質量%であり、特に好ましくは55〜70質量%である。
該共重合体(A−1)と該共重合体(A−2)を混合して使用する場合、該共重合体(A−1)と該共重合体(A−2)の合計質量に対して、該共重合体(A−1)は10〜90質量%が好ましいが、より好ましくは20〜80質量%であり、更に好ましくは30〜70質量%であり、特に好ましくは35〜65質量%である。この範囲であると、セメント分散性が良好で且つスランプ保持性にも優れるセメント混和剤を得ることができる。
本発明において該共重合体(A−1)と該共重合体(A−2)とを併用する場合、該共重合体(A−1)は下記式(I)
10>Y/Z≧1.6 (I)
を満たすものが好ましい。この範囲にあると、該共重合体(A−1)中に含まれるカルボン酸量が増大するため、セメントへの該共重合体(A−1)の吸着速度が速くなり、セメント分散性能を高めることが可能となる。しかしながら、Y/Zが10以上となると、セメントへの吸着速度が速くなりすぎて、セメント組成物を混練している最中に流動性を失ってしまう「こわばり」が発現しやすくなる恐れがある。一方、Y/Zが1.6未満となると、共重合体のセメントへの吸着速度が遅くなりすぎて、セメント分散剤としての性能が低下する恐れがある。
該共重合体(A−1)としては、より好ましくは下記式(I−1)
8>Y/Z≧1.7 (I−1)
であり、更に好ましくは下記式(I−2)
6>Y/Z≧1.8 (I−2)
を満たすものである。
また、該共重合体(A−2)は、下記式(II)
0.1<Y/Z<1.6 (II)
を満たすものが好ましい。この範囲にあると、該共重合体(A−2)中に含まれるカルボン酸量が減少するため、セメントへの該共重合体(A−2)の吸着速度が遅くなり、スランプ保持性を高めることが可能となる。しかしながら、Y/Zの値が0.1以下となると、セメントへの共重合体の吸着速度が著しく遅くなるため、十分な分散作用が得られず、スランプ保持性能が著しく低下する恐れがある。一方、Y/Zの値が1.6以上になると、セメントへの共重合体の吸着速度が速くなって、セメント分散作用が強くなるため、スランプ保持性が低下する恐れがある。
該共重合体(A−2)としては、より好ましくは下記式(II−1)
0.2<Y/Z<1.5 (II−1)
であり、更に好ましくは下記式(II−2)
0.3<Y/Z<1.4 (II−2)
を満たすものである。
さらに、該共重合体(A−1)のY/Zの値をYZ1とし、該共重合体(A−2)のY/Zの値をYZ2とした時、その差を表す、(YZ1−YZ2)の値が0.5以上であることが好ましい。0.5未満であると、該共重合体(A−1)と該共重合体(A−2)の性能に差が認められなくなり、2種類の該共重合体(A)を用いても、セメント分散性とスランプ保持性に欠けたセメント混和剤となる恐れがある。0.5以上であると、該共重合体(A−1)と該共重合体(A−2)の性能に明らかな差を持たすことができ、2種類の該共重合体(A)を用いることで、優れたセメント分散性とスランプ保持性を兼ね備えたセメント混和剤とすることが可能である。より好ましくは0.8以上であり、更に好ましくは1.0以上である。
本発明のセメント混和剤に用いられるポリカルボン酸系共重合体を製造するには、上記の単量体成分を常法により共重合すればよく、例えば、単量体成分と重合開始剤とを用いて、溶液重合や塊状重合等の通常の重合方法により行うことができる。
重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができ、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシドが好適である。また、促進剤として、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸等の還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のアミン化合物を併用することもできる。これらの重合開始剤や促進剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
共重合方法においては、連鎖移動剤も必要に応じて使用することができる。このような連鎖移動剤としては、通常使用されるものを1種又は2種以上使用できるが、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;2−アミノプロパン−1−オール等の1級アルコール;イソプロパノール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物及びその塩が好適である。
上記共重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、共重合の際、必要に応じて使用される溶媒としては、通常用いられるものを使用でき、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単量体成分及び得られるポリカルボン酸系重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
