JP2011090330A - 電子写真現像用キャリアとその製造方法、および電子写真現像剤 - Google Patents
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Abstract
電子写真の高画質な画像を担保しながら、高速現像に対応できるに係る電子写真現像キ
ャリアおよびその製造方法、並びに該電子写真現像キャリアを用いて製造した電子写真現
像剤を提供する。
【解決手段】
原材料粉を秤量して混合後、仮焼して仮焼粉を得、そこへバインダー、分散剤、さらに
水を加えて湿式粉砕し、得られた懸濁液をスプレードライヤーにて乾燥して造粒品を得、
該造粒品を焼成して焼成品を得た。該焼成品を粉砕した後、1次分級を行い、さらに粒度
調整を行って、目開き幅を狭めた粗粉カット、微カット用の篩網を用い粒度分布調整を、
調整して、20μm≦d50≦50μm、且つ(d84−d16)/2≦(0.25×d50)であり、1KO
eの磁場におかれたときの磁力が35emu/g以上、75emu/g以下である芯材を得、該芯材へ樹
脂コーティングをおこなって電子写真現像キャリアを得た。そしてこの電子写真現像キャ
リアとトナーとを混合して電子写真現像剤を製造した。
【選択図】なし
Description
また、特許文献1には、飽和磁化と体積粒径分布累積カーブとを規定した磁性キャリアが提案されている。
ソフトフェライトの芯材を有する電子写真現像用キャリアであって、
該電子写真現像用キャリアの粒子の小粒径側から積算した体積粒径分布累積の値が、16重量%となる粒子の粒径をd16、同じく50重量%となる粒子の粒径をd50、同じく84重量%となる粒子の粒径をd84、としたとき、
20μm≦d50≦50μm、且つ(d84−d16)/2≦(0.25×d50)であり、
前記芯材が1KOeの磁場にあるときの磁力が、35emu/g以上、75emu/g以下の範囲にあることを特徴とする電子写真現像用キャリアである。
前記芯材を、樹脂で被覆したことを特徴とする第1の構成に記載の電子写真現像用キャリアである。
前記樹脂の被覆量が、前記芯材の0.1重量%以上、5.0重量%以下であることを特徴とする第2の構成に記載の電子写真現像用キャリアである。
第1から第3の構成のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと、平均粒径1〜10μmのトナーとを含むことを特徴とする電子写真現像剤である。
電子写真現像剤に含まれる電子写真現像用キャリアの製造方法であって、
Fe2O3と、Cu、Zn、Mn、Mg、Niの内から選択される1種以上の金属の化合物とを混合し、該混合物を、窒素、酸素分圧調整雰囲気、大気の内から選択される雰囲気下において、1000℃〜1300℃の温度範囲で3時間〜30時間焼成し、1KOeの磁場にあるときの磁力が、35emu/g以上、75emu/g以下の範囲にある焼成物を製造する工程と、
該焼成物の粒子を、小粒径側から積算した体積粒径分布累積の値が16重量%となる粒子の粒径をd16、同じく50重量%となる粒子の粒径をd50、同じく84重量%となる粒子の粒径をd84、としたとき、20μm≦d50≦50μm、且つ(d84−d16)/2≦(0.25×d50)となるよう分級する工程と、を有することを特徴とする電子写真現像用キャリアの製造方法である。
上述したように、近年の画像システムの高画質化や高速化の要求により、トナー及びキャリアの小粒径化やシステムの高速化が急速に進んでいる。
ここで、本発明者らは、いわゆるキャリア飛び等の現象の原因が、小粒径の磁性キャリア粒子にあることに想到した。即ち、磁性キャリアはトナーと混合され、電子写真用現像剤として、内部にマグネットを有する現像スリーブ上に鎖状に担持され、該現像スリーブの磁気拘束力により現像スリーブ表面に配列する。しかし、小粒径の磁性キャリア粒子においては当該拘束力が弱まり、当該小粒径の磁性キャリアが、現像スリーブ表面からドラム表面へ飛散し、さらに画像上へ現れてキャリア飛びを起こしていたのである。他方、磁性キャリアの粒子の粒径分布が大粒径へ移行すると、当該粒径分布がブロードになり、細線再現性等の画質上の問題が生じることも見出された。
