JP2003221270A - セラミックス材料 - Google Patents

セラミックス材料

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JP2003221270A JP2002020195A JP2002020195A JP2003221270A JP 2003221270 A JP2003221270 A JP 2003221270A JP 2002020195 A JP2002020195 A JP 2002020195A JP 2002020195 A JP2002020195 A JP 2002020195A JP 2003221270 A JP2003221270 A JP 2003221270A
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宜史 吉田
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良夫 高橋
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】強度向上させた磁器と同程度の強度を維持し、
かつ、かさ比重を一般磁器並に小さくでき、透光性を有
し質感の高いセラミック材。 【解決手段】少なくとも非晶質シリカを含むシリカ原料
であるシリカ質20〜50%、長石質10〜30%およ
びカオリン質25〜45%を主原料として配合した生素
地を粒径を30μm以下に粉砕し、成形し、焼成温度1
250〜1400℃で焼成し、セラミック燒結素地にク
リストバライトを5〜50%、好ましくは10〜40
%、析出させたものであり、好ましくは、析出クリスト
バライトの粒径が1μm未満であり、かつこのセラミッ
ク燒結素地は、曲げ強度が高く、かさ比重が2.5を超
えず、かつ透光性を備えたセラミックス材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度化、軽量
化、質感を改良したセラミックス材料に関する。
【0002】
【従来の技術】珪石-長石-粘土系一般磁器の強度を向上
させたものとして、次のような磁器が知られている。 1)一般磁器原料組成の珪石-長石-粘土のうち、珪石の
一部を弾性率の高いアルミナに置換したものであって、
強化磁器という名称で知られている。ところが、この場
合、珪石に由来する粗粒石英が素地中に含まれるため、
粗粒周辺にクラックが発生し破壊源となりやすい。ま
た、比重の大きいアルミナを素地中に含むため、製品の
かさ比重が大きくなり、従来の磁器よりも重くなる。さ
らに透光性が乏しくなり美観を損ねるなどの不具合があ
った。
【0003】2)一般磁器原料組成の珪石分をほぼ全量
アルミナに置換し、粘土成分としてカオリンとセリサイ
トを用い、それら配合物を微粉砕したものであって、高
強度磁器という名称で知られている。この場合は、前記
強化磁器より強度アップがはかれるものの、かさ比重が
さらに大きくなり重くなり、透光性は殆ど失われるとい
う問題があった。
【0004】3)一般磁器原料組成の長石分と珪石分の
一部をアルミナに置換し、原料を微粉砕したもので、素
地中にクリストバライトを析出させたクリストバライト
磁器という名称で知られている。この場合も、アルミナ
を含むため前記した不具合があった。なお、素地内部に
気孔を発生させ軽量化する方法も提案されているが、実
用化に至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、上記の強度向
上させた磁器と同程度の強度を維持し、かつ、かさ比重
を一般磁器並に小さくでき、質感の高いセラミック材を
提供する。特に、学校給食などで使われる従来の強化磁
器に代替できる、高強度かつ軽量化が可能で質感の高い
磁器材料としてのセラミックス材料を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題は、セラミッ
ク燒結素地にクリストバライトを5〜50%析出させた
ことを特徴とする本発明の微構造に特徴があるセラミッ
