JP5449024B2 - 自己収縮低減剤 - Google Patents

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本発明は、水硬性材料に添加されて水硬性材料組成物の自己収縮を効果的に低減できる自己収縮低減剤に関するものである。特に、本発明は、水結合材比(W/B:水と結合材との質量比)が40%以下と結合材に対して水が少ない水硬性材料の自己収縮を有効に低減できる自己収縮低減剤に関する。
水硬性材料は、強度や耐久性に優れた硬化物を与えることから、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等に広く用いられており、土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このような水硬性材料のうち、水結合材比(W/B:水と結合材との質量比)を少なくするほど高強度の水硬性材料が得られるため、このような高強度の水硬性材料の実現が求められている。しかしながら、W/Bが40%以下と結合材に対して水が少ない水硬性材料では、材料内部で硬化(水和)ムラが生じやすくなり、硬化した部分に残った未反応水が硬化の不十分な部分へ移動する際に、硬化により形成された毛管表面と水との引張り力が発生し、これに起因すると考えられる自己収縮が進行し、硬化物中にひび割れが生じることがしばしば問題となっている。
このひび割れは養生中または養生後1ヶ月以内の初期段階において発生するのが一般的であり、構造物の強度低下や構造物の美観を損なうばかりでなく、長期的に見ると、ひび割れ部分を通して空気(特に炭酸ガス)や雨水(特に酸や塩化物イオン)等の劣化要因が浸入して鉄筋の腐食やコンクリートの中性化が起こるなど、多くの複合劣化の誘因となることが指摘されている。
このように、近年、これらコンクリート構造物の早期劣化が社会的問題となり、ひび割れを抑制し、耐久性に優れた構造物への要求が高まってきている。そしてこれに伴い、現在、これら土木・建築構造物等の自己収縮の進行を抑制することの重要性が認識され、技術革新が盛んに行なわれている。
このような背景から、自己収縮に関して多くの研究報告がなされており、自己収縮を低減する方法としては、アルキレンオキサイド化合物と特定粒径の炭酸カルシウムを用いる方法(特許文献1参照)、オキシエチレン基を有するエーテル化合物と、オキシアルキレン基を有する不飽和エステルまたは不飽和エーテルと不飽和カルボン酸を重合して得られる水溶性重合体を用いる方法(特許文献2参照)、ポリアルキレンイミン系単量体を必須構成単位とするポリカルボン酸系共重合体とエーテル系化合物を用いる方法(特許文献3参照)などが開示されている。
このように、自己収縮を有効に低減でき、かつ十分な流動性を水硬性材料組成物に付与できる添加剤に対する要求は強く存在するが、このような要求を満足できる添加剤は得られていないのが現状である。
そこで本発明は、水硬性材料組成物に添加されて当該組成物の自己収縮を効果的に低減させうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定のポリエチレングリコールとpH調整剤とを特定量含む添加剤を水硬性材料組成物の添加剤として用いることにより、優れた自己収縮低減性を発揮しかつ、保存安定性が良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の自己収縮低減剤は、重量平均分子量400〜8000の範囲のポリエチレングリコール(A)とpH調整剤(H)とを必須に含有し、かつポリエチレングリコール(A)を主成分とし、pH調整剤(H)を、ポリエチレングリコール(A)との固形分換算の質量比で、pH調整剤(H)/ポリエチレングリコール(A)=1/50〜1/100万の範囲で含むことを特徴とするものである。
本発明の第2の自己収縮低減剤は、前記pH調整剤(H)が、酸のアルカリ金属塩または、酸のアルカリ土類金属塩である前記自己収縮低減剤に関するものである。
本発明の第3の自己収縮低減剤は、さらにポリオキシアルキレン系重合体(B)及び、ポリエーテル化合物(C)を必須成分として含有する前記自己収縮低減剤に関するものである。
本発明の第4の自己収縮低減剤は、前記ポリオキシアルキレン系重合体(B)が、下記一般式(1):
Figure 0005449024
(一般式(1)中、R、R、Rはそれぞれ水素原子またはメチル基を表す。mは0〜2の数を表す。pは0または1の数を表す。AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表し2〜300の範囲である。Xは水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基を表す。)
で表される不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I)と、
下記一般式(2):
Figure 0005449024
(一般式(2)中、R、R、Rは同一または異なって、水素原子、メチル基、または−COOM基を表す。Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アミン基を表す。)
で表される不飽和カルボン酸系単量体(II)とを共重合させて得られるポリカルボン酸系共重合体である、前記自己収縮低減剤に関するものである。
さらに本発明の第5は、前記ポリエーテル化合物(C)が、下記一般式(3):
Figure 0005449024
(一般式(3)中、Rは炭素原子数8〜18の炭化水素基を表す。ROはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる少なくとも1種を表す。qはROの平均付加モル数を表し、qは3〜40の範囲である。(RO)qはランダム配列でもブロック配列でもよい。POはオキシプロピレン基を表す。rはPOの平均付加モル数を表し、rは2〜20の範囲である。)
で表される前記自己収縮低減剤に関するものである。
