JP2011102199A - 透光性陶磁器用練り土及び透光性陶磁器 - Google Patents
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Abstract
透光性及び可塑性に優れ、焼成の際、軟化変形しない透光性陶磁器用練り土を提供することである。
【解決手段】
骨材(A)、媒熔材(B)及び可塑性付与材(C)を含有してなる陶磁器用練り土において、骨材(A)が石英ガラス粉末であることを特徴とする透光性陶磁器用練り土を用いる。骨材の含有量は骨材(A)、媒熔材(B)及び可塑性付与材(C)の重量に基づいて、40〜70重量%が好ましい。媒熔材(B)は準長石及び/又はガラスフリットが好ましい。可塑性付与材(C)はハロイサイト及び/若しくはモンモリロナイトを主成分とする粘土が好ましい。骨材(A)、媒熔材(B)及び可塑性付与材(C)の重量に基づいて、媒熔材(B)の含有量が5〜30重量%、可塑性付与材(C)の含有量が8〜35重量%であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
また、透光性磁器土を使用し、ローラマシン成形、圧力鋳込み成形、排泥鋳込み成形のためのノウハウを確立したこと、この透光性磁器土の可塑性を向上させると思われる添加剤(粘質多糖類、有機高分子、無機塩類、無機超微粉体)を土に練り込みしたところ、ろくろ−型打ち成形が可能になったことが報告されている(非特許文献2)。
また、従来の透光性磁器用素地では、透光性が十分ではなく、肉の厚みが厚くなると透光性が著しく低下するという問題がある。
また、従来の透光性磁器用練り土では、可塑性が低いという問題がある。なお、非特許文献2に記載されたように、可塑性を向上させるために、粘質多糖類、有機高分子等を練り土に練り込みすると、泡、膨れ、ピンホールが発生しやすいという問題が解決されていない。
本発明の目的は、透光性及び可塑性に優れ、焼成の際、軟化変形しない透光性陶磁器用練り土を提供することである。
骨材(A)が石英ガラス粉末である点を要旨とする。
本発明の透光性陶磁器用練り土は、骨材(A)の含有量が高く、焼成時に液相を形成する媒熔材(B)の含有量が低いため、焼成の際、軟化変形しにくい。
また、本発明の透光性陶磁器用練り土は、透光性に優れているため厚手(たとえば、肉の厚みが10〜20mm)の成形体としても十分な透光性が確保できる。このため、大型の成形体も容易に調製することができる。
また、熱膨張係数等が通常の陶器用練り土と近似しているため、通常の陶器用練り土と組み合わせて成形することができる。
したがって、本発明の透光性陶磁器用練り土を用いれば、複雑な形状や大きな形状の透光性陶磁器が容易に製造できる。
また、石英ガラスの塊を乾式粉砕し、金網等で一定範囲の粒子径をもつ石英ガラス粉末を選別して用いてもよい。
これらのうち、添加量を少なくすることができ、結果として骨材(A)の含有量を高めることができるため、準長石及びガラスフリットが好ましい。
粘土としては、ハロイサイト、モンモリロナイト、カオリナイト及び/又はセリサイト等を主成分とする粘土が含まれる。これらのうち、可塑性の観点から、ハロイサイト及び/又はモンモリロナイトを主成分とする粘土{たとえば、白色精製ベントナイト(モンモリロナイトが主成分)及びニュージーランドカオリン(ハロイサイトが主成分)等}が好ましい。
また、本発明の陶磁器用練り土は、刃物等による削り加工及び糸やワイヤー等による切断加工等が可能である。
骨材(a1){ヒューズドシリカパウダーF−130、福島窯業株式会社、SiO299.8%以上、重量平均粒子径30μm}41部、骨材(a2){ヒューズドシリカパウダーF−205、福島窯業株式会社、SiO299.7%以上、重量平均粒子径5μm}4部、媒熔材(b1){準長石;霞石閃長岩}25部、可塑性付与材(c1){ニュージーランドカオリン(ハロイサイトを主体とする粘土)}27.5部及び可塑性付与材(c2){白色精製ベントナイト(モンモリロナイトを主体とする粘土)}2.5部を調合し、水25部を加えて真空土練機により混練した後、菊練り法によって脱気することにより、本発明の透光性陶磁器用練り土(1)を得た。