上記共重合方法において、共重合温度等の共重合条件としては、用いられる共重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められるが、共重合温度としては、通常0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは40℃以上であり、更に好ましくは50℃以上であり、特に好ましくは60℃以上である。また、より好ましくは120℃以下であり、更に好ましくは100℃以下であり、特に好ましくは85℃以下である。
上記共重合方法により得られる重合体は、そのままでもセメント混和剤の成分として用いられるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミンを用いることが好ましい。
本発明におけるポリカルボン酸系共重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算での重量平均分子量(Mw)が、1000以上であることが好ましく、また、500000以下であることが好ましい。1000未満であると、これらのポリカルボン酸系重合体の減水性能が低下するおそれがあり、500000を超えると、ポリカルボン酸系重合体の減水性能、スランプロス防止能が低下するおそれがある。より好ましくは5000以上であり、最も好ましくは8000以上である。また、より好ましくは300000以下であり、最も好ましくは100000以下である。なお、本明細書中、重合体の重量平均分子量は、下記GPC測定条件により測定される値である。
(GPC分子量測定条件)
使用カラム:東ソー社製TSKguardcolumn、SWXL+TSKge1、G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に酢酸でpH6.0に調整した溶離液溶液を用いる。
打込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール、トップピーク分子量(Mp)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
検量線次数:三次式
検出器:日本Waters社製、410、示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製、MILLENNIUM、Ver.3.21
本発明のセメント混和剤は、上記の通り、ポリグリセリンまたはPGL/AO付加物を、ポリカルボン酸系重合体と配合したものであるが、ポリグリセリンまたはPGL/AO付加物の配合量は、セメント混和剤の固形分100質量%に対して、1質量%以上の量で含まれることが好ましい。ポリグリセリンまたはPGL/AO付加物の配合量が1質量%未満の少量では、セメント組成物の粘性や材料分離を改善する効果が不充分となる恐れがある。ポリグリセリンまたはPGL/AO付加物の配合量は、セメント混和剤の固形分100質量%に対して、好ましくは3〜80質量%の範囲、より好ましくは5〜50質量%の範囲であり、また、最も好ましくは8〜30質量%の範囲であり、このような割合で配合することにより、セメント組成物の粘性や材料分離の改善効果と減水性やスランプ保持性の向上とがバランスよく発現される。また、本発明においてポリグリセリンおよびPGL/AO付加物を併用する場合、ポリグリセリンとPGL/AO付加物との質量比は特に制限なく、例えば1/99〜99/1の範囲とすればよい。
本発明のセメント混和剤においては、セメント混和剤中のポリグリセリンまたはPGL/AO付加物とポリカルボン酸系共重合体の固形分合計を100質量%とし、それぞれの配合量が上記の範囲となるように、それらの使用量を調整することが好ましい。
ここで、ポリカルボン酸系共重合体が水溶液の場合には、以下の測定方法により、ポリカルボン酸系共重合体の固形分が求められる。
(固形分測定方法)
手順1:アルミ皿を精秤する。
手順2:手順1で精秤したアルミ皿に固形分測定物を精秤する。
手順3:雰囲気下130℃に調温した乾燥機に手順2で精秤した固形分測定物を1時間入れる。
手順4:乾燥機から取り出し、室温で湿度5%以内に調整されたデシケータ内で15分間放冷する。
手順5:デシケータから取り出し、アルミ皿+測定物を精秤する。
手順6:手順5で得られた質量から手順1で得られたアルミ皿の質量を差し引き、手順2で得られた固形分の質量を除することで固形分を算出する。
本発明のセメント混和剤は、ポリグリセリンまたはPGL/AO付加物とポリカルボン酸系共重合体とを含有するものであるが、その他の公知のセメント添加剤を必要に応じて含有しても良い。
このようなセメント添加剤としては、たとえば以下に示すような添加剤(材)を挙げることができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンのポリマー又はそれらのコポリマー;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)早強剤、促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(4)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(5)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(6)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