[秤量・混合]
本発明に係る磁性キャリアが有する芯材に用いるソフトフェライトは、一般式MO・Fe2O3であらわされる。ここでMは、例えばCu、Zn、Mn、Mg、Ni等の金属が挙げられ、中でもMn及びMg、またその混合組成の使用が好ましい。
そして、Mの原料としては、例えば、CuO、ZnO、MnCO3、Mn3O4、Mg(OH)2、MgO、Ni2O、が好適に使用できる。これらの原料とFe2O3とを、当該ソフトフェライトが目的組成となるように秤量し混合する。
当該実施の形態に係るソフトフェライトは、構造的にスピネル構造になる。その際、金属イオンが4個の酸素イオンにより4面体的にかこまれるA位置、および6個の酸素イオンにより8面体に囲まれるB位置を占める。A位置とB位置に入る金属イオンの磁化の方向は各々逆向きとなり、その差分が磁気として発生する。最終的な磁気特性の強さはA位置とB位置を占める各金属イオンの磁気発生量(磁気モーメント)による。そして、上述のMにおいて、磁気モーメントが高く高磁力になる組成系はMnを用いたフェライトであり、低磁力になり易い組成はMg、Znを用いたフェライトである。一方、Fe2O3のMに対する組成比が大きいほど高磁力となりやすい。
目的とする組成量の原料を混合した混合物を、800℃〜1000℃に加熱した炉に投入し、大気雰囲気中で焼成し仮焼品とする。但し、例えばMの原料として、CuO、ZnO、Mn3O4、MgO等であって水分や揮発分が少なく、さらに高純度の原料を選択することにより、当該仮焼工程を省略することもできる。その場合、該材料は秤量・混合するのみで仮焼品代替物となる。
上記工程で得られた仮焼原料を、振動ミル等の粉砕機中に導入し粒径1μmまで粉砕する。次いで、この粉砕物に水、ポリビニルアルコールバインダー0.5〜2wt%、分散剤0.5〜2wt%を加えることで固形分濃度が50〜90wt%のスラリーとし、この後ボールミル等で湿式粉砕する。
造粒工程では粉砕後のスラリーを噴霧乾燥機に導入し、温度100℃〜300℃のエアー供給ガス中に噴霧して、乾燥した造粒粉を得る。
造粒・乾燥工程で得られた造粒粉を、焼成炉に設置し、1000℃〜1300℃の温度範囲で3時間〜30時間焼成する。焼成時の雰囲気は目的とする組成に応じて、窒素、酸素分圧調整雰囲気(大気または窒素雰囲気であって、O2分圧を1〜5%、好ましくは3%に調整したもの。)、大気、の中から選択できる。
ここで、Mとして、MnまたはMgを用いた場合、窒素を用いた場合に最も磁力が高くなり、次に酸素分圧調整雰囲気、最後に大気の順となる。この結果、MとしてMnを用い、窒素雰囲気下で焼成した場合は、74emu/g程度の磁力を有する芯材を製造することが出来る。一方、MとしてMgを用いた場合、35emu/g以上の磁力を有する芯材を製造するためには、窒素、または、酸素分圧調整雰囲気下で焼成することが好ましい。
この他、例えば、MとしてCu−Znを用いるのであれば大気、Mn−Mgを用いるのであれば酸素分圧調整雰囲気が好適である。
得られた焼成物をハンマーミル解粒等で粗粉砕し、次に分級して粒度分布調整を行う。
ここで、粒度調整の好ましい例について説明する。
まず、該粗粉砕物を気流分級機で分級し、1次分級された粉体を得る。次に、該1次分級された粉体を超音波篩により分級することが好ましい。該超音波篩による分級には、粗粉カット用網と、微粉カット用網との篩を準備する。そして、篩分けの工程において粉体を連続的に投下するのではなく、まず一定量を篩上に投下し、分級が完了した後、篩上に残った粉体を除去する。その後、再度、篩上に投下する方法を繰り返して分級を行うことが好ましい。そして、該2段階の分級により目的とする粒度分布を有する粉体を得、これを芯材とした。