骨材(a3){ヒューズドシリカパウダーF−125、福島窯業株式会社、SiO299.8%以上、重量平均粒子径25μm}60部、媒熔材(b2){ガラスフリット、802フリット、日陶産業株式会社}12部、可塑性付与材(c1)26部及び可塑性付与材(c2)2部を調合し、水25部を加えて真空土練機により混練した後、菊練り法によって脱気することにより、本発明の透光性陶磁器用練り土(2)を得た。
骨材(a1)45部、媒熔材(b1)18部、媒熔材(b2)4部、可塑性付与材(c1)30部及び可塑性付与材(c2)3部を調合し、水25部を加えて真空土練機により混練した後、菊練り法によって脱気することにより、本発明の透光性陶磁器用練り土(3)を得た。
陶石15部、珪石15部、カリ長石40部及び木節粘土30部を調合し、水25部を加えて真空土練機により混練した後、菊練り法によって脱気することにより、比較用の透光性陶磁器用練り土(H1)を得た。
直径約1cm×長さ約10cmの円柱棒状の試験片を調製し、1週間、自然乾燥(風乾)した後、図3に示したように、耐火物製保持台に載せて、真空炉内(200〜1000Pa;約5時間かけて室温(約25℃)から1000℃に昇温し、さらに2.5時間かけて1250℃まで昇温して約30分間この温度で保持した後、室温まで放冷した)で焼成して、試験片の焼成体の中央部の鉛直方向に変形した量(mm)を測定した。数字が小さい程、焼成時の軟化変形がしにくいといえる。
焼成時の軟化変形の評価で得た試験片の焼成体を乳鉢で粉砕し150μmの金網を通過させて得た試験粉について、JIS K0131−1996「X線回折分析通則」に準拠して、粉末X線回折により{X線:Cu/40kV/40mA、RINT2000縦型ゴニオメータ、試料回転なし、フィルタなし、全自動モノクロメータ、発散スリット1°、散乱スリット1°、受光スリット0.3mm、モノクロ受光スリット0.8mm、走査モード連続、サンプリング幅0.020°、走査範囲5.000〜60.000°、積算回数1回、スキャンスピード4.000°/min.、走査軸2θ/θ、θオフセット0.000°}、結晶化度(%)を算出した。
実施例又は比較例で得た透光性陶磁器用練り土を用いて、40m×40mm×厚み5mmの平板を乾燥・焼成後、平面研削盤(オートロンミニMG−743、株式会社マルトー)を用いて両面を研削して、厚さ1.46、2.52、2.96、4.00mmの各試験片を得た。この試験片について、吸光光度分析器(カラーアナライザーTC−1800、有限会社東京電飾、表色系:CIELAB、視野:2度、標準光:C)で透過度を測定し、特許文献1と同様にして、log Bを算出した。数字が小さい程、透光性に優れることを示す。
「透光率と試料厚さの間の関係は(1.1)式で表される。
(I/I0)=A/BX (1.1)式
ここに(I/I0):透光率(%)
X:試料厚さ(mm)
A、B:定数
(1.1)式の対数を取ると
log(I/I0)=logA−X・logB (1.2)式
試料の3点の透光率(I/I0)と厚さ(X)から最小自乗法で定数A、Bを求め、縦軸に透光率(対数)、横軸に試料厚さをとりグラフを作成した。
試作試料の透光率の測定結果、(1.2)式で得られた直線と縦軸の交点を示すlogAがほぼ一定の値を示した。このことは、直線の傾斜を示す定数logBの値が小さいほど、試料の厚さが厚くなることによる透光性の低下の度合いが小さいことを示している。つまり試料の透光性は、定数logBの値で評価が可能である。」