クス材料によって、解決することができる。さらに、好
ましくは、クリストバライト析出量が10〜40%、か
さ比重が2.5を超えないものである形態、さらには、
析出クリストバライトの粒径が5μm未満である形態の
セラミックス材料として具体化される。
【0007】また、上記の問題は、非晶質シリカ、また
は少なくとも非晶質シリカを含むシリカ質20〜50
%、長石質10〜30%およびカオリン質25〜45%
を主原料として配合した生素地を成形、焼成し、クリス
トバライトを析出させたことを特徴とする本発明の製造
過程に特徴のあるセラミックス材料によって解決され
る。
【0008】また、この発明は、好ましくは、前記シリ
カ質30〜40%、長石質10〜25%、カオリン質3
0〜40%を主原料とする形態、さらに、前記生素地を
構成する原料の粒径を30μm以下のものとした形態、
さらに前記焼成温度が1250〜1400℃である、好
ましくは1300〜1350℃である形態に具体化され
る。
【0009】さらに、本発明のセラミックス材料は、前
記した微構造の特徴と同じく製造過程の特徴とを併せ持
ったセラミックス材料として、最も好適に具体化され得
るのである。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明のセラミックス材料
に係る実施形態について説明する。先ず、本発明におけ
る析出クリストバライトについて説明する。本発明の特
徴的事項は、セラミック燒結素地にクリストバライトを
5〜50%、好ましくは10〜40%、析出させた点に
あり、好ましくは、析出クリストバライトの粒径が1μ
m未満であり、かつこのセラミック燒結素地は、かさ比
重が2.5を超えない点にもある。
【0011】また、本発明の他の特徴的事項は、少なく
とも非晶質シリカを含むシリカ原料であるシリカ質20
〜50%(好ましくは30〜40%)、長石質10〜3
0%(好ましくは10〜25%)およびカオリン質25
〜45%(30〜40%)を主原料として配合した生素
地を、好ましくは粒径を30μm以下に粉砕し、成形
し、焼成温度1250〜1400℃(好ましくは130
0〜1350℃)で焼成し、クリストバライトを析出さ
せた点にある。そして、最も好ましい本発明のセラミッ
クス材料の形態は、前記の微構造に基づく特徴と同じく
製造過程の特徴とを併せ持ったセラミックス材料であ
る。
【0012】次に、本発明の各要件について作用ととも
に、詳細に説明する。先ず、本発明においては、焼結素
地中にクリストバライト結晶を析出させた点に最大の特
徴がある。本発明では、その析出量は次の手法で求めた
値である。標準試料として、平均粒径が0.1〜30μ
mのシリカ粉末を24〜48時間1400℃で加熱処理
し、粉砕した粉末、または市販のクリストバライト粉末
(例えば、太平洋セメント(株)製)を用いて、X回折装
置(例えば、理学電機製X回折装置RINT−Ultima2200)
により得られるX線回折チャートにおける、前記標準試
料のクリストバライト第1ピークの面積を100とした
とき、測定試料のクリストバライト析出量を同様にして
得たX線回折チャートにおける第1ピークの面積の比率
(%)で表示している。
【0013】本発明において、クリストバライト析出量
を前記のように限定した理由は、5%未満の場合は、十
分な強度が得られないので、本発明の目的が達成できな
いからであり、また、50%以上は焼成時の形状安定性
が劣化し、製品の製造が困難になるからである。なお、
本発明で用いる析出という用語は、結晶が存在しない状
態から新たに結晶が生じる意味の他、クリストバライト
以外の結晶がクリストバライトに変態する態様をも含む
ものとして用いている。
【0014】本発明の作用について述べると、本発明の
セラミックス材料の素地中にクリストバライトの微結晶
(好ましくは、粒径が5μm以下、さらに好ましくは1
μm以下のナノ粒子状微結晶)を析出させることによ
り、そのクリストバライトの周囲のガラスに、熱膨張係
数差による圧縮応力を発生させることにより、構造中の
