JP2003221270A - セラミックス材料 - Google Patents
セラミックス材料Info
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Abstract
かつ、かさ比重を一般磁器並に小さくでき、透光性を有
し質感の高いセラミック材。 【解決手段】少なくとも非晶質シリカを含むシリカ原料
であるシリカ質20〜50%、長石質10〜30%およ
びカオリン質25〜45%を主原料として配合した生素
地を粒径を30μm以下に粉砕し、成形し、焼成温度1
250〜1400℃で焼成し、セラミック燒結素地にク
リストバライトを5〜50%、好ましくは10〜40
%、析出させたものであり、好ましくは、析出クリスト
バライトの粒径が1μm未満であり、かつこのセラミッ
ク燒結素地は、曲げ強度が高く、かさ比重が2.5を超
えず、かつ透光性を備えたセラミックス材料である。
Description
化、質感を改良したセラミックス材料に関する。
させたものとして、次のような磁器が知られている。 1)一般磁器原料組成の珪石-長石-粘土のうち、珪石の
一部を弾性率の高いアルミナに置換したものであって、
強化磁器という名称で知られている。ところが、この場
合、珪石に由来する粗粒石英が素地中に含まれるため、
粗粒周辺にクラックが発生し破壊源となりやすい。ま
た、比重の大きいアルミナを素地中に含むため、製品の
かさ比重が大きくなり、従来の磁器よりも重くなる。さ
らに透光性が乏しくなり美観を損ねるなどの不具合があ
った。
アルミナに置換し、粘土成分としてカオリンとセリサイ
トを用い、それら配合物を微粉砕したものであって、高
強度磁器という名称で知られている。この場合は、前記
強化磁器より強度アップがはかれるものの、かさ比重が
さらに大きくなり重くなり、透光性は殆ど失われるとい
う問題があった。
一部をアルミナに置換し、原料を微粉砕したもので、素
地中にクリストバライトを析出させたクリストバライト
磁器という名称で知られている。この場合も、アルミナ
を含むため前記した不具合があった。なお、素地内部に
気孔を発生させ軽量化する方法も提案されているが、実
用化に至っていない。
点を解決するためになされたものであり、上記の強度向
上させた磁器と同程度の強度を維持し、かつ、かさ比重
を一般磁器並に小さくでき、質感の高いセラミック材を
提供する。特に、学校給食などで使われる従来の強化磁
器に代替できる、高強度かつ軽量化が可能で質感の高い
磁器材料としてのセラミックス材料を提供する。
ク燒結素地にクリストバライトを5〜50%析出させた
ことを特徴とする本発明の微構造に特徴があるセラミッ
クス材料によって、解決することができる。さらに、好
ましくは、クリストバライト析出量が10〜40%、か
さ比重が2.5を超えないものである形態、さらには、
析出クリストバライトの粒径が5μm未満である形態の
セラミックス材料として具体化される。
は少なくとも非晶質シリカを含むシリカ質20〜50
%、長石質10〜30%およびカオリン質25〜45%
を主原料として配合した生素地を成形、焼成し、クリス
トバライトを析出させたことを特徴とする本発明の製造
過程に特徴のあるセラミックス材料によって解決され
る。
カ質30〜40%、長石質10〜25%、カオリン質3
0〜40%を主原料とする形態、さらに、前記生素地を
構成する原料の粒径を30μm以下のものとした形態、
さらに前記焼成温度が1250〜1400℃である、好
ましくは1300〜1350℃である形態に具体化され
る。
記した微構造の特徴と同じく製造過程の特徴とを併せ持
ったセラミックス材料として、最も好適に具体化され得
るのである。
に係る実施形態について説明する。先ず、本発明におけ
る析出クリストバライトについて説明する。本発明の特