本発明の第6の自己収縮低減剤は、前記ポリエチレングリコール(A)とポリオキシアルキレン系重合体(B)の質量比が、(A)/(B)=99.9/0.1〜50/50の範囲である前記自己収縮低減剤に関するものである。
本発明の第7は、本発明の前記自己収縮低減剤を含み、水硬性材料組成物中の結合材に対する水の質量比が10〜40質量%の範囲である水硬性材料組成物に関するものである。
本発明の自己収縮低減剤は保存安定性が良好であり、本発明の自己収縮低減剤を水硬性材料に添加することにより、水硬性材料の水和による硬化過程において発生する自己収縮が十分に低減しうる。その結果、自己収縮に起因する初期のひび割れの発生が抑制され、構造物の耐久性が向上する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
自己収縮低減剤
本発明の自己収縮低減剤は、重量平均分子量が特定範囲のポリエチレングリコール(A)とpH調整剤(H)を必須成分として含有する。
ポリエチレングリコール(A)の重量平均分子量は、好ましくは300〜9000、より好ましくは400〜8000、さらに好ましくは600〜6000の範囲である。
pH調整剤(H)としては、自己収縮低減剤中のポリエチレングリコール(A)のpHを中性付近(pH5〜9)に調整する機能を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、酸のアルカリ金属塩または、酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。具体的には、塩酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、亜リン酸、硝酸、亜硝酸、炭酸等の無機酸、及び、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2−エチルヘキシル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸等の有機酸とアルカリ金属、またはアルカリ土類金属との塩が挙げられ、好ましくは、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、グルタル酸、クエン酸、リンゴ酸およびグルコン酸からなる群より選ばれる酸のナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩である。前記化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記pH調整剤(H)を添加することにより、ポリエチレングリコール(A)の変色および変性を抑制する効果が得られ、自己収縮低減剤の保存安定性が良好となる。
前記pH調整剤(H)とポリエチレングリコール(A)の配合割合は、固形分換算の質量比で、好ましくはpH調整剤(H)/ポリエチレングリコール(A)=1/50〜1/1000000の範囲であり、好ましくは、pH調整剤(H)/ポリエチレングリコール(A)=1/50〜1/100000であり、より好ましくは、pH調整剤(H)/ポリエチレングリコール(A)=1/100〜1/100000、さらに好ましくは、pH調整剤(H)/ポリエチレングリコール(A)=1/100〜1/10000の範囲である。
自己収縮低減剤としての一般的な使用形態である水溶液として長期保存した場合、自己収縮低減剤中にpH調整剤(H)を含まないと、変性、腐敗、変質等で保存安定性が低下する一方、pH調整剤(H)を前記範囲を超えて含有させると、水溶液中に析出物を生じる等、保存安定性が低下する。
本発明の自己収縮低減剤は、さらに、ポリオキシアルキレン系重合体(B)を必須成分として含有することが好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、水硬性材料を分散させて、水硬性材料組成物の流動性を向上させる分散剤としての作用を有する。
ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、前記一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I)と前記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸系単量体(II)とを共重合して得られるポリカルボン酸系共重合体である。
前記一般式(1)において、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数nは2〜300の範囲であることが適当である。nが2未満であると、疎水性が強くなりすぎて均一な重合を行うことができず、分散剤としての作用効果を充分に発揮できないおそれがある。また、nが300を超えると、重合性が大きく低下してしまい、分散剤の使用量が多量に必要となるおそれがある。nの下限値としては、好ましくは3、より好ましくは4であり、上限値としては、好ましくは200、より好ましくは150、更に好ましくは120、特に好ましくは100である。
前記一般式(1)において、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。好ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基である。このようなオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシ−1−ブテン基、オキシ−2−ブテン基、オキシスチレン基等が好ましく挙げられるが、より好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、さらにより好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基である。中でも、オキシエチレン基が最も好ましい。2種以上のオキシアルキレン基が併存する場合には、これらのオキシアルキレン基の付加形態は特に限定されず、例えばランダム付加であってもよいし、ブロック付加であってもよいし、交互付加であってもよい。