ドメインであるガラス相を強化することができ、その結
果、構造全体の強度をアップさせるのである。
【0015】なお、従来の素地中の石英粒子などの周囲
のガラスに圧縮応力を発生させるというプレストレス理
論では、結晶粒子が数十ミクロンレベルの粒径であるこ
とから、ガラス層と結晶粒子の境界層間に生じる応力が
過大となり、このため、結晶粒子の周囲に環状亀裂が発
生し、この亀裂が破壊起点となり強度をむしろ低下させ
てしまう傾向があった。しかし、本発明では、ナノレベ
ルの微粒結晶が析出するため全体に応力分散し、このよ
うな破壊起点が生じにくくなり、強度向上に寄与する圧
縮応力を発生させることができるのである。
【0016】さらに、本発明では、如上のように強度を
向上できる他、かさ比重が2.5を超えず、通常の珪石
−長石−粘土系磁器と同程度であるから、アルミナ強化
磁器のように重くはならないという軽量性という利点が
保持される。また、従来の強化磁器などが備えていない
質感、例えば好ましい透光性を付与することも可能であ
り、美観にも優れた製品を得ることができるのである。
【0017】次に、本発明のセラミックス材料の原料構
成について説明する。シリカ質原料は、本発明の最も重
要な原料であって、非晶質シリカ、または少なくとも非
晶質シリカを含む原料である。ここで、非晶質シリカと
しては、シリカガラス、溶融シリカ、合成シリカガラ
ス、溶融石英ガラス、アモルファスシリカ、シリカゲル
など結晶性を有しないすべての非晶質シリカが含まれ
る。なお、この中でも、合成シリカガラス、溶融石英ガ
ラスが本発明の目的に適合していて最も好ましい。
【0018】このシリカ質の混合割合は、20%(重量
%、以下同様)未満の場合、十分なクリストバライト析
出量を得ることができないので、強度アップに寄与しな
い。また、50%超えの場合、焼成中に軟化しやすく所
定の形状を保つことができないので、前記割合が好まし
い。そのうちでも、30%〜40%が最も好ましい。
【0019】次に、長石質原料は、焼結素地内に十分な
ガラスを生じさせ、セラミックス材料として基本的な強
度を発現させる原料であるが、混合量が10%未満の場
合、素地が全体に十分に焼結しないため、基本的な強度
が得られない。また、30%超えの場合は、前記クリス
トバライトの析出を妨げる作用が働き、本発明の目的の
強度が得られない。そのうちでも、10〜25%が最も
好ましい。
【0020】なお、長石質としてはカリ長石、ソーダ長
石の他、セリサイトなどを含み、また高純度の長石以外
に石英粒子を混在する品種も応用可能であるが、その場
合、石英粒子の混在量は、焼成過程でガラス中に実質的
に溶解してしまう程度の割合以下であることが望まし
い。
【0021】次に、カオリン質原料について説明する
と、主として可塑性生素地の成形性を発現する原料であ
り、ここでは、カオリナイト鉱物系のみを意味するもの
ではなく、カオリナイト、ハロイサイトなどを主成分と
する、例えば、カオリン粘土、蛙目粘土、木節粘土など
粘土類を意味する。
【0022】その混合量は、25%未満の場合は、生素
地の成形性が劣り、かつ内部に気泡が残留して焼結素地
表面の平滑度を低下させ外観上好ましくない。また、4
5%超えの場合には、生地の成形性に悪影響を及ぼすよ
うになり、工場生産上不都合なものとなる。そのうちで
も、30〜40%が最も好ましい。
【0023】なお、本発明における前記主たる原料、す
なわちシリカ質、長石質およびカオリン質は、生素地全
体の少なくとも80%を占めるよう配合するのが本発明
の目的からみて好ましい。その他の原料としては、クリ
ストバライトの析出を促進するためのMgO系原料、例
えばタルク、生素地の成形性を増すため陶石、あるいは
着色用金属酸化物の粉末等を20%を超えない範囲で添
加できる。さらに、成形助剤として、従来から用いられ
る解膠剤、無機系または有機系バインダが適量、添加で
きるのは言うまでもない。
【0024】また、本発明は、アルミナ、ジルコニアの
ようなガラスに難溶性の酸化物を含まない方がよいが、
焼結体のかさ比重や透光性を劣化させない範囲で含まれ
るのは許容される。