徴的事項は、セラミック燒結素地にクリストバライトを
5〜50%、好ましくは10〜40%、析出させた点に
あり、好ましくは、析出クリストバライトの粒径が1μ
m未満であり、かつこのセラミック燒結素地は、かさ比
重が2.5を超えない点にもある。
とも非晶質シリカを含むシリカ原料であるシリカ質20
〜50%(好ましくは30〜40%)、長石質10〜3
0%(好ましくは10〜25%)およびカオリン質25
〜45%(30〜40%)を主原料として配合した生素
地を、好ましくは粒径を30μm以下に粉砕し、成形
し、焼成温度1250〜1400℃(好ましくは130
0〜1350℃)で焼成し、クリストバライトを析出さ
せた点にある。そして、最も好ましい本発明のセラミッ
クス材料の形態は、前記の微構造に基づく特徴と同じく
製造過程の特徴とを併せ持ったセラミックス材料であ
る。
に、詳細に説明する。先ず、本発明においては、焼結素
地中にクリストバライト結晶を析出させた点に最大の特
徴がある。本発明では、その析出量は次の手法で求めた
値である。標準試料として、平均粒径が0.1〜30μ
mのシリカ粉末を24〜48時間1400℃で加熱処理
し、粉砕した粉末、または市販のクリストバライト粉末
(例えば、太平洋セメント(株)製)を用いて、X回折装
置(例えば、理学電機製X回折装置RINT−Ultima2200)
により得られるX線回折チャートにおける、前記標準試
料のクリストバライト第1ピークの面積を100とした
とき、測定試料のクリストバライト析出量を同様にして
得たX線回折チャートにおける第1ピークの面積の比率
(%)で表示している。
を前記のように限定した理由は、5%未満の場合は、十
分な強度が得られないので、本発明の目的が達成できな
いからであり、また、50%以上は焼成時の形状安定性
が劣化し、製品の製造が困難になるからである。なお、
本発明で用いる析出という用語は、結晶が存在しない状
態から新たに結晶が生じる意味の他、クリストバライト
以外の結晶がクリストバライトに変態する態様をも含む
ものとして用いている。
セラミックス材料の素地中にクリストバライトの微結晶
(好ましくは、粒径が5μm以下、さらに好ましくは1
μm以下のナノ粒子状微結晶)を析出させることによ
り、そのクリストバライトの周囲のガラスに、熱膨張係
数差による圧縮応力を発生させることにより、構造中の
ドメインであるガラス相を強化することができ、その結
果、構造全体の強度をアップさせるのである。
のガラスに圧縮応力を発生させるというプレストレス理
論では、結晶粒子が数十ミクロンレベルの粒径であるこ
とから、ガラス層と結晶粒子の境界層間に生じる応力が
過大となり、このため、結晶粒子の周囲に環状亀裂が発
生し、この亀裂が破壊起点となり強度をむしろ低下させ
てしまう傾向があった。しかし、本発明では、ナノレベ
ルの微粒結晶が析出するため全体に応力分散し、このよ
うな破壊起点が生じにくくなり、強度向上に寄与する圧
縮応力を発生させることができるのである。
向上できる他、かさ比重が2.5を超えず、通常の珪石
−長石−粘土系磁器と同程度であるから、アルミナ強化
磁器のように重くはならないという軽量性という利点が
保持される。また、従来の強化磁器などが備えていない
質感、例えば好ましい透光性を付与することも可能であ
り、美観にも優れた製品を得ることができるのである。
成について説明する。シリカ質原料は、本発明の最も重
要な原料であって、非晶質シリカ、または少なくとも非
晶質シリカを含む原料である。ここで、非晶質シリカと
しては、シリカガラス、溶融シリカ、合成シリカガラ
ス、溶融石英ガラス、アモルファスシリカ、シリカゲル
など結晶性を有しないすべての非晶質シリカが含まれ
る。なお、この中でも、合成シリカガラス、溶融石英ガ
ラスが本発明の目的に適合していて最も好ましい。
