JP2011094157A - ブタジエン/イソプレンコポリマーの製造方法および該コポリマー - Google Patents
ブタジエン/イソプレンコポリマーの製造方法および該コポリマー Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】触媒系をブタジエンおよびイソプレンの存在において反応させること;
・触媒系として、少なくとも下記をベースとする系を使用すること:
‐共役ジエンモノマー、
‐1種以上の希土類金属の有機リン酸塩、
‐式AlR3またはHAlR2を満たすアルキルアルミニウムからなるアルキル化剤、および ‐アルキルアルミニウムハライドからなるハロゲン供与体、
前記塩が前記触媒系中に含ませた少なくとも1種の不活性で飽和の脂肪族または脂環式炭化水素溶媒中の懸濁液中に存在すること、および“アルキル剤:希土類金属塩”のモル比が1〜8の値を有すること;および、
・共重合反応を不活性炭化水素重合溶媒中または溶媒の不存在下に実施すること;
から本質的になるブタジエンとイソプレンとのランダムコポリマーの製造方法に関する。
【選択図】なし
Description
実際には、ブタジエンは、そのような触媒系によってはイソプレンよりも実質的に速く重合し、得られるコポリマーのコポリマー鎖の一端で連続するブタジエン単位および他端で連続するイソプレン単位を生ずる。
その実施態様例においては、ヨーロッパ特許EP-A-629,640号が、ブタジエンとイソプレンとのランダムコポリマーの調製において、下記をベースとする触媒系の使用を教示している:
‐n-ブタノールまたはトリフェニルシラノールおよびブタジエンと混合した、アルキル化剤としてのジイソブチルアルミニウムハイドライド;
‐希土類金属塩としてのネオデカン酸ネオジムまたはオクタン酸プラセオジム;および
‐ハロゲン供与体としての臭化アリル。
これらの触媒形の1つの大きな欠点は、同様な触媒系および重合条件を使用したときに得られたコポリマーのガラス転移温度(Tg)の変動にある(Tg値が、それぞれ、−97℃および−90℃である実施例3および4参照)。
もう1つの欠点は、得られる各コポリマーが重合において使用したブタジエン:イソプレンモノマー含有量(約1:1)と実質的に異なるブタジエン:イソプレン単位含有量を示す(1.35:1〜1.7:1で変動する)という事実にあり、このことは、ブタジエンとイソプレンが重合中に等しく反応しないことを意味している。
結果として、この文献において記載されている触媒系は、真にランダムである、即ち、ブタジエンとイソプレンが等蓋然性の分布を示すコポリマーの満足し得る再現性ある生産を可能にしていない。
‐共役ジエンモノマー;
‐1種以上の希土類金属(メンデレーエフの周期表中の原子番号57〜71を有する金属類)の有機リン酸塩、該塩は少なくとも1種の不活性で飽和の脂肪族または脂環式炭化水素溶媒中に懸濁させている;
‐式AlR3またはHAlR2を満たすアルキルアルミニウムからなるアルキル化剤、“アルキル化剤:希土類塩”のモル比は1〜8の範囲である;および、
‐アルキルアルミニウムハライドからなるハロゲン供与体;
をベースとする“予め調製した”タイプの触媒系が、不活性重合溶媒中または溶媒無しでブタジエンおよびイソプレンの存在下に反応させたときに、ブタジエン単位とイソプレン単位が実質的に等蓋然性の形で互いに続き、コポリマー内で上記ブタジエン単位とイソプレン単位の各々が95.0%以上のシス-1,4結合含有量を含み且つコポリマーが高固有粘度を示すようなブタジエンとイソプレンとのランダムコポリマーの製造を可能にするということを予期に反して発見したことにおいて達成される。
本発明の触媒系を“予め調製する”のに使用できる好ましい共役ジエンモノマーとしては、1,3-ブタジエンを挙げることができる。
挙げることのできる他の共役ジエン類は、2-メチル-1,3-ブタジエン(即ち、イソプレン);例えば、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエンのような2,3-ジ(C1〜C5アルキル)-1,3-ブタジエン;フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン;または4〜8個の炭素原子を有する任意の他の共役ジエン類である。
“モノマー:希土類塩”のモル比は、25〜50範囲の値を有し得ることに留意されたい。