【0025】さらに、本発明では、成形用素地の調製に
あたって、原料の粒度が重要な要件となっている。原料
の粒度分布はある程度の広がりを持つが、好ましいクリ
ストバライトの析出のためには、上記原料をボールミル
などで十分に湿式粉砕し、最大粒径が30μm未満とな
るよう、所定の目開きのスクリーンを通過させるのが好
ましい。
【0026】その理由は、この最大粒径が30μm以上
となるような場合には、粒径の大きい粒子と周囲のガラ
ス相との境界付近にマイクロクラックが発生しやすく、
強度向上が阻害されるからである。最大粒径の好ましい
値は15μm以下とするのがよい。特に、原料が結晶質
シリカを含む場合は、その原料については、粒度を最大
粒径が30μm未満の細粒とするのがよい。かくして、
粒度を細かくすることによりマイクロクラックの発生に
よる強度低下を防止すると同時に、シリカ質粉末の比表
面積を大きくし活性化させ、クリストバライトへの転移
を容易にする利点が得られる。
【0027】また、焼結体の焼成温度も重要な要件とな
る。焼成温度が1250℃未満未満の場合は、シリカ質
のクリストバライト化が十分に行われず、十分な強度が
得られない。また、1400℃超えの場合は、素地が焼
成中に変形を起こしやすく、所定形状の製品が得られな
い。この焼成温度は、前記目的に対してより好ましく
は、1250℃〜1350℃である。
【0028】かくして、本発明によれば、かさ比重が通
常の珪石−長石−粘土系磁器と同程度の比較的軽量であ
って、アルミナ強化磁器のように重くなく、適度な透光
性をそなえた高強度の磁器を、焼成中の変形を抑止しな
がら、製造できる。さらに、クリストバライトの析出量
を調整することにより焼結体の熱膨張係数の調整が可能
であり、釉薬との適正なマッチングを図ることもできる
という利点が得られる。
【0029】ここで焼結体の熱膨張係数の調整につい
て、説明する。一般に、釉薬を備えた焼結体の場合、釉
薬の熱膨張係数が素地より大きすぎると釉薬に亀裂(貫
入)が生じたり、釉薬の熱膨張係数が素地より小さすぎ
る釉薬が剥離(シバリング)するなど問題が生じる。こ
のため、それぞれの熱膨張係数の調和を図ることが重要
である。
【0030】本発明では、焼結体本体の熱膨張係数を調
整することが可能である。すなわち、焼成体中のクリス
トバライトの析出量を制御することにより、それが可能
となる。クリストバライトは、250℃近辺においてα
型〜β型の結晶転移があり、特にβ型は、一般の陶磁器
などセラミックス材料に比較して大きな熱膨張係数を持
っているので、析出量の多寡によって、素地の熱膨張係
数を大きくも小さくもすることができるのである。
【0031】クリストバライト析出量の制御は、非晶質
シリカ質自体、あるいはクリストバライト析出に影響を
及ぼす配合成分の配合率を増減させることにより行う。
例えば、非晶質シリカ質は、それ自体がクリストバライ
トの発生源であるので、その配合率はクリストバライト
の析出に大きな影響を及ぼす。また、主原料の長石質
は、含有するカリウム、ナトリウムなどアルカリ分によ
り、素地中にシリカ質を取り込んだガラス相を増加させ
るので、クリストバライトの析出を抑制することにな
る。さらに、マグネシウム成分を含むタルクを極微量生
地に加えると、マグネシウムが焼成段階で生地に生じる
ガラス相の粘性を低下させるため、ガラス相からのクリ
ストバライトの遊離を容易にする。このため、クリスト
バライトの析出を増加させ、熱膨張係数を高める方向に
働く。かくして、一般に用いられる釉薬の熱膨張係数、
4.5〜6.0×10-6/℃に対して、本発明では、
3.5〜7.5×10-6/℃の範囲の幅広い熱膨張係数
を有する焼結体素地を製作でき、各種の釉薬とのマッチ
ングを図ることができるのである。
【0032】
【実施例】(実施例1)原料として、0.5〜1.0mmに
粗粉砕した石英ガラス40%、平均粒径30μmの長石
(大平長石SS−150)22%、平均粒径3μmの蛙目
粘土10%、NZカオリン28%を混合し、原料と同量
の水を加え、ポットミルにて39時間粉砕した。なお、