%、以下同様)未満の場合、十分なクリストバライト析
出量を得ることができないので、強度アップに寄与しな
い。また、50%超えの場合、焼成中に軟化しやすく所
定の形状を保つことができないので、前記割合が好まし
い。そのうちでも、30%〜40%が最も好ましい。
ガラスを生じさせ、セラミックス材料として基本的な強
度を発現させる原料であるが、混合量が10%未満の場
合、素地が全体に十分に焼結しないため、基本的な強度
が得られない。また、30%超えの場合は、前記クリス
トバライトの析出を妨げる作用が働き、本発明の目的の
強度が得られない。そのうちでも、10〜25%が最も
好ましい。
石の他、セリサイトなどを含み、また高純度の長石以外
に石英粒子を混在する品種も応用可能であるが、その場
合、石英粒子の混在量は、焼成過程でガラス中に実質的
に溶解してしまう程度の割合以下であることが望まし
い。
と、主として可塑性生素地の成形性を発現する原料であ
り、ここでは、カオリナイト鉱物系のみを意味するもの
ではなく、カオリナイト、ハロイサイトなどを主成分と
する、例えば、カオリン粘土、蛙目粘土、木節粘土など
粘土類を意味する。
地の成形性が劣り、かつ内部に気泡が残留して焼結素地
表面の平滑度を低下させ外観上好ましくない。また、4
5%超えの場合には、生地の成形性に悪影響を及ぼすよ
うになり、工場生産上不都合なものとなる。そのうちで
も、30〜40%が最も好ましい。
なわちシリカ質、長石質およびカオリン質は、生素地全
体の少なくとも80%を占めるよう配合するのが本発明
の目的からみて好ましい。その他の原料としては、クリ
ストバライトの析出を促進するためのMgO系原料、例
えばタルク、生素地の成形性を増すため陶石、あるいは
着色用金属酸化物の粉末等を20%を超えない範囲で添
加できる。さらに、成形助剤として、従来から用いられ
る解膠剤、無機系または有機系バインダが適量、添加で
きるのは言うまでもない。
ようなガラスに難溶性の酸化物を含まない方がよいが、
焼結体のかさ比重や透光性を劣化させない範囲で含まれ
るのは許容される。
あたって、原料の粒度が重要な要件となっている。原料
の粒度分布はある程度の広がりを持つが、好ましいクリ
ストバライトの析出のためには、上記原料をボールミル
などで十分に湿式粉砕し、最大粒径が30μm未満とな
るよう、所定の目開きのスクリーンを通過させるのが好
ましい。
となるような場合には、粒径の大きい粒子と周囲のガラ
ス相との境界付近にマイクロクラックが発生しやすく、
強度向上が阻害されるからである。最大粒径の好ましい
値は15μm以下とするのがよい。特に、原料が結晶質
シリカを含む場合は、その原料については、粒度を最大
粒径が30μm未満の細粒とするのがよい。かくして、
粒度を細かくすることによりマイクロクラックの発生に
よる強度低下を防止すると同時に、シリカ質粉末の比表
面積を大きくし活性化させ、クリストバライトへの転移
を容易にする利点が得られる。
る。焼成温度が1250℃未満未満の場合は、シリカ質
のクリストバライト化が十分に行われず、十分な強度が
得られない。また、1400℃超えの場合は、素地が焼
成中に変形を起こしやすく、所定形状の製品が得られな
い。この焼成温度は、前記目的に対してより好ましく
は、1250℃〜1350℃である。
常の珪石−長石−粘土系磁器と同程度の比較的軽量であ
って、アルミナ強化磁器のように重くなく、適度な透光
性をそなえた高強度の磁器を、焼成中の変形を抑止しな
がら、製造できる。さらに、クリストバライトの析出量
を調整することにより焼結体の熱膨張係数の調整が可能
であり、釉薬との適正なマッチングを図ることもできる
という利点が得られる。
て、説明する。一般に、釉薬を備えた焼結体の場合、釉
薬の熱膨張係数が素地より大きすぎると釉薬に亀裂(貫
入)が生じたり、釉薬の熱膨張係数が素地より小さすぎ