前記一般式(1)において、Xは水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基を表すが、水溶性の観点から、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であることが好適である。より好ましくは、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。中でも、上記一般式(1)において、pが0の場合は、Xが水素原子であることが更に好ましく、またpが1の場合は、Xがメチル基であることが更に好ましい。
前記一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I)としては、pが0の場合、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物であればよく、例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のアルケニルアルコールに、アルキレンオキシドを付加して得られる付加体や、アルケニル基及びハロゲンを有する化合物と末端アルキルポリアルキレングリコールとのエーテル化反応物(例えば、アリルクロライドとメトキシポリエチレングリコールとのエーテル化反応物)等が好適である。中でも、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のアルケニルアルコールにアルキレンオキシドを付加して得られる付加体が特に好適である。
前記一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I)としては、pが1の場合、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する化合物(単量体)であればよく、例えば、不飽和カルボン酸ポリアルキレングリコールエステル系化合物が好適である。中でも、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルが特に好適である。
前記一般式(2)において、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アミン基を表す。ここで、金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の一価金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の二価金属原子;アルミニウム、鉄等の三価金属原子が好適である。また、有機アミン基としては、エタノールアミン基(エタノールアンモニウム基)、ジエタノールアミン基(ジエタノールアンモニウム基)、トリエタノールアミン基(トリエタノールアンモニウム基) 等のアルカノールアミン基(アルカノールアンモニウム基)や、トリエチルアミン基(トリエチルアンモニウム基)が好適である。Mとしては、これらの中でも、水素原子、ナトリウム、カリウム、アンモニウム基が特に好ましい。
不飽和カルボン酸系単量体(II)の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;これらの金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩があり、分散性能の向上の面から、アクリル酸、メタクリル酸;その金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩を用いることが特に好ましい。
前記ポリオキシアルキレン系重合体(B)において、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I)及び、不飽和カルボン酸系単量体(II)が占める割合として、合計量100質量%中に、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I)が、好ましくは60〜96質量%、より好ましくは70〜95質量%、 更に好ましくは80〜94質量%、特に好ましくは84〜94質量%の範囲であり、不飽和カルボン酸系単量体(II)の含有割合としては、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは3〜35質量%、更に好ましくは4〜30質量%、特に好ましくは4〜25質量%の範囲である。
本発明の自己収縮低減剤における、ポリエチレングリコール(A)とポリオキシアルキレン系重合体(B)の質量比は、固形分換算で、(A)/(B)=99.9/0.1〜50/50の範囲であることが好ましい。より好ましくは、(A)/(B)=99.5/0.5〜65/35であり、さらに好ましくは(A)/(B)=99/1〜75/25であり、特に好ましくは(A)/(B)=98.5/1.5〜80/20であり、最も好ましくは(A)/(B)=98/2〜90/10である。ポリエチレングリコール(A)とポリオキシアルキレン系重合体(B)との質量比を上記範囲内に制御することにより、水硬性材料組成物の流動性を低下させることなく、優れた自己収縮低減機能を有するので、硬化体のひび割れ発生を抑制できる、汎用性の高い添加剤を提供することができる。
ポリオキシアルキレン系重合体(B)の製造方法に関して、単量体成分の共重合方法を以下に説明する。共重合方法としては、例えば、単量体成分と重合開始剤とを用いて、溶液重合や塊状重合等の通常の重合方法により行うことができる。