ミル中には径10mmと15mmのアルミナボールを入
れ、粉砕を実施した。この場合、解膠剤としてトリポリ
燐酸0.6%を水に対し加えた。
【0033】このようにして得た泥漿を350メッシュ
の篩を通し、凝集剤として10%のにがり溶液を、水に
対し0.38%加え、よく攪拌した後にフィルタープレ
スにより脱水した。脱水後、鋳込成形により直方体のテ
ストピースを作成し、予め設定した焼成温度で焼成し
て、測定用試料を得た。この試料について、曲げ強度、
かさ比重などを測定した。また、試料の一部には、釉薬
を塗布し1300℃で焼成し、施釉状態での強度を測定
した。次の表1に、上記実施例による試料の特性を、市
販の強化磁器、高強度磁器、およびクリストバライト磁
器を比較例として、併記して示す。
【0034】
【表1】
【0035】なお、ここで用いた換算強度とは、試料間
のかさ比重の差が強度に及ぼす影響を省くために用いら
れるもので、次式によって求めた。 換算強度=曲げ強度/(かさ比重)2 この換算数値を比較することにより、同一重量での強度
を比較することができるのである。なお、透光性は、試
料を光源に向け目視で評価した。この表1の結果によれ
ば、実施例のもには、従来の強度改善した磁器に比べ
て、顕著に優れた強度を有することがわかる。また、か
さ比重も小さく、透光性を備えた特徴が理解されよう。
【0036】(実施例2)次の表2に示す各種原料の混
合物を、実施例1と同様の成形条件にて素地を作成し、
成形、焼成して試料を製作し、その焼結体内部に発生す
るクリストバライト量の異なる試料を作成した。表2に
その物性を示す。各試料を振動ミルで粉砕した後、X線
回折装置(多機能X線回折装置:RINT-Ultima2200(理
学電機製)を用い、管電流20mA−管電圧40KV−
CuKα1線使用のもとで、X線回折パターンを計測し
た。この測定結果から、クリストバライト第1ピーク
(2θ=22±0.5度に現われるピーク)の面積(X線
カウント数の積算による面積への変換)を求め、既述の
標準試料の場合の面積比からクリストバライト析出量を
算出した。(標準試料クリストバライト第1ピーク面
積:183,564)
【0037】
【表2】
【0038】図1は、各試料のクリストバライトの析出
量と曲げ強度の関係を示す。図1と表2によれば、クリ
ストバライト量と曲げ強度はほぼ比例関係にあり、クリ
ストバライト結晶も析出とその量が強度アップに不可欠
であることがわかる。また、一般の陶磁器の強度は10
0MPa程度であるが、クリストバライトを5%以上析出さ
せることにより、強度は約20%アップし、また40%
近く析出させた場合には、強化磁器(曲げ強度:180
MPa)並みの強度を示すことがわかる。さらに、この実
施例では、かさ比重は2.35〜2.4付近であり、市
販の強化磁器・高強度磁器に比較して低い値(表1参
照)を示しており、軽量かつ高強度であることが理解さ
れよう。
【0039】ここで、試料内部の析出クリストバライト
粒子の形状観察結果について説明する。実施例2−1の
試料を透過型電子顕微鏡で観察した結果を図2(明視野
像および制限視野電子線回折像)に示す。視野の中央に
見える塊状の物体がクリストバライト結晶であるが、粒
径が1μm以下の微結晶であることがわかる。また、結
晶粒子の周囲のコントラストに変化が生じていることが
観察されるが、これはガラス層に応力が作用した結果で
ある。さらに、一般磁器のプレストレス理論で言われる
ような結晶粒子の周囲に発生する環状亀裂はなく、破壊
起点となるような欠陥も見当たらない。このようにし
て、クリストバライト微小結晶の周囲に発生した圧縮応
力が、破壊欠陥を作ることなく作用し、この応力の積算
により、全体強度が向上したことを裏づける結果が観察
された。
【0040】この電子顕微鏡における測定概要は以下の
通りである。 試料調整:イオン研磨法による薄片化処理、および真空
蒸着法によるカーボンコーティングにより試料の帯電防
止実施をおこなった。 測定条件:測定機:日本電子製、透過型電子顕微鏡(J
EM―2010)、加速電圧:200KV