る釉薬が剥離(シバリング)するなど問題が生じる。こ
のため、それぞれの熱膨張係数の調和を図ることが重要
である。
整することが可能である。すなわち、焼成体中のクリス
トバライトの析出量を制御することにより、それが可能
となる。クリストバライトは、250℃近辺においてα
型〜β型の結晶転移があり、特にβ型は、一般の陶磁器
などセラミックス材料に比較して大きな熱膨張係数を持
っているので、析出量の多寡によって、素地の熱膨張係
数を大きくも小さくもすることができるのである。
シリカ質自体、あるいはクリストバライト析出に影響を
及ぼす配合成分の配合率を増減させることにより行う。
例えば、非晶質シリカ質は、それ自体がクリストバライ
トの発生源であるので、その配合率はクリストバライト
の析出に大きな影響を及ぼす。また、主原料の長石質
は、含有するカリウム、ナトリウムなどアルカリ分によ
り、素地中にシリカ質を取り込んだガラス相を増加させ
るので、クリストバライトの析出を抑制することにな
る。さらに、マグネシウム成分を含むタルクを極微量生
地に加えると、マグネシウムが焼成段階で生地に生じる
ガラス相の粘性を低下させるため、ガラス相からのクリ
ストバライトの遊離を容易にする。このため、クリスト
バライトの析出を増加させ、熱膨張係数を高める方向に
働く。かくして、一般に用いられる釉薬の熱膨張係数、
4.5〜6.0×10-6/℃に対して、本発明では、
3.5〜7.5×10-6/℃の範囲の幅広い熱膨張係数
を有する焼結体素地を製作でき、各種の釉薬とのマッチ
ングを図ることができるのである。
粗粉砕した石英ガラス40%、平均粒径30μmの長石
(大平長石SS−150)22%、平均粒径3μmの蛙目
粘土10%、NZカオリン28%を混合し、原料と同量
の水を加え、ポットミルにて39時間粉砕した。なお、
ミル中には径10mmと15mmのアルミナボールを入
れ、粉砕を実施した。この場合、解膠剤としてトリポリ
燐酸0.6%を水に対し加えた。
の篩を通し、凝集剤として10%のにがり溶液を、水に
対し0.38%加え、よく攪拌した後にフィルタープレ
スにより脱水した。脱水後、鋳込成形により直方体のテ
ストピースを作成し、予め設定した焼成温度で焼成し
て、測定用試料を得た。この試料について、曲げ強度、
かさ比重などを測定した。また、試料の一部には、釉薬
を塗布し1300℃で焼成し、施釉状態での強度を測定
した。次の表1に、上記実施例による試料の特性を、市
販の強化磁器、高強度磁器、およびクリストバライト磁
器を比較例として、併記して示す。
のかさ比重の差が強度に及ぼす影響を省くために用いら
れるもので、次式によって求めた。 換算強度=曲げ強度/(かさ比重)2 この換算数値を比較することにより、同一重量での強度
を比較することができるのである。なお、透光性は、試
料を光源に向け目視で評価した。この表1の結果によれ
ば、実施例のもには、従来の強度改善した磁器に比べ
て、顕著に優れた強度を有することがわかる。また、か
さ比重も小さく、透光性を備えた特徴が理解されよう。
合物を、実施例1と同様の成形条件にて素地を作成し、
成形、焼成して試料を製作し、その焼結体内部に発生す
るクリストバライト量の異なる試料を作成した。表2に
その物性を示す。各試料を振動ミルで粉砕した後、X線
回折装置(多機能X線回折装置:RINT-Ultima2200(理
学電機製)を用い、管電流20mA−管電圧40KV−
CuKα1線使用のもとで、X線回折パターンを計測し
た。この測定結果から、クリストバライト第1ピーク
(2θ=22±0.5度に現われるピーク)の面積(X線
カウント数の積算による面積への変換)を求め、既述の
標準試料の場合の面積比からクリストバライト析出量を
算出した。(標準試料クリストバライト第1ピーク面
積:183,564)