‐本発明の好ましい実施態様によれば、上記希土類塩を懸濁させる不活性炭化水素溶媒は、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ヘプタンまたはこれら溶媒の混合物のような低分子量の脂肪族または脂環式溶媒である。
‐本発明のもう1つの実施態様によれば、上記希土類塩を懸濁させるのに使用する溶媒は、パラフィン系油、例えば、ホワイト油を含む高分子量脂肪族溶媒と上述した溶媒のような低分子量溶媒(例えば、メチルシクロヘキサン)との混合物である。
この懸濁液は、上記希土類塩をこのパラフィン系油中に希土類塩の超微細な均質懸濁液を得るような方法で分散粉砕することによって調製する。
本発明のもう1つの特徴によれば、上記触媒系は、上記希土類金属を0.02モル/lに等しいまたは実質的に等しい濃度で含む。
本発明の好ましい実施態様によれば、上記1種以上の希土類金属のトリス[ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート]塩を上記塩として使用する。
さらにより好ましくは、上記希土類塩は、ネオジムトリス[ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート]である。
挙げることのできる本発明の触媒系において使用し得るアルキル化剤は、下記のようなアルキルアルミニウムである:
‐トリアルキルアルミニウム、例えば、トリイソブチルアルミニウム;または、
‐ジアルキルアルミニウムハイドライド、例えば、ジイソブチルアルミニウムハイドライド。
このアルキル化剤は、好ましくは、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(以下、本明細書においてはDiBAHと称する)からなることに留意されたい。
“ハロゲン供与体:希土類塩”のモル比は、2.6〜3の範囲の値を有し得ることに留意されたい。
本発明によれば、上記触媒系を調製する方法は、下記の各工程を実施することを含む:
‐第1の必要に応じての溶媒和工程において、上記希土類塩(1種以上)を上記不活性炭化水素溶媒中に懸濁させる;
‐第2工程において、上記共役ジエンモノマーを第1工程で得られた懸濁液に添加するか、あるいは第1工程を実施しない場合、上記溶媒を上記塩に上記共役ジエンモノマーと一緒に添加する;
‐第3工程において、上記アルキル化剤を、上記第2工程終了時に得られた懸濁液に添加してアルキル化塩を得る;そして、
‐第4工程において、上記ハロゲン供与体を上記アルキル化塩に添加する。
本発明の1つの好ましい特徴によれば、上記“アルキル化剤:希土類塩”モル比が1〜5の範囲内にあるような触媒系を使用する。
本発明のもう1つの特徴によれば、上述の触媒系によるブタジエンとイソプレンの重合反応は、−30℃〜100℃の温度範囲において実施し得る。
本発明に従う方法によって得られたブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーは、ブタジエン単位とイソプレン単位が等蓋然性の形で相互に続くようであり、該ランダム連結はベルヌーイの統計法則によって表現することができる。
F(Zi, πi) = (l−πi)exp{Zi ln(πi/l−πi)}
本発明に従うランダムコポリマー中のブタジエン単位とイソプレン単位のこの等蓋然性結合は、該コポリマーの微分エンタルピー分析法によって測定したガラス転移温度TGexpが、関係式:−0.05 ≦ (TGexp−TGth)/TGth ≦ 0.05、好ましくは関係式:−0.02 ≦ (TGexp−TGth)/TGth ≦ 0.02を満たすという事実によっても表現し得る:
[式中、TGthは、下記のフォックスの等式に従って算出した前記コポリマーの理論ガラス転移温度である:
1/TGth = α/TG(BR) + β/TG(IR)
(TG(BR)およびTG(IR)は、それぞれ、上記触媒系によって合成したポリブタジエンとポリイソプレンの上記微分エンタルピー分析方法によって測定したガラス転移温度である)]。
また、ブタジエンおよびイソプレンモノマーは、本発明に従う方法によって実施する共重合反応において実質的に等反応性であり、上記コポリマー中のブタジエンおよびイソプレン単位の質量画分XbとXi、および使用するブタジエンおよびイソプレンモノマーの質量画分xbとxiが下記の関係式を満たすという事実を生ずることにも注目されたい:
−0.04 ≦ (Xb−xb)/xb ≦ 0.04 および −0.04 ≦ (Xi−xi)/xi ≦ 0.04
また、シス-1,4結合含有量範囲は、一方で13C-NMR分析で実施したコポリマーサンプルの校正後の近赤外線分析方法により、他方で13C-NMR分析(この分析法は、±0.1%の測定不確度を示す)によって実施した測定を考慮していることにも注目されたい。このように、これらのシス-1,4結合含有量は、従来技術においてこれまで説明されているそのような含有量値よりも正確である。
さらにまた、本発明に従うコポリマーのブタジエン単位およびイソプレン単位において得られるこれらのとりわけ高いシス-1,4結合含有量は、使用する触媒系の量とは無関係である。
本発明に従うこれらのコポリマーの固有粘度に関しては、該粘度は、25℃およびトルエン中0.1 g/dlの濃度で測定して、2.5 dl/g以上、有利には3.0 dl/g以上である。
1) 本発明に従うネオジムの有機リン酸塩の合成:
複数回の試験をこの塩の合成において実施した。以下に詳細に説明する同じ合成方法をこれらの試験の各々において使用した。
a) ネオジム NdCl 3 ,6H 2 O水溶液の合成:
96 gのNd2O3 (RHODIA社から市販されている) [錯体化分析によって85.3%のNd含有量を有することが測定されており(理論値は85.7%)、従って、0.57モルのNdに相当する]を“縦長”形の600 mlビーカー中に秤量する。
80 mlの脱塩水を加える。換気フード下に、150 mlの36質量%の濃HCl (d = 1.18)、即ち、1.75モルのHCl (モル比 HCl:Nd = 1.75:0.57 = 3.07)を周囲温度でゆっくり加え、その間、混合物を磁力攪拌器で攪拌する。
反応:Nd2O3 + 6 HCl + 9H2O → 2NdCl3,6H2Oは、高度に発熱性である。
塩酸の全てを添加し終えると、溶液を磁力攪拌器で攪拌しながら沸点に上昇させて、過剰の塩酸を排除する。NdCl3水溶液は、透明で藤色である。不溶性生成物(Nd2O3)は残存していない。
その後、この溶液を、130 ml容量がビーカーに残るまで蒸発させる。次いで、NdCl3,6H2Oを高濃縮する(NdCl3,6H2Oは周囲温度で結晶化する)。
次に、NdCl3濃縮溶液を、4500 mlの脱塩水を含有する10リットルタンクに周囲温度で注ぎ込み、その間、混合物を攪拌する(アンカー攪拌器を有するモーターを使用して)。
溶液のpHは、25℃で測定して、4に近い。
その後、1500 mlの工業級アセトンを溶液に加える。不溶性生成物は残存せず、得られた溶液はピンク色である。
68 g即ち1.70モルのNaOHフレークを、1500 mlの脱塩水を含有する5リットルビーカー中で溶解させる。554 gの有機リン酸(“Aldrich”社のカタログにNo.23,782-5として記載されている(ビス(2-エチルヘキシル)リン酸)、即ち、1.72モルのこの酸を、500 mlのアセトンを含有するもう1つの3リットルビーカー中で溶解させる。モル比NaOH:有機リン酸は、1.70:1.72即ち0.99である。
周囲温度で、混合物をガラス攪拌器によって手で攪拌しながら、上記有機リン酸溶液をNaOH溶液中に注ぎ入れる。反応は、下記のとおりである:
[RO]2P(O)OH + NaOH → [RO]2P(O)ONa + H2O
反応は僅かに発熱性であり、黄色みの均質溶液が得られる。溶液のpHは、25℃で測定して7に近い。
‐周囲温度で、混合物を激しく攪拌しながら(アンカー攪拌器を有するモーターで)、上記b)項で得られた有機Naリン酸塩を、上記a)項で得られたNdCl3,6H2O水溶液中に注ぎ入れる。
極めて微細な白色沈降物が直ぐに生成する。得られた混合物の攪拌を、全ての有機Naリン酸塩を添加し終えると同時に30分間続行する(モル比 (RO)2P(O)ONa:NdCl3 = 1.70:0.57 = 2.98で)。反応は、下記のとおりである:
3[RO]2P(O)ONa + NdCl3,6H2O → Nd[OP(O)[OR]2]3 + 3NaCl + 6H2O
‐得られたリン酸ネオジム塩を回収し、“ソックス”を備えた遠心分離器内で洗浄する。
“母液”のpHは、25℃で3〜4である。これらの“母液”は、無色透明である。