粗粉砕工程で粉砕後に含まれる微粉(粒径15μm以下)の割合は1%程度であるが、この微粉を気流分級により除去している。これは、気流分級では、気流中に粉体を分散させ、粉体の気流に対する抗力の違いを利用し粗粉と微粉に分けるのが一般的であり、処理能力は高いが、本発明が必要とする精密な粒度調整は困難である。そこで、該気流分級を1次分級手段として採用し、粒径15μm以下の微粉をほぼ0%にカットしている。該微粉カットにより、後述する2次分級時の篩目詰まりを回避出来るからである。
当該構成を採ることで、所定の粒度分布と生産性の確保とを実現できた。
得られた芯材に対して所望により樹脂コーティングを施すことも好ましい構成である。
コーティング樹脂としては、KR251(信越化学製)のようなシリコーン系樹脂が良い。当該コーティング樹脂を適宜な溶剤(トルエン等)に、50重量%溶解させ、樹脂溶液を調製する。ここで、当該樹脂溶液の濃度により芯材への被覆樹脂料を制御することができる。そして調製された樹脂溶液と芯材とを重量比で、芯材:樹脂溶液=99:1〜65:35の割合にて混合した後、150℃〜250℃にて加熱撹拌して、樹脂被覆された芯材を得る。ここでコート量が0.1重量%以上あれば芯材の耐久性を確保することができ、5.0重量%以下であれば樹脂層が厚化に伴う芯材の流動性低化によるトナー搬送性の低化を回避できる。以上の観点から、前記樹脂の被覆量が、前記芯材の0.1重量%以上、5.0重量%以下であることが好ましい。
この樹脂被覆された芯材をさらに加熱して、該被覆樹脂層を硬化させ、磁性キャリアを得ることができる。
上述の工程により得られた、20μm≦d50≦50μm、且つ(d84−d16)/2≦(0.25×d50)であり、1KOeの磁場におかれたときの磁力が35emu/g以上、75emu/g以下の範囲にある芯材を有する磁性キャリアと、平均粒径1〜10μm、好ましくは平均粒径2〜8μmのトナーとを混合することで、高速現像等においてもキャリア飛び等を起こさず、高画質な画像が得られる電子写真用現像剤を製造することができる。
(実施例1)
芯材の組成が、MnO:Fe2O3=40モル:60モルになるように、原材料粉であるMnCO3とFe2O3とを秤量した後、湿式ボールミルで3時間混合し、乾燥して仮焼原料とした。
次に、粗30μmの粉カット用網と、20μmの微粉カット用網とを準備し、超音波出力を36KHzとして、該粉体を投入し、篩分、網上品排出、再投入の間欠投入運転を行い分級し、平均粒径(d50)23.8μmの粒度分布のそろった球形のMn系ソフトフェライト粉である芯材を得た。
この芯材は、0.25×d50=6.0μm、且つ(d84−d16)/2=5.2μm、1KOeの磁場におかれたときの磁力は71emu/gであった。
この樹脂被覆された芯材を熱風循環式加熱装置に設置し、250℃で5時間加熱を行い、該被覆樹脂層を硬化させて磁性キャリアを得た。
磁性キャリアの芯材組成がMnO:MgO:Fe2O3=25モル:25モル:50モルになるようにMnCO3、Mg(OH)2、Fe2O3の原材料粉を秤量し、湿式ボールミルで3時間混合し、実施例1と同様に乾燥し仮焼原料とした後、仮焼、造粒して造粒品を得た。
この芯材の(d84−d16)/2は10.6μmであり、(0.25×d50)は11.7μmであった。また1KOeの磁場におかれたときの磁力は55emu/gであった。
磁性キャリアの芯材組成がMgO:Fe2O3=40モル:60モルになるようにMg(OH)2、Fe2O3の原材料粉を秤量し、湿式ボールミルで3時間混合し、実施例1と同様に乾燥し仮焼原料とした後、仮焼し、造粒して造粒品を得た。
磁性キャリアの芯材組成がMnO:MgO:Fe2O3=25モル:25モル:50モルになるようにMnCO3、Mg(OH)2、Fe2O3の原材料粉を秤量し、湿式ボールミルで3時間混合し、実施例1と同様に乾燥し仮焼原料とし、仮焼、造粒して造粒品を得た。