量と曲げ強度の関係を示す。図1と表2によれば、クリ
ストバライト量と曲げ強度はほぼ比例関係にあり、クリ
ストバライト結晶も析出とその量が強度アップに不可欠
であることがわかる。また、一般の陶磁器の強度は10
0MPa程度であるが、クリストバライトを5%以上析出さ
せることにより、強度は約20%アップし、また40%
近く析出させた場合には、強化磁器(曲げ強度:180
MPa)並みの強度を示すことがわかる。さらに、この実
施例では、かさ比重は2.35〜2.4付近であり、市
販の強化磁器・高強度磁器に比較して低い値(表1参
照)を示しており、軽量かつ高強度であることが理解さ
れよう。
粒子の形状観察結果について説明する。実施例2−1の
試料を透過型電子顕微鏡で観察した結果を図2(明視野
像および制限視野電子線回折像)に示す。視野の中央に
見える塊状の物体がクリストバライト結晶であるが、粒
径が1μm以下の微結晶であることがわかる。また、結
晶粒子の周囲のコントラストに変化が生じていることが
観察されるが、これはガラス層に応力が作用した結果で
ある。さらに、一般磁器のプレストレス理論で言われる
ような結晶粒子の周囲に発生する環状亀裂はなく、破壊
起点となるような欠陥も見当たらない。このようにし
て、クリストバライト微小結晶の周囲に発生した圧縮応
力が、破壊欠陥を作ることなく作用し、この応力の積算
により、全体強度が向上したことを裏づける結果が観察
された。
通りである。 試料調整:イオン研磨法による薄片化処理、および真空
蒸着法によるカーボンコーティングにより試料の帯電防
止実施をおこなった。 測定条件:測定機:日本電子製、透過型電子顕微鏡(J
EM―2010)、加速電圧:200KV
の種類の影響を見るため、表3に示す品種の原料用い、
所定の原料組成にて、実施例1と同条件にて試料を作成
して、実施例2に同じくクリストバライトの発生量を測
定した。その結果を表3に示す。
り、クリストバライトの発生に及ぼす影響を調査した
が、表3に示す通り、析出量の差が認められるたもの
の、いずれの場合も内部にクリストバライトが析出して
おり、強度アップ効果が認められた。特に、アモルファ
ス単体と結晶シリカを含んだものとの間で顕著な差異は
見られず、少なくとも、非晶質シリカがクリストバライ
ト化に際して重要な成分であることがわかる。
原料の粒度の影響を示す。表4に示す原料配合物を実施
例1と同様にポットミル粉砕により、試料を作成した。
なお、このときに通常よりも粉砕時間を調節して、粒度
の異なる試料を準備し、それらの焼結体について実施例
2と同様にクリストバライト析出量を測定した。その結
果を表4に示す。
−1、−2、−3に比較して、粒度の細かい実施例4−4、
−5のクリストバライト析出量が大であることがわか
る。従って、ほぼ同様の原料組成においても、最大粒径
を小さく設定することにより、シリカ質のクリストバラ
イト化を促進し、より強度アップに寄与できることが理
解できよう。
響について示す。表5に示す原料混合組成の試料を実施
例1と同様に作成した。なお、焼成温度は1300℃で
あった。なお、このとき、生素地を型成形によって想定
形状に作りやすいかの観点から成形性の評価、および焼
成時の形状変化の程度により形状安定性の評価を行っ
た。また、これらの試料を実施例2と同様の方法でクリ
ストバライト析出量の測定を行った。
英ガラスの混合量の減少は、クリストバライトの発生量
の低下を招くため、20%未満では十分な強度アップが
望めない。またその混合量を増大することにより、焼成
時の形状安定性が低下し、特に50%を超えた場合、当
初予定した製品の形状を維持することが困難になること
が確認された。
出量の低下傾向が認められ、また焼成後の形状安定性も
低下することがわかる。特に30%を超えた場合、クリ
ストバライトの析出量、成形性ともに悪化し、十分な強