得られた塩を2つのサンプルに分割し、次いで、各サンプルをアセトン/脱塩水混合物で洗浄し、以下で説明する洗浄サイクルを3回実施して塩化物全てを除去する。
各洗浄サイクルは、初期に2リットルのアセトンを含有する10リットルのプラスチックバケツ内で実施する。その後、各サンプルを、“Ultra-Turrax”ホモジナイザーを使用して、アセトンで1分間均質化し牛乳状溶液を得る。
その後、4リットルの脱塩水をバケツに加え、得られた混合物を、同じホモジナイザーを使用して3分間均質化する。
得られた混合物を遠心処理し、リン酸ネオジム塩を上記“ソックス”中に回収する。
塩化物についての定性分析試験は、最終洗浄水において実質的に陰性である(反応は次のとおりである:NaCl + AgNO3 (HNO3媒質) → AgCl↓ + NaNO3)。
この方法で洗浄したネオジム塩を60℃のオーブン内で真空下および空気流により約80時間乾燥させる。
実施した合成試験の各々における最終収率は、洗浄中に生ずる損失によって、95%〜98%である。各場合において、およそ600 gの乾燥リン酸ネオジム塩を得る。
エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)による錯逆滴定および誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP-AES)の双方で測定したネオジムの質量含有量は、実質的に12.5%〜12.8%である(13.01%の理論定数τによる、τ = [144.24/1108.50] x 100、144.24 g/モル = ネオジムのモル質量)。
これらの2つの方法の各々において、ネオジム含有量測定は、開放系におけるサンド浴中または封鎖系におけるマイクロ波炉内のいずれかでの上記塩の湿式酸無機質化の後に実施した。
EDTAによる錯逆滴定は、過剰のEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)によるネオジムの錯体化による逆滴定を含み、その過剰のEDTAを硫酸亜鉛によりpH = 6で測定する。
着色指示体を平衡点の光度測定検出において使用した。
誘導結合プラズマ原子発光分析は、プラズマにおける励起状態に対して生ずる原子によって発出された放射線の観察に基づく元素分析方法である。
ネオジムの分析において使用する発出放射線は、406.109 nm〜401.225 nmの波長に相当する。
この分光分析方法は、装置を既知のネオジム含有量を有する“対照”ネオジム塩によって事前に校正することによって実施した。
a) 本発明に従う触媒の組成:
これらの系は、各々、上記1)項に従って合成したようなリン酸ネオジム塩を含み、該塩は、低分子量不活性炭化水素溶媒(シクロヘキサン(以下、“CH”と略記する)またはメチルシクロヘキサン(以下、“MCH”と略記する)からなる)中の懸濁液中に存在する。
これらの触媒系は、ネオジム塩に対しての下記の相対モル比に特徴を有する:
Nd塩:ブタジエン(以下、Bd):DiBAH:DEAC = 1:50:3〜6:3
b) これらの触媒系の合成方法:
‐第1工程:
これらの触媒系を得るために、15.6 gの上記ネオジム塩を、あり得る不純物を前以って除去した1リットル反応器中に粉末形で注ぎ込む。その後、この塩を反応器底部からの窒素バブリングに15分間供する。
‐第2工程:
上記a)項において述べた溶媒の90%(質量画分)を上記ネオジム塩を含有する反応器中に導入する。
使用する溶媒がシクロヘキサンである場合、上記ネオジム塩とこの溶媒との接触時間は2時間〜4時間で変動し、接触温度は30℃〜60℃で変動する。使用する溶媒がメチルシクロヘキサンである場合、上記ネオジム塩とこの溶媒との接触時間は30分であり、接触温度は30℃である。
その後、ブタジエンを、各触媒系を“予め調製する”目的の下に、反応器に30℃の温度で導入する(上記a)項において述べた1:50の塩:ブタジエンモル比で)。
‐第4工程:
その後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DiBAH)を、上記ネオジム塩に対するアルキル化剤として、約1 Mの濃度で、第2工程において既に述べた溶媒の溶媒全体量の5%質量画分に相当する量と一緒に反応器中に導入する。アルキル化時間は15分であり、アルキル化反応温度は30℃である。
‐第5工程:
その後、ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)を、ハロゲン供与体として、約1 Mの濃度で、第2工程において既に述べた溶媒の溶媒全体量の残りの5%質量画分に相当する量と一緒に反応器中に導入する。反応媒質温度を60℃に調整する。
‐第6工程:
その後、得られた混合物を、この60℃の温度を2時間〜4時間で変動する時間に亘って維持することによって“予め調製する”(即ち、エージングする)。
‐第7工程:
この方法において、およそ700 mlの触媒系溶液を得る。反応器を空にし、内容物を前以って洗浄している750 mlの“スタイニー(Steinie)”ボトル中に移し、乾燥させ、窒素バブリングに供した。
最後に、触媒溶液を−15℃の温度のフリーザー内で窒素雰囲気下に保存する。
1) 実施した重合方法:
下記の表2にA〜Tと記した20通りの重合試験を実施してブタジエンとイソプレンとのコポリマー類を得た。但し、試験D、GおよびSはイソプレンホモポリマーを調製し、試験CおよびHはブタジエンホモポリマーを調製した。
各重合反応は、試験A、B、C、D、E、F、I、N、O、P、Q、R、SおよびTにおいては溶液中で(溶媒はシクロヘキサンである)、試験G、H、J、K、LおよびMにおいては塊状反応において実施した。
下記を重合反応器として使用した:
‐試験CおよびDにおいては:250 mlの“スタイニー”ボトル、重合は水槽中での攪拌によって実施した;
‐試験E、F、I、N、O、P、Q、R、SおよびTにおいては:ジャケットと攪拌装置を含む70リットルの反応器;
‐試験G、H、J、K、LおよびMにおいては:2リットルのジャケット付き金属タンクと反応器圧を調整するのは可能なコンデンサーを含むウェルナー反応器。攪拌は、反対方向に異なる回転速度で回転する2枚刃によって実施する;
‐試験AおよびBにおいては:ジャケットと攪拌装置を有する14リットルタンク。
試験AおよびBは連続合成に関し、他は全てバッチ合成に関することに留意されたい。
コモノマーとして使用するイソプレンは、水蒸気分解C5ナフサ留分から、このC5留分を無水マレイン酸上で蒸留して存在し得る残留シクロペンタジエンを除去し、次いでこれをアルミナカラムに通して極性不純物を除去し、これを窒素で重合反応直前の20分間バブリングすることによって、通常の方法により実験室において単離した。
ネオジム触媒系の量は、各重合試験において、モノマー100 g当り30μモル〜520μモルで変動した(以下で、μMcmとして記するネオジム量)。試験H(溶媒無しで実施した重合)に関しては、650μMcmのジイソブチルアルミニウムハイドライド(DiBAH)を、上記触媒系を添加する前に添加した。
重合終了時に、アセチルアセトンを添加して(30に実質的に等しいアセチルアセトン:ネオジムモル比で)、反応を終了させ、N-1,3-ジメチルブチル-N'-フェニル-フェニレンジアミン(6PPDと略記する)を保護剤として添加した(0.2 phrの量で)。
反応時間の関数としてのモノマー転化率を、重合速度を説明するために測定する。
トルエン中0.1 g/dlでの固有粘度ηinhおよびムーニー粘度ML(1+4) (規格ASTM D-1646に従って測定)により、各ポリマーのマクロ構造を特性決定する。
得られた各ポリマーのガラス転移温度Tgは、商品名“METTLER TOLEDO STAR SYSTEM”として市販されている示差熱量計を使用する微分エンタルピー分析法(DSC)によって測定する。
得られたポリマーのミクロ構造は、13C-NMR分析(炭素13核磁気共鳴、下記の表2に*で示す0.1%以内の不確度を有する絶対的方法)またはNIR分析(近赤外線、全ての他の測定において使用)を使用することによって測定した。これらの方法は、シス-1,4結合含有量と一緒にブタジエン単位およびイソプレン単位の含有量を立証するのを可能にする。
第1の13C-NMR分析方法は、商業的に入手可能な“BRUKER AM250”分光光度計を使用して実施した。
第2のNIR分析方法は、商業的に入手可能な“BRUKER IFS25”分光光度計を調和振動および前以って13C-NMR分析において校正したポリマーサンプルとの組合せ範囲において使用して、実施した(数学的加工がこのNIR方法を“定量的”にする)。