【0041】(実施例3)原料として使用するシリカ質
の種類の影響を見るため、表3に示す品種の原料用い、
所定の原料組成にて、実施例1と同条件にて試料を作成
して、実施例2に同じくクリストバライトの発生量を測
定した。その結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】本実施例では、4種類のシリカ質原料によ
り、クリストバライトの発生に及ぼす影響を調査した
が、表3に示す通り、析出量の差が認められるたもの
の、いずれの場合も内部にクリストバライトが析出して
おり、強度アップ効果が認められた。特に、アモルファ
ス単体と結晶シリカを含んだものとの間で顕著な差異は
見られず、少なくとも、非晶質シリカがクリストバライ
ト化に際して重要な成分であることがわかる。
【0044】(実施例4)表4には、生素地を構成する
原料の粒度の影響を示す。表4に示す原料配合物を実施
例1と同様にポットミル粉砕により、試料を作成した。
なお、このときに通常よりも粉砕時間を調節して、粒度
の異なる試料を準備し、それらの焼結体について実施例
2と同様にクリストバライト析出量を測定した。その結
果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】表4に示すように原料粒度の粗い実施例4
−1、−2、−3に比較して、粒度の細かい実施例4−4、
−5のクリストバライト析出量が大であることがわか
る。従って、ほぼ同様の原料組成においても、最大粒径
を小さく設定することにより、シリカ質のクリストバラ
イト化を促進し、より強度アップに寄与できることが理
解できよう。
【0047】(実施例5)次に、表5に原料混合組成の影
響について示す。表5に示す原料混合組成の試料を実施
例1と同様に作成した。なお、焼成温度は1300℃で
あった。なお、このとき、生素地を型成形によって想定
形状に作りやすいかの観点から成形性の評価、および焼
成時の形状変化の程度により形状安定性の評価を行っ
た。また、これらの試料を実施例2と同様の方法でクリ
ストバライト析出量の測定を行った。
【0048】
【表5】
【0049】この実施例5の結果によれば、非晶質の石
英ガラスの混合量の減少は、クリストバライトの発生量
の低下を招くため、20%未満では十分な強度アップが
望めない。またその混合量を増大することにより、焼成
時の形状安定性が低下し、特に50%を超えた場合、当
初予定した製品の形状を維持することが困難になること
が確認された。
【0050】長石質が多い場合、クリストバライトの析
出量の低下傾向が認められ、また焼成後の形状安定性も
低下することがわかる。特に30%を超えた場合、クリ
ストバライトの析出量、成形性ともに悪化し、十分な強
度を得られなくなり、製品形状の維持も困難になる。ま
た反対に混合量が少ない場合には、焼成時の緻密化が妨
げられるのが認められた。特に、10%以下のになると
その傾向が顕著に現われた。
【0051】また、カオリン質の混合量が少ない場合、
焼成時の形状安定性が悪化する傾向が見られ、特に、2
5%より少ないときには製品形状が維持できないこと確
認された。また、焼成時の観察によれば、内部気泡が陶
磁器表面に現われるブローチング現象が見られ、表面が
ザラザラした仕上がりとなってしまった。逆に添加量を
多くした場合、生素地の成形性が若干低下する傾向が見
られた。
【0052】(実施例6)実施例1と同様の原材料、手法
を用いて、焼成温度を変化させた試料を作成し、焼成時
の形状安定性性を確認した。また、得られた試料を実施
例2と同様の方法でクリストバライト析出量を測定し
た。その結果を表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】表6によれば、1400℃よりも焼成温度
が高いと焼成時の形状安定性が著しく低下し、所期の製
品形状の維持が困難になるので工業的な製品化が困難に
なることがわかる。また、同時に強度アップに必要なク
リストバライトの析出も認められなかった。一方、焼成
温度が低い場合、クリストバライト析出量は低下してし