前記重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができ、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩; 過酸化水素; アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物; ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシドが好適である。また、重合促進剤として、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸等の還元剤; エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のアミン化合物を併用することもできる。これらの重合開始剤や重合促進剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記共重合方法においては、連鎖移動剤も必要に応じて使用することができる。このような連鎖移動剤としては、通常使用されるものを1種又は2種以上使用できるが、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤; 2−アミノプロパン−1−オール等の1級アルコール; イソプロパノール等の2級アルコール; 亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物及びその塩が好適である。
前記共重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、共重合の際、必要に応じて使用される溶媒としては、通常用いられるものを使用でき、水; メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類; ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類; 酢酸エチル等のエステル類; アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単量体成分及び得られるポリオキシアルキレン系重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
前記共重合方法において、共重合温度等の共重合条件としては、用いられる共重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められるが、共重合温度としては、通常0〜150℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは40〜120℃であり、更に好ましくは50〜100℃であり、特に好ましくは60〜90℃の範囲である。
前記共重合方法により得られる共重合体は、そのままでも用いることができるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、1価金属及び2価金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩等の無機塩; アンモニア;有機アミンを用いることが好ましい。
本発明におけるポリオキシアルキレン系重合体(B)は、上述したように単量体成分を共重合して得ることができるが、該共重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算での重量平均分子量(Mw)が、1000〜50000であることが好ましい。この範囲を超えると、ポリオキシアルキレン系重合体(B)の分散性能が不十分になる虞れがある。
本発明の自己収縮低減剤は、さらに、ポリエーテル化合物(C)を必須成分として含有することが好ましい。ポリエーテル化合物(C)は、いわゆる消泡剤として作用し、水硬性材料組成物中に粗大な気泡が混入するのを防ぐ効果がある。
ポリエーテル化合物(C)は、好ましくは、前記一般式(3)で示される化合物であり、一般式(3)においてRは炭素原子数8〜18の炭化水素基を表す。好ましくは、炭素原子数12〜18の炭化水素基である。炭素原子数8〜18の炭化水素基としては、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられ、好ましくは、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基である。
本発明の自己収縮低減剤は、各種水硬性材料、すなわち、セメントや、石膏等のセメント以外の水硬性材料に用いることができる。
水硬性材料組成物
本発明の水硬性材料組成物は、本発明の自己収縮低減剤と水硬性材料と水とを含むものである。前記水硬性材料は、水と反応しコンクリ−トの強度を発現させる結合材を必須に含むものであり、該結合材としては、例えば、セメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュなどが挙げられる。
前記水硬性材料組成物は、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、そのようなセメント組成物は、本発明の自己収縮低減剤、セメント及び水を必須成分として含んでなるものである。
前記水硬性材料組成物は、さらに必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含んでもよく、また前記水硬性材料組成物は、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスターが好適である。
使用されるセメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)が好適であり、更に、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加してもよい。
また、骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
本発明の水硬性材料組成物中の結合材に対する水の質量比(W/B)は、10〜50質量%の範囲であり、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜35質量%、さらに好ましくは20〜30質量%である。
本発明の自己収縮低減剤の配合割合は、所望の自己収縮低減性を達成できる量であれば特に制限されない。例えば、水硬性セメントを用いるモルタルやコンクリート等の水硬性材料に添加する場合の、本発明の自己収縮低減剤の量は、水硬性材料100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜4質量部である。