このNIR分析は、ミクロ構造が13C-NMR分析によって測定されている“対照”エラストマーの使用を行う間接的方法である。あるエラストマー中のモノマー分布とそのエラストマーのNIRスペクトル形状間で支配的な定量関係(ベール-ランバートの法則)を利用する。この方法は、2工程(校正と測定)で実施する:
a) 校正:
‐“対照”エラストマーのスペクトルを獲得する。
‐スペクトルデータの因数解析をベースとするPLS(部分的最小二乗)回帰法を使用して、ミクロ構造を一定のスペクトルに関連付けた数学モデルを構築する。下記の2つの文献は、この“多変量”データ解析法の理論と実践についての十分な説明を提供している:
(1) P. GELADI and B.R. KOWALSKI “Partial Least Squares regression: a tutorial”, Analytica Chimica Acta, vol. 185, 1-17 (1986);
(2) M. TENENHAUS “La regression PLS Theorie et pratique” Paris, Editions Technip (1998)。
b) 測定:
‐サンプルのスペクトルを記録する。
‐ミクロ構造を算出する。
下記の表2は、各重合において使用した操作条件および得られた各エラストマーのマクロおよびミクロ構造特性を詳細に示す。
従って、本発明に従う触媒系の極めてランダム化性の性向は、微分エンタルピー分析方法によって測定した各ブタジエンとイソプレンとのコポリマーのガラス転移温度TGexpが、下記のフォックスの等式に従って算出した上記コポリマーの理論ガラス転移温度TGthに同一かまたは実質的に同一であるという事実によって実証されており、確認している(重合が連続またはバッチ方式のいずれであっても、また、如何なる転化率においても):
1/TGth = α/TG(BR) + β/TG(IR)
(TG(BR)およびTG(IR)は、それぞれ、同じ触媒系によって合成したポリブタジエンとポリイソプレンの上記微分エンタルピー分析方法によって測定したガラス転移温度である)。
さらにまた、本発明に従うこれらのコポリマーにおいては、ブタジエン単位およびイソプレン単位が、各々、炭素13核磁気共鳴法または近赤外線分析によって測定した一般に95.0%以上であるシス-1,4結合含有量を含むことにも留意されたい。
Claims (16)
- ブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法であって、触媒系をブタジエンおよびイソプレンの存在において反応させることから本質的になる方法において、
・触媒系として、少なくとも下記をベースとする系を使用すること:
‐共役ジエンモノマー、
‐1種以上の希土類金属の有機リン酸塩、
‐式AlR3またはHAlR2を満たすアルキルアルミニウムからなるアルキル化剤、および ‐アルキルアルミニウムハライドからなるハロゲン供与体、
前記塩が前記触媒系中に含ませた少なくとも1種の不活性で飽和の脂肪族または脂環式炭化水素溶媒中の懸濁液中に存在すること、および“アルキル化剤:希土類金属塩”のモル比が1〜8の値を有すること;および、
・共重合反応を不活性炭化水素重合溶媒中または溶媒の不存在下に実施すること;
からなることを特徴とする前記製造方法。 - 前記方法が、触媒系として、前記希土類塩が希土類トリス[ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート]、好ましくはネオジムトリス[ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート]であるような系を使用することからなる、請求項1記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法。
- 前記方法が、触媒系として、前記1種以上の希土類金属を0.02モル/lに等しいまたは実質的に等しい濃度で含む系を使用することからなる、請求項1〜2のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法。
- 前記方法が、触媒系として、“ハロゲン供与体:塩”のモル比が2.6〜3の範囲内にあるような系を使用することからなる、請求項1〜3のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法。