度を得られなくなり、製品形状の維持も困難になる。ま
た反対に混合量が少ない場合には、焼成時の緻密化が妨
げられるのが認められた。特に、10%以下のになると
その傾向が顕著に現われた。
焼成時の形状安定性が悪化する傾向が見られ、特に、2
5%より少ないときには製品形状が維持できないこと確
認された。また、焼成時の観察によれば、内部気泡が陶
磁器表面に現われるブローチング現象が見られ、表面が
ザラザラした仕上がりとなってしまった。逆に添加量を
多くした場合、生素地の成形性が若干低下する傾向が見
られた。
を用いて、焼成温度を変化させた試料を作成し、焼成時
の形状安定性性を確認した。また、得られた試料を実施
例2と同様の方法でクリストバライト析出量を測定し
た。その結果を表6に示す。
が高いと焼成時の形状安定性が著しく低下し、所期の製
品形状の維持が困難になるので工業的な製品化が困難に
なることがわかる。また、同時に強度アップに必要なク
リストバライトの析出も認められなかった。一方、焼成
温度が低い場合、クリストバライト析出量は低下してし
まい、1200℃ではクリストバライトの析出が確認さ
れなかった。このことから、クリストバライトによる強
度アップに効果のある最適温度範囲は、1300℃〜1
350℃であることがわかる。また、析出結晶の安定化
により、焼成時の寸法安定性は、クリトスバライトの結
晶析出により、より好ましく高められているものと考え
られる。なお、この実施例では、生素地の成形性に関し
ては全く問題がなかった。
したように構成されているので、以下に説明するような
優れた効果がある。 1)本発明のセラミックス材料では、微細なクリストバ
ライト結晶の析出により、従来の磁器に比べ同重量で最
上位の強度を有しているため、陶磁器製品に応用すれば
従来の高強度磁器などに比較して顕著な軽量化が可能と
なる。また、優れた透光性を有する質感にすぐれた製品
も提供できるようになる。
ンが使用できるため、新たな設備投資がいらない。熱膨
張係数を調節できるため、広い範囲の釉薬とのマッチン
グを図ることが可能となる。さらにかさ比重が小さいの
で、熱伝導率が小さくなり、熱さを伝えにくいので食器
材料として特に有用である。
の寸法安定性も優れていて、変形も少ないから、工業的
生産において生産性を高めることができる。かくして、
従来の高強度磁器などの問題点を解消した、新たな磁器
製品を商品化するための基本的セラミックス材料とし
て、その技術的価値はきわめて大なるものがある。
の関係を示すグラフ。
(明視野像および制限視野電子線回折像)
Claims (7)
- 【請求項1】 セラミック燒結素地にクリストバライト
を5〜50%析出させたことを特徴とするセラミックス
材料。 - 【請求項2】 クリストバライト析出量が10〜40
%、かさ比重が2.5を超えないものである請求項1記
載のセラミックス材料。 - 【請求項3】 析出クリストバライトの粒径が5μm未
満である請求項1または2に記載のセラミックス材料。 - 【請求項4】 非晶質シリカ、または少なくとも非晶質
シリカを含むシリカ質20〜50%、長石質10〜30
%およびカオリン質25〜45%を主原料として配合し
た生素地を成形、焼成し、クリストバライトを析出させ
たことを特徴とするセラミックス材料。 - 【請求項5】 シリカ質30〜40%、長石質10〜2
5%、カオリン質30〜40%を主原料とする請求項4
に記載のセラミックス材料。 - 【請求項6】 前記生素地を構成する原料の粒径を30
μm以下のものとした請求項4または5に記載のセラミ
ックス材料。 - 【請求項7】 前記焼成温度が1250〜1400℃で
ある請求項4または5または6に記載のセラミックス材
料。
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