電気ろくろ(水引き)で、下表に示した原料から調製した通常の陶器用練り土を用いて、直径約7cm、高さ約7cmの円筒壺状に成形すると共に、実施例又は比較例で得た透光性陶磁器用練り土を練りつけて、円筒状部材(直径約7cm×高さ約5cm)を円筒壺の上部に形成することを試みた。円筒壺状の成形体に成形できた場合、引き続き、削り加工及び自然乾燥(風乾1週間)した後、上記と同様にして焼成し、円筒壺を得た。なお、この円筒壺は、飲食器として用いることができる。
水の使用量を25部から20部に変更したこと以外、実施例1〜3又は比較例1と同様にして、透光性陶磁器用練り土(1’)〜(3’)、(H1’)を得た。
透光性陶磁器用練り土(1’)〜(3’)、(H1’)を用いて、ローラーマシン(UR−5、高浜工業株式会社)で、上部直径約30cm、下部直径約10cm、高さ約20cmの円筒大鉢に成形を試みた。円筒大鉢の成形体が得られた場合、引き続き、上記と同様にして、削り加工、自然乾燥及び焼成して、円筒大鉢を得た。なお、この円筒大鉢は、照明器具の傘として用いることができる。
実施例1で得た透光性陶磁器用練り土と、着色した陶器用練り土(表1に記載された練り土)とを用いて、ろくろを用いて、上記と同様に削り加工・乾燥・焼成し、内部に蛍光ランプを設置して、照明器具(1)及び(2)を調製した(図4、5)。
本発明の透光性陶磁器用練り土は通常の陶器用練り土の熱膨張係数等と近似しているため、通常の陶器用練り土と組み合わせて使用することができ、従来の練り土では達成し得ないデザインとすることができた。
実施例1で得た透光性陶磁器用練り土を手練りして、上記と同様に削り加工・乾燥・焼成し、スピーカーとLEDランプを装着して、音響発生器具を調製した(図6)。
本発明の透光性陶磁器用練り土は、焼成時の軟化変形、透光性及び可塑性に優れるため、複雑かつ厚手の陶磁器を容易に製造することができた。なお、照明ランプとして、LEDを用いたため、LEDの周辺を中心に透光したが、大型のランプを用いれば、陶磁器全体が透光するものである。
実施例1で得た透光性陶磁器用練り土を手びねり成形して、上記と同様に削り加工・乾燥・焼成し、内部に蛍光ランプを設置して、照明器具(3)を調製した(図7)。
本発明の透光性陶磁器用練り土は、透光性及び可塑性に優れるため、大型の陶磁器を容易に製造することができた。
2 耐火物製保持台
Claims (10)
- 骨材(A)、媒熔材(B)及び可塑性付与材(C)を含有してなる陶磁器用練り土において、
骨材(A)が石英ガラス粉末であることを特徴とする透光性陶磁器用練り土。 - 骨材の含有量が、骨材(A)、媒熔材(B)及び可塑性付与材(C)の重量に基づいて、40〜70重量%である請求項1に記載の透光性陶磁器用練り土。
- 媒熔材(B)が準長石及び/又はガラスフリットである請求項1又は2に記載の透光性陶磁器用練り土。
- 可塑性付与材(C)がハロイサイト及び/若しくはモンモリロナイトを主成分とする粘土である請求項1〜3のいずれかに記載の透光性陶磁器用練り土。
- 骨材(A)、媒熔材(B)及び可塑性付与材(C)の重量に基づいて、媒熔材(B)の含有量が5〜30重量%、可塑性付与材(C)の含有量が8〜35重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の透光性陶磁器用練り土。
- 請求項1〜5のいずれかに記載された透光性陶磁器用練り土を可塑成形した後、焼成して得られることを特徴とする透光性陶磁器。
- 粉末X線回折分析による結晶化度(JIS K0131−1996)が2〜10%である請求項6に記載の透光性陶磁器。
- 請求項1〜5のいずれかに記載された透光性陶磁器用練り土と、非透光性陶磁器用練り土とを組み合わせて可塑成形した後、焼成して得られることを特徴とする透光性陶磁器。
- 請求項6〜8のいずれかに記載された透光性陶磁器と光源とからなることを特徴とする照明器具。
- 請求項6〜8のいずれかに記載された透光性陶磁器からなることを特徴とする容器。
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