(8)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(9)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(10)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(11)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(12)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(13)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(14)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(15)スルホン酸系分散剤:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系等。
(16)材料分離低減剤:非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素原子数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等。
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤、硬化遅延剤(たとえばホスホン酸系化合物等)が挙げられる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のセメント混和剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に加えて用いることができる。また、超高強度コンクリートにも用いることができる。上記セメント組成物としては、セメント、水、細骨材、粗骨材等を含む通常用いられるものが好適である。また、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカヒューム、石灰石微粉末等の結合材を添加したものであってもよい。上記セメントとしては、普通、早強、超早強、中庸熱、白色等のポルトランドセメント;アルミナセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント等の混合ポルトランドセメントが好適である。上記セメント組成物1m3当たりの単位水量及び水/セメント比としては、例えば、高耐久性・高強度のコンクリートを製造するためには、単位水量100〜185kg/m3、水/セメント比=10〜70%とすることが好ましい。より好ましくは、単位水量120〜175kg/m3、水/セメント比=20〜65%である。
本発明のセメント混和剤を用いてセメント組成物を製造する際、該混和剤の添加量としては、該混和剤中に含まれるポリカルボン酸系共重合体が、セメント100質量%あるいはセメントにフライアッシュ等の結合材と併用した場合にはセメントと結合材の全量100質量%に対して、0.01質量%以上となるようにすることが好ましく、10質量%以下となるようにすることが好ましい。0.01質量%未満であると、性能的に不充分となる恐れがあり、10質量%を超えると、経済性が劣ることになる。より好ましくは、0.05質量%以上、8質量%以下であり、更に好ましくは、0.1質量%以上、5質量%以下である。
また、セメント組成物を製造するに際し、上記したセメント添加剤(材)を適宜組み合わせて、セメント組成物を調製することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は、「質量%」を意味するものとする。
(製造例1)
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応器にイオン交換水333.7gと3−メチル−3−ブテン-1−オールのエチレンオキシド50モル付加体463.9gを仕込み、60℃に昇温した。続いて、30%の過酸化水素水溶液2.43gを加えた後、アクリル酸62.7gをイオン交換水37.3gに溶解した水溶液を3時間で、及びL−アスコルビン酸0.94gと3−メルカプトプロピオン酸2.44gをイオン交換水96.6gに溶解させた水溶液を3.5時間でそれぞれ同時に滴下した。滴下後さらに1時間攪拌を続け、その後水酸化ナトリウム水溶液と濃度調整用の水を加えて、PH6.5、固形分濃度45%、重量平均分子量が37000のポリカルボン酸系共重合体の水溶液(1)を得た。得られたポリカルボン酸系共重合体は、本発明におけるポリカルボン酸系共重合体(A−1)に属し、パラメータ値Y/Zは4.3となる。
(製造例2)
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応器にイオン交換水305.9gと3−メチル−3−ブテン-1−オールのエチレンオキシド50モル付加体491.4gを仕込み、58℃に昇温した。続いて、30%の過酸化水素水溶液2.73gを加えた後、アクリル酸34.2gと2−ヒドロキシルエチルアクリレート59.6gをイオン交換水6.2gに溶解した水溶液を3時間で、及びL−アスコルビン酸1.06gと3−メルカプトプロピオン酸3.32gをイオン交換水95.6gに溶解させた水溶液を3.5時間でそれぞれ同時に滴下した。滴下後さらに1時間攪拌を続け、その後水酸化ナトリウム水溶液と濃度調整用の水を加えて、PH5.5、固形分濃度45%、重量平均分子量が30000のポリカルボン酸系共重合体の水溶液(2)を得た。得られたポリカルボン酸系共重合体(2)は、本発明におけるポリカルボン酸系共重合体(A−2)に属し、パラメータ値Y/Zは0.65となる。