- 前記方法が、触媒系として、“共役ジエンモノマー:塩”のモル比が25〜50の範囲内にあるような系を使用することからなる、請求項1〜4のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法。
- 前記方法が、触媒系として、前記共役ジエンモノマーがブタジエンであるような系を使用することからなる、請求項1〜5のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法。
- 前記方法が、触媒系として、前記アルキル化剤がジイソブチルアルミニウムハイドライドであるような系を使用することからなる、請求項1〜6のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法。
- 前記方法が、触媒系として、前記ハロゲン供与体がジエチルアルミニウムクロライドであるような系を使用することからなる、請求項1〜7のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法。
- 前記方法が、触媒系として、“アルキル化剤:希土類金属塩”のモル比が1〜5の範囲内にあるような系を使用することからなる、請求項1〜8のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法。
- ブタジエンおよびイソプレンモノマーが、前記コポリマー中のブタジエン単位およびイソプレン単位の質量画分XbとXi、および使用するブタジエンおよびイソプレンモノマーの質量画分xbとxiが下記の関係式を満たすように、共重合反応において実質的に等反応性である、請求項1〜9のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法:
−0.04 ≦ (Xb−xb)/xb ≦ 0.04 および −0.04 ≦ (Xi−xi)/xi ≦ 0.04 - 前記方法が前記共重合反応を−30℃〜100℃の温度で実施することからなる、請求項1〜10のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマーの製造方法。
- 微分エンタルピー分析法によって測定したブタジエンとイソプレンとのコポリマーのガラス転移温度TGexpが下記の関係式を満たすような、ベルヌーイの法則に実質的に従うランダムな形で互いに続くブタジエン単位とイソプレン単位を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法によって得られたブタジエンとイソプレンのランダムコポリマー:
−0.05 ≦ (TGexp−TGth)/TGth ≦ 0.05
[式中、TGthは、下記のフォックスの等式に従って算出した前記コポリマーの理論ガラス転移温度である:
1/TGth = α/TG(BR) + β/TG(IR)
(TG(BR)およびTG(IR)は、それぞれ、前記触媒系によって合成したポリブタジエンとポリイソプレンの前記微分エンタルピー分析方法によって測定したガラス転移温度である)]。 - 前記微分エンタルピー分析方法によって測定した前記コポリマーのガラス転移温度TGexpが下記の関係式を満たす、請求項12記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマー:
−0.02 ≦ (TGexp−TGth)/TGth ≦ 0.02 - 前記ブタジエン単位およびイソプレン単位が、各々、95.0%以上、好ましくは98.0%以上である、炭素13核磁気共鳴法または近赤外線分析によって測定したシス-1,4結合含有量を含む、請求項12または13記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマー。
- 前記ブタジエン単位およびイソプレン単位が、各々、99.0%以上である、炭素13核磁気共鳴法または近赤外線分析によって測定したシス-1,4結合含有量を含む、請求項14記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマー。
- 前記コポリマーが、2.5 dl/g以上、好ましくは3.0 dl/g以上である、25℃およびトルエン中0.1 g/dlの濃度で測定した固有粘度を示す、請求項12〜15のいずれか1項記載のブタジエンとイソプレンのランダムコポリマー。
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