磁性キャリアの芯材組成がMgO:Fe2O3=50モル:50モルになるようにMg(OH)2、Fe2O3の原材料粉を秤量し、湿式ボールミルで3時間混合し、実施例1と同様に乾燥して仮焼原料とし、仮焼、造粒して造粒品を得た。
まず、上述した実施例1〜3、比較例1〜2における、芯材の組成、磁性キャリアの焼成雰囲気の一覧表を表1に、磁性キャリアの粒子の分級内容の一覧表を表2に示した。
Claims (8)
- ソフトフェライトの芯材を有する電子写真現像用キャリアであって、
当該芯材は、Feと、Cu、Zn、Mn、Mg、Niの内から選択される1種以上の金属を含むソフトフェライトであり、
該電子写真現像用キャリアの粒子の小粒径側から積算した体積粒径分布累積の値が、16重量%となる粒子の粒径をd16、同じく50重量%となる粒子の粒径をd50、同じく84重量%となる粒子の粒径をd84、としたとき、
20μm≦d50≦50μm、且つ(d84−d16)/2≦(0.25×d50)であり、
前記芯材が1KOeの磁場にあるときの磁力が、35emu/g以上、75emu/g以下の範囲にあることを特徴とする電子写真現像用キャリア。 - 前記芯材は、FeとMnとを含むソフトフェライトであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真現像用キャリア。
- 前記芯材は、Fe2O3と、CuO、ZnO、MnCO3、Mn3O4、Mg(OH)2、MgO、Ni2Oから選択される1種以上との混合物、または、Fe2O3と、MnCO3、Mn3O4から選択される1種以上との混合物が、
1000℃〜1300℃で3時間〜30時間焼成されたソフトフェライトであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真現像用キャリア。 - 前記芯材は、Fe2O3と、MnCO3、Mn3O4から選択される1種以上との混合物が、窒素雰囲気下において1000℃〜1300℃で3時間〜30時間焼成されたソフトフェライトであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子写真現像用キャリア。
- 前記芯材を、樹脂で被覆したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子写真現像用キャリア。
- 前記樹脂の被覆量が、前記芯材の0.1重量%以上、5.0重量%以下であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真現像用キャリア。
- 請求項1から6のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと、平均粒径1〜10μmのトナーとを含むことを特徴とする電子写真現像剤。
- 粒子の小粒径側から積算した体積粒径分布累積の値が、16重量%となる粒子の粒径をd16、同じく50重量%となる粒子の粒径をd50、同じく84重量%となる粒子の粒径をd84、としたとき、
20μm≦d50≦50μm、且つ(d84−d16)/2≦(0.25×d50)であり、
前記芯材が1KOeの磁場にあるときの磁力が、35emu/g以上、75emu/g以下の範囲にある電子写真現像用キャリアの製造方法であって、
Fe2O3と、CuO、ZnO、MnCO3、Mn3O4、Mg(OH)2、MgO、Ni2Oから選択される1種以上とを混合し、混合物を得る工程と、
得られた混合物を、1000℃〜1300℃で3時間〜30時間焼成し、ソフトフェライトを含む焼成物を得る焼成工程と、
得られた焼成物を粗粉砕する粗粉砕工程と、
前記粗粉砕工程で粉砕後に含まれる粒径15μm以下の微粉を除去する気流分級工程と、
前記気流分級工程で得られた粉体を、分級する分級工程とを有することを特徴とする電子写真現像用キャリアの製造方法。
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