(製造例3)
ダイセル化学工業(株)製のポリグリセリン(製品名「PGL 04」、平均重合度=4)を用いて、固形分濃度が45%になるように調整することで、ポリグリセリンの水溶液(3)を得た。
(製造例4)
ダイセル化学工業(株)製のポリグリセリン(製品名「PGL 10」、平均重合度=10)を用いて、固形分濃度が45%になるように調整することで、ポリグリセリンの水溶液(4)を得た。
(製造例5)
ダイセル化学工業(株)製のポリグリセリン(製品名「PGL X」、平均重合度=20)を用いて、固形分濃度が45%になるように調整することで、ポリグリセリンの水溶液(5)を得た。
(製造例6)
攪拌機、圧力計、温度計を備えた圧力容器にダイセル化学工業(株)製のポリグリセリン(製品名「PGL 20」、平均重合度=20、固形分濃度=100%)を216g、水酸化ナトリウムの30%水溶液4.3gを入れ、攪拌しながら、窒素で十分に置換した後、温度を110℃まで昇温した。その後、圧力容器に真空ラインを接続し、少量の窒素を導入しながら、内圧を50トールまで減圧にし、そのまま1時間攪拌を続けることで、十分に脱水した。次いで、窒素を導入して、反応容器内を常圧に戻し、温度を150℃まで上昇させてから、エチレンオキシドを1284g(ポリグリセリン中の活性水素に対する平均付加モル数=10)を3時間かけて、ゆっくりと添加しながら、反応を行い、添加終了後、同温度で30分間熟成させて反応を終了し、ポリグリセリンのエチレンオキシド付加反応生成物と得た。
得られた付加反応生成物352.7gを、攪拌機、圧力計、温度計を備えた圧力容器に入れ、攪拌しながら、窒素で十分に置換した後、温度を150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシドを1284g(ポリグリセリン中の活性水素に対する平均付加モル数=48)を3時間かけて、ゆっくりと添加しながら、反応を行い、添加終了後、同温度で30分間熟成させて反応を終了した。その後、温度を90℃以下に冷やしてから、イオン交換水1833gを入れ、均一に混合することで、固形分濃度45%に調整された、ポリグリセリンのエチレンオキシド付加物の水溶液(6)を得た。
(製造例7)
攪拌機、圧力計、温度計を備えた圧力容器にダイセル化学工業(株)製のポリグリセリン(製品名「PGL 06」、平均重合度=6、固形分濃度=100%)を151.4g、水酸化ナトリウムの30%水溶液7.3gを入れ、攪拌しながら、窒素で十分に置換した後、温度を110℃まで昇温した。その後、圧力容器に真空ラインを接続し、少量の窒素を導入しながら、内圧を50トールまで減圧にし、そのまま1時間攪拌を続けることで、十分に脱水した。次いで、窒素を導入して、反応容器内を常圧に戻し、温度を150℃まで上昇させてから、エチレンオキシドを1349g(ポリグリセリン中の活性水素に対する平均付加モル数=15)を3時間かけて、ゆっくりと添加しながら、反応を行い、添加終了後、同温度で30分間熟成させて反応を終了し、ポリグリセリンのエチレンオキシド付加反応生成物を得た。
得られた付加反応生成物205.7gを、攪拌機、圧力計、温度計を備えた圧力容器に入れ、攪拌しながら、窒素で十分に置換した後、温度を150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシドを1294g(ポリグリセリン中の活性水素に対する平均付加モル数=120)を3時間かけて、ゆっくりと添加しながら、反応を行い、添加終了後、同温度で30分間熟成させて反応を終了した。その後、温度を90℃以下に冷やしてから、イオン交換水1833gを入れ、均一に混合することで、固形分濃度45%に調整された、ポリグリセリンのエチレンオキシド付加物の水溶液(7)を得た。
(製造例8)
攪拌機、圧力計、温度計を備えた圧力容器にダイセル化学工業(株)製のポリグリセリン(製品名「PGL 04」、平均重合度=4、固形分濃度=100%)を216.4g、水酸化ナトリウム0.3gを入れ、攪拌しながら、窒素で十分に置換した。その後、温度を150℃まで上昇させてから、エチレンオキシドを1284g(ポリグリセリン中の活性水素に対する平均付加モル数=4)を3時間かけて、ゆっくりと添加しながら、反応を行い、添加終了後、同温度で30分間熟成させて反応を終了した。その後、温度を90℃以下に冷やしてから、イオン交換水1833gを入れ、均一に混合することで、固形分濃度45%に調整された、ポリグリセリンのエチレンオキシド付加物の水溶液(8)を得た。
(実施例1〜12および比較例1〜8)
製造例1〜8で製造したポリカルボン酸系共重合体の水溶液(1)〜(2)、ポリグリセリンの水溶液(3)〜(5)、ポリグリセリンのエチレンオキシド付加物の水溶液(6)〜(8)を用いて、表1に記載の配合割合で混合して、セメント混和剤(1)〜(20)を得た。
Figure 2010105829