さらに、本発明の水硬性材料組成物は、以下の(1)〜(20)に例示するような他の公知のセメント添加剤(材)を含有することができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル化若しくはヒドロキシアルキル化誘導体の一部又は全部の水酸基の水素原子が、炭素数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として含有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖等の単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、又はデキストリン等のオリゴ糖、又はデキストラン等の多糖類、これらを含む糖蜜類等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(16)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有してもよい、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(20)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。尚、上記公知のセメント添加剤(材)は、複数の併用も可能である。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本明細書中、特に断わりのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を表すものとする。また、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
本実施例において、ポリオキシアルキレン系重合体(B)の重量平均分子量、及び自己収縮低減性は、下記方法に従って評価した。
<GPC分子量測定条件>
装置:Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
使用カラム:東ソー(株)製、TSK guard column SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996)
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、更に酢酸でpH6.0に調整した溶液を使用した。
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)272500、219300、107000、50000、24000、12600、7100、4250、1470)
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成した。
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
測定時間:45分
試料液注入量:100μL(試料濃度0.5質量%の溶離液溶液)
<材齢3日後の自己収縮低減率>
[評価用モルタルの混錬]
水/セメント比(W/C)が30%となるように、所定量の本発明の自己収縮低減剤及び、分散剤、消泡剤を秤量して水で希釈した練り水281.1g、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)936.9g、セメント強さ試験用標準砂(JIS R5201−1997附属書2の5.1.3に規定:セメント協会)1350gを、ホバート型モルタルミキサー(ホバート社製、型番:N−50)を用い、モルタルの混錬を行った。分散剤及び、消泡剤の添加量は、モルタルフロー値200±10mm、空気量3〜6vol%となるように適宜調整した。
具体的な混練方法として、混練槽にセメントを投入し、低速で5秒間空練りした後、練り水を15秒間かけて投入し引き続き10秒間混練した。次いで、混練を停止して標準砂を投入し30秒間停止後、低速で60秒間混練した後停止し、続いて20秒間かけて掻き落とし、再び低速で120秒間混練し、評価用モルタルを得た。
[モルタル物性]
JIS R 5201−1997に記載の方法に準拠して、0打でのフロー値を測定した。また、モルタル空気量の測定には500mlメスシリンダーを用い、JIS A 1174(まだ固まらないポリマーセメントモルタルの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量方法))に準拠して実施した。
[自己収縮低減性]
自己収縮低減性を、以下のようにして、自己収縮ひずみを測定することによって、評価した。
ひずみゲージ(型式:KMC−70−120−H4、共和電業社製)を使用して、自己収縮ひずみを測定した。なお、このひずみ測定と同時に、貫入抵抗測定による凝結時間の測定を実施し、凝結開始時間をひずみ測定の起点とした。なお、凝結時間の測定は、温度20±2℃に設定した部屋で、ASTM C 403/C 403M−99に準じて、貫入抵抗値を測定することにより実施した。すなわち、上述した手法と同様の手法を用いて得られたモルタルを、ポリプロピレン製の容器(口径×下径×高さ=91×84×127mm)に2回に分けて詰め、注水から3または4時間目から貫入測定値の測定を開始した。注水から貫入抵抗値が28.0N/mmになるまでの経過時間を凝結終結時間(分)とし、自己収縮ひずみを測定する起点とした。
自己収縮ひずみの測定には、容器として口径×下径×高さ=91×84×127mmのポリプロピレン製容器を使用した。また、容器内部に予めシリコングリースを塗布して、容器とモルタルとの接着を防止し、容易に脱型できるようにした。上記で混錬して得られたモルタルを容器に充填した後、ポリ塩化ビニリデンシートで蓋をし、20±2℃で保管すると同時に、収縮ひずみを測定した。基準モルタルとしては、自己収縮低減剤を添加しないものを用いた。この際、長さ変化比は、下記式に示すように、基準モルタルの収縮量に対する自己収縮低減剤添加モルタルの収縮量を示し、値が小さいほど自己収縮低減性能が高いことを意味する。