まい、1200℃ではクリストバライトの析出が確認さ
れなかった。このことから、クリストバライトによる強
度アップに効果のある最適温度範囲は、1300℃〜1
350℃であることがわかる。また、析出結晶の安定化
により、焼成時の寸法安定性は、クリトスバライトの結
晶析出により、より好ましく高められているものと考え
られる。なお、この実施例では、生素地の成形性に関し
ては全く問題がなかった。
【0055】
【発明の効果】本発明のセラミックス材料は、以上説明
したように構成されているので、以下に説明するような
優れた効果がある。 1)本発明のセラミックス材料では、微細なクリストバ
ライト結晶の析出により、従来の磁器に比べ同重量で最
上位の強度を有しているため、陶磁器製品に応用すれば
従来の高強度磁器などに比較して顕著な軽量化が可能と
なる。また、優れた透光性を有する質感にすぐれた製品
も提供できるようになる。
【0056】2)現在の高強度磁器など同様の製造ライ
ンが使用できるため、新たな設備投資がいらない。熱膨
張係数を調節できるため、広い範囲の釉薬とのマッチン
グを図ることが可能となる。さらにかさ比重が小さいの
で、熱伝導率が小さくなり、熱さを伝えにくいので食器
材料として特に有用である。
【0057】3)本発明のセラミックス材料は、焼成時
の寸法安定性も優れていて、変形も少ないから、工業的
生産において生産性を高めることができる。かくして、
従来の高強度磁器などの問題点を解消した、新たな磁器
製品を商品化するための基本的セラミックス材料とし
て、その技術的価値はきわめて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクリストバライトの析出量と曲げ強度
の関係を示すグラフ。
【図2】析出クリストバライト粒子の電子顕微鏡写真
(明視野像および制限視野電子線回折像)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 寿国 愛知県名古屋市昭和区高辻町11番15号 石 塚硝子株式会社内 (72)発明者 山本 哲 愛知県名古屋市昭和区高辻町11番15号 石 塚硝子株式会社内 (72)発明者 吉田 宜史 愛知県名古屋市昭和区高辻町11番15号 石 塚硝子株式会社内 (72)発明者 高橋 良夫 岐阜県土岐市駄知町989番地の36 馬駈鉱 産株式会社内 (72)発明者 高嶋 剛 岐阜県瑞浪市山田町513番地の5 株式会 社高嶋礦業社内 Fターム(参考) 4G030 AA36 AA37 BA20 CA01 GA27 HA01 HA05 HA08 HA15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック燒結素地にクリストバライト
    を5〜50%析出させたことを特徴とするセラミックス
    材料。
  2. 【請求項2】 クリストバライト析出量が10〜40
    %、かさ比重が2.5を超えないものである請求項1記
    載のセラミックス材料。
  3. 【請求項3】 析出クリストバライトの粒径が5μm未
    満である請求項1または2に記載のセラミックス材料。
  4. 【請求項4】 非晶質シリカ、または少なくとも非晶質
    シリカを含むシリカ質20〜50%、長石質10〜30
    %およびカオリン質25〜45%を主原料として配合し
    た生素地を成形、焼成し、クリストバライトを析出させ
    たことを特徴とするセラミックス材料。
  5. 【請求項5】 シリカ質30〜40%、長石質10〜2
    5%、カオリン質30〜40%を主原料とする請求項4
    に記載のセラミックス材料。
  6. 【請求項6】 前記生素地を構成する原料の粒径を30
    μm以下のものとした請求項4または5に記載のセラミ
    ックス材料。
  7. 【請求項7】 前記焼成温度が1250〜1400℃で
    ある請求項4または5または6に記載のセラミックス材
    料。
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