セメント混和剤(1)〜(20)を用いて、コンクリート試験を実施し、評価を行った。なお、コンクリート組成物の温度が20℃の試験温度になるように、試験に使用する材料、パン型ミキサー、測定器具類をこの試験温度雰囲気下で調温した上で、混練及び各測定もこの試験温度雰囲気下で行った。
試験に用いたコンクリートの調合単位量を表2に示す。
Figure 2010105829

水/結合材(重量比)=0.5、細骨材率すなわち細骨材/(細骨材+粗骨材)(容積比)=0.47とした。
セメントは普通ポルトランドセメント<太平洋セメント(株)社製>を使用し、フライアッシュはII種<中部電力(株)社製>、高炉スラグ微粉末はB種<日鐵セメント(株)社製>を用いた。結合材とはセメント、フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末のことを示す。
骨材として、粗骨材は青梅産硬質砕石を、細骨材は君津産中目砂と掛川産山砂を1対1で等量混合したものを用いた。
セメント混和剤は練り水にあらかじめ混合して用いた。表2に示す調合単位量で、50Lパン型ミキサーに30Lのコンクリート材料を投入し、90秒間練り混ぜた。また、コンクリート組成物中の気泡がコンクリート組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、市販の起泡剤「アデカホープ YES−25」<(株)ADEKA社製>を添加して、空気量が3.0±0.5vol%となるように調整した。
JIS A 1150に準じて、初期(混練直後)のスランプフロー値が520〜580mmになるように、使用するセメント混和剤の使用量を調整した。
コンクリート試験による評価は、減水性、状態、保持性の3つの項目により実施した。
評価結果を表3および表4に示した。
表3は、ポリカルボン酸系共重合体として、前述した該共重合体(A−1)に属するポリカルボン酸系共重合体の水溶液(1)を単独で用いた時の評価結果である。また、表4は、前述した該共重合体(A−2)に属するポリカルボン酸系共重合体の水溶液(2)を、ポリカルボン酸系共重合体の水溶液(1)と併せ用いた時の評価結果である。
Figure 2010105829
Figure 2010105829

〔減水性の評価〕
コンクリート混和剤の使用量(セメントと結合材の全量100%に対しての%量、以下、%/Bという)により、減水性の評価を行った。
表3では、以下の基準により、◎(大)〜×(小)の6段階で評価し、その結果を試験結果の欄に示した。
◎ :0.135%未満
○〜◎:0.135%以上、0.140%未満
○ :0.140%以上、0.145%未満
△ :0.145%以上、0.150%未満
×〜△:0.150%以上、0.155%未満
× :0.155%以上
表4では、以下の基準により、◎(大)〜××(小)の7段階で評価し、その結果を試験結果の欄に示した。
◎ :0.165%未満
○〜◎:0.165%以上、0.170%未満
○ :0.170%以上、0.175%未満
△ :0.175%以上、0.180%未満
×〜△:0.180%以上、0.185%未満
× :0.185%以上、0.190%未満
××:0.190%以上
〔状態の評価〕
フレッシュコンクリートの状態は、以下に示す(A)混練直後のスコップワーク性、(B)スランプの形状、(C)分離抵抗性、(D)廃棄容易性の4つの項目について、以下の基準により、◎(良好)〜×(不良)の4段階で評価し、その結果を試験結果の欄に示した。
(A)スコップワーク性
◎:骨材とペーストとの間に一体感が感じられ、非常に軽くて、練り返しが容易に行える。
○:やや一体感に欠ける部分があるものの、練り返しも軽く感じられる。
△:やや水っぽく、一体感に乏しい面があり、練り返しもやや重く感じられる。
×:一体感に欠け、水浮きが顕著に見られ、練り返しも重く感じられる。
(B)スランプの形状
◎:きれいな円形状で、中央での石の堆積も皆無であり、非常に良好である。
○:やや円形が崩れた形ではあるが、中央での石の堆積もほとんどなく、良好である。
△:少し円形が崩れた形であり、中央での石の堆積も少し見られ、少し悪い印象である。
×:円形がかなり崩れた形であり、中央での石の堆積も顕著に見られ、かなり悪い印象である。
(C)分離抵抗性
◎:混練直後の材料分離の程度を目視観察した結果、材料分離は全く見られない、非常に良好な状態
○:やや水っぽさが感じられるが、材料分離するまでには至っていない、良好な状態
△:水っぽさが明確に感じられ、部分的に材料分離が見られる、やや悪い状態
×:水浮きが激しく見られ、明確な材料分離が見られる、非常に悪い状態
(D)廃棄容易性
◎:空気量測定後にコンクリートを廃棄する際、測定容器内を手で掻き出すことなく、簡単に廃棄が可能な状態
○:少し測定容器内に残るが、手で掻き出せば容易に廃棄が可能である状態
△:やや測定容器内に残ってしまうため、少し力を入れて手で掻き出さないと、廃棄できない状態
×:かなり測定容器内に残ってしまうため、力を入れて手で掻き出さないと、廃棄できない状態
〔保持性の評価〕
保持性の評価は、初期のスランプフロー値、15分後のスランプフロー値、30分後のスランプフロー値を測定し、それぞれの値から下記式により、15分ロス率(%)、30分ロス率(%)を計算し、比較することで評価した。なお、それぞれのロス率が小さいほど、スランプ保持性が良好となる。
15分ロス率=((初期フロー値−15分後のフロー値)/初期フロー値)×100