長さ変化比=
{(自己収縮低減剤添加モルタルの収縮量)/(基準モルタルの収縮量)}×100
<製造例1>ポリオキシアルキレン系重合体(B)
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水を14.66質量部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル単量体(IPN50)を49.37質量部仕込み、攪拌下反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、2%過酸化水素水溶液2.39質量部を添加し、アクリル酸3.15質量部及びイオン交換水0.79質量部からなる水溶液を3.0時間、並びに3−メルカプトプロピオン酸0.13質量部、L−アスコルビン酸0.06質量部及びイオン交換水15.91質量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して重合反応を終了させ、48%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、重量平均分子量が37700の共重合体(PA−1)の水溶液を得た。
<評価結果>
本発明の自己収縮低減剤について、モルタル物性及び、材齢3日における自己収縮低減率を評価した結果を表1に示す。
Figure 0005449024
PE−1:アデカノールLG299(ADEKA社製)
実施例1〜4では、いずれもモルタル物性において、フロー値が大きく流動性が良好であり、材齢3日における長さ変化比より、効果的に自己収縮を低減していることが判る。一方、実施例と比較して、比較例1では、フロー値は大きいが、自己収縮低減性には劣っており、また、比較例2では、自己収縮低減性はよいが、フロー値が小さくなっており、流動性に劣ることが判る。
本発明の自己収縮低減剤は保存安定性が良好であり、水硬性材料に添加することにより、水硬性材料の水和による硬化過程において発生する自己収縮が十分に低減しうる。その結果、自己収縮に起因する初期のひび割れの発生が抑制され、構造物の耐久性が向上させることができるので、セメント添加剤やコンクリート混和剤として有用である。特に、水結合材比(W/B:水と結合材との質量比)が40%以下の、結合材に対して水が少ない水硬性材料の自己収縮を有効に低減できる自己収縮低減剤として有用である。
特開平10−139508号公報 特開2001−302307号公報 特開2007−153641号公報

Claims (6)

  1. 水硬性材料に添加されて水硬性材料組成物の自己収縮を効果的に低減できる自己収縮低減剤であって、
    該自己収縮低減剤は、重量平均分子量400〜8000の範囲のポリエチレングリコール(A)とpH調整剤(H)とを必須に含有し、
    かつポリエチレングリコール(A)を主成分とし、pH調整剤(H)を、ポリエチレングリコール(A)との固形分換算の質量比で、pH調整剤(H)/ポリエチレングリコール(A)=1/50〜1/100万の範囲で含み、
    pH調整剤(H)が、酸のアルカリ金属塩または、酸のアルカリ土類金属塩であることを特徴とする自己収縮低減剤。
  2. さらに、ポリオキシアルキレン系重合体(B)及び、ポリエーテル化合物(C)を必須成
    分として含有する請求項に記載の自己収縮低減剤。
  3. 前記ポリオキシアルキレン系重合体(B)が、下記一般式(1):
    Figure 0005449024
    (一般式(1)中、R、R、Rはそれぞれ水素原子またはメチル基を表す。mは0〜2の数を表す。pは0または1の数を表す。AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表し、2〜300の範囲である。Xは水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基を表す。)
    で表される不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I)と、
    下記一般式(2):
    Figure 0005449024
    (一般式(2)中、R、R、Rは同一または異なって、水素原子、メチル基、または−COOM基を表す。Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アミン基を表す。)
    で表される不飽和カルボン酸系単量体(II)とを共重合して得られるポリカルボン酸系共重合体である、請求項に記載の自己収縮低減剤。
  4. 前記ポリエーテル化合物(C)が、一般式(3)で表される請求項2または3に記載の自己収縮低減剤。
    Figure 0005449024
    (一般式(3)中、Rは炭素原子数8〜18の炭化水素基を表す。ROはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる少なくとも1種を表す。qはROの平均付加モル数を表し、qは3〜40の範囲である。(RO)qはランダム配列でもブロック配列でもよい。POはオキシプロピレン基を表す。rはPOの平均付加モル数を表し、rは2〜20の範囲である。)
  5. 前記ポリエチレングリコール(A)とポリオキシアルキレン系重合体(B)の質量比が、(A)/(B)=99.9/0.1〜50/50の範囲である、請求項2から4のいずれかに記載の自己収縮低減剤。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の自己収縮低減剤と水とを含む水硬性材料組成物であって、該水硬性材料組成物中の結合材に対する水の質量比が10〜40質量%の範囲である水硬性材料組成物。
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