30分ロス率=((初期フロー値−30分後のフロー値)/初期フロー値)×100
表3および表4の結果から、ポリグリセリンとポリカルボン酸系共重合体とを用いた第一の本発明に係るセメント混和剤に関して、次の作用効果が確認できる。
表3において、実施例1および2と比較例2との対比や実施例4および5と比較例3との対比で明らかなように、ポリグリセリンの平均重合度が高くなるほど、少ない使用量でコンクリートの流動性が増大(減水性が向上)し、コンクリートの状態も良好になっていることが判る。このことは、表4における実施例8および9と比較例6との対比によっても明らかである。
また、表3において、平均重合度4のポリグリセリンを配合した比較例2および3では、ポリグリセリンを使用していない比較例1に比べて、状態は僅かに改善されるが、減水性が著しく低下しており、平均重合度が本発明の範囲を外れたポリグリセリンでは、ポリカルボン酸系共重合体が本来有していた減水性を希釈し、場合によっては減水性を損なう可能性さえあることが判る。このことは、表4における比較例6および7と比較例5との比較でも、同様な傾向となっている。
さらに、ポリグリセリンのエチレンオキシド付加物とポリカルボン酸系共重合体とを用いた第二の本発明に係るセメント混和剤に関して、次の作用効果が確認できる。
表3において、実施例2と実施例3との対比や実施例5と実施例6との対比で明らかなように、ポリグリセリンにエチレンオキシドを付加することで、減水性およびコンクリートの状態が更に改善され、また、保持性に関しても良好な結果となることが判る。このことは、表4における実施例9と実施例10〜11との対比でも明らかである。さらに、表4の実施例10〜12における保持性の評価結果から判るように、ポリグリセリンのエチレンオキシド付加物とポリカルボン酸系共重合体とを用いた第二の本発明によれば、減水性およびコンクリートの状態を改善すると共に、非常に高水準のスランプ保持性を発現することができている。また、表3における実施例7や表4における実施例12では、ポリグリセリンの重合度が6と比較的低いものでも、エチレンオキシド付加物とすることにより、上記した性能が全て良好となる傾向を示している。一方、表3における比較例4や表4における比較例8で明らかなように、重合度が4と低いポリグリセリンへのエチレンオキシド付加物では、上記した性能が不充分となり、特に減水性とスランプ保持性に劣ることが判る。
以上の結果から、ポリグリセリンあるいはポリグリセリンにオキシアルキレン基を付加したアルキレンオキシド付加物をポリカルボン酸系共重合体に配合することで、コンクリートの粘性が低減され材料分離抵抗性にも優れた状態の良いコンクリートが得られ、また優れた減水性とスランプ保持性が発現することが明確となった。
本発明によれば、現場で作業しやすくなるように粘性が低減され且つ材料分離を引き起こさない均一性の高いコンクリート等のセメント組成物を調製することができ、しかも減水性とスランプ保持性にも優れているので、強度や耐久性の高いコンクリート硬化物が容易に得られる。したがって、コンクリート等のセメント組成物を工業的に生産性よく製造し、さらにセメント組成物から耐久性にすぐれた土木・建築構造物を構築する際に、本発明のセメント混和剤が有効に利用できる。

Claims (3)

  1. ポリグリセリンとポリカルボン酸系共重合体とを含んでなり、ポリグリセリンの平均重合度が10以上であることを特徴とするセメント混和剤。
  2. ポリグリセリンにオキシアルキレン基を付加したアルキレンオキシド付加物(以下、PGL/AO付加物と呼ぶことがある)とポリカルボン酸系共重合体とを含んでなり、PGL/AO付加物が、平均重合度5以上のポリグリセリンにオキシアルキレン基を平均付加モル数が5以上となる割合で付加したアルキレンオキシド付加物であることを特徴とするセメント混和剤。
  3. ポリカルボン酸系共重合体は、一般式(1)
    Figure 2010105829

    (一般式(1)中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数2〜5のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表す。2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。xは0〜2、yは0又は1、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3〜300の数である。)
    で表されるポリアルキレングリコール系不飽和単量体に由来の構造単位、及び、一般式(2)
    Figure 2010105829

    (一般式(2)中、R、Rは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Mは水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基(有機アンモニウム基)を表す。)
    で表される不飽和モノカルボン酸系単量体に由来の構造単位を、必須の構成単位として含有するものである請求項1または2記載のセメント